以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド及びプリンタについて説明する。なお、第2実施形態以降において、既に説明した実施形態の構成と同一又は類似する構成については、既に説明した実施形態の構成に付した符号と同一の符号を付すことがあり、また、説明を省略することがある。また、第2実施形態以降において、既に説明した実施形態の構成と対応(類似)する構成について、既に説明した実施形態の構成に付した符号とは異なる符号を付した場合においても、特に断りがない事項については、対応する構成について既に説明された事項と同様であるものとする。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリンタ1の要部を模式的に示す斜視図である。
プリンタ1は、インクジェットプリンタである。より具体的には、例えば、プリンタ1は、ピエゾヘッド式、シリアルヘッド式、且つ、オフキャリッジ式のカラープリンタとされている。なお、プリンタ1は、適宜な数の色のインクでカラーの画像を実現してよいが、本実施形態では、4色(ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアン)のインクによってカラー画像を実現する。
プリンタ1は、例えば、メディア(例えば紙)101を矢印y1で示す搬送方向(y方向)へ搬送する搬送装置3と、搬送されているメディア101(z方向負側)に向けてインク滴を吐出するヘッド5と、ヘッド5をメディア101の搬送方向に直交する移動方向(矢印y2、x方向)において往復移動させる移動装置7と、ヘッド5にインクを供給するインクカートリッジ9と、ヘッド5からのインクの吐出動作を含むプリンタ1の動作を制御する制御部11とを有している。
ヘッド5からメディア101へのインク滴の吐出が、y方向に広がった範囲で繰り返し行われつつ、移動装置7によるヘッド5の往復移動が行われることにより、メディア101には帯状の2次元画像が形成される。更に、搬送装置3によってメディア101が間欠的に搬送されることで、メディア101には、帯状の2次元画像が繋がって連続的な2次元画像が形成される。
搬送装置3は、例えば、不図示の供給スタックに積層された複数のメディア101を一ずつ不図示の排出スタックへ搬送する。搬送装置3は、公知の適宜な構成とされてよい。図1では、搬送経路がストレートパスとされ、メディア101に当接するローラ13と、ローラ13を回転させるモータ15と、モータ15に駆動電力を付与するドライバ17とを有する搬送装置3が例示されている。
移動装置7は、公知の適宜な構成とされてよい。例えば、移動装置7は、キャリッジ(後述するケースを含む)を移動方向に案内可能に支持する不図示のガイドレールと、キャリッジに固定された不図示のベルトと、当該ベルトが掛け渡された不図示のプーリと、当該プーリを回転させるモータ19と、モータ19に駆動電力を付与するドライバ21とを有している。
インクカートリッジ9は、ヘッド5とは別の場所に(ヘッド5と共に移動しないように)設置されている。インクカートリッジ9は、可撓性のチューブを介してヘッド5と接続されている。インクカートリッジ9は、ヘッド5が吐出するインクの色の数に対応して複数(本実施形態では4つ)設けられている。
制御部11は、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含んで構成されている。制御部11は、搬送装置3のドライバ17、移動装置7のドライバ21及びヘッド5のドライバ(後述)に制御信号を出力し、搬送装置3、移動装置7及びヘッド5の動作を制御する。
図2は、ヘッド5の要部を示す模式的な分解斜視図である。
ヘッド5は、例えば、メディア101側(z方向負側)から順に、インク滴を吐出可能なヘッド本体23と、ヘッド本体23に駆動信号を印加するためのフレキシブル基板(FPC)25及びドライバIC27と、FPC25等の位置決めに寄与する取付部材29と、図2に示す各種の部材を保持するケース31と、制御部11からFPC25へ信号を中継する中継基板33と、ヘッド本体23にインクを供給するためのインク供給部材35とを有している。
なお、ヘッド5は、この他、特に図示しないが、ケース31のz方向正側の開口を塞ぐカバー等を有していてもよい。
ヘッド本体23は、例えば、概ね薄型の直方体状(板状)とされており、その主面をメディア101(z方向負側)に向けて配置される。ヘッド本体23は、メディア101に対向する複数のノズル(後述)と、各ノズルに通じる複数の圧力室(後述)とを有する流路部材37と、流路部材37内のインクに圧力を付与して複数のノズルからインク滴を吐出させるための圧電アクチュエータ39とを有している。
流路部材37は、例えば、薄型の直方体状(板状)とされている。流路部材37は、例えば、z方向正側の主面のうちのy方向負側の領域に、インクが供給される複数(例えば4つ)の供給口37hが形成されている。4つの供給口37hは4色に対応している。圧電アクチュエータ39は、例えば、薄型の直方体状(板状)とされており、例えば、複数の供給口37hの配置領域を除いて、流路部材37の概ね全体に重なっている。
別の観点では、ヘッド本体23は、ノズルをそれぞれ有する複数の吐出素子49を有している。吐出素子49は、例えば、色毎に1〜4列(図2では色毎に2列)でy方向に配列されている。y方向に配列された吐出素子49の列は、その端部側に位置する供給口37hに接続されている。
FPC25は、例えば、COF式基板によって構成されており、圧電アクチュエータ39に重なる接続部25aと、接続部25aから延び出る2つの延在部25bとを有している。接続部25aは、例えば、圧電アクチュエータ39の概ね全体に重なる形状及び広さを有し、圧電アクチュエータ39に接続されている。延在部25bは、例えば、x方向の両側に延び出ている。
ドライバIC27は、例えば、2つの延在部25bそれぞれに設けられ、合計で2つ設けられている。各ドライバIC27は、例えば、長尺の直方体状に形成されており、y方向を長手方向として延在部25bに実装されている。また、ドライバIC27は、例えば、FPC25の2つの主面(表裏)のうち、接続部25aにおいて圧電アクチュエータ39に対向する主面に実装されている。
取付部材29は、例えば、樹脂又は金属からなり、概略板状の基部29aと、基部29aからヘッド本体23とは反対側(z方向正側)へ突出する複数の係合部29b及び複数のピン29cとを有している。基部29aは、例えば、FPC25の接続部25a(圧電アクチュエータ39)の概ね全体に重なる形状及び広さを有している。
基部29aのz方向正側の面には、例えば、2つの接続用弾性部材30Aと、2つのIC用弾性部材30B(以下、両者を区別せずに、単に「弾性部材30」ということがある。)とが設けられている。弾性部材30は、後述するように、部材同士の密着に寄与するものであり、例えば、スポンジ又はゴムにより構成されている。
ケース31は、例えば、収容部31aと、収容部31aに比較してz方向において小さい(内部空間が浅い)薄型部31bと、薄型部31bから突出する突出部31xとを有している。
収容部31aは、例えば、概略、ヘッド本体23とは反対側に開口する開放部31gを有する箱状とされており、x方向の両側に位置する1対の側面部31cと、y方向の両側に位置する1対の端面部31dと、z方向の負側に位置する底面部31eとを有している。底面部31eには、点線で示すように、ヘッド本体23とインク供給部材35との接続等に寄与する窓部31fが開口している。
薄型部31bは、例えば、収容部31aのy方向正側且つz方向正側に位置している。薄型部31bは、例えば、概略、z方向の正側に開口する薄型の箱状とされている。
突出部31xは、薄型部31bからz方向の負側に突出しており、y方向において収容部31aに対向している。突出部31xと収容部31aとの間には、移動装置7のx方向に延びる不図示のガイドレールが配置され、これにより、ケース31はx方向に案内される。
中継基板33は、例えば、リジッドタイプのプリント配線基板によって構成されている。中継基板33の平面形状は、例えば、概略矩形である。中継基板33には、取付部材29との係合のための複数の被係合孔33h(孔に代えて切り欠きとされてもよい。)が形成されている。特に図示しないが、中継基板33と制御部11とは、不図示の安価なフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)等のケーブルによって接続される。
インク供給部材35は、例えば、インクが流れる溝や貫通孔が形成された(非可撓性の)基体41と、基体41に貼られた不図示の可撓性の複数のフィルムとを有して構成されている。インク供給部材35は、例えば、概略、y方向負側へ延びてからz方向の負側へ延びるL字に形成されており、インクは、概略、このL字に沿って流れる。
より具体的には、例えば、まず、複数色のインクは、y方向正側の部分にてz方向正側に開口する複数のインク導入口43に供給される。そして、複数色のインクは、例えば、全体としてy方向負側へ延びる不図示の複数のインク導入路を流れる。このインク導入路は、例えば、基体41の導入板状部41aのz方向負側の面に溝が形成され、この溝のz方向負側の面が不図示の可撓性のフィルムによって塞がれることによって構成されている。
次に、複数色のインクは、例えば、必要に応じてz方向負側へ流れた後、z方向に積層的に配置された複数のバッファー部45(本実施形態では4色に対応して4つ。ただし、2つは不図示)を全体としてy方向正側へ流れる。複数のバッファー部45は、基体41の2枚のバッファー板状部41bのz軸方向の正側及び負側の面に比較的広い面積の凹部が形成され、その凹部のz方向の正側又は負側の開口が可撓性の不図示のフィルムタによって塞がれることによって構成されている。バッファー部45では、不図示のフィルムタの撓みによってインクの圧力変動が吸収される。
次に、複数色のインクは、必要に応じてz方向正側へ流れた後、インク供給路47をz方向負側へ流れる。インク供給路47は、例えば、基体41に、z方向に貫通し、x方向へ配列された貫通孔が形成されることによって構成されている。別の観点では、インク供給路47は、x方向へ連ねられた複数の筒状部41cによって構成されている。そして、複数色のインクは、インク供給路47の下端の開口からヘッド本体23の供給口37hに供給される。
なお、図2は模式図であることから、各部材の形状は単純化されているが、実際には、より複雑な形状とされてよい。例えば、インク供給部材35については、複数の流路が立体交差することなどを避けて図示しており、また、流路の方向はy方向に平行とされている。実際には、複数の流路が適宜に立体交差したり、y方向に傾斜する方向に流路が延びたりしてもよい。また、複数のインク導入口43は、x方向ではなく、y方向に配列されてもよい。また、例えば、取付部材29については、基部29aを板状としているが、後述するようにドライバIC27と重なる部分等において肉厚部が形成されてもよい。
図3は、図2のIII−III線におけるヘッド5の模式的な断面図である。ただし、インク供給部材35については、一部のみについて断面を示している。また、図4(a)は、図3のz方向負側部分の拡大図である。
ヘッド本体23は、ケース31に対して窓部31fを塞ぐように固定される。なお、固定は、接着剤やねじ等の適宜な手段によりなされてよい。窓部31fは、例えば、流路部材37よりも狭く、圧電アクチュエータ39よりも広くされており、流路部材37は窓部31fの外側(z方向負側)に位置している。ただし、窓部31fは、圧電アクチュエータ39よりも狭くされ、圧電アクチュエータ39も窓部31fの外側に位置してもよいし、逆に、窓部31fは、流路部材37が嵌合する大きさとされてもよい。
また、インク供給部材35は、ケース31の窓部31fとは反対側(z方向の正側)の開口(開放部31gを含む)からケース31へ収容される。インク供給部材35は、例えば、ケース31にほぼ嵌合する。具体的には、例えば、インク供給部材35のバッファー板状部41b(バッファー部45)及び筒状部41c(インク供給路47)は、ケース31の収容部31aに対してx方向及びy方向においてほぼ嵌合し、インク供給部材35の導入板状部41aはケース31の薄型部31bにほぼ嵌合する。別の観点では、収容部31aの1対の端面部31d及び1対の側面部31cの内面にはインク供給部材35が当接し、収容部31aの開放部31gはインク供給部材35によって塞がれる。
ケース31の窓部31fがヘッド本体23に塞がれ、ケース31の開放部31gがインク供給部材35によって塞がれることにより、ケース31内には、ケース31、ヘッド本体23及びインク供給部材35によって囲まれた第1空間S1が構成される。そして、ヘッド本体23に対してz方向の正側に積層的に配置される部材(FPC25、ドライバIC27、取付部材29及び中継基板33)は、第1空間S1に収容されている。
なお、インク供給部材35とケース31の収容部31aの内面とは、全周に亘って当接していてもよいし、一部において当接していなくてもよい。すなわち、インク供給部材35は、第1空間S1のz方向正側を完全に密閉していてもよいし、していなくてもよい。例えば、インク供給部材35とケース31との間には、中継基板33に接続された不図示のケーブルを第1空間S1から延出させるための隙間があってよい。
図4(b)は、図2のIVb−IVb線におけるヘッド5の模式的な断面図である。ただし、ヘッド本体23の付近のみを示している。
図4(a)及び図4(b)に示すように、ヘッド本体23(圧電アクチュエータ39)の上(z方向の正側)には、FPC25の接続部25a及び取付部材29の基部29aが順に重ねられる。FPC25の延在部25bは、折り返されて基部29aの上に重ねられ、ひいては、ドライバIC27は、延在部25bの上に位置する。中継基板33は、一方の主面(第1主面33a)をドライバIC27に当接させてドライバIC27の上に配置され、他方の主面(第2主面33b)は、第1空間S1の上方部分へ露出する。
中継基板33は、比較的広い面積を有しており、また、取付部材29及びドライバIC27がスペーサとなってヘッド本体23から離れて配置されている。従って、ケース31内には、中継基板33、ケース31及びヘッド本体23に囲まれた第2空間S2が構成されている。別の観点では、中継基板33は、第1空間S1をヘッド本体23側とその反対側とに仕切っている。より具体的には、例えば、中継基板33の外周面は、ケース31の2つの側面部31c、ケース31のy方向正側の端面部31d及びインク供給部材35の筒状部41cに当接している。なお、一部に当接しない部分があってもよい。FPC25及びドライバIC27は、この第2空間S2に配置されている。
延在部25bには、複数の係合孔25d(図2、図4(a))が形成されている。延在部25bが折り返され、これらが取付部材29のz方向の正側に重ねられる際、取付部材29の複数のピン29cが複数の係合孔25dに挿入される。これにより、取付部材29とFPC25とは位置決めされる。なお、この際、FPC25は平面方向の復元力を生じてもよい。複数のピン29c(複数の係合孔25d)は、例えば、基部29aの4隅に設けられている。
取付部材29において、複数の係合部29b(図2、図4(a))は、基部29aの内側(例えばy方向の内側)に突出する爪を有している。そして、中継基板33がドライバIC27に当接させるように配置されると、係合部29bが中継基板33の被係合孔33h(図2、図4(a))に挿入されるとともに、係合部29bの爪が被係合孔33hの周囲において中継基板33の第2主面33bに係合する。これにより、中継基板33は、ドライバIC27に当接した状態で取付部材29に保持される。複数の係合部29bは、例えば、基部29aの4隅に設けられている。
図4(a)及び図4(b)に示すように、IC用弾性部材30Bは、ドライバIC27と重なる領域において、取付部材29の基部29aとFPC25の延在部25bとの間に位置している。上記のように係合部29bを中継基板33に係合させると、IC用弾性部材30Bは、圧縮されてドライバIC27を中継基板33側へ付勢する。これにより、ドライバIC27と中継基板33との接触圧が適宜な大きさとされる。
IC用弾性部材30Bは、ドライバIC27と重なる面積が大きい形状であることが好ましく、本実施形態では、ドライバIC27と同様に、y方向に延びる長尺の直方体状とされている。IC用弾性部材30Bは、例えば、接着材又は両面テープによって取付部材29に固定されている。なお、IC用弾性部材30Bは、取付部材29に代えて又は加えて、FPC25に固定されていてもよい。
また、係合部29bを中継基板33に係合させると、図4(b)に示すように、取付部材29の基部29aと中継基板33との間に、FPC25の延在部25bの先端側部分及び接続用弾性部材30Aが挟まれる。接続用弾性部材30Aは、圧縮されて延在部25bの先端側部分を中継基板33の第1主面33aに押し付ける。これにより、中継基板33の出力端子(後述)とFPC25の入力端子(後述)とが圧接(加圧接触)される。
図5は、図4(b)の領域Vの拡大図である。
FPC25は、例えば、ベースフィルム25eと、ベースフィルム25eに重ねられた導体層25fと、導体層25fを覆うソルダーレジスト25gとを有している。FPC25は、例えば、取付部材29と中継基板33との間に位置する延在部25bにおいて、ソルダーレジスト25g側の主面を圧電アクチュエータ39に対向させるように配置されている。
導体層25fは、中継基板33とドライバIC27とを接続する複数(図示は一つのみ)の入力配線25faと、ドライバIC27とヘッド本体23(圧電アクチュエータ39)とを接続する複数(図示は一つのみ)の出力配線25fbとを有している。
入力配線25faの一端は、ソルダーレジスト25gから露出しており、中継基板33と接続される入力端子25hとされている。また、入力配線25faの他端は、ソルダーレジスト25gから露出しており、ドライバIC27が実装される部分とされている。なお、入力配線25faの両端は、パッド状に(幅広に)構成されていてもよい。入力配線25faは、例えば、延在部25bに設けられ、また、概略、延在部25bが延びる方向に延びるように設けられている。入力端子25hは、例えば、延在部25bの先端部に設けられている。
出力配線25fbの一端は、ソルダーレジスト25gから露出しており、ドライバIC27が実装される部分とされている。また、出力配線25fbの他端は、ソルダーレジスト25gから露出しており(図6(b)参照)、圧電アクチュエータ39と接続される部分とされている。なお、出力配線25fbの両端は、パッド状に(幅広に)構成されていてもよい。出力配線25fbは、例えば、接続部25aから延在部25bに亘って設けられ、また、少なくとも延在部25bにおいては、概略、延在部25bが延びる方向に延びるように設けられている。
ドライバIC27は、例えば、導電性接合材26(バンプ)を介して入力配線25fa及び出力配線25fbに接合されている。ドライバIC27とFPC25との間には、例えば、アンダーフィル28が充填されている。導電性接合材26は、例えば、半田又は導電性接着剤からなり、伝熱性の観点からは半田が好ましい。後述する他の導電性接合材(バンプ)も同様である。アンダーフィル28は、例えば、主として樹脂からなり、フィラーを含んでいてもよい。
上述のように、中継基板33が取付部材29に係合されると、FPC25の延在部25bの先端部は、接続用弾性部材30Aによって中継基板33の第1主面33aに押し付けられる。これにより、入力端子25hが、第1主面33aに設けられた出力端子33dに圧接(接触)される。出力端子33dは、例えば、第1主面33aに設けられた金属層によって構成されている。
なお、特に図示しないが、入力端子25hと出力端子33dとは適宜にxy平面における位置決めがなされてよい。例えば、特に図示しないが、中継基板33に第1主面33aから突出するピンを設け、当該ピンが延在部25bに形成された係合孔に挿入されることによって位置決めされてよい。
また、接続用弾性部材30Aは、複数の入力端子25h及び複数の出力端子33dについて圧接がなされるように、これらの全ての端子に重なる広さを有している。具体的には、例えば、複数の入力端子25h及び複数の出力端子33dは、ドライバIC27の長手方向(本実施形態ではy方向)に配列されており、接続用弾性部材30Aは、その配列方向を長手方向とする薄型直方体状とされている。なお、接続用弾性部材30Aは、IC用弾性部材30Bよりも厚い。
中継基板33の第1主面33aのうち、ドライバIC27が当接する領域には、第1金属層33eが形成されている。さらに、中継基板33は、第2主面33bに設けられた第2金属層33fと、第1金属層33eと第2金属層33fとを接続する接続導体33gとを有している。一方、一般的に、導体(金属)は、絶縁体よりも熱伝導率が高い。従って、中継基板33には、これらの導体によって、比較的熱伝導率が高く、ドライバIC27の熱を第2主面33b側へ伝達する熱伝達経路が構成されている。金属は、Cu等の適宜な金属とされてよい。
第1金属層33eは、好ましくは、ドライバIC27の天面の全体に当接する広さを有している。第2金属層33fは、好ましくは、第1金属層33eよりも広い面積を有している。第1金属層33e及び第2金属層33fは、接続の容易性の観点等から、例えば、少なくとも一部が互いに重なっている。図示の例では、第2金属層33fの一部が第1金属層33eの全体に重なっている。なお、これらの金属層の平面形状は、円形又は矩形等の適宜な形状とされてよい。また、これらの金属層は、複数層の金属層によって構成されていてもよい。
接続導体33gは、例えば、1組の第1金属層33e及び第2金属層33fに対して複数設けられている。各接続導体33gは、例えば、中継基板33を貫通する貫通孔に充填されたビア導体により構成されている。なお、接続導体33gは、中継基板33を貫通する貫通孔の内周面に成膜された導体層、又は、中継基板33の外周面に成膜された導体層によって構成されていてもよい。
図6(a)は、ヘッド本体23の一部(吐出素子49)の平面図であり、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb線における断面図である。なお、図6(b)では、FPC25の接続部25aも点線で示している。
流路部材37は、例えば、メディア101側(z方向負側)の主面に開口する複数のノズル51と、複数のノズル51に通じ、メディア101とは反対側の主面に開口する複数の圧力室53と、供給口37hからのインクを複数の圧力室53に供給するための共通流路55とを有している。
なお、これらの具体的形状は適宜に設定されよい。例えば、本実施形態において示すように、圧力室53の平面形状は、短辺の中央にノズル51が接続される概ね矩形であってもよい。また、例えば、圧力室53の平面形状は、角部にノズル51が接続される菱形であってもよいし、半円状の端部にノズル51が接続される長円乃至は楕円であってもよい。
流路部材37は、例えば、流路となる貫通孔若しくは溝が形成された複数の板状部材57がz方向に積層されることによって構成されている。複数の板状部材57は、例えば、ステンレス鋼等の金属からなる。なお、ノズル51が形成される板状部材57を樹脂で構成し、他の板状部材57を金属で構成するなどしてもよい。
圧電アクチュエータ39は、例えば、ユニモルフ型の圧電アクチュエータ基板により構成されており、流路部材37側から順に、振動板59、共通電極61、圧電体63及び複数の個別電極65が積層されて構成されている。なお、これらはいずれも層状(板状)に形成されている。
個別電極65と共通電極61との間に電圧が印加されると、圧電体63は逆圧電効果によって平面方向において縮小する。これにより、振動板59は圧力室53側へ撓む。この動作が利用されて、圧力室53内のインクに圧力が付与され、インク滴がノズル51から吐出される。
振動板59、共通電極61及び圧電体63は、複数の圧力室53(複数の吐出素子49)全体に亘って設けられている。一方、個別電極65は、圧力室53毎(吐出素子49毎)に設けられている。共通電極61には、例えば、基準電位が付与される。複数の個別電極65には選択的に共通電極61とは異なる電位(駆動信号)が付与される。これにより、複数のノズル51から選択的にインク滴が吐出される。
複数の個別電極65は、圧力室53の概略全体に重なり、圧電体63に電圧を印加するための電極本体65aと、FPC27との接続のための引出電極65bとを有している。電極本体65aは、例えば、圧力室53の平面形状と概ね同様(相似)の形状とされており、本実施形態では、矩形である。引出電極65bは、電極本体65aから適宜な方向に延び出ている。
FPC25の複数の出力配線25fbは、例えば、複数の個別電極65に接続される、個別電極65と同数の配線と、共通電極61に接続される1以上の配線とを含んでいる。個別電極65に接続される出力配線25fbは、例えば、その一端がソルダーレジスト25gから露出するとともに引出電極65bと対向しており、導電性接合材67によって引出電極65bに接合される。また、特に図示しないが、共通電極61に接続される出力配線25fbは、例えば、その一端が接続部25aの適宜な位置(例えば外周側部分)においてソルダーレジスト25gから露出するとともに、共通電極61に接続された不図示のパッドに対向しており、不図示の導電性接合材によって前記のパッドに接合される。これにより、ドライバIC27は、共通電極61及び複数の個別電極65に接続される。
ドライバIC27には、例えば、所定の駆動周期毎に、全てのノズル51に関して吐出すべきインク量のデータが制御部11から中継基板33等を介して入力される。ドライバIC27は、共通電極61に基準電位を付与するとともに、入力されたデータに基づいて複数の個別電極65に所定の波形の駆動信号を選択的に出力する。また、ドライバIC27は、例えば、入力されたデータに基づいて駆動周期内において駆動信号を出力する回数を設定する。
なお、中継基板33は、制御部11の制御信号をそのままドライバIC27へ伝達する単なる配線のように機能してもよいし、制御部11からの制御信号を増幅する増幅器乃至はフィルタリングするフィルタを有していてもよいし、制御部11からの制御信号を別の形式の制御信号に変換する制御回路を有していてもよい。すなわち、制御部11、中継基板33及びドライバIC27の役割分担は、適宜に設定されてよい。
また、中継基板33とドライバIC27との間の複数の入力配線25faは、複数の個別電極65及び共通電極61の数と同数の配線を含んでいてもよいし、これよりも少ない数の配線であってもよい。
以上のとおり、本実施形態では、ヘッド5は、出力端子33dを有するリジッドタイプの中継基板33と、出力端子33dからの制御信号に基づいて駆動信号を出力するドライバIC27と、駆動信号に基づいてインク滴を吐出するヘッド本体23と、FPC25とを有している。FPC25は、一端が出力端子33dに接続される入力端子25hとされているとともに他端にドライバIC27が実装されている入力配線25faと、一端にドライバIC27が実装されているとともに他端がヘッド本体23に接続されている出力配線25fbと、を有している。そして、出力端子33dと入力端子25hとが圧接されている。
従って、ヘッド本体23と中継基板33とが、ドライバIC27が実装されたFPC25のみによって接続されているとともに、中継基板33とFPC25とが圧接によって(コネクタを介さずに)接続されていることから、中継基板33からヘッド本体23への接続経路の構成が簡素である。その結果、例えば、コスト削減が期待される。
また、本実施形態では、中継基板33は、第1主面33aに第1金属層33eを有し、ドライバIC27は、第1金属層33eに当接されている。
従って、例えば、ドライバIC27の熱が第1金属層33eに伝達されることによって、熱が中継基板33内に拡散し、及び/又は、第1金属層33eのドライバIC27と重ならない領域から放熱がなされ、ドライバIC27の放熱を好適に行うことができる。すなわち、中継基板33は、単に信号の伝達だけでなく、ドライバIC27の放熱に寄与する。その結果、例えば、熱によってドライバIC27の誤作動が生じるおそれが低減される。また、ドライバIC27が中継基板33に当接していることは、両者の距離が近いことを意味している。従って、例えば、微細加工によって高価になりがちなCOF式のFPC25において、ドライバIC27と中継基板33との間の部分を短くし、コスト削減を図ることができる。
また、本実施形態では、中継基板33は、第1主面33aに位置する第1金属層33eと、第2主面33bに位置する第2金属層33fと、第1金属層33eと第2金属層33fとを接続する接続導体33gと、を有している。ドライバIC27は、第1金属層33eに当接されている。
従って、ドライバIC27の熱は、第1金属層33e、接続導体33gを介して第2金属層33fに伝達され、第2金属層33fから放熱される。すなわち、上述した中継基板33による、ドライバIC27の熱を放出する効果が増大する。特に、本実施形態のように、ヘッド本体23、ドライバIC27及び中継基板33が順に積層的に配置されている場合においては、ヘッド本体23と中継基板33との間(第2空間S2)に熱がこもることを抑制できる。
また、本実施形態では、ヘッド5は、窓部31fを塞ぐようにヘッド本体23が取り付けられたケース31と、窓部31fとは反対側に開口する開放部31gからケース31に収容され、窓部31fを介してヘッド本体23にインクを供給可能なインク供給部材35と、を更に有している。そして、FPC25及び中継基板33は、ケース31、ヘッド本体23及びインク供給部材35に囲まれた第1空間S1に配置されている。
従って、例えば、FPC25及び中継基板33の接続部分(出力端子33d及び入力端子25h)並びに接続部25a及び圧電アクチュエータ39の接続部分(引出電極65b用)等をインクのミストから保護できる。すなわち、露出する導体を保護できる。その結果、短絡及び腐食等のおそれが低減され、ヘッド5の信頼性が向上する。また、例えば、中継基板33が第1空間S1の外側に配置されている場合に比較して、中継基板33とヘッド本体23との距離が近い。その結果、微細加工によって高価になりがちなCOF式のFPC25を短くすることができる。
また、本実施形態では、中継基板33は、ケース31、ヘッド本体23及びインク供給部材35に囲まれた第1空間S1をヘッド本体23側(第2空間S2)とその反対側とに仕切るように第1空間S1内に配置されるとともにケース31に当接している。
従って、例えば、中継基板33が第1空間S1に配置されていることによるインクのミストからの中継基板33の保護等の効果に加え、接続部25aと圧電アクチュエータ39との接続部分等を収容する第2空間S2の密閉性を向上させる効果が得られる。その結果、これらの接続部分のインクのミストからの保護が強化される。
<第2実施形態>
図7(a)及び図7(b)は、第2実施形態に係るインクジェットヘッド205を示す断面図(図4(a)及び図4(b)に対応)である。
ヘッド205は、中継基板33のヘッド本体23とは反対側にヒートシンク234が配置されている点が第1実施形態と相違する。
ヒートシンク234は、例えば、金属板によって構成されており、第2金属層33fよりも広い面積を有している。ヒートシンク234は、中継基板33の第2金属層33fに当接している。従って、ドライバIC27の熱は、第1金属層33e、接続導体33g及び第2金属層33fを介してヒートシンク234に伝達され、第2金属層33fよりも広い面積で放熱される。
ヒートシンク234は、例えば、取付部材29の基部29aと同等の広さを有している。取付部材29の係合部29bは、第1実施形態よりもヒートシンク234の厚さだけ長く形成されており、ヒートシンク234の外周側部分において、そのヘッド本体23とは反対側の面に係合する。これにより、ヒートシンク234は、中継基板33に対して押し付けられた状態でヘッド本体23に対して取り付けられ、また、中継基板33、ドライバIC27及びFPC25は、第1実施形態と同様に積層方向において互いに圧接された状態とされる。
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、ヘッド本体23から中継基板33までの接続経路の構成を簡素化してコスト削減を図ることができる。さらに、第2金属層33fに当接するヒートシンク234を有していることから、放熱面積を拡大してドライバIC27の放熱をより好適に行うことができる。本実施形態とは異なり、中継基板33が可撓性のものである場合、ドライバIC27上の領域以外の領域で第2金属層33fをヒートシンク234に当接させることが難しい。しかし、本実施形態では、中継基板33がリジッドタイプのものであることから、第2金属層33fをヒートシンク234に対してドライバIC27よりも広い面積に亘って当接させことができる。
なお、ヒートシンク234は、金属板が折り返されることによって、中継基板33に対して積層的に配置され、互いに離間した複数の対向部を有していたり、表面に凸部(フィン)、凹部、又は、凹凸部を有していたりしてもよい。このような場合、平面透視の面積が第2金属層33fよりも狭くても、第1空間S1に露出する表面積が第2金属層33fの面積よりも広ければ、ヒートシンク234によって放熱効果は向上する。なお、ヒートシンク234が複数の対向部を有する場合、係合部29bは、最も中継基板33に近い対向部に係合すればよい。また、ヒートシンク234は、中継基板33と同等の広さを有し、中継基板33と同様に、係合部29bが挿通される被係合孔乃至は切り欠きが形成されていてもよい。
<第3実施形態>
図8(a)及び図8(b)は、第3実施形態に係るインクジェットヘッド305を示す断面図(図4(a)及び図4(b)に対応)である。
ヘッド305は、主として、ヘッド本体23上の部材の積層順等が第1及び第2実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
第1実施形態と同様に、ヘッド本体23上には、FPC25の接続部25a及び取付部材29の基部29aが重ねられている。その上には、基部29a側から順に、中継基板333、FPC25の延在部25b、ドライバIC27及びヒートシンク234が積層されている。すなわち、本実施形態では、中継基板333と延在部25b(及び延在部25bに実装されたドライバIC27)との上下関係が第1及び第2実施形態と逆である。
第2実施形態と同様に、取付部材29の係合部29bは、ヒートシンク234のヘッド本体23とは反対側の面に係合する。これにより、ヒートシンク234は、ドライバIC27に押し付けられた状態でヘッド本体23に対して取り付けられ、また、ドライバIC27とヘッド本体23とに挟まれる中継基板333及びFPC25の延在部25bもヘッド本体23に対して固定される。
中継基板333とFPC25の延在部25bとの間には、例えば、IC用弾性部材30Bが配置される。これにより、ドライバIC27は、確実にヒートシンク234に押し付けられる。なお、IC用弾性部材30Bは、例えば、中継基板333及び/又は延在部25bに接着剤又は両面テープによって接着されている。
図8(b)に示すように、中継基板333は、x方向の両側に、FPC25の折り返し部分が位置する。そこで、中継基板333のx方向の幅は、例えば、FPC25を短くする観点から、ケース31の1対の側面部31c間の距離よりも小さくされている。ただし、第1及び第2実施形態と同様に、中継基板333のx方向の幅は、1対の側面部31c間の距離と同等とされてもよい。なお、この場合、FPC25の折り返し部分は、中継基板333の側面と側面部31cとに挟まれる。
図8(a)に示すように、y方向においては、中継基板333は、第1実施形態と同様に、1対の端面部31dに当接している。ただし、当接しないようにしてもよい。また、係合部29b及びピン29cは、例えば、中継基板333に設けられた貫通孔乃至は切り欠きを介して中継基板333上に延びている。なお、中継基板333が複数の係合部29b間乃至は複数のピン29c間に収まるようにしてもよい。
図9は、図8(b)の領域IXの拡大図である。
上述のように、本実施形態では、延在部25bは、中継基板333のヘッド本体23とは反対側に位置している。従って、延在部25bは、第1実施形態とは異なり、中継基板333のヘッド本体23とは反対側の第2主面333bにおいて、中継基板333に接続される。
具体的には、例えば、延在部25bの先端において、入力配線25faの端部は、ベースフィルム25eの縁部から延び出ており、これにより、入力端子25hが構成されている。一方、第2主面333bには、出力端子333dが形成されている。そして、入力端子25hと出力端子333dとは、例えば、導電性接合材71によって接合されている。
以上の第3実施形態によれば、第1及び第2実施形態と同様の効果が奏される。例えば、ヘッド本体23から中継基板333までの接続経路の構成を簡素化してコスト削減を図ることができる。
また、本実施形態では、FPC25は、ヘッド本体23の、インク滴を吐出する側とは反対側に重なり、ヘッド本体23に接続された接続部25aと、接続部25aから延び、入力端子25hが設けられた延在部25bと、を有している。中継基板333は、接続部25aのヘッド本体23とは反対側に積層的に配置されている。延在部25bは、接続部25aに対して折り返されて中継基板333の接続部25aとは反対側に重なっている。出力端子333dは、中継基板333の接続部25aとは反対側に設けられ、入力端子25hに導電性接合材71を介して接合されている。ドライバIC27は、延在部25bの中継基板333とは反対側に実装されている。ヘッド305は、ドライバIC27に当接するヒートシンク234を有している。
この構造においては、中継基板333において、出力端子333dが接続部25aとは反対側となる第2主面333bに設けられていることから、例えば、接続部25aをヘッド本体23に接続し、接続部25aの上に中継基板333を重ねたときに、出力端子333dが上方に露出する。従って、第1及び第2実施形態に比較して、入力端子25hを出力端子333dに接続しやすい。特に、導電性接合材71を用いた接合が容易化される。また、ドライバIC27が中継基板333に対してヘッド本体23とは反対側に位置することから、ヒートシンク234を直接にドライバIC27に当接させることができ、放熱性も良好である。
(変形例)
以下、図10及び図11を参照して、変形例に係るヘッドについて説明する。
中継基板の出力端子と、FPC25の入力端子25hとの接続に関して、第1及び第2実施形態では圧接が利用され、第3実施形態では導電性接合材71を介した接合が利用された。しかし、いずれの実施形態においても、圧接及び導電性接合材71を介した接合のいずれが利用されてもよい。また、第1〜第3実施形態では、ドライバIC27が中継基板33又はヒートシンク234に当接されたが、当接に代えて、接合材を介した接合がなされてもよい。図10(a)及び図10(b)は、そのような例を示している。
図10(a)は、変形例を示す図5に相当する断面図である。この変形例は、第1及び第2実施形態と同様に、FPC25の延在部25bの上(ヘッド本体23とは反対側)に中継基板33が位置する構造のものである。
しかし、この変形例では、第1及び第2実施形態とは異なり(第3実施形態と同様に)、中継基板33の出力端子33dと、FPC25の入力端子25hとの接続は、圧接ではなく、導電性接合材71を介した接合により実現されている。
また、ドライバIC27は、中継基板33の第1金属層33eに直接に当接するのではなく、接合材73を介して接合されている。なお、図10(a)とは異なり、第3実施形態と同様の、ドライバIC27の上にヒートシンク234が位置する構造において、ドライバIC27とヒートシンク234とが接合材73によって接合されてもよい。
なお、接合材73は、導電材料であってもよいし、絶縁材料であってもよいが、熱伝導率が高い材料であることが好ましい。例えば、接合材73は、中継基板の絶縁基体よりも熱伝導率が高い材料であることが好ましい。一般に、金属等の導電材料は熱伝導率が高いことから、接合材73は、半田等の導電性接合材であってもよい。
図10(b)は、変形例を示す図9に相当する断面図である。この変形例は、第3実施形態と同様に、中継基板333の上(ヘッド本体23とは反対側)にFPC25の延在部25bが位置する構造のものである。
しかし、この変形例では、第3実施形態とは異なり(第1及び第2実施形態と同様に)、中継基板333の出力端子333dと、FPC25の入力端子25hとの接続は、接合ではなく、圧接により実現されている。すなわち、入力端子25hとヒートシンク234との間には、接続用弾性部材30Aが圧縮状態で配置されており、接続用弾性部材30Aの付勢力によって入力端子25hは出力端子333dに押し付けられている。接続用弾性部材30Aは、例えば、ヒートシンク234及び/又は入力端子25hに接着剤又は両面テープによって接着されている。
なお、FPC25の入力端子25hにおける圧接又は接合と、ドライバIC27における当接又は接合との組み合わせは、第1〜第3実施形態並びに図10(a)及び図10(b)の変形例に示した以外にも、適宜に実現されてよい。例えば、第1及び第2実施形態において、入力端子25hが出力端子33dに接合され、且つ、ドライバIC27は中継基板33に当接されてもよい。また、例えば、第3実施形態において、入力端子25hが出力端子333dに接合され、且つ、ドライバIC27はヒートシンク234に接合されてもよい。
図11は、変形例に係るヘッドを示す図3に相当する断面図である。この変形例は、第1実施形態と同様に、FPC25の延在部25bの上(ヘッド本体23とは反対側)に中継基板433が位置し、ヒートシンク234が設けられていない構造のものである。
第1実施形態では、取付部材29の係合部29bが中継基板33に係合することによって、FPC25の入力端子25hを中継基板33の出力端子33dに圧接させたり、ドライバIC27を中継基板33に当接させたりするための付勢力を得た。一方、この変形例では、インク供給部材435によって中継基板433を押さえ付けることによって、上記の圧接及び当接のための付勢力を得ている。
具体的には、例えば、インク供給部材435の基体441は、バッファー板状部441bからヘッド本体23側へ延びる脚部441gを有しており、脚部441gは、中継基板433のヘッド本体23とは反対側の第2主面433bに当接している。インク供給部材435は、その取り付けの際には、特に図示しないが、脚部441gによって第2主面433bを押さえ付けるようにケース31に収容された後、係合部乃至はねじによってヘッド本体23とは反対側への移動が規制される。
なお、この変形例の取付部材429では、中継基板433に係合するための係合部29b(図2)は不要である。同様に、中継基板433は、ケース31の内周面に当接して第1空間S1を上下に分割する広さを有している場合においても、係合部29bを挿通するための被係合孔33h(図2)乃至は切り欠きは不要である。取付部材429は、ピン429cによってFPC25の位置決めに寄与している。ただし、第1実施形態に比較すれば、取付部材429を設ける必要性は低く、取付部材429は省略されてもよい。
第1実施形態の積層構造を例にとって説明したが、この変形例は、第2及び第3実施形態の積層構造に適用されてもよい。すなわち、第2及び第3実施形態において、インク供給部材435によってヒートシンク234を押さえつけて、入力端子25hの圧接、及び/又は、ドライバIC27の当接のための付勢力が得られてもよい。また、この変形例の構成は、取付部材29の係合部29bと併用されてもよい。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、プリンタ(インクジェットヘッド)は、ピエゾヘッド式及びオフキャリッジ式のカラープリンタに限定されない。例えば、プリンタは、サーマルヘッド式、及び/又は、オンキャリッジ式であってもよいし、カラープリンタでなくてもよい。プリンタにおけるインクジェットヘッド以外の部分(例えばメディアの搬送装置)の構成も例示した構成以外の適宜な構成とされてよい。メディアも紙に限定されず、金属又は樹脂からなるものであってもよい。
中継基板は、ドライバICに重なる広さを有していなくてもよい。例えば、第1〜第3実施形態において、中継基板は、ドライバICと並列に取付部材上に配置されてもよい。なお、この場合において、第2実施形態においては、ヒートシンクが直接にドライバICに当接してもよい。
フレキシブル基板において、延在部が延びる方向は、実施形態において延在部が延びる方向に直交する方向(搬送方向、y方向)であってもよい。また、延在部(ドライバIC)は一つのみであってもよい。フレキシブル基板は、COF式のものに限定されず、例えば、TAB(Tape Automated Bonding)であってもよいし、ベアチップではなく、パッケージされたドライバICが実装されるものであってもよい。
実施形態では、ケース、インク供給部材及びヘッド本体によって囲まれる空間を中継基板によって仕切る構成を例示したが、中継基板に代えて、ヒートシンクを比較的広い面積を有するものとし、その外周をケースの内面に当接させて、空間を仕切ってもよい。