JP7135765B2 - 炉壁管理装置及び炉壁管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炉壁管理装置及び炉壁管理方に関する。
コークス炉では、操業安定・炉体延命の観点からコークスの押出負荷が最小となるように(すなわち、低負荷操業となるように)操業管理することが求められる。押出負荷は石炭の配合、水分、乾留状態等の様々な要因に影響を受けるが、特に、炉壁面の凹凸はコークスと炉壁との摩擦影響として押出負荷に大きく影響する。炉壁面の凹凸はカーボンの付着程度によって変動し、カーボン付着量が多いと、炉壁面に凸状のカーボンが現れ摩擦抵抗の増大につながる。一方、カーボン付着量が少ないと、炉壁面は、コークスケーキの押出しの繰り返しによって煉瓦が減肉されて煉瓦表面がザラザラとなった状態(肌荒れと称する。)の面となり、摩擦抵抗の増大につながる。このため、押出負荷の最小化を図る上で炉壁に付着するカーボンの管理は重要である。
コークス炉の炉壁にはカーボンが付着しており、カーボン付着量に依存して押出負荷が変化することは、従来から経験的に知られている。例えば、特許文献1、2には、コークス炉の炉壁面のカーボン付着状態を、当該炉壁面を分割した複数の小領域ごとに、健全煉瓦面状態、一様カーボン付着状態、及び斑状カーボン付着状態の3つの状態のいずれか1つに分類する技術が開示されている。特許文献1では、炉壁画像(熱画像)から濃度ヒストグラムを用いて上記3つの状態を判定している。また、特許文献2では、炉壁画像(熱画像)から濃度共起行列を特徴量として用いて上記3つの状態を判定している。なお、健全煉瓦面状態とは、耐火煉瓦により構成された炉壁面が露出しており、目地や亀裂部にカーボンが線状に詰まっている状態をいう。一様カーボン付着状態とは、耐火煉瓦により構成された炉壁面を覆い隠すようにカーボンが略一様に付着している状態をいう。斑状カーボン付着状態とは、カーボンが斑状に付着している状態であり、目地や亀裂部を含む領域に、それら目地や亀裂部の幅以上の幅のカーボンが付着している状態をいう。
特開2016-60777号公報 特開2016-65225号公報
しかし、上記特許文献1、2に記載の技術では、カーボン付着状態を定量評価するのみであり、カーボン付着状態と押出負荷との詳細な関係までを特定することはなされていない。すなわち、コークスの押出し後に行われるランスによるカーボン焼却時に計測されるCO濃度から、炉壁に付着しているカーボン付着量を大まかに予測する、もしくは、炉壁画像から炉壁のカーボン付着量を解析してカーボン付着量の大小を判断するものであり、炉壁のカーボン付着量と押出負荷との定量的な関係については明らかにされていない。そのため、カーボン付着状態が特定されても、押出負荷を安定させるために炉壁をどのように管理すればよいのかわからない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、炉壁全体におけるカーボン付着量と押出負荷との定量的な関係を明らかにし、押出負荷が安定するように炉壁全体のカーボン付着量を適切に管理するための指標を導出することが可能な、新規かつ改良された炉壁管理装置及び炉壁管理方を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、コークス炉の過去の操業における実績データとして記録されている複数の炉壁の画像データ及びコークスの押出負荷とを取得する過去実績データ取得部と、画像データを解析して特定されるカーボン付着状態に基づいて、炉壁全面に対するカーボン付着領域の面積割合であるカーボン面積率を、画像データごとに算出するカーボン面積率算出部と、画像データそれぞれのカーボン面積率及びコークスの押出負荷より得られるカーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係に基づいて、コークスの押出負荷が安定するカーボン面積率の安定領域を決定する安定領域決定部と、を備える、炉壁管理装置が提供される。
カーボン面積率算出部は、カーボン付着領域として、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域を特定し、炉壁全面に対する一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率をカーボン面積率として算出してもよい。
安定領域決定部は、一様カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、押出負荷が最小となる一様カーボン面積率から所定の範囲を安定領域として決定してもよい。
また、安定領域決定部は、一様カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、押出負荷が管理上限値以下となる一様カーボン面積率の範囲を安定領域として決定してもよい。
あるいは、安定領域決定部は、実績データの押出負荷が管理上限値を超えた実績がない一様カーボン面積率の範囲を安定領域として決定してもよい。
また、カーボン面積率算出部は、カーボン付着領域として、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域と、炉壁面に対してカーボンが斑状に付着している斑状カーボンの領域とを特定し、炉壁全面に対する一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率と、炉壁全面に対する斑状カーボンの領域の面積割合である斑状カーボン面積率とを、カーボン面積率として算出してもよい。
安定領域決定部は、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、押出負荷が最小となる一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率を中心とする半径の範囲を安定領域として決定してもよい。
また、安定領域決定部は、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、押出負荷が管理上限値以下となる一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率の範囲を安定領域として決定する、請求項6に記載の炉壁管理装置。
あるいは、安定領域決定部は、実績データの押出負荷が管理上限値を超えた実績がない一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率の範囲を安定領域として決定してもよい。
安定領域決定部は、安定領域以外の領域を不安定領域として決定してもよい。
安定領域決定部は、不安定領域のうちカーボン面積率が大きい領域を、炉壁面が凹凸状である第1領域とし、不安定領域のうちカーボン面積率が小さい領域を、炉壁面に肌荒れが生じている第2領域として分類してもよい。
また、炉壁管理装置は、安定領域に基づき炉壁の状態を評価する炉壁状態評価部をさらに備え、炉壁状態評価部は、新たに取得された炉壁の画像データを解析して特定されるカーボン付着状態に基づいてカーボン面積率を算出し、算出したカーボン面積率が安定領域内にあるか否かを判定してもよい。
炉壁状態評価部は、算出したカーボン面積率が安定領域から外れている場合、炉壁に付着するカーボン付着量を調整するランスのエア量を調整する指示を出力してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コークス炉の過去の操業における実績データとして記録されている複数の炉壁の画像データ及びコークスの押出負荷とを取得する過去実績データ取得ステップと、画像データを解析して特定されるカーボン付着状態に基づいて、炉壁全面に対するカーボン付着領域の面積割合であるカーボン面積率を、画像データごとに算出するカーボン面積率算出ステップと、画像データそれぞれのカーボン面積率及びコークスの押出負荷より得られるカーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係に基づいて、コークスの押出負荷が安定するカーボン面積率の安定領域を決定する安定領域決定ステップと、を含む、炉壁管理方法が提供される。
カーボン面積率算出ステップでは、カーボン付着領域として、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域を特定し、炉壁全面に対する一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率をカーボン面積率として算出してもよい。
また、カーボン面積率算出ステップは、カーボン付着領域として、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域と、炉壁面に対してカーボンが斑状に付着している斑状カーボンの領域とを特定し、炉壁全面に対する一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率と、炉壁全面に対する斑状カーボンの領域の面積割合である斑状カーボン面積率とを、カーボン面積率として算出してもよい。
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、コークス炉の過去の操業における実績データとして記録されている複数の炉壁の画像データ及びコークスの押出負荷とを取得する過去実績データ取得部と、画像データを解析して特定されるカーボン付着状態に基づいて、炉壁全面に対するカーボン付着領域の面積割合であるカーボン面積率を、画像データごとに算出するカーボン面積率算出部と、画像データそれぞれのカーボン面積率及びコークスの押出負荷より得られるカーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係に基づいて、コークスの押出負荷が安定するカーボン面積率の安定領域を決定する安定領域決定部と、を備える、炉壁管理装置として機能させるコンピュータプログラムが提供される。
カーボン面積率算出部は、カーボン付着領域として、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域を特定し、炉壁全面に対する一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率をカーボン面積率として算出してもよい。
また、カーボン面積率算出部は、カーボン付着領域として、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域と、炉壁面に対してカーボンが斑状に付着している斑状カーボンの領域とを特定し、炉壁全面に対する一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率と、炉壁全面に対する斑状カーボンの領域の面積割合である斑状カーボン面積率とを、カーボン面積率として算出してもよい。
以上説明したように本発明によれば、炉壁全体におけるカーボン付着量と押出負荷との定量的な関係を明らかにし、押出負荷が安定するように炉壁全体のカーボン付着量を適切に管理するための指標を導出することができる。
本発明の第1の実施形態に係る炉壁管理装置の機能構成を示すブロック図である。 同実施形態に係る炉壁管理装置によるオフライン処理を示すフローチャートである。 炉壁面及び一様カーボン状態の画像特徴を示す図である。 熱画像データから一様カーボン状態の領域と煉瓦面とを区分したデータの一例を示す説明図である。 炉壁面及び一様カーボン状態が押出負荷に及ぼす影響を説明するための図である。 炉A、炉Bにおける、左右炉壁の一様カーボンの面積率の関係を示す散布図である。 炉A、炉Bにおける一様カーボン面積率と押出負荷との関係を示す散布図である。 図7に示した炉Aの散布図の解析に確率分布相関解析法を適用した場合の確率分布モデルの一例を示す図である。 確率分布モデルを用いて決定された安定領域の一例を示す説明図である。 確率分布モデルを用いて決定された安定領域の他の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る炉壁管理装置によるオンライン処理を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る炉壁管理装置によるオフライン処理を示すフローチャートである。 炉壁面、一様カーボン状態及び斑状カーボン状態の画像特徴を示す図である。 熱画像データから一様カーボン状態の領域と煉瓦面とを区分したデータの一例を示す説明図である。 斑状カーボン状態が押出負荷に及ぼす影響を説明するための図である。 左右の炉壁における斑状カーボン面積率の関係の一例を示す散布図である。 炉A、炉Bにおける一様カーボン面積率と斑状カーボン面積率との関係を示す散布図である。 図17に示した炉A、炉Bにおける一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率と押出負荷との関係を示す散布図である。 図17及び図18の炉Aに対して確率分布相関解析を適用した結果を示すグラフである。 図19の累積確率80%の場合の確率分布モデルを3次元表示した例を示すグラフである。 確率分布モデルを用いて決定された安定領域の一例を示す説明図である。 確率分布モデルを用いて決定された安定領域の他の一例を示す説明図である。 確率分布モデルを用いずに決定された安定領域の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る炉壁管理装置によるオンライン処理を示すフローチャートである。 本実施形態に係る炉壁管理装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
[1-1.炉壁管理装置]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る炉壁管理装置100の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る炉壁管理装置100の機能構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る炉壁管理装置100は、炉壁全体におけるカーボンの付着状態を特定するために用いる炉壁の画像データと、そのときの押出負荷の値を示したデータ(負荷データ)とを含む過去の実績データに基づき、炉壁全体に付着しているカーボンのカーボン面積率と押出負荷との関係を解析して、押出負荷が比較的低くなるカーボン面積率の範囲(安定領域)を決定する。カーボン面積率の範囲のうち安定領域以外の領域は、押出負荷が比較的高くなるカーボン面積率の範囲である不安定領域とされる。炉壁管理装置100は、新たに炉壁の画像データを取得したときには、その画像データからその時点でのカーボン面積率を算出する。そして、算出したカーボン面積率が、上記のように決定された安定領域内であれば正常と判定し、安定領域外(不安定領域)であれば異常と判定する。
本実施形態に係る炉壁管理装置100は、図1に示すように、過去実績データ取得部110と、カーボン面積率算出部120と、安定領域決定部130と、炉壁画像取得部140と、炉壁状態評価部150と、提示部160とを備える。
(過去実績データ取得部)
過去実績データ取得部110は、炉壁全体におけるカーボンの付着状態を特定するために用いる炉壁の画像データと、そのときの押出負荷の値を示したデータ(負荷データ)とを含む過去の実績データを、過去実績データベース(DB)200から取得する。画像データと負荷データとは一対一に対応付けられている。この際、画像データには、当該画像データが取得された直前または直後の負荷データが対応付けられる。過去実績データ取得部110は、取得した過去の実績データを、カーボン面積率算出部120へ出力する。
(カーボン面積率算出部)
カーボン面積率算出部120は、炉壁の画像データを解析して特定される炉壁へのカーボン付着状態に基づいて、炉壁全面に対するカーボン付着領域の面積割合であるカーボン面積率を算出する。カーボン付着状態は、例えば上記特許文献1、2に記載の技術等を用いて炉壁の画像データから特定してもよい。本実施形態では、上記特許文献2に記載の技術を用いて、炉壁面について、炉壁を構成する耐火煉瓦を覆い隠すようにカーボンが略一様に付着している状態(特許文献2における「一様カーボン付着状態」)の領域を、カーボン付着領域として特定する。このように炉壁面にカーボンが略一様に付着している状態を、一様カーボン状態ともいう。そして、炉壁面のうち一様カーボン状態と特定された領域の面積を、一様カーボン面積という。
カーボン面積率算出部120は、カーボン付着領域の面積を算出し、炉壁全面に対するカーボン付着領域の面積割合であるカーボン面積率を算出する。本実施形態では、カーボン面積率として、炉壁全面の面積に対する一様カーボン面積の割合が算出される。カーボン面積率算出部120は、実績データそれぞれについて算出したカーボン面積率を、安定領域決定部130へ出力する。
(安定領域決定部)
安定領域決定部130は、画像データそれぞれの「カーボン面積率及びコークスの押出負荷」より得られる「カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係」に基づいて、コークスの押出負荷が安定するカーボン面積率の安定領域を決定する。より詳細には、安定領域決定部130は、画像データそれぞれの、カーボン面積率算出部120により算出されたカーボン面積率と、過去実績データ取得部110により取得された負荷データとに基づき、カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を解析する。また、安定領域決定部130は、カーボン面積率について、安定領域以外の領域を不安定領域として決定する。なお、安定領域決定部130による処理の詳細な説明は後述する。安定領域決定部130により決定された安定領域は、後述の炉壁状態評価部150による処理にて用いられる。
(炉壁画像取得部)
炉壁画像取得部140は、新たに取得された炉壁の画像データを取得する。炉壁の画像データは、例えば、特許文献2に記載の炉壁観測装置を用いて、炭化室の熱画像データを取得することにより得られる。かかる炉壁観測装置では、炉壁の縦方向に沿って配置された線状の視野を有するラインCCDカメラを搭載した水冷断熱装置を、コークス炉の炭化室内に送り込み、熱画像を取得する。炉壁画像取得部140により取得された炉壁の画像データは、炉壁状態評価部150へ出力される。なお、炉壁画像取得部140は、炉壁観測装置により取得された画像データを、実績データとして過去実績データベース200に記録してもよい。
(炉壁状態評価部)
炉壁状態評価部150は、炉壁画像取得部140により取得された画像データに基づいて、炉壁の状態を評価する。炉壁状態評価部150は、新たに取得された炉壁の画像データを解析して炉壁へのカーボン付着状態を特定し、当該解析結果に基づいてカーボン面積率を算出する。本実施形態では、カーボン付着状態として一様カーボン状態が特定され、一様カーボン面積率が算出される。
そして、炉壁状態評価部150は、算出した一様カーボン面積率が、安定領域決定部130により決定された安定領域内にあるか否かを判定する。炉壁状態評価部150は、一様カーボン面積率が安定領域内にあれば炉壁状態は正常であると判定し、一様カーボン面積率が安定領域外(すなわち、不安定領域)にあれば炉壁状態は異常であると判定する。
また、炉壁状態評価部150は、炉壁状態の判定結果に基づき、操業者が取るべき操業アクションを決定してもよい。例えば炉壁状態評価部150は、算出したカーボン面積率が安定領域から外れている場合、炉壁に付着するカーボン付着量を調整するため、エアを供給するランスのエア供給量を調整する指示を操業者へ通知してもよい。このように、炉壁状態評価部150は、炉壁状態の判定結果、さらには決定した操業者が取るべき操業アクションを、提示部160に出力してもよい。
(提示部)
提示部160は、炉壁状態評価部150から入力された情報を操業者に提示する出力装置である。提示部160は、例えば情報を表示するディスプレイ、ランプ等の表示装置、音声情報を出力するスピーカ等の音声出力装置等であってもよい。
図1に示す炉壁管理装置100では、過去実績データ取得部110、カーボン面積率算出部120及び安定領域決定部130はオフラインにて処理を実行し、炉壁画像取得部140、炉壁状態評価部150及び提示部160はオンラインにて処理を実行する。なお、図1に示す例では、炉壁管理装置100は、提示部160を備えるものとして説明するが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、提示部160を、炉壁管理装置100と通信可能な別体の装置として構成してもよい。また、炉壁管理装置100は、オフラインにて処理を実行する機能部とオンラインにて処理を実行する機能部とを備えるが、これらを別体の装置として構成してもよい。この場合、炉壁状態評価部150が安定領域決定部130により決定された安定領域を取得可能なように、装置間の通信を可能とした構成とすればよい。
[1-2.炉壁管理方法]
以下、図2~図11に基づいて、本実施形態に係る炉壁管理装置100による炉壁管理方法を説明する。
(1)オフライン処理
まず、図2に示すフローチャートに基づいて、図3~図10を参照しながら炉壁管理装置100によるオフライン処理について説明する。以下に説明するオフライン処理は、例えば、月毎に、あるいは、解析用の実績データが蓄積された段階で、実施される。
(S111:過去実績データ取得)
まず、過去実績データ取得部110は、炉壁全体におけるカーボンの付着状態を特定するために用いる炉壁の画像データと、そのときの押出負荷の値を示したデータ(負荷データ)とを含む過去の実績データを、過去実績データベース200から取得する(S111)。本実施形態では、炉団毎に処理を行い、各炉団のカーボン面積率の安定領域を決定する。なお、炉団を構成する各窯について十分な実績データ数が取得可能であれば、窯毎に実績データを解析して各窯のカーボン面積率の安定領域を決定してもよい。過去実績データ取得部110は、取得した過去の実績データを、カーボン面積率算出部120へ出力する。
(S113:炉壁状態判定)
次いで、カーボン面積率算出部120は、ステップS111で取得した過去の実績データに含まれる炉壁の画像データからカーボン付着状態を特定し、特定したカーボン付着状態に基づいて、炉壁全面に対するカーボン付着領域の面積割合であるカーボン面積率を算出する(S113)。なお、カーボン面積率算出部120は、炉壁の画像データごとに、それぞれのカーボン面積率を算出する。
カーボン付着状態は、炉壁の画像データから公知技術を用いて特定してもよい。本実施形態では、上述したように、特許文献2に記載の技術を用いて、炉壁面について、炉壁を構成する耐火煉瓦を覆い隠すようにカーボンが略一様に付着している状態(すなわち、一様カーボン状態)の領域を特定する。そして、カーボン面積率算出部120は、過去の実績データに含まれる全ての炉壁の画像データについて、炉壁全面に対する一様カーボン領域の面積割合である一様カーボン面積率をそれぞれ算出する。
一様カーボン面積率の求め方としては、例えば、炉壁全体を複数の小領域に分割し、各小領域について、図3に示すような煉瓦表面が露出している煉瓦面と、複数の煉瓦を覆い隠すほどカーボンが成長している状態である一様カーボン状態の領域とのいずれに該当するかを判定する。煉瓦面と一様カーボン状態とを分別する判定処理は、例えば特許文献1に記載の熱画像データに対する濃度ヒスグラムの閾値判定により行ってもよい。かかる処理により、例えば図4上側に示す熱画像データ10から図4下側に示すような一様カーボン状態の領域(図4の黒色領域)と煉瓦面(図4の白色領域)とに区分されたデータ20が得られる。かかるデータ20より、炉壁全体における一様カーボン状態の領域の面積及び位置の情報を得ることができる。そして、カーボン面積率算出部120は、一様カーボン状態の領域の面積と炉壁全体の面積との比を一様カーボン面積率として算出する。
ここで、図5に基づいて、煉瓦炉壁5の煉瓦面または一様カーボンと判定された各小領域の状態が押出負荷に及ぼす影響について説明する。まず、煉瓦面は、図5の領域A1に該当し、炉壁面の縦亀裂に沿ったV字溝5aの欠損部分が露出している。このため、煉瓦炉壁5のうち煉瓦面が露出している領域は、コークスの押出性を悪化させる要因となる。また、一様カーボン状態の領域9は、カーボンの付着により生じ、カーボン付着量が過剰になると、炉壁面に凸部を生じさせる。このため、一様カーボン状態の領域9は、押出ラム3によるコークスの押出時の摩擦抵抗(図5の黒矢印)の増大をもたらす要因となる。煉瓦面の領域A1及び一様カーボン状態の領域9それぞれの面積及び炉壁内における位置により、コークスケーキ7と炉壁間の摩擦抵抗の分布が変化して押出負荷Fへ影響を及ぼしていると考えられる。
なお、カーボン面積率算出部120により算出する各窯の一様カーボン面積率は、各窯を構成する一対の炉壁(左炉壁及び右炉壁)の一様カーボン面積率の平均値を用いてもよい。図6に、炉壁全面に対する一様カーボン状態と特定された領域の面積割合である一様カーボン面積率の例を示す。図6には、炉A、炉Bの2つの炉団における左炉壁(横軸)及び右炉壁(縦軸)の一様カーボン面積率の散布図を示している。一様カーボン面積率は、0~1の範囲の値を取り、炉壁全面が一様カーボン状態である場合に1となり、炉壁全面で一様カーボン状態の領域がない場合に0となる。図6に示すように、炉A、炉Bともに、左炉壁の一様カーボン面積率と右炉壁の一様カーボン面積率とには正の相関関係がある。また、左炉壁の一様カーボン面積率が高いと右炉壁の一様カーボン面積率が高くなる傾向にある。これより、各窯の一様カーボン面積率には、各窯を構成する一対の炉壁(左炉壁及び右炉壁)の一様カーボン面積率の平均値を用いてもよい。
(S115:安定領域決定)
ステップS113によりカーボン面積率が算出されると、安定領域決定部130は、カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を解析し、コークスの押出負荷が安定するカーボン面積率の安定領域を決定する(S115)。
図7に、図6に示した炉A、炉Bにおける一様カーボン面積率と押出負荷との関係を示す。図7は、炉A、炉Bにおける一様カーボン面積率と押出負荷との関係を示す散布図であり、横軸に一様カーボン面積率、縦軸にそのときの押出負荷を示す。一様カーボン面積率は左炉壁及び右炉壁の平均値を示しており、押出負荷の値はそのときの押出し動作におけるピーク値を示している。炉Aでは、一様カーボン面積率が0.2~0.3付近で比較的押出負荷が低くなり、押出負荷の安定する安定領域となることがわかる。また、炉Bでは、一様カーボン面積率が0.1~0.2付近で比較的押出負荷が低くなり、押出負荷の安定する安定領域となることがわかる。
なお、図7に示すような散布図の解析には、ばらつきの大きなプロセスデータでも解析を可能とする「確率分布相関解析法」を使用してもよい。確率分布相関解析法とは、2つのデータ項目(例えば、説明変数xと目的変数y)との相関関係を操業データから解析する汎用手法である。具体的には、説明変数xの値が取る範囲を細かな領域に分割し、それぞれの分割領域毎に指定した確率密度関数(例えば、正規分布や対数正規分布等)を当てはめ、所定の累積確率についての説明変数xと目的変数yとの条件付き確率密度モデルp’(y|x)を得る手法である。この手法は、説明変数が2変数以上でも適用可能である(例えば、特許第4102019号公報参照)。なお、以下では、条件付き確率密度モデルのことを、単に「確率分布モデル」とも呼ぶ。
確率分布相関解析法を用いることにより、尤もらしいデータ傾向を見出すことが可能となる。例えば、図8に、図7上側に示した炉Aの散布図の解析に確率分布相関解析法を適用した場合の一例を示す。図8には、累積確率を99%とした場合で確率密度モデルから算出される押出負荷の確率分布モデルを、実線のグラフで示している。モデル算出においては、説明変数についてデータのある範囲について20分割して、領域毎で累積確率99%における押出負荷値を算出し平滑化することで確率分布モデルを得ている。このように、確率分布モデルは、一様カーボン面積率と押出負荷との関係を表す近似曲線として表される。なお、押出負荷は正規分布と想定し、確率分布モデルは、平均値(累積確率50%)、平均値+σ(累積確率75%)、平均値+2σ、平均値+3σといった統計品質管理で用いられる値、を用いて表せばよい。図8のグラフのように、各点(白丸)のような散布図ではばらつきが大きく、データ傾向を捉えにくい場合であっても、確率分布相関解析法を用いることで、1次元または2次元グラフでデータ傾向を視覚的に捉えることが可能となる。
安定領域の具体的な決定方法としては、確率分布相関解析法の一例として、確率分布モデルを用いた安定領域の決定方法がある。安定領域決定部130は、例えば図9に示すように、押出負荷が最小となる一様カーボン面積率から所定の範囲(例えば、±αの範囲)を安定領域として決定してもよい。具体的には、確率分布モデルにおいて押出負荷が最小となる一様カーボン面積率を安定点Oとし、安定点Oを中心として横軸方向に左右対称となるように±αの範囲を設定した領域を安定領域として決定する。また、αの値の決め方としては、例えば、安定点Oでのαの値を0として、安定点Oからαの値を徐々に増加させ、押出負荷が安定点Oでの値よりも実績値が初めて大きくなる点Xまでの範囲をαとしてもよい。あるいは、確率分布モデルにおいて、安定領域決定部130は、例えば図10に示すように、押出負荷が所定の管理上限値以下となる一様カーボン面積率の範囲を安定領域として決定してもよい。
また、安定領域決定部130は、確率分布モデルを用いずに、実績データの押出負荷が管理上限値を超えた実績がない領域を安定領域としてもよい。
このようにして安定領域決定部130により決定された安定領域は、後述の炉壁状態評価部150による処理にて用いられる。
なお、安定領域決定部130は、安定領域以外の領域を不安定領域として決定してもよい。不安定領域は、一様カーボン面積率が大きい第1領域と、一様カーボン面積率が小さい第2領域とに分類できる。第1領域は、炉壁面が凹凸状である可能性が高く、第2領域は、炉壁面に肌荒れが生じている可能性が高い。
また、安定領域決定部130は、炉壁全体のカーボン量を適切に管理するための指標を操業者に提供してもよい。例えば、安定領域決定部130は、決定した安定領域(一様カーボン面積率の範囲)等を、提示部160を介して操業者に提示してもよい。
以上、本実施形態に係る炉壁管理装置100によるオフライン処理を説明した。なお、炉の大きさや燃焼管理方法によって、適正なカーボン面積率は異なる。このため、操業状況に応じて安定領域を再度求めることにより、適正な安定領域に基づき炉壁状態を管理することが可能となる。例えば、安定領域は月単位で更新してもよい。
(2)オンライン処理
次に、図11に示すフローチャートに基づいて、炉壁管理装置100によるオンライン処理について説明する。オンライン処理では、オフライン処理にて決定された押出負荷の安定領域に基づき、炉壁状態を評価し、操業アクションを決定する。
(S121:画像データ入力)
まず、炉壁画像取得部140は、新たに取得された炉壁の画像データを取得する(S121)。新たに取得された炉壁の画像データは、例えば直近の炉壁の画像データである。炉壁の画像データは、上述したように、例えば特許文献2に記載の炉壁観測装置を用いて、炭化室の熱画像データを取得することにより得られる。炉壁画像取得部140により取得された炉壁の画像データは、炉壁状態評価部150へ出力される。なお、炉壁画像取得部140は、炉壁観測装置により取得された画像データを、実績データとして過去実績データベース200に記録してもよい。
(S123~S127:炉壁状態の判定結果に基づく炉壁状態評価)
次いで、炉壁状態評価部150は、炉壁画像取得部140により取得された画像データに基づいて、炉壁の状態を評価する。炉壁状態評価部150は、まず、新たに取得された炉壁の画像データを解析して炉壁へのカーボン付着状態を特定し、当該解析結果に基づいてカーボン面積率を算出する(S123)。本実施形態では、カーボン付着状態として一様カーボン状態が特定され、一様カーボン面積率が算出される。かかる処理は、図2のステップS113と同様に行われる。
そして、炉壁状態評価部150は、算出した一様カーボン面積率が、安定領域決定部130により決定された安定領域内にあるか否かを判定する(S125)。炉壁状態評価部150は、一様カーボン面積率が安定領域内にあれば炉壁状態は正常であると判定し、一様カーボン面積率が安定領域外(すなわち、不安定領域)にあれば炉壁状態は異常であると判定する。ステップS125にて炉壁状態は正常であると判定した場合には、図11の処理を終了する。
一方、ステップS125にて炉壁状態に異常があると判定した場合、炉壁状態評価部150は、操業者が取るべきアクションを決定し、提示部160を介して操業者に当該アクションを提示する(S127)。炉壁状態評価部150は、算出した一様カーボン面積率が安定領域から外れている場合には、カーボン付着状態が適正となるように操業者が取るべき操業アクションを、提示部160を介して操業者に提示してもよい。具体的には、窯上部にある複数の装入口から挿入され、炉壁に付着するカーボンに対してエアを吹き付けることによりカーボンを燃焼させて取り除くランスから供給されるエア量を調整することにより、カーボン付着量を調整することができる。
例えば、ステップS123で算出した一様カーボン面積率が、不安定領域のうち一様カーボン面積率が高い第1領域にある場合、カーボン付着量が多くなり、押出負荷が増大する可能性が高い。そこで、過剰に付着したカーボンを取り除くため、エアを供給するランスのエア供給量を例えば最大に設定する等して、通常よりも増加させる。一方、ステップS123で算出した一様カーボン面積率が、不安定領域のうち一様カーボン面積率が低い第2領域にある場合、カーボン付着面積が不足しており、押出負荷が増大する可能性が高い。そこで、炉壁に付着するカーボンを成長させるため、ランスのエア供給量を低減あるいは停止させる。以上のようなアクションを提示後、図11の処理を終了する。
[1-3.まとめ]
以上、本実施形態に係る炉壁管理装置100の構成とこれによる炉壁管理方法について説明した。本実施形態によれば、炉壁の画像データとそのときの押出負荷の値を示したデータ(負荷データ)とを含む過去の実績データに基づき、一様カーボン面積率と押出負荷との関係を解析して、押出負荷が比較的低くなる一様カーボン面積率の範囲(安定領域)を決定する。炉壁管理装置100は、評価対象として新たに炉壁の画像データを取得したときには、その画像データから一様カーボン面積率を算出し、算出した一様カーボン面積率が安定領域内であれば正常と判定し、安定領域外(不安定領域)であれば異常と判定する。このように、炉壁全体においてカーボンの付着が適正範囲内となるように管理するための指標を導出して、これを操業者に提示できる。これを参考にして操業者は、一様カーボン面積率を調整することで、コークスの押出負荷を低減することができる。
<2.第2の実施形態>
次に、図12~図24に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る炉壁管理装置による炉壁管理方法について説明する。本実施形態に係る炉壁管理では、第1の実施形態と比較して、カーボン付着状態として、煉瓦面、一様カーボン状態に加え、斑状カーボン状態を考慮し、押出負荷が安定する安定領域を決定する点で相違する。なお、本実施形態に係る炉壁管理装置の構成は、図1に示した第1の実施形態に係る炉壁管理装置100と同一であるため、図1の各機能部の符号を用いて表すこととし、以下では説明を省略する。
[2-1.炉壁管理方法]
(1)オフライン処理
まず、図12に示すフローチャートに基づいて、図13~図23を参照しながら炉壁管理装置100によるオフライン処理について説明する。
(S211:実績データ入力)
まず、過去実績データ取得部110は、炉壁全体におけるカーボンの付着状態を特定するために用いる炉壁の画像データと、そのときの押出負荷の値を示したデータ(負荷データ)とを含む過去の実績データを、過去実績データベース200から取得する(S211)。ステップS211の処理は、図2のステップS111と同様に行われる。過去実績データ取得部110は、取得した過去の実績データを、カーボン面積率算出部120へ出力する。
(S213:炉壁状態判定)
次いで、カーボン面積率算出部120は、ステップS211で取得した過去の実績データに含まれる炉壁の画像データからカーボン付着状態を特定し、特定したカーボン付着状態に基づいて、炉壁全面に対するカーボン付着領域の面積割合であるカーボン面積率を算出する(S213)。なお、カーボン面積率算出部120は、炉壁の画像データごとに、それぞれのカーボン面積率を算出する。
カーボン付着状態は、炉壁の画像データから公知技術を用いて特定してもよい。本実施形態では、上述したように、特許文献2に記載の技術を用いて、炉壁面について、炉壁を構成する耐火煉瓦を覆い隠すようにカーボンが略一様に付着している状態(すなわち、一様カーボン状態)の領域と、目地より太い範囲にカーボンが付着している斑状カーボン状態とを特定する。そして、カーボン面積率算出部120は、過去の実績データに含まれる全ての炉壁の画像データについて、炉壁全面に対する一様カーボン領域の面積割合である一様カーボン面積率と、炉壁全面に対する斑状カーボン領域の面積割合である斑状カーボン面積率とをそれぞれ算出する。
一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率は、図2のステップS113の処理と同様に算出し得る。例えば、炉壁全体を複数の小領域に分割し、各小領域について、図13に示すような煉瓦表面が露出している煉瓦面と、複数の煉瓦を覆い隠すほどカーボンが成長している状態である一様カーボン状態の領域と、目地より太い範囲にカーボンが付着している斑状カーボン状態の領域とのいずれに該当するかを判定する。斑状カーボン状態は、煉瓦面と一様カーボン状態との中間的状態といえる。
煉瓦面、一様カーボン状態及び斑状カーボン状態を分別する判定処理は、例えば特許文献1に記載の熱画像データに対する濃度ヒスグラムの閾値判定により行ってもよい。かかる処理により、例えば図14上側に示す熱画像データ10から図14下側に示すような一様カーボン状態の領域(図14の黒色領域)と、斑状カーボン状態の領域(図14のグレー領域)と、煉瓦面(図14の白色領域)とに区分されたデータ20が得られる。かかるデータ20より、炉壁全体における一様カーボン状態及び斑状カーボン状態の各領域の面積及び位置の情報を得ることができる。そして、カーボン面積率算出部120は、一様カーボン状態の領域の面積と炉壁全体の面積との比を一様カーボン面積率として算出する。同様に、カーボン面積率算出部120は、斑状カーボン状態の領域の面積と炉壁全体の面積との比を斑状カーボン面積率として算出する。
ここで、図15に基づいて、斑状カーボンと判定された各小領域の状態が押出負荷に及ぼす影響について説明すると、斑状カーボン状態の領域A2は、炉壁の平滑効果をもたらし、摩擦抵抗(図15の黒矢印)を低減する役割を果たしている。煉瓦面や一様カーボン状態と同様に、斑状カーボン状態の領域A2の面積及び炉壁内における位置により、コークスケーキ7と炉壁間の摩擦抵抗の分布が変化して押出負荷Fへ影響を及ぼしていると考えられる。
なお、カーボン面積率算出部120により算出する各窯の斑状カーボン面積率は、一様カーボン面積率と同様、各窯を構成する一対の炉壁(左炉壁及び右炉壁)の斑状カーボン面積率の平均値を用いてもよい。図16に、炉壁全面に対する斑状カーボン状態と特定された領域の面積割合である斑状カーボン面積率の例を示す。図16には、ある炉団における左炉壁(横軸)及び右炉壁(縦軸)の斑状カーボン面積率の散布図を示している。斑状カーボン面積率は、0~1の範囲の値を取り、炉壁全面が斑状カーボン状態である場合に1となり、炉壁全面で斑状カーボン状態の領域がない場合に0となる。図16に示すように、図6に示した一様カーボン面積率の場合と同様、左炉壁の斑状カーボン面積率と右炉壁の斑状カーボン面積率とには正の相関関係がある。また、左炉壁の斑状カーボン面積率が高いと右炉壁の斑状カーボン面積率が高くなる傾向にある。これより、各窯の斑状カーボン面積率には、各窯を構成する一対の炉壁(左炉壁及び右炉壁)の斑状カーボン面積率の平均値を用いてもよい。
(S215:安定領域決定)
ステップS213によりカーボン面積率が算出されると、安定領域決定部130は、カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を解析し、コークスの押出負荷が安定するカーボン面積率の安定領域を決定する(S215)。本実施形態では、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率と押出負荷との相関関係に基づき、安定領域が決定される。
ここで、一様カーボン面積率と斑状カーボン面積率との関係について述べる。図17は、炉A、炉Bにおける一様カーボン面積率(横軸)と斑状カーボン面積率(縦軸)との関係を示す散布図である。図17では、一様カーボン面積率と斑状カーボン面積率はいずれも左炉壁及び右炉壁の平均値で示している。炉Aでは、一様カーボン面積率が0.2~0.4付近で斑状カーボン面積率がばらついており、中程度の一様カーボン状態であると斑状カーボン状態がばらつくことがわかる。また、炉A、炉Bともに斑状カーボン状態のみで炉壁全面を覆うような理想的なカーボン付着状態は見られず、操業中の炉壁では一様カーボン状態と斑状カーボン状態との混在状態にあることがわかる。
また、図18に、図17の炉A、炉Bについての一様カーボン面積率および斑状カーボン面積率と押出負荷との関係を示す。図18に示すように、これらのグラフでは押出負荷のばらつきが大きく、単純なデータプロットによる解析にてデータの特徴を捉えるのは難しい。そこで、第1の実施形態と同様に、確率分布相関解析法を適用することにより、データの特徴を捉えやすくすることができる。これにより、図18に示した散布図ではばらつきが大きく、データ傾向を捉えにくい場合であっても、確率分布相関解析法を用いることで、1次元または2次元グラフでデータ傾向を視覚的に捉えることが可能となる。
図19に、図17及び図18の炉Aに対して確率分布相関解析法を適用した結果を示す。図19では、累積確率を90%、80%、50%と変化させたときの、押出負荷の確率分布モデルをそれぞれ示している。図19のグラフにおいては、横軸に一様カーボン面積率、縦軸に斑状カーボン面積率を示し、濃淡で押出負荷の大きさを示している。濃くなるほど押出負荷が小さく、淡くなるほど押出負荷が大きいことを示している。なお、図19のグラフを3次元で示すと、図20に示すようなグラフとなる。図20は、図19の累積確率80%の場合の確率分布モデルを示している。なお、図20の丸プロットは、実績データを示している。
図19の中央の図(累積確率80%)及び図20に示すように、一様カーボン面積率が0.2~0.4、斑状カーボン面積率が0.1~0.15の付近で、押出負荷が低くなっていることがわかる。また、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率がともに高い領域、及び、ともに低い領域では、押出負荷が高くなる傾向があることがわかる。累積確率の違いにおいては、90%と基準値上限付近に設定すると、累積確率を80%、50%(中央値)とした場合と比べて、領域がより詳細に区分されることがわかる。
安定領域の具体的な決定方法としては、確率分布相関解析法の一例として、確率分布モデルを用いた安定領域の決定方法がある。安定領域決定部130は、例えば図21に示すように、押出負荷が最小となる一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率を中心Pとする半径Rの範囲を安定領域Qとして決定してもよい。あるいは、確率分布モデルにおいて、安定領域決定部130は、例えば図22に示すように、押出負荷が管理上限値以下となる一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率の範囲を安定領域として決定してもよい。図22上側には累積確率50%の確率分布モデルを示している。かかる確率分布モデルに対し、管理上限値が160[A]以下となる領域を安定領域とすると、安定領域は図22下側に示すようになる。
また、安定領域決定部130は、確率分布モデルを用いずに、図23に示すような一様カーボンと斑状カーボンの関係を用いて、実績データの押出負荷が管理上限値を超えた実績がない領域を安定領域としてもよい。図23には、過去の実績データから得られた一様カーボン面積率と斑状カーボン面積率との関係をプロットしており、丸プロットは押出負荷が管理値上限より大きいデータを示し、四角プロットは押出負荷が管理値上限以下のデータを示している。また、斑状カーボン面積率の平均値モデル(すなわち、累積確率50%の確率分布モデル)をMで示している。
図23において、斑状カーボン面積率が理想に近い点を中心Pとして、中心Pから領域を同心円状に広げていき、押出負荷が管理上限値を超えるプロットに初めて到達するまでの領域を安定領域Qとしてもよい。
このようにして安定領域決定部130により決定された安定領域は、後述の炉壁状態評価部150による処理にて用いられる。
なお、安定領域決定部130は、安定領域以外の領域を不安定領域として決定してもよい。不安定領域は、図22下側に示す例のように、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率がともに大きい第1領域と、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率がともに小さい第2領域とに分類できる。第1領域は、炉壁面が凸状である可能性が高く、第2領域は、炉壁面に肌荒れが生じている可能性が高い。
また、安定領域決定部130は、炉壁全体のカーボン量を適切に管理するための指標を操業者に提供してもよい。例えば、安定領域決定部130は、決定した安定領域(一様カーボン面積率の範囲)等を、提示部160を介して操業者に提示してもよい。
以上、本実施形態に係る炉壁管理装置100によるオフライン処理を説明した。なお、炉の大きさや燃焼管理方法によって、適正なカーボン面積率は異なる。このため、操業状況に応じて安定領域を再度求めることにより、適正な安定領域に基づき炉壁状態を管理することが可能となる。例えば、安定領域は月単位で更新してもよい。
(2)オンライン処理
次に、図24に示すフローチャートに基づいて、炉壁管理装置100によるオンライン処理について説明する。オンライン処理では、オフライン処理にて決定された押出負荷の安定領域に基づき、炉壁状態を評価し、操業アクションを決定する。
(S221:画像データ入力)
まず、炉壁画像取得部140は、新たに取得された炉壁の画像データを取得する(S221)。新たに取得された炉壁の画像データは、例えば直近の炉壁の画像データである。ステップS221の処理は、図11のステップS121と同様に実行される。炉壁画像取得部140により取得された炉壁の画像データは、炉壁状態評価部150へ出力される。なお、炉壁画像取得部140は、炉壁観測装置により取得された画像データを、実績データとしてデータベース200に記録してもよい。
(S223~S227:炉壁状態の判定結果に基づく炉壁状態評価)
次いで、炉壁状態評価部150は、炉壁画像取得部140により取得された画像データに基づいて、炉壁の状態を評価する。炉壁状態評価部150は、まず、新たに取得された炉壁の画像データを解析して炉壁へのカーボン付着状態を特定し、当該解析結果に基づいてカーボン面積率を算出する(S223)。本実施形態では、カーボン付着状態として一様カーボン状態と斑状カーボン状態とが特定され、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率が算出される。かかる処理は、図12のステップS213と同様に行われる。
そして、炉壁状態評価部150は、算出した一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率が、安定領域決定部130により決定された安定領域内にあるか否かを判定する(S225)。炉壁状態評価部150は、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率が安定領域内にあれば炉壁状態は正常であると判定し、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率が安定領域外(すなわち、不安定領域)にあれば炉壁状態は異常であると判定する。ステップS225にて炉壁状態は正常であると判定した場合には、図24の処理を終了する。
一方、ステップS225にて炉壁状態に異常があると判定した場合、炉壁状態評価部150は、操業者が取るべきアクションを決定し、提示部160を介して操業者に当該アクションを提示する(S227)。炉壁状態評価部150は、算出した一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率が安定領域から外れている場合には、カーボン付着状態が適正となるように操業者が取るべき操業アクションを、提示部160を介して操業者に提示してもよい。具体的には、窯上部にある複数の装入口から挿入され、炉壁に付着するカーボンに対してエアを吹き付けることによりカーボンを燃焼させて取り除くランスから供給されるエア量を調整することにより、カーボン付着量を調整することができる。
例えば、ステップS223で算出した一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率が、不安定領域のうち一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率がともに大きい第1領域にある場合、カーボン付着量が多くなり、押出負荷が増大する可能性が高い。そこで、過剰に付着したカーボンを取り除くため、エアを供給するランスのエア供給量を例えば最大に設定する等して、通常よりも増加させる。一方、ステップS223で算出した一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率が、不安定領域のうち一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率がともに小さい第2領域にある場合、カーボン付着面積が不足しており、押出負荷が増大する可能性が高い。そこで、炉壁に付着するカーボンを成長させるため、ランスのエア供給量を低減あるいは停止させる。以上のようなアクションを提示後、図24の処理を終了する。
なお、ランスのエア供給量は、理想的なカーボンの付着状態である斑状カーボン状態の面積率に応じて、調整するのが望ましい。例えば、斑状カーボンは肌荒れが平滑化され、かつ、凸状カーボンのない状態であり、斑状カーボン面積率としてはなるべく大きいほうがコークスケーキの押出し性が良好となる。一方で、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率については、図17に示したように、一様カーボン面積率の増加とともに斑状カーボン面積率も増加するが、一様カーボン面積率がある程度増えると、それ以降は、一様カーボン面積率が増加しても斑状カーボン面積率は減少する傾向がある。これは、斑状カーボン状態が一様カーボン状態へと変化していくためである。これより、斑状カーボン面積率が最大となるように、ランスのエア供給量をコントロールすることで、コークスケーキの押出し性を良好に保持することができる。
以上、本実施形態に係る炉壁管理装置100の構成とこれによる炉壁管理方法について説明した。本実施形態によれば、炉壁の画像データとそのときの押出負荷の値を示したデータ(負荷データ)とを含む過去の実績データに基づき、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率と押出負荷との関係を解析して、押出負荷が比較的低くなる一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率の範囲(安定領域)を決定する。炉壁管理装置100は、評価対象として新たに炉壁の画像データを取得したときには、その画像データから一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率を算出し、算出した一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率が安定領域内であれば正常と判定し、安定領域外(不安定領域)であれば異常と判定する。このように、炉壁全体においてカーボンの付着が適正範囲内となるように管理するための指標を導出して、これを操業者に提示できる。これを参考にして操業者は、一様カーボン面積率及び斑状カーボン面積率を調整することで、コークスの押出負荷を低減することができる。
<3.ハードウェア構成>
次に、図25を参照しながら、本発明の各実施形態に係る炉壁管理装置100のハードウェア構成について、詳細に説明する。図25は、本実施形態に係る炉壁管理装置100のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
炉壁管理装置100は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、炉壁管理装置100は、さらに、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、炉壁管理装置100内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータなどを一次記憶する。これらはCPUバスなどの内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、炉壁管理装置100の操作に対応したPDAなどの外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。炉壁管理装置100のユーザは、この入力装置909を操作することにより、炉壁管理装置100に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、炉壁管理装置100が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、炉壁管理装置100が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データなどからなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、炉壁管理装置100の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどにより構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、炉壁管理装置100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディアなどである。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)などであってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器などであってもよい。
接続ポート917は、機器を炉壁管理装置100に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS-232Cポートなどがある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、炉壁管理装置100は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイスなどで構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カードなどである。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデムなどであってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IPなどの所定のプロトコルに則して信号などを送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワークなどにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信などであってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る炉壁管理装置100の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100 炉壁管理装置
110 過去実績データ取得部
120 カーボン面積率算出部
130 安定領域決定部
140 炉壁画像取得部
150 炉壁状態評価部
160 提示部
200 過去実績データベース

Claims (4)

  1. コークス炉の過去の操業における実績データとして記録されている複数の炉壁の画像データ及びコークスの押出負荷とを取得する過去実績データ取得部と、
    前記画像データを解析して特定されるカーボン付着状態に基づいて、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域を特定し、前記炉壁全面に対する前記一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率を、カーボン面積率として、前記画像データごとに算出するカーボン面積率算出部と、
    前記画像データそれぞれの前記カーボン面積率及び前記コークスの押出負荷より得られるカーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係に基づいて、前記コークスの押出負荷が安定する前記カーボン面積率の安定領域を決定する安定領域決定部と、
    を備え
    前記安定領域決定部は、
    前記一様カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、前記押出負荷が最小となる前記一様カーボン面積率から所定の範囲、
    前記一様カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、前記押出負荷が管理上限値以下となる前記一様カーボン面積率の範囲、または、
    前記実績データの前記押出負荷が管理上限値を超えた実績がない前記一様カーボン面積率の範囲、
    のいずれかを前記安定領域として決定する、炉壁管理装置。
  2. コークス炉の過去の操業における実績データとして記録されている複数の炉壁の画像データ及びコークスの押出負荷とを取得する過去実績データ取得部と、
    前記画像データを解析して特定されるカーボン付着状態に基づいて、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域と、前記炉壁面に対してカーボンが斑状に付着している斑状カーボンの領域とを特定し、前記炉壁全面に対する前記一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率と、前記炉壁全面に対する前記斑状カーボンの領域の面積割合である斑状カーボン面積率とを、カーボン面積率として、前記画像データごとに算出するカーボン面積率算出部と
    前記画像データそれぞれの前記カーボン面積率及び前記コークスの押出負荷より得られるカーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係に基づいて、前記コークスの押出負荷が安定する前記カーボン面積率の安定領域を決定する安定領域決定部と、
    を備え、
    前記安定領域決定部は、
    前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、前記押出負荷が最小となる前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率を中心とする半径Rの範囲、
    前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、前記押出負荷が管理上限値以下となる前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率の範囲、または、
    前記実績データの前記押出負荷が管理上限値を超えた実績がない前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率の範囲、
    のいずれかを前記安定領域として決定する、炉壁管理装置。
  3. コークス炉の過去の操業における実績データとして記録されている複数の炉壁の画像データ及びコークスの押出負荷とを取得する過去実績データ取得ステップと、
    前記画像データを解析して特定されるカーボン付着状態に基づいて、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域を特定し、前記炉壁全面に対する前記一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率を、カーボン面積率として、前記画像データごとに算出するカーボン面積率算出ステップと、
    前記画像データそれぞれの前記カーボン面積率及び前記コークスの押出負荷より得られるカーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係に基づいて、前記コークスの押出負荷が安定する前記カーボン面積率の安定領域を決定する安定領域決定ステップと、
    を含み、
    前記安定領域決定ステップは、
    前記一様カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、前記押出負荷が最小となる前記一様カーボン面積率から所定の範囲、
    前記一様カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、前記押出負荷が管理上限値以下となる前記一様カーボン面積率の範囲、または、
    前記実績データの前記押出負荷が管理上限値を超えた実績がない前記一様カーボン面積率の範囲、
    のいずれかを前記安定領域として決定する、炉壁管理方法。
  4. コークス炉の過去の操業における実績データとして記録されている複数の炉壁の画像データ及びコークスの押出負荷とを取得する過去実績データ取得ステップと、
    前記画像データを解析して特定されるカーボン付着状態に基づいて、炉壁面に対してカーボンが一様に付着している一様カーボンの領域と、前記炉壁面に対してカーボンが斑状に付着している斑状カーボンの領域とを特定し、前記炉壁全面に対する前記一様カーボンの領域の面積割合である一様カーボン面積率と、前記炉壁全面に対する前記斑状カーボンの領域の面積割合である斑状カーボン面積率とを、カーボン面積率として、前記画像データごとに算出するカーボン面積率算出ステップと、
    前記画像データそれぞれの前記カーボン面積率及び前記コークスの押出負荷より得られるカーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係に基づいて、前記コークスの押出負荷が安定する前記カーボン面積率の安定領域を決定する安定領域決定ステップと、
    を含み、
    前記安定領域決定ステップは、
    前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、前記押出負荷が最小となる前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率を中心とする半径Rの範囲、
    前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率とコークスの押出負荷との相関関係を表す確率分布モデルにおいて、前記押出負荷が管理上限値以下となる前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率の範囲、または、
    前記実績データの前記押出負荷が管理上限値を超えた実績がない前記一様カーボン面積率及び前記斑状カーボン面積率の範囲、
    のいずれかを前記安定領域として決定する、炉壁管理方法。
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