JP6984389B2 - 液体噴射ヘッド、液体噴射装置および配線基板 - Google Patents

液体噴射ヘッド、液体噴射装置および配線基板 Download PDF

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Description

本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
インク等の液体を複数のノズルから噴射する液体噴射ヘッドが従来から提案されている。例えば特許文献1には、圧力発生室が形成された流路形成基板と、圧力発生室内の液体の圧力を変化させる圧電素子と、圧電素子に駆動信号を供給する駆動回路とを具備する液体噴射ヘッドが開示されている。流路形成基板と駆動回路との間には駆動回路基板が設置される。駆動回路基板には、外部回路から供給される信号や電源を駆動回路に伝送する配線と、駆動回路から出力された駆動信号を圧電素子に伝送する配線とが形成される。
特開2017−124540号公報
特許文献1の技術のもとでは、駆動回路基板に形成された配線の抵抗を充分に低減することが実際には困難であり、配線抵抗に起因した発熱や駆動信号の波形鈍りの抑制といった観点から、更なる改善の余地がある。以上の事情を考慮して、本発明は、液体噴射ヘッドを構成する配線基板に形成される配線の抵抗を低減することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様(態様1)に係る液体噴射ヘッドは、ノズルに連通する圧力室が形成された流路形成部と、前記圧力室内の液体を前記ノズルから噴射させる駆動素子と、前記駆動素子を駆動する駆動パルスを当該駆動素子に出力する駆動回路と、前記流路形成部と前記駆動回路との間に設置された基体部と、前記基体部に形成され、前記駆動回路が前記駆動パルスを生成するための駆動信号を入力端子から前記駆動回路に伝送する信号配線とを含む配線基板とを具備し、前記信号配線は、前記駆動回路において当該信号配線に接続される接続端子に平面視で重なる第1部分と、前記第1部分からみて前記入力端子側に位置する第2部分とを含み、前記第2部分を構成する配線数は、前記第1部分を構成する配線数を上回る。以上の態様では、駆動信号を伝送する信号配線のうち入力端子側の第2部分を構成する配線数が、当該信号配線のうち駆動回路の接続端子に平面視で重なる第1部分の配線数を上回るから、第2部分の配線数が第1部分の配線数と同等である構成と比較して第2部分における配線抵抗が低減される。したがって、信号配線における発熱や駆動信号の波形鈍りを抑制できる。
態様1の好適例(態様2)において、前記基体部における前記駆動回路側の面上には、前記駆動回路と前記駆動素子とを電気的に接続するための中継配線が形成され、前記基体部において前記中継配線が形成された接続領域の少なくとも一部は、前記第2部分からみて、前記信号配線が延在する第1方向に位置し、かつ、前記第1部分からみて、前記第1方向に交差する第2方向に位置する。以上の態様によれば、基体部の表面を効率的に利用して信号配線と中継配線とが形成されるから、基体部を小型化できるという利点がある。
態様1または態様2の好適例(態様3)において、前記中継配線は、前記基体部に形成された貫通孔の内部の第1貫通配線を介して前記駆動素子に電気的に接続される。以上の態様では、基体部における貫通孔の内部の第1貫通配線を介して中継配線が駆動素子に接続されるから、例えば中継配線と駆動素子とを可撓性の配線基板を介して電気的に接続する構成と比較して液体噴射ヘッドの構成が簡素化されるという利点がある。
態様1から態様3の何れかの好適例(態様4)において、前記信号配線は、前記基体部における前記駆動回路側の第1面に形成された第1配線部分と、前記基体部における前記第1面とは反対側の第2面に形成された第2配線部分とを含み、前記第1配線部分と前記第2配線部分とは、前記基体部に形成された貫通孔の内部の第2貫通配線を介して電気的に接続され、前記第2部分において、前記第2配線部分は複数の配線を含む。以上の態様では、基体部の第1面に形成された第1配線部分と第2面に形成された第2配線部分とで信号配線が形成されるから、基体部の片方の表面のみに信号配線を形成した構成と比較して、信号配線の形成に必要な基体部のサイズを削減しながら、信号配線の配線抵抗を低減できるという利点がある。
態様4の好適例(態様5)において、前記駆動回路において前記第1配線部分に接続される接続端子は、前記第2貫通配線に平面視で重ならない。駆動回路の接続端子が第2貫通配線に平面視で重なる構成では、接続端子から基体部に作用する圧力により第2貫通配線に断線または損傷等の配線不良が発生する可能性がある。駆動回路の接続端子が第2貫通配線に平面視で重ならない前述の態様によれば、接続端子から基体部に圧力が作用した場合でも、当該圧力に起因した第2貫通配線の不良を抑制することが可能である。
態様1から態様5の何れかの好適例(態様6)において、前記基体部は、長尺状の板状部材であり、前記第1部分は、前記基体部の長辺に沿う。以上の態様では、信号配線の第1部分が基体部の長辺に沿うから、例えば基体部に沿う長尺状の駆動回路が基体部に設置された構成において、駆動回路の長手方向における全体にわたり信号配線から駆動信号を供給できるという利点がある。
態様1から態様6の何れかの好適例(態様7)に係る液体噴射ヘッドは、前記基体部に形成され、電源電圧を入力端子から前記駆動回路に供給するための電源配線を具備し、前記電源配線は、前記駆動回路において当該電源配線に接続される接続端子に平面視で重なる第3部分と、前記第3部分からみて前記電源電圧の入力端子側に位置する第4部分とを含み、前記第4部分を構成する配線数は、前記第3部分を構成する配線数を上回る。以上の態様では、電源電圧を駆動回路に供給するための電源配線のうち電源電圧の入力端子側の第4部分を構成する配線数が、当該電源配線のうち駆動回路に重なる第3部分を構成する配線数を上回るから、第4部分の配線数が第3部分の配線数と同等である構成と比較して第4部分における配線抵抗が低減される。したがって、電源配線における発熱等の問題を抑制できるという利点がある。
本発明の好適な態様(態様8)に係る液体噴射装置は、以上に例示した何れかの態様に係る液体噴射ヘッドを具備する。液体噴射装置の好例は、インクを噴射する印刷装置であるが、本発明に係る液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。
本発明の好適な態様(態様9)に係る配線基板は、ノズルに連通する圧力室が形成された流路形成部と、前記圧力室内の液体を前記ノズルから噴射させる駆動素子と、前記駆動素子を駆動する駆動パルスを当該駆動素子に出力する駆動回路とを具備する液体噴射ヘッドに利用される配線基板であって、前記流路形成部と前記駆動回路との間に設置される基体部と、前記基体部に形成され、前記駆動回路が前記駆動パルスを生成するための駆動信号を入力端子から前記駆動回路に伝送する信号配線とを具備し、前記信号配線は、第1部分と、前記第1部分からみて前記入力端子側に位置する第2部分とを含み、前記第2部分を構成する配線数は、前記第1部分を構成する配線数を上回る。以上の態様では、駆動信号を伝送する信号配線のうち入力端子側の第2部分を構成する配線数が、当該信号配線のうち駆動回路の接続端子に平面視で重なる第1部分の配線数を上回るから、第2部分の配線数が第1部分の配線数と同等である構成と比較して第2部分における配線抵抗が低減される。したがって、信号配線における発熱や駆動信号の波形鈍りを抑制できる。
本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の構成を示すブロック図である。 液体噴射装置の機能的な構成を示すブロック図である。 駆動信号の波形図である。 液体噴射ヘッドの分解斜視図である。 液体噴射ヘッドの断面図(図4におけるV-V線の断面図)である。 圧電素子の構成を示す断面図である。 積層配線の構成を示す断面図である。 配線基板における基体部の第1面の平面図である。 配線基板における基体部の第2面の平面図である。 第2実施形態における基体部の第1面の平面図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置100を例示する構成図である。第1実施形態の液体噴射装置100は、液体の例示であるインクを媒体12に噴射するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体噴射装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。色彩が相違する複数種のインクが液体容器14には貯留される。
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24と液体噴射ヘッド26とを具備する。制御ユニット20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体噴射装置100の各要素を統括的に制御する。搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12をY方向に搬送する。
移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとで液体噴射ヘッド26をX方向に往復させる。X方向は、媒体12が搬送されるY方向に交差(典型的には直交)する方向である。第1実施形態の移動機構24は、液体噴射ヘッド26を収容する略箱型の搬送体242(キャリッジ)と、搬送体242が固定された搬送ベルト244とを具備する。なお、複数の液体噴射ヘッド26を搬送体242に搭載した構成や、液体容器14を液体噴射ヘッド26とともに搬送体242に搭載した構成も採用され得る。
液体噴射ヘッド26は、液体容器14から供給されるインクを制御ユニット20による制御のもとで複数のノズル(噴射孔)から媒体12に噴射する。搬送機構22による媒体12の搬送と搬送体242の反復的な往復とに並行して液体噴射ヘッド26が媒体12にインクを噴射することで、媒体12の表面に所望の画像が形成される。なお、X-Y平面(例えば媒体12の表面に平行な平面)に垂直な方向を以下ではZ方向と表記する。液体噴射ヘッド26によるインクの噴射方向(典型的には鉛直方向)がZ方向に相当する。
図2は、液体噴射装置100の機能に着目した構成図である。搬送機構22および移動機構24の図示は便宜的に省略した。図2に例示される通り、第1実施形態の制御ユニット20は、制御信号Sと駆動信号Dと複数の電圧(VDD,VSS,VBS)とを生成して液体噴射ヘッド26に供給する。制御信号Sは、インクの噴射の有無(噴射/非噴射)をノズルN毎に指示する。駆動信号Dは、所定の電圧(以下「基準電圧」という)VBSを基準として電圧が変化する周期信号であり、液体噴射ヘッド26にインクを噴射させるために使用される。図3に例示される通り、駆動信号Dは、駆動パルスPを所定の周期毎に含む電圧信号である。なお、複数の駆動パルスPを含む波形の駆動信号Dを利用してもよい。制御ユニット20から液体噴射ヘッド26に供給される複数の電圧は、高位側の電源電圧VDDと、低位側の電源電圧VSS(接地電圧)と、前述の基準電圧VBSとを含む。
図2に例示される通り、第1実施形態の液体噴射ヘッド26は、相異なるノズルに対応する複数の圧電素子44(駆動素子の例示)と、複数の圧電素子44の各々を駆動する駆動回路50とを具備する。駆動回路50は、相異なる圧電素子44に対応する複数のスイッチを含んで構成され、駆動信号Dの駆動パルスPを圧電素子44に供給するか否かを制御信号Sに応じて圧電素子44毎に制御する。具体的には、駆動回路50は、制御信号Sがインクの噴射を指示するノズルに対応した圧電素子44に駆動パルスPを供給し、制御信号Sがインクの非噴射を指示するノズルに対応する圧電素子44には駆動パルスPを供給しない。
図4は、液体噴射ヘッド26の分解斜視図であり、図5は、図4おけるV−V線の断面図である。図4に例示される通り、液体噴射ヘッド26は、Y方向に配列された複数のノズルNを具備する。第1実施形態の複数のノズルNは、X方向に相互に間隔をあけて並設された第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1および第2列L2の各々は、Y方向に直線状に配列された複数のノズルNの集合である。なお、第1列L1と第2列L2との間で各ノズルNのY方向の位置を相違させること(すなわち千鳥配置またはスタガ配置)も可能であるが、第1列L1と第2列L2とで各ノズルNのY方向の位置を一致させた構成を以下では便宜的に例示する。図5から理解される通り、第1実施形態の液体噴射ヘッド26は、第1列L1の各ノズルNに関連する要素と第2列L2の各ノズルNに関連する要素とが略線対称に配置された構造である。
図4および図5に例示される通り、液体噴射ヘッド26は流路形成部30を具備する。流路形成部30は、複数のノズルNにインクを供給するための流路を形成する構造体である。第1実施形態の流路形成部30は、流路基板32と圧力室基板34との積層で構成される。流路基板32および圧力室基板34は、Y方向に長尺な板状部材である。流路基板32におけるZ方向の負側の表面に、例えば接着剤により圧力室基板34が固定される。
図4に例示される通り、流路形成部30におけるZ方向の負側には、振動板42と配線基板46と筐体部48と駆動回路50とが設置される。他方、流路形成部30におけるZ方向の正側には、ノズル板62と吸振体64とが設置される。液体噴射ヘッド26の各要素は、概略的には流路基板32および圧力室基板34と同様にY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。
ノズル板62は、複数のノズルNが形成された板状部材であり、流路基板32におけるZ方向の正側の表面に設置される。複数のノズルNの各々は、インクを通過させる円形状の貫通孔である。第1実施形態のノズル板62には、第1列L1を構成する複数のノズルNと第2列L2を構成する複数のノズルNとが形成される。例えば半導体製造技術(例えばドライエッチングやウェットエッチング等の加工技術)を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで、ノズル板62が製造される。ただし、ノズル板62の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図4および図5に例示される通り、流路基板32には、第1列L1および第2列L2の各々について、空間Raと複数の供給流路322と複数の連通流路324と供給液室326とが形成される。空間Raは、平面視で(すなわちZ方向からみて)Y方向に沿う長尺状に形成された開口であり、供給流路322および連通流路324はノズルN毎に形成された貫通孔である。供給液室326は、複数のノズルNにわたりY方向に沿う長尺状に形成された空間であり、空間Raと複数の供給流路322とを相互に連通させる。複数の連通流路324の各々は、当該連通流路324に対応する1個のノズルNに平面視で重なる。
図2および図3に例示される通り、圧力室基板34は、第1列L1および第2列L2の各々について複数の圧力室Cが形成された板状部材である。複数の圧力室CはY方向に配列する。各圧力室C(キャビティ)は、ノズルN毎に形成されて平面視でX方向に沿う長尺状の空間である。流路基板32および圧力室基板34は、前述のノズル板62と同様に、例えば半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、流路基板32および圧力室基板34の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図4に例示される通り、圧力室基板34において流路基板32とは反対側の表面には振動板42が形成される。第1実施形態の振動板42は、弾性的に振動可能な板状部材(振動板42)である。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、振動板42の一部または全部を圧力室基板34と一体に形成してもよい。
図4から理解される通り、圧力室Cは、流路基板32と振動板42との間に位置する空間である。第1列L1および第2列L2の各々について複数の圧力室CがY方向に配列する。図4および図5に例示される通り、圧力室Cは、連通流路324および供給流路322に連通する。したがって、圧力室Cは、連通流路324を介してノズルNに連通し、かつ、供給流路322と供給液室326とを介して空間Raに連通する。
図4および図5に例示される通り、振動板42のうち圧力室Cとは反対側の面上には、第1列L1および第2列L2の各々について、相異なるノズルNに対応する複数の圧電素子44が形成される。各圧電素子44は、駆動パルスPの供給により変形する受動素子である。
図6は、圧電素子44の断面図である。図6に例示される通り、圧電素子44は、相互に対向する第1電極441と第2電極442との間に圧電体層443を介在させた積層体である。第1電極441(下電極)は、振動板42の表面に形成され、複数の圧電素子44にわたり連続する共通電極である。他方、第2電極442(上電極)は、圧電素子44毎に形成された個別電極である。第1電極441と第2電極442と圧電体層443とが平面視で重なる部分が圧電素子44として機能する。圧電素子44の変形に連動して振動板42が振動すると、圧力室C内のインクの圧力が変動し、圧力室Cに充填されたインクが連通流路324とノズルNとを通過して外部に噴射される。なお、第1電極441を圧電素子44毎の個別電極として第2電極442を共通電極とした構成、または、第1電極441および第2電極442の双方を個別電極とした構成も採用され得る。
図4の配線基板46は、複数の圧電素子44が形成された振動板42の表面に間隔をあけて対向する板状部材である。第1実施形態の配線基板46は、液体噴射ヘッド26の機械的な強度を補強する補強板、および、圧電素子44を保護および封止する封止板としても機能する。図4に例示される通り、配線基板46は、外部配線52を介して制御ユニット20に電気的に接続される。外部配線52は、各種の電圧(VDD,VSS,VBS)および信号(S,D)を制御ユニット20から配線基板46に供給するための可撓性の配線基板である。例えばFPC(Flexible Printed Circuits)またはFFC(Flexible Flat Cable)等の接続部品が外部配線52として好適に採用される。
筐体部48は、複数の圧力室C(さらには複数のノズルN)に供給されるインクを貯留するためのケースである。図5に例示される通り、第1実施形態の筐体部48には、第1列L1および第2列L2の各々について空間Rbが形成される。筐体部48の空間Rbと流路基板32の空間Raとは相互に連通する。空間Raと空間Rbとで構成される空間は、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留する液体貯留室(リザーバー)Rとして機能する。筐体部48に形成された導入口482を介して液体貯留室Rにインクが供給される。液体貯留室R内のインクは、供給液室326と各供給流路322とを介して圧力室Cに供給される。吸振体64は、液体貯留室Rの壁面を構成する可撓性のフィルム(コンプライアンス基板)であり、液体貯留室R内のインクの圧力変動を吸収する。
配線基板46は、基体部70と複数の配線72とを具備する。基体部70は、Y方向に長尺な絶縁性の板状部材であり、流路形成部30と駆動回路50との間に位置する。基体部70は、例えば半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、基体部70の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
基体部70は、図4に例示される通り、相互に反対側に位置する第1面F1と第2面F2とを含み、圧力室基板34(または振動板42)における流路基板32とは反対側の表面に、例えば接着剤を利用して固定される。具体的には、振動板42の表面に対して第2面F2が間隔をあけて対向するように基体部70が設置される。図4に例示される通り、基体部70の第1面F1には、駆動回路50と外部配線52とが実装される。駆動回路50は、基体部70の長手方向(Y方向)に沿って長尺なICチップである。外部配線52は、基体部70の第1面F1のうちY方向の負側の端部に実装される。
基体部70の第1面F1および第2面F2には、制御ユニット20から外部配線52を介して供給される電圧(VDD,VSS,VBS)および信号(S,D)を伝送するための複数の配線72が形成される。具体的には、図2に例示される通り、高位側の電源電圧VDDが供給される電源配線72aと、低位側の電源電圧VSSが供給される電源配線72bと、駆動信号Dが供給される信号配線72cと、制御信号Sが供給される信号配線72dと、基準電圧VBSが供給される基準配線72eとが、第1面F1および第2面F2の双方に形成される。電源電圧VDDは電源配線72aを介して駆動回路50に供給され、電源電圧VSSは電源配線72bを介して駆動回路50に供給され、駆動信号Dは信号配線72cを介して駆動回路50に供給され、制御信号Sは信号配線72dを介して駆動回路50に供給される。他方、基準電圧VBSは、駆動回路50を経由することなく、基準配線72eを介して複数の圧電素子44の第2電極442に供給される。
電源配線72aと電源配線72bと信号配線72cと基準配線72eとは、複数の導電層の積層で構成された配線(以下「積層配線」という)である。図7は、積層配線の構成図である。図7に例示される通り、基体部70の表面F(第1面F1または第2面F2)には、積層配線に沿う溝部が形成される。溝部は、基体部70の表面に対して窪んだ断面矩形状の凹部である。積層配線は、第1配線81と第2配線82との積層で構成される。第1配線81は、例えば銅(Cu)等の低抵抗な金属で形成された導電パターンである。図7に例示される通り、第1配線81は、溝部の内側に形成(すなわち埋設)されたトレンチ配線である。他方、第2配線82は、第1配線81を被覆する導電パターンである。第2配線82は、溝部の内側の第1配線81を被覆するとともに基体部70の表面Fまで連続する。具体的には、第2配線82は、例えばチタン(Ti)やタングステン(W)等の金属で第1配線81の表面に形成された密着層と、例えば金(Au)等の金属で密着層の表面に形成された配線層との積層で構成される。密着層は、第1配線81と配線層との密着性を向上させるための導電層である。以上に説明した通り、配線基板46に形成された積層配線は、基体部70の溝部の内側に形成された第1配線81を含むから、基体部70の表面Fに形成された導電パターンのみで配線を形成した構成と比較して配線抵抗が低減される。
図8は、配線基板46における基体部70の第1面F1の平面図であり、図9は、配線基板46における基体部70の第2面F2の平面図である。第1面F1と第2面F2との関係の把握を容易化する観点から、図9においては、基体部70の第2面F2に形成された配線を、図8と同様にZ方向の正側からみた場合(すなわち基体部70を透視したと仮定した場合)の配線の平面図が図示されている。また、図8および図9には、Y方向に平行な基体部70の中心線Oが図示されている。
図8に例示される通り、基体部70の第1面F1には、第1列L1および第2列L2の各々について、相異なる圧電素子44に対応する複数の中継配線x1が形成される。複数の中継配線x1は、基体部70の特定の領域(以下「接続領域」という)Rx内に位置し、基体部70の長辺に沿ってY方向に配列する。各中継配線x1のうち中心線O側の端部は、駆動回路50の底面(配線基板46との対向面)に形成された接続端子Toutに接続される。接続端子Toutは、駆動パルスPが出力される端子である。例えば樹脂コアバンプが接続端子Toutとして好適に利用される。樹脂コアバンプは、樹脂材料で形成された突起の表面に接続用の電極を形成した接続用の端子である。
図9に例示される通り、基体部70の第2面F2には、第1列L1および第2列L2の各々について、相異なる圧電素子44に対応する複数の中継配線x2が形成される。複数の中継配線x2は、複数の中継配線x1と同様に、基体部70の長辺に沿ってY方向に配列する。各中継配線x1および各中継配線x2は、図7に例示した積層配線ではなく、単層の導電パターンで構成される。例えば中継配線x1および中継配線x2は、積層配線の第2配線82と同層から形成される。ただし、中継配線x1および中継配線x2を積層配線で形成してもよい。
図8および図9から理解される通り、第1面F1の中継配線x1のうち中心線Oとは反対側の端部と、第2面F2の中継配線x2のうち中心線O側の端部とは、貫通配線x3(第1貫通配線の例示)を介して電気的に接続される。貫通配線x3は、基体部70に形成された貫通孔の内部に形成された導電体(TSV:through-silicon via)である。中継配線x2のうち中心線Oとは反対側の端部は、第2面F2に形成された接続端子Tx(例えば樹脂コアバンプ)を介して圧電素子44の第2電極442(個別電極)に電気的に接続される。すなわち、中継配線x1および中継配線x2は、基体部70に形成された貫通孔の内部の貫通配線x3を介して圧電素子44に電気的に接続される。したがって、駆動回路50の接続端子Toutから出力される駆動パルスPは、中継配線x1と貫通配線x3と中継配線x2とで形成される配線を介して接続端子Txから圧電素子44の第2電極442に供給される。以上に説明した通り、第1実施形態では、基体部70に形成された貫通孔の内部の貫通配線x3を介して中継配線x1が各圧電素子44に電気的に接続されるから、例えばFPCまたはFFC等の接続部品を介して中継配線x1と圧電素子44とを電気的に接続する構成と比較して、液体噴射ヘッド26の構成が簡素化されるという利点がある。
図8および図9に図示された基準配線72eは、基準電圧VBSを圧電素子44の第1電極441(共通電極)に供給するための配線であり、第1配線部分e1と第2配線部分e2と複数の貫通配線e3とを含んで構成される。第1配線部分e1は、基体部70の第1面F1に形成された積層配線であり、第2配線部分e2は、基体部70の第2面F2に形成された積層配線である。
各貫通配線e3は、基体部70を貫通する貫通孔の内部に形成された導電体であり、第1配線部分e1と第2配線部分e2とを電気的に接続する。第1配線部分e1は、図8に例示される通り、外部配線52から基準電圧VBSが供給される入力端子である。第2配線部分e2は、図9に例示される通り、第1配線部分e1に平面視で重なる端部からY方向に延在し、第2面F2に形成された複数の接続端子Teを介して第1電極441に電気的に接続される。具体的には、第2配線部分e2は、相互に連結された複数(図9の例示では2本)の第1配線81と、複数の第1配線81を被覆する第2配線82とで構成された積層配線である。以上の説明から理解される通り、外部配線52から供給される基準電圧VBSは、第1配線部分e1と貫通配線e3と第2配線部分e2とを介して各接続端子Teから第1電極441に供給される。
信号配線72cは、駆動信号Dを駆動回路50に供給するための配線であり、第1配線部分c1と第2配線部分c2と複数の貫通配線c3とを含んで構成される。第1配線部分c1は、基体部70の第1面F1に形成された積層配線であり、第2配線部分c2は、基体部70の第2面F2に形成された積層配線である。第1配線部分c1は、図8に例示される通り、Y方向の負側の端部である入力端子Tc0からY方向の正側に延在する。入力端子Tc0には外部配線52から駆動信号Dが供給される。第1配線部分c1は、当該第1配線部分c1に沿って駆動回路50の底面に形成された複数の接続端子Tc1に電気的に接続される。複数の接続端子Tc1は、駆動回路50の底面(配線基板46との対向面)に形成された樹脂コアバンプであり、第1配線部分c1に沿ってY方向に間隔をあけて配列する。以上の説明から理解される通り、外部配線52から入力端子Tc0に供給された駆動信号Dは、信号配線72cを介して、Y方向の位置が相違する複数の地点(接続端子Tc1)から駆動回路50に供給される。
第2面F2上の第2配線部分c2は、図9に例示される通り、第1面F1上の第1配線部分c1に重なるようにY方向に延在する。複数の貫通配線c3(第2貫通配線の例示)の各々は、基体部70を貫通する貫通孔の内部に形成され、第1配線部分c1と第2配線部分c2とを電気的に接続する。すなわち、第1配線部分c1は、当該第1配線部分c1が延在する方向における複数の地点において貫通配線c3により第2配線部分c2に電気的に接続される。以上に説明した通り、第1実施形態では、第1面F1に形成された第1配線部分c1と第2面F2に形成された第2配線部分c2とで信号配線72cが構成されるから、第1面F1に形成された導電パターンのみで信号配線72cを形成する構成と比較して、信号配線72cの形成に必要な基体部70のサイズを削減しながら、信号配線72cの配線抵抗を低減できるという利点がある。
ところで、駆動回路50の接続端子Tc1が貫通配線c3に平面視で重なる構成では、例えば駆動回路50の実装時に接続端子Tc1から作用する圧力により貫通配線c3に断線または損傷等の配線不良が発生する可能性がある。以上の事情を考慮して、第1実施形態では、駆動回路50の複数の接続端子Tc1が、複数の貫通配線c3の何れにも平面視で重ならない。以上の構成によれば、接続端子Tc1から基体部70に圧力が作用した場合でも、当該圧力に起因した貫通配線c3の配線不良を抑制できるという利点がある。
図8および図9に例示される通り、信号配線72cは、延在方向に沿って第1部分Q1と第2部分Q2とに平面視で区分される。第1部分Q1は、信号配線72cのうち、Y方向(基体部70の長辺の方向)に沿って延在し、駆動回路50における複数の接続端子Tc1の配列に平面視で重なる部分である。複数の接続端子Tc1の各々は信号配線72cの第1部分Q1に接触する。信号配線72cの第1部分Q1は基体部70の長辺に沿って延在するから、駆動回路50の長手方向における広い範囲にわたり、信号配線72cから当該駆動回路50に対して駆動信号Dを供給できるという利点がある。
他方、第2部分Q2は、第1部分Q1からみて入力端子Tc0側(Y方向の負側)に位置する部分である。具体的には、複数の接続端子Tc1のうち入力端子Tc0に最も近い1個の接続端子Tc1からみて入力端子Tc0側の部分が第2部分Q2に相当する。駆動信号Dの伝送の方向に着目すると、第2部分Q2は、第1部分Q1と比較して駆動信号Dの伝送方向の上流側に位置する。X方向の位置に着目すると、第2部分Q2は、第1部分Q1からみて中心線Oとは反対側に位置する。
第1部分Q1においては、第1配線部分c1および第2配線部分c2の各々を構成する積層配線の第1配線81は1本である。すなわち、第1部分Q1は、第1配線部分c1の1本の第1配線81と第2配線部分c2の1本の第1配線81とを含む合計2本の第1配線81で構成される。他方、第2部分Q2においては、第1配線部分c1の第1配線81は第1部分Q1と同様に1本であるが、第2配線部分c2は、相互に連結された複数の第1配線81(複数の第1配線81の束)で構成される。すなわち、第2部分Q2は、第1配線部分c1の1本の第1配線81と、第2配線部分c2の2本の第1配線81とを含む合計3本の第1配線81で構成される。以上の説明から理解される通り、第1実施形態では、信号配線72cのうち第2部分Q2を構成する第1配線81の配線数が、第1部分Q1を構成する第1配線81の配線数を上回る。第1配線部分c1の第1配線81と第2配線部分c2の第1配線81とは略同等の配線幅で形成される。したがって、信号配線72cのうちの第2部分Q2は、第1部分Q1と比較して低抵抗である。
図8および図9に例示される通り、中継配線x1が形成された接続領域Rxの少なくとも一部は、信号配線72cの第2部分Q2からみてY方向の正側(第1方向の例示)に位置し、かつ、当該信号配線72cの第1部分Q1からみてX方向の正側(第2方向の例示)に位置する。具体的には、第1部分Q1が形成されたY方向の範囲と接続領域RxのY方向の範囲とは相互に重なり、第2部分Q2が形成されたX方向の範囲と接続領域RxのX方向の範囲とは相互に重なる。すなわち、信号配線72cの曲折により第1面F1に確保された接続領域Rxに、複数の中継配線x1が形成される。以上の構成によれば、第1面F1を効率的に利用して信号配線72cと複数の中継配線x1とが形成されるから、基体部70を小型化することが可能である。
図8の電源配線72aは、基体部70の第1面F1に形成された積層配線であり、Y方向の負側の端部である入力端子Ta0からY方向の正側に延在する。入力端子Ta0には外部配線52から電源電圧VDDが供給される。電源配線72aは、当該電源配線72aに沿って駆動回路50の底面に形成された複数の接続端子Ta1に電気的に接続される。複数の接続端子Ta1の各々は、駆動回路50の底面に形成された樹脂コアバンプであり、電源配線72aに沿ってY方向に間隔をあけて配列する。なお、低位側の電源電圧VSSを供給するための電源配線72bも基体部70には形成されるが、電源配線72bの構成は電源配線72aと同様であるため、図8および図9では電源配線72bの図示を便宜的に省略した。
図8および図9の信号配線72dは、基体部70の第1面F1に形成され、Y方向の負側の端部からY方向の正側に延在する。信号配線72dは、駆動回路50の底面のうちY方向の負側に位置する端部の近傍に形成された接続端子Tdに接続される。信号配線72dは、例えば銅(Cu)または金(Au)の単層で形成される。すなわち、図8に例示した積層構造は信号配線72dには採用されない。信号配線72dは、例えば積層配線の第2配線82と同層から形成される。
以上に説明した通り、第1実施形態では、駆動信号Dを伝送する信号配線72cのうち入力端子Tc側の第2部分Q2を構成する配線数が、当該信号配線72cのうち駆動回路50の接続端子に平面視で重なる第1部分Q1の配線数を上回る。すなわち、第1実施形態では、第1部分Q1と第2部分Q2とで配線数が等しい構成と比較して、第2部分Q2における配線抵抗が低減される。したがって、信号配線72cにおける発熱や駆動信号の波形鈍りを抑制できるという利点がある。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図10は、第2実施形態の配線基板46における基体部70の第1面F1の平面図である。第2実施形態では、電源配線72aの態様が第1実施形態とは相違する。電源配線72a以外の配線は第1実施形態と同様であるから、以下の説明では電源配線72aのみを説明し、電源配線72a以外の各配線については説明を省略する。
第2実施形態の電源配線72aは、延在方向に沿って第3部分Q3と第4部分Q4とに平面視で区分される。第3部分Q3は、電源配線72aのうち駆動回路50における複数の接続端子Ta1の配列に平面視で重なる部分である。他方、第4部分Q4は、第3部分Q3からみて入力端子Ta0側(Y方向の負側)に位置する部分である。具体的には、複数の接続端子Ta1のうち入力端子Ta0に最も近い1個の接続端子Ta1からみて入力端子Ta0側の部分が第4部分Q4に相当する。電源電圧VDDに対応する電流の方向に着目すると、第4部分Q4は、第3部分Q3と比較して、電源電圧VDDに対応する電流の上流側に位置する。
電源配線72aの第3部分Q3を構成する積層配線の第1配線81は1本である。他方、電源配線72aの第4部分Q4を構成する積層配線は2本の第1配線81を含んで構成される。以上の説明から理解される通り、第2実施形態では、電源配線72aのうち第4部分Q4を構成する第1配線81の配線数が、第3部分Q3を構成する第1配線81の配線数を上回る。第3部分Q3の第1配線81と第4部分Q4の各第1配線81とは略同等の配線幅で形成される。以上の構成によれば、電源配線72aのうちの第4部分Q4は、第3部分Q3と比較して低抵抗である。したがって、電源配線72aにおける発熱等の問題を抑制できるという利点がある。なお、以上の説明では、電源電圧VDDの供給用の電源配線72aに着目したが、電源電圧VDD以外の電圧(例えば低位側の電源電圧VSSや基準電圧VBS)を供給するための他の配線にも、第2実施形態の電源配線72aと同様の構成が採用され得る。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)信号配線72cの第1部分Q1を構成する第1配線81の配線数と、第2部分Q2を構成する第1配線81の配線数とは、第1実施形態の例示に限定されない。例えば、信号配線72cの第1部分Q1を4本以上の第1配線81で構成し、第2部分Q2を3本以上の第1配線81で構成してもよい。同様に、電源配線72aの第3部分Q3を構成する第1配線81の配線数と、第4部分Q4を構成する第1配線81の配線数とは、第2実施形態の例示に限定されない。例えば、電源配線72aの第3部分Q3を3本以上の第1配線81で構成し、第4部分Q4を3本以上の第2配線82で構成してもよい。
(2)第1実施形態では、基体部70の第1面F1に形成された第1配線部分c1と第2面F2に形成された第2配線部分c2とで信号配線72cを形成したが、基体部70の第1面F1に形成された導電パターンのみで信号配線72cを形成してもよい。第1面F1の導体パターンのみで信号配線72cを形成した構成でも、信号配線72cのうち第2部分Q2を構成する第1配線81の配線数が、第1部分Q1を構成する第1配線81の配線数を上回る構成が好適である。また、第2実施形態では、基体部70の第1面F1に形成された導電パターンにより電源配線72aを形成したが、第1面F1に形成された導電パターンと第2面F2に形成された導電パターンとにより電源配線72aを構成してもよい。電源配線72aを第1面F1と第2面F2に形成した構成でも、電源配線72aのうち第4部分Q4を構成する第1配線81の配線数が、第3部分Q3を構成する第1配線81の配線数を上回る構成が好適である。以上の説明から理解される通り、基体部70の表面に形成された配線のうちの部分A(例えば第1部分Q1または第3部分Q3)における配線数が、当該部分Aよりも入力端子側の部分B(例えば第2部分Q2または第4部分Q4)における配線数を上回る構成であれば、当該配線が基体部70の両面に形成されるか片面に形成されるかは不問である。
(3)前述の各形態では1系統の駆動信号Dを例示したが、波形が相違する複数の駆動信号Dを利用してもよい。駆動回路50は、複数の駆動信号Dの各々に含まれる駆動パルスPを圧電素子44に対して選択的に供給する。以上の構成では、複数の駆動信号Dの各々について第1実施形態と同様の信号配線72cが形成される。
(4)前述の各形態では、配線基板46の各配線(電源配線72a,電源配線72b,信号配線72c,信号配線72d)を積層配線で構成したが、各配線は積層配線に限定されない。例えば、電源配線72aと電源配線72bと信号配線72cと基準配線72eとを、単層の導電パターンにより形成してもよい。
(5)圧力室C内の液体(例えばインク)をノズルNから噴射させる駆動素子は、前述の各形態で例示した圧電素子44に限定されない。例えば、加熱により圧力室Cの内部に気泡を発生させて圧力を変動させる発熱素子を駆動素子として利用することも可能である。以上の例示から理解される通り、駆動素子は、圧力室C内の液体をノズルNから噴射させる要素(典型的には圧力室Cの内部に圧力を付与する要素)として包括的に表現され、動作方式(圧電方式/熱方式)や具体的な構成の如何は不問である。
(6)前述の各形態では、液体噴射ヘッド26を搭載した搬送体242を往復させるシリアル方式の液体噴射装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体12の全幅にわたり分布するライン方式の液体噴射装置にも本発明を適用することが可能である。
(7)前述の各形態で例示した液体噴射装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を噴射する液体噴射装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
100…液体噴射装置、12…媒体、14…液体容器、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、242…搬送体、244…搬送ベルト、26…液体噴射ヘッド、30…流路形成部、32…流路基板、34…圧力室基板、42…振動板、44…圧電素子、46…配線基板、48…筐体部、50…駆動回路、52…外部配線、62…ノズル板、64…吸振体、70…基体部、72(72a,72b,72c,72d,72e)…配線。

Claims (9)

  1. ノズルに連通する圧力室が形成された流路形成部と、
    前記圧力室内の液体を前記ノズルから噴射させる駆動素子と、
    前記駆動素子を駆動する駆動パルスを当該駆動素子に出力する駆動回路と、
    前記流路形成部と前記駆動回路との間に設置された基体部と、前記基体部に形成され、前記駆動回路が前記駆動パルスを生成するための駆動信号を入力端子から前記駆動回路に伝送する信号配線とを含む配線基板とを具備し、
    前記信号配線は、前記駆動回路において当該信号配線に接続される接続端子に平面視で重なる第1部分と、前記第1部分からみて前記入力端子側に位置する第2部分とを含み、
    前記第2部分を構成する配線数は、前記第1部分を構成する配線数を上回る
    液体噴射ヘッド。
  2. 前記基体部における前記駆動回路側の面上には、前記駆動回路と前記駆動素子とを電気的に接続するための中継配線が形成され、
    前記基体部において前記中継配線が形成された接続領域の少なくとも一部は、前記第2部分からみて、前記信号配線が延在する第1方向に位置し、かつ、前記第1部分からみて、前記第1方向に交差する第2方向に位置する
    請求項1の液体噴射ヘッド。
  3. 前記中継配線は、前記基体部に形成された貫通孔の内部の第1貫通配線を介して前記駆動素子に電気的に接続される
    請求項1または請求項2の液体噴射ヘッド。
  4. 前記信号配線は、前記基体部における前記駆動回路側の第1面に形成された第1配線部分と、前記基体部における前記第1面とは反対側の第2面に形成された第2配線部分とを含み、前記第1配線部分と前記第2配線部分とは、前記基体部に形成された貫通孔の内部の第2貫通配線を介して電気的に接続され、
    前記第2部分において、前記第2配線部分は複数の配線を含む
    請求項1から請求項3の何れかの液体噴射ヘッド。
  5. 前記駆動回路において前記第1配線部分に接続される接続端子は、前記第2貫通配線に平面視で重ならない
    請求項4の液体噴射ヘッド。
  6. 前記基体部は、長尺状の板状部材であり、
    前記第1部分は、前記基体部の長辺に沿う
    請求項1から請求項5の何れかの液体噴射ヘッド。
  7. 前記基体部に形成され、電源電圧を入力端子から前記駆動回路に供給するための電源配線を具備し、
    前記電源配線は、前記駆動回路において当該電源配線に接続される接続端子に平面視で重なる第3部分と、前記第3部分からみて前記電源電圧の入力端子側に位置する第4部分とを含み、
    前記第4部分を構成する配線数は、前記第3部分を構成する配線数を上回る
    請求項1から請求項6の何れかの液体噴射ヘッド。
  8. 請求項1から請求項7の何れかの液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置。
  9. ノズルに連通する圧力室が形成された流路形成部と、前記圧力室内の液体を前記ノズルから噴射させる駆動素子と、前記駆動素子を駆動する駆動パルスを当該駆動素子に出力する駆動回路とを具備する液体噴射ヘッドに利用される配線基板であって、
    前記流路形成部と前記駆動回路との間に設置される基体部と、
    前記基体部に形成され、前記駆動回路が前記駆動パルスを生成するための駆動信号を入力端子から前記駆動回路に伝送する信号配線とを具備し、
    前記信号配線は、第1部分と、前記第1部分からみて前記入力端子側に位置する第2部分とを含み、
    前記第2部分を構成する配線数は、前記第1部分を構成する配線数を上回る
    配線基板。
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