JP6907663B2 - コークス炉の押出負荷予測装置、押出負荷予測方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents
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Description
まず、図1〜図3に基づいて、本発明の一実施形態に係るコークス炉の押出負荷予測装置の概要について説明する。図1は、コークス炉設備の概略構成を示す概略説明図である。図2は、GDBT(Gradient Boosting Decision Tree)による突発増大発生確率の算出例を示す説明図である。図3は、GDBTを用いた突発増大の発生を予測する予測モデルの構築処理の概念を示す説明図である。
本実施形態に係るコークス炉の押出負荷予測装置は、コークス炉において炭化室内のコークスを押出機によって押し出す際の押出負荷の突発増大を予測する。コークス炉設備1は、図1に示すように、原料となる石炭(原料炭)を乾留しコークスを製造するコークス炉30を備える設備である。石炭ヤードからベルトコンベアによって搬送された原料炭は、コークス炉30の上方に設置された石炭塔10に一時的に貯蔵される。石炭塔10は、コークス炉30の各窯に石炭を搬送し装入する装入車20に対して、適宜、石炭を補給する。装入車20によって窯に挿入された石炭は、乾留された後、押出機40の押出しラム42によってガイド車50側へ排出され、消火車60により搬送される。コークス炉設備1の操業は、中央制御室のオペレータによって監視されている。
本実施形態に係るコークス炉の押出負荷予測装置による予測モデルの構築処理を、以下説明する。本実施形態では、押出負荷の突発増大が発生していた突発増大発生データと正常状態データとを過去実績データから選定し、選定したデータを教師データとして予測モデルを構築する。予測モデルの入力変数と出力変数との例としては、例えば以下の変数が考えられる。
押出しトルク(チャートの代表値:最大値(押出負荷))、コークスケーキ温度(チャートの代表値:最大値、平均値)、炭化時間、火落ち時間、置き時間、装入量、装入炭膨張量、装入炭水分、装入炭揮発分、カーボンランス焼却時間、カーボンランス焼却時のCO濃度等の操業実績データ
[出力変数]
次回押出し時に押出負荷の増大量ΔPが所定の値以上となる確率
まず、予測モデルを構築するために必要な教師データが用意される。教師データは、予測モデルの構築のために操業実績データx=(x1,x2)から選択したデータであり、それぞれの操業実績データに対し、正常の場合に0、異常の場合に1を値として取る「異常有無変数(yt)」を加えたデータである。ここで、次回の押出し時に押出負荷の突発増大が発生した場合に異常とする。例えば図3に示すような正常データ(異常有無変数が0である教師データ)と異常データ(異常有無変数が1である教師データ)とが用意されたとする。操業実績データからの教師データの選定方法については後述する。
まず、初期処理として、全教師データを用いて突発増大が発生する確率値を下記式(1)に基づきを算出する。このとき作成されるモデルf0は、全体が操業実績データxによらず一定値となるモデルである。
次に、各操業実績データxについてf0(x)とytとの誤差(yt−f0(x))を算出し、その誤差に基づきモデルf0との誤差を補正するモデルh1(x)を算出し、モデルf0(x)へ追加する。かかるモデルh1(x)は、入力情報をx、出力情報を誤差値として決定木を構築して決定されるものであり、図2の学習2回目の決定木h1に相当する。学習1回目におけるモデルf1(x)は、下記式(2)により表される。すなわち、学習1回目におけるモデルf1(x)は、初期のモデルf0(x)に決定木h1が追加されたものとなる。
次に、各操業実績データxについてf1(x)とytとの誤差(yt−f1(x))を算出し、その誤差に基づきモデルf1(x)との誤差を補正するモデルh2(x)を算出し、モデルf1(x)へ追加する。かかるモデルh2(x)は、入力情報をx、出力情報を誤差値として決定木を構築して決定されるものであり、図2の学習2回目の決定木h2に相当する。学習2回目におけるモデルf2(x)は、下記式(4)により表される。すなわち、学習2回目におけるモデルf2(x)は、学習1回目のモデルf1(x)に決定木h2が追加されたものとなる。
構築されたモデルに残る誤差が所定値以下になった、または、学習回数が所定回数以上になった場合に、計算を終え、最終的に得られたモデルを予測モデルとする。図3の場合には、学習2回目で正常データと異常データとをほぼ区別するモデルが構築できたと判定し、学習2回目で得られたモデルを予測モデルとする(式(6))。
(1)GBDTの適用
上述のように、本実施形態では、押出負荷の突発増大の発生を予測する予測モデルを、アンサンブル学習であるGBDTを用いて構築する。本実施形態に係る押出負荷予測装置が予測対象とする押出負荷の突発増大については、実際は、正常データ数と異常データ数とが不均等(インバランスデータ)であり異常データ数が圧倒的に少ない上、正常データと異常データとが混在する。このような状況から、従来手法においては、教師データ数を増加させたとしても、適切な判定曲面を構築することが難しい。そこで、本実施形態ではGBDTを用いて予測モデルを構築する。
例えば、上記特許文献3、4等の統計回帰モデル推定を行う従来手法では、押出負荷の絶対値が予測されている。しかしながら、押出負荷の絶対値を精度よく予測することは容易ではない。なぜならば、窯毎に煉瓦摩耗状態やカーボン付着傾向等の炉内状態が異なるため、操業安定時の押出負荷の絶対値も窯毎で異なるからである。この予測は容易ではない。
以下、図4〜図9に基づいて、本実施形態に係るコークス炉の押出負荷の突発増大を予測する押出負荷予測装置の一構成例と、これにより実行される処理について説明する。
まず、図4に基づいて、本実施形態に係る押出負荷予測装置100の一構成例を説明する。図4は、本実施形態に係る押出負荷予測装置100の一構成例を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る押出負荷予測装置100は、図4に示すように、モデル構築処理部110と、予測処理部120とを含む。
モデル構築処理部110は、オフラインにて、過去の操業実績データに基づき、コークス炉の押出負荷の突発増大を予測する予測モデルを構築するための処理を実行する。モデル構築処理部110は、図4に示すように、教師データ選定部111と、予測モデル構築部113とを含む。
予測処理部120は、モデル構築処理部110にて構築された予測モデルを用いて、オンラインにて押出負荷の突発増大を検知する。予測処理部120は、図4に示すように、突発増大発生確率算出部121と、判定部123とを含む。
図7に、本実施形態に係る押出負荷予測装置100による押出負荷の突発増大発生予測処理を示す。押出負荷の突発増大発生予測処理は、図7に示すように、オフラインで実行されるモデル構築処理と、オンラインで実行される予測処理とを含む。
本実施形態に係る押出負荷予測装置100は、まず、オフラインにてモデル構築処理部110により予測モデルを構築する。図7に示すように、モデル構築処理部110は、まず、教師データ選定部111により、データ蓄積部102から過去の操業実績データを収集する(S100)。教師データ選定部111により収集される操業実績データとしては、例えば過去の一定期間の押出しトルク、コークスケーキ温度、及び、装入量や炭化時間等の操業条件データ等がある。
次に、オンラインにおいて、モデル構築処理にて構築された予測モデルを用いて、押出負荷の突発増大の予測が行われる。
以上、本発明の実施形態に係るコークス炉の押出負荷の突発増大を予測する押出負荷予測装置とこれによる押出負荷の突発増大の予測処理について説明した。本実施形態によれば、アンサンブル学習を用いて予測モデルを構築することで、教師データの正常データ数と異常データ数とが不均等で、かつ、正常データと異常データとが混在する状況においても、適切に判定曲面を構築することが可能となる。これにより、押出しトルクに予兆が十分に見られない押出負荷の突発増大を予測可能となり、予測により適切な対策アクションを行え、高負荷または押詰まりの発生を予防して炉体への負荷を低減し炉体延命が可能となる。
次に、図10を参照しながら、本発明の実施形態に係る押出負荷予測装置100のハードウェア構成について、詳細に説明する。図10は、本発明の実施形態に係る押出負荷予測装置100のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
102 データ蓄積部
110 モデル構築処理部
111 教師データ選定部
113 予測モデル構築部
120 予測処理部
121 突発増大発生確率算出部
123 判定部
Claims (10)
- コークス炉の押出負荷の突発増大の発生を予測するコークス炉の押出負荷予測装置であって、
押出しトルクと、コークスケーキ温度、炭化時間、火落ち時間、置き時間、装入量、装入炭膨張量、装入炭水分、装入炭揮発分、カーボンランス焼却時間、カーボンランス焼却時のCO濃度、膨張圧、炉壁温度のうち少なくともいずれかと、を含む操業実績データを用いて、
過去の前記操業実績データを入力情報とし、前記押出負荷の増加量が所定の値以上となる確率値を出力情報として、アンサンブル学習により、前記押出負荷の突発増大を検知する予測モデルを構築する予測モデル構築部と、
オンラインにて新たに測定された前記操業実績データを入力情報として、前記予測モデルに基づいて前記押出負荷の増加量が所定の値以上となる確率値を算出する突発増大確率値算出部と、
前記確率値に基づいて、前記押出負荷の突発増大の発生を判定する判定部と、
を備える、コークス炉の押出負荷予測装置。 - 前記予測モデル構築部における予測モデルの構築に用いる教師データを選定する教師データ選定部をさらに備え、
前記教師データ選定部は、前記突発増大の発生する1回前の押出時の操業実績データを異常データとして教師データに選定する、請求項1に記載のコークス炉の押出負荷予測装置。 - 前記教師データ選定部は、突発増大発生前のL回の押出時の押出負荷がいずれも高負荷でない場合に、前記突発増大の発生する1回前の押出時の操業実績データを異常データとして教師データに選定する、請求項2に記載のコークス炉の押出負荷予測装置。
- 前記教師データ選定部は、
前記突発増大の発生する1回前の押出時の操業実績データを異常データとすることに替えて、前記突発増大の発生する1回前からM回前までの押出時の操業実績データを異常データとし、
前記突発増大の発生する1回前から遡る回数Mの値は、当該回数Mを変化させて構築された複数のモデルのうち、最も精度の高い前記モデルが得られる値に設定する、請求項2または3に記載のコークス炉の押出負荷予測装置。 - 前記判定部は、前記確率値が閾値以上であるとき、前記押出負荷の突発増大が発生すると判定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコークス炉の押出負荷予測装置。
- 前記予測モデル構築部は、GBDT(Gradient Boosting Decision Tree)をモデリング手法として用いて前記予測モデルを構築する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコークス炉の押出負荷予測装置。
- 前記予測モデル構築部は、前記予測モデルに入力される入力変数の寄与度を算出し、前記寄与度の高い順に前記入力変数を選定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコークス炉の押出負荷予測装置。
- コークス炉の押出負荷の突発増大の発生を予測するコークス炉の押出負荷予測方法であって、
押出しトルクと、コークスケーキ温度、炭化時間、火落ち時間、置き時間、装入量、装入炭膨張量、装入炭水分、装入炭揮発分、カーボンランス焼却時間、カーボンランス焼却時のCO濃度、膨張圧、炉壁温度のうち少なくともいずれかと、を含む操業実績データを用いて、
過去の前記操業実績データを入力情報とし、前記押出負荷の増加量が所定の値以上となる確率値を出力情報として、アンサンブル学習により、前記押出負荷の突発増大を検知する予測モデルを構築する予測モデル構築ステップと、
オンラインにて新たに測定された前記操業実績データを入力情報として、前記予測モデルに基づいて前記押出負荷の増加量が所定の値以上となる確率値を算出する突発増大確率値算出ステップと、
前記確率値に基づいて、前記押出負荷の突発増大の発生を判定する判定ステップと、
を含む、コークス炉の押出負荷予測方法。 - コンピュータを、
押出しトルクと、コークスケーキ温度、炭化時間、火落ち時間、置き時間、装入量、装入炭膨張量、装入炭水分、装入炭揮発分、カーボンランス焼却時間、カーボンランス焼却時のCO濃度、膨張圧、炉壁温度のうち少なくともいずれかと、を含む操業実績データを用いて、
過去の前記操業実績データを入力情報とし、コークス炉の押出負荷の増加量が所定の値以上となる確率値を出力情報として、アンサンブル学習により、前記押出負荷の突発増大を検知する予測モデルを構築する予測モデル構築部と、
オンラインにて新たに測定された前記操業実績データを入力情報として、前記予測モデルに基づいて前記押出負荷の増加量が所定の値以上となる確率値を算出する突発増大確率値算出部と、
前記確率値に基づいて、前記押出負荷の突発増大の発生を判定する判定部と、
を備える、コークス炉の押出負荷予測装置として機能させるコンピュータプログラム。 - コンピュータに、
押出しトルクと、コークスケーキ温度、炭化時間、火落ち時間、置き時間、装入量、装入炭膨張量、装入炭水分、装入炭揮発分、カーボンランス焼却時間、カーボンランス焼却時のCO濃度、膨張圧、炉壁温度のうち少なくともいずれかと、を含む操業実績データを用いて、
過去の前記操業実績データを入力情報とし、コークス炉の押出負荷の増加量が所定の値以上となる確率値を出力情報として、アンサンブル学習により、前記押出負荷の突発増大を検知する予測モデルを構築する予測モデル構築部と、
オンラインにて新たに測定された前記操業実績データを入力情報として、前記予測モデルに基づいて前記押出負荷の増加量が所定の値以上となる確率値を算出する突発増大確率値算出部と、
前記確率値に基づいて、前記押出負荷の突発増大の発生を判定する判定部と、
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