JP5720291B2 - コークス炉における総炭化時間の最適化方法 - Google Patents

コークス炉における総炭化時間の最適化方法 Download PDF

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Description

本発明は、コークス炉における総炭化時間の最適化方法に関するものである。
コークス炉では、隣り合う複数の炭化室に順次石炭を装入し、各炭化室において1100℃前後の高温で乾留を行い、乾留によって生成されたコークスを押出機によって各炭化室から押し出すことにより、コークスが製造される。このようなコークス炉では、近年の炉壁の損耗などの老朽化に伴い、乾留後のコークス(以下、コークスケーキとも称する)が炉壁の凹凸部にトラップされることによって、炭化室からコークスが円滑に押し出されないという押詰りの問題が多発している。
コークス炉における装炭,乾留,押出などの作業のスケジュールは厳密に管理されている。このため、一部の炭化室で押詰りが発生すると、隣接する炭化室の温度が低下し、さらにその温度低下が周囲の炭化室に伝搬していくという悪循環が生じ、コークス炉全体の稼働率及び生産性に多大な悪影響を及ぼす。従って、押詰りが発生することを抑制するために、炭化室に装入する石炭の性状,炉壁の状況,操業条件などを考慮して炭化室からコークスを押し出す際に必要な押出力を予測,制御することが必要になっている。
このような背景から、特許文献1には、炉壁に付着したカーボンがコークスケーキと炉壁との間の摩擦力に影響することに着目して、炉壁に付着するカーボンの量を推定し、推定結果に基づいて炭化室からコークスを押し出す際の負荷を推定する方法が開示されている。また、特許文献2には、石炭の配合を調整することによって炉壁とコークスケーキとの間の間隙(クリアランス)を広げることにより、押詰りが発生することを抑制する方法が開示されている。
特開2002−173687号公報 特開2004−359901号公報
ところで、コークス炉の実際の操業では、炭化室からコークスを押し出すことが困難であると判断された場合、炭化時間(乾留時間)を延長することによってコークスの押し出しを容易にすることが行われている。ところが、炭化時間を闇雲に延長した場合には単位時間あたりのコークスの生産量が低下するために、総炭化時間の最適化が必要になる。一方、コークスの押し出しのスケジュール上、総炭化時間はコークス炉を構成する全ての炭化室について一定にすることが肝要であるため、コークス工場ではコークス炉毎に総炭化時間を設定している。従って、コークス炉の実際の操業では、各コークス炉の総炭化時間を最適化することによって、コークスの押詰りの発生を抑制しつつ生産効率を最大化することが求められる。しかしながら、従来の技術は、炭化室からコークスを押し出す際に必要な押出力を予測する予測式を構築し、操作量と押出力との関係を求める段階に留まっており、総炭化時間などの操作量の最適化を行うには至っていない。このため、コークス炉における総炭化時間を最適化可能な技術の提供が期待されていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、コークス炉における総炭化時間を最適化することが可能なコークス炉における総炭化時間の最適化方法を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコークス炉における総炭化時間の最適化方法は、コークス炉からコークスを押し出す際にコークスの押詰りが発生する確率を算出する押詰り確率算出ステップと、算出された確率からコークス炉の単位時間あたりの生産効率の期待値を算出する生産効率算出ステップと、算出された期待値に基づいてコークス炉の総炭化時間を決定する総炭化時間導出ステップと、を含む。
本発明に係るコークス炉における総炭化時間の最適化方法によれば、コークス炉における総炭化時間を最適化することができる。
図1は、本発明の一実施形態である総炭化時間の最適化方法の対象となるコークス炉の構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態である総炭化時間の最適化方法の対象となるコークス炉の構成を示す平面断面図である。 図3は、コークスの押出抵抗を支配する因子の因果関係を示す図である。 図4は、クロスバリデーション法を利用した説明変数の最適化計算結果の一例を示す図である。 図5は、最適化された説明変数を用いて導出された推定式から求められた押出ピーク値の予測値と実測値との合致度の一例を示す図である。 図6は、押出ピーク値の推定式の残差と説明変数としての総炭化時間及び燃焼室温度との関係を示す図である。 図7は、総炭化時間が所定時間以上である場合と所定時間未満である場合とに分けて導出された推定式から求められた押出ピーク値の予測値と実測値との合致度を示す図である。 図8は、総炭化時間が所定時間以上である場合と所定時間未満である場合とにおける押出ピーク値を予測する上で最適な説明変数の組み合わせを示す図である。 図9は、総炭化時間が所定時間未満である場合と所定時間以上である場合とにおける推定式から求められた押出ピーク値の予測値と実測値との残差のヒストグラムを示す図である。 図10は、推定式に基づいて押詰り確率を算出する方法を説明するための図である。 図11は、炭化室毎に算出された総炭化時間と押詰り確率との関係を示す図である。 図12は、押詰り確率と押詰りが発生した頻度の実測値(押詰り頻度実績値)との合致度を示す図である。 図13は、押詰り確率と説明変数との関係の表示例を示す図である。 図14は、1つの炭化室の1日あたりの押出本数の期待値と総炭化時間との関係の一例を示す図である。 図15は、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法の流れを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法について説明する。
〔コークス炉の構成〕
始めに、図1,2を参照して、本発明の一実施形態である総炭化時間の最適化方法の対象となるコークス炉の構成について説明する。但し、本発明の対象となるコークス炉は、図1,2に示す構成に限定されることはない。
図1は、本発明の一実施形態である総炭化時間の最適化方法の対象となるコークス炉の構成を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である総炭化時間の最適化方法の対象となるコークス炉は、複数の炭化室11及び燃焼室12を備えている。複数の炭化室11及び燃焼室12は、蓄熱室13の上部に交互に形成され、各炭化室11の天井部には、複数の装炭口14が形成されている。
複数の装炭口14は、コークス炉の上部を走行する装炭車15によって運ばれた石炭を炭化室11内に装入するためのものである。装炭口14から炭化室11に装入された石炭は、燃焼室12からの熱を受けて乾留し、赤熱コークスとなって炭化室11から押出機16によって押し出される。炭化室11から押し出された赤熱コークスは、ガイド車17を経て消火車18に受け渡され、消火車18によって図示しない赤熱コークス消火設備へと輸送される。
図2は、本発明の一実施形態である総炭化時間の最適化方法の対象となるコークス炉の構成を示す平面断面図である。図2に示すように、炭化室11は、炭化室壁11a,11bを有している。炭化室壁11a,11bは、例えば珪石からなる多数の煉瓦19を積み上げることによって形成されている。炭化室11は、押出機16の押出ラム16a(図1参照)が挿入される窯口と赤熱コークスが押し出される窯口とを有し、窯口の近傍には、H形鋼などからなるバックステー20が炉壁の変形や倒壊を防止する目的で立設されている。
〔総炭化時間の最適化方法〕
次に、上記コークス炉における総炭化時間の最適化方法について説明する。なお、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法は、(1)炭化室からコークスを押し出す際に必要な押出力の推定式を構築するステップと、(2)構築された押出力の推定式に基づいてコークスの押詰りが発生する確率(押詰り確率)を算出するステップと、(3)算出された押詰り確率からコークス炉の単位時間あたりの生産効率の期待値を算出し、算出された期待値に基づいてコークス炉の総炭化時間を最適化するステップと、の3つのステップに大別される。そこで、以下では、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法を上記ステップ毎に説明する。
(1)押出力の推定式の構築
始めに、押出力の推定式を構築するステップについて説明する。本実施形態では、押出力の指標として、押出機16の押出ラム16aの駆動モータに流れる電流値のピーク値を用いる。押出過程の初期においては、押出ラム16aの位置変化はコークスケーキ内部の空隙によって吸収されるために、押出荷重は小さくなる。そして、コークスケーキ内部の空隙が小さくなると、押出荷重は静止摩擦力の最大値に向かって上昇していく。この押出荷重の最大値を押出ピークという。このように押出ピーク値は押詰りに密接に関係していると考えられるので、本実施形態では押出ピーク値を推定対象(目的変数)とする。
図3は、コークスの押出抵抗(押出力)を支配する因子の因果関係を示す図である。図3に示すように、コークスの押出抵抗は、コークスケーキの側面と炉壁との間のクリアランス(炉壁間隙),コークスケーキを押し出した際にコークスケーキが崩壊せずに形状を維持しようとする安定性(ケーキ安定性),及び炉壁の平滑度(炉壁凹凸)によって支配されていると考えられている。クリアランス及びケーキ安定性は、配合した石炭の性状(膨張性,亀裂)及び乾留条件(嵩密度,水分,粒度,乾留時間,炉温,炉温分布)によって左右される。炉壁凹凸は、炉の老朽化に伴い炭化室によって差異が大きいと考えられるが、炉壁に付着したカーボンを剥離させてからの日数(カーボン落とし後日数,カーボン補修条件)に依存すると考えられる。
本実施形態では、目的変数としての押出ピーク値を推定するための説明変数として、石炭化率(Ro),石炭化率のばらつき(σRo),コークスの流動度(MF),クリアランス(CL),コークスの粒度,カーボン落とし後日数(C落ち),総炭化時間(GCT),装炭量,燃焼室温度(flue温度),燃焼室温度のばらつき(flueσ),及び嵩密度の11個の説明変数を用いた。しかしながら、これらの説明変数は、コークスの押出抵抗に寄与することは判明しているものの、炭化室によってその影響度が異なることが予想され、場合によっては全く寄与しない、若しくは、推定式構築の際に多重共線性などの問題で冗長な因子が含まれる可能性がある。
そこで、本実施形態では、押出ピーク値を推定する上で最適な説明変数を炭化室毎に決定するために、クロスバリデーション法と呼ばれる統計的手法を用いた。具体的には、始めに、押出ピーク値の実測値のデータを推定式構築のデータ(式構築データ)と推定式検証用のデータ(検証データ)とに分割し、式構築データについて全ての説明変数を用いた線形重回帰分析を行うことによって押出ピーク値の推定式を導出する。次に、導出された推定式を用いて検証データについて押出ピーク値の予測値を算出し、算出された予測値と実測値との誤差を予測誤差として算出する。そして、算出された予測誤差を最小化するように線形重回帰分析を行う際の説明変数の数を順次減らしていくことによって、押出ピーク値を推定する上で最適な説明変数を炭化室毎に決定する。
図4は、クロスバリデーション法を利用した説明変数の最適化計算結果の一例を示す図である。図4(b)に示すように、式構築データでは、説明変数の数が多い程、つまり削った説明変数の数が少ないほど予測誤差(RMSE)が小さくなる。一方、図4(a)に示すように、検証データでは、予測に不要な説明因子から削られていくために、最初のうちは予測誤差が小さくなっていくが、さらに説明変数を削っていき押出性に寄与する説明因子まで削られてしまうと予測誤差は大きくなっていく。
このように、式構築用データと検証データとで予測誤差の変化の様子が異なる理由は、式構築データでは、押出ピーク値の予測に有用でない説明変数まで含めて線形重回帰分析が行われているためである。従って、検証データにおける予測誤差が最小となる説明変数の組み合わせが、押出ピーク値を推定する上で最適な説明変数の組み合わせであると考えられる。具体的には、図4(a)に示す例では、説明変数の数が4つである時、つまり削った説明変数の数が7つである時、予測誤差が最も小さくなっている。従って、この4つの説明変数の組み合わせが、押出ピーク値の予測には最適な説明変数の組み合わせであると考えられる。
図5は、最適化された説明変数を用いて導出された推定式から求められた押出ピーク値の予測値と実測値との合致度を示す図である。図5に示すように、押出ピーク値が小さな領域では、高い推定精度が得られたが、押出ピーク値が大きな領域では、予測値と実測値との合致度が低く、推定精度が不十分な状況であり、押出ピーク値を正確に推定できなかった。そこで、予測が外れてしまった要因を特定するために、推定式の予測誤差(残差)と各説明変数との独立性を調査した。良好な予測式であれば、残差と各説明変数とは独立であるはずである。
図6は、押出ピーク値の推定式の残差と説明変数としての総炭化時間及び燃焼室温度との関係を示す図である。図6(b)に示すように、燃焼室温度については、推定式の残差との間に関係性はなく、推定式の残差と独立の関係にあることが明らかになった。しかしながら、総炭化時間については、特に総炭化時間が短い場合に残差に偏りが見られ、推定式の残差と独立の関係にないことが明らかになった。これは、総炭化時間が、押出ピーク値に非線形に寄与していることを示唆している。
そこで、本実施形態では、押出ピーク値の実測値のデータを総炭化時間が所定時間以上である場合(総炭化時間長)と所定時間未満である場合(総炭化時間短)とにグループ分けした後、各グループについてクロスバリデーション法を用いて推定式を導出した。なお、所定時間は、データを分割した際に、各グループのデータ点数が、実用上有効な(信頼性が高い)推定式を構築するために必要なデータ点数(30点程度)になる時間によって決めることとする。
図7は、総炭化時間が所定時間以上である場合と所定時間未満である場合とに分けて導出した推定式から求められた押出ピーク値の予測値と実測値との合致度を示す図である。図7に示すように、押出ピーク値の全領域において、押詰ピーク値を高い精度で推定できていることがわかる。
図8は、総炭化時間が所定時間以上である場合と所定時間未満である場合とにおける押出ピーク値を予測する上で最適な説明変数の組み合わせを示す図である。図8中、太字で示す説明変数が押出ピーク値を予測する上で最適な説明変数である。総炭化時間が所定時間未満である場合、総炭化時間、燃焼室温度、及び炉壁間隙が重要な説明変数であることが知見された。このことから、炭化時間が所定時間未満で短い場合には、コークスケーキの収縮が進まないので、炉壁との間隙が不十分であることが押詰りの支配的要因の一つであることが考えられる。一方、総炭化時間が所定時間以上である場合には、燃焼室温度、カーボン落とし後日数、流動度などが重要な説明変数であることが知見された。このことから、総炭化時間が所定時間以上で長い場合には、コークスケーキの収縮の効果が飽和し、炉壁の状態や石炭の配合に関するパラメータが押詰りの支配的要因になっていると考えられる。
以上のようにして、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法は、総炭化時間に応じて押出力の実測値のデータを複数のグループに分類するステップと、各グループについて、押出力の実測値に対する予測誤差が最小となる説明変数の組み合わせを特定し、特定された組み合わせに基づいて押出力を推定する線形回帰推定式を構築するステップと、を含み、これらのステップをコークス炉を構成する複数の炭化室毎に実行することによって、押出力を推定する線形回帰推定式を炭化室毎に構築する。
(2)押詰り確率の算出
次に、押出力の推定式に基づいて押詰り確率を算出するステップについて説明する。図9(a),(b)はそれぞれ、総炭化時間が所定時間未満である場合と所定時間以上である場合とにおける、線形回帰推定式から求められた押出ピーク値の予測値と実測値との残差のヒストグラムを示す図である。図中、実線が残差のヒストグラムを示し、破線は残差のヒストグラムの近似曲線である。図9(a),(b)に示すように、総炭化時間が所定時間未満である場合と所定時間以上である場合とのいずれの場合も、図中破線で示すように残差は正規分布に近い形状の頻度分布(標準偏差σ1,σ2)を示している。従って、押出ピーク値の予測値には、正規分布で表される確率分布が存在すると考えられる。
そこで、本実施形態では、押出力の推定式に基づいて押詰り確率を算出する際は、始めに、対応するグループの線形回帰推定式を用いて押出ピーク値Iの予測値I0を算出する。次に、図10に示すように、押出ピーク値Iの予測値I0を平均値、図9(a),(b)に示す正規分布の標準偏差σ1又は標準偏差σ2を標準偏差σとする正規分布曲線Lを算出する。そして、算出された正規分布曲線Lに基づいて押出ピーク値Iが所定の閾値Ith以上になる押出ピーク値Iの確率分布を積分する(領域Rの面積を算出する)ことによって、押詰り確率を算出する。すなわち、線形回帰推定式を用いて算出された予測値I0には、図9(a),(b)に示す正規分布で表される確率分布が存在するとして、予測値I0が所定の閾値Ithになる確率を押詰り確率として算出する。所定の閾値Ithは、コークスの押詰りが発生した際の押出ピーク値の最小値に基づいて決定することができる。
本方法によって算出された押詰り確率の一例を図11に示す。図11は、炭化室毎に算出された総炭化時間と押詰り確率との関係を示す図である。各総炭化時間に対応する押詰り確率は、総炭化時間以外の説明変数の値を固定して各総炭化時間について対応するグループの線形回帰推定式を用いて押出ピーク値Iの予測値I0を算出し、各予測値I0について上述の処理を実行することによって算出した。図11に示すように、押詰り確率が炭化室毎に異なり、また同じ炭化室であっても総炭化時間によって押詰り確率が変化することがわかる。本方法によって算出された押詰り確率の精度を検証した結果を図12に示す。図12は、押詰り確率と押詰りが発生した頻度の実測値(押詰り頻度実績値)との合致度を示す図である。図12に示すように、全ての総炭化時間において、押詰り確率を高い精度で推定できていることがわかる。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法は、総炭化時間に応じて分類された各グループの線形回帰推定式を利用して炭化室からコークスを押し出す際にコークスの押詰りが発生する確率を算出するステップを含み、これらのステップをコークス炉を構成する複数の炭化室毎に実行することによって、押詰り確率を炭化室毎に算出する。なお、算出された押詰り確率は、例えば図13(a)〜(c)に示すように、説明変数(総炭化時間,燃焼室温度,炉壁間隙(クリアランス))との関係を示してオペレータにガイダンス表示するとよい。このようなガイダンス表示によれば、オペレータは、操作量である説明変数と押詰り確率との関係に基づいて、例えば現在の操作量(図13中の白丸)だと押詰り確率がどの位になるのか確認し、コークスの押詰りの発生を抑制可能な操業条件を決定することができる。この際、押詰り確率との関係を表示する説明変数としては、図8中に太字で示す押出ピーク値を予測する上で最適な説明変数を用いるとよい。
(3)総炭化時間の最適化
次に、押詰り確率からコークス炉の単位時間あたりの生産効率の期待値を算出し、算出された期待値に基づいてコークス炉の総炭化時間を最適化するステップについて説明する。
本実施形態では、稼働している炭化室の数(稼働窯数)が大きく変化しない操業の定常状態では、押詰りが発生した炭化室の数(押詰り窯数)と押詰りから復旧した炭化室の数(復旧窯数)とが等しい点に着目して、1つの炭化室の1日あたりの押出本数の期待値をコークス炉の単位時間あたりの生産効率の期待値として算出する。具体的には、いま100室の炭化室があったとして、そのうちの稼働窯数の期待値をx室,総炭化時間yの関数である押詰り確率をp(y),押詰りによる非稼働状態から復旧するために必要な日数をz日とすると、z日あたりの総押出本数A1及び総押詰り本数A2はそれぞれ以下に示す数式(1),(2)のように表される。
総押出本数A1=z×x×24/y …(1)
総押詰り本数A2=z×x×24/y×p(y) …(2)
一方、z日あたりの総復旧窯数A3は以下に示す数式(3)のように表される。また、操業の定常状態では、総押詰り本数A2とz日あたりの総復旧本数A3とは等しいので、数式(2)と数式(3)とを用いて稼働窯数の期待値xは以下に示す数式(4)のように表される。従って、1つの炭化室の1日あたりの押出本数の期待値A4は以下に示す数式(5)によって算出することができる。
総復旧窯数A3=100−x …(3)
稼働窯数の期待値x=100/(24p(y)z/y+1) …(4)
押出本数の期待値A4=(x×24/y)/100 …(5)
この数式(5)を用いて算出された1つの炭化室の1日あたりの押出本数の期待値と総炭化時間との関係の一例を図14に示す。図14に示す例は、押詰りからの復旧日数zの値を5日として押出本数の期待値を算出したものである。図14から明らかなように、押出本数の期待値は総炭化時間が18時間になる付近において最大になっている。このことから、押出本数の期待値に基づいて総炭化時間を18時間に設定することによって、押出本数の期待値を最大にし、結果として、コークスの押詰りの発生を抑制しつつ生産効率を最大化することができる。なお、図15に示す関係は、総炭化時間だけでなく、炉温や石炭の性状などを考慮した押出力の推定式を基礎として導出したものであるので、操業条件の変動に応じて総炭化時間の最適化が可能となっている。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法は、各炭化室の押詰り確率から操業の定常状態における稼働窯数を算出し、算出された稼働窯数からコークス炉の単位時間あたりの押出本数の期待値を算出し、算出された押出本数の期待値に基づいて総炭化時間を決定するステップを含む。
以上のコークス炉における総炭化時間の最適化方法の流れをフローチャートにまとめると、図15に示すようになる。図15は、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法の流れを示すフローチャートである。図15に示すように、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法では、始めに、押出ピーク値の実測値のデータを総炭化時間が所定時間以上である場合と所定時間未満である場合とにグループ分けする(ステップS1)。そして、各グループについて押出ピーク値の実測値のデータを検証データと式構築データとに分割し(ステップS2)、式構築データについて全ての説明変数を用いた線形重回帰分析を行うことによって押出ピーク値の推定式を導出する(ステップS3)。次に、導出された推定式を用いて検証データについて押出ピーク値の予測値を算出し(ステップS4)、算出された予測値と実測値との誤差を予測誤差として算出する(ステップS5)。次に、予測誤差が最小になるように順次線形重回帰分析を行う際の説明変数の数を減らしていくことによって、押出ピーク値を推定する上で最適な説明変数を決定する(ステップS6)。次に、これらステップS1〜6の処理を全ての炭化室について行うことによって(ステップS7)、炭化室毎に押出ピーク値の推定式を導出する。次に、総炭化時間に応じて分類された各グループの線形回帰推定式を利用して炭化室毎に押詰り確率を算出(定量化)する(ステップS8)。そして、各炭化室の押詰り確率から操業の定常状態における稼働窯数を算出し、算出された稼働窯数からコークス炉の単位時間あたりの押出本数(押出し回数)の期待値を算出し、算出された押出本数の期待値に基づいて総炭化時間を決定する(ステップS9)。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態であるコークス炉における総炭化時間の最適化方法は、コークス炉からコークスを押し出す際にコークスの押詰りが発生する確率を算出するステップと、算出された確率からコークス炉の単位時間あたりの生産効率の期待値を算出するステップと、算出された期待値に基づいてコークス炉の総炭化時間を決定するステップと、を含むので、コークス炉における総炭化時間を最適化し、コークスの押詰りの発生を抑制しつつ生産効率を最大化することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば、図15に示すコークス炉における総炭化時間の最適化方法の各ステップの実行命令をコンピュータプログラムによって記述することによって、図15に示すコークス炉における総炭化時間の最適化方法の各ステップをコンピュータに実行させるようにしてもよい。このように、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
11 炭化室
11a,11b 炭化室壁
12 燃焼室
13 蓄熱室
14 装炭口
15 装炭車
16 押出機
16a 押出ラム
17 ガイド車
18 消火車
19 煉瓦
20 バックステー

Claims (1)

  1. 炭化室からコークスを押し出す際に必要な押出力の実測値のデータを、炭化室の総炭化時間が所定時間以上であるグループと所定時間未満であるグループとに炭化室毎に分類するステップと、
    各グループについて、押出力の実績値のデータを検証データと式構築データとに分割し、式構築データについて押出力に寄与する複数の因子を用いた線形重回帰分析を行うことによって押出力を推定する線形回帰推定式を導出し、導出された線形回帰推定式を用いて検証データについて押出力の予測値を算出し、算出された押出力の予測値と実績値との誤差を予測誤差として算出し、算出された予測誤差が最小になるように順次線形重回帰分析を行う際の因子の数を減らしていくことによって、押出力を推定する上で最適な因子の組み合わせを特定し、特定された組み合わせに基づいて前記押出力を推定する線形回帰推定式を構築し、構築された線形回帰推定式から求められる押出力の予測値を平均値とし、該押出力の予測値と実績値との残差が示す頻度分布の標準偏差を標準偏差とする正規分布曲線を算出し、算出された正規分布曲線に基づいて押出力が所定の閾値以上になる押出力の確率分布を積分することによってコークス炉からコークスを押し出す際にコークスの押詰りが発生する確率を炭化室毎に算出する押詰り確率算出ステップと、
    算出された確率から定常状態におけるコークス炉の稼働窯数を算出し、算出された稼働窯数からコークス炉の単位時間あたりのコークス押出本数の期待値を算出する生産効率算出ステップと、
    前記コークス押出本数の期待値に基づいてコークス炉の総炭化時間を決定する総炭化時間導出ステップと、
    を含むことを特徴とするコークス炉における総炭化時間の最適化方法。
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