JP2016061498A - ボイラシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の段階値制御ボイラ20と制御装置3とを備えるボイラシステム1であって、制御装置3は最大使用蒸気量及び各ボイラ20のエコ運転ゾーンとなる燃焼位置を記憶し、最大使用蒸気量に基づき制御対象ボイラを設定し、制御対象ボイラのエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を合計して高効率運転ゾーン蒸気量を算出し、エコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置を優先して燃焼するように燃焼優先順位を設定し、制御対象ボイラがエコ運転ゾーンを外れて第1時間継続して燃焼した場合、制御対象ボイラを1台増加し、当該追加された制御対象ボイラのエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を高効率運転ゾーン蒸気量に加算する。
【選択図】図1
Description
そして、特許文献1に記載されているように、段階値制御ボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステムの燃焼制御において、ボイラ効率が高効率となる燃焼位置を示す高効率運転ポイント(以下、「エコ運転ポイント」ともいう)を目指して、各ボイラをできるだけ「エコ運転ポイント」で燃焼するように制御することが知られている。
そして、ボイラ群の運転対象ボイラの台数を、(1)要求負荷の最大使用蒸気量を確保するとともに、(2)各運転対象ボイラの燃焼位置の燃焼順序(以下、「燃焼優先順位」ともいう)を、運転対象とされたすべてのボイラが高効率燃焼位置である中燃焼位置に到達した後に、高効率燃焼位置(中燃焼位置)よりも上位の高燃焼位置に順次移行するように設定した場合に、第1蒸気量に対応する燃焼位置の内、できるだけ多くの最上位燃焼位置が高効率燃焼位置(中燃焼位置)に一致するように、予め設定しておく。
このため、予め、第1蒸気量、運転対象ボイラの台数、及び燃焼優先順位等を設定するのではなく、ボイラ群の燃焼状態等に基づいて第1蒸気量、運転対象ボイラの台数、及び燃焼優先順位等の設定を自動的に実行することで、複数の段階値制御ボイラからなるボイラ群(例えば4位置制御ボイラからなるボイラ群)の、各段階値制御ボイラが高効率燃焼位置(例えば、低燃焼位置及び中燃焼位置)の範囲(「高効率運転ゾーン」ともいう)で燃焼状態を維持する時間帯を長く確保するボイラシステムが望まれる。
まず、本実施形態に係るボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、図1に示すように、複数(7台)の段階値制御ボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数の段階値制御ボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、蒸気ヘッダ6の内部の圧力(以下「ヘッダ圧力」ともいう)を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を発生する。
ボイラ本体21は、水管やバーナを備え、図示せぬ水源(給水タンク)から供給された缶水を水管内で加熱し、蒸気を生成する。
ボイラシステム1においては、ボイラ群2の内、制御対象でない段階値制御ボイラ20(以下、「予備ボイラ」ともいう)を設けることができる。そして、台数制御装置3(後述の「制御部4」)は、制御対象ボイラ20の燃焼状態に応じて、予備ボイラ20を制御対象に追加して制御対象ボイラ20に変更、又は制御対象ボイラ20を制御対象から外して予備ボイラ20に変更することができる。
図2に示すように、本実施形態の段階値制御ボイラ20は、
1)燃焼停止位置(第1燃焼位置:0%)、
2)低燃焼位置L(第2燃焼位置:例えば最大燃焼量の5〜35%で設定される、本実施形態では20%)、
3)中燃焼位置M(第3燃焼位置:例えば最大燃焼量の40〜60%で設定される、本実施形態では40%)、
4)高燃焼位置H(第4燃焼位置:100%(最大燃焼量))の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラ(以下、「4位置制御ボイラ」ともいう)である。
なお、段階値制御ボイラ20の出力可能な最大蒸気量を最大出力蒸気量という。
図2に示すように、各段階値制御ボイラ20の高燃焼位置Hにおける燃焼量(最大出力蒸気量)は2500kg/h、中燃焼位置Mにおける燃焼量は1000kg/h、低燃焼位置Lにおける燃焼量は500kg/hとされている。
また、本実施形態の段階値制御ボイラ20は、低燃焼位置及び中燃焼位置が運転効率の高い特性を有するボイラとする。すなわち、各段階値制御ボイラ20は、低燃焼位置及び中燃焼位置を高効率燃焼位置とする。
例えば、4位置制御ボイラは、低燃焼量ボイラ、(中燃焼量−低燃焼量)ボイラ、(高燃焼量−中燃焼量)ボイラの3台の仮想ボイラからなるとすることができる。例えば、4位置制御ボイラを低燃焼位置で燃焼させる場合、低燃焼量ボイラに対して燃焼指示を行い、他方、(中燃焼量−低燃焼量)ボイラ、及び(高燃焼量−中燃焼量)ボイラに対しては燃焼停止指示を行っていると制御上扱うことができる。
制御部4の詳細については、後述する。
最大使用蒸気量記憶部51は、予め設定された、蒸気使用設備18(要求負荷)において消費される蒸気量の最大使用蒸気量を記憶する。本実施形態における、蒸気使用設備18において消費される蒸気量の最大使用蒸気量は、10000kg/hに設定されているとする。
高効率運転ゾーン記憶部52は、各段階値制御ボイラ20それぞれにおける複数の燃焼位置の内、運転効率の高い燃焼位置(高効率燃焼位置)の範囲を高効率運転ゾーン(以下、「エコ運転ゾーン」ともいう)として記憶する。本実施形態における各段階値制御ボイラ20において、複数の燃焼位置の内、低燃焼位置及び中燃焼位置を高効率運転ゾーンとする。
また、記憶部5は、台数制御装置3(制御部4)の制御により各段階値制御ボイラ20に対して行われた指示の内容や、各段階値制御ボイラ20から受信した燃焼位置等の情報、優先順位の設定情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報を記憶する。
また、記憶部5は、後述する制御対象ボイラ設定部41及び燃焼台数制御部42により設定された制御対象ボイラを特定する情報、後述する高効率運転ゾーン蒸気量算出部43及び高効率運転ゾーン蒸気量補正部44により設定される高効率運転ゾーン蒸気量、後述する燃焼優先順位設定部45により設定される燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)、後述する第1時間及び第2時間等の情報を記憶してもよい。
制御部4は、信号線16を介して各段階値制御ボイラ20に各種の指示(台数制御信号)を行ったり、各段階値制御ボイラ20から各種のデータを受信したりして、各段階値制御ボイラ20の燃焼状態や優先順位等を制御する。
制御部4は、要求負荷が増加した場合には、段階値制御ボイラ20の燃焼停止状態にある燃焼位置の内、最も燃焼優先順位の高い燃焼位置を選択して、当該選択した燃焼位置での燃焼指示(当該選択した仮想ボイラに対する燃焼指示)を行う。逆に、制御部4は、要求負荷が減少した場合には、段階値制御ボイラ20の燃焼状態にある燃焼位置の内、最も燃焼優先順位の低い燃焼位置を選択して、当該選択した燃焼位置での燃焼停止指示(当該選択した仮想ボイラに対する燃焼停止指示)を行う。
最初に、制御部4による各制御対象ボイラ20の燃焼位置(燃焼量)の制御動作について説明する。
制御部4は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値に基づいて要求負荷に応じたボイラ群2の必要蒸気量を算出する。制御部4は、算出された必要蒸気量JN、すべての制御対象ボイラ20により出力される出力蒸気量JT、及び後述する燃焼優先順位設定部45により設定された燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)等に基づいて、各制御対象ボイラ20の燃焼位置(燃焼量)を制御する。
具体的には、制御部4は、例えば、次のように制御する。
制御部4は、予め設定圧力と制御幅を設定することで、制御圧力帯を決定する。ここで、制御圧力帯は、圧力の最大許容値である最大圧力値Pmaxと圧力の最少許容値である最小圧力値Pminの間の圧力帯である。
制御部4は、制御周期毎に、ヘッダ圧力値の圧力偏差PD1(予め設定された最大圧力値Pmaxとヘッダ圧力値との差分)を制御圧力幅P1(最大圧力値Pmax−最小圧力値Pmin)で除算した比率PR1に基づいて、要求負荷に応じたボイラで発生すべき蒸気量(以下、「必要蒸気量JN」ともいう)を式1により算出する。
必要蒸気量JN = 最大蒸気量JG × PR1 ・・・ (式1)
ここで、最大蒸気量JGとは、制御対象となる段階値制御ボイラ20において、後述する燃焼優先順位設定部45により燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)の設定されたすべての仮想ボイラの燃焼状態における蒸気量の合計である。
具体的には、例えば、次のように行われる。
今回必要蒸気量JN > 今回出力蒸気量JT
を満たす場合、制御部4は、燃焼量不足として、差分蒸気量(今回必要蒸気量JN−今回出力蒸気量JT)の蒸気量に該当する燃焼量を増加させるように、燃焼位置を変更する。
具体的には、制御部4は、蒸気量の増加分が(今回必要蒸気量JN−今回出力蒸気量JT)に最も近く、変更後に、必要蒸気量JN ≦ 出力蒸気量JT を満足するように、制御対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼位置(仮想ボイラ)を、後述する燃焼優先順位設定部45により設定された燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)に基づいて、段階値制御ボイラ20の燃焼停止状態にある燃焼位置の内、最も燃焼優先順位の高い燃焼位置を選択して、当該選択した燃焼位置での燃焼指示(当該選択した仮想ボイラに対する燃焼指示)を行う。
今回必要蒸気量JN < 今回出力蒸気量JT
を満たす場合、制御部4は、燃焼量過剰として、(今回出力蒸気量JT−今回必要蒸気量JN)の蒸気量に該当する燃焼量を減少させるように、燃焼位置を変更する。
具体的には、制御部4は、蒸気量の減少分が(今回出力蒸気量JT−今回必要蒸気量JN)に最も近く、変更後に、必要蒸気量JN ≧ 出力蒸気量JT を満足するように、制御対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼位置(仮想ボイラ)を、後述する燃焼優先順位設定部45により設定された燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)に基づいて、段階値制御ボイラ20の燃焼状態にある燃焼位置の内、最も燃焼優先順位の低い燃焼位置を選択して、当該選択した燃焼位置での燃焼停止指示(当該選択した仮想ボイラに対する燃焼停止指示)を行う。
制御部4は、上記燃焼制御処理を制御周期で繰り返して実行することができる。
次に、制御対象ボイラ設定部41について説明する。
[台数制御始動時]
制御対象ボイラ設定部41は、ボイラ群2の台数制御始動時に、最大使用蒸気量を確保できる最少台数分の段階値制御ボイラ20を制御対象ボイラとして設定する。
より具体的には、ボイラシステム1の運転が開始され、ボイラ群2の台数制御が始動すると、制御対象ボイラ設定部41は、例えば、優先順位に基づいてボイラ群2から最大使用蒸気量を確保できる最少台数分の段階値制御ボイラ20を選択して、制御対象ボイラとして設定する。なお、制御対象ボイラとして設定されなかった段階値制御ボイラは、予備ボイラとして設定される。
燃焼台数制御部42について説明する。
[出力蒸気量が制御対象ボイラのエコ運転ゾーンを超えて増加した場合]
燃焼台数制御部42は、制御対象となる少なくとも1台の段階値制御ボイラ20が高効率運転ゾーンを外れて(すなわち、高燃焼位置で)第1時間継続して燃焼した場合に、例えば、優先順位の高い予備ボイラ20を1台選択して、制御対象として追加することで、制御対象ボイラを1台増加させる。
ボイラシステム1の運転が開始され、ボイラ群2の台数制御が始動する場合、ヘッダ圧力が大幅に低い状態から台数制御が開始されるため、制御部4は、制御対象ボイラ設定部41により制御対象ボイラとして設定されたすべての制御対象ボイラ20を、高燃焼位置で燃焼させることが発生する。
このため、ボイラシステム1の運転が開始され、ボイラ群2の台数制御が始動した後、ヘッダ圧力が所定の圧力に到達するまでは、燃焼台数制御部42は、その機能の作動を中止し、制御対象ボイラの追加を行わないようにすることができる。
負荷増加により、制御対象ボイラ20を追加した場合、必要以上に燃焼ボイラの台数が確保される可能性がある。このため、制御対象ボイラ追加の上限リミットを設けることで、燃焼台数制御部42は、制御対象ボイラ追加の上限リミットを超えて、制御対象ボイラを追加できないように制限することができる。
予備ボイラ20を制御対象に追加する場合に、当該予備ボイラ20が例えば台数の減少に伴い燃焼を停止し、停止期間が長期に亘る段階値制御ボイラ20であった場合、当該ボイラが保有していた熱は既に放出され、冷却されていることがある。このような冷却されたボイラ(以下、「冷態ボイラ」ともいう)を新たに燃焼させる場合、立上損失が非常に大きくなり、冷態ボイラの燃焼開始に伴う立上損失により、却ってボイラシステム全体におけるシステム効率が悪化するおそれがある。
したがって、燃焼台数制御部42は、予備ボイラ20が、停止期間が長期に亘らず、保有している熱を放出しているボイラ(以下、「放熱ボイラ」ともいう)である場合に限り、制御対象に追加するようにしてもよい。
制御対象に追加する予備ボイラを「放熱ボイラ」に限定する条件の設定又は解除は、ボイラシステム稼働中に適宜行うようにしてもよい。
放熱判定部は、予備ボイラ20が、例えば(1)缶内圧力が所定圧力を上回る場合、(2)缶内圧力が所定圧力を下回ってからの経過時間が第1の所定時間を下回る場合、(3)缶体温度又は缶水温度が所定温度を上回る場合、又は(4)燃焼停止指示が指令されてからの経過時間が第2の所定時間を下回る場合、当該ボイラ20を放熱ボイラであると判定してもよい。
ここで、缶体温度は段階値制御ボイラ20の水管の温度(表面温度)を指して、缶水温度はボイラ20の水管内の水の温度を指すものとする。また、缶内圧力、缶体温度、缶水温度又は経過時間は、段階値制御ボイラ20のローカル制御部22から必要に応じて送信されるものとする。
放熱判定部は、(1)〜(4)のそれぞれを組み合わせて放熱ボイラの判定を行うこととしてもよく、単独で放熱ボイラの判定を行うこととしてもよい。
燃焼台数制御部42は、予備ボイラ20を選択し制御対象に追加した場合に、その後負荷が減少して、その結果、当該制御対象に追加された段階値制御ボイラ20が、予め設定した第2時間燃焼しない状態が継続した場合、制御対象に追加された段階値制御ボイラ20を制御対象から外し、予備ボイラにするようにしてもよい。
燃焼台数制御部42は、制御対象となる段階値制御ボイラ20の内少なくとも1台が燃焼停止状態(以下「待機状態」ともいう)となった場合、燃焼しているすべての段階値制御ボイラ20の最大出力蒸気量の合計が最大使用蒸気量以上か否かを判定し、最大出力蒸気量の合計が最大使用蒸気量以上の場合、燃焼停止状態となった段階値制御ボイラ20を制御対象から外し、予備ボイラにする。
高効率運転ゾーン蒸気量算出部43について説明する。
[台数制御始動時]
高効率運転ゾーン蒸気量算出部43は、ボイラシステム1の運転が開始され、ボイラ群2の台数制御が始動する場合、制御対象ボイラ設定部41により制御対象となる複数の段階値制御ボイラ20が設定されると、制御対象ボイラに設定されたすべての段階値制御ボイラ20のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量の合計値を算出し、当該蒸気量合計値を高効率運転ゾーン蒸気量として例えば記憶部5に記憶する。
高効率運転ゾーン蒸気量補正部44について説明する。
[制御対象となる新たな段階値制御ボイラ20を追加した場合]
高効率運転ゾーン蒸気量補正部44は、ボイラシステム1の運転中に、燃焼台数制御部42により、予備ボイラ20が制御対象に追加される場合、制御対象に追加された当該段階値制御ボイラ20のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を高効率運転ゾーン蒸気量に加算することにより、高効率運転ゾーン蒸気量の補正を行う。
高効率運転ゾーン蒸気量補正部44は、燃焼台数制御部42により制御対象に追加された新たな段階値制御ボイラ20が、予め設定した第2時間燃焼しない状態が継続したために、制御対象から外された場合、当該制御対象から外された段階値制御ボイラ20のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を高効率運転ゾーン蒸気量から減算して、高効率運転ゾーン蒸気量の補正を行う。
高効率運転ゾーン蒸気量補正部44は、ボイラシステム1の運転中に、待機状態となった段階値制御ボイラ20が、燃焼台数制御部42により予備ボイラとされる場合、当該予備ボイラとされる段階値制御ボイラ20のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を高効率運転ゾーン蒸気量から減算して、高効率運転ゾーン蒸気量の補正を行う。
最後に、燃焼優先順位設定部45について説明する。
[台数制御始動時における燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)の設定]
燃焼優先順位設定部45は、ボイラシステム1の運転が開始され、ボイラ群2の台数制御が始動する場合、制御対象ボイラ設定部41により制御対象ボイラが設定され、高効率運転ゾーン蒸気量算出部43により高効率運転ゾーン蒸気量が設定されると、制御対象ボイラに設定された段階値制御ボイラ20の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を、必要蒸気量が高効率運転ゾーン蒸気量に到達するまではエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置(低燃焼位置及び中燃焼位置)を優先して燃焼させるように設定し、例えば記憶部5に記憶する。
燃焼優先順位設定部45は、燃焼優先順位を設定するに際して、最大使用蒸気量を確保できる制御対象となる段階値制御ボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)までの燃焼優先順位を設定する。最大使用蒸気量を確保できた以降、残りの制御対象となる段階値制御ボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)には燃焼優先順位を設定しない。すなわち、燃焼優先順位を仮想ボイラ優先順位と観た場合、最大使用蒸気量を確保するまで仮想ボイラに仮想ボイラ優先順位を設定し、最大使用蒸気量を確保できた以降、残りの仮想ボイラ((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)には燃焼優先順位を設定しない(制御対象としない)。
燃焼優先順位設定部45は、ボイラ群2が負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を発生している場合に、燃焼台数制御部42により新たに制御対象となる段階値制御ボイラ20が追加され、高効率運転ゾーン蒸気量補正部44により動的に高効率運転ゾーン蒸気量が補正されると、新たに制御対象に追加された段階値制御ボイラ20を含むすべての制御対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を、必要蒸気量が高効率運転ゾーン蒸気量に到達するまではエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置(低燃焼位置及び中燃焼位置)で優先して燃焼させるように再設定し、例えば記憶部5に記憶する。
前述したとおり、燃焼優先順位設定部45は、燃焼優先順位を設定するに際して、最大使用蒸気量を確保できる制御対象となる段階値制御ボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)までの燃焼優先順位を設定する。
燃焼優先順位設定部45は、燃焼台数制御部42により新たに制御対象に追加された段階値制御ボイラ20が第2時間継続して燃焼しないために、制御対象から外された場合、制御対象から外された当該段階値制御ボイラ20を除くすべての制御対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を再設定する。
例えば、燃焼優先順位設定部45は、制御対象から外された段階値制御ボイラ20が制御対象に追加される直前の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)に戻すようにしてもよい。
燃焼優先順位設定部45は、ボイラシステム1の運転中に、待機状態となった段階値制御ボイラ20が、燃焼台数制御部42により予備ボイラとされ、高効率運転ゾーン蒸気量補正部44により高効率運転ゾーン蒸気量が補正されると、制御対象から外された段階値制御ボイラ20を除くすべての制御対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を、必要蒸気量が高効率運転ゾーン蒸気量に到達するまではエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置(低燃焼位置及び中燃焼位置)で優先して燃焼させるように複数の燃焼位置に燃焼優先順位を再設定し、例えば記憶部5に記憶する。
次に本実施形態のボイラシステム1の動作について、図5〜図12を参照して、説明する。
[台数制御始動時]
図5を参照して、台数制御始動時における制御部4の動作を説明する。なお、図5は、ボイラシステム1の台数制御開始時における燃焼優先順位(以下「燃焼優先順位パターン(1)」という)を示す。
図5を参照すると、各段階値制御ボイラ20の最大出力蒸気量は2500kg/hであることから、台数制御始動時に、制御対象ボイラ設定部41は、最大使用蒸気量(10000kg/h)を確保できる優先順位1〜4までの段階値制御ボイラ20(1号機〜4号機)を選択して、制御対象ボイラとして設定し、優先順位5〜7(5号機〜7号機)までの段階値制御ボイラ20を予備ボイラとして設定する。
次に、高効率運転ゾーン蒸気量算出部43は、制御対象に設定された4台の段階値制御ボイラ20のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量の合計値(1000kg/h × 4=4000kg/h)を高効率運転ゾーン蒸気量として設定する。
次に、燃焼優先順位設定部45は、制御対象に設定された4台の段階値制御ボイラ20の燃焼優先順位を例えば以下の順に設定する(以下、「燃焼優先順位パターン(1)」という。)
(2)優先順位2のボイラ20の低燃焼位置(低燃焼量ボイラ)、
(3)優先順位1のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(4)優先順位2のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(5)優先順位3のボイラ20の低燃焼位置(低燃焼量ボイラ)、
(6)優先順位3のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(7)優先順位4のボイラ20の低燃焼位置(低燃焼量ボイラ)、
(8)優先順位4のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(9)優先順位1のボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)、
(10)優先順位2のボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)、
(11)優先順位3のボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)、
(12)優先順位4のボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)、
こうすることで、図5に示すように、ボイラシステム1は、運転開始時に制御対象に設定された4台の段階値制御ボイラ20(1号機〜4号機)により、最大使用蒸気量10000kg/hを確保することができるとともに、高効率運転ゾーン蒸気量(4000kg/h)に対応する蒸気量を、すべてエコ運転ゾーンの範囲内で燃焼することで確保することができる。
図8〜図10は、ボイラシステム1の運転中に、要求負荷が増加した場合における、ボイラシステム1の動作の概略を示した図である。
図8を参照すると、図8(C)に示すように、ボイラシステム1の運転中に、要求負荷が増加して、制御対象となる段階値制御ボイラ20(1号機〜4号機)がすべてエコ運転ゾーンの上限(中燃焼位置)以上で燃焼し、かつ一部の段階値制御ボイラ20(1号機)がエコ運転ゾーンの上限を超えて(高燃焼位置)燃焼している状態が第1時間継続している場合、図8(D)に示すように、燃焼台数制御部42は、例えば最も優先順位の高い予備ボイラ20(5号機)を選択し、制御対象に追加する。
次に、燃焼優先順位設定部45は、制御対象に追加された段階値制御ボイラ20(5号機)を含む5台の段階値制御ボイラ20(1号機〜5号機)の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を、最大蒸気使用量(10000kg/h)を確保できるまで、例えば以下の順に設定する(以下、「優先順位パターン(2)という」。)
(2)優先順位2のボイラ20の低燃焼位置(低燃焼量ボイラ)、
(3)優先順位1のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(4)優先順位2のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(5)優先順位3のボイラ20の低燃焼位置(低燃焼量ボイラ)、
(6)優先順位3のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(7)優先順位4のボイラ20の低燃焼位置(低燃焼量ボイラ)、
(8)優先順位4のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(9)優先順位5のボイラ20の低燃焼位置(低燃焼量ボイラ)、
(10)優先順位5のボイラ20の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)、
(11)優先順位1のボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)、
(12)優先順位2のボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)、
(13)優先順位3のボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)、
(14)優先順位4のボイラ20の高燃焼位置((高燃焼量―中燃焼量)ボイラ)、
こうすることで、図6に示すように、追加された1台を含む5台((4+1)台)の制御対象となる段階値制御ボイラ20は、最大出力蒸気量11000kg/hとなり、予め設定された最大使用蒸気量10000kg/hを確保することができるとともに、補正された高効率運転ゾーン蒸気量(5000kg/h)に対応する蒸気量を、すべてエコ運転ゾーンの範囲内で燃焼することで確保することができる。
このように、本実施形態においては、燃焼状態を強制的に切り換えるものではない。したがって、強制的に切り換える場合のように、出力蒸気量の変動による蒸気ヘッダ圧力変動が生じない。
高効率運転ゾーン蒸気量算出部43は、制御対象に追加された段階値制御ボイラ20(6号機)のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量(1000kg/h)を高効率運転ゾーン蒸気量(5000kg/h)に加算することで、高効率運転ゾーン蒸気量を6000kg/hに補正する。
燃焼優先順位設定部45は、制御対象に追加された段階値制御ボイラ20(6号機)を含む6台の段階値制御ボイラ20(1号機〜6号機)の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を、最大蒸気使用量(10000kg/h)を確保できるまで、例えば図7(又は図9(E))に示すように、燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を、最大蒸気使用量(10000kg/h)を確保できるまで、設定する(以下、「優先順位パターン(3)という」)。
図11〜図12は、ボイラシステム1の運転中に、要求負荷が減少した場合における、ボイラシステム1の動作の概略を示した図である。
図11(A)〜図11(B)を参照すると、図11(B)に示すように、制御対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼状態にある燃焼位置の内、最も燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)の低い6号機の低燃焼位置(燃焼優先順位11位)を選択して燃焼停止させている。
そして、最も優先順位の低い段階値制御ボイラ20(6号機)が待機状態になった場合、図11(C)に示すように、燃焼台数制御部42は、当該待機状態となった段階値制御ボイラ20を除くすべての制御対象となる段階値制御ボイラ20(1号機〜5号機)の最大出力蒸気量の合計(12500kg/h)が最大使用蒸気量(10000kg/h)以上となることから、当該待機状態となった段階値制御ボイラ20(6号機)を制御対象から外し、予備ボイラにする。
その後、高効率運転ゾーン蒸気量算出部43は、当該予備ボイラとされる段階値制御ボイラ20(6号機)のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量(1000kg/h)を高効率運転ゾーン蒸気量(6000kg/h)から減算することで、高効率運転ゾーン蒸気量を5000kg/hに補正する。
次に、燃焼優先順位設定部45は、制御対象から外された段階値制御ボイラ20(6号機)を除くすべての制御対象となる段階値制御ボイラ20(1号機〜5号機)の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を、最大蒸気使用量(10000kg/h)を確保できるまで、例えば、優先順位パターン(2)に再設定する。
その後、高効率運転ゾーン蒸気量算出部43は、当該予備ボイラとされる段階値制御ボイラ20(5号機)のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量(1000kg/h)を高効率運転ゾーン蒸気量(5000kg/h)から減算することで、高効率運転ゾーン蒸気量を4000kg/hに補正する。
次に、燃焼優先順位設定部45は、制御対象から外された段階値制御ボイラ20(5号機)を除くすべての制御対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼状態にある燃焼位置の内、段階値制御ボイラ20(1号機〜4号機)の燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)を、最大蒸気使用量(10000kg/h)を確保できるまで、例えば、優先順位パターン(1)に再設定する。
次に、図13に記載のフローチャートを参照して、制御部4の制御処理について、説明する。
図13に記載のフローチャートは一例に過ぎず、当業者であれば適宜変更することができる。図13に記載のフローチャートでは、処理の流れを制御するために、制御用フラグ(例えばビットデータ)を便宜上設けている。具体的には、後述するように、制御対象ボイラがエコ運転ゾーンを外れて燃焼する燃焼状態であることを示す第1フラグ、及び制御対象に追加された段階値制御ボイラ20が燃焼停止状態のままであることを示す第2フラグを設けている。
以下、制御対象ボイラがエコ運転ゾーンを外れて燃焼する燃焼状態が継続している時間を、「第1継続時間」といい、制御対象に追加された段階値制御ボイラ20が燃焼していない状態の継続している時間を、「第2継続時間」という。
制御部4は、第1継続時間を計測するための第1計時部(図示せず)及び第2継続時間を計測するための第2計時部(図示せず)を設けている。
なお、このような制御用フラグ及び時間を計測する計時部は、一例に過ぎず、当業者であれば適宜変更することができる。
ステップST1において、ボイラシステム1の運転が開始され、ボイラ群2の台数制御が始動すると、制御対象ボイラ設定部41は、優先順位に基づいてボイラ群2から最大使用蒸気量を確保できる最少台数分の段階値制御ボイラ20を選択して、制御対象ボイラとして設定する。
この際、制御部4は、第1フラグがオフであって、今回の制御周期で、制御対象ボイラがエコ運転ゾーンを外れて燃焼する燃焼状態となった場合、第1フラグをオンにセットする(例えば、ビットを1にする)。
また、制御部4は、第1フラグがオン(制御対象ボイラがエコ運転ゾーンを外れて燃焼する燃焼状態)であって、今回の制御周期で依然として制御対象ボイラがエコ運転ゾーンを外れて燃焼する燃焼状態の場合、第1計時部に制御周期Δtを加算する。
また、制御部4は、第1フラグがオンであって、今回の制御周期で制御対象ボイラがエコ運転ゾーンの範囲内で燃焼する燃焼状態となった場合、第1フラグをリセット(例えば、ビット0)するとともに、第1計時部をリセットする。
また、制御部4は、第2フラグがオン(制御対象に追加された段階値制御ボイラ20が燃焼停止状態)であって、今回の制御周期で依然として制御対象ボイラの内最も優先順位の低い段階値制御ボイラ20が燃焼していない状態の場合、第2計時部に制御周期Δtを加算する。
また、制御部4は、第2フラグがオンであって、今回の制御周期で、制御対象に追加された段階値制御ボイラ20が燃焼する燃焼状態となった場合、第2フラグをリセットする(例えば、ビットを0にする)とともに、第2計時部をリセットする。
なお、前述したように、ボイラシステム1の運転が開始され、ボイラ群2の台数制御が始動した後、ヘッダ圧力が所定の圧力に到達するまでは、燃焼台数制御部42の機能の作動を中止する場合、制御部4は、ヘッダ圧力が所定の圧力に到達するまでは、第1フラグをオフのままとして、オンにセットしない。
ステップST9において、燃焼台数制御部42は、例えば最も優先順位の高い予備ボイラ20を選択し、制御対象に追加する。なお、ステップST9において、燃焼台数制御部42は、最も優先順位の高い予備ボイラ20が、長期に亘る燃焼停止状態でなく保有している熱を放出している放熱ボイラである場合に限り、制御対象に追加するようにしてもよい。(例えば、放熱判定部(図示せず)により予備ボイラ20が放熱ボイラでないと判断すると、第1フラグ及び第1計時部をリセットして、ステップST5に移るようにしてもよい。)
ステップST14において、燃焼台数制御部42は、第2フラグがオンか否か(制御対象に新たに追加された段階値制御ボイラ20が燃焼していない状態であるか否か)を判定する。第2フラグがオンの場合(Yes)、ステップST15に移る。そうでない場合(No)、ステップST17に移る。
ステップST15において、燃焼台数制御部42は、第2計時部の値が第2時間以上か否かを判断する。第2計時部の値が第2時間以上の場合(Yes)、ステップST16に移る。そうでない場合、ステップST5に移る。
ステップST18において、燃焼台数制御部42は、当該燃焼停止状態にされた段階値制御ボイラ20を制御対象から外す。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、その運転中に、ボイラ群2の燃焼状態等に基づいて、高効率運転ゾーン蒸気量、制御対象ボイラの台数、及び燃焼優先順位等の設定を自動的に実行することにより、制御対象となる各段階値制御ボイラ20の燃焼状態をエコ運転ゾーン(例えば低燃焼位置及び中燃焼位置)の範囲内で維持する時間帯を自動的に長く確保することができる。また、エコ運転ゾーンの範囲内での負荷追従を優先することで応答性も向上することができる。また、低燃焼位置及び中燃位置における燃焼の方が、高燃焼位置における燃焼よりも蒸気量が小さい場合、低燃焼位置における燃焼と中燃焼位置における燃焼との間による負荷追従の方が、蒸気量変動が抑えられ、圧力安定性が向上する。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、最大使用蒸気量を蒸気使用設備18に供給可能となる。
(3)本実施形態のボイラシステム1は、ボイラ群2の台数制御始動時に、制御対象ボイラ設定部41が、最大使用蒸気量を確保できる最少台数分の段階値制御ボイラ20を制御対象ボイラとして設定する。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、必要最小限の段階値制御ボイラ20を制御対象とする構成からスタートして、自動的に制御対象となる段階値制御ボイラ20の台数を調整することで、制御対象となる段階値制御ボイラ20の台数を適切に制御することが可能となる。
(4)本実施形態のボイラシステム1の燃焼台数制御部42は、制御対象となる段階値制御ボイラ20の内少なくとも1台が燃焼停止状態となった場合、燃焼しているすべての段階値制御ボイラ20の最大出力蒸気量の合計が最大使用蒸気量以上か否かを判定し、最大出力蒸気量の合計が最大使用蒸気量以上の場合、燃焼停止状態となった当該ボイラ20を制御対象から外し、高効率運転ゾーン蒸気量補正部44は、制御対象から外された段階値制御ボイラ20のエコ運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を高効率運転ゾーン蒸気量から減算する。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、ボイラシステム1の燃焼効率を向上させることができる。
本実施形態では、ボイラシステム1の運転中に、要求負荷が減少した場合、例えば、図11及び図12に示すように、制御対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼状態にある燃焼位置の内、最も燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)の低い仮想ボイラを選択して燃焼停止させているが、要求負荷減少時における仮想ボイラの燃焼停止順序は、この燃焼優先順位(仮想ボイラ優先順位)に準拠する方式に限定されない。
例えば、燃焼ボイラを極力減らさないように、要求負荷減少時においては、先に中燃焼位置に対応する仮想ボイラ((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)を優先的に停止させるように設定することができる。
この場合、例えば図11(A)から負荷減少した場合、図11(B)のように、6号機の低燃焼位置((低燃焼量)ボイラ)を燃焼停止にせず、5号機の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)を燃焼停止にすることになる。
このように、要求負荷減少時においては、1号機〜5号機の中燃焼位置((中燃焼量―低燃焼量)ボイラ)が燃焼停止になるまでは、6号機の低燃焼位置((低燃焼量)ボイラ)を燃焼停止にしないようにすることができる。
例えば、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧を予め設定された目標蒸気圧力値に保つように、台数制御装置3は、ボイラ群2の燃焼対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼状態を制御するようにしてもよい。
また、複数の中燃焼位置を有する5位置制御以上のボイラのエコ運転ゾーンとして、低燃焼位置及び低燃焼位置の一つ上に位置する中燃焼位置を含むとしてもよい。また、低燃焼位置及び低燃焼位置の一つ上に位置する中燃焼位置を含む複数の連続する中燃焼位置を含む(高燃焼位置を含まない)としてもよい。また、各段階値制御ボイラ20のそれぞれで異なることとしてもよい。
2 ボイラ群
20 段階値制御ボイラ
3 台数制御装置
4 制御部
41 制御対象ボイラ設定部
42 燃焼台数制御部
43 高効率運転ゾーン蒸気量算出部
44 高効率運転ゾーン蒸気量補正部
45 燃焼優先順位設定部
5 記憶部
51 最大使用蒸気量記憶部
52 エコ運転ゾーン記憶部
Claims (9)
- 少なくとも燃焼停止位置、低燃焼位置、中燃焼位置、及び高燃焼位置を含む段階的な複数の燃焼位置で燃焼可能な、複数の段階値制御ボイラからなるボイラ群と、前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧に基づいて要求負荷に応じた前記ボイラ群の必要蒸気量を算出し、該算出された必要蒸気量に基づいて前記複数の段階値制御ボイラの燃焼状態を制御する制御装置と、を備えるボイラシステムであって、
前記制御装置は、
予め設定された最大使用蒸気量を記憶する最大使用蒸気量記憶部と、
前記複数の段階値制御ボイラそれぞれにおける前記複数の燃焼位置の内、低燃焼位置及び中燃焼位置を高効率運転ゾーンとして記憶する高効率運転ゾーン記憶部と、
前記最大使用蒸気量に基づいて制御対象となる制御対象ボイラを設定する制御対象ボイラ設定部と、
前記制御対象ボイラに設定された前記段階値制御ボイラの前記高効率運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を合計して高効率運転ゾーン蒸気量として算出する高効率運転ゾーン蒸気量算出部と、
前記必要蒸気量が前記高効率運転ゾーン蒸気量に到達するまでは前記高効率運転ゾーンに含まれる燃焼位置で優先して燃焼させるように前記複数の燃焼位置に燃焼優先順位を設定する燃焼優先順位設定部と、
前記制御対象ボイラが前記高効率運転ゾーンを外れて第1時間継続して燃焼した場合に、制御対象ボイラを1台増加させる燃焼台数制御部と、
新たに制御対象に加わった前記制御対象ボイラの前記高効率運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を高効率運転ゾーン蒸気量に加算して高効率運転ゾーン蒸気量を補正する高効率運転ゾーン蒸気量補正部と、を備えるボイラシステム。 - 前記燃焼優先順位設定部は、
前記最大使用蒸気量を確保できるまで、前記複数の燃焼位置に燃焼優先順位を設定する請求項1に記載のボイラシステム。 - 前記制御対象ボイラ設定部は、
前記ボイラ群の台数制御始動時に、前記最大使用蒸気量を確保できる最少台数分の前記段階値制御ボイラを制御対象ボイラとして設定する請求項1又は請求項2に記載のボイラシステム。 - 前記燃焼台数制御部は、
前記制御対象ボイラの内少なくとも1台が燃焼停止状態となった場合、燃焼しているすべての前記制御対象ボイラの最大出力蒸気量の合計が前記最大使用蒸気量以上か否かを判定し、前記最大出力蒸気量の合計が前記最大使用蒸気量以上の場合、前記燃焼停止状態となったボイラを制御対象から外し、
高効率運転ゾーン蒸気量補正部は、
制御対象から外された段階値制御ボイラの高効率運転ゾーンに含まれる燃焼位置における蒸気量を高効率運転ゾーン蒸気量から減算することにより、高効率運転ゾーン蒸気量を補正する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記燃焼台数制御部は、
制御対象でないボイラの内、放熱中のボイラがある場合に限り、前記放熱中のボイラを制御対象ボイラとして1台増加させる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記燃焼台数制御部は、
前記新たに制御対象に加わった前記制御対象ボイラが第2時間継続して燃焼しない場合、前記新たに制御対象に加わった前記制御対象ボイラを制御対象から外す請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記制御装置は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧を設定された設定圧力範囲におさまるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のボイラシステム。
- 前記制御装置は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧を設定された目標蒸気圧力値に保つように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のボイラシステム。
- 前記中燃焼位置における前記段階値制御ボイラの燃焼率は40〜60%である請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のボイラシステム。
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