JP2008207433A - 液体噴射ヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクチュエータユニットの駆動端子とフレキシブルケーブルの配線端子とを導電性部材で接合する場合であっても、圧電振動子とフレキシブルケーブルとの間の隙間に防水部材が充填されている液体噴射ヘッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アクチュエータユニット4にフレキシブルケーブル18とを接合するに際し、駆動端子39と配線端子とをこれらの間に異方性導電フィルム48が介在することにより接合させ、アクチュエータユニット4とフレキシブルケーブル18との間において前記圧電振動子30を取り囲むように両面テープ47を設けて圧電振動子30を内包する空間49を形成し、フレキシブルケーブル18には空間49に連通する少なくとも2つ以上の貫通孔を設け、空間49にフッ素ゲル61を充填する。
【選択図】図3
【解決手段】アクチュエータユニット4にフレキシブルケーブル18とを接合するに際し、駆動端子39と配線端子とをこれらの間に異方性導電フィルム48が介在することにより接合させ、アクチュエータユニット4とフレキシブルケーブル18との間において前記圧電振動子30を取り囲むように両面テープ47を設けて圧電振動子30を内包する空間49を形成し、フレキシブルケーブル18には空間49に連通する少なくとも2つ以上の貫通孔を設け、空間49にフッ素ゲル61を充填する。
【選択図】図3
Description
本発明はインクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッド及びその製造方法に関する。
圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口から液滴として吐出させる液体噴射ヘッドの一種に、振動板の表面に形成された圧電振動子(圧力発生素子の一種)を撓み変形させることで液滴を吐出させるようにしたものがある。この液体噴射ヘッドは、例えば、圧力室と圧電振動子とを備えたアクチュエータユニットと、ノズル開口や共通液室を備えた流路ユニットとから構成される。この液体噴射ヘッドでは、駆動信号を供給して圧電振動子を駆動させることで圧力室容積を変化させ、圧力室内に貯留された液体に圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用することでノズル開口から液滴を吐出させる。
ここで上記圧電振動子は個別に駆動端子を有しており、この駆動端子に配線部材の先端部に形成した配線端子が接続され、この配線部材及び配線端子を介して駆動回路であるICから駆動信号が供給されるようになっている。この場合の配線部材としては、フィルム状のフレキシブルケーブルが好適に用いられる。このフレキシブルケーブルは、ポリイミドやポリエステル等の絶縁性フィルムの表面に、銅箔で導体パターン(リードパターン)を形成するとともに、配線端子(アウターリード)以外の部分をレジストで覆って構成している。この配線部材の配線端子の部分には、予めハンダメッキが施されており、この配線端子を圧電振動子の駆動端子にハンダ付けすることによって、配線部材がアクチュエータユニットに取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1を含む従来技術に係る液体噴射ヘッドでは、ノズル開口を介して内部の液体を吐出する圧力室と、この圧力室に対応して配設され駆動端子を介して供給される駆動信号により変形して前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子を有するアクチュエータユニットとを一方向に並べて形成した列の2つで一つの組が形成されている。圧力室乃至アクチュエータユニットの2つの列の間には、前記駆動端子が各アクチュエータユニットに対応して2列配設されている。そして、各駆動端子に前記フレキシブルケーブルの配線端子を接合する場合、駆動端子に配線端子を当接させてこれを圧下して接合する作業を各列毎に行っている。
一方、駆動端子の各列の間に対向するフレキシブルケーブルの一部には、貫通孔が設けられており、前記接合作業の後、この貫通孔からゲル状防水部材の一例であるフッ素ゲルが注入される。このフッ素ゲルは、駆動端子の各列の間に流入することとなるが、更に隣り合う駆動端子の間を通過してフレキシブルケーブルと圧電振動子との間の隙間に到達し、かかる隙間を充填する。このように圧電振動子の上面全体をフッ素ゲルが覆って、浸水による圧電振動子の劣化を防止している。
一方、各配線端子に予めハンダメッキを設け、各配線端子と各駆動端子とをハンダ付けして接合する工程は煩雑であり製造コストが増大するため、各配線端子と各駆動端子とを導電性部材を介して接合することで製造コストの削減を図ることができる。
しかしながら、駆動端子上に導電性部材を設けて、その上にフレキシブルケーブルを配設すると、その貫通孔が導電性部材により塞がれてしまうため、フッ素ゲルを注入することができなくなってしまう。
本発明は、上記問題点に鑑み、アクチュエータユニットの駆動端子とフレキシブルケーブルの配線端子とを導電性部材で接合する場合であっても、圧電振動子とフレキシブルケーブルとの間の隙間に防水部材が充填されている液体噴射ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の態様は、圧力変動によりノズル開口を介して内部の液体を吐出する圧力室と、この圧力室に対応して配設され駆動端子を介して供給される駆動信号により変形して前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子を有するアクチュエータユニットとを一方向に並べて形成した列の2つで一つの組を形成した液体噴射ヘッドであって、前記駆動端子は、圧力発生素子の2つの列の間の領域に配設され、前記各列のアクチュエータユニットの駆動回路を搭載するとともに、前記各駆動端子に接合する配線端子を介して前記駆動回路が出力する駆動信号を伝送するよう前記アクチュエータユニットの上方にこれを跨ぐように配設したフィルム状のフレキシブルケーブルを有し、前記駆動端子と前記配線端子とはこれらの間に導電性部材が介在することにより接合される一方、前記アクチュエータユニットと前記フレキシブルケーブルとの間において前記圧力発生素子を取り囲むように接着部材が設けられることにより前記圧力発生素子を内包する空間が形成され、前記フレキシブルケーブルには、前記空間に連通する少なくとも2つ以上の貫通孔が設けられ、前記空間には前記圧力発生素子の変形を阻害せず且つ疎水性を有する防水部材が充填されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、異方性導電フィルムを用いて各駆動端子と各配線端子とを一度に接合することで記録ヘッドの生産性の向上を図ると共に、フレキシブルケーブルの貫通孔を介して圧力発生素子を内包する空間に防水部材が充填されて耐久性の高い液体噴射ヘッドを得ることができる。
かかる態様では、異方性導電フィルムを用いて各駆動端子と各配線端子とを一度に接合することで記録ヘッドの生産性の向上を図ると共に、フレキシブルケーブルの貫通孔を介して圧力発生素子を内包する空間に防水部材が充填されて耐久性の高い液体噴射ヘッドを得ることができる。
ここで、前記貫通孔は、前記圧力室と前記アクチュエータユニットとの列の両端部に対向する前記フレキシブルケーブルの領域に設けられていることが好ましい。これによれば、一方の貫通孔から防水部材を空間に注入する際に、他方の貫通孔から前記空間内の空気が排出されるため、防水部材が気泡無く空間内に充填された液体噴射ヘッドを得ることができ、圧力発生素子をより確実に防水できる。
また、前記アクチュエータユニットの前記圧力発生素子とは反対側の面には前記圧力室に液体を供給する液体流路が形成された流路ユニットが接合され、前記流路ユニットの前記アクチュエータユニットよりも水平方向に突出した部分には、コンプライアンス基板が設けられ、前記接着部材は、前記コンプライアンス基板よりも前記圧力発生素子側に設けられていることが好ましい。これによれば、接着部材はコンプライアンス基板と圧力発生素子との間を遮断するよう配設されているので、貫通孔より注入した防水部材がコンプライアンス基板へ漏れ出ることがない。これにより、防水部材が漏出し、コンプライアンス基板に堆積してコンプライアンス基板の機能を阻害することを防止でき、液体噴射ヘッドの吐出特性を良好に保つことができる。
また、本発明の他の態様は、圧力変動によりノズル開口を介して内部の液体を吐出する圧力室と、この圧力室に対応して配設され駆動端子を介して供給される駆動信号により変形して前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子を有するアクチュエータユニットとを一方向に並べて形成した列の2つで一つの組を形成する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記圧力発生素子の2つの列の間の領域に前記各駆動端子を配設すると共に前記アクチュエータユニット上に前記圧力発生素子を取り囲むように接着部材を配設し、前記各列のアクチュエータユニットの駆動回路に接続された各配線端子を有すると共に前記圧力発生素子に対向する領域に少なくとも2つの貫通孔が穿設されたフレキシブルケーブルを前記各配線端子と各駆動端子とが導電性部材を介して前記アクチュエータユニットに接合すると共に前記フレキシブルケーブルと前記接着部材とを接着することにより前記圧力発生素子を内包する空間を形成し、前記圧力発生素子の変形を阻害せず且つ疎水性を有する防水部材を前記貫通孔を介して前記空間に注入することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、導電性部材を用いて各駆動端子と各配線端子とを一度に接合することで液体噴射ヘッドの生産性の向上を図ると共に、フレキシブルケーブルの貫通孔を介して圧力発生素子を内包する空間に防水部材を充填して耐久性の高い液体噴射ヘッドを製造することができる。
かかる態様では、導電性部材を用いて各駆動端子と各配線端子とを一度に接合することで液体噴射ヘッドの生産性の向上を図ると共に、フレキシブルケーブルの貫通孔を介して圧力発生素子を内包する空間に防水部材を充填して耐久性の高い液体噴射ヘッドを製造することができる。
また、前記防水部材の前記空間への注入に際し、一方の前記貫通孔から前記防水部材を注入して他方の前記貫通孔から前記空間内の空気が排出されるよう前記空間に前記防水部材を充填することが好ましい。これによれば、一方の貫通孔から防水部材を空間に注入する際に、他方の貫通孔から前記空間内の空気が排出されるため、空間内に防水部材が気泡無く充填された液体噴射ヘッドを得ることができ、圧力発生素子をより確実に防水できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面等を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明は、本発明の液体噴射ヘッドとして、インクジェット式記録装置(液体噴射装置の一種。以下、単にプリンタという)に搭載されるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を例に挙げて行う。
図1は、記録ヘッド1の構成の一例を説明する分解斜視図である。この記録ヘッド1は、図示しないインクカートリッジ内に貯留されたインクをヘッド内部に導入するインク供給針2が複数配設された供給針ユニット3と、圧電振動子30(図2等参照)を有するアクチュエータユニット4及び流路ユニット5から成るヘッドユニット6とを、ヘッドケース9に備えて概略構成される。また、この記録ヘッド1において、ヘッドケース9の先端側(供給針ユニット3の接合面とは反対側)には、ヘッドユニット6を保護すると共に、ノズルプレート8を接地電位に調整するための金属製のカバー10が取り付けられるようになっている。
供給針ユニット3は、インク供給針2がヘッド主走査方向(ノズル列直交方向)に横並びに配設された合成樹脂製の部材である。この供給針ユニット3に配設されるインク供給針2の先端部は円錐状に尖っており、インクカートリッジ内に挿入し易くなっている。また、この先端部には、インク供給針2の内外を連通する導入孔が複数穿設されており、これらの導入孔を通じてインクカートリッジ内のインクがヘッド内に導入される。そして、本実施形態の記録ヘッド1は4種類のインクを吐出可能であるため、供給針ユニット3には、合計4本のインク供給針2が先端を上方に突出した姿勢で配設されている。
ヘッドケース9は、上記供給針ユニット3や配線基板11が取り付けられるベース部12と、このベース部12の底部から下方に向けて延出し、開口面にヘッドユニット6が取り付けられる中空箱体状のケース部13とにより構成される部材である。本実施形態においては、このヘッドケース9と上記供給針ユニット3は、例えば、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂等の合成樹脂によって作製されている。そして、ヘッドケース9のベース部12には、ヘッドユニット6側にインクを供給する収束流路(図示せず)の上部開口14が、供給針ユニット3の各インク供給針2に対応した位置にそれぞれ開設されている。また、ベース部12には、配線基板11を配設するための基板配設部15が区画されている。
上記配線基板11は、コネクタ16を備えており、このコネクタ16には、プリンタ本体側からのFFC(フレキシブルフラットケーブル)等の配線ケーブル(図示せず)が装着されるようになっている。また、配線基板11には、接続用端子17が形成されており、この接続用端子17には、TCP(テープキャリアパッケージ)等のフィルム状のフレキシブルケーブル18が電気的に接続される。そして、この配線基板11は、プリンタ本体側からの駆動信号をFFCを通じて受けると共に、この駆動信号をフレキシブルケーブル18を介してアクチュエータユニット4の圧電振動子30に供給するようになっている。
ノズルプレート8は、流路ユニット5を構成する部材の1つであり、例えば、ステンレス鋼等の金属製の板材をプレス加工することで作製されている。このノズルプレート8には、ドット形成密度に応じたピッチで複数のノズル開口19が列状に開設されており、本実施形態においては、このノズル開口19の列(ノズル列)が、主走査方向に複数条(4列)並設されている。そして、このノズルプレート8は、流路ユニット5において、アクチュエータユニット4の接合面側とは反対側に配置される。
図2(a)は、アクチュエータユニットの平面図、図2(b)は、フレキシブルケーブルの平面図であり、図3は、ヘッドユニットの構成を説明する要部断面図である。図3に示すフレキシブルケーブル18は、図2(b)に示すフレキシブルケーブル18をI−I線で切断した横断面である。また、図2(b)中の符号「30」に示す点線の矩形は、フレキシブルケーブル18がアクチュエータユニット4に接合されたときにおける圧電振動子30一列の位置を示している。同様に、符号「47」に示す点線のコの字状領域は、後述する両面テープ47の位置を示している。
図2(a)及び図3に示すように、ヘッドユニット6は、アクチュエータユニット4と流路ユニット5を重ね合わせた状態で一体化して構成されており、圧力変動によりノズル開口19を介して内部の液体を吐出する圧力室28と、この圧力室28に対応して配設され駆動端子39を介して供給される駆動信号により変形して前記圧力室28内の液体に圧力変動を生じさせる圧電振動子30を有するアクチュエータユニット4とを一方向(図2(a)の上下方向)に並べて形成した列の2つで一つの組を形成するとともに、この組を二組(図1参照)、前記一方向と直交する他の方向に並べて形成したものである。なお、流路ユニット5のアクチュエータユニット4よりも水平方向に突出した部分には、コンプライアンス基板70が設けられている。コンプライアンス基板70は、リザーバ25にインクが流入する際の圧力急上昇を緩和するための衝撃緩和部材である。
ここで前記駆動端子39は、各組において一方の列の右端に、また他方の列の左端に配設されており、圧電振動子30の列と列の間の領域に、当該圧電振動子2列分の駆動端子39が形成されることになる。一方、アクチュエータユニット4とフレキシブルケーブル18との間には、圧電振動子30を取り囲むように接着部材である両面テープ47が設けられている。本実施形態では、両面テープ47は一列に並んだ圧電振動子30の周囲をコの字状に取り囲んでいる。このように各列の圧電振動子30は駆動端子39と両面テープ47とに囲まれた状態となっている。なお、両面テープ47は、コンプライアンス基板70よりも圧電振動子30側に配設されている。
図2(b)及び図3に示すように、フレキシブルケーブル18は、各列のアクチュエータユニット4を選択的に駆動する駆動回路であるIC46と、ポリイミドやポリエステル等の絶縁性フィルムからなるベースフィルム43とを具備している。フレキシブルケーブル18の表面には、銅箔等の導電材料で導体パターン(配線パターン)が形成されており、前記表面の各駆動端子39に対向する領域には導体パターンと電気的に接続された配線端子44が配設されている。また、IC46は、IC46が出力する駆動信号をアクチュエータユニット4に伝送するように導電パターンに電気的に接続されている。さらに、フレキシブルケーブル18の表面の配線端子44以外の部分にはソルダーレジスト45が設けられている。
また、フレキシブルケーブル18は、先端部を二股に分岐させてあり、それぞれの分岐部分の幅方向の中央部分に2列1組の配線端子44がそれぞれ形成してある。両分岐部の間にはリザーバ25(図3参照)にインクを供給するためのインク供給路51、52が位置するのでこの部分を切り欠いてインク供給路51、52のためのスペースを確保した上で2つの分岐部を形成して配線端子44等を配設してある。
そして、フレキシブルケーブル18は、アクチュエータユニット4の上方にこれを跨ぐように配設されている。詳言すると、フレキシブルケーブル18の各配線端子44が異方性導電フィルム48(導電性部材)を介してアクチュエータユニット4の各駆動端子39に接合される一方、フレキシブルケーブル18が両面テープ47を介してアクチュエータユニット4の上面に接着されている。この結果、フレキシブルケーブル18と、異方性導電フィルム48を介して接合された駆動端子39及び配線端子44と、両面テープ47とにより圧電振動子30の列ごとに空間49が形成され、この空間49内に圧電振動子30が内包されている。
異方性導電フィルム48は、アクチュエータユニット4の2列の駆動端子39全体を覆う大きさに形成されているため、フレキシブルケーブル18をアクチュエータユニット4に接合するに際し、各駆動端子39と各配線端子44とを一度に接着することができる。なお導電性部材としては、異方性導電フィルムに限らず、異方性導電ペーストであってもよい。
また、図2(b)及び図3に示すように、フレキシブルケーブル18には空間49に連通する貫通孔60が一列の圧電振動子30につき2つ穿設されている。具体的には、圧電振動子30の一列の両端部に対向するフレキシブルケーブル18の領域に圧電振動子30が各端部に一つずつ合計2つ穿設されている。なお、この2つの貫通孔60は空間49に連通していればよいため、上述したように離れて穿設されている必要はない。そして、空間49には一方の貫通孔60を介して注入されたフッ素ゲル61が充填されている。フッ素ゲル61は、圧電振動子30の変形を阻害することなく、浸水による圧電振動子30の劣化を防止して耐久性を向上することができる。
以上に説明したように、異方性導電フィルム48を用いて各駆動端子39と各配線端子44とを一度に接合することで記録ヘッド1の生産性の向上を図ると共に、フレキシブルケーブル18の貫通孔60を介して圧電振動子30を内包する空間49にフッ素ゲル61を充填して耐久性の高い記録ヘッド1を得ることができる。
また、両面テープ47はコンプライアンス基板70と圧電振動子30との間を遮断するよう配設されているので、貫通孔60より注入したフッ素ゲル61がコンプライアンス基板70へ漏れ出ることがない。これにより、漏出したフッ素ゲル61がコンプライアンス基板70に堆積してコンプライアンス基板70の機能を阻害することを防止でき、記録ヘッド1の印字特性を良好に保つことができる。
なお、アクチュエータユニット4にフレキシブルケーブル18を接合する際には、両面テープ47を一列に並んだ圧電振動子30を取り囲むようにアクチュエータユニット4上に配設する一方、二列の駆動端子39全体を覆うように異方性導電フィルム48を駆動端子39上に載置する。そして、各配線端子44が異方性導電フィルム48を介して各駆動端子39に対応するようフレキシブルケーブル18をアクチュエータユニット4上に載置する。次に、フレキシブルケーブル18をアクチュエータユニット4側に押圧すると共に、異方性導電フィルム48を加熱して各駆動端子39と各配線端子44とを電気的に接合させる。最後に、フレキシブルケーブル18の貫通孔60からフッ素ゲル61を注入する。このとき、一列の圧電振動子30につき2つ穿設された貫通孔60のうち、一方の貫通孔60からフッ素ゲル61を注入する。これにより、空間49内の空気は他方の貫通孔60から排出され、気泡を生じることなくフッ素ゲル61を空間49内に充填することができる。
流路ユニット5は、オリフィスとして機能するインク供給口22及びノズル連通口23の一部となる通孔が形成された供給口プレート24と、インク供給針2側からのインクが供給されるリザーバ25(共通液体室)及びノズル連通口23の一部となる通孔が形成されたリザーバプレート26と、上記ノズルプレート8とから構成されている。そして、流路ユニット5は、リザーバプレート26の一方の面にノズルプレート8を、他方の面に供給口プレート24をそれぞれ配置し、これらの部材の間を熱溶着フィルム等によって接合して構成されている。この流路ユニット5は、リザーバ25からノズル開口19に至るまでのインク流路(液体流路)を形成している。
アクチュエータユニット4は、圧力室28となる通孔を開設した圧力室プレート29、圧電振動子30が複数横並びに実装されると共に、圧力室28の一部を区画する振動子プレート31、及び、供給側連通口32となる通孔及びノズル連通口23となる通孔を形成した連通口プレート34を積層した状態で備えている。これらの圧力室プレート29、振動子プレート31、及び、連通口プレート34は、アルミナや酸化ジルコニウム等のセラミックスで作製されており、焼成によって一体化される。
上記の圧力室28は、ノズル列とは直交する方向に細長い空部となっており、ノズル開口19に対応して複数形成されている。そして、各圧力室28の一端側は、供給側連通口32及びインク供給口22を通じてリザーバ25に連通している。また、供給側連通口32とは反対側の圧力室28の他端側は、ノズル連通口23を通じてノズル開口19に連通している。この圧力室28の一部、即ち、連通口プレート34とは反対側となる面は、振動子プレート31によって区画されている。
本実施形態において、圧力発生素子の一種として機能する圧電振動子30は、付与された電界に応じて撓み振動を行う所謂撓みモードの圧電振動子であり、駆動電極36と共通電極37で圧電体層38を挟んだ状態に形成されている。この圧電振動子30は、圧力室28とは反対側の振動子プレート31の表面に、圧力室28を覆い隠す状態に形成されている。即ち、各圧電振動子30は、各圧力室28に対応してノズル列方向に列設されている。ここで、圧電振動子列の端部に位置するものは、インク滴の吐出に関与しない。つまり、駆動信号が供給されず駆動しないダミー振動子となっている。
なお、圧電振動子は、共通電極と上下2枚の駆動電極との間に2枚の圧電体層をそれぞれ挟んだ所謂ダブルチップス方式のものでも勿論構わない。
上記駆動端子39は、圧電振動子30の駆動電極36に導通する。また、共通電極37は、図示しない共通幹電極を介して共通接地端子41(図5参照)に導通している。
図4は、アクチュエータユニットにおける駆動端子の配設状態を説明する平面図、図5は図4における領域Aの拡大図、図6は図4における領域Bの拡大図である。なお、図4〜6においては、駆動端子39を主に示しており、便宜上、圧電振動子30は図示していない。
これらの図に示すように、各駆動端子39は、ノズル列方向に列設されて駆動端子列40を構成しており、この駆動端子列40は、アクチュエータユニット4の幅方向(ノズル列方向に直交する方向)の中心寄りに2列形成されている。
図5、6に示すように、駆動端子列方向の両側には、共通接地端子41が設けられている。この共通接地端子41は、共通幹電極を介して圧電振動子30の共通電極37と導通すると共に、フレキシブルケーブル18の接地端子(図示せず)が接続される部分である。本実施形態においては、各駆動端子列40の一側(領域B)の端から1番目と2番目、他側(領域A)の端から1〜3番目の端子が、それぞれ共通接地端子41となっている。これらの駆動端子39及び共通接地端子41は、銀等の金属材料によって作製されており、本実施形態においては、スクリーン印刷によって、アクチュエータユニット4の表面に形成されている。
上記駆動端子39を通じて駆動電極36に駆動信号が供給されると、駆動電極36と共通電極37との間には電位差に応じた電界が発生する。この電界は圧電体層38に付与され、圧電体層38は付与された電界の強さに応じて撓み変形する。即ち、駆動電極36に供給する駆動信号の電位を高くする程、圧電体層38は、流路ユニット5に近づく方向に変位し、圧力室28の容積を減少するように圧力室プレート29を変形させる。一方、駆動電極36に供給する駆動信号の電位を低くする程、圧電体層38は、流路ユニット5よりも遠ざかる方向に変位し、圧力室28の容積を増加させるように圧力室プレート29を変形させる。このような圧電振動子30の駆動により、圧力室28が収縮又は膨張し、これにより、圧力室28内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動を利用することで、圧力室28内のインクをノズル開口19からインク滴として吐出させることができる。
以上の説明では、液体噴射ヘッドとして、記録ヘッド1を例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
1 記録ヘッド, 2 インク供給針, 3 供給針ユニット, 4 アクチュエータユニット, 5 流路ユニット, 6 ヘッドユニット, 8 ノズルプレート, 9 ヘッドケース, 10 カバー, 11 配線基板, 12 ベース部, 13 ケース部, 14 上部開口, 15 基板配設部, 16 コネクタ, 17 接続用端子, 18 フレキシブルケーブル, 19 ノズル開口, 22 インク供給口, 23 ノズル連通口, 24 供給口プレート, 25 リザーバ, 26 リザーバプレート, 28 圧力室, 29 圧力室プレート, 30 圧電振動子, 31 振動子プレート, 32 供給側連通口, 34 連通口プレート, 36 駆動電極, 37 共通電極, 38 圧電体層, 39 駆動端子, 40 駆動端子列, 41 共通接点端子, 43 ベースフィルム, 44 配線端子, 45 ソルダーレジスト, 46 IC, 47 異方性導電フィルム, 49 空間, 51 インク供給口, 52 インク供給口, 60 貫通孔, 61 フッ素ゲル, 70 コンプライアンス基板
Claims (5)
- 圧力変動によりノズル開口を介して内部の液体を吐出する圧力室と、
この圧力室に対応して配設され駆動端子を介して供給される駆動信号により変形して前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子を有するアクチュエータユニットとを一方向に並べて形成した列の2つで一つの組を形成した液体噴射ヘッドであって、
前記駆動端子は、圧力発生素子の2つの列の間の領域に配設され、
前記各列のアクチュエータユニットの駆動回路を搭載するとともに、前記各駆動端子に接合する配線端子を介して前記駆動回路が出力する駆動信号を伝送するよう前記アクチュエータユニットの上方にこれを跨ぐように配設したフィルム状のフレキシブルケーブルを有し、
前記駆動端子と前記配線端子とはこれらの間に導電性部材が介在することにより接合される一方、前記アクチュエータユニットと前記フレキシブルケーブルとの間において前記圧力発生素子を取り囲むように接着部材が設けられることにより前記圧力発生素子を内包する空間が形成され、
前記フレキシブルケーブルには、前記空間に連通する少なくとも2つ以上の貫通孔が設けられ、
前記空間には前記圧力発生素子の変形を阻害せず且つ疎水性を有する防水部材が充填されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記貫通孔は、前記圧力室と前記アクチュエータユニットとの列の両端部に対向する前記フレキシブルケーブルの領域に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1又は請求項2に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記アクチュエータユニットの前記圧力発生素子とは反対側の面には前記圧力室に液体を供給する液体流路が形成された流路ユニットが接合され、
前記流路ユニットの前記アクチュエータユニットよりも水平方向に突出した部分には、コンプライアンス基板が設けられ、
前記接着部材は、前記コンプライアンス基板よりも前記圧力発生素子側に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 圧力変動によりノズル開口を介して内部の液体を吐出する圧力室と、この圧力室に対応して配設され駆動端子を介して供給される駆動信号により変形して前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子を有するアクチュエータユニットとを一方向に並べて形成した列の2つで一つの組を形成する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記圧力発生素子の2つの列の間の領域に前記各駆動端子を配設すると共に前記アクチュエータユニット上に前記圧力発生素子を取り囲むように接着部材を配設し、
前記各列のアクチュエータユニットの駆動回路に接続された各配線端子を有すると共に前記圧力発生素子に対向する領域に少なくとも2つの貫通孔が穿設されたフレキシブルケーブルを前記各配線端子と各駆動端子とが導電性部材を介して前記アクチュエータユニットに接合すると共に前記フレキシブルケーブルと前記接着部材とを接着することにより前記圧力発生素子を内包する空間を形成し、
前記圧力発生素子の変形を阻害せず且つ疎水性を有する防水部材を前記貫通孔を介して前記空間に注入することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。 - 請求項4に記載する液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記防水部材の前記空間への注入に際し、一方の前記貫通孔から前記防水部材を注入して他方の前記貫通孔から前記空間内の空気が排出されるよう前記空間に前記防水部材を充填することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007045811A JP2008207433A (ja) | 2007-02-26 | 2007-02-26 | 液体噴射ヘッド及びその製造方法 |
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JP2007045811A JP2008207433A (ja) | 2007-02-26 | 2007-02-26 | 液体噴射ヘッド及びその製造方法 |
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Cited By (2)
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CN114425911A (zh) * | 2020-10-29 | 2022-05-03 | 精工爱普生株式会社 | 液体喷出装置 |
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2007
- 2007-02-26 JP JP2007045811A patent/JP2008207433A/ja active Pending
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CN114425911B (zh) * | 2020-10-29 | 2023-03-14 | 精工爱普生株式会社 | 液体喷出装置 |
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