JP2017032223A - ボイラシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】比例分配制御方式の台数制御において低負荷時の圧力安定性を向上させること。【解決手段】複数の段階値制御ボイラ20と制御装置3とを備えるボイラシステム1であって、制御装置3は、所定時間内におけるボイラ群2の平均出力蒸気量を算出し、圧力制御帯域を予め設定された分割圧力値により、高圧力帯域と低圧力帯域とからなる2つの圧力帯域に分割し、ボイラシステム1が低負荷のときに、平均出力蒸気量+αを高圧力帯域に割り当て、比例分配制御方式に基づいて、高圧力帯域における燃焼制御を行う。【選択図】図4

Description

本発明は、複数のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムに関する。
従来、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラを複数有するボイラ群と、要求される負荷に応じてボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムが提案されている。ここで、段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により複数段階の燃焼位置で燃焼するN位置制御ボイラをいい、このような段階値制御ボイラでは、燃焼率が段階的に変更される。なお、N位置制御とは、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止位置を含めてN位置に段階的に制御可能なことを表す。
そして、特許文献1に記載されているように、段階値制御ボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステムの燃焼制御においては、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値が、予め設定された最大設定圧力値を上限値とし、予め設定された制御幅により規定される圧力制御帯域の範囲内に収まるようにボイラ群の燃焼状態を制御することが知られている。すなわち、最大設定圧力値から制御幅を減算して算出される圧力値を下限値とした場合、ヘッダ圧力値が、上限値と下限値により規定される圧力制御帯域の範囲内に収まるようにボイラ群の燃焼状態が制御される。
より具体的には、制御部は、ヘッダ圧力値が上限値に等しい場合に必要蒸気量がゼロになるように、またヘッダ圧力値が下限値に等しい場合に必要蒸気量が最大使用蒸気量になるように、ヘッダ圧力値と上限値との差分である圧力偏差に基づいて必要蒸気量を算出する比例分配制御方式に基づいて、制御周期毎に必要蒸気量MVを算出し、必要蒸気量MVを出力するようにボイラ群を制御する。
なお、比例分配制御方式の台数制御は、複数の段階値制御ボイラからなるボイラ群に限定されるものではなく、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な複数の連続制御ボイラからなるボイラ群にも適用することができる。
このように、比例分配制御方式の台数制御では、予め設定により定められた圧力制御帯域とヘッダ圧力との位置関係により、蒸気出力量が決定される。
特開2011−208817号公報
しかしながら、比例分配制御方式の台数制御においては、圧力制御帯域の幅(制御幅)が狭い場合には、ゲインが大きくなるため、蒸気負荷が高い場合には比較的安定しやすいが、蒸気負荷が低い場合には、圧力変化に対して過剰に蒸気出力量を操作するため、ハンチングが発生しやすいという問題がある。
このため、低負荷時のハンチングを抑止するためには、圧力制御帯域の幅(制御幅)を広げることでゲインを小さくする必要がある。しかしながら、圧力制御帯域の幅(制御幅)を広げると、蒸気負荷が高い場合に安定する圧力が下がってしまう問題が発生する。
ここで、ゲインとは、圧力変化量に対する蒸気出力量の変化の割合を表す。すなわち、ゲインが大きい場合とは、所定の圧力変化量に対して大きな蒸気出力量の変化が生じる場合をいい、ゲインが小さい場合とは、所定の圧力変化量に対して小さな蒸気出力量の変化が生じる場合をいう。
このため、圧力制御帯域の幅(制御幅)を広げすぎることなく、高負荷時に安定する圧力を所定範囲内に維持するとともに、かつ低負荷時の圧力安定性を向上させることができるボイラシステムが望まれる。
本発明は、複数のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムにおいて、圧力制御帯域の幅(制御幅)を広げすぎることなく、高負荷時に安定する圧力を所定範囲内に維持するとともに、かつ低負荷時の圧力安定性を向上させるボイラシステムであって、低負荷時から高負荷時のいずれの場合においても圧力安定性を維持することができるボイラシステムを提供することを目的とする。
本発明は、複数のボイラからなるボイラ群と、前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧測定手段と、前記蒸気圧測定手段により測定される蒸気圧力値が、予め設定された最大設定圧力値を上限値とし、予め設定された制御幅により規定される圧力制御帯域の範囲内に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、前記制御部は、予め設定された最大使用蒸気量を記憶する最大使用蒸気量記憶部と、各ボイラの制御周期毎の出力蒸気量の合計値から、所定時間内における前記ボイラ群の平均出力蒸気量を算出する平均出力蒸気量算出部と、前記平均出力蒸気量算出部により算出された平均出力蒸気量に予め設定された付加蒸気量を加算した第1平均出力蒸気量を算出する第1平均出力蒸気量算出部と、前記圧力制御帯域を、予め設定された分割圧力値により、前記上限値から前記分割圧力値までの高圧力帯域と、前記上限値から前記制御幅を減算した値である下限値から前記分割圧力値までの低圧力帯域と、からなる2つの圧力帯域に分割する圧力制御帯域分割部と、前記ヘッダ圧力値が前記高圧力帯域の範囲に含まれる場合、前記ヘッダ圧力値に対応して前記ボイラ群の必要出力蒸気量をゼロから前記第1平均出力蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出し、前記ヘッダ圧力値が前記低圧力帯域の範囲に含まれる場合、前記ヘッダ圧力値に対応して前記ボイラ群の必要出力蒸気量を前記第1平均出力蒸気量から前記最大使用蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出する、第1必要蒸気量算出部と、式1により算出される前記高圧力帯域における、必要出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値が、式2により算出される前記低圧力帯域における必要出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値よりも小さい場合、前記第1必要蒸気量算出部により算出された必要出力蒸気量を出力するように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する燃焼制御部と、を備える、ボイラシステムに関する。
(第1平均出力蒸気量)/(上限値−分割圧力値) (式1)
(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)/(分割圧力値−下限値) (式2)
また、前記圧力制御帯域分割部は、前記分割圧力値を前記上限値と前記下限値との中間値として、前記圧力制御帯域を均等に分割することが好ましい。
また、前記制御部は、圧力制御帯域の範囲内に含まれる前記ヘッダ圧力値に対応して、前記ボイラ群の必要出力蒸気量を、ゼロから前記最大使用蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出する、必要蒸気量算出部をさらに備え、前記燃焼制御部は、式1により算出される前記高圧力帯域における、必要出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値が、式2により算出される前記低圧力帯域における必要出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値以上となる場合、前記必要蒸気量算出部により算出された必要出力蒸気量を出力するように前記ボイラ群の燃焼状態を制御することが好ましい。
また、前記ボイラは、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラであることが好ましい。
本発明によれば、複数のボイラからなるボイラ群を比例分配制御方式により台数制御するボイラシステムおいて、圧力制御帯域の幅(制御幅)を広げすぎることなく、高負荷時における圧力変化に対しては、従来の比例分配制御方式に比べてゲインを同じか又は大きくすることができ、高負荷時に安定する圧力を所定範囲内に維持することができるとともに、従来の比例分配制御方式に比べて、低負荷時における圧力変化に対しては、従来の比例分配制御方式に比べてゲインを小さくすることができ、低負荷時の圧力安定性を向上することができる。
本発明の一実施形態に係るボイラシステムの概略を示す図である。 上記実施形態の段階値制御ボイラの燃焼位置の概略を示す図である。 上記実施形態のボイラ20における仮想ボイラの一例を示す図である。 上記実施形態の制御部の構成を示す機能ブロック図である。 上記実施形態の記憶部の構成を示す機能ブロック図である。 上記実施形態のボイラシステムにおいて、低負荷時における圧力変化に対するゲインを、従来の比例分配制御方式に比べて小さくする動作の一例を示した図である。 上記実施形態のボイラシステムにおいて、低負荷時における圧力変化に対するゲインを、従来の比例分配制御方式に比べて小さくする動作の一例を示した図である。 上記実施形態のボイラシステムにおいて、高負荷時における圧力変化に対する比例分配制御方式の一例を示した図である。 複数のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムにおいて、従来の比例分配制御方式を適用する場合の、圧力変化に対する必要蒸気量算出の一例を示した図である。
以下、本発明のボイラシステムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態に係るボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、図1に示すように、複数(5台)の段階値制御ボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数の段階値制御ボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、蒸気ヘッダ6の内部の圧力値(以下「ヘッダ圧力値」ともいう)を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を発生する。
複数の段階値制御ボイラ20のそれぞれは、燃焼が行われるボイラ本体21と、段階値制御ボイラ20の燃焼位置を制御するローカル制御部22と、を備える。
ボイラ本体21は、水管やバーナを備え、図示せぬ水源(給水タンク)から供給された缶水を水管内で加熱し、蒸気を生成する。
ローカル制御部22は、蒸気消費量に応じて段階値制御ボイラ20の燃焼位置を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、段階値制御ボイラ20の燃焼位置を制御する。また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、段階値制御ボイラ20の実際の燃焼位置、及びその他のデータ等が挙げられる。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数の段階値制御ボイラ20に接続されている。蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留する。蒸気ヘッダ6は、燃焼させる1又は複数の段階値制御ボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、蒸気圧力値が一定に調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値(以下、「ヘッダ圧力値」ともいう)を測定し、その蒸気圧力値に対応する蒸気圧信号を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
台数制御装置3は、信号線16を介して、複数の段階値制御ボイラ20と電気的に接続されている。台数制御装置3は、蒸気圧センサ7により測定されるヘッダ圧力値に基づいて要求負荷に応じたボイラ群2の必要蒸気量を算出し、該算出された必要蒸気量に基づいて、ボイラ群2の内、制御対象となる段階値制御ボイラ20(以下「制御対象ボイラ」ともいう)の燃焼位置(燃焼量)を制御する。
次に、ボイラシステム1を構成する複数の段階値制御ボイラ20について説明する。図2は、ボイラシステム1を構成するボイラ群2の概略を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の段階値制御ボイラ20は、
1)燃焼停止位置(第1燃焼位置:0%)、
2)低燃焼位置L(第2燃焼位置:例えば最大燃焼量の5〜35%で設定される、本実施形態では25%)、
3)中燃焼位置M(第3燃焼位置:例えば最大燃焼量の40〜60%で設定される、本実施形態では50%)、
4)高燃焼位置H(第4燃焼位置:100%(最大燃焼量))の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラ(以下、「4位置制御ボイラ」ともいう)である。
なお、段階値制御ボイラ20の出力可能な最大蒸気量を最大出力蒸気量という。
図2に示すように、各段階値制御ボイラ20の高燃焼位置Hにおける燃焼量(最大出力蒸気量)は2000kg/h、中燃焼位置Mにおける燃焼量は1000kg/h、低燃焼位置Lにおける燃焼量は500kg/hとされている。
複数の段階値制御ボイラ20には、それぞれ優先順位が設定することができる。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示を行う段階値制御ボイラ20を選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。図2に示すように、段階値制御ボイラ20の1号機〜5号機のそれぞれに「1」〜「5」の優先順位が割り当てられている場合、1号機の優先順位が最も高く、5号機の優先順位が最も低い。なお、この優先順位は、後述の制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更してもよい。
段階値制御ボイラ20の燃焼又はその停止は、仮想ボイラ単位で扱うことができる。仮想ボイラとは、ボイラにおける燃焼位置(燃焼量)の違い(低燃焼位置、中燃焼位置、高燃焼位置)をそれぞれ独立したボイラとみなし、それぞれの燃焼位置における蒸気量とその1段階下位の燃焼位置における蒸気量との差分蒸気量をボイラに仮想したものである。
例えば、図3に示すように、4位置制御ボイラは、低燃焼量ボイラ、(中燃焼量−低燃焼量)ボイラ、(高燃焼量−中燃焼量)ボイラの3台の仮想ボイラからなるとすることができる。例えば、4位置制御ボイラを低燃焼位置で燃焼させる場合、低燃焼量ボイラに対して燃焼指示を行い、他方、(中燃焼量−低燃焼量)ボイラ、及び(高燃焼量−中燃焼量)ボイラに対しては燃焼停止指示を行っていると制御上扱うことができる。
そうすると、ボイラ群2の制御対象となる複数の段階値制御ボイラ20の燃焼位置の燃焼順序である燃焼優先順位は、制御対象となる段階値制御ボイラ20を、低燃焼量ボイラ、(中燃焼量−低燃焼量)ボイラ、(高燃焼量−中燃焼量)ボイラの3台の仮想ボイラからなるとした場合に、制御対象となる複数の段階値制御ボイラ20を構成する複数の仮想ボイラの燃焼指示や燃焼停止指示を行う際の優先順位(以下、「仮想ボイラ優先順位」という)と同等のものであるということができる。
次に、台数制御装置3の構成について詳細に説明する。台数制御装置3は、図1に示すように、制御手段としての制御部4と、記憶部5と、を備える。
制御部4は、要求負荷が増加した場合には、段階値制御ボイラ20の燃焼停止状態にある燃焼位置の内、最も燃焼優先順位の高い燃焼位置を選択して、当該選択した燃焼位置での燃焼指示(当該選択した仮想ボイラに対する燃焼指示)を行う。逆に、制御部4は、要求負荷が減少した場合には、段階値制御ボイラ20の燃焼状態にある燃焼位置の内、最も燃焼優先順位の低い燃焼位置を選択して、当該選択した燃焼位置での燃焼停止指示(当該選択した仮想ボイラに対する燃焼停止指示)を行う。
制御部4の詳細については、後述する。
記憶部5の構成を図5に示す。図5に示すように、記憶部5は、最大使用蒸気量記憶部51を含む。
最大使用蒸気量記憶部51は、予め設定された、蒸気使用設備18(要求負荷)において消費される蒸気量の最大使用蒸気量を記憶する。
ここで、最大使用蒸気量とは、蒸気使用設備18が使用する最大の蒸気量を意味する。したがって、ボイラシステム1の出力する最大出力蒸気量であるということができる。
また、最大使用蒸気量とは、制御対象となるボイラ20において、制御対象として設定されたすべての仮想ボイラの燃焼状態における出力蒸気量の合計であるということができる。
本実施形態における、蒸気使用設備18において消費される蒸気量の最大使用蒸気量は、10000kg/hに設定されているとする。
また、記憶部5は、後述する予め設定された付加蒸気量を記憶する付加蒸気量記憶部52、後述する予め設定された分割圧力値を記憶する分割圧力値記憶部53、優先順位を記憶する優先順位記憶部54、を備えるように構成できる。
このほか、記憶部5は、台数制御装置3(制御部4)の制御により各段階値制御ボイラ20に対して行われた指示の内容や、各段階値制御ボイラ20から受信した燃焼位置等の情報の設定情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報を記憶する。
次に、制御部4の構成について詳細に説明する。
第1実施形態では、制御部4は、予め設定された分割圧力値により、圧力制御帯域を、高圧力帯域と低圧力帯域とからなる2つの圧力帯域に分割する。すなわち、圧力制御帯域の上限値と分割圧力値により規定される圧力帯域を高圧力帯域といい、分割圧力値と圧力制御帯域の下限値により規定される圧力帯域を低圧力帯域とする。
そして、ボイラ群2の平均出力蒸気量+αを高圧力帯域の圧力値幅で除算した値が、最大使用蒸気量から平均出力蒸気量+αを減算した値を低圧力帯域の圧力値幅で除算した値よりも小さい場合に、従来の比例分配制御方式に比べて、低負荷時における圧力変化(すなわち、高圧力帯域における圧力変化)に対するゲインを小さくすることで、低負荷時の圧力安定性を向上できるように制御するように構成される。
また、高負荷時における圧力変化(すなわち、低圧力帯域における圧力変化)に対しては、従来の比例分配制御方式に比べてゲインを大きくすることで、高負荷時に安定する圧力を所定範囲内に維持することができるように制御するように構成される。
このような制御を実現するため、図4に示すように、制御部4は、平均出力蒸気量算出部41と、第1平均出力蒸気量算出部42と、圧力制御帯域分割部43と、第1必要蒸気量算出部44と、燃焼制御部45と、必要蒸気量算出部46と、を含んで構成される。
<平均出力蒸気量算出部41>
平均出力蒸気量算出部41は、制御周期毎に各ボイラ20の出力蒸気量の合計値、すなわちボイラ群2の出力蒸気量を算出する。そのうえで、平均出力蒸気量算出部41は、制御周期毎のボイラ群2の出力蒸気量の所定時間内(例えば60秒)における移動平均を算出して、ボイラ群2の平均出力蒸気量とする。
<第1平均出力蒸気量算出部42>
第1平均出力蒸気量算出部42は、平均出力蒸気量算出部41により算出されたボイラ群2の平均出力蒸気量に予め設定された付加蒸気量(+α)を加算した第1平均出力蒸気量を算出する。
<圧力制御帯域分割部43>
圧力制御帯域分割部43は、圧力制御帯域を、分割圧力値記憶部53に予め設定された分割圧力値により、圧力制御帯域の上限値から分割圧力値までの高圧力帯域と分割圧力値から圧力制御帯域の下限値までの低圧力帯域とからなる2つの圧力帯域に分割する。
なお、圧力制御帯域分割部43は、圧力制御帯域の上限値から制御幅を減算することで圧力制御帯域の下限値を算出する。
<第1必要蒸気量算出部44>
第1必要蒸気量算出部44は、ヘッダ圧力値が高圧力帯域の範囲に含まれる場合、ヘッダ圧力値に対応してボイラ群2の必要出力蒸気量がゼロから第1平均出力蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出し、ヘッダ圧力値が低圧力帯域の範囲に含まれる場合、ヘッダ圧力値に対応してボイラ群2の必要出力蒸気量が第1平均出力蒸気量から最大使用蒸気量までの値となるように、比例分配制御方式により算出する。
より具体的には、ヘッダ圧力値が高圧力帯域の範囲に含まれる場合、第1必要蒸気量算出部44は、ヘッダ圧力値が上限値に等しい場合に必要蒸気量がゼロになるように、ヘッダ圧力値が分割圧力値に等しい場合に必要蒸気量が第1平均出力蒸気量になるように、ヘッダ圧力値と上限値との差分である圧力偏差に基づいて、比例分配制御方式により必要蒸気量を算出する。
また、ヘッダ圧力値が低圧力帯域の範囲に含まれる場合、第1必要蒸気量算出部44は、ヘッダ圧力値が分割圧力値に等しい場合に必要蒸気量が第1平均出力蒸気量になるように、ヘッダ圧力値が下限値に等しい場合に必要蒸気量が最大使用蒸気量になるように、ヘッダ圧力値と上限値との差分である圧力偏差に基づいて、比例分配制御方式により必要蒸気量を算出する。
なお、比例分配制御方式により必要蒸気量を算出する際に、必ずしも、線形の比例計算に限定されない。例えば、xが増加するとき常にyの値が減少する所定の関数(いわゆる減少関数)にしたがって、圧力偏差(x)に対して必要蒸気量(y)を算出するようにしてもよい。
こうすることで、後述するように、平均出力蒸気量が少ない場合(すなわち、ヘッダ圧力が平均的に高いとき)に、高圧力帯域に第1平均出力蒸気量を割り当てることで、ヘッダ圧力が高圧力帯域の範囲内にある場合のゲインを小さくすることができる。
この場合、低圧力帯域に最大使用蒸気量から第1平均出力蒸気量を減じた蒸気量を割り当てることになるが、仮に、蒸気負荷が高くなり、ヘッダ圧力が低圧力帯域の範囲内にある場合、ゲインを大きくすることができる。
<燃焼制御部45>
燃焼制御部45は、式1により算出される、高圧力帯域に割り当てる第1平均出力蒸気量の高圧力帯域における圧力差に対する勾配の絶対値が、式2により算出される低圧力帯域に割り当てる(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)の低圧力帯域における圧力差に対する勾配の絶対値よりも小さい場合(以下、簡単のため「第1状態」という)、第1必要蒸気量算出部により算出された必要出力蒸気量を出力するようにボイラ群2の燃焼状態を制御する。
(第1平均出力蒸気量)/(上限値−分割圧力値) (式1)
(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)/(分割圧力値−下限値) (式2)
こうすることで、前述したように、ヘッダ圧力が高圧力帯域の範囲内にある場合のゲインを小さくすることができる。
燃焼制御部45は、逆に、式1により算出される、高圧力帯域に割り当てる第1平均出力蒸気量の高圧力帯域における圧力差に対する勾配の絶対値が、式2により算出される低圧力帯域に割り当てる(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)の低圧力帯域における圧力差に対する勾配の絶対値以上の場合(以下、簡単のため「第2状態」という)、仮に第1必要蒸気量算出部により算出された必要出力蒸気量を出力するようにボイラ群2の燃焼状態を制御すると、ヘッダ圧力が高圧力帯域の範囲内にある場合のゲインが通常の場合よりも大きくなる。
このため、燃焼制御部45は、ボイラ群2が第2状態にある場合には、後述する必要蒸気量算出部46により算出される通常の必要出力蒸気量を出力するようにボイラ群2の燃焼状態を制御する。
<必要蒸気量算出部46>
必要蒸気量算出部46は、圧力制御帯域の範囲内に含まれるヘッダ圧力値に対応して、ボイラ群2の必要出力蒸気量を、ゼロから最大使用蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出する。
より具体的には、ヘッダ圧力値が上限値に等しい場合に必要蒸気量がゼロになるように、ヘッダ圧力値が下限値に等しい場合に必要蒸気量が最大使用蒸気量になるように、ヘッダ圧力値と上限値との差分である圧力偏差に基づいて、比例分配制御方式により必要蒸気量を算出する。
すなわち、必要蒸気量算出部46は、制御周期毎に、ヘッダ圧力値の圧力偏差(予め設定された最大設定圧力値とヘッダ圧力値との差分)を予め設定された制御幅で除算した比率に、最大使用蒸気量を乗算することにより、ボイラ群2の必要出力蒸気量を算出する。
次に本実施形態のボイラシステム1の動作について、図6〜図9を参照して、説明する。
<ボイラシステム1の設定値>
まず、ボイラシステム1の設定値について説明する。
図2に示すように、各段階値制御ボイラ20の高燃焼位置Hにおける燃焼量(最大出力蒸気量)は2000kg/h、中燃焼位置Mにおける燃焼量は1000kg/h、低燃焼位置Lにおける燃焼量は500kg/hとしている。
なお、段階値制御ボイラ20の燃焼又はその停止は、仮想ボイラ単位で扱うことができる。
したがって、本実施形態の各ボイラは、燃焼量500kg/hの低燃焼量ボイラ、燃焼量500kg/hの(中燃焼量−低燃焼量)ボイラ、及び燃焼量1000kg/hの(高燃焼量−中燃焼量)ボイラの3台の仮想ボイラからなるとすることができる。
例えば、4位置制御ボイラを低燃焼位置で燃焼させる場合、燃焼量500kg/hの低燃焼量ボイラに対して燃焼指示を行い、他方、燃焼量500kg/hの(中燃焼量−低燃焼量)ボイラ、及び燃焼量1000kg/hの(高燃焼量−中燃焼量)ボイラに対しては燃焼停止指示を行っていると制御上扱うことができる。
次に、本実施形態のボイラシステム1は、最大使用蒸気量を10000kg/h、最大設定圧力値(「比例分配設定圧力値」ともいう)を0.8MPa、制御幅(「比例分配制御幅」ともいう)を0.2MPaに設定している。
すなわち、圧力制御帯域の上限値は0.8MPa、下限値は0.6MPaである。
また、動作例の説明をわかりやすくするために、分割圧力値を上限値と下限値との中間値である0.7MPaに設定する。
そうすることで、高圧力帯域は、上限値0.8MPaから分割圧力値0.7MPaまでの圧力値の範囲となり、低圧力帯域は分割圧力値0.7MPaから下限値0.6MPaまでの圧力値の範囲となる。
なお、分割圧力値については、任意に設定することができ、高圧力帯域と低圧力帯域の幅が異なるものであってもよい。
また、予め設定された付加蒸気量をαで表す。そうすることで、第1平均出力蒸気量は、平均出力蒸気量+αとして表される。
[第1平均出力蒸気量<5000kg/hである場合]
図6に示すように、ボイラシステム1の第1平均出力蒸気量(平均使用蒸気量+α)は、最大使用蒸気量10000kg/hの1/4程度(2500kg/h)となる低負荷状態である。
他方、(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)は、7500kg/h程度となる。
式1及び式2における分母が、同じ値となることから、式1により算出される高圧力帯域(0.7MPa〜0.8MPa)に割り当てられる出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値は、式2により算出される低圧力帯域(0.6MPa〜0.7MPa)に割り当てられる出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値よりも小さい。
すなわち、ボイラ群2は第1状態にある。
したがって、ボイラシステム1の燃焼制御部45は、第1必要蒸気量算出部44により算出された必要出力蒸気量を出力するようにボイラ群2の燃焼状態を制御する。
この場合、第1必要蒸気量算出部44は、高圧力帯域に第1平均出力蒸気量(=2500kg/h)を割り当て、低圧力帯域に(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)(=7500kg/h)を割り当て、比例分配制御方式により、必要蒸気量を算出する。
したがって、図6における高圧力帯域においては、例えばヘッダ圧力値が0.01MPa低下することにより、250kg/hの必要蒸気量の増加量が算出されるに過ぎない。
これに対して、例えば図9に示す従来の比例分配制御方式では、5000kg/hが高圧力帯域に割り当てられ、図6における高圧力帯域においては、例えばヘッダ圧力値が0.01MPa低下することにより、500kg/hの必要蒸気量の増加量が算出される。
このように、従来の比例分配制御方式に比べて、低負荷時における圧力変化に対するゲインを小さくすることができ、低負荷時の圧力安定性を向上することができる。
次に、図6よりも少し蒸気負荷が高まり、図7に示すように、第1平均出力蒸気量(平均使用蒸気量+α)は、3400kg/h程度となったとする。
他方、(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)は、6600kg/h程度となる。
したがって、式1及び式2における分母が、同じ値となることから、式1により算出される高圧力帯域(0.7MPa〜0.8MPa)に割り当てられる出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値は、式2により算出される低圧力帯域(0.6MPa〜0.7MPa)に割り当てられる出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値よりも小さい。
すなわち、依然としてボイラ群2は第1状態にある。
したがって、ボイラシステム1の燃焼制御部45は、第1必要蒸気量算出部44により算出された必要出力蒸気量を出力するようにボイラ群2の燃焼状態を制御する。
この場合、第1必要蒸気量算出部44は、高圧力帯域に第1平均出力蒸気量(=3400kg/h)を割り当て、低圧力帯域に(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)(=6600kg/h)を割り当て、比例分配制御方式により、必要蒸気量を算出する。
したがって、図7における高圧力帯域においては、例えばヘッダ圧力値が0.01MPa低下することにより、340kg/hの必要蒸気量の増加量が算出されるに過ぎない。
このように、従来の比例分配制御方式に比べて、低負荷時における圧力変化に対するゲインを小さくすることができ、低負荷時の圧力安定性を向上することができる。
次に、蒸気負荷が高まり、平均出力蒸気量が増加して、第1平均出力蒸気量が5000kg/h以上となった場合について、説明する。
<第1平均出力蒸気量≧5000kg/hである場合>
例えば図8に示すように、第1平均出力蒸気量は6000kg/hとなり、(最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)は4000kg/hとなったとする。
したがって、式1及び式2における分母が、同じ値となることから、式1により算出される高圧力帯域(0.7MPa〜0.8MPa)に割り当てられる出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値は、式2により算出される低圧力帯域(0.6MPa〜0.7MPa)に割り当てられる出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値よりも大きい。
すなわち、ボイラ群2は第2状態にある。
したがって、ボイラシステム1の燃焼制御部45は、必要蒸気量算出部46により算出された必要出力蒸気量を出力するようにボイラ群2の燃焼状態を制御する。
すなわち、仮に、蒸気負荷が減少して、ヘッダ圧力値が高圧力帯域の範囲内になった場合、ヘッダ圧力値が0.01MPa低下することにより、500kg/hの必要蒸気量を増加するように、ボイラ群2の燃焼状態を制御される。
これに対して、仮に、燃焼制御部45が、第1必要蒸気量算出部44により算出された必要出力蒸気量を出力するようにボイラ群2の燃焼状態を制御したとき、仮に、蒸気負荷が減少して、ヘッダ圧力値が高圧力帯域の範囲内になった場合、例えばヘッダ圧力値が0.01MPa低下することにより、600kg/hの必要蒸気量の増加量が算出されることとなる。
これは、従来の比例分配制御方式(すなわち、必要蒸気量算出部46)に比較すると、ゲインが大きくなることを意味する。
このように、式1により算出される高圧力帯域(0.7MPa〜0.8MPa)に割り当てられる出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値が、式2により算出される低圧力帯域(0.6MPa〜0.7MPa)に割り当てられる出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値以上となる場合、すなわち、ボイラ群2が第2状態にある場合には、燃焼制御部45は、第1必要蒸気量算出部44ではなく、必要蒸気量算出部46により算出される必要蒸気量を出力するように制御する。
こうすることで、ボイラシステム1は、蒸気負荷が低いとき、すなわち第1平均蒸気量(平均出力蒸気量+α)が小さいときには、第1平均蒸気量を使って低負荷時における圧力変化(すなわち、高圧力帯域における圧力変化)に対するゲインを小さくすることで、低負荷時の圧力安定性を向上できるように制御することができる。
また、ボイラシステム1の蒸気負荷が上昇して、蒸気負荷が中負荷又は高負荷となった際には、従来の比例分配制御方法により必要出力蒸気量を算出することで、高負荷時に安定する圧力を維持することができる。
以上のように、本実施形態に係るボイラシステム1は、平均出力蒸気量算出部41により、例えば、制御周期毎に各ボイラ20の出力蒸気量の合計値、すなわちボイラ群2の出力蒸気量を算出し、制御周期毎のボイラ群2の出力蒸気量の所定時間内(例えば60秒)における移動平均を算出する。そして、燃焼制御部45は、当該ボイラ群2が第1状態である場合には、低負荷時における圧力変化(すなわち、高圧力帯域における圧力変化)に対するゲインを小さくすることで、低負荷時の圧力安定性を向上できるように制御するように構成される。
また、当該ボイラシステム1が中負荷又は高負荷時における圧力変化(すなわち、低圧力帯域における圧力変化)に対するゲインを通常の場合と同様又はそれ以上とすることで、中負荷又は高負荷時においても、圧力安定性を維持できるように制御するように構成される。
以上説明した本実施形態のボイラシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)本実施形態のボイラシステム1は、圧力制御帯域分割部43により、圧力制御帯域を、予め設定された分割圧力値により、上限値から分割圧力値までの高圧力帯域と分割圧力値から上限値から制御幅を減算した値である下限値までの低圧力帯域とからなる2つの圧力帯域に分割し、平均出力蒸気量算出部41により所定時間内におけるボイラ群2の平均出力蒸気量を算出し、第1平均出力蒸気量算出部42により、該平均出力蒸気量に予め設定された付加蒸気量を加算することで、第1平均出力蒸気量を算出し、燃焼制御部45は、第1平均出力蒸気量に基づいてボイラ群2が第1状態にあると判断した場合、第1必要蒸気量算出部44により、高圧力帯域に第1平均出力蒸気量を、低圧力帯域に最大使用蒸気量から第1平均出力蒸気量を減算した蒸気量を割り当てることに基づく、比例分配制御方式により算出される必要出力蒸気量を出力するように制御される。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、蒸気負荷が低いとき、すなわち第1平均蒸気量(平均出力蒸気量+α)が小さいときには、第1平均蒸気量を使って低負荷時における圧力変化(すなわち、高圧力帯域における圧力変化)に対するゲインを小さくすることで、低負荷時の圧力安定性を向上できるように制御することができる。
(2)本実施形態のボイラシステム1における圧力制御帯域分割部43は、分割圧力値を圧力制御帯域の上限値と下限値との中間値として、圧力制御帯域を均等に分割することができる。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、ボイラ群2が第1状態にあるか、又は第2状態にあるかを簡単に判断することが可能となる。
(3)本実施形態のボイラシステム1は、圧力制御帯域の範囲内に含まれるヘッダ圧力値に対応して、ボイラ群2の必要出力蒸気量を、ゼロから前記最大使用蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出する必要蒸気量算出部46をさらに備え、燃焼制御部45は、ボイラ群2が第2状態になる場合、必要蒸気量算出部46により算出された必要出力蒸気量を出力するようにボイラ群2の燃焼状態を制御する。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、ボイラ群2が第2状態にある場合に、低圧力帯域における圧力変化に対するゲインを通常の場合と同程度のものとすることができる。
(4)本実施形態のボイラ群2は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラからなるように構成することができる。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、段階値制御ボイラからなるボイラ群を比例分配制御方式で燃焼制御する際に、低負荷時の圧力安定性を向上できるように制御することができる。
以上、本発明のボイラシステム1の好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
本実施形態では、動作例の説明をわかりやすくするために、分割圧力値を上限値と下限値との中間値としたが、これに限定されない。前述したように、分割圧力値は、下限値を超え上限値未満となる任意の値を適宜設定することができ、高圧力帯域と低圧力帯域の幅が異なるものであってもよい。
本実施形態では、ボイラ群2は5台の段階値制御ボイラ20を含むとしたが、これに限定されない。段階値制御ボイラ20の台数は、適宜設定することができる。
本実施形態では、段階値制御ボイラ20を、5台ともに4位置制御のボイラとしたが、これに限定されない。すなわち、本発明の段階値制御ボイラ20を、4位置制御以外に、複数の中燃焼位置を有する5位置制御以上のボイラ、又は3位置制御、2位置制御の段階値制御ボイラとしてもよい。
また、各段階値制御ボイラ20のボイラ容量、燃焼位置の段階数、及び各燃焼位置における燃焼率等が、各段階値制御ボイラ20のそれぞれで異なることとしてもよい。
本実施形態では、複数の段階値制御ボイラからなるボイラ群の必要蒸気量を比例分配制御方式により制御するボイラシステムとしたが、これに限定されない。燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な複数の連続制御ボイラからなるボイラ群を、比例分配制御方式により燃焼制御する場合にも適用できる。
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
20 段階値制御ボイラ
3 台数制御装置
4 制御部
41 平均出力蒸気量算出部
42 第1平均出力蒸気量算出部
43 圧力制御帯域分割部
44 第1必要蒸気量算出部
45 燃焼制御部
46 必要蒸気量算出部
5 記憶部
51 最大使用蒸気量記憶部
52 付加蒸気量記憶部
53 分割圧力値記憶部
54 優先順位記憶部

Claims (4)

  1. 複数のボイラからなるボイラ群と、
    前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
    前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧測定手段と、
    前記蒸気圧測定手段により測定される蒸気圧力値が、予め設定された最大設定圧力値を上限値とし、予め設定された制御幅により規定される圧力制御帯域の範囲内に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、
    を備えるボイラシステムであって、
    前記制御部は、
    予め設定された最大使用蒸気量を記憶する最大使用蒸気量記憶部と、
    各ボイラの制御周期毎の出力蒸気量の合計値から、所定時間内における前記ボイラ群の平均出力蒸気量を算出する平均出力蒸気量算出部と、
    前記平均出力蒸気量算出部により算出された平均出力蒸気量に予め設定された付加蒸気量を加算した第1平均出力蒸気量を算出する第1平均出力蒸気量算出部と、
    前記圧力制御帯域を、予め設定された分割圧力値により、前記上限値から前記分割圧力値までの高圧力帯域と、前記上限値から前記制御幅を減算した値である下限値から前記分割圧力値までの低圧力帯域と、からなる2つの圧力帯域に分割する圧力制御帯域分割部と、
    前記ヘッダ圧力値が前記高圧力帯域の範囲に含まれる場合、前記ヘッダ圧力値に対応して前記ボイラ群の必要出力蒸気量をゼロから前記第1平均出力蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出し、
    前記ヘッダ圧力値が前記低圧力帯域の範囲に含まれる場合、前記ヘッダ圧力値に対応して前記ボイラ群の必要出力蒸気量を前記第1平均出力蒸気量から前記最大使用蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出する、第1必要蒸気量算出部と、
    式1により算出される前記高圧力帯域における、必要出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値が、式2により算出される前記低圧力帯域における必要出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値よりも小さい場合、前記第1必要蒸気量算出部により算出された必要出力蒸気量を出力するように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する燃焼制御部と、
    を備える、ボイラシステム。
    (第1平均出力蒸気量)/(上限値−分割圧力値) (式1)
    (最大使用蒸気量−第1平均出力蒸気量)/(分割圧力値−下限値)
    (式2)
  2. 前記圧力制御帯域分割部は、前記分割圧力値を前記上限値と前記下限値との中間値として、前記圧力制御帯域を均等に分割する、請求項1に記載のボイラシステム。
  3. 前記制御部は、
    圧力制御帯域の範囲内に含まれる前記ヘッダ圧力値に対応して、前記ボイラ群の必要出力蒸気量を、ゼロから前記最大使用蒸気量までの値となるように比例分配制御方式により算出する必要蒸気量算出部をさらに備え、
    前記燃焼制御部は、式1により算出される前記高圧力帯域における、必要出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値が、式2により算出される前記低圧力帯域における必要出力蒸気量の圧力値に対する勾配の絶対値以上となる場合、前記必要蒸気量算出部により算出された必要出力蒸気量を出力するように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する、請求項1又は請求項2に記載のボイラシステム。
  4. 前記ボイラは、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボイラシステム。
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