JP7485246B1 - 炭化室の使用可能期間予測方法および炭化室の補修方法 - Google Patents

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Abstract

炭化室の張出量に関わらず当該張出量を高い精度で予測でき、予測された張出量に基づいて炭化室の使用可能期間を予測する炭化室の使用可能期間予測方法および炭化室の補修方法を提供する。炭化室の使用可能期間予測方法であって、炭化室の炉壁はダボ付き煉瓦が積み上げられることによって構成され、炭化室の炉壁形状を形状測定装置で測定することで、コークス炉の建設時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも内側に張り出している張出部を特定し、張出部について、測定日時を変えて前記炉壁形状を複数回測定することで、張出量が下記(1)式で算出されるD1以下の範囲内における時間と張出量との対応関係を示す第1の回帰式と、張出量が下記(2)式で算出されるD2以上の範囲内における時間と張出量との対応関係を示す第2の回帰式と、をそれぞれ求め、第1の回帰式または第2の回帰式を用いて算出される張出量が予め定められる閾値となる日時を算出することで炭化室の使用可能期間を予測する。D1=g-(dR1+dL1)・・・(1)D2=g+(dR2+dL2)・・・(2)上記(1)、(2)式において、gはダボ付き煉瓦側面からダボまで距離であり、dR1はダボ付き煉瓦側面からダボまでのマイナス側の製造誤差値であり、dR2はダボ付き煉瓦側面からダボまでのプラス側の製造誤差値であり、dL1は形状測定装置のマイナス側の測定誤差値であり、dL2は形状測定装置のプラス側の測定誤差値である。

Description

本発明は、老朽化したコークス炉において、炉壁が内側に張り出した炭化室の使用可能期間を予測する炭化室の使用可能期間予測方法および炭化室の補修方法に関する。
近年、コークス炉の老朽化に伴い、コークス炉を構成する耐火物の一部が摩耗して変形したり、耐火物間の目地が広がるなどして、コークス炉の建設時には平坦であった炭化室の炉壁の一部が内側に張り出してくる。コークス炉の操業において、炭化室の炉壁の張出量が大きくなると、コークスが排出し難くなる押し詰まりが発生する。押し詰まりが発生すると、単位時間当たりのコークスの生産量が低下する。また、炉壁の一部の張出量が更に大きくなると、押出ラムのラムヘッドがその一部に接触してしまい、押出ラムによってコークスを炭化室から排出できなくなったり、当該接触により炉壁耐火物が崩壊したりする。
このような事態を避けるために、炭化室の張出量が大きくなる前に炭化室の炉壁耐火物を積み替えて補修する必要があるが、当該補修を行うには、補修対象の内壁の位置及び補修すべき時期を把握することが必要になる。特許文献1には、炭化室の内壁のうちの張出部分を把握し、当該張出部分の補修が必要となる時期、すなわち、炭化室の使用可能期間を予測する方法が開示されている。
特許第6107776号公報
特許文献1によると測定日時tと張出量wとの関係は一次関数式で表されるとしている。しなしながら、測定日時tと張出量wとからなるデータセットを多数取得して確認した所、ある張出量から測定日時tと張出量wの関係が一次関数式に当てはまらなくなり、当該一次関数式では炭化室の張出量を正確に予測できないという課題があった。
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、炭化室の張出量に関わらず当該張出量を高い精度で予測でき、予測された張出量に基づいて炭化室の使用可能期間を予測する炭化室の使用可能期間予測方法および炭化室の補修方法を提供することである。
上記課題を解決できる本発明の要旨は以下の通りである。
[1]コークス炉の炭化室の使用可能期間を予測する炭化室の使用可能期間予測方法であって、前記炭化室の炉壁はダボ付き煉瓦が積み上げられることによって構成され、前記炭化室の炉壁形状を形状測定装置で測定することで、前記コークス炉の建設時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも内側に張り出している張出部を特定し、前記張出部について、測定日時を変えて前記炉壁形状を複数回測定することで、張出量が下記(1)式で算出されるD以下の範囲内における時間と張出量との対応関係を示す第1の回帰式と、前記張出量が下記(2)式で算出されるD以上の範囲内における時間と張出量との対応関係を示す第2の回帰式と、をそれぞれ求め、前記第1の回帰式または前記第2の回帰式を用いて算出される張出量が予め定められる閾値となる日時を算出することで前記炭化室の使用可能期間を予測する、炭化室の使用可能期間予測方法。
=g-(dR+dL)・・・(1)
=g+(dR+dL)・・・(2)
上記(1)、(2)式において、gは前記ダボ付き煉瓦の側面からダボまで距離(mm)であり、dRは前記側面から前記ダボまでのマイナス側の製造誤差値(mm)であり、dRは前記側面から前記ダボまでのプラス側の製造誤差値(mm)であり、dLは前記形状測定装置のマイナス側の測定誤差値(mm)であり、dLは前記形状測定装置のプラス側の測定誤差値(mm)である。
[2]前記閾値は、押出ラムのラムヘッドと建設時の熱間寸法に基づいた前記張出部の前記張出部の初期位置との間隔sdに基づいて定められる、[1]に記載の炭化室の使用可能期間予測方法。
[3][1]または[2]に記載の炭化室の使用可能期間予測方法を用いて予測される使用可能期間に基づいて炭化室の補修計画を作成し、前記補修計画に従って炭化室を補修する炭化室の補修方法。
本発明によれば、第1の回帰式と第2の回帰式とを用いて炭化室の張出量を予測することで、炭化室の張出量に関わらず、炭化室の張出量を高い精度で予測できる。この張出量に基づいて炭化室の使用可能期間を予測することで、炭化室の使用可能期間を高い精度で予測できるようになる。
図1は、コークス炉の一例を示す斜視図である。 図2は、コークス炉の炭化室を示す水平断面図である。 図3は、コークス炉の炭化室を示す水平断面図である。 図4は、張出量wの時間変化を示すグラフである。 図5は、窯口から見た炉壁の煉瓦積み状態を示す模式図である。 図6は、炉壁を構成するダボ付き煉瓦の正面図である。 図7は、図4に最小値D以下の範囲と最大値D以上の範囲を示したグラフである。 図8は、張出量wの時間変化を示すグラフである。 図9は、コークス炉の炭化室の水平断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な一例を示すものであり、これらの例によって何ら限定されるものではない。
図1は、コークス炉10の一例を示す斜視図である。図1を用いて、まず、コークス炉10について説明する。コークス炉10は、蓄熱室が複数並べられて構成される蓄熱部12と、当該蓄熱部12の上に設けられる複数の炭化室14と燃焼室16とを有する。炭化室14と燃焼室16とは交互に隣接して並べられている。装炭車18は、炭化室14および燃焼室16の上をコークス炉10の長手方向Lに沿って走行する。炭化室14の上壁には装炭孔(不図示)が、コークス炉10の短手方向Sに沿って複数形成されており、当該装入孔からコークスの原料となる石炭が炭化室14に装入される。炭化室14の両側には窯口14aが設けられており、窯口14aは脱着可能な炉蓋(不図示)で覆われて塞がれている。炭化室14の一方の窯口14a側には押出機20が配置され、他方の窯口14a側にはガイド車22が配置されている。押出機20およびガイド車22は炉長手方向Lに沿って走行する。
炭化室14では、石炭が乾留されてコークスケーキとなる。石炭を乾留するために、蓄熱部12の各蓄熱室から燃料ガスを燃焼室16に供給して燃焼させ、当該燃焼熱を隣接する炭化室14に伝えることで当該炭化室14を加熱する。これにより、炭化室14の温度が上昇して石炭が乾留される。石炭の乾留が終了すると、炉蓋を取外し、押出機20の押出ラムを炭化室14に挿入する。押出ラムを挿入することで石炭の乾留で得られるコークスケーキを炭化室14から押し出して、当該押出機20の反対側にあるガイド車22で受け止める。ガイド車22の下側には、蓄熱部12の前を炉長手方向Lに沿って走行可能な消火車24が配置されて、ガイド車22から消火車24がコークスケーキを受ける。消火車24は、コークスケーキを所定の場所まで搬送する。
コークス炉10の操業では、炭化室14からのコークスケーキの押し出し、炭化室14への石炭の装入が繰り返し行われる。この操業が繰り返し実行されるうちに、炭化室14の炉壁が損耗し、変形していく。図2は、コークス炉10の炭化室14を示す水平断面図である。図2(a)は、コークス炉10の建設時の炭化室14を示し、図2(b)は、炭化室14の炉壁32が変形して、炉壁32の一部が内側に張り出している状態の炭化室14を示す。炭化室14は、対向する一対の炉壁32により形成される。炉壁32は、ダボが設けられた煉瓦が垂直に積み上げて構成されている。
コークスケーキの押し出しは、押出ラム26によって行われる。押出ラム26は、ラムヘッド28と該ラムヘッド28が取り付けられたラムビーム30とを有する。押出機20は、押出ラム26と当該押出ラム26のラムビーム30に接続する押出ラム駆動装置(不図示)とを有する。押出ラム駆動装置によってラムビーム30が駆動されることで、ラムヘッド28が炭化室14に挿入され、炭化室14内のコークスケーキはラムヘッド28によって炭化室14から押し出される。
図2(a)に示す炭化室14では、炉壁32の凹凸に起因するコークスケーキの押し詰まりは生じない。しかしながら、図2(b)に示す炭化室14では、炉壁32に張出部34が形成されており、コークスケーキがラムヘッド28に押し出される際、コークスケーキが当該張出部34に接触することでコークスケーキの押出抵抗が高くなって押し詰まりが発生する場合がある。この張出部34は、コークス炉10の老朽化に伴い、耐火物の一部が損耗して変形したり、耐火物の目地が広がったりして、平坦であった炉壁32の一部が内側に張り出すことで形成される。
また、張出部34が更に内側に張り出し、ラムヘッド28がその張出部34の一部に接触すると、接触部やその周辺の炉壁32を構成する燃焼室の炉壁煉瓦の崩壊が起きたり、押出ラム26が機能しなくなる可能性がある。特に、燃焼室の炉壁煉瓦の崩壊が起こると、その補修に長期間を要することが多いので、ラムヘッド28と張出部34との接触は避けなければならない。
このため、張出部34の張出量が大きくなって、コークスケーキの押し詰まりや、燃焼室の炉壁煉瓦の崩壊が起きる前に、耐火物の積み替えなどを行って炭化室14の炉壁32を補修する必要がある。そこで、本実施形態に係る炭化室の使用可能期間予測方法では、以下に示す1~4の手順で炭化室14の使用可能期間を予測する。
1.炭化室14の炉壁形状を形状測定装置で測定して張出部を特定する。
2.測定日時を変えて張出部の炉壁形状を複数回測定して、複数の測定日時tと張出量wとからなるデータセットを複数取得する。
3.張出量wが下記(1)式で算出されるD以下の範囲内における時間と張出量wとの対応関係を示す第1の回帰式と、張出量wが下記(2)式で算出されるD以上の範囲内における時間と張出量wとの対応関係を示す第2の回帰式とを求める。
=g-(dR+dL)・・・(1)
=g+(dR+dL)・・・(2)
上記(1)、(2)式において、gはダボ付き煉瓦の側面からダボまで距離(mm)であり、dRはダボ付き煉瓦の側面の側面からダボまでのマイナス側の製造誤差値(mm)であり、dRはダボ付き煉瓦の側面からダボまでのプラス側の製造誤差値(mm)であり、dLは形状測定装置のマイナス側の測定誤差値(mm)であり、dLは形状測定装置のプラス側の測定誤差値(mm)である。
4.第1の回帰式または第2の回帰式を用いて算出される張出量wが予め定められる閾値となる日時を算出する。この日時までの期間が、炭化室14の使用可能期間になる。
まず、炭化室14の炉壁形状を形状測定装置で測定して張出部を特定する方法について説明する。図3は、コークス炉10の炭化室14を示す水平断面図である。炭化室14の炉壁形状は、例えば、レーザー式3次元形状測定装置36によって熱間で測定される。なお、レーザー式3次元形状測定装置36は、炭化室14の炉壁形状を熱間で測定する形状測定装置の一例である。レーザー式3次元形状測定装置36は、炭化室14のコークスケーキが排出される側の窯口14aの前方に設置される。レーザー式3次元形状測定装置36では、レーザー照射孔から炉壁32に向けて斜めにレーザーを照射し、炉壁32からの反射光を検出孔で受光することで、炭化室14の炉壁形状を点群として測定する。これにより、炭化室14の炉壁形状の熱間寸法を取得できる。
レーザー式3次元形状測定装置36を用いて、炭化室14の左右の炉壁形状を同時に測定してもよいが、炭化室14の左右の炉壁形状を別々に測定することが好ましい。炭化室14は上側に高さ6m程度、幅400mm程度、奥行き16m程度の大きさで、窯口14aが幅400mm程度、高さ6m程度の細長い構造になっている。炭化室14の外側からレーザーを照射する場合に、左右両側の炉壁形状を一度に測定しようとすると、レーザーの入射角度が炉壁32に対して浅くなる。このように浅い角度でレーザーが入射すると、炉壁32が内側に張り出している場合には、その奥が陰になってレーザーが届かなくなり、炉壁形状が測定できない場合がある。一方、炉壁形状を左右別々に測定することで、レーザーの入射角度を炉壁32に対して大きくできるので、炉壁32が内側に張り出している場合であっても炉壁形状を測定できる。
レーザー式3次元形状測定装置36によって測定された左右の内壁形状データは、別々に評価してもよく、これら2つの内壁形状データを炭化室14の周辺の基準物を元に合成して、一つの合成炉壁形状データとして評価してもよい。このように、レーザー式3次元形状測定装置36を用いることで、コークス炉10における炭化室14の炉壁形状を測定できる。
再び、図2(b)を参照する。レーザー式3次元形状測定装置36を用いて炭化室14の炉壁形状を測定し、当該測定により取得した炉壁形状データと炭化室14の建設直後の熱間測定データとを比較して差分形状データを求める。この差分形状データのうち、コークス炉10の建設時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも内側に張り出している部分が張出部34となる。このようにして、張出部34の位置を特定できる。
なお、初期位置よりも内側に張り出している張出部が複数存在している場合には、最も張出量wが大きい部分を張出部と特定することが好ましい。この理由は、張出量wが最も大きい張出部の張出量wが最も早く大きくなると考えられるからである。張出部の位置は、炭化室14の使用可能期間を予測する前に少なくとも1回特定しておけばよい。但し、当初、最も張り出している張出部の位置を特定したとしても、次第に最も張り出している部位が変わる場合がある。このような場合には、当初特定した張出部に代えて、又は、特定した張出部に加えて、別の新たな張出部の位置を特定してもよい。
次いで、測定日時を変えて炉壁形状を複数回測定して、測定日時tと特定した張出部の張出量wとからなるデータセットを複数取得する。ここで、図2(b)の点線は、コークス炉10の建設時の熱間寸法に基づいた炉壁32の初期位置を示し、点線上の黒丸はコークス炉10の建設時の熱間寸法に基づいた張出部34の初期位置を示す。図2(b)の実線は、点線と平行であって張出部34の最も突出している部位に接する線である。張出部34の初期位置は、張出部34の最も突出している部位から点線に垂直に下した交点である、張出量wは、張出部34の初期位置から点線までの距離である。上述したように、張出部34が特定されていれば、張出部34の初期位置も特定されるので、レーザー式3次元形状測定装置36によって測定された炉壁形状データを取得することで張出部34の張出量wが求められる。
張出量wの測定間隔は特に限定されるものではないが、張出量wの経時変化を確認するために、数日、数週間あるいは数月毎に定期的に張出量wを測定することが好ましい。例えば、コークス炉10を操業している間、張出量wは、6時間や1日経過しても、あまり変化しない可能性が高いが、例えば数日経過すると、張出量wが変化する可能性がある。このため、測定の期間を2週間や1カ月と定め、定めた測定期間毎に張出量wを測定することが好ましい。一方、張出量wが大きい炭化室では、測定期間を、例えば1週間などに短くしてもよい。これにより、回帰式を用いる張出量wの予測精度を高めることができる。具体的には、張出部34の初期位置とラムヘッド28との間隔と、張出量wとの差が10mm以下となった場合には、張出量wの測定頻度を高くすることが好ましい。
図4は、張出量wの時間変化を示すグラフである。図4の横軸は年/月であり、縦軸は張出量w(mm)である。図4に示したグラフは、レーザー式3次元形状測定装置を用いて、測定日時を変えてコークス炉の炭化室の炉壁形状を16回測定し、当該測定データを用いて取得した測定日時tと張出量wとからなる16組のデータセットをプロットしたグラフである。図4から、時間当たりの張出量wの傾向は、張出量30~40mmの範囲を境に大きく変化していることが見て取れる。このため、張出量が小さい範囲のプロットから求められる回帰式では、張出量が大きい領域の張出量wが正しく予測できないと考えられる。
図5は、窯口から見た炉壁32の煉瓦積み状態を示す模式図である。図5(a)は、炉壁32が内側(炭化室側)に張り出す前の状態を示し、図5(b)は、炉壁32が内側(炭化室側)に張り出した後の状態を示す。炭化室14の炉壁32は、ダボ付き煉瓦40が垂直に積み上げられて構成される。このダボ付き煉瓦40は、不図示のビンダー煉瓦によって支持されている。
炉壁32が内側に張り出す前は、図5(a)に示すように、ダボ付き煉瓦40の自重は、その下に位置するダボ付き煉瓦40によって支えられている。しかしながら、炉壁32の張出量wが所定量以上になると、ダボ付き煉瓦40はビンダー煉瓦の支持から切り離され、図5(b)に示すように、ダボ付き煉瓦40の自重によりさらに内側に張り出してくることがわかった。このダボ付き煉瓦40の自重で張り出してくる張出量wを確認した所、張出量wがダボ付き煉瓦40のダボ42から当該煉瓦の側面までの距離以上になると、ダボ付き煉瓦40の自重により当該煉瓦が内側に張り出してくることがわかった。
また、ダボ付き煉瓦40のダボ42から当該煉瓦の側面までの距離には製造誤差が生じる。このため、ダボ付き煉瓦40の側面からダボ42までの距離をgとし、当該側面からダボ42までのマイナス側の製造誤差値をdRとすると、製造誤差を含む煉瓦側面からダボ42までの距離の最小値Dはg-dRとなる。同様に、ダボ付き煉瓦40の側面からダボ42までの距離をgとし、当該側面からダボ42までのプラス側の製造誤差値をdRとすると製造誤差を含む煉瓦側面からダボ42までの距離の最大値Dはg+dRとなる。
また、形状測定機を用いた炉壁形状の測定にも測定誤差が生じる。このため、マイナス側の測定誤差値をdLとし、プラス側の測定誤差値をdLとすると、ダボ付き煉瓦40の側面からダボ42までの距離gの最小値Dはg-(dR+dL)となり、最大値Dはg+(dR+dL)となる。
図6は、炉壁を構成するダボ付き煉瓦40の正面図である。本実施形態において、ダボ付き煉瓦40のダボ42から側面までの距離は33mmである。また、ダボ付き煉瓦40の上記部位の製造誤差は±2mmであり、レーザー式3次元形状測定装置により炉壁形状の測定誤差は±5mmである。したがって、炉壁32において、ダボ付き煉瓦40の側面からダボ42までの距離gの最小値Dは26mmとなり、当該煉瓦の側面からダボ42まで距離gの最大値Dは40mmとなる。
図7は、図4に最小値D(26mm)以下の範囲と最大値D(40mm)以上の範囲を示したグラフである。図7では、最小値D以下の範囲内のプロットを白色で示し、最大値D以上の範囲内のプロットを黒色で示し、最小値Dより大きくD未満の範囲内のプロットを灰色で示す。また、最小値D以下の範囲内のプロットから求められる第1の回帰の回帰直線を実線で示し、最大値D以上の範囲内のプロットから求められる第2の回帰式の回帰直線を点線で示す。
測定日時tと張出量wのプロットを、最小値D以下の範囲内と最大値D以上の範囲内とに分け、それぞれの範囲内のプロットを用いて第1の回帰式および第2の回帰式を求めた。この結果、第1の回帰式および第2の回帰式を示す回帰直線は、各範囲内のプロット近傍に配置され、各範囲内のプロットに高い相関関係を有する回帰式となった。この結果から、1つの回帰式を用いて張出量wを予測していた従来技術では、炉壁32の張出量が大きくなる範囲では高い精度で張出量wを予測できなかったのに対し、本実施形態に係る炭化室の使用可能期間予測方法では、第1の回帰式および第2の回帰式を用いて張出量wを予測することで、炉壁32の張出量に関わらず、炉壁32の張出量wを高い精度で予測できることがわかる。
図8は、別の炭化室における張出量wの時間変化を示すグラフである。図8(a)~(c)は、図6に示したダボ付き煉瓦40によって炉壁が構成されているものの、図7に張出量を示した炭化室とは異なる別の3つの炭化室の炉壁形状を測定することによって取得された測定日時tと張出量wとのプロットである。
図8(a)~(c)に示すように、別の3つの炭化室においても最小値D~最大値Dを境に大きく変化し、図7と同様の傾向があることが確認された。このため、図7と同様に、最小値D以下の範囲内と、最大値D以上の範囲内とに分け、それぞれの範囲内のプロットを用いて第1の回帰式および第2の回帰式を求めたところ、第1の回帰式および第2の回帰式は、各範囲内のプロットに高い相関関係を有する回帰式になった。
これらの結果から、ダボ付き煉瓦40によって炉壁32が構成された炭化室14では、張出量が下記(1)式で算出される最小値D以下の範囲内における時間と張出量wとの対応関係を示す第1の回帰式と、張出量が下記(2)式で算出される最大値D以上の範囲内における時間と張出量wとの対応関係を示す第2の回帰式とを求め、当該回帰式を用いて張出量wを予測することで、張出量に関わらず、高い精度で張出量wを予測できることが確認された。
=g-(dR+dL)・・・(1)
=g+(dR+dL)・・・(2)
上記(1)、(2)式において、gは煉瓦の端部からダボまで距離(mm)であり、dRは煉瓦の端部からダボまでのマイナス側の製造誤差値(mm)であり、dRは煉瓦の端部からダボまでのプラス側の製造誤差値(mm)であり、dLは形状測定装置のマイナス側の測定誤差値(mm)であり、dLは形状測定装置のプラス側の測定誤差値(mm)である。
次に、第1の回帰式または第2の回帰式を用いて、炭化室14の使用可能期間を予測する方法について説明する。炉壁32の張出量wが大きくなると張出部にコークスケーキが接触することでコークスケーキの押出抵抗が高くなり、押し詰まりが発生する。さらに、張出部34がラムヘッド28に接触すると燃焼室の炉壁煉瓦の崩壊が発生する。このため、まず、実験等を行うことで、押し詰まりや燃焼室の炉壁煉瓦の崩壊が発生する炉壁32の張出量wを把握する。この張出量wを閾値として予め定めておき、閾値が最小値D以下の場合は第1の回帰式を用いて、また、閾値が最大値D以上の場合は第2の回帰式を用いて算出される張出量wが当該閾値になる日時を算出する。この日時が炭化室14の使用可能期間となる。このようにして、第1の回帰式または第2の回帰式を用いて、炭化室14の使用可能期間を予測できる。
また、張出量wの閾値を張出部34の初期位置と押出ラム26のラムヘッド28との間隔sdに基づいて定めてよい。図9は、コークス炉の炭化室の水平断面図である。図9を用いて間隔sdについて説明する。
間隔sdは、ラムヘッド28が張出部34に最も接近する位置でのラムヘッド28と張出部34の初期位置との間隔である。図6の一点鎖線はラムヘッド28の側面位置であり、点線上の黒丸はコークス炉10の建設時の熱間寸法に基づいた張出部34の初期位置を示す。間隔sdは、張出部34の初期位置から一点鎖線までの距離である。
炉壁形状の測定により張出部34の位置が特定されていれば、張出部34の初期位置も特定される。ラムヘッド28の側面位置は、炭化室14を移動するラムヘッド28の側面位置を実際に計測してもよいし、ラムヘッド28の中心が、炭化室14の中心を通過するとして、ラムヘッド28の寸法から計算によって求めてもよい。そして、張出部34の初期位置と、実測又は計算によって求められた側面位置とから、張出部34の初期位置とラムヘッド28との間隔sdが求められる。
上述したように、張出部34の張出量wが間隔sdよりも大きくなると張出部34とラムヘッド28とが接触し、燃焼室の炉壁煉瓦の崩壊が起きる可能性が高くなる。このため、例えば、間隔sdに所定の安全率を乗じた値を閾値としてもよい。このように、間隔sdに基づいて閾値を定めることで、張出部34とラムヘッド28とが接触し、燃焼室の炉壁煉瓦が崩壊することを抑制できるようになる。
以上説明したように、本実施形態に係る炭化室の使用可能期間予測方法では、第1の回帰式および第2の回帰式を用いて張出量wを予測する。これにより、炉壁32の張出量に関わらず、高い精度で炉壁の張出量wを予測でき、当該張出量wを用いることで炭化室14の使用可能期間を高い精度で予測できる。また、炭化室14の使用可能期間を予測することで、適切な時期に炭化室の補修が実施できるようになる。適切な時期に炭化室の補修を実施することで、炭化室14の押し詰まりや炉壁崩壊の発生を抑制しつつ炭化室14を限界まで使用することができるようになる。
さらに、本実施形態に係る炭化室の使用可能期間予測方法で予測された炭化室の使用可能期間に基づいて炭化室の補修計画を作成してもよい。具体的には、炭化室の使用可能期間が過ぎる前に炭化室の炉壁を補修する補修計画を作成する。このように、炭化室の使用可能期間を予測した上で補修計画を作成することで炭化室の補修計画の作成も容易になる。
10 コークス炉
12 蓄熱部
14 炭化室
14a 窯口
16 燃焼室
18 装炭車
20 押出機
22 ガイド車
24 消火車
26 押出ラム
28 ラムヘッド
30 ラムビーム
32 炉壁
34 張出部
36 レーザー式3次元形状測定装置
40 ダボ付き煉瓦
42 ダボ

Claims (3)

  1. コークス炉の炭化室の使用可能期間を予測する炭化室の使用可能期間予測方法であって、
    前記炭化室の炉壁はダボ付き煉瓦が積み上げられることによって構成され、
    前記炭化室の炉壁形状を形状測定装置で測定することで、前記コークス炉の建設時の熱間寸法に基づいた初期位置よりも内側に張り出している張出部を特定し、
    前記張出部について、測定日時を変えて前記炉壁形状を複数回測定することで、張出量が下記(1)式で算出されるD以下の範囲内における時間と張出量との対応関係を示す第1の回帰式と、前記張出量が下記(2)式で算出されるD以上の範囲内における時間と張出量との対応関係を示す第2の回帰式と、をそれぞれ求め、
    前記第1の回帰式または前記第2の回帰式を用いて算出される張出量が予め定められる閾値となる日時を算出することで前記炭化室の使用可能期間を予測する、炭化室の使用可能期間予測方法。
    =g-(dR+dL)・・・(1)
    =g+(dR+dL)・・・(2)
    上記(1)、(2)式において、gは前記ダボ付き煉瓦の側面からダボまで距離(mm)であり、dRは前記側面から前記ダボまでのマイナス側の製造誤差値(mm)であり、dRは前記側面から前記ダボまでのプラス側の製造誤差値(mm)であり、dLは前記形状測定装置のマイナス側の測定誤差値(mm)であり、dLは前記形状測定装置のプラス側の測定誤差値(mm)である。
  2. 前記閾値は、押出ラムのラムヘッドと建設時の熱間寸法に基づいた前記張出部の初期位置との間隔sdに基づいて定められる、請求項1に記載の炭化室の使用可能期間予測方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の炭化室の使用可能期間予測方法を用いて予測される使用可能期間に基づいて炭化室の補修計画を作成し、前記補修計画に従って炭化室を補修する炭化室の補修方法。
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