図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の要部を模式的に示す斜視図である。
プリンタ1は、インクジェットプリンタである。より具体的には、例えば、プリンタ1は、ピエゾヘッド式、且つシリアルヘッド式のカラープリンタとされている。なお、プリンタ1は、適宜な数の色のインクでカラーの画像を実現してよいが、本実施形態では、4色(ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアン)のインクによってカラー画像を実現する。
プリンタ1は、例えば、メディア(例えば紙)101を矢印y1で示す搬送方向(y方向)へ搬送する搬送装置3と、搬送されているメディア101に向けてインク滴を吐出するヘッド5と、ヘッド5をメディア101の搬送方向に直交する移動方向(矢印y2,X方向)において往復移動させる移動装置7と、ヘッド5にインクを供給するインクカートリッジ9と、ヘッド5からのインクの吐出動作を含むプリンタ1の動作を制御する制御部11とを有している。
ヘッド5からメディア101へのインク滴の吐出が、y方向に広がった範囲で繰り返し行われつつ、移動装置7によるヘッド5の往復移動が行われることにより、メディア101には帯状の2次元画像が形成される。更に、搬送装置3によってメディア101が間欠的に搬送されることで、メディア101には、帯状の2次元画像が繋がって連続的な2次元画像が形成される。
搬送装置3は、例えば、不図示の供給スタックに積層された複数のメディア101を一ずつ不図示の排出スタックへ搬送する。搬送装置3は、公知の適宜な構成とされてよい。図1では、搬送経路がストレートパスとされ、メディア101に当接するローラ13と、ローラ13を回転させるモータ15と、モータ15に駆動電力を付与するドライバ17とを有する搬送装置3が例示されている。
移動装置7は、公知の適宜な構成とされてよい。例えば、移動装置7は、キャリッジ(後述するケースを含む)を移動方向に案内可能に支持する不図示のガイドレールと、キャリッジに固定された不図示のベルトと、当該ベルトが掛け渡された不図示のプーリと、当該プーリを回転させるモータ19と、モータ19に駆動電力を付与するドライバ21とを有している。
インクカートリッジ9は、ヘッド5とは別の場所に(ヘッド5と共に移動しないように)設置されている。インクカートリッジ9は、可撓性のチューブを介してヘッド5と接続されている。インクカートリッジ9は、ヘッド5が吐出するインクの色の数に対応して複数(本実施形態では4つ)設けられている。
制御部11は、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含んで構成されている。制御部11は、搬送装置3のドライバ17、移動装置7のドライバ21及びヘッド5のドライバ(後述)に制御信号を出力し、搬送装置3、移動装置7及びヘッド5の動作を制御する。
図2は、ヘッド5の要部を示す模式的な分解斜視図である。
ヘッド5は、例えば、メディア101側(z方向負側)から順に、インク滴を吐出可能なヘッド本体23と、ヘッド本体23に駆動信号を印加するためのケーブル25及びドライバIC27と、ケーブル25等の位置決めに寄与する取付部材29と、図2に示す各種の部材を保持するケース31と、ドライバIC27の放熱に寄与するヒートシンク33と、ヘッド本体23にインクを供給するためのインク供給部材35とを有している。
なお、ヘッド5は、この他、特に図示しないが、ケース31のz方向の正側の開口を塞ぐカバー、ケーブル25と接続される他のケーブル、及び、当該他のケーブルと接続され、制御部11と更に他のケーブルを介して接続される回路基板等を有していてもよい。
ヘッド本体23は、例えば、概ね薄型の直方体状(板状)とされており、その主面をメディア101(z方向負側)に向けて配置される。ヘッド本体23は、メディア101に対向する複数のノズル(後述)と、各ノズルに通じる複数の圧力室(後述)を有する流路部材37と、流路部材37内のインクに圧力を付与して複数のノズルからインク滴を吐出させるための圧電アクチュエータ39とを有している。
流路部材37は、例えば、薄型の直方体状(板状)とされている。流路部材37は、例えば、z方向正側の主面のうちのy方向負側の領域に、インクが供給される複数(例えば4つ)の供給口37hが形成されている。4つの供給口37hは4色に対応している。圧電アクチュエータ39は、例えば、薄型の直方体状(板状)とされており、例えば、複数の供給口37hの配置領域を除いて、流路部材37の概ね全体に重なっている。
別の観点では、ヘッド本体23は、ノズルをそれぞれ有する複数の吐出素子49を有している。吐出素子49は、例えば、色毎に1〜4列(図2では色毎に2列)でy方向に配列されている。y方向に配列された吐出素子49の列は、その端部側に位置する供給口37hに接続されている。
なお、互いに異なる色に対応する供給口37h及び吐出素子49の列は、本実施形態に限らず、一般的に、移動方向(x方向)に並べられる。従って、供給口37h及び吐出素子49の構成(ヘッド5のみの構成)に基づいて、移動方向を特定することができる。
ケーブル25は、例えば、COF(Chip On Film)式のフレキシブル基板(FPC)によって構成されており、圧電アクチュエータ39に重なる接続部25aと、接続部25aから互いに反対方向へ延び出る第1延在部25b及び第2延在部25cとを有している。接続部25aは、例えば、圧電アクチュエータ39の概ね全体に重なる形状及び広さを有し、圧電アクチュエータ39に接続される。第1延在部25bは、例えば、y方向正側に延び出ている。
ドライバIC27は、例えば、長尺の直方体状に形成されており、第1延在部25bにおいてx方向を長手方向として実装されている。また、ドライバIC27は、例えば、ケーブル25の2つの主面(表裏)のうち、接続部25aにおいて圧電アクチュエータ39に対向する主面に実装されている。
取付部材29は、例えば、樹脂又は金属からなり、概略板状の基部29aと、基部29aからヘッド本体23とは反対側(z方向正側)へ突出する複数の係合部29b及び複数のピン29cとを有している。基部29aは、例えば、ケーブル25の接続部25a(圧電アクチュエータ39)の概ね全体に重なる形状及び広さを有している。
ケース31は、例えば、収容部31aと、収容部31aに比較してz方向において小さい(内部空間が浅い)薄型部31bと、薄型部31bから突出する突出部31xとを有している。
収容部31aは、例えば、概略、ヘッド本体23とは反対側に開口する箱状とされており、x方向の両側に位置する1対の側面部31cと、y方向の両側に位置する1対の端面部31dと、z方向の負側に位置する底面部31eとを有している。底面部31eには、点線で示すように、ヘッド本体23とインク供給部材35との接続等に寄与する窓部31fが開口している。1対の側面部31cには、ケース31内の換気用の1対の開口部31gが開口している。
薄型部31bは、例えば、収容部31aのy方向正側且つz方向正側に位置している。薄型部31bは、例えば、概略、z方向の正側に開口する薄型の箱状とされている。
突出部31xは、薄型部31bからz方向の負側に突出しており、y方向において収容部31aに対向している。突出部31xと収容部31aとの間には、移動装置7のx方向に延びる不図示のガイドレールが配置され、これにより、ケース31はx方向に案内される。なお、このように、ヘッド5は、ヘッド5のみの構成からでも移動方向を特定可能である。
ヒートシンク33は、例えば、平面視において概ね取付部材29に重なる形状及び広さを有している。ヒートシンク33は、例えば、金属板が折り返されて構成されており、互いに対向する第1対向部33a及び第2対向部33bと、これらを繋げている折り返し部33cとを有している。第1対向部33a及び第2対向部33bとは、例えは、互いに離れて平行に対向しており、その間に間隙33dが構成されている。
インク供給部材35は、例えば、インクが流れる溝や貫通孔が形成された(非可撓性の)基体41と、基体41に貼られた不図示の可撓性の複数のフィルムとを有して構成されている。インク供給部材35は、例えば、概略、y方向負側へ延びてからz方向の負側へ延びるL字に形成されており、インクは、概略、このL字に沿って流れる。
より具体的には、例えば、まず、複数色のインクは、y方向正側の部分にてz方向正側に開口する複数のインク導入口43に供給される。そして、複数色のインクは、例えば、全体としてy方向負側へ延びる不図示の複数のインク導入路を流れる。このインク導入路は、例えば、基体41の導入板状部41aのz方向負側の面に溝が形成され、この溝のz方向負側の面が不図示の可撓性のフィルムによって塞がれることによって構成されている。
次に、複数色のインクは、例えば、必要に応じてz方向負側へ流れた後、z方向に積層的に配置された複数のバッファー部45(本実施形態では4色に対応して4つ。ただし、2つは不図示)を全体としてy方向正側へ流れる。複数のバッファー部45は、基体41の2枚のバッファー板状部41bのz軸方向の正側及び負側の面に比較的広い面積の凹部が形成され、その凹部のz方向の正側又は負側の開口が可撓性の不図示のフィルムによって塞がれることによって構成されている。バッファー部45では、不図示のフィルムの撓みによってインクの圧力変動が吸収される。
次に、複数色のインクは、必要に応じてz方向正側へ流れた後、インク供給路47をz方向負側へ流れる。インク供給路47は、例えば、基体41に、z方向に貫通し、x方向へ配列された貫通孔が形成されることによって構成されている。別の観点では、インク供給路47は、x方向へ連ねられた複数の筒状部41cによって構成されている。そして、複数色のインクは、インク供給路47の下端の開口からヘッド本体23に供給される。
なお、図2は模式図であることから、各部材の形状は単純化されているが、実際には、より複雑な形状とされてよい。例えば、インク供給部材35については、複数の流路が立体交差することなどを避けて図示しており、また、流路の方向はy方向に平行とされている。実際には、複数の流路が適宜に立体交差したり、y方向に傾斜する方向に流路が延びたりしてもよい。また、複数のインク導入口43は、x方向ではなく、y方向に配列されてもよい。また、例えば、取付部材29については、基部29aを板状としているが、後述するようにドライバIC27と重なる部分等において肉厚部が形成されてもよい。
図3は、図2のIII−III線におけるヘッド5の模式的な断面図である。ただし、インク供給部材35については、一部のみについて断面を示している。また、図4は、図3のz方向負側部分の拡大図である。
ヘッド本体23は、ケース31に対して窓部31fを塞ぐように固定される。なお、固定は、接着剤、ねじ、及び/又は、ケース31の爪等の適宜な手段によりなされてよい。窓部31fは、例えば、流路部材37よりも狭く、圧電アクチュエータ39よりも広くされており、流路部材37は窓部31fの外側(z方向負側)に位置している。ただし、窓部31fは、圧電アクチュエータ39よりも狭くされ、圧電アクチュエータ39も窓部31fの外側に位置してもよいし、逆に、窓部31fは、流路部材37が嵌合する大きさとされてもよい。
また、インク供給部材35は、ケース31の窓部31fとは反対側(z方向の正側)の開口からケース31へ収容される。インク供給部材35は、例えば、ケース31にほぼ嵌合する。具体的には、例えば、インク供給部材35のバッファー板状部41b(バッファー部45)及び筒状部41c(インク供給路47)は、ケース31の収容部31aに対してx方向及びy方向においてほぼ嵌合し、インク供給部材35の導入板状部41aはケース31の薄型部31bにほぼ嵌合する。別の観点では、収容部31aの1対の端面部31d及び1対の側面部31cの内面にはインク供給部材35が当接し、収容部31aのz方向の正側の開口はインク供給部材35によって塞がれる。
ケース31の窓部31fがヘッド本体23に塞がれ、ケース31のz方向正側の開口がインク供給部材35によって塞がれることにより、ケース31内には、ケース31、ヘッド本体23及びインク供給部材35によって囲まれた第1空間S1が構成される。そして、ヘッド本体23に対してz方向の正側に積層的に配置される部材(ケーブル25、ドライバIC27、取付部材29及びヒートシンク33)は、第1空間S1に収容されている。
なお、インク供給部材35とケース31の収容部31aの内面とは、全周に亘って当接していてもよいし、一部において当接していなくてもよい。すなわち、インク供給部材35は、第1空間S1のz方向正側を完全に密閉していてもよいし、していなくてもよい。例えば、インク供給部材35とケース31との間には、ケーブル25に接続された不図示のケーブルを第1空間S1から延出させるための隙間があってよい。
ヘッド本体23(圧電アクチュエータ39)の上(z方向の正側)には、ケーブル25の接続部25a及び取付部材29の基部29aが順に重ねられる。ケーブル25の第1延在部25bは、折り返されて基部29aの上に重ねられ、ひいては、ドライバIC27は、第1延在部25bの上に位置する。ヒートシンク33は、第1対向部33aをドライバIC27に当接させてドライバIC27の上に配置され、第2対向部33bは、第1空間S1の上方へ露出する。
第1延在部25b及び第2延在部25cには、複数の係合孔25d(図2)が形成されている。第1延在部25b及び第2延在部25cが折り返され、これらが取付部材29のz方向の正側に重ねられる際、取付部材29の複数のピン29cが複数の係合孔25dに挿入される。これにより、取付部材29とケーブル25とは位置決めされる。なお、この際、ケーブル25は平面方向の復元力を生じてもよい。複数の係合孔25dは、例えば、ケーブル25の4隅に設けられている。
取付部材29において、複数の係合部29bは、基部29aの内側(例えばy方向の内側)に突出する爪を有している。そして、ヒートシンク33がその第1対向部33aをドライバIC27に当接させるように配置されると、係合部29bの爪が第1対向部33aの基部29aとは反対側の面に係合する。これにより、ヒートシンク33は、ドライバIC27に当接した状態で取付部材29に保持される。複数の係合部29bは、例えば、基部29aの4隅に設けられている(図2)。ヒートシンク33の第2対向部33bには、例えば、係合部29bに対応する位置(4隅)に、係合部29bと第1対向部33aとの係合を阻害しないように、切り欠き33e(図2も参照)が形成されている。
なお、上述した以外に、取付部材29等の各種の部材の位置決めをする部位がケース31に設けられたり、位置決め用の部材がケース31内に設けられたりしてもよい。
ヒートシンク33は比較的広い面積(例えば圧電アクチュエータ39と概ね同等の面積)を有しており、また、取付部材29及びドライバIC27がスペーサとなってヘッド本体23から離れて配置されている。従って、ケース31内には、ヒートシンク33、ケース31及びヘッド本体23に囲まれた第2空間S2が構成されている。ケーブル25及びドライバIC27(の少なくとも一部)は、この第2空間S2に配置されている。
なお、ヒートシンク33の外縁がケース31の内面に当接するようにし、第2空間S2の密閉度を高くしてもよい。この場合、ヒートシンク33は、例えば、取付部材29の係合部29bが挿通される孔が形成されることにより当該孔の縁部において係合部29bに係止されたり、及び/又は、インク供給部材35の適宜な部位に押さえつけられたりすることによって、ドライバIC27に当接されてよい。
1対の開口部31gは、第1空間S1に通じており、第1空間S1をヘッド5(ケース31)の外部へ開放している。1対の開口部31gは、第1空間S1に対してヘッド5の移動方向(x方向)の両側に位置していることから、ヘッド5の移動によって、周囲の雰囲気(通常は大気圧下の空気。以下、空気を例にとる。)が一方の開口部31gから他方の開口部31gへ流れる。これにより、ドライバIC27等の発熱によって温度が上昇した第1空間S1の換気がなされ、ひいては、ドライバIC27等の放熱が好適になされる。
1対の開口部31gの構成、及び、1対の開口部31gと第1空間S1内の部材(ドライバIC27等)との位置関係は、例えば、以下のとおりである。
図5は、図2のV−V線における模式的な断面図である。図6は、図2のVI−VI線における模式的な断面図である。なお、これらの図において、細部の図示は省略されている。また、図5では、取付部材29の図示は省略されている。
図2〜図6に示すように、1対の開口部31gは、例えば、yz平面に平行な不図示の対称面に対して、概略、面対称の位置、形状及び大きさで形成されている。従って、1対の開口部31gは、移動方向に見て互いに重なる重複領域32(図3、図4)を有しており、その重複領域32の面積は、各開口部31gの面積の9割以上である(本実施形態では、両者はその全体が互いに重なる。)。
開口部31gの形状は、多角形(例えば矩形。角部が面取りされたものを含む)、円形、長円形など、適宜な形状とされてよい。本実施形態では、矩形の場合を例示している。
平面視おいて(ヘッド5のメディア101への対向方向(z方向)に見て)、1対の開口部31gによって空気が流れやすい領域は、図5において2点鎖線で示す、1対の開口部31gの間の第1領域R1である。第1領域R1は、空気が直線的に1対の開口部31gを通過できる領域だからである。
具体的には、第1領域R1は、1対の開口部31gのメディア101の搬送方向の搬送元側(y方向の負側)の端部同士を結ぶ第1仮想線L1(直線)と、1対の開口部31gのメディア101の搬送方向の搬送先側(y方向の正側)の端部同士を結ぶ第2仮想線L2(直線)と、1対の開口部31gとによって囲まれる領域である。端的に言えば、第1領域R1は、平面視における1対の開口部31gの両端を頂点とする矩形領域である。本実施形態では、1対の開口部31gは面対称であることから、第1領域R1は、長方形となっている。
なお、厳密には、開口部31gは平面視においては直線とは限らないので、第1領域R1は、概略矩形である。ただし、便宜的に、第1仮想線L1及び第2仮想線L2を1対の対辺ということがある。また、開口部31gのy方向両側の縁部位置がz方向の位置によってy方向において異なる場合は、例えば、最も外側の位置を基準として第1領域R1を規定してよい。また、開口部31gのy方向両側の縁部位置がz方向の位置によってx方向において異なる場合(z方向の両側の縁部位置がx方向において異なる場合)も、例えば、最も外側の位置を基準として第1領域R1を規定してよい。
平面視したときと同様に、メディア101の搬送方向(y方向)に見たときに、1対の開口部31gによって空気が流れやすい領域は、図6において2点鎖線で示す、1対の開口部31gの間の第2領域R2である。
具体的には、第2領域R2は、1対の開口部31gのメディア101側(z方向の負側)の端部同士を結ぶ第3仮想線L3(直線)と、1対の開口部31gのメディア101とは反対側(z方向の正側)の端部同士を結ぶ第4仮想線L4(直線)と、1対の開口部31gとによって囲まれる領域である。端的に言えば、第2領域R2は、y方向に見たときの1対の開口部31gの両端を頂点とする矩形領域である。本実施形態では、1対の開口部31gは面対称であることから、第2領域R2は、長方形となっている。なお、yz平面に平行でない開口部31gについて第2領域R2を規定するときに、最も外側の位置を基準としてよいことは、第1領域R1と同様である。
図5に示すように、ドライバIC27は、平面視において、少なくとも一部が第1領域R1に位置している。本実施形態では、ドライバIC27の全体が第1領域R1に位置している。また、ヒートシンク33は、平面視において、少なくとも一部が第1領域R1に位置している。本実施形態では、ヒートシンク33の中央側の比較的広い範囲(例えば6割以上)が第1領域R1に位置している。なお、ヒートシンク33の全体が第1領域R1に収まるような1対の開口部31gが形成されてもよい。
また、図4(及び図6)に示すように、移動方向(x方向)に見て、1対の開口部31g(その和の領域。本実施形態では重複領域32と同じ。)は、ヒートシンク33上に位置している。具体的には、ヒートシンク33の第2対向部33bのメディア101とは反対側の面は、1対の開口部31gのメディア101側の縁部(下端)の位置、又は、当該位置よりもメディア101側に位置している。
1対の開口部31gがヒートシンク33上に位置していることから明らかなように、ヒートシンク33の折り返し部33c(図4)は、移動方向(x方向)に見て、1対の開口部31g(その和の領域。本実施形態では重複領域32と同じ。)の外側(メディア101側)に位置している。さらに、図5に示すように、折り返し部33cは、平面視において、第1領域R1の外側に位置している。また、折り返し部33cは、その折り目乃至は湾曲の軸が移動方向に沿うように(好ましくは平行に)設けられている。
同様に、1対の開口部31gがヒートシンク33上に位置していることから、その下に位置するケーブル25の、第1延在部25b側の第1折り返し部25e(図4)、及び、第2延在部25c側の第2折り返し部25f(図4)は、移動方向(x方向)に見て、1対の開口部31g(その和の領域。本実施形態では重複領域32と同じ。)の外側(メディア101側)に位置している。さらに、図5に示すように、第1折り返し部25e及び第2折り返し部25fは、平面視において、第1領域R1の外側に位置している。また、第1折り返し部25e及び第2折り返し部25fは、その折り目乃至は湾曲の軸が移動方向に沿うように(好ましくは平行に)設けられている。
図7(a)は、ヘッド本体23の一部(吐出素子49)の平面図であり、図7(b)は図7(a)のVIIb−VIIb線における断面図である。
流路部材37は、例えば、メディア101側(z方向負側)の主面に開口する複数のノズル51と、複数のノズル51に通じ、メディア101とは反対側の主面に開口する複数の圧力室53と、供給口37hからのインクを複数の圧力室53に供給するための共通流路55とを有している。
なお、これらの具体的形状は適宜に設定されよい。例えば、本実施形態において示すように、圧力室53の平面形状は、短辺の中央にノズル51が接続される概ね矩形であってもよい。また、例えば、圧力室53の平面形状は、角部にノズル51が接続される菱形であってもよいし、半円状の端部にノズル51が接続される長円乃至は楕円であってもよい。
流路部材37は、例えば、流路となる貫通孔若しくは溝が形成された複数の板状部材57がz方向に積層されることによって構成されている。複数の板状部材57は、例えば、ステンレス鋼等の金属からなる。なお、ノズル51が形成される板状部材57を樹脂で構成し、他の板状部材57を金属で構成するなどしてもよい。
圧電アクチュエータ39は、例えば、ユニモルフ型の圧電アクチュエータ基板により構成されており、流路部材37側から順に、振動板59、共通電極61、圧電体63及び複数の個別電極65が積層されて構成されている。なお、これらはいずれも層状(板状)に形成されている。
個別電極65と共通電極61との間に電圧が印加されると、圧電体63は逆圧電効果によって平面方向において縮小する。これにより、振動板59は圧力室53側へ撓む。この動作が利用されて、圧力室53内のインクに圧力が付与され、インク滴がノズル51から吐出される。
振動板59、共通電極61及び圧電体63は、複数の圧力室53(複数の吐出素子49)全体に亘って設けられている。一方、個別電極65は、圧力室53毎(吐出素子49毎)に設けられている。共通電極61には、例えば、基準電位が付与される。複数の個別電極65には選択的に共通電極61とは異なる電位(駆動信号)が付与される。これにより、複数のノズル51から選択的にインク滴が吐出される。
複数の個別電極65は、圧力室53の概略全体に重なり、圧電体63に電圧を印加するための電極本体65aと、FPC27との接続のための引出電極65bとを有している。電極本体65aは、例えば、圧力室53の平面形状と概ね同様(相似)の形状とされており、本実施形態では、矩形である。引出電極65bは、電極本体65aから適宜な方向に延び出ている。
図2等に示したケーブル25の接続部25aは、例えば、引出電極65bと対向する不図示の複数のパッドを有し、当該複数のパッドは、不図示のバンプを介して複数の引出電極65bと接続される。また、例えば、接続部25aの適宜な位置に設けられた不図示のパッドと、圧電体63上に設けられ、共通電極61に接続された不図示のパッドとが不図示のバンプを介して接続される。これにより、ドライバIC27は、共通電極61及び複数の個別電極65に接続される。
ドライバIC27には、例えば、所定の駆動周期毎に、全てのノズル51に関して吐出すべきインク量のデータが制御部11から入力される。ドライバIC27は、共通電極61に基準電位を付与するとともに、入力されたデータに基づいて複数の個別電極65に所定の波形の駆動信号を選択的に出力する。また、ドライバIC27は、例えば、入力されたデータに基づいて駆動周期内において駆動信号を出力する回数を設定する。
以上のとおり、本実施形態では、メディア101との対向方向(z方向)及びメディア101の搬送方向(y方向)それぞれに直交する移動方向(x方向)に移動可能なインクジェットヘッド5は、メディア101側及びその背面側に開口するケース31と、ケース31のメディア101側を塞ぐようにケース31に配置され、メディア101にインク滴を吐出可能なヘッド本体23と、ケース31の背面側からケース31に収容され、ヘッド本体23にインクを供給可能なインク供給部材35と、ケース31、ヘッド本体23及びインク供給部材35に囲まれた第1空間S1に配置され、ヘッド本体23に駆動信号を出力可能なドライバIC27と、を有している。また、ヘッド5には、第1空間S1に対して移動方向(x方向)の両側に、第1空間S1をこのヘッド5の外部へ開放する1対の開口部31gが構成されている。
従って、例えば、既に言及したように、ドライバIC27の熱によって温度が上昇した第1空間S1の換気を1対の開口部31gを介して行うことができる。1対の開口部31gは、ヘッド5の移動方向の両側に位置していることから、ヘッド5の移動によって一方の開口部31gから他方の開口部31gへの空気の流れが生じ、好適に換気が行われる。その結果、例えば、ドライバIC27の放熱が促進され、ドライバIC27の熱による誤作動が生じる可能性が低減される。なお、従来においては、第1空間S1は、略密閉され、ひいては、ドライバIC27によって生じた熱がこもりやすかった。しかし、ドライバIC27の放熱に関して、第1空間S1が略密閉されていることに着目はされていなかった。
また、本実施形態では、ヘッド5のメディア101との対向方向(z方向)に見て、1対の開口部31g、及び、1対の開口部31g同士をその両端において結ぶ1対の対辺(第1仮想線L1及び第2仮想線L2)に囲まれた第1領域R1にドライバIC27の少なくとも一部が位置している。
従って、換気がなされやすい第1領域R1と、ドライバIC27との距離(z方向等)が近い。又は、本実施形態とは異なりドライバIC27が1対の開口部31gと同等の高さにあるときは、換気がなされやすい空間にドライバIC27が位置する。その結果、ドライバIC27の放熱が好適に行われる。
特に、本実施形態では、ヘッド5のメディア101との対向方向に見て、第1領域R1にドライバIC27の全体が位置していることから、ドライバIC27の放熱がより好適に行われる。
また、本実施形態では、移動方向(x方向)に見て、1対の開口部31gは互いに重なる重複領域32を有している。
従って、ヘッド5に対して移動方向に流れる空気が1対の開口部31gを通過しやすくなる。その結果、換気が速やかに行われる。ひいては、ドライバIC27の放熱が好適に行われる。特に、重複領域32をxz断面とする空間に対して、平面視においてドライバIC27(又はヒートシンク33)の少なくとも一部(好適には全部)が重なっている場合においては、ドライバIC27の放熱が好適に行われる。重複領域32の風速が高くなると、ベルヌーイの定理に従って、その周囲の空気が引き寄せられやすくなり、周囲の換気も好適に行われることが期待される。
また、本実施形態では、重複領域32の面積は、1対の開口部31gそれぞれの面積の9割以上であることから、すなわち、移動方向(x方向)に見て、1対の開口部31gは大部分が重なることから、換気が速やかに行われる効果等がより好適に奏される。
また、本実施形態では、ヘッド5は、第1空間S1内にドライバIC27に当接するヒートシンク33を更に有している。
従って、ドライバIC27の放熱がより好適になされる。具体的には、ドライバIC27の熱を第1空間S1内の空気に放出する面積を実質的に大きくし、1対の開口部31gによる換気の効果をより好適に利用できる。この効果は、ドライバIC27の大きさに対して空気の流量が多いほど顕著である。従って、例えば、本実施形態のように、開口部31gのy方向の径がドライバIC27のy方向の幅よりも大きいときに効果的である。
また、本実施形態では、ヘッド5のメディア101との対向方向(z方向)に見て、1対の開口部31g、及び、1対の開口部31g同士をその両端において結ぶ1対の対辺(第1仮想線L1及び第2仮想線L2)に囲まれた第1領域R1にヒートシンク33の少なくとも一部が位置している。
従って、換気がなされやすい第1領域R1と、ヒートシンク33との距離(z方向等)が近い。又は、本実施形態とは異なりヒートシンク33が1対の開口部31gと同等の高さにあるときは、換気がなされやすい空間にヒートシンク33が位置する。その結果、ヒートシンク33(ドライバIC27)の放熱が好適に行われる。また、例えば、ドライバIC27と第1領域R1とを重ねることが困難な場合に、ヒートシンク33を第1領域R1へ延ばし、実質的にドライバIC27を第1領域R1に重ねることができる。
また、本実施形態では、移動方向(x方向)に見て、ヒートシンク33のメディア101とは反対側(z方向正側)の面は、1対の開口部31gが互いに重なる重複領域32のメディア101側(z方向負側)の縁部の位置若しくは当該位置よりもメディア101側の位置にある、又は、1対の開口部31g(その和の領域。本実施形態では重複領域32と同じ)のメディア101側の縁部の位置若しくは当該位置よりもメディア101側の位置にある。
従って、ヒートシンク33の表面は、1対の開口部31gによって換気がなされやすい空間に面するとともに、ヒートシンク33による空気の抵抗は低減される。これにより、開口部31gの面積に対して放熱量を多くすることができる。すなわち、効率的に放熱を行うことができる。なお、ヒートシンク33のz方向負側の構成等によっては(例えば、ヒートシンク33の間隙33dを大きくできる場合、及び/又は、ヒートシンク33のz方向負側に十分な空間を確保できる場合)、ヒートシンク33のz方向正側の面は、y方向に見て、1対の開口部31g又はその重複領域32内に位置するほうが効率的に放熱を行うことができる。従って、ヒートシンク33等の具体的な構成に応じて、適宜に開口部31gがヒートシンク33の上に位置する構成が作用されてよい。
また、本実施形態では、上記のようにヒートシンク33が1対の開口部31g又はその重複領域32のメディア101側に位置していることに加え、ケース31内に、ヒートシンク33、ケース31及びヘッド本体23に囲まれた第2空間S2が構成されている。
従って、例えば、ケーブル25の接続部25a及び圧電アクチュエータ39の個別電極65等の第2空間S2に位置する部材が、開口部31gから第1空間S1に侵入するインクのミストに曝されるおそれが低減される。その結果、ヘッド5の信頼性が向上する。なお、ヒートシンク33とケース31との間に隙間があるなど、第2空間S2は、完全に密閉されていなくてもよい。この場合でも、インクのミストが接続部25a及び個別電極65等に触れる可能性は低減される。
ヒートシンク33は、金属板を折り返して構成されており、その折り返しによって互いに対向する1対の対向面(第1対向部33a及び第2対向部33bの互いに対向する面)の間に間隙33dを有している。
従って、ヒートシンク33は、全体として簡素且つ小型な構成でありながら、第2対向部33bのz方向正側の外面だけでなく、第1対向部33a及び第2対向部33bの対向面においても放熱をすることができ、放熱面積が広い。従って、1対の開口部31gによる換気を効率的に利用することができる。
また、本実施形態では、ヒートシンク33において、第1対向部33a及び第2対向部33bを対向させる折り返し部33cは、その折り目乃至は湾曲の軸が移動方向(x方向)に沿っている。
従って、折り返し部33cは、1対の開口部31gによる空気の流れを妨げるような向きで間隙33dに面しない。すなわち、1対の開口部31gを通過する空気は、折り返し部33cに沿って流れる。その結果、間隙33dの換気が速やかに行われ、さらには、第1空間S1の換気が速やかに行われる。ひいては、ドライバIC27の放熱が好適に行われる。
また、本実施形態では、移動方向(x方向)に見て、ヒートシンク33の折り返し部33cは、1対の開口部31gが互いに重なる重複領域32の外側に位置している、又は、1対の開口部31g(その和の領域。本実施形態では重複領域32と同じ)の外側に位置している。
従って、折り返し部33cは、1対の開口部31gによる空気の流れを妨げるような位置で間隙33dに面しない。その結果、間隙33dの換気が速やかに行われ、さらには、第1空間S1の換気が速やかに行われる。なお、上述したヒートシンク33のz方向正側の表面の位置と同様に、ヒートシンク33及びその周囲の構成によっては、移動方向に見て、移動方向に沿う折り返し部33cが1対の開口部31g内乃至は重複領域32に位置していたほうが好ましいことがある。ヒートシンク33の構成及びその周囲の構成に応じて、適宜に折り返し部33cが外側に位置する構成が選択されてよい。
また、本実施形態では、ヘッド5は、ヘッド本体23とドライバIC27とを接続するケーブル25を更に有している。ケーブル25は、ヘッド本体23に重なり、ヘッド本体23に接続される接続部25aと、接続部25aから延びるとともに折り返されて接続部25aのヘッド本体23とは反対側に位置し、ドライバIC27と接続される第1延在部25bと、を有している。ケーブル25の第1折り返し部25eは、対向方向(z方向)に見て、1対の開口部31g、及び、1対の開口部31g同士をその両端において結ぶ1対の対辺(第1仮想線L1及び第2仮想線L2)に囲まれた第1領域R1の外側に位置している。
従って、ケーブル25の第1折り返し部25eが1対の開口部31gによる空気の流れを妨げるおそれが低減される。その結果、第1空間S1の換気が速やかに行われ、ドライバIC27の放熱が好適に行われる。また、1対の開口部31gによる空気の流れによってケーブル25が振動することが抑制され、ひいては、異音を生じるおそれが低減される。
(変形例)
以下、図8〜図10を参照して、変形例について説明する。なお、実施形態と同一又は類似する構成については、実施形態と同様の符号を付すことがあり、また、説明を省略する。
図8(a)は、変形例に係るヘッド205を示す模式的な側面図(移動方向に見た図)である。ヘッド205は、主として、第1空間S1をヘッド205の外部へ開放する開口部232の構成が実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
インク供給部材241は、実施形態と同様に、ケース231の内周面に概ね嵌合してヘッド本体23と対向し、第1空間S1を構成している。なお、図8(a)では、実施形態とは異なり、バッファー用の2枚の板状部を有していない場合を例示しているが、実施形態と同様に、2枚の板状部を有していてもよい。
また、ケース231のz方向正側の縁部には切り欠き231gが形成されている。この切り欠き231gは、インク供給部材241のヘッド本体23と対向する部分よりも下方にまで到達しており、第1空間S1とケース231の外部とを連通している。これにより、開口部232が構成されている。
このように、開口部232は、ケース231に貫通孔が形成されるのではなく、ケース231と他の部材(図8(a)の変形例ではインク供給部材241)との隙間によって構成されてもよい。
図8(b)は、変形例に係るヘッド305を示す模式的な断面図(移動方向に直交する断面の図)である。ヘッド305は、主として、比較的小さい複数の貫通孔331gがケース331に形成されることによって開口部332が構成されている点が実施形態と相違する。
なお、複数の貫通孔331gの大きさ、数、分布は適宜に設定されてよい。なお、実施形態における重複領域32、第1領域R1、第2領域R2等に相当する領域は、例えば、2点鎖線で示すように、全ての貫通孔331gを包含する最小の多角形を基準として規定されてよい。
図8(b)の変形例によれば、例えば、大きな異物がケース31内に侵入するおそれを低減できる。ただし、空気抵抗の観点からは、実施形態のような一の貫通孔(乃至は隙間)からなる開口部が好ましい。なお、実施形態のような1対の開口部に、網状のフィルタ、又は、通気性がある不透水性シートが被せられてもよい。この場合にも、第1空間S1が1対の開口部を介してヘッドの外部に開放されているといえる。
図8(c)は、変形例に係るヘッド405を示す模式的な断面図(移動方向に直交する断面の図)である。ヘッド405は、主として、1対の開口部431gとヒートシンク433との位置関係が実施形態と相違する。
具体的には、移動方向(x方向)に見て、1対の開口部431(その和の領域)又は重複領域(実施形態と同様に、この変形例においても両者は同じものとし、以下では、単に1対の開口部431という)の少なくとも一部は、ヒートシンク433の第1対向部433a及び第2対向部433bの間(間隙433d)に位置している。
例えば、図8(c)に図示した例では、1対の開口部431は、z方向においては、その全体が間隙433dに収まっている。別の観点では、第1対向部433aのz方向正側の面(第2対向部433bに対向する対向面)は、1対の開口部431のz方向負側の縁部の位置又は当該位置よりもz方向負側にある。また、第2対向部433bのz方向負側の面(第1対向部433aに対向する対向面)は、1対の開口部431のz方向正側の縁部の位置又は当該位置よりもz方向正側に位置している。なお、図8(c)の例では、y方向においても、1対の開口部431は、その全体が間隙433dに収まっている。
このように、移動方向(x方向)に見て、1対の開口部431の少なくとも一部が間隙433dに位置していることにより、間隙433dの換気を直接的に行うことができる。また、図8(c)に示すように、z方向において1対の開口部431が間隙433dに収まっている場合においては、ヒートシンク433が1対の開口部431を通過する空気の流れを阻害するおそれが低減される。その結果、効率的にヒートシンク433の放熱を行うことができる。
なお、既に述べたように、ヒートシンク及びその周囲の構成によっては、x方向にみて、第1対向部及び第2対向部が1対の開口部に重なっていたほうがよい場合があり、具体的な構成に応じて適宜に図8(c)の態様が選択されてよい。
図9(a)は、変形例に係るヘッド505を示す模式的な断面図(ヘッド505とメディア101との対向方向に直交する断面の図)である。図9(b)は、図9(a)のIX−IX線における断面図である。なお、図9(b)において、点線の開口部31gは、1対の開口部31gのうち、x方向負側の開口部31gを示している。
この変形例に示すように、1対の開口部31gの位置及び大きさ(形状)は互いに異なっていてもよい。また、x方向に見て1対の開口部31gが互いに重なる重複領域32(図9(b)にてハッチングして示す。)は、1対の開口部31gの和の領域30(2点鎖線で示す)よりも小さくてもよいし、さらには、各開口部31gよりも小さくてもよい。さらには、特に図示しないが、x方向に見て1対の開口部31gは互いに重ならなくてもよい。また、図9(a)に示すように、平面視において、ドライバIC27は、その全体ではなく、一部のみが第1領域R1に位置していてもよい。
実際のインクジェットヘッドにおいては、ケース及びインク供給部材等の形状は、そのyz平面に対して面対称でないことが一般的であり、また、ケースの側面部に隣接して何らかの部材が配置されることもある。従って、実施形態に示したように、移動方向(x方向)に見て、その全体が互いに重なるように1対の開口部を形成すること等は困難である場合が多い。従って、実際には、図9(a)及び図9(b)に例示するような態様が実現しやすい態様である。
図9(c)は、変形例に係るヘッド605を示す模式的な断面図(ヘッド505とメディア101との対向方向に直交する断面の図)である。この変形例は、主として、ドライバIC27の配置が実施形態と相違する。
具体的には、図9(c)では不図示であるが、ケーブル(25)の延在部は、移動方向(x方向)の両側に延び出て折り返され、取付部材の上に重ねられる。そして、その両側の延在部に1対のドライバIC27が実装されている。1対のドライバIC27は、例えば、y方向を長手方向とする直方体状である。
このように、ドライバIC27は、移動方向に対して直交する方向を長手方向として配置されてもよい。なお、図9(c)の例では、ドライバIC27は、第1領域R1の一部にのみ位置しているが、全体が第1領域R1に位置するように開口部31gが形成されてもよいことはもちろんである。
図10(a)は変形例に係るヒートシンク733を示す側面図(移動方向(x方向)に見た図)である。図10(b)はヒートシンク733のz方向負側の一部の斜視図である。
ヒートシンク733は、実施形態のヒートシンク33と同様に、金属板が折り返されて構成され、間隙733dを介して互いに対向する第1対向部733a及び第2対向部733bを有している。ただし、第1対向部733a及び第2対向部733bの少なくとも一方(図10では第1対向部733a)には、少なくとも一方の主面(図10では間隙733d側の主面)に複数の凸部733pが形成されている。
複数の凸部733pは、例えば、移動方向(x方向)に平行に延びる突条によって構成されている。なお、複数の凸部733pは、第1対向部733aの一部が肉厚に形成されることによって構成されているが、第1対向部733aの厚さは一定のままとされてもよい(凸部733pの背面に凹部(溝)が形成されてもよい。)。
なお、第1対向部733aは、間隙733d側の面に、凸部733pではなく、凹部が形成されていると捉えられてもよいし、凹凸部が形成されていると捉えられてもよい。また、図10の例では、第1対向部733aの、第2対向部733bと同等の厚さの板状部分に対して凸部733pが形成されているが、第2対向部733bと同等の厚さの板状部分に対して凹部が形成されてもよい。凸部の高さ(凹部の深さ)、ピッチ等は適宜に設定されてよい。
この変形例によれば、ヒートシンク733の体積に対して表面積が大きくなるので、効率的に放熱を行うことができる。凸部733pが移動方向に沿って延びていることから、空気の抵抗を少なくすることができ、より好適に放熱を行うことができる。なお、突条の凸部733p(凹溝)に代えて、平面視において矩形若しくは円形の凸部(凹部)が移動方向に配列されてもよい。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、プリンタ(インクジェットヘッド)は、ピエゾヘッド式及びオフキャリッジ式のカラープリンタに限定されない。例えば、プリンタは、サーマルヘッド式、及び/又は、オンキャリッジ式であってもよいし、カラープリンタでなくてもよい。プリンタにおけるインクジェットヘッド以外の部分(例えばメディアの搬送装置)の構成も例示した構成以外の適宜な構成とされてよい。メディアも紙に限定されず、金属又は樹脂からなるものであってもよい。
実施形態では、移動方向に見て1対の開口部が重なる態様を中心に説明したが、逆に、積極的に、移動方向に見て1対の開口部が互いに重ならないようにしてもよい。例えば、移動方向に見て1対の開口部が重ならないようにするとともに、空間内の部材を適宜に配置することなどにより、移動方向だけでなく、メディアの搬送方向、及び/又は、ヘッドとメディアとの対向方向にも空気が流れるようにし、実質的に1対の開口部間の流路を長くすることができる。これにより、ヘッドの移動距離及び1対の開口部の面積に対して放熱されやすい領域の面積が大きくなることが期待される。