JP2016060867A - コークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法及びコークス炉の炭化室の補修方法 - Google Patents

コークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法及びコークス炉の炭化室の補修方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016060867A
JP2016060867A JP2014191280A JP2014191280A JP2016060867A JP 2016060867 A JP2016060867 A JP 2016060867A JP 2014191280 A JP2014191280 A JP 2014191280A JP 2014191280 A JP2014191280 A JP 2014191280A JP 2016060867 A JP2016060867 A JP 2016060867A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbonization chamber
overhang
time
coke oven
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014191280A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6107776B2 (ja
Inventor
征太郎 秋山
Seitaro Akiyama
征太郎 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2014191280A priority Critical patent/JP6107776B2/ja
Publication of JP2016060867A publication Critical patent/JP2016060867A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6107776B2 publication Critical patent/JP6107776B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Furnace Housings, Linings, Walls, And Ceilings (AREA)

Abstract

【課題】炭化室の内壁のうち、張出部分を把握し、張出部分の補修が必要となる時期をより正確に予測する。【解決手段】炭化室の内壁を調査することで、内壁のうち、コークス炉の建造時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも張り出している張出部分を特定する。張出部分の初期位置と炭化室に挿入される押出ラムのラムヘッドと間隔距離sdを把握する。張出部分についての初期位置からの張出量wを測定して、測定日時tと張出量wとからなるデータセットを複数把握する。データセットから導出される近似曲線70より求まる、測定日時tと張出量wとの関係式に基づき、張出量wが間隔距離sdとなる日時を算出する。現在から、間隔距離sdとなる日時までが、炭化室の使用可能期間となる。【選択図】 図3

Description

本発明は、老朽化したコークス炉における、内壁が張り出してきた炭化室の使用可能な期間を予測する技術及び炭化室の補修技術に関する。
コークス炉では、炭化室に装入された石炭を乾留してコークスを製造する。炭化室の両側には窯口が設けられており、一方の窯口側には押出機が配置され、他方の窯口側にはガイド車が配置されている。石炭の乾留中は両側の窯口をコークス炉蓋で覆っておき、乾留後に該コークス炉蓋を開放して、一方の窯口から押出機の押出ラムを炭化室に挿入し、コークスを炭化室から押し出して他方の窯口からコークスをガイド車に排出している。
近年、コークス炉の老朽化に伴い、コークス炉を構成する耐火物の一部が摩耗して変形したり、耐火物間の目地が広がるなどして、コークス炉の建造時には、平坦であった炭化室の内壁の一部が張り出してくる場合がある。コークス炉の操業において、張り出しが顕著な内壁部分を有する炭化室を使用していると、コークスが排出し難くなる押し詰まりが発生していた。押し詰まりが発生すると、単位時間当たりのコークスの生産量が悪化してしまう。また、その一部の張出量が更に大きくなると、押出ラムのラムヘッドがその一部に接触して、押出ラムによってコークスを排出できなくなる可能性がある。
そこで、張り出している内壁部分の耐火物に対して、適宜、積み替えなどの補修を行うために、補修対象の内壁の位置及び補修すべき時期(日時)を把握する必要がある。特許文献1には、炭化室毎の押出力データを所定の数日間測定しておき、該データの平均に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する方法が提案されている。
特開2005−272822号公報
特許文献1に記載の方法によって、補修の要否をある程度正しく判断できる。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、押出力のデータは、内壁の状態以外の影響も受けるので、炭化室毎に補修の要否が必ずしも正しく判断できない可能性がある。その上、仮に判断できても、内壁のうち、今後補修が必要となる部分の時期を予測することができず、炭化室の補修計画を前もって作成し難いという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、炭化室の内壁のうち、張出部分を把握し、該張出部分の補修が必要となる時期(日時)、すなわち、炭化室の使用可能期間をより正確に予測すること及び予測された使用可能期間に基づいて補修を行う方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
(1)コークス炉の炭化室の使用可能期間を予測する方法であって、前記炭化室の内壁を調査することで、該内壁のうち、前記コークス炉の建造時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも張り出している張出部分を特定し、該張出部分の初期位置と、前記炭化室に挿入される押出ラムのラムヘッドが前記張出部分に最も接近する位置での前記ラムヘッドと、の間隔sdを把握し、前記張出部分についての初期位置からの張出量wを複数回測定して、測定日時tと張出量wとからなるデータセットを複数把握し、前記データセットから導出される、前記測定日時tと前記張出量wとの関係式に基づいて、前記張出部分の張出量wが前記間隔sdとなる日時を算出して、前記使用可能期間を予測することを特徴とするコークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法。
(2)上記(1)に記載のコークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法で、炭化室の使用可能期間を予測し、予測された使用可能期間に基づいてコークス炉炭化室を補修する方法であって、前記使用可能期間の間に、予測対象の炭化室の補修を行うことを特徴とするコークス炉の炭化室の補修方法。
本発明によれば、老朽化したコークス炉の炭化室の内壁のうち、張出部分を把握し、張出部分の補修が必要となる部分の時期を正確に予測することで、炭化室の時期使用可能期間を見積もることができる。これにより、必要によっては、炭化室を限界まで使用することができる上に、炭化室の補修計画も作成しやすくなる。
コークス炉の斜視図である。 老朽化したコークス炉の炭化室の内壁に生じる張出部分の説明図である。 ある炭化室の張出部分について測定した張出量wと測定日時tとの関係を示すグラフである。 図3の場合とは別の炭化室の張出部分について測定した張出量wと測定日時tとの関係を示すグラフである。 図3及び図4の場合とは別の炭化室の張出部分について測定した張出量wと測定日時tとの関係を示すグラフである。
図1はコークス炉の斜視図である。コークス炉1は、蓄熱室が複数並べられて構成される蓄熱部2、及び、該蓄熱部2の上に炭化室3と燃焼室4とを複数有し、炭化室3と燃焼室4とは交互に隣接して並べられている。炭化室3と燃焼室4との上を、装炭車5がコークス炉1の炉長手方向Lに沿って走行する。図示は省略しているが、炭化室3の上壁には、装入孔が、コークス炉1の炉短手方向Sに沿って複数形成されており、装入孔を通じて、石炭が炭化室3に装入される。炭化室3の両側には窯口3aが設けられており、図示は省略しているが、窯口3aは脱着可能なコークス炉蓋で覆われている。炭化室3の一方の窯口3a側には押出機6が配置され、他方の窯口3a側にはガイド車8が配置され、押出機6とガイド車8とが炉長手方向Lに沿って走行する。
炭化室3では、装入された石炭が乾留されてコークスとなる。石炭を乾留するために、蓄熱部2の各蓄熱室から燃料ガスを燃焼室4に供給し燃焼させて、燃焼熱を燃焼室4に隣接する炭化室3に伝えることで、該炭化室3を加熱する。燃焼室4での燃焼熱が隣接する炭化室3に伝わり、該炭化室3の温度が上昇し、石炭が乾留される。乾留が終わった後に、窯口3aからコークス炉蓋を取外し、押出機6の押出ラムを炭化室3に挿入して、押出ラムで、石炭の乾留で得られるコークスを炭化室3から押し出して、該押出機6の反対側にあるガイド車8で受け止める。該ガイド車8の下側には、蓄熱部2の前を炉長手方向Lに沿って走行可能な消火車9が配置されて、ガイド車8から消火車9がコークスを受ける。次いで、消火車9は、コークスを所定の場所まで移動する。
コークス炉1の操業では、炭化室3からのコークスの押し出し、炭化室3への石炭の装入を繰り返して行う。操業を行っているうちに、複数の炭化室3の内壁(壁面)が損耗・変形していく(コークス炉1の老朽化)。図2は、老朽化したコークス炉の炭化室の内壁に生じる張出部分の説明図であり、(a)及び(b)ともに、炭化室3及び燃焼室4の窯口3a近傍の水平断面を示し、(a)は、コークス炉の建造時の炭化室3及び燃焼室4を示し、(b)は、(a)に示す炭化室3の内壁3bが変形して、内壁3bの一部が張り出している状態を示している。炭化室3及び燃焼室4は、煉瓦などの耐火物が複数積み上げられて構成されている。炭化室3は、対向する一対の炉壁(内壁)3bを有し、該内壁3bを形成するように耐火物が積み上げられている。
コークスの押し出しは、押出ラム60によって行われる。該押出ラム60は、ラムヘッド61と該ラムヘッド61が取り付けられるラムビーム62とを有し、押出機6は、押出ラム60と該押出ラム60のラムビーム62に接続する押出ラム駆動装置(図示せず)とを有している。該押出ラム駆動装置によってラムビーム62を駆動させ、押出ラム60を炭化室3に挿入し、コークスにラムヘッド61を押し当てて、炭化室3からコークスを押し出すことになる。
図2(a)に示す炭化室3においては、コークスの押し詰まりは生じないが、図2(b)に示す炭化室3においては、コークスの押し詰まりすなわち、押出ラム60によってコークスを排出できなくなる現象が、起こる可能性がある。図2(b)に示す炭化室3では、コークス炉1の老朽化に伴い、耐火物の一部が損耗して変形したり、耐火物の目地が広がるなどして、平坦であった炭化室の内壁3bの一部が張り出して、内壁3bに凸凹部が生じており、コークスが押し出される際、コークスが張出部分31に接触することでコークスを押出す際の抵抗が高くなるからである。また、張出部分31が更に張り出すと、ラムヘッド61がその一部に接触してしまい、接触部とその周辺の内壁3bを構成する耐火物積みの崩壊が起きたり、押出ラム60が機能しなくなったりする可能性がある。特に、耐火物積みの崩壊が起こると、その補修には長期間を要することが多いため、このような炉体損傷は避けなければならない。
そこで、張出部分31に対して、耐火物の積み替えなどの補修を行う必要がある。本発明者は、コークス炉1の操業において、内壁3bの一部が張り出している炭化室3の内壁3bの凹凸状態に関するデータを測定しており、該データから、補修対象の張出部分31の位置及び補修すべき時期を予測する方法を鋭意検討して、本発明の完成に至った。補修すべき時期(日時)とは、その時期を予測する日時から、炭化室が使用可能である期間(補修までの期間)を意味するものであり、本発明は、補修すべき時期を予測する方法であるとともに、炭化室の使用可能期間を予測する方法であるといえる。
本発明では、炭化室3の内壁3bの調査を行いつつ、調査結果に基づいて、炭化室3を補修すべき時期(使用限界日時)を算出する。まずは、内壁3bの調査工程を詳細に説明する。
[内壁の調査]
炭化室3の内壁3bを調査することで、内壁3bのうち、コークス炉1の建造時の熱間寸法に基づいた初期位置より張り出している張出部分31を特定する。内壁3bの調査とは、内壁3bの表面形状を測定することを意味し、特開2013−82909号公報に記載されているコークス炉炉壁形状診断方法によって、内壁3bの表面形状(凹凸、炭化室3の幅の変化)及びその高さを測定できる。内壁表面の一部分の初期位置は、コークス炉1の建造時の熱間寸法に基づいて得られる。調査して得られる内壁3bの表面形状に基づけば、初期位置よりも張り出している内壁3bの一部である張出部分31を特定できる。なお、初期位置よりも張り出している部分が複数存在している場合には、その複数の部分を、後述する張出量wの測定対象としてもよいが、最も張り出している部分を測定対象とすることが好ましい。最も張り出している張出部分31が、ラムヘッド61と早めに接触してしまうと想定されるからである。なお、炭化室の内壁3b表面には、カーボンが付着している場合がある。その場合、内壁3bに付着したカーボンを落として、耐火物表面の形状をより正確に測定し、その測定結果に基づいて後述する張出量wを決めることが好ましい。
次いで、張出部分31の初期位置と押出ラム60のラムヘッド61との間隔sdを把握する。張出部分31が特定できている場合には、該張出部分31の初期位置も把握できている。そして、ラムヘッド61の通過位置は、該ラムヘッド61の寸法及び軌道で決まる。張出部分31の突出している部位の初期位置と、張出部分31を通過するラムヘッド61との間隔であって、コークス炉1の長手方向Lに沿った距離sdを算出することができる。長手方向Lに沿った距離sdは、ラムヘッド61が張出部分31に最も接近する位置でのラムヘッド61と張出部分31の初期位置との間隔となる。図2に示す点線は、コークス炉1の建造時の熱間寸法に基づいた、張出部分31の初期位置を表し、図2に示す2点鎖線はラムヘッド61の位置を表しており、点線と2点鎖線との間隔で長手方向Lに沿った距離が間隔sdを表している。ラムヘッド61の通過位置は炭化室3内を移動するラムヘッド61の位置を実際に計測して決定してもよいし、ラムヘッド61の中心が、炭化室3の中心を通過するとして、ラムヘッド61の寸法から計算によって求めることもできる。また、ラムヘッド61の軌道のばらつきを考慮して、実測値または計算値から求められる間隔sdよりも小さな値を用いて炭化室3の使用可能期間を定めるようにしてもよい。
後述する張出部分31の張出量wを測定する期間のうち、該期間の前あるいは当初頃に、張出部分31を少なくとも1回特定しておけばよい。張出部分31を特定すれば、間隔sdは、前述の通りに算出できる。但し、前記期間のうち当初頃に、最も張り出している部分(箇所)となる張出部分31を特定し、そこの張出量wを測定すると決めたとしても、該張出量wを測定しているうちに、内壁3bのうち最も張り出している箇所が変わる場合がある。そのような場合には、当初頃に特定した張出部分31に加えて、新たに別の部分を、適宜、張出部分31と特定してもよい。
一定期間のうちに、特定した張出部分31の張出量wを複数回測定して、測定日時tと該張出量wとからなるデータセットを複数把握する。一定期間とは、コークス炉1の操業期間中の、半年、1年や5年などの比較的長期と考えられる任意の期間を意味する。張出量wとは、前述の通りに決められた測定対象の張出部分31の初期位置から、張出部分31における最も突出している部位の位置までの長手方向Lに沿った距離のことである。張出量wの測定も、特開2013−82909号公報に記載されているコークス炉炉壁形状診断方法による内壁3bの表面形状の測定で行うことができる。図2に示す1点鎖線は、張出部分31における最も突出している部位の位置を表しており、張出部分31の初期位置(図2に示す点線)から張出部分31における最も突出している部位までの、長手方向Lに沿った距離が、張出部分31の張出量wとなる。
張出量wの測定タイミングは特に限定されるものではないが、張出量wの経時変化を確認するために、数日、数週間あるいは数月毎に定期的に張出量wを測定することが好ましい。例えば、コークス炉を操業している間、張出量wは、6時間や1日経過しても、あまり変化しない可能性が高いが、例えば数日経過すると、張出量wが変化する可能性はある。そこで、測定の間隔期間(時間)を2週や1月と定め、定めた間隔時間が経過した日時毎に、張出量wを測定してもよいし、特に、張出量が大きい炭化室では、測定の間隔期間を、例えば1週間などに短くしてもよい。これにより、後述する近似曲線70の張出量wの予測正確性を効果的に高めることができる。具体的には、張出部分31の初期位置と押出ラム60のラムヘッド61との間隔sdと、張出量wとの差が10mm以下となった場合には、張出量の測定頻度を高くすることが好ましい。
本発明者は、多くの炭化室について、長期間の張出量の測定を行った結果、以下の重要な知見を得た。
1)従来の知見では、煉瓦積みの崩壊発生と、張出量の関係は把握されておらず、どの程度の張出量まで操業が可能であるかは明確ではなかった。本発明者が調査したところ、実際に煉瓦積みの崩壊が起きた窯では、張出し部分の煉瓦表面がラムに接触する可能性があるところまで張出量が大きくなっていたことが確認された。すなわち、張出量がそれ以下の場合、コークス押し詰まりの可能性は増加したものの、煉瓦積みの崩壊は起こらず、操業は可能であることを見出した。
2)従来の知見では、張出量が経時的にどのように変化するかは明らかではなかった。すなわち、張出量がどのぐらいの期間で増大するか、また増大の速度はどのようになるかは知られていなかった。本発明者の調査の結果、張出量は、ある日突然大きくなるようなことはなく、数ヶ月にわたって徐々に大きくなる傾向があり、その大きくなる傾向は、時間の経過に対して概ね単調に増加し、その増加傾向は多くの炭化室において直線近似で表現できることを見出した。
本発明者は、上記の知見に基づいて、コークス炉の炭化室の使用可能期間を、張出量を経時的に測定することで推定する方法を検討し、張出量を減らす補修を、その使用可能期間内に行う本発明の完成に至った。次に、前述の調査結果に基づいた、本発明の補修すべき時期(使用限界日時)の算出工程を詳細に説明する。
[補修すべき時期(使用限界日時)の算出]
前述の調査で把握したデータセットから測定日時tと張出量wとの関係式を導出する。図3は、ある炭化室の張出部分について測定した張出量wと測定日時tとの関係を示すグラフであり、縦軸Yは、ある炭化室3の内壁3bに存在していた張出部分31について測定された張出量w[mm]を表し、横軸Xは日付(測定日時t)を表している。横軸Xの測定時間tの値は、後述するように、張出量wと測定日時tとの関係式を算出することを目的として、測定した日付を、ある基準日からの経過日数の値に変換してある。基準日として1900年1月1日を採用し、1900年1月1日からの経過日数を記載してある。例えば、横軸Xの最小値である40600は、換算すると2011年2月26日を意味する。測定日での測定時刻は、例えば、午前10時などの、各日において同じ時刻とすることが好ましく、グラフにおける張出量wは、測定日の午前10時に測定したものである。また、グラフにおける太線は間隔sdを表し、この場合、間隔sdは60[mm]となっている。
図3のグラフでは、2011年2月26日〜2013年5月6日の期間において、測定した張出部分31の張出量wと測定日時tとの点が5個示してある。この5個のデータセットから、例えば最小自乗法などにより、張出量wを目的変数とし、測定日時tを説明変数とした近似曲線70を導出することができる。図3の近似曲線70は、直線による近似であるが、例えば2次曲線や他の関数形で近似してもよい。どの程度近似がうまくできているかは、決定係数Rによって判定可能であり、決定係数が十分に高くなるような関数形を用いた近似曲線を採用することができる。近似曲線70の導出の際に得られる決定係数R(相関係数Rの2乗)は、図3の場合には0.9882となり、張出量wと測定日時tとには極めて強い相関があり、近似曲線70は、張出量wを正確に予測し得ると期待できる。
この近似曲線70から求まる関係式に基づいて、張出部分31の張出量wが間隔sdとなる日時を算出する。図3のグラフの場合、張出量w(y)と測定日時t(x)との関係式は、近似曲線70からy=0.0239x−955.27と求まっており、このyに間隔sdの値60を代入すると、x(測定日時t)として42479という値(小数点切り捨て)が算出される。この値を日付に変換すると、2016年4月19日となり、2016年4月19日の測定時刻(午前10時)が、張出量wが間隔sdに到達すると予測される日時となる。
関係式を求めることが可能な日は、近似曲線70の導出に用いた張出量wの測定日時tのうち最も新しい日時以降である。その日時以降から予測された日時までは、ラムヘッド61は、測定対象の張出部分31に接触することはないと推測されることとなる。よって、その予測された日時までは、張出部分31を有する炭化室3を使用し、その日時の直近までに炭化室3を補修するという判断が可能となる。
図3では、5個のデータセットから関係式が得られている形態を示してあるが、張出量wを新たに測定することで、張出量wと測定日時tとのデータセットが増えたり、関係式を導出する基となるデータセットを変えたりすると、この式は更新されて、張出量wが間隔sdになると予測される日時が変更される。特に、関係式を導出する際に算出される決定係数Rを大きくして、優れた予測正確性が期待できる関係式を得る場合、データセットを、増やしたり変えたりするなどの措置は有効である。その場合を、図3のグラフとは別のグラフを参照して説明する。
図4は、図3の場合とは別の炭化室3が有する張出部分31について、測定した張出量wと測定日時tとの関係を示すグラフである。図4のグラフでは、図3の場合と同様に、張出量w[mm]を縦軸Yに、日付(測定日時t)を横軸Xに表してある。但し、図4のグラフが得られる炭化室3における間隔sdは、図3の場合とは異なり62[mm]となった。このグラフでは、2011年10月4日〜2012年11月7日の期間において、測定した張出部分31の張出量wと測定日時tとの点を複数示してある。図4のグラフからすれば、炭化室3を使用し続けていると、長期的にみれば、時間経過とともに張出量wは大きくなっていく傾向があるとわかる。2011年10月4日〜2012年11月7日に測定した張出量wとその測定日時tとのデータセットから求めた図4の近似曲線70の決定係数Rは、0.6861となり、張出量wと測定日時tとには相関があると推測され、この近似曲線によって、張出量wが間隔sdとなる日時を推測できる。しかしながら、図3の近似曲線よりも、決定係数Rが小さいので張出量wの予測正確性は劣るものと推察される。
次に、図3及び図4とは異なる炭化室について測定した張出量wと測定日時tとの関係を図5のグラフに示す。図5のグラフが得られる炭化室は、図3のグラフが得られる炭化室とは異なるが、図3の場合と同じく、間隔sdは60[mm]となった。図5の場合においては、2012年11月7日〜2013年1月12日に張出量wを複数回測定することで、図5の近似曲線70を導出している。この関係式の決定係数Rは0.8822となり、図4の近似曲線70から求まる関係式の決定係数Rより大きく、張出量wと測定日時tとには強い相関があると推測され、張出量wの予測正確性は優れていると推察される。この関係式によって、張出量wが間隔sdとなる日時を推測できる。図5の近似曲線70から求まる関係式は、y=0.1497x−6126と求まっており、このyに間隔sdの値60を代入すると、xとして41322という値(小数点切り捨て)が算出される。この値を日付に変換すると、2013年2月17日となり、この日の測定時刻(午前10時)が、間隔sdと予測される時刻(日時)となる。図3の場合と同様にして、この日時の前でその直近に、炭化室3を補修するという判断が可能となる。
また、決定係数Rが0.75より小さい場合には、張出量wの予測正確性が多少劣るので、既に得られたデータセットに対して測定データを新たに追加するなどして予測正確性を高めることが望ましい。炭化室の使用可能期間の予測のためには、少なくとも1ヶ月以上の期間にわたり3点以上、より好ましくは6ヶ月以上の期間において5点以上の張出し量の測定データから上記推定を行うことが好ましい。
炭化室3の補修を行う場合、近似曲線70と間隔sdの関係から求められる使用限界日時以前に補修を行えば、耐火物積みの崩壊を防ぐ上で有効である。しかし、使用限界日時まで長期間がある場合には補修を行う必要性は低い。補修の必要性と耐火物積み崩壊可能性を考慮すると、使用限界日時まで30日以内となった場合に補修を行うことが好ましい。また、間隔sd(ラムヘッドと張出部の初期位置との距離)と、張出量wと、の差が例えば10mm以下となった時点から、使用限界日時までの間に補修を行うようにしてもよい。
以上のように、本発明によって、老朽化したコークス炉の炭化室の内壁のうち、張出部分を把握し、張出部分の補修が必要となる部分の時期を正確に予測することで、炭化室の時期使用可能期間を見積もることができる。これにより、必要によっては、炭化室を限界まで使用することができる上に、炭化室の補修計画も作成しやすくなる。炭化室の補修方法としては、公知の煉瓦積み替え、煉瓦張出部のカッティングなどの方法が適用できる。補修によって張出量wを減少させることができれば、炭化室の使用可能期間を延長でき、煉瓦崩壊などの大規模な損傷を未然に防ぐことができる。
1 コークス炉
2 蓄熱部
3 炭化室
3a 窯口
3b 内壁(炉壁)
4 燃焼室
5 装炭車
6 押出機
8 ガイド車
9 消火車
31 張出部分
60 押出ラム
61 ラムヘッド
62 ラムビーム
70 近似曲線(張出量wの予測式を表す)

Claims (2)

  1. コークス炉の炭化室の使用可能期間を予測する方法であって、
    前記炭化室の内壁を調査することで、該内壁のうち、前記コークス炉の建造時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも張り出している張出部分を特定し、
    該張出部分の初期位置と、前記炭化室に挿入される押出ラムのラムヘッドが前記張出部分に最も接近する位置での前記ラムヘッドと、の間隔sdを把握し、
    前記張出部分についての初期位置からの張出量wを複数回測定して、測定日時tと張出量wとからなるデータセットを複数把握し、
    前記データセットから導出される、前記測定日時tと前記張出量wとの関係式に基づいて、前記張出部分の張出量wが前記間隔sdとなる日時を算出して、前記使用可能期間を予測することを特徴とするコークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法。
  2. 請求項1に記載のコークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法で、炭化室の使用可能期間を予測し、予測された使用可能期間に基づいてコークス炉炭化室を補修する方法であって、
    前記使用可能期間の間に、予測対象の炭化室の補修を行うことを特徴とするコークス炉の炭化室の補修方法。
JP2014191280A 2014-09-19 2014-09-19 コークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法及びコークス炉の炭化室の補修方法 Active JP6107776B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014191280A JP6107776B2 (ja) 2014-09-19 2014-09-19 コークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法及びコークス炉の炭化室の補修方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014191280A JP6107776B2 (ja) 2014-09-19 2014-09-19 コークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法及びコークス炉の炭化室の補修方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016060867A true JP2016060867A (ja) 2016-04-25
JP6107776B2 JP6107776B2 (ja) 2017-04-05

Family

ID=55797194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014191280A Active JP6107776B2 (ja) 2014-09-19 2014-09-19 コークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法及びコークス炉の炭化室の補修方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6107776B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019006940A (ja) * 2017-06-28 2019-01-17 Jfeスチール株式会社 コークス炉の炉壁診断方法
JP7485246B1 (ja) 2023-03-15 2024-05-16 Jfeスチール株式会社 炭化室の使用可能期間予測方法および炭化室の補修方法
JP7493131B1 (ja) 2023-03-15 2024-05-31 Jfeスチール株式会社 コークス炉炉団の寿命予測方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005272822A (ja) * 2004-02-25 2005-10-06 Jfe Steel Kk コークス炉炉体診断システム、炉体診断方法、及び、炉体診断システムの制御プログラム
JP2013234228A (ja) * 2012-05-07 2013-11-21 Jfe Steel Corp コークス炉の補修時期判断方法およびコークス炉の炉壁検査方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005272822A (ja) * 2004-02-25 2005-10-06 Jfe Steel Kk コークス炉炉体診断システム、炉体診断方法、及び、炉体診断システムの制御プログラム
JP2013234228A (ja) * 2012-05-07 2013-11-21 Jfe Steel Corp コークス炉の補修時期判断方法およびコークス炉の炉壁検査方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019006940A (ja) * 2017-06-28 2019-01-17 Jfeスチール株式会社 コークス炉の炉壁診断方法
JP7485246B1 (ja) 2023-03-15 2024-05-16 Jfeスチール株式会社 炭化室の使用可能期間予測方法および炭化室の補修方法
JP7493131B1 (ja) 2023-03-15 2024-05-31 Jfeスチール株式会社 コークス炉炉団の寿命予測方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6107776B2 (ja) 2017-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6107776B2 (ja) コークス炉の炭化室の使用可能期間予測方法及びコークス炉の炭化室の補修方法
JP2019006940A (ja) コークス炉の炉壁診断方法
JP5182006B2 (ja) 室式コークス炉におけるコークス押出し時の側面荷重の推定方法及び推定された側面荷重に基づく室式コークス炉の操業方法
JP5182005B2 (ja) 室式コークス炉におけるコークス押出し力の推定方法及び推定された押出し力に基づく室式コークス炉の操業方法
JP7493131B1 (ja) コークス炉炉団の寿命予測方法
JP7485246B1 (ja) 炭化室の使用可能期間予測方法および炭化室の補修方法
JP5907343B2 (ja) コークスケーキの押出し方法
JP5853354B2 (ja) コークスの押詰り確率推定方法及びコークス炉の操業方法
JP5919774B2 (ja) コークス炉の操業方法および操業管理装置
JP5589682B2 (ja) コークスの押出力の推定方法及びコークス炉の操業方法
JP6123758B2 (ja) コークス炉の操業方法
JP5920579B2 (ja) コークス炉炉体の管理方法
JP5720298B2 (ja) コークスの押出力推定方法及びコークス炉の操業方法
JP5838993B2 (ja) コークス炉の火落判定方法
JP5720299B2 (ja) コークス炉の操業方法
JP2013216813A (ja) コークス収縮量の推定方法およびコークス収縮量の推定装置
JP5720291B2 (ja) コークス炉における総炭化時間の最適化方法
JP4377563B2 (ja) コークス炉におけるカーボン析出厚み推定方法およびコークス炉の炉体膨張率の推定方法
JP7127551B2 (ja) コークス炉の炉壁補修方法
JP5432586B2 (ja) コークス炉炭化室炉壁状態評価方法
JP2013234229A (ja) コークスの押出力推定方法およびコークス炉の操業方法
JP2013060566A (ja) コークス炉窯毎の装炭量制御方法
JP2015078283A (ja) 室式コークス炉におけるコークス押出し力の推定方法
JP6874487B2 (ja) 配合炭の調整方法及びコークスの製造方法
JP2001294867A (ja) コークス炉の炉壁管理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160421

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6107776

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250