JP7493131B1 - コークス炉炉団の寿命予測方法 - Google Patents

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Abstract

コークス炉炉団の寿命を予測できるコークス炉炉団の寿命予測方法を提供する。コークス炉炉団の寿命を予測するコークス炉炉団の寿命予測方法であって、コークス炉炉団を構成する炭化室14の炉壁形状を形状測定装置で測定することで、コークス炉の建設時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも内側に張り出している張出部34を特定し、張出部34について、測定日時を変えて炉壁形状を複数回測定することで、時間と張出量との対応関係を示す回帰式を求め、回帰式によって算出される張出量が予め定められる閾値となる日時を算出することで炭化室14の使用可能期間を予測し、予測された炭化室14の使用可能期間に基づいてコークス炉炉団の寿命を予測する。

Description

本発明は、老朽化したコークス炉炉団の寿命予測方法に関する。
近年、コークス炉の老朽化に伴い、コークス炉を構成する耐火物の一部が摩耗して変形したり、耐火物間の目地が広がるなどして、コークス炉の建設時には平坦であった炭化室の炉壁の一部が内側に張り出してくる場合がある。コークス炉の操業において、炭化室の炉壁の張出量が大きくなると、コークスが排出し難くなる押し詰まりが発生する。押し詰まりが発生すると、単位時間当たりのコークスの生産量が低下する。また、炉壁の一部の張出量が更に大きくなると、押出ラムのラムヘッドがその一部に接触してしまい、押出ラムによってコークスを炭化室から排出できなくなったり、当該接触により炉壁耐火物が崩壊したりする。
このような事態を避けるために、炭化室の張出量が大きくなる前に炭化室の炉壁耐火物を積み替えて補修する必要がある。炭化室の炉壁耐火物の補修を行うには、補修対象の内壁の位置及び補修すべき時期を把握することが必要になる。特許文献1には、炭化室の外側にレーザー式3次元形状測定装置を設置し、レーザーを炭化室内の炉壁に照射して炭化室の炉壁形状を測定するコークス炉の炉壁診断方法が開示されている。また、特許文献2には、同様の方法で炉壁形状を測定することで炭化室の内壁のうちの張出部分を把握し、当該張出部分の補修が必要となる時期、すなわち、炭化室の使用可能期間を予測する方法が開示されている。
特開2013-82909号公報 特開2016-60867号公報
コークス炉には炭化室と燃焼室とが交互に多数設けられているので、個々の炭化室ごとに炉壁耐火物を補修するのは効率が悪い。このため、炭化室の炉壁耐火物を補修する際にはコークス炉の炉団単位でまとめて炭化室の炉壁耐火物を補修することが好ましい。これに対し、特許文献1、2に開示された炉壁診断方法や使用可能期間予測方法は、コークス炉における個々の炭化室を対象とする方法であり、これだけでは、老朽化したコークス炉炉団の寿命を予測することができないという課題があった。本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、コークス炉炉団の寿命を予測できるコークス炉炉団の寿命予測方法を提供することである。
上記課題を解決できる本発明の要旨は以下の通りである。
[1]コークス炉の炉団の寿命を予測するコークス炉炉団の寿命予測方法であって、前記炉団を構成する炭化室の炉壁形状を形状測定装置で測定することで、前記コークス炉の建設時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも内側に張り出している張出部を特定し、前記張出部について、測定日時を変えて前記炉壁形状を複数回測定することで、時間と張出量との対応関係を示す回帰式を求め、前記回帰式によって算出される張出量が予め定められる閾値となる日時を算出することで前記炭化室の使用可能期間を予測し、予測された前記炭化室の使用可能期間に基づいてコークス炉炉団の寿命を予測する、コークス炉炉団の寿命予測方法。
[2]予測された前記炭化室の使用可能期間を用いて、前記コークス炉の使用期間と前記コークス炉炉団における使用できない炭化室の割合との対応関係を求め、前記対応関係を用いてコークス炉炉団の寿命を予測する、[1]に記載のコークス炉炉団の寿命予測方法。
[3]予測された前記炭化室の使用可能期間を用いて、前記コークス炉の使用期間と前記コークス炉炉団のコークス生産量との対応関係を求め、前記対応関係を用いてコークス炉炉団の寿命を予測する、[1]に記載のコークス炉炉団の寿命予測方法。
[4]前記閾値は、押出ラムのラムヘッドと建設時の熱間寸法に基づいた前記張出部の初期位置との間隔sdに基づいて定められる、[1]から[3]のいずれかに記載のコークス炉炉団の寿命予測方法。
本発明によれば、炉団を構成する炭化室の使用可能期間を予測することでコークス炉炉団の寿命が予測できる。これにより、炉団単位で炭化室の補修計画を定めることができるようになり、効率よく炭化室を補修できるようになる。
図1は、コークス炉の一例を示す斜視図である。 図2は、コークス炉の炭化室を示す水平断面図である。 図3は、コークス炉の炭化室を示す水平断面図である。 図4は、炭化室の炉壁形状データの一例を示す模式図である。 図5は、張出量wの時間変化を示すグラフである。 図6は、コークス炉の炭化室の水平断面図である。 図7は、コークス炉のα炉団およびβ炉団の使用期間と非稼働窯の割合との関係を示すグラフである。 図8は、図7に示したα炉団およびβ炉団の使用期間とコークス生産量の割合との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な一例を示すものであり、これらの例によって何ら限定されるものではない。
図1は、コークス炉10の一例を示す斜視図である。図1を用いて、まず、コークス炉10について説明する。コークス炉10は、蓄熱室が複数並べられて構成される蓄熱部12と、当該蓄熱部12の上に設けられる複数の炭化室14と燃焼室16とを有する。炭化室14と燃焼室16とは、交互に隣接して並べられている。このように、長手方向Lに沿って並べて配置された複数の炭化室14によってコークス炉10の炉団が構成される。
装炭車18は、炭化室14および燃焼室16の上をコークス炉10の長手方向Lに沿って走行する。炭化室14の上壁には装炭孔(不図示)が、コークス炉10の短手方向Sに沿って複数形成されており、当該装入孔からコークスの原料となる石炭が炭化室14に装入される。炭化室14の両側には窯口14aが設けられており、窯口14aは脱着可能な炉蓋(不図示)で覆われて塞がれている。炭化室14の一方の窯口14a側には押出機20が配置され、他方の窯口14a側にはガイド車22が配置されている。押出機20およびガイド車22は炉長手方向Lに沿って走行する。
炭化室14では、石炭が乾留されてコークスケーキとなる。石炭を乾留するために、蓄熱部12の各蓄熱室から燃料ガスを燃焼室16に供給して燃焼させ、当該燃焼熱を隣接する炭化室14に伝えることで当該炭化室14を加熱する。これにより、炭化室14の温度が上昇して石炭が乾留される。石炭の乾留が終了すると、炉蓋を取外し、押出機20の押出ラムを炭化室14に挿入する。押出ラムを挿入することで石炭の乾留で得られるコークスケーキを炭化室14から押し出して、当該押出機20の反対側にあるガイド車22で受け止める。ガイド車22の下側には、蓄熱部12の前を炉長手方向Lに沿って走行可能な消火車24が配置されて、ガイド車22から消火車24がコークスケーキを受ける。消火車24は、コークスケーキを所定の場所まで搬送する。
コークス炉10の操業では、炭化室14からのコークスケーキの押し出し、炭化室14への石炭の装入が繰り返し行われる。この操業が繰り返し実行されるうちに、炭化室14の炉壁が損耗し、変形していく。図2は、コークス炉10の炭化室14を示す水平断面図である。図2(a)は、コークス炉10の建設時の炭化室14を示し、図2(b)は、炭化室14の炉壁32が変形して、炉壁32の一部が内側に張り出している状態の炭化室14を示す。炭化室14は、対向する一対の炉壁32により形成される。炉壁32は、耐火物煉瓦が垂直に積み上げられて構成されている。
コークスケーキの押し出しは、押出ラム26によって行われる。押出ラム26は、ラムヘッド28と該ラムヘッド28が取り付けられたラムビーム30とを有する。押出機20は、押出ラム26と当該押出ラム26のラムビーム30に接続する押出ラム駆動装置(不図示)とを有する。押出ラム駆動装置によってラムビーム30が駆動されることで、ラムヘッド28が炭化室14に挿入され、当該ラムヘッド28によってコークスケーキは炭化室14から押し出される。
図2(a)に示す炭化室14では、炉壁32の凹凸に起因するコークスケーキの押し詰まりは生じない。しかしながら、図2(b)に示す炭化室14では、炉壁32に張出部34が形成されており、コークスケーキがラムヘッド28に押し出される際、コークスケーキが当該張出部34に接触することでコークスケーキの押出抵抗が高くなって押し詰まりが発生する場合がある。この張出部34は、コークス炉10の老朽化に伴い、耐火物の一部が損耗して変形したり、耐火物の目地が広がったりして、平坦であった炉壁32の一部が内側に張り出すことで生じる
また、張出部34が更に内側に張り出し、ラムヘッド28がその張出部34の一部に接触すると、接触部やその周辺の炉壁32を構成する燃焼室煉瓦の崩壊が起きたり、押出ラム26が機能しなくなる可能性がある。特に、燃焼室煉瓦の崩壊が起こると、その補修に長期間を要することが多いので、ラムヘッド28と張出部34との接触は避けなければならない。
このため、張出部34の張出量が大きくなって、コークスケーキの押し詰まりや、耐火物煉瓦の崩壊が起きる前に、炭化室14の使用を停止しなければならない。この使用可否の判断を行うため、本実施形態に係るコークス炉炉団の寿命予測方法では、以下に示す1~4の手順で炉団を構成する炭化室の使用可能期間を予測する。
1.炉団を構成する炭化室14の炉壁形状を形状測定装置で測定して張出部を特定する。
2.炉団を構成する炭化室14において、測定日時を変えて張出部の炉壁形状を複数回測定して、複数の測定日時tと張出量wとからなるデータセットを複数取得する。
3.複数のデータセットを用いて時間と張出量wとの対応関係を示す回帰式を求める。
4.回帰式を用いて算出される張出量wが予め定められる閾値となる日時を算出する。この閾値は、コークスケーキの押し詰まりや耐火物煉瓦の崩壊が発生する張出量に基づいて、予め定められる閾値であり、この日時までの期間が炉団を構成する炭化室14の使用可能期間となる。
まず、炉団を構成する炭化室14の炉壁形状を形状測定装置で測定して張出部を特定する方法について説明する。図3は、コークス炉10の炭化室14を示す水平断面図である。炭化室14の炉壁形状は、例えば、レーザー式3次元形状測定装置36によって熱間で測定される。なお、レーザー式3次元形状測定装置36は、炭化室14の炉壁形状を熱間で測定する形状測定装置の一例である。レーザー式3次元形状測定装置36は、炭化室14のコークスケーキが押し出される側の窯口14aの前方に設置される。レーザー式3次元形状測定装置36では、レーザー照射孔から炉壁32に向けて斜めにレーザーを照射し、炉壁32からの反射光を検出孔で受光することで、炭化室14の炉壁形状を点群として測定する。これにより、炭化室14の炉壁形状の熱間寸法を取得できる。
レーザー式3次元形状測定装置36を用いて、炭化室14の左右の炉壁形状を同時に測定してもよいが、炭化室14の左右の炉壁形状を別々に測定することが好ましい。炭化室14は上側に高さ6m程度、幅400mm程度、奥行き16m程度の大きさで、窯口14aが幅400mm程度、高さ6m程度の細長い構造になっている。炭化室14の外側からレーザーを照射する場合に、左右両側の炉壁形状を一度に測定しようとすると、レーザーの入射角度が炉壁32に対して浅くなる。このように浅い角度でレーザーが入射すると、炉壁32が内側に張り出している場合には、その奥が陰になってレーザーが届かなくなり、炉壁形状が測定できない場合がある。一方、炉壁形状を左右別々に測定することで、レーザーの入射角度を炉壁32に対して大きくできるので、炉壁32が内側に張り出している場合であっても炉壁形状を測定できる。
レーザー式3次元形状測定装置36によって測定された左右の炉壁形状データは、別々に評価してもよく、これら2つの内壁形状データを炭化室14の周辺の基準物を元に合成して、一つの合成炉壁形状データとして評価してもよい。このように、レーザー式3次元形状測定装置36を用いることで、コークス炉10における炭化室14の炉壁形状を測定できる。
再び、図2(b)を参照する。レーザー式3次元形状測定装置36を用いて炭化室14の炉壁形状を測定し、当該測定により取得した炉壁形状データと炭化室14の建設直後の熱間測定データとを比較して差分形状データを求める。この差分形状データのうち、コークス炉10の建設時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも内側に張り出している部分が張出部34となる。このようにして、張出部34の位置を特定できる。
なお、初期位置よりも内側に張り出している張出部が複数存在している場合には、最も張出量wが大きい部分を張出部と特定することが好ましい。この理由は、張出量wが最も大きい張出部の張出量wが最も早く大きくなると考えられるからである。張出部の位置は、炭化室14の使用可能期間を予測する前に少なくとも1回特定しておけばよい。但し、当初、最も張り出している張出部の位置を特定したとしても、次第に最も張り出している部位が変わる場合がある。このような場合には、当初特定した張出部に代えて、又は、特定した張出部に加えて、別の新たな張出部の位置を特定してもよい。
次いで、炉団を構成する炭化室14において、測定日時を変えて炉壁形状を複数回測定して、測定日時tと特定した張出部の張出量wとからなるデータセットを複数取得する。ここで、図2(b)の点線は、コークス炉10の建設時の熱間寸法に基づいた炉壁32の初期位置を示し、点線上の黒丸はコークス炉10の建設時の熱間寸法に基づいた張出部34の初期位置を示す。図2(b)の実線は、点線と平行であって張出部34の最も突出している部位に接する線である。張出部34の初期位置は、張出部34の最も突出している部位から点線に垂直に下した交点である、張出量wは、張出部34の初期位置から点線までの距離である。上述したように、張出部34が特定されていれば、張出部34の初期位置も特定されるので、レーザー式3次元形状測定装置36によって測定された炉壁形状データを取得することで張出部34の張出量wが求められる。
張出量wの測定間隔は特に限定されるものではないが、張出量wの経時変化を確認するために、数日、数週間あるいは数月毎に定期的に張出量wを測定することが好ましい。例えば、コークス炉10を操業している間、張出量wは、6時間や1日経過しても、あまり変化しない可能性が高いが、例えば数日経過すると、張出量wが変化する可能性がある。このため、測定期間を2週間や1カ月と定め、定めた測定期間毎に張出量wを測定することが好ましい。一方、張出量wが大きい炭化室では、測定期間を、例えば1週間などに短くしてもよい。これにより、回帰式を用いる張出量wの予測精度を高めることができる。具体的には、張出部34の初期位置とラムヘッド28との間隔と、張出量wとの差が10mm以下となった場合には、張出量wの測定頻度を高くすることが好ましい。
図4は、炭化室14の炉壁形状データの一例を示す模式図である。図4に示すように、炭化室14では、軌条40が設置されている下方のA部において張出量が大きくなる傾向があることが確認された。このため、このA部を張出部と特定し、測定日時を変えて張出部の炉壁形状を複数回測定して、測定日時と張出量wとからなるデータセットを複数取得した。
図5は、張出量wの時間変化を示すグラフである。図5の横軸は年/月であり、縦軸は軌条下の炉壁の張出量w(mm)である。図5に示したグラフは、レーザー式3次元形状測定装置を用いて、測定日時を変えて炭化室14の炉壁形状を10回測定し、当該測定データを用いて取得した測定日時と張出量wとからなる10組のデータセットをプロットしたグラフである。また、図5に示す実線は、最小二乗法を用いて10個のプロットを直線回帰した回帰式を示す直線である。このように、測定日時tと張出量wとからなるデータセットを複数取得することで、時間と張出量wとの対応関係を示す回帰式を求めることができる。なお、図5に示した例では、複数のプロットを直線回帰した例を示したが、これに限らず、複数のプロットを2次曲線や他の関数形で回帰してもよい。
次に、この回帰式を用いて、炭化室14の使用可能期間を予測する方法について説明する。上述したように炉壁32の張出量wが大きくなると張出部34にコークスケーキが接触することでコークスケーキの押出抵抗が高くなり、押し詰まりが発生する。さらに、張出部34がラムヘッド28に接触すると燃焼室煉瓦の崩壊が発生する。このため、まず、実験等を行うことで、押し詰まりや燃焼室煉瓦の崩壊が発生する炉壁32の張出量を把握する。この張出量を閾値として予め定めておき、上記回帰式を用いて当該閾値になる日時を算出する。この日時が炭化室14の使用可能期間となる。
また、張出量wの閾値を張出部34の初期位置と押出ラム26のラムヘッド28との間隔sdに基づいて定めてよい。図6は、コークス炉10の炭化室14の水平断面図である。図6を用いて間隔sdについて説明する。
間隔sdは、ラムヘッド28が張出部34に最も接近する位置でのラムヘッド28と張出部34の初期位置との間隔である。図6の一点鎖線はラムヘッド28の側面位置であり、点線上の黒丸はコークス炉10の建設時の熱間寸法に基づいた張出部34の初期位置を示す。間隔sdは、張出部34の初期位置から一点鎖線までの距離である。
炉壁形状の測定により張出部34の位置が特定されていれば、張出部34の初期位置も特定される。ラムヘッド28の側面位置は、炭化室14を移動するラムヘッド28の側面位置を実際に計測してもよいし、ラムヘッド28の中心が、炭化室14の中心を通過するとして、ラムヘッド28の寸法から計算によって求めてもよい。そして、張出部34の初期位置と、実測又は計算によって求められた側面位置とから、張出部34の初期位置とラムヘッド28との間隔sdが求められる。
上述したように、張出部34の張出量wが間隔sdよりも大きくなると張出部34とラムヘッド28とが接触し、燃焼室煉瓦の崩壊が起きる可能性が高くなる。このため、例えば、間隔sdに所定の安全率を乗じた値を閾値としてもよい。このように、間隔sdに基づいて閾値を定めることで、張出部34とラムヘッド28とが接触し、燃焼室煉瓦が崩壊することを抑制できるようになる。
本実施形態に係るコークス炉炉団の寿命予測方法では、このようにして、炉団を構成する炭化室14の使用可能期間を予測する。次いで、炉団を構成する各炭化室14の使用可能期間から、所定期間経過後における炉団の非稼働窯の割合を求める。ここで、非稼働窯とは、使用可能期間を経過して使用できなくなった炭化室を意味し、非稼働窯の割合とは、非稼働窯数を、炉団を構成する全窯数で除して100を乗じて算出される値(%)である。
図7は、コークス炉のα炉団およびβ炉団の使用期間と非稼働窯の割合との対応関係を示すグラフである。図7において横軸はコークス炉使用期間(年)であり、縦軸は非稼働窯の割合(%)である。図7に示すように、α炉団、β炉団ともにコークス炉の使用期間が長くなるにつれて非稼働窯の割合は高くなった。非稼働窯の割合が高くなると、当該炉団を稼働する経済効率が悪化する。そこで、経済効率が悪化する前に炉団の操業を停止し、炉団を構成する炭化室の補修する補修計画が作成される。
α炉団とβ炉団の場合、非稼働窯の割合が30%を超えると炉団の経済効率が悪化するので、α炉団に対しては1年後、β炉団に対しては4年後に各炉団を補修する補修計画が作成された。α炉団に対しては、1年後にパドアップ(基礎部分を継続使用しながら炉壁煉瓦を積み替える工法)による炭化室の補修を実行した。一方、β炉団に対しては、4年後に更新する予定であったが、α炉団の後に続けてβ炉団の補修を実行することで、補修費用が低廉化することが判明したため、β炉団に対しては2年後にパドアップによる炭化室の補修を実行した。
ここで、コークス炉炉団の寿命は当該炉団を稼働する経済効率が悪化する前に炉団の操業を停止するまでの日時である。この炉団の経済効率の悪化は、炉団を構成する炭化室の使用可能期間から求められるコークス炉の使用期間と非稼働窯数の割合との対応関係から判断できるので、コークス炉炉団の寿命は、炉団を構成する炭化室の使用可能期間に基づいて予測できることがわかる。さらに、コークス炉炉団の寿命が予測できれば、経済効率を考慮しながら、当該炉団の補修計画も容易に策定できるようになる。
図8は、図7に示したα炉団およびβ炉団の使用期間とコークス生産量の割合との対応関係を示すグラフである。図8において横軸はコークス炉使用期間(年)であり、縦軸はコークス生産量の割合(%)である。コークス生産量の割合は、非稼働窯が生じることによって減少した後の炉団のコークス生産量(t)を、全てが稼働窯である場合の炉団のコークス生産量(t)で除して100を乗じた値(%)である。このコークス生産量の割合も炉団を構成する炭化室の使用可能期間から求めることができる。
このように、コークス炉炉団を構成する炭化室の使用可能期間からコークス炉の使用期間とコークス生産量の割合との対応関係を求め、当該対応関係からコークス炉炉団の寿命を予測してもよい。このようにコークス炉炉団の寿命を予測することで、経済効率だけでなく、コークスの生産量も考慮しながら、当該炉団の補修計画を策定できるようになる。
以上説明したように、本実施形態に係るコークス炉炉団の寿命予測方法では、炉団を構成する炭化室14において、時間と張出量wとの対応関係を示す回帰式を求め、当該回帰式を用いて炭化室の使用可能期間を予測し、当該使用可能期間に基づいてコークス炉炉団の寿命を予測する。これにより、経済効率やコークスの生産計画を考慮しながら炉団単位で炭化室の補修計画を定めることができるようになるので効率よく炭化室を補修できるようになる。
10 コークス炉
12 蓄熱部
14 炭化室
14a 窯口
16 燃焼室
18 装炭車
20 押出機
22 ガイド車
24 消火車
26 押出ラム
28 ラムヘッド
30 ラムビーム
32 炉壁
34 張出部
36 レーザー式3次元形状測定装置

Claims (2)

  1. コークス炉の炉団の寿命を予測するコークス炉炉団の寿命予測方法であって、
    前記炉団を構成する炭化室の炉壁形状を形状測定装置で測定することで、前記コークス炉の建設時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも内側に張り出している張出部を特定し、
    前記張出部について、測定日時を変えて前記炉壁形状を複数回測定することで、時間と張出量との対応関係を示す回帰式を求め、
    前記回帰式によって算出される張出量が予め定められる閾値となる日時を算出することで前記炭化室の使用可能期間を予測し、
    予測された前記炭化室の使用可能期間に基づいて使用できない炭化室の割合またはコークス生産量の割合を求め、
    前記コークス生産量の割合は、コークス炉炉団のコークス生産量に対する前記炭化室が使用できない非稼働窯が生じることによってコークス生産量が減少した後のコークス炉炉団のコークス生産量の割合であり、
    前記コークス炉炉団の経済効率が悪化すると判断される前記炭化室の割合または前記コークス生産量の割合を超える時点を前記コークス炉炉団の寿命とし、
    前記炭化室の割合または前記コークス生産量の割合と使用期間との対応関係を用いて前記寿命を予測する、コークス炉炉団の寿命予測方法。
  2. 前記閾値は、押出ラムのラムヘッドと建設時の熱間寸法に基づいた前記張出部の初期位置との間隔sdに基づいて定められる、請求項1に記載のコークス炉炉団の寿命予測方法。
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