JP2016064566A - 繊維積層体の製造方法及び繊維積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】起毛繊維の抜けを抑えた繊維積層体の製造方法及び繊維積層体を提供する。また、接着剤の染み込みによって起毛繊維の柔らかさ(起毛繊維の自由度)が阻害されない繊維積層体の製造方法及び繊維積層体を提供する。
【解決手段】原料不織布の一方の面に、構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを形成する工程と、前記非起毛領域に対応する前記一方の面の反対面に接着剤を塗布する工程と、該接着剤を介して前記反対面と他の部材とを接合し、押圧する工程とを有する繊維積層体の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、繊維積層体の製造方法及び繊維積層体に関する。
使い捨ておむつなどの吸収性物品においては、不織布を構成部材として用いることが多い。該不織布の肌触りが吸収性物品の装着感にとって重要な要素の1つとなる。
人間が感じる肌触りには、表面の繊維に動きの自由度があることが重要である。繊維の動きが指に滑らかな感触を与え、肌触りのよさを人は感じる。しかし不織布では繊維同士が融着しているために個々の繊維の動きが著しく制限される。なかでもスパンボンド不織布は長繊維を融着させてなり繊維の動きが特に制限されている。
そこで不織布を起毛させることが提案されてきた(特許文献1から3参照)。
国際公開第2012/042972号 特開2011−137248号公報 特開平03−104991号公報
上記のような起毛した不織布を吸収性物品に組み込むとき、ホットメルト型などの接着剤を用いて他の部材と接合される。その後、ニップロールなどによる押圧加工、折り返しガイドによる折り返かえし加工等が行われる。その際、塗布した接着剤が染み出して起毛繊維に付着することがある。該接着剤の付着した起毛繊維に対して、プレスロール等が触れると、接着剤の接着力とニップロール等の擦り力とで起毛繊維が引き抜かれてしまうことがある。
例えば、図12に示す従来の加工方法では、一方の面301全面に起毛繊維303を設けた起毛不織布304に対し、反対面302側に接着剤305を塗工する。このとき起毛繊維303に接着剤305が付着することがある。このまま他の部材309を積層してプレスロール306,307で押圧すると、起毛繊維303がプレスロール306に巻き付くようにして引き抜かれてしまう。
これでは、引き抜かれた起毛繊維が製造機械に侵入するなどして機械汚染が生じる場合がある。また、加工後の不織布は、起毛繊維の抜けで肌触りが起毛時よりも低減する場合がある。さらに、起毛繊維が抜けないまでも接着剤が付着することで、起毛繊維が固くなり柔らかさが阻害される。
本発明は、上記のような加工工程における起毛繊維の抜けを抑えた繊維積層体の製造方法及び繊維積層体に関する。また、本発明は、接着剤の染み込みによって起毛繊維の柔らかさ(起毛繊維の自由度)が阻害されない繊維積層体に関する。
本発明は、原料不織布の一方の面に、構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを形成する工程と、前記非起毛領域に対応する前記一方の面の反対面に接着剤を塗布する工程と、該接着剤を介して前記反対面と他の部材とを接合し、押圧する工程とを有する繊維積層体の製造方法を提供する。
また本発明は、構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを一方の面に有する不織布が、前記一方の面の反対面において他の部材と積層された繊維積層体であって、前記反対面が、前記非起毛領域に対応する位置で接着剤を介して前記他の部材と接合されている繊維積層体を提供する。
本発明の繊維積層体の製造方法によれば、加工工程における起毛繊維の抜けを抑えることができ、機械汚染を防止することができる。また、本発明の繊維積層体では、接着剤の繊維間への染み込みによって生じる起毛繊維への接着剤の付着が抑えられており、起毛状態の乱れや倒伏が極力防止されている。さらに該起毛繊維の柔らかさ(起毛繊維の自由度)が保持され、表面の毛並みが揃い柔らかに起毛した繊維積層体の製造が可能になる。
本発明の繊維積層体の製造方法の好ましい一実施形態(第1実施形態)における第1工程を示した工程図であり、(A)は部分延伸加工を示し、(B)部分延伸加工における一対の凹凸ロールの噛み合わせ状態を部分的に拡大して示した断面図であり、(C)は起毛加工を示し、(D)は(C)において符号d1の円で示す部分を拡大して示した模式図である。 第1実施形態における製造工程の各工程について搬送方向に直交する方向(CD)からみた断面図であり、(A)は第1工程の起毛加工を示す断面図であり、(B)は第2工程の接着剤の塗工を示す断面図であり、(C)は第3工程のプレス加工を示す断面図である。 起毛不織布の起毛繊維の本数を測定する方法を模式的に示した説明図であり、(A)は起毛不織布を山折りした状態を示す図であり、(B)は(A)の起毛不織布に窓付きの黒い台紙を重ねた状態を示す図であり、(C)は黒い台紙の窓から起毛繊維を観察する様子を示す図である。 (A)及び(B)はそれぞれ、第1実施形態で用いられる起毛ロールの好ましい態様として、該起毛ロールの突起形成面付近の一部を拡大して示す断面図である。 第1実施形態における第3工程のプレス加工について、別の好ましい態様を示す断面図である。 本発明の繊維積層体の製造方法の別の好ましい一実施形態(第2実施形態)における製造工程の各工程について搬送方向に直交する方向(CD)からみた断面図であり、(A)は第1工程の起毛加工を示す断面図であり、(B)は第2工程の接着剤の塗工を示す断面図であり、(C)は第3工程のプレス加工を示す断面図であり、(D)は得られた繊維積層体を使い捨ておむつのウエスト開口部として適用し、これを体に装着した状態を模式的に示す断面図である。 (A)及び(B)はそれぞれ、第2実施形態で用いられる起毛ロールの好ましい態様として、該起毛ロールの突起形成面付近の一部を拡大して示す断面図である。 本発明の繊維積層体の製造方法のさらに別の好ましい一実施形態(第3実施形態)における製造工程の各工程について搬送方向に直交する方向(CD)からみた断面図であり、(A)は起毛加工の前に行う接着剤の塗工工程を示す断面図であり、(B)は(A)の接着剤塗工部の拡大図であり、(C)起毛加工を示す断面図であり、(D)は(C)により得られる起毛不織布を示す断面図である。 (A)は、第3実施形態における原料不織布の起毛する面の反対面について、接着剤の塗工パターンの1例(スパイラル塗工パターン)を一部拡大して示す平面図であり、(B)は、前記原料不織布の起毛する面について(A)に対応する領域の一部を更に拡大して示す平面図であり、(A)の塗工パターンで接着剤が塗工されたあとの起毛加工で得られた起毛領域及び非起毛領域の形成パターンを示しており、前記非起毛領域が前記接着剤のスパイラル塗工パターンに一致するパターンで形成され、該非起毛領域以外が前記起毛領域とされている様子を示す平面図である。 本発明に係る繊維積層体が適用される吸収性物品の好ましい一実施形態として示すパンツ型使い捨ておむつの斜視図である。 図10のパンツ型使い捨ておむつをサイドシール部で破断して展開し、肌当接面側から見た一部切欠展開平面図である。 従来の起毛不織布を吸収性物品に組み込む加工工程を示す図である。
本発明の繊維積層体の製造方法の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、図1から図5を参照しながら、以下に説明する。なお、本発明に係る繊維積層体は、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、尿とりパッド等の吸収性物品の構成部材に用いることが好適である。構成部材としては、代表的には、外装材、表面シート、裏面シート等があげられる。
第1実施形態の繊維積層体の製造方法は、
(1)面101(表面又は第一面ともいう)と該面101の反対側に位置する面102(反対面又は第二面ともいう)とを有する原料不織布(起毛する前の不織布)1の面101側に、構成繊維が起毛された起毛領域41と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域42とを形成する工程(第1工程7)と、
(2)非起毛領域42に対応する反対面102側に接着剤81を塗布する工程(第2工程8)と、
(3)接着剤81を介して反対面102と他の部材91とを接合し、押圧する工程(第3工程9)と
を有する。
第1工程7は、図1(C)の起毛加工72を有する。第1工程7は、起毛加工72のみからなるものでもよく、図1(A)及び(C)に示すように、部分延伸加工(プレ加工)71と起毛加工72とをこの順で行う二段階起毛加工であってもよい。肌触り良くやわらかい不織布を得る観点から、前記二段起毛加工で行うことがより好ましい。以下、本実施形態では、第1工程7を、この二段階起毛加工で行うものとして説明する。
まず、部分延伸加工71では、例えば原反ロール(図示せず)から帯状の原料不織布1を繰り出し、凹凸ロール74,75間に連続的に供給する。凹凸ロール74,75間では、互いの凹凸の噛み合わせにより原料不織布1を挟圧して、原料不織布1の複数個所に部分延伸加工を施し、原料不織布1にダメージを与える。帯状の原料不織布1の搬送には、例えば、凹凸ロール74,75の上流側及び下流側に設けた搬送ロール73,73によって行うことができる。凹凸ロール74,75としては、不織布を部分延伸のために通常用いられるものを特に制限なく採用できる。例えば、アルミニウム合金又は鋼鉄等の金属製の円筒形状のスチールマッチングエンボスローラーなどである。具体的には、ロール74の周面に設けられた複数個の凸部74Aとロール75の周面に設けられた複数個の凹部75Bとが、互いに噛み合うように形成されたものが挙げられる。複数個の凸部74Aは、例えばロール74の回転軸方向及び周方向にそれぞれ均一に且つ規則的に配される。一対の凹凸ロール74,75は、何れか一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転するようにしてもよい。なお、ロール75は、ロール74の凹凸に噛み合うように対応した凸部75Aと凹部75Bとの組み合わせでもよく、ロール74の凸部74Aに対応した凹部75Bのみがあるものであってもよい。
このようにして、凹凸ロール74が矢印F1の方向に、凹凸ロール75が矢印F2の方向に回転する。各凹凸ロールの回転時に互いの凸部と凹部とが原料不織布1を介在させて噛み合う。例えば図1(B)に示すように、凹凸ロール74の凸部74Aと凹凸ロール75の凹部75Bとが原料不織布1を介在させて噛み合う。同様に、図示しないが、凹凸ロール74の凹部74Bと凹凸ロール75の凸部75Aとが原料不織布1を介在させて噛み合う。これにより、原料不織布1は、部分的に搬送方向(MD:Machine Direction)及び搬送方向と直交する方向(CD:Cross Direction)に延伸される。
ロール74の各凸部74Aは、ロール74の周面から凸部74Aの頂点までの高さが、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。その上限は、10mm以下であることが好ましく、7mm以下であることがより好ましい。回転軸方向に隣り合う凸部74A同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましい。その上限は、20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。周方向に隣り合う凸部74A同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上であることが好ましく、1mm以上であることが更に好ましい。その上限は、20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることが更に好ましい。ロール74の各凸部74Aの頂部表面の形状に特に制限はなく、例えば、円形、多角形、楕円形等が用いられる。各凸部74Aの頂部表面の面積は、0.01mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましい。その上限は、500mm以下であることが好ましく、10mm2以下であることがより好ましい。ロール75の各凹部75Bは、ロール74の各凸部74Aに対応する位置に配されている。ロール74の各凸部74Aとロール75の各凹部75Bとの噛み合いの深さ(各凸部74Aと各凹部75Bとが重なっている部分の長さ)は、0.1mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましい。その上限は、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。
この部分延伸加工71により、原料不織布1の柔らかさが向上し、原料不織布1に起毛の起点が形成される。また、搬送方向(MD)及び搬送方向に直交する方向(CD)に延伸加工を施すことによって、第1工程7を経て得られる加工後の起毛不織布4の破断強度減少を方向別に抑えることができる。なお、部分延伸加工は、原料不織布1の構成繊維間で熱融着を起こさないことが柔らかさを創出する観点から好ましい。そのため、例えば、一対のロール74,75は、積極的に加熱をしないか、または原料不織布1を構成する繊維の成分のうち最も低い融点を示す成分の融点以下の温度で加工することが好ましい。特に、該融点よりさらに70℃以上低い温度で加工することがより好ましい。例えば、50℃以下の温度の条件下で行うことが好ましい。ここで、50℃以下の温度とは、凹凸ロール74,75に積極的に温度を掛けず、原料不織布1に延伸加工を施す際、常温であることを意味する。言い換えれば、原料不織布1に延伸加工を施す際に、不織布の構成繊維間で熱融着を起こしてしまい原料不織布1が硬くなることを防止する観点から、如何なる種類の構成繊維樹脂の融点よりも低い温度であることを意味する。尚、搬送方向に直交する方向(CD)は、上述したロールの回転軸方向と平行な方向であり、幅方向ともいう。
次いで起毛加工72では、図1(C)に示すように、部分延伸加工の施された原料不織布1を、搬送ロール76,76により、周面に起毛のための突起部79を有する起毛ロール(部分起毛ロール)77に搬送する。起毛ロール77は、その回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって回転する。起毛ロール77の回転により、部分延伸加工の施された原料不織布1の面101側の構成繊維が不織布の表面から起毛される。これにより、起毛繊維43を搬送方向(MD)に備える起毛不織布4が連続的に製造される。(図1(D)参照)。起毛繊維43は、起毛加工72により、原料不織布1の表面繊維が、他の繊維との融着固定端43Aを残しながら一部破断されたものである。すなわち起毛繊維43は、自由端43Bと固定端43Aとを備え、不織布の面方向に対して交差する方向に起立した繊維である。
起毛繊維43は、起毛不織布4の一方の面101全体に形成されるのではなく、部分的にパターン配置される。すなわち、起毛繊維43の配された起毛領域41と起毛繊維43の配されない非起毛領域42とがパターン配置される。本実施形態においては、図2(A)に示すように、起毛領域41と非起毛領域42とが幅方向(CD)に交互に配列されたパターン配置である。起毛領域41及び非起毛領域42はそれぞれ搬送方向(MD)に延在して形成されている。すなわち、起毛領域41及び非起毛領域42がそれぞれ搬送方向(MD)に延出してストライプ状に形成されている(図1(C)参照)。
上記の、起毛領域41及び非起毛領域42のパターン配置は、面101全体のふっくらとした柔らかい肌触りとする観点から、できるだけ全面に分散させた配置が好ましい。例えば、ストライプ状、破線状、千鳥状などが挙げられる。
また、起毛不織布4の面101における起毛領域41の面積率は、起毛不織布4全体の良好な肌触りを実現する観点から、30%以上が好ましく、40%以上が好ましく、50%以上が更に好ましい。また、後述の接着剤による他の部材との接合強度を確保する観点から、95%以下が好ましく、90%以下が好ましく、85%以下が更に好ましい。この割合は後述する起毛本数の測定方法に従い測定し、起毛本数4本/cm以下の領域を非起毛領域とし、5本/cm以上の領域を起毛領域とし、各領域の面積を算出して求める。
起毛領域41と非起毛領域42とは、前述のとおり起毛繊維43の有無で区分される。ただし、非起毛領域42において構成繊維の毛羽立ちを全く排除するものでななく、起毛繊維43の本数が4本/cm以下である領域と定義することができる。一方、起毛領域41は起毛繊維43の本数が5本/cm超である領域と定義できる。起毛領域41における起毛繊維43の本数は、起毛不織布4全体の良好な肌触りを実現する観点から、8本/cm以上が好ましく、12本/cm以上がより好ましく、20本/cm以上が更に好ましい。またその上限は、起毛後における十分な破断強度を保持する観点から、100本/cm以下が好ましく、70本/cm以下がより好ましく、50本/cm以下が更に好ましい。
(起毛した構成繊維の本数の測定方法)
上記の起毛繊維43の本数は以下の測定法により測定することができる。サンプリングおよび測定環境は22℃65%RH環境下にて行う。
まず、測定する不織布から、鋭利な刃物(かみそり)で、20cm×20cmの測定片を切り出し、図3(A)に示すように、測定片を起毛側が外向きになるように山折り(図3(A)の矢印の方向)して測定サンプル104を形成する。次に、この測定サンプル104をA4サイズの黒い台紙の上に載せ、図3(B)に示すように、さらにその上に、縦1cm×横1cmの窓107をあけたA4サイズの黒い台紙を重ねる。このとき、図3(B)に示すように、測定サンプル104の折り目105が、上側の黒い台紙の窓107から見えるように配置する。両台紙には、富士共和製紙株式会社の「ケンラン(黒)連量265g」を用いた。その後、上側の台紙の窓107の両側それぞれから、折り目105に沿って外方に5cmはなれた位置に、50gのおもりをそれぞれ載せ、測定サンプル104が完全に折りたたまれた状態を作る。
次に、図3(C)に示すように、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−900)を用いて、30倍の倍率で、台紙の窓107内を観察し、測定サンプル104の折り目105から0.2mm上方に平行移動した位置に形成される仮想線108よりも上方に起毛している起毛した繊維の本数を計測する。このとき測定する不織布において、起毛加工の施された部位の幅が1cm以上の場合は、起毛加工の施された部位を含むように、20cm×20cmの測定片を3片切り出して計測する。また、起毛加工の施された部位の幅が1cm以下の場合は、無作為に20cm×20cmの測定片を3片切り出して計測する。以上の操作を、測定する不織布に対して3枚分計測し、計9箇所の平均をとり、起毛した構成繊維の本数とする。
また、起毛した構成繊維の数を数える際には、例えば、図3(C)に示す繊維106aのように、折り目105から0.2mm上方にある仮想線108を2回横切る繊維がある場合、その繊維は2本と数える。具体的には、図3(C)に示す例では、仮想線108を1回横切る繊維が4本、仮想線108を2回横切る繊維106aが1本存在するが、2回横切る繊維106aは2本と数え、起毛した構成繊維の本数は6本となる。
起毛繊維43の起毛高さは、固定端43Aから自由端43B側の最も高い位置にある部分までの長さとして見たとき、起毛不織布4全体の良好な肌触りを実現する観点から、0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。またその上限は、毛羽立ちが嵩張る印象を与えないようにする観点から、2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい。この起毛高さは前述の(起毛した構成繊維の本数の測定方法)に準じて測定することができる。特に、上述したスパンボンド不織布を用いた場合には、加工後に得られるスパンボンド不織布の表面から起毛した不織布の構成繊維が短く、外観の美観を損ない難い。また、破断強度も十分確保でき、かつ、起毛による肌触りが優れたものとなる。
上記の第1工程7で得られる起毛不織布4は、厚みの薄い不織布でありながらふっくらとしたものとなる。これは下記の測定方法により得られる微小荷重時の圧縮特性値として表される。微小荷重とは、人が吸収性物品に触れる際の荷重に相当する荷重であり、0.29cN/cm(=0.30gf/cm)から0.98cN/cm(=1.00gf/cm)の間の荷重のことである。微小荷重時の圧縮特性値は、低い数値であるほど小さな荷重で潰れやすいことを示しており、起毛不織布4に触れた際の肌触りを感じる感覚(特にふっくら感)の良好さを表す。
起毛不織布4の微小荷重時の圧縮特性値は、ふっくら感のある肌触りを奏する観点から、17.6(cN/cm)/mm(=18(gf/cm)/mm)以下であることが好ましく、14.7(cN/cm)/mm(=15(gf/cm)/mm)以下であることが更に好ましい。下限値は特に制限されないが、製造上、1.0(cN/cm)/mm(=1.0(gf/cm)/mm)程度が実際的である。これに対し、加工処理を施す前の原料不織布1(坪量:5g/mから25g/m程度)の場合、その圧縮特性値は19.6(cN/cm)/mm(=20.0(gf/cm)/mm)以上29.4(cN/cm)/mm(=30.0(gf/cm)/mm)以下であり、起毛による圧縮特性の改善(ふっくら感の向上)が分かる。
(微小荷重時の圧縮特性値の測定方法)
測定は22℃65%RH環境下にて行う。微小荷重時の圧縮特性値の算出の元となるデータの測定はカトーテック株式会社製のKES FB3−AUTO−A(商品名)を用いることができる。起毛不織布4(又は原料不織布1)を20cm×20cmに3枚カットして測定サンプルを準備する。次にそのうちの1枚の測定サンプルを試験台に起毛面を上に向けて設置する(起毛してない場合、または両面が起毛している場合は両方測定して小さいほうを採用する)。次に、面積2cm2の円形平面をもつ鋼板間で圧縮する。圧縮速度20μm/sec、最大圧縮荷重9.80cN/cm(=10gf/cm2)、回復過程も同一速度で測定する。このとき、鋼板間の変位量をx(mm)とし、荷重をy(cN/cm)とし、荷重を検知した点の位置をx=0として圧縮方向に測定する。xの値は圧縮されるほど大きくなる。
微小荷重時の圧縮特性値は測定したデータ(x、y)より、微小荷重時の厚みの変形量を抽出して算出する。具体的には回復過程ではない一回目の、荷重が0.29cN/cm(=0.30gf/cm)から0.98cN/cm(=1.00gf/cm)の間の荷重とそのときの変形量のデータを抽出し、xとyの関係について近似直線を最小二乗法により求め、そのときの傾きを上記特性値とする(単位:(cN/cm)/mm)。1枚の測定サンプルで3箇所測定する。3枚のサンプル合計9箇所の測定を行う。9箇所それぞれの特性値を算出して、それらの平均値をその不織布の微小荷重時の圧縮特性値とする。
起毛加工72に用いられる起毛ロール77としては、不織布表面の構成繊維を起毛させるために通常用いられるものを特に制限なく採用できる。例えば、アルミニウム合金又は鋼鉄等の金属製の円筒形状のである。起毛ロール77の外周面78は、アルミナなどの金属粒子(研磨粒子)を用いたサンドブラスト処理が施されたものであることが好ましい。この処理により、外周面78には、原料不織布1の表面繊維を起毛させる突起部79が複数形成されている。
本実施形態において、突起部79の形成範囲は、起毛ロール77の外周面78全体に形成されるのではなく、前述の起毛領域41に合わせてパターン形成される。すなわち起毛領域41及び非起毛領域42の形成パターンに合わせて、起毛ロール77の外周面78に、突起部79のある突起形成面78Aと、突起部79のない平滑面78Bとが形成されている。本実施形態においては、図2(A)に示すとおり、5つの突起形成面78Aと6つの平滑面78Bとが、起毛ロール77の回転軸方向(=CD)に複数交互に配設されている。配設数はこれに限定されるものでなく任意に設定できる。
なお、平滑面78Bは、必ずしも凹凸が無い面を意味するものではなく、起毛に必要な高さの突起部79がない面を意味する。一方、突起形成面78Aは、起毛に必要な高さの突起部79が複数配設された面を意味し、後述の突起密度を満たさない部分があってもよい。
突起形成面78Aにおいては、突起部79と原料不織布1との接触点数を増やす観点から、突起密度が高いことが好ましい。具体的には、突起密度が1000個/cm以上であることが好ましく、1200個/cm以上であることがより好ましい。これにより、得られる起毛不織布4は、不織布平面方向における起毛密度が多くなり、肌触りが良くなる。また、その上限は、3000個/cm以下であることが好ましく、2500個/cm以下であることがより好ましい。これにより、不織布表面における繊維へ引っ掛かりやすく、起毛しやすくなる。
(突起密度の測定方法)
表面粗さ計「SJ−201」(商品名、ミツトヨ社製)を用いて、ロール表面を測定する。得られた粗さチャート(横軸:測定距離、縦軸:測定値)より、ゼロ点から上部に存在するピーク数をカウントし、測定面積(測定距離の2乗)で割って算出する。
突起部79は、例えば図4(A)に示すような起毛ロールの周面(平滑面78B)よりも突出するものとすることができる。また、回転軸方向に隣り合う突起部79同士の距離(ピッチ)は、0.1mm以上であることが好ましい。その上限は、50mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。周方向に隣り合う突起部79同士の距離(ピッチ)は、0.1mm以上であることが好ましい。その上限は、50mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましい。起毛ロール77の各突起部79の頂部表面の形状に特に制限はなく任意の形状を採用できる。特に、原料不織布1が破れないよう、鋭利でないことが好ましく、例えば、円形、多角形、楕円形等が好ましい。各突起部79の頂点表面の面積は、同様の観点から、0.001mm以上が好ましく、0.01mm以上がより好ましい。またその上限は、20mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
起毛ロール77において、突起部79は、図4(A)のように突起部79の頂点79Aが平滑面78Bの位置H1よりも高いものでもよく、図4(B)のように突起部79の頂点79Aが平滑面78Bの位置H1よりも低い位置にあるものでもよい。図4(B)の態様は、突起形成面78Aと平滑面78Bとの境界における原料不織布1の破れを回避する観点から好ましい。この場合、平滑面78Bで原料不織布1をしっかりと押さえ、原料不織布1が突起形成面78Aに食い込むようにして突起部79に接し、起毛が生じる。
図4(B)の態様における突起部79の頂点と平滑面78Bとの位置関係は、ロール軸を中心点とする半径として見ると、突起部79の頂点における半径が平滑面78Bにおける半径よりも小さいということもできる。図4(B)に示すような起毛ロール77は、例えば、平滑面78Bとなる部分を予めマスキングした状態で、突起形成面78Aとなる部分のみにサンドブラスト処理をすることにより得られる。
この起毛ロール77の突起形成面78Aは、ISO1997に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)が10.3μm以上であることが好ましく、且つISO1997に準拠して測定した最大粗さ(Rt)が135μm以下であることが好ましい。
また、突起形成面78Aは、ISO1997に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)が、肌触りを向上させるための起毛量を得る観点から、10.3μm以上であることが好ましく、12μm以上であることが更に好ましい。その上限は、繊維へのダメージを低減し紙粉状の繊維量を抑える観点から、17μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが更に好ましい。具体的には、10.3μm以上17μm以下であることが好ましく、12μm以上15μm以下であることが更に好ましい。なお、ISO1997に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)とは、平均線から評価曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。
さらに、突起形成面78Aは、ISO1997に準拠して測定した最大粗さ(Rt)が、不織布を必要以上に傷つけずに加工でき、紙粉状の繊維の発生を防止する観点から、80μm以上であることが好ましく、90μm以上であることが更に好ましい。そして、その上限は、同様の観点から、135μm以下であることが好ましく、127μm以下であることが更に好ましい。具体的には、80μm以上135μm以下であることが好ましく、90μm以上127μm以下であることが更に好ましい。なお、ISO1997に準拠して測定した最大粗さ(Rt)とは、評価長さ全体において、平均線から最も高い山頂までの高さと、最も深い谷底までの深さの和である。
また、突起形成面78Aは、ISO1997に準拠して測定した最大高さ(Rz)が、肌触りの向上および紙粉状の繊維量の低減の観点から、70μm以上であることが 好ましく、80μm以上であることが更に好ましい。そして、その上限は、同様の観点から、110μm以下であることが好ましく、95μm以下であることが更に好ましい。具体的には、70μm以上110μm以下であることが好ましく、80μm以上95μm以下であることが更に好ましい。なお、ISO1997に準拠して測定した最大高さ(Rz)とは、評価曲線を基準長さごとに区切り、各基準長さにおいて、平均線から最も高い山頂までの高さと、最も深い谷底までの深さとの和の平均値である。
上述した突起形成面78Aにおける算術平均粗さ(Ra)、最大粗さ(Rt)及び最大高さ(Rz)は、例えば、株式会社ミツトヨ製のサーフテストSJ−201(商品名)を用いて測定される。測定の際、フィルタには、ガウシアン(GAUSSIAN)を用いる。そして、検出器には、スタイラス先端R=5μm及び先端角度90°の形状、並びに測定力4mNを用いる。測定条件としては、規格条件をISO1997に設定し、カットオフ値(λc)2.5mm、測定長12.5mm、区間数(N)3に設定して測定する。また、Pre Length:ON、Profile:R、speed:0.5、GO/NG:Average、Pitch:1.5に設定して測定する。
また、効率的な起毛の観点から、起毛ロール77を原料不織布1の搬送速度V1と異なる周速度V2で回転させることが好ましい。具体的には、図1(C)に示すように、起毛ロール77の回転方向を、延伸加工の施された原料不織布1の搬送方向(MD)に対して逆方向(矢印F3の方向)に回転させることが好ましい。このように逆方向に回転させる場合には、V2/V1の値が0.3以上10以下であることが好ましく、V2>V1であることが更に好ましく、V2/V1の値が1.1以上10以下であることが更にいっそう好ましく、1.3以上5以下であることが、十分な起毛ができロールに繊維の絡みつきも少ないため、特に好ましい。逆方向に回転させ周速度に差があることで、より起毛量が増え肌触りが向上する。尚、起毛ロール77が逆方向でなく、延伸加工の施された原料不織布1の搬送方向に対して正方向である場合には、原料不織布1の搬送速度V1と起毛ロール77の周速度V2との関係を、V2/V1の値が1.1以上20以下であることが好ましく、1.3以上10以下であることが更に好ましく、1.3以上4以下であることが特に好ましい。ここで、起毛ロール77の速度は、凸ロール51の周面での周速度のことを意味する。
原料不織布1の構成繊維の一部を更に効率よく破断し、起毛繊維を更に効率よく形成する観点から、図1(B)のように、起毛ロール77よりも搬送ロール76の位置を高く設定することが好ましい。起毛される原料不織布1が起毛ロール77の接触面に、10°以上の抱き角αで接触していることが好ましく、30°以上の抱き角αで接触していることが更に好ましい。また、その上限は、180°以下の抱き角αで接触していることが好ましく、120°以下の抱き角αで接触していることが更に好ましい。これにより、不織布のネックインによる幅減少が抑えられる。
このような起毛ロール77によって、原料不織布1の面101の表面に、起毛繊維43の配された起毛領域41と起毛繊維43の配されない非起毛領域42とがパターン配置される(図2(A)参照)。
次いで第2工程8では、図2(B)に示すように、第1工程7で得られた起毛不織布4の反対面102側にホットメルト接着剤などの接着剤81を搬送方向(MD)に塗工する。具体的には、一方の面101側の非起毛領域42に対応する反対面102の領域を塗工領域44とし、塗工領域44にホットメルト接着剤等を塗工する。すなわち、裏面102に対し、搬送方向(MD)に延在する非起毛領域42に対応したパターンで接着剤81を塗工する。
このように、面102における接着剤81の塗工領域44を起毛した面101の非起毛領域42に一致させたことで、起毛繊維43への接着剤81の染み出しが抑えられる。すなわち、接着剤81が不織布の表面101側に浸透しても、非起毛領域42への浸透であり、起毛領域41にある起毛繊維43への接着剤81の付着が抑えられている。
塗工領域44における接着剤81の坪量は、他の部材との接合強度を高める観点から、1g/m以上が好ましく、2g/m以上がより好ましく、3g/m以上が更に好ましい。その上限は、裏抜けによるべたつき防止や貼り合わせ後の柔らかさの観点から、30g/m以下が好ましく、25g/m以下がより好ましく、20g/m以下が更に好ましい。
加えて、塗工領域44の面102に占める面積率は、他の部材との接合強度を高める観点から、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい。その上限は、やわらかさの観点から、90%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、50%以下が更に好ましい。
次いで第3工程9では、図2(C)に示すように、第2工程8で接着剤81を塗布した起毛不織布4の面102に他の部材91を積層する。ここで積層したものを繊維積層体92といい、繊維積層体92の起毛繊維43のある面を起毛表面92Aといい、起毛表面92Aと、他の部材を介して反対側に位置する面を単に裏面92Bという。
次いで、プレスロール93,94で、繊維積層体92を挟み込み、押圧する(プレス加工を行う。)。これにより、起毛不織布4と他の部材91との接合が強化される。第1実施形態では、プレスロール93は起毛表面92A側から押圧し、プレスロール94は裏面92B側から押圧する。プレスロール93は起毛繊維43に接触する。しかし、前述のとおり、第2工程8における接着剤81のパターン塗工により起毛繊維43への接着剤81の染み出しは抑えられている。これにより、起毛繊維43のプレスロール93への接着が生じ難く、起毛繊維43の引き抜きが抑えられる。プレス加工における起毛繊維43の引き抜きがたとえわずかな量であったとしても、該引き抜きの抑制効果は、連続製造ラインの汚染防止と製造精度の向上の観点から大きなものとなる。
その後、得られた繊維積層体92は、任意の大きさ及び形状に切り取られて、例えば前述した使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成部材として用いられる。使い捨ておむつにおける構成部材としては、例えば、外装材や表面材、レッグカフなどが挙げられる。この場合の他の部材91とは、例えば、内装材や吸収体、裏面材などである。
このように本実施形態の繊維積層体の製造方法によれば、起毛繊維43の抜けを抑えることができ、機械汚染を防止することができる。また、これにより得られる繊維積層体92では、起毛繊維43への接着剤81の付着が抑えられているので繊維の柔らかさが保持されている。さらに起毛繊維43の固定端43Aが接着剤に拘束されないので、動きの自由度が保持される。これらにより繊維積層体92では、起毛状態の乱れや倒伏が極力防止されて、毛並みが揃い柔らかに起毛した起毛表面92Aとなる。その結果、繊維積層体92では、起毛繊維43によりもたらされる起毛不織布4自体のふっくらとしたやわらかい肌触りが保持される。また、起毛領域41が起毛不織布4の全面に亘ってパターン形成されていると、起毛繊維43による肌触りが、繊維積層体92の起毛表面92A全体の柔らかさとして肌に伝わりやすく、接着剤81の剛性を意識させないようにすることもできる。
一方で、接着剤の塗工領域44は、起毛不織布4の非起毛領域42に一致させて、反対面102の全体に亘ってパターン形成されている。これにより、限られた塗工面積でありながら、起毛不織布4の反対面102全体を他の部材91にしっかりと接合できる。
このように得られた繊維積層体92は、接着剤81による剛性の高まりを抑えて柔らかく、かつ、繊維積層体の一体性が高いものとなっている。
さらに、得られた繊維積層体92は、起毛不織布4の起毛領域41に対応する反対面102と他の部材91との間が非接着であるので、両部材間に空気層を備える。この空気層が起毛領域41の起毛繊維43と相俟って、保温効果ないし断熱効果を奏する。
他方、前記空気層は、湿気等の通気路ともなり得る。この通気路は、接着剤の存在しない起毛領域41の繊維間空間によって外部へと繋がっている。この通気路となる空気層と起毛領域41とが重なることで、繊維積層体92は通気性(湿気排出性)を高める構造を備える。例えば、外力で繊維積層体92が歪むなどした際に、空気層の空気が押されて起毛領域41から排出される。
上記のプレス加工を経て得られた繊維積層体92では、起毛領域41における起毛繊維43の本数は、繊維積層体92全体の良好な肌触りを実現する観点から、8本/cm以上が好ましく、12本/cm以上がより好ましく、20本/cm以上が更に好ましい。またその上限は、繊維積層体92の十分な破断強度を保持する観点から、100本/cm以下が好ましく、70本/cm以下がより好ましく、50本/cm以下が更に好ましい。なお、この起毛繊維43の本数は、前述の(起毛した構成繊維の本数の測定方法)を用いて測定することができる。
また、得られた繊維積層体92の起毛表面92Aの微小荷重時の圧縮特性値は、ふっくら感のある肌触りを奏する観点から、17.6(cN/cm)/mm(=18(gf/cm)/mm)以下であることが好ましく、14.7(cN/cm)/mm(=15(gf/cm)/mm)以下であることが更に好ましい。下限値は特に制限されないが、製造上、1.0(cN/cm)/mm(=1.0(gf/cm)/mm)程度が実際的であり、それ以上が好ましい。なお、この起毛表面92Aの微小荷重時の圧縮特性値は、前述の(微小荷重時の圧縮特性値の測定方法)を用いて測定される。
上記のプレス加工において、接着剤81の塗工部分に対する押圧をより効率的に行う観点から、図5に示すようなプレスロール95を用いることもできる。プレスロール95は、前述のプレスロール94と同様に裏面92B側に配置される。プレスロース95は、複数の凸部95Aを有し、凸部95Aが他の部材91側から、接着剤81の塗工部分のみを押圧する。これにより、少ない圧力でもより効果的に接合強度を高めることができる。また、余計な押圧力が繊維積層体92に加わらないため、接着剤81の起毛領域41への拡散抑制の精度がより高められる。なお、プレスロール95の配置は上記の態様に限定されるものでなく、起毛表面92A側に配してもよく、起毛表面92A側及び裏面92B側の両方に配してもよい。
次に、本発明の繊維積層体の製造方法の別の好ましい一実施形態(第2実施形態)について、図6及び図7を参照しながら、以下に説明する。
第2実施形態においては、第1工程7で用いられる起毛ロール(部分起毛ロール)77の突起形成面78A及び平滑面78Bの配置パターンが第1実施形態とは異なる。すなわち、図6(A)が示すように、起毛ロール77の回転軸方向(=CD)の両端部に平滑面78Bが形成され、その間が突起形成面78Aとされるパターンである。これにより得られる起毛不織布4の面101には非起毛領域42が搬送方向(MD)の両側に形成される。該両側において、非起毛領域42が搬送方向(MD)に延在するように形成される。
用いられる起毛ロール77は、第1実施形態のものと同様に、アルミニウム合金又は鋼鉄等の金属製の円筒形状である。また、突起形成面78A及び平滑面78Bの配置パターンが異なるだけで、突起密度や突起部79の頂点表面の形状、突起部79の高さの好ましい範囲は同様に適用される。
さらに、第1実施形態のものと同様の理由により、起毛ロール77において、突起部79は、図7(A)のように突起部79の頂点79Aが平滑面78Bの位置H1よりも高いものでもよく、図7(B)のように突起部79の頂点79Aが平滑面78Bの位置H1よりも低い位置にあるものでもよい。図7(B)の態様は、突起形成面78Aと平滑面78Bとの境界における原料不織布1の破れを回避する観点から好ましい。この場合、回転軸方向の両端にある平滑面78Bで原料不織布1をしっかりと押さえ、原料不織布1が突起形成面78Aに食い込むようにして突起部79に接し、起毛が生じる。
加えて、突起形成面78Aにおける、ISO1997に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)、最大粗さ(Rt)及び最大高さ(Rz)についても、第1実施形態の好ましい範囲が適用される。
第2実施形態において、起毛不織布4の幅H1に対する、左右の非起毛領域42の形成幅H2の合計幅H3(=H2×2)の割合(H3/H1)は、後述の折り曲げ加工における折り曲げ幅にわせて適宜決めることができる。すなわち、製品の寸法に合わせて決められる折り曲げ幅に合わせて適宜決められる。前記割合(H3/H1)は、製品本体部分と折り返し部分との比であり、1/9〜5/5の範囲で決めることが実際的である。
次いで第2実施形態の第2工程8では、図6(B)に示すように、起毛不織布4の一方の面101側の非起毛領域42に対応する反対面102の領域を塗工領域44とする。この塗工領域44にホットメルト接着剤等を塗工する。すなわち、反対面102に対し、搬送方向(MD)に延在する非起毛領域42に対応したパターンで接着剤81を塗工する。このときの接着剤81の坪量は、第1実施形態と同様の好ましい範囲を適用することができる。一方、塗工領域44の面102に占める面積率は、上記の、起毛不織布4の幅H1に対する、左右の非起毛領域42の形成幅H2の合計幅H3(=H2×2)の割合(H3/H1)に応じて決められる。
次いで、図6(C)に示すように、折り返し加工を連続的に行う。具体的には、折り返しガイド96を用いて、搬送方向(MD)の両側の非起毛領域42の配された部分、すなわち塗工領域44の部分を、搬送方向(MD)に沿って連続的に裏面102側に折り返す(この折り返された部分を折り返し部45,45という。)。その際、予め起毛不織布4の反対面102側に他の部材91を積層させておき、上記の折り返し部45,45で挟持させる。そして、折り返し部45の、一方の面101の反対面102、すなわち折り返し部45の他の部材91との対向面45Aが、接着剤81を介して他の部材91と接合される。これにより、折り返し部45,45を備えた繊維積層体97が得られる。
このとき、折り返し部45と折り返されない起毛不織布4の起毛本体部46との境界(折り返し線)G1は、起毛領域41と非起毛領域42との境界G2に一致ささてもよく、起毛領域41と非起毛領域42との境界よりも非起毛領域42側に設けてもよい。折り返しガイド96による擦り力が起毛繊維43に伝わらないようにするため、折り返し線G1は、起毛領域41と非起毛領域42との境界よりも非起毛領域42側に設けることが好ましい。いずれの場合も、繊維積層体97の起毛本体部46における起毛表面97Aは、起毛繊維によるふんわりとした柔らかな肌触りとなる。一方、折り返し部45では起毛繊維43は配されず、肌への作用は抑えられている。
その後、得られた繊維積層体97は、任意の大きさ及び形状に切り取られて、例えば前述した使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成部材として用いられる。使い捨ておむつにおける構成部材としては、例えば、外装材や表面材、レッグカフなどが挙げられる。なお、他の部材91とは、例えば、内層材や吸収体、裏面材などである。
このように第2実施形態の繊維積層体の製造方法によれは、折り返しガイド96は非起毛領域42に対して折り返しを行うので起毛繊維43に触れることがない。そのため、たとえ、折り返しガイド96が起毛不織布4の搬送方向(MD)方向に沿って連続的に擦り力を加えても、起毛繊維43の抜けが抑えられる。これにより機械汚染が防止される。また、折り返しガイド96による折り曲げ応力は折り返し部45のみに及ぶため、起毛本体部46への接着剤81の染み出しは生じ難い。これにより得られる繊維積層体97では、起毛繊維43への接着剤81の付着が抑えられているので繊維の柔らかさが保持されている。さらに起毛繊維43の固定端43Aが接着剤に拘束されないので、動きの自由度が保持される。これらにより繊維積層体97では、起毛状態の乱れや倒伏が極力防止されて、毛並みが揃い柔らかに起毛した起毛表面97Aとなる。その結果、繊維積層体97では、起毛繊維43によりもたらされる起毛不織布4自体のふっくらとしたやわらかい肌触りが保持される。
第2実施形態では、折り返し加工の後、折り返し部分の全体がプレスロールによる加圧を受ける(図示せず)。すなわち、第1実施形態の第3工程9と同様の加圧を受ける。前述のおとり、接着剤81は、非起毛領域42である折り返し部45の他の部材91との対向面45Aにある。そのため、上記のプレス時には、他の部材の介在により、接着剤81の起毛領域41への浸透が回避される。これにより、起毛繊維43のプレスロールへの接着が生じ難く、起毛繊維43の引き抜きが抑えられる。
このようにして得られた繊維積層体97は、例えば使い捨ておむつなどの外装体として用いることができる。この場合、折り返し部45が肌Mに触れるウエスト開口部(図6(D)参照)となる。
次に、本発明の繊維積層体の製造方法のさらに別の好ましい一実施形態(第3実施形態)について、図8及び図9を参照しながら、以下に説明する。
第3実施形態では、図8(A)に示すように、第1実施形態における起毛加工72の前に、第2工程8の接着剤81のパターン塗工を行う。すなわち、起毛領域41及び非起毛領域42のパターン形成を行う前に、予め原料不織布1の、起毛される一方の面101の反対面102に接着剤を塗工する。このとき、接着剤81の塗工パターン(塗工領域44のパターン)は、求める非起毛領域42のパターンに一致させる。この塗工のパターンは、種々のパターンとすることができ、例えば図8(A)に示すように、第1実施形態と同様に幅方向(CD)に等間隔で離間配置してもよい。また、接着剤81は線状に種々の図柄を描くように塗工することもでき、複雑な塗工パターンを形成することも可能である。
原料不織布1の面102に塗布した接着剤81は、原料不織布1の内部に浸透し表面101側へと染み出すこととなる。これにより、塗工領域44に対応する表面101では、接着剤81で構成繊維同士が接着固定されている(図8(B)参照)。
このときの接着剤81の坪量は、他の部材との接合強度を高める観点から、1g/m以上が好ましく、2g/m以上がより好ましく、3g/m以上が更に好ましい。その上限は、表面101側への染み出し量を適度に抑える観点から、30g/m以下が好ましく、25g/m以下がより好ましく、20g/m以下が更に好ましい。
一方、塗工領域44の面102に占める面積率は、他の部材との接合強度を高める観点から、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。その上限は、柔らかさの観点から、70%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
第3実施形態において、起毛加工72の前に部分延伸加工71を行う場合、接着剤81のパターン塗工の実施は、部分延伸加工71の前でもよく、部分延伸加工71の後でもよい。接着剤81のパターン塗工の後に部分延伸加工71を行う場合、接着剤81による繊維同士の接着固定が生じた部分については、部分延伸がされず起毛の起点が生じにくい。これにより、非起毛領域42がより明確に形成されやすくなる。一方、部分延伸加工71の後に接着剤81のパターン塗工を行う場合でも、接着剤81による繊維同士の接着固定によって繊維が起毛ロールに引っ掛かりにくいため、非起毛領域42は明確に形成することができる。接着剤の付着を考量すれば、部分延伸加工71の後に接着剤81を塗工することが実際的である。
次いで第3実施形態では、図8(C)に示すように、起毛ロール(全面起毛ロール)77Bを用いて原料不織布1の一方の面101に起毛加工72を行う。前述のとおり、接着剤81による繊維間の接合によって繊維が起毛ロール77Bに引っ掛かりにくいため、接着剤81の塗工パターンを避けて、起毛領域41がパターン形成される(図8(D)参照)。そして、前記塗工パターンにあわせて非起毛領域42が形成される。なお第3実施形態においては、非起毛領域42では、接着剤によって起毛が生じにくくされている領域であり、起毛繊維43の本数が4本/cm以下である領域と定義することができる。一方、起毛領域41は起毛繊維43の本数が5本/cm超である領域と定義できる。この起毛繊維43の本数は、前述した(起毛した構成繊維の本数の測定方法)に基づいて測定される。
用いられる起毛ロール77Bは、第1実施形態のものと同様に、アルミニウム合金又は鋼鉄等の金属製の円筒形状である。また、第3実施形態の起毛ロール77Bは、ロール周面全体が突起形成面からなり、平滑面78Bを有さない。平滑面78Bを有さないこと以外は、突起密度や突起部79の頂点表面の形状、突起部79の高さの好ましい範囲は同様に適用される。
加えて、突起形成面78Aにおける、ISO1997に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)、最大粗さ(Rt)及び最大高さ(Rz)についても、第1実施形態の好ましい範囲が適用される。
このように、第3実施形態においては、接着剤81が塗工されずに残った領域で起毛されることになる(図8(D)参照)。接着剤81の塗工領域44は接着剤を線状にするなどして種々の複雑なパターンなども設定できる。そのため、塗工領域44のパターンは、第1実施形態のように起毛ロール77で先に起毛領域を形成した結果得られる非起毛領域よりも細かいパターンとすることができ、設定の自由度が高い。その結果、第3実施形態では、起毛不織布4の起毛領域41及び非起毛領域42の配置パターンの設定の自由度が高く、複雑な入り組んだパターンなどにすることも可能となる。
例えば、図9(A)に示すように、スパイラル状の線を描くように接着剤を塗工するパターンがある。この塗工パターンでは、図9(B)に示すように、接着剤の塗工線に沿って非起毛領域42が形成され、これを除く全てが起毛領域41となる。すなわち、必要な接着面積を確保しつつ、起毛領域41を最大限まで増やすことができる。
次いで第3実施形態では、図示しないが、接着剤81を塗布した後に起毛加工を施した起毛不織布4の反対面102に他の部材91を積層して、繊維積層体92を得る。次いで、プレスロールで、繊維積層体92を挟み込み、押圧(プレス加工)し、起毛不織布4と他の部材91との接合が強化される。このとき、接着剤81のパターン塗工により起毛繊維43への接着剤81の付着は抑えられている。これにより、起毛繊維43のプレスロールへの接着が生じ難く、起毛繊維43の引き抜きが抑えられる。
その後、得られた繊維積層体92は、第1実施形態と同様に、任意の大きさ及び形状に切り取られて、例えば前述した使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成部材として用いられる。使い捨ておむつにおける構成部材としては、例えば、外装材や表面材、レッグカフなどが挙げられる。この場合の他の部材91とは、例えば、内層材や吸収体、裏面材などである。
このように第3実施形態の繊維積層体の製造方法によれば、起毛繊維43の抜けを抑えることができ、機械汚染を防止することができる。また、これにより得られる繊維積層体92では、起毛繊維43への接着剤81の付着が抑えられているので繊維の柔らかさが保持されている。さらに起毛繊維43の固定端43Aが接着剤に拘束されないので、動きの自由度が保持される。これらにより繊維積層体92では、起毛状態の乱れや倒伏が極力防止されて、毛並みが揃い柔らかに起毛した起毛表面92Aとなる。その結果、繊維積層体92では、起毛繊維43によりもたらされる起毛不織布4自体のふっくらとしたやわらかい肌触りが保持される。
特に、起毛領域41が起毛不織布4の全面に亘って最大限増やされ、パターン形成されているので、繊維積層体92の起毛表面92A全体のふんわりとした柔らかな肌触りがさらに高いものとなる。
一方で、接着剤の塗工領域44は、面102の全体に亘って、例えばスパイラルの線状にパターン形成されているので、限られた塗工面積でありながら、起毛不織布4と他の部材91との接合強度がさらに確かなものとなる。すなわち、得られた繊維積層体92は、接着剤81による剛性の高まりが最小限にされて柔らかく、積層体の一体性がより高いものとなっている。
さらに、得られた繊維積層体92は、第1実施形態と同様に、保温効果ないし断熱効果、通気性の高いものとなる。
本発明において、上記の第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態を適宜選択して組み合わせたものとすることができる。
また、起毛加工に用いた起毛ロールは、前述のサンドブラスト処理されたものに限らず、互いに噛み合う歯溝が周面に設けられた一対の歯溝ロールや、ローレット加工したロール、溶射加工したロール、カードワイヤーでもよい。また摩擦抵抗のある素材を周面に設けたロールを備えていてもよい。前記ロールの周面に設けられる摩擦抵抗のある素材としては、ゴムやサンドペーパー等が挙げられる。さらに、部分延伸加工を行わず起毛加工のみで起毛させてもよく、部分延伸加工及び起毛加工の2段階で起毛させてもよい。2段階で行う場合、部分延伸加工と起毛加工は連続して行ってもよく、逐次に行っても良い。本発明の繊維積層体の製造方法によれば、起毛加工後、起毛した繊維がいったんは潰れても、その後巻きだした際、手に触れたりなどして潰れた起毛繊維が起き、肌触りのよい不織布および吸収性物品が得られる。
本発明で用いられる原料不織布1としては、種々のものを特に制限なく用いることができる。例えば、スパンボンド不織布、スパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布を用いることができ、あるいはトウの状態の連続長繊維からなる不織布を用いることができる。安価で、破断強度が高くて加工適正優れ、しかも薄いことで吸収性物品のスリム化に資する観点から、スパンボンド不織布が好ましい。尚、上記の積層不織布の場合には、スパンボンドの層をメルトブローンの層の表面及び裏面のいずれか又は両面に配した不織布であることが好ましい。スパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布は、その全体が、再生ポリプロピレン樹脂を25重量%以上含んだポリプロピレン樹脂からなる繊維から構成されていることが好ましい。また上記トウの状態の連続長繊維は、その太さが、5μmから30μmであることが好ましく、10μmから20μmであることが更に好ましい。
原料不織布1は、安価でかつ、良好な肌触り感が得られ、更に加工適正の観点から、その坪量が、10g/m以上であることが好ましく、そして、100g/m以下であることが好ましく、25g/m以下であることが更に好ましい。原料不織布1の有する熱圧着部である複数個の熱融着部は、例えば、エンボス凸ロールとフラットロールなどによる熱圧着により間欠的に形成されたものや、超音波融着により形成されたもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させて形成されたものなどがあげられる。この中で熱圧着により形成されたものが起毛させやすい点で好ましい。熱融着部の形状は、特に制限されず、例えば、円形、菱形、三角形、楕円等の任意の形状であってもよい。原料不織布1の一面の表面積に占める熱融着部の合計面積の割合は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることが更に好ましく、そして、30%以下であることが好ましく、20%以下であることが、毛玉が出来にくい点で更に好ましい。
スパンボンド不織布を用いる場合、スパンボンド不織布の有するエンボスによる複数個の熱融着部は、各熱融着部の面積が、0.05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、1mm以下であることが更に好ましい。前記熱融着部の数は、10個/cm以上であることが好ましく、35個/cm以上であることが更に好ましく、そして、250個/cm以下であることが好ましく、65個/cm以下であることが更に好ましい。
また、スパンボンド不織布は、単層のものでもよく、複数層積層されたものでもよい。
スパンボンド不織布を用いる場合、スパンボンド不織布を構成する構成繊維は、熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ビニル系樹脂、ビニリデン系樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。ポリアミド系樹脂としてはナイロン等が挙げられる。ビニル系樹脂としてはポリ塩化ビニル等が挙げられる。ビニリデン系樹脂としてはポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。これら各種樹脂の変成物や混合物等を用いることもできる。前記構成繊維の線径は、部分延伸加工前において、5μmから30μmであることが好ましく、10μmから20μmであることが更に好ましい。
本発明の繊維積層体は、各種用途に用いることができる。例えば、前述した使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、尿とりパッド等の吸収性物品の構成部材に加え、さらに、おしり拭きシート、清掃シート、フィルタとして利用する形態も挙げられる。
本発明に係る吸収性物品の好ましい1実施形態としてパンツ型使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。まず、図10及び図11を参照して本実施形態の展開型使い捨ておむつ200(以下、おむつ200ともいう)の概要を説明する。
本明細書においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌当接面側といい、これと反対側を非肌当接面側という。装着時に装着者の腹側部から排泄部対応領域を介して背側部に亘る方向を、吸収性物品の長手方向(Y方向)という。この長手方向と直交する方向を幅方向(X方向)という。また、吸収性物品の長手方向及び幅方向に垂直な方向を厚み方向といい、厚み方向における長さを厚みという。
図10及び図11に示すように、本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ200(以下、単におむつ200ともいう。)は、外装材201とその肌面に配される吸収性本体202とを備えている。外装体201は、おむつ200の外形をなし、着用者の腹側に配される腹側部F、着用者の背側に配される背側部R、及び腹側部Fと背側部Rとの間に位置する股下部Cを有する。腹側部Fと背側部Rとが股下部Cを折り返し軸として向かい合わせにされ、両側のサイドシール部203,203で接合されて環状の胴回り部Dをなす。これにより、おむつ200は、胴回り部Dの上端が開放されたウエスト開口部204と、胴回り部Dの下方の股下部Cの両側が開放された一対のレッグ開口部205,205とを有する。サイドシール部203は、ヒートシール、超音波シール等の任意の方法により形成される。
吸収性本体202は、構成部材として、液透過性の表面シート211、液難透過性の裏面シート212及び両シート間に介在配置される吸収性コア213を有する。さらに表面シート212の肌当接面側の両側部には、サイドシート214が吸収性本体202の長手方向に沿うように配されている。サイドシート214は表面シート211の幅方向外方に延出してその非肌当接面側に捲き下げられ、吸収性コア213と裏面シート212との間又は裏面シート212の非肌当接面側に接合固定されている。
外装体201は、部材の厚み方向に見て、外層シート221と内層シート222とを積層して形成されている。外層シート221は外装体2の非肌当接面側に位置し、内層シート222は外装体201の肌当接面側に位置する。おむつ200の股下部C両側には、外層シート221と内層シート222との間にレッグギャザー形成用弾性部材223が伸長状態で配置固定されている。これによりレッグ開口部205の周囲にレッグギャザーが形成され、おむつ200が着用者の足回りに密着できるようにされている。
外層シート221は、ウエスト開口部204の開口端縁204Aから肌当接面側へと折り返されて内側シート222と接合された折り返し部224,224を有する。外層シートは、折り返し部224を含めたウエスト開口部204周辺において、伸縮性シートからなる。該伸縮性シートは、着用者の胴回り方向、すなわち外装体2の幅方向(X方向)に伸縮性を有する。これにより、ウエスト開口部204にギャザーが形成され、おむつ200が着用者のウエスト回りに密着できるようにされている。この伸縮性シートに代えて、折り返し部224と外層シート221又は内層シート222との間に弾性部材を配してもよい。
本発明の繊維積層体は、例えば、この外装体201に適用することができる。この場合、繊維積層体92又は97の起毛不織布4が外層シート221となり、他の部材91が内層シート222となる。すなわち、繊維積層体92又は97の起毛表面92A又は97Aが、外装シート208の外表面となり、使い捨ておむつ200の外表面となる。これにより、使い捨ておむつ200の外側はふんわりとした柔らかな肌触りおよび風合いのあるものとなる。
おむつ200において、繊維積層体の起毛表面側を外層シート221側とし裏面側を内層シート222側とする構成のほか、下腹部に当接する内層シート222側にも起毛面が配置されるような構成でもよい。この場合、下腹部との間で保温効果が高まる。そのほか、おむつ200の表面シートやレッグカフの部材に本発明に係る繊維積層体を適用してもよい。
おむつ200を構成する部材としては、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。また、さらに機能的な構造部材やシート部材等を設けてもよい。
吸収性本体202をなす表面シート211は、肌触りが良く液透過性の部材からなり、例えば、親水性不織布が好ましく、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布が挙げられる。その不織布の繊維は、ポリプロピレンの単繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの複合繊維等で親水化処理が施された繊維が好ましい。また、表面シート211の股下部分には、表面シート211の非肌当接面側に親水性穴開きフィルムや親水性不織布が部分的に重ねられていてもよい。
裏面シート212は、防水性があり透湿性を有していれば特に限定されないが、吸収体3の非肌当接面側で液漏れを防ぐ観点から、液難透過性の部材からなる。例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラーまたは相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、フィルムを一軸または二軸延伸して得られる液不透過性の多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンとしては、高密度ないし低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有することが好ましい。
吸収性コア213は、液保持性を有するものであれば、通常吸収性物品に用いられるものを用いることができる。例えば、繊維集合体またはこれと吸水性ポリマーとを併用させたもの等が挙げられる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水化処理を施したもの)等が挙げられる。パルプ繊維としては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維などが挙げられる。その他、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を一部に含んでもよい。坪量は特に限定されないが、上述した通りである。吸水性ポリマーとしては、この種の物品に通常使用されている各種のポリマー材料を用いることがでる。吸水性ポリマーは、自重の20倍以上の水又は生理食塩水を吸収し保持し得る性能を有するような超吸収性高分子化合物であることが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の繊維積層体の製造方法、繊維積層体繊、及び該繊維積層体を用いた吸収性物品を開示する。
<1>
原料不織布の一方の面に、構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを形成する工程と、前記非起毛領域に対応する前記一方の面の反対面に接着剤を塗布する工程と、該接着剤を介して前記反対面と他の部材とを接合し、押圧する工程とを有する繊維積層体の製造方法。
<2>
前記非起毛領域が、前記一方の面において所定のパターンで形成される前記<1>に記載の繊維積層体の製造方法。
<3>
前記非起毛領域に対応する前記反対面に接着剤を塗布する工程の後、前記非起毛領域の配された部分を前記反対面側に向けて折り返して他の部材を挟持させ、前記接着剤で接合し、前記押圧する工程を実施する前記<1>又は<2>に記載の繊維積層体の製造方法。
<4>
前記非起毛領域が、前記不織布の搬送方向の両側部に形成される前記<3>に記載の繊維積層体の製造方法。
<5>
前記起毛領域及び非起毛領域の形成は、ロール周面に、突起部のある突起形成面と突起部のない平滑面とを有する起毛ロールを用いてなされる前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<6>
前記起毛ロールは、前記起毛領域及び非起毛領域に合わせて、前記突起形成面と前記平滑面とを有する前記<5>に記載の繊維積層体の製造方法。
<7>
前記平滑面が前記起毛ロールの軸方向におけるロール周面の両端部に配されている、前記<5>又は<6>に記載の繊維積層体の製造方法。
<8>
前記突起形成面の突起部における頂点が前記平滑面よりもロール周面において低い位置にある前記<5>〜<7>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<9>
原料不織布の起毛する面の反対面に、所定の塗工パターンを形成するように接着剤を塗布し、前記起毛する面側から、ロール周面に突起形成面を有する起毛ロールによって前記原料不織布の表面を擦り、所定の起毛パターンの起毛領域を形成する繊維積層体の製造方法。
<10>
前記起毛ロールのロール周面全体が突起形成面からなる前記<9>に記載の繊維積層体の製造方法。
<11>
前記突起形成面は、ISO1997に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)が10.3μm以上であり、且つ、ISO1997に準拠して測定した最大粗さ(Rt)が135μm以下である、前記<5>〜<10>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<12>
前記突起形成面の突起密度は、1000個/cm以上であることが好ましく、1200個/cm以上であることがより好ましく、3000個/cm以下であることが好ましく、2500個/cm以下であることがより好ましい、前記<5>〜<11>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<13>
前記突起部の頂点表面の形状が、円形、多角形及び楕円形のいずれかである、前記<5>〜<12>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<14>
各突起部の頂点表面の面積は0.001mm以上が好ましく、0.01mm以上がより好ましく、20mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい、前記<5>〜<13>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<15>
前記突起形成面は、ISO1997に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)が、10.3μm以上であることが好ましく、12μm以上であることが更に好ましく、17μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが更に好まし、前記<5>〜<14>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<16>
前記突起形成面は、ISO1997に準拠して測定した最大粗さ(Rt)が、80μm以上であることが好ましく、90μm以上であることが更に好ましく、135μm以下であることが好ましく、127μm以下であることが更に好ましい、前記<5>〜<15>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<17>
前記起毛ロールを原料不織布の搬送速度V1と異なる周速度V2で回転させる、前記<5>〜<16>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<18>
前記起毛ロールの回転方向を、原料不織布の搬送方向に対して逆方向に回転させる、前記<5>〜<17>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<19>
前記起毛ロールの週速度V2の原料不織布の搬送速度V1に対する比V2/V1が、0.3以上10以下であることが好ましく、V2>V1であることが更に好ましく、V2/V1の値が1.1以上10以下であることが更にいっそう好ましく、1.3以上5以下であることが、特に好ましい、前記<5>〜<18>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<20>
前記起毛ロールの回転方向が原料不織布の搬送方向に対して正方向であり、前記起毛ロールの週速度V2の原料不織布の搬送速度V1に対する比V2/V1が、1.1以上20以下であることが好ましく、1.3以上10以下であることが更に好ましく、1.3以上4以下であることが特に好ましい、前記<5>〜<19>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<21>
起毛領域と非起毛領域とを形成する工程が、部分延伸加工と起毛加工とをこの順で行う二段階起毛加工でなされ、前記部分延伸加工は50℃以下の温度の条件下で行う、前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<22>
起毛領域と非起毛領域とを形成する工程が、部分延伸加工と起毛加工とをこの順で行う二段階起毛加工でなされ、前記部分延伸加工は、原料不織布の構成繊維樹脂の融点よりも低い温度行う、前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法。
<23>
前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法により製造された繊維積層体。
<24>
構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを一方の面に有する不織布が、前記一方の面の反対面において他の部材と積層された繊維積層体であって、前記反対面が、前記非起毛領域に対応する位置で接着剤を介して前記他の部材と接合されている繊維積層体。
<25>
前記非起毛領域が、前記表面において所定のパターンで形成されている前記<24>に記載の繊維積層体。
<26>
一方の面に構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを有する不織布が前記一方の面の反対面側に部分的に折り返されて他の部材を挟持し、該折り返された部分の前記一方の面が非起毛領域となっており、該折り返された部分の前記他の部材との対向面が該他の部材と接着剤を介して接合されている繊維積層体。
<27>
前記起毛領域における起毛された繊維は、原料不織布の表面繊維が、他の繊維との融着固定端を残しながら一部破断されたものである、前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<26>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<28>
前記起毛領域における起毛された繊維は、自由端と固定端とを備え、不織布の面方向に対して交差する方向に起立した繊維である、前記<1>〜<22>及び<27>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<27>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<29>
前記起毛領域と非起毛領域とを形成した面における前記起毛領域の面積率は、30%以上が好ましく、40%以上が好ましく、50%以上が更に好ましく、95%以下が好ましく、90%以下が好ましく、85%以下が更に好ましい、前記<1>〜<22>、<27>及び<28>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<28>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<30>
前記非起毛領域は、起毛された繊維の本数が4本/cm以下である、前記<1>〜<22>及び<27>〜<29>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<29>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<31>
起毛された繊維の起毛高さは、固定端から自由端側の最も高い位置にある部分までの長さとして見たとき、0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好まし、前記<1>〜<22>及び<27>〜<30>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<30>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<32>
前記接着剤の坪量は、1g/m以上が好ましく、2g/m以上がより好ましく、3g/m以上が更に好ましく、30g/m以下が好ましく、25g/m以下がより好ましく、20g/m以下が更に好ましい、前記<1>〜<22>及び<27>〜<31>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<31>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<33>
前記反対面における接着剤の塗工領域の面積率は、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましく、90%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、50%以下が更に好ましい、前記<1>〜<22>及び<27>〜<32>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<32>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<34>
前記繊維積層体において、起毛領域における起毛した繊維の本数は、8本/cm以上が好ましく、12本/cm以上がより好ましく、20本/cm以上が更に好ましく、100本/cm以下が好ましく、70本/cm以下がより好ましく、50本/cm以下が更に好ましい、前記<1>〜<22>及び<27>〜<33>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<33>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<35>
前記繊維積層体の起毛表面の微小荷重時の圧縮特性値は、17.6(cN/cm)/mm以下であることが好ましく、14.7(cN/cm)/mm以下であることが更に好ましく、1.0(cN/cm)/mm以上が好ましい、前記<1>〜<22>及び<27>〜<34>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<34>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<36>
前記原料不織布は、スパンボンド不織布、スパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布、又はトウの状態の連続長繊維からなる不織布である、前記<1>〜<22>及び<27>〜<35>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<35>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<37>
前記原料不織布は、その坪量が、10g/m以上であることが好ましく、そして、100g/m以下であることが好ましく、25g/m2以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<22>及び<27>〜<36>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<36>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<38>
前記原料不織布がスパンボンド不織布であり、該スパンボンド不織布の有するエンボスによる複数個の熱融着部は、各熱融着部の面積が、0.05mm2以上であることが好ましく、0.1mm2以上であることが好ましく、10mm2以下であることが好ましく、1mm2以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<22>及び<27>〜<37>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<37>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<39>
前記原料不織布がスパンボンド不織布であり、該スパンボンド不織布の有するエンボスによる熱融着部の数は、10個/cm以上であることが好ましく、35個/cm以上であることが好ましく、そして、250個/cm2以下であることが好ましく、65個/cm2以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<22>及び<27>〜<38>のいずれか1に記載の繊維積層体の製造方法、又は、前記<23>〜<38>のいずれか1に記載の繊維積層体。
<40>
前記<23>〜<39>のいずれか1に記載の繊維積層体を用いてなる吸収性物品。

<41>
前記<23>〜<39>のいずれか1に記載の前記繊維積層体が外装材に用いられてなる吸収性物品。
<42>
前記<23>〜<39>のいずれか1に記載の繊維積層体を用いてなる、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド又は尿とりパッド。
<43>
前記<23>〜<39>のいずれか1に記載の繊維積層体を、使い捨ておむつの外装体として用い、前記折り返し部がウエスト開口部となる、使い捨ておむつ。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において組成を示す「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
次のようにして、図1及び図2に示す第1実施形態の繊維積層体の製造を行った。
まず、原料不織布1として、繊度1.8dtexのポリプロピレン樹脂を構成材料とする坪量17g/mのスパンボンド不織布を用いた。この原料不織布1の面101側の表面積に占める熱融着部の合計面積の割合は、18%であった。
この原料不織布1を用いて、図1及び図2に示す第1工程7、第2工程8及び第3工程9を行った。第1工程7では、起毛ロール(部分起毛ロール)77を用いて、原料不織布1の面101に対し、起毛領域41を原料不織布1の幅方向(CD)の中央に形成した。また、非起毛領域42を幅方向(CD)の両端部に1対形成した。これにより起毛不織布4を得た。この起毛不織布4の面101における起毛領域41の面積率は71%であった。
起毛ロール77の突起形成面78Aの算術平均粗さ(Ra)は13.57μm、最大粗さ(Rt)は123.13μmであった。このような突起部79の頂点は、図4(B)に示すように平滑面78Bの位置H1よりも低い位置に配されていた。
次いで、第2工程8では、非起毛領域42に対応する面102を塗工領域44とし、該塗工領域44に対しホットメルト接着剤を搬送方向(MD)に塗工した。ホットメルト接着剤の塗工形状としはストライプ形状とした。塗工領域44におけるホットメルト接着剤の坪量は2.5g/mであった。また塗工領域44の面102に占める面積率は50%であった。
次いで、第3工程8では、他の部材として内層材を用い、これを起毛不織布4の面102側に積層し、プレスロール93,94で押圧した。このプレスロール93,94では全面押圧を行った。これにより、実施例1の繊維積層体の試料S1を得た。
(実施例2)
次のようにして、図6に示す第2実施形態の繊維積層体の製造を行った。
まず、実施例1と同様の原料不織布1を用い、実施例1と同様に第1工程7及び第2工程8を実施した。起毛ロール77の突起形成面78Aの算術平均粗さ(Ra)は、実施例と同様に13.57μm、最大粗さ(Rt)は123.13μmであった。
次いで、折り返しガイド96を用いて、原料不織布1を幅方向(CD)の両端部の非起毛領域42(=接着剤の塗工領域44)を面102側に折り返した。その際、積層し挟持させた他の部材は、内層材として起毛加工前の原料不織布1と同じものを用いた。これにより、実施例2の繊維積層体の試料S2を得た。
(実施例3)
次のようにして、実施例1と同様の原料不織布1を用い、図8及び図9に示す第3実施形態の繊維積層体の製造を行った。
この原料不織布1を用いて、まず、実施例1と同様の部分延伸加工(図1(A)参照)を行った。次いで、図8(A)及び図9(A)に示す接着剤の塗工を行った。原料不織布1の面102における、幅方向(CD)の両端部を塗工領域44とし、該塗工領域44に対しホットメルト接着剤を搬送方向(MD)に塗工した。ホットメルト接着剤の塗工形状としはスパイラル形状とした。このスパイラル形状で塗工した接着剤の列は、各塗工領域44に3条ずつ形成された。塗工した塗工領域44におけるホットメルト接着剤の坪量は4.0g/mであった。また塗工領域44の面102に占める面積率は18%であった。
次いで、起毛ロール(全面起毛ロール)77Bを用いて、原料不織布1の面101に対し、起毛領域41を形成した。この場合の起毛領域41は、前記接着剤の塗工領域44の対応した領域以外の全てであった。これにより起毛不織布4を得た。この起毛不織布4の面101における起毛領域41の面積率は82%であった。
なお、起毛ロール77Bの突起形成面78Aの算術平均粗さ(Ra)は13.57μm、最大粗さ(Rt)は123.13μmであった。このような突起部79の頂点は、図7(A)に示すように平滑面78Bの位置H1よりも低い位置に配されていた。
次いで、実施例1と同様にして第3工程9の他の部材の積層とプレスロール93,94によるプレス加工とを行って、実施例3の積層不織布の試料の試料S3を得た。
(実施例4)
実施例4では、起毛ロール77の突起形成面78Aの算術平均粗さ(Ra)が14.76μm、最大粗さ(Rt)が139.71μmであった以外は、実施例1と同様にして実施した。これにより、実施例4の積層不織布の試料の試料S4を得た。
(比較例1)
比較例1では、外周面78の全体が、算術平均粗さ(Ra):13.57μm、最大粗さ(Rt):123.13μmの突起形成面78Aとされた起毛ロールを用いた以外は、
実施例1と同様にして実施した。すなわち、非起毛領域42がなく、塗工領域44が起毛領域41と重なる位置にも配設された起毛不織布を得た。これにより、比較例1の積層不織布の試料の試料C1を得た。
(比較例2)
比較例2では、外周面78の全体が、算術平均粗さ(Ra):13.57μm、最大粗さ(Rt):123.13μmの突起形成面78Aとされた起毛ロールを用いた以外は、
実施例2と同様にして実施した。すなわち、非起毛領域42がなく、塗工領域44が起毛領域41と重なる位置に配設された起毛不織布を得た。これにより、比較例2の積層不織布の試料C2を得た。
(起毛加工時に発生した紙粉量の測定)
実施例1から4、比較例1及び2において、各試料の作製にあたり、起毛ロールに集塵装置を設置して行った。前記集塵装置は、起毛ロールを覆う集塵フードと、該集塵フードの下方に配置された集塵機からなるものを用いた。前記集塵フードには、起毛ロールの上方から被せて覆う筒状のもので、原料不織布1及び起毛不織布4の搬送路を塞がないよう搬送路の上流側と下流側に開口部を有するものを用いた。前記集塵機には、株式会社ムラコシ製の「MY−150XN」(商品名)を用いた。
各試料について、起毛加工を連続15分実施し、加工終了後に集塵機の袋に回収された繊維量を計測した。
(貼り合わせ工程のプレスロールに巻き付いた起毛繊維(紙粉状の繊維)の発生量の測定)
実施例1から4、比較例1及び2の、各試料の作製を連続15分実施し、加工終了後にプレスロールに付着した起毛繊維(紙粉状の繊維)の量を測定した。
Figure 2016064566
表1に示されるとおり、実施例1及び2では、「起毛ロール紙粉発生量」及び「貼り合わせ工程紙粉付着量」ともに、比較例1及び2に比べて少なかった。特に、接着剤の塗工領域44と起毛領域41とが重ならないようにしたことで、実施例1の「貼り合わせ工程紙粉付着量」は比較例1よりも約83%少なく、実施例2の「貼り合わせ工程紙粉付着量」は比較例2よりも約87%少なかった。実施例3では、接着剤の塗工後の起毛により、接着剤が付着していない繊維が起毛されたため、実施例3の「貼り合わせ工程紙粉付着量」は比較例1よりも約72%少なかった。
実施例4では、実施例1よりも表面が粗い起毛ロールを使用したため、起毛加工時の紙粉量は多かったものの、接着剤塗布後のプレス加工時には、「貼り合わせ工程紙粉付着量」は比較例1よりも約83%少なかった。
1 原料不織布(起毛する前の不織布)
4 起毛不織布
41 起毛領域
42 非起毛領域
43 起毛繊維
44 接着剤の塗工領域
45 折り返し部
45 折り返し部の他の部材との対向面
7 第1工程
71 部分延伸加工
72 起毛加工
74,75 凹凸ロール
77 起毛ロール(部分起毛ロール)
77B 起毛ロール(全面起毛ロール)
78 起毛ロールの外周面
78A 突起形成面
78B 平滑面
79 起毛ロールの突起部
8 第2工程
81 接着剤
9 第3工程
91 他の部材
92,97 繊維積層体
93,94,95 プレスロール
96 折り返しガイド
101 原料不織布及び起毛不織布の一方の面
102 原料不織布及び起毛不織布の反対面

Claims (12)

  1. 原料不織布の一方の面に、構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを形成する工程と、前記非起毛領域に対応する前記一方の面の反対面に接着剤を塗布する工程と、該接着剤を介して前記反対面と他の部材とを接合し、押圧する工程とを有する繊維積層体の製造方法。
  2. 前記非起毛領域が、前記一方の面において所定のパターンで形成される請求項1記載の繊維積層体の製造方法。
  3. 前記非起毛領域に対応する前記反対面に接着剤を塗布する工程の後、前記非起毛領域の配された部分を前記反対面側に向けて折り返して他の部材を挟持させ、前記接着剤で接合し、前記押圧する工程を実施する請求項1又は2記載の繊維積層体の製造方法。
  4. 前記非起毛領域が、前記不織布の搬送方向の両側部に形成される請求項3記載の繊維積層体の製造方法。
  5. 前記起毛領域及び非起毛領域の形成は、ロール周面に、突起部のある突起形成面と突起部のない平滑面とを有する起毛ロールを用いてなされる請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維積層体の製造方法。
  6. 前記平滑面が前記起毛ロールの軸方向におけるロール周面の両端部に配されている、請求項5に記載の繊維積層体の製造方法。
  7. 前記突起形成面の突起部における頂点が前記平滑面よりもロール周面において低い位置にある請求項5又は6に記載の繊維積層体の製造方法。
  8. 原料不織布の起毛する面の反対面に、所定の塗工パターンを形成するように接着剤を塗布し、前記起毛する面側から、ロール周面に突起形成面を有する起毛ロールによって前記原料不織布の表面を擦り、所定の起毛パターンの起毛領域を形成する繊維積層体の製造方法。
  9. 前記突起形成面は、ISO1997に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)が10.3μm以上であり、且つ、ISO1997に準拠して測定した最大粗さ(Rt)が135μm以下である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の繊維積層体の製造方法。
  10. 構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを一方の面に有する不織布が、前記一方の面の反対面において他の部材と積層された繊維積層体であって、前記反対面が、前記非起毛領域に対応する位置で接着剤を介して前記他の部材と接合されている繊維積層体。
  11. 前記非起毛領域が、前記表面において所定のパターンで形成されている請求項10記載の繊維積層体。
  12. 一方の面に構成繊維が起毛された起毛領域と該構成繊維が起毛されていない非起毛領域とを有する不織布が前記一方の面の反対面側に部分的に折り返されて他の部材を挟持し、該折り返された部分の前記一方の面が非起毛領域となっており、該折り返された部分の前記他の部材との対向面が該他の部材と接着剤を介して接合されている繊維積層体。
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