JP6874487B2 - 配合炭の調整方法及びコークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の炭化室から製造されるそれぞれのコークスの強度を母集団としたコークス強度のばらつきを低減することができる、配合炭の調整方法及びコークスの製造方法に関する。
特許文献1〜3には、コークス強度のばらつきを低減するための技術が開示されている。具体的には、特許文献1では、入荷時に予め分析した銘柄毎の石炭品位および過去に使用された配合率と得られたコークス強度の実績値との関係に加えて、石炭が保管されていたヤードでの保管情報、すなわちヤードの保管位置、天候、石炭の温度および保管期間等の情報を考慮して配合炭の配合率を決定している。
特許文献2では、配合炭中に、膨張圧が10kPa以上の膨張特性を示す高膨張圧原料炭を5〜20mass%配合することで、ばらつきの原因であるコークス中の粗大な気孔の量を低減させる方法が開示されている。
特許文献3では、嵩密度の低い炭化室の上部に灰分を実質的に含まない石炭(無灰炭)を0.2〜1.0質量部添加した配合炭を装入してコークス強度の向上を図り、嵩密度の高い炭化室の下部には無灰炭を添加しない配合炭を装入することで炭化室内の強度ばらつきを低減する手法が開示されている。
特開2011−213874号公報 特許第4888452号 特許第5143433号
コークス炉団では、複数の炭化室及び複数の燃焼室が交互に配置されている。コークス炉団の老朽化が進行すると、燃焼室の温度が低下する傾向にあるが、温度低下の程度は燃焼室ごとに相違する。従って、一部の燃焼室の温度が他の燃焼室の温度よりも大きく低下した場合、燃焼室の温度ばらつきが拡大しやすくなる。各燃焼室の温度は、各炭化室に装入された石炭の膨張性、ひいてはコークス強度に影響を与えるため、各燃焼室における温度ばらつきが拡大してしまうと、隣接する炭化室で製造されたコークスの強度にもばらつきが発生しやすくなる。
特許文献1〜3は、コークス強度のばらつきを低減することを目的としているが、複数の炭化室から製造されるそれぞれのコークスの強度を母集団としたコークス強度のばらつきについては、何ら着目していない。
すなわち、特許文献1では、石炭の保管期間に依存するコークス強度のばらつきに着目しているだけである。また、特許文献2,3では、1つの炭化室から製造されるコークス内における、コークス強度のばらつきに着目しているだけである。
本願第1の発明は、配合炭の全膨張率を調整する方法である。まず、コークス炉団の複数の炭化室から製造されたそれぞれのコークスについて、これらのコークス強度を母集団としてコークス強度のばらつき(σDI_cur)を算出する。また、コークス炉団の複数の燃焼室における炉温のばらつき(σT)を算出し、炉温のばらつきと、石炭の単位全膨張率あたりのコークス強度のばらつきの変化量である変化率(ΔσDI/TD)との予め求められた相関関係を用いて、算出した炉温のばらつきに対応する変化率(ΔσDI/TD)を算出する。次に、算出したコークス強度のばらつき(σDI_cur)及びコークス強度のばらつきの管理値(σDI_tag)の差と、算出した変化率(ΔσDI/TD)とに基づいて、コークス強度のばらつきを管理値に到達させるための石炭の全膨張率の増加量(ΔTD)を算出する。そして、全膨張率の増加量に基づいて、炭化室に装入される配合炭の全膨張率を調整する。
燃焼室の総数に対して、炉温が設定炉温以下である燃焼室の数が占める割合が20%以上であり、炉温のばらつきが40℃以上であるとき、上述したように、配合炭の全膨張率を調整することができる。
本願第2の発明は、コークスの製造方法であって、本願第1の発明である調整方法によって全膨張率が調整された配合炭を炭化室に装入して乾留する。
本願発明によれば、燃焼室における炉温のばらつきに基づいてコークス強度のばらつきの変化率を算出することにより、コークス強度のばらつきを管理値に到達させるための配合炭の全膨張率の増加量を把握することができる。そして、当該全膨張率の増加量だけ全膨張率が増加するように、配合炭の全膨張率を調整し、この配合炭を炭化室に装入して乾留すれば、コークス強度のばらつきを低減して管理値に到達又は近づけることができる。
コークス炉団の構造を示す概略図である。 新しいコークス炉団において、各燃焼室の炉温を示す図である。 老朽化が進んだコークス炉団において、各燃焼室の炉温を示す図である。 配合炭の全膨張率を調整する処理を示すフローチャートである。 炉温ばらつきと、石炭の単位全膨張率あたりのコークス強度ばらつきの変化量を示す変化率との相関関係を示す図である。 配合炭の全膨張率及びコークス強度ばらつきの関係を示す図である。 石炭軟化時の空隙充填度及びコークス強度の関係を示す図である。 炉温ばらつきと、炉温が設定炉温以下である燃焼室の数の割合との関係を示す図である。
(コークス炉団の構造)
図1は、コークス炉団1の一部の構造を示す概略図である。図1に示すように、コークス炉団1は、複数の炭化室2及び複数の燃焼室3を有しており、炉幅方向Yにおいて、炭化室2及び燃焼室3が交互に配置されている。各炭化室2は、2つの燃焼室3の間に配置されており、各炭化室2には配合炭が装入される。
燃焼室3は、炉長方向(コークスの押出方向)Xにおいて複数のフリュー3aに分けられており、各フリュー3aで発生した熱が隣接する炭化室2に伝達される。本実施形態において、燃焼室3を構成するすべてのフリュー3aのうち、炉長方向Xにおける燃焼室3の両端に位置する2つのフリュー3aは、他のフリュー3aと比べて温度が低いため、この2つのフリューを除いたフリュー3aの温度の平均値を燃焼室3の炉温とした。
各炭化室2の温度は、この炭化室2と隣り合う燃焼室3の炉温に依存する。このため、複数の燃焼室3において、炉温のばらつきが発生すると、隣接する複数の炭化室2における温度にもばらつきが発生する。炉温のばらつきは、コークス炉団1の老朽化が進むにつれて増加する。ここで、図2は、新しいコークス炉団1における各燃焼室3の炉温(一例)を示し、図3は、老朽化が進んだコークス炉団1における各燃焼室3の炉温(一例)を示す。図2及び図3の横軸では、燃焼室3に割り振られた番号を示している。
複数の炭化室2における温度のばらつきが発生すると、それぞれの炭化室2において、配合炭が軟化膨張して再固化するまでの間における昇温速度にもばらつきが発生する。結果として、複数の炭化室2から製造されるそれぞれのコークスの強度を母集団としたコークス強度のばらつきが発生する。コークス強度とは、JIS K2151によって規定されているドラム強度指数DI150 である。
(コークスの製造方法)
本実施形態におけるコークスの製造方法では、配合炭をコークス炉団1の各炭化室2に装入して乾留することにより、コークスを製造している。
(コークス強度のばらつきの低減方法)
本実施形態において、コークス強度のばらつきとは、複数の炭化室2から製造されるそれぞれのコークスの強度を母集団としたコークス強度のばらつき(以下、コークス強度ばらつきという)である。本実施形態では、現状のコークス炉団1におけるコークス強度ばらつきσDI_curを把握し、このコークス強度ばらつきσDI_curがばらつき管理値σDI_tag以下となるように、炭化室2に装入される配合炭の全膨張率TD(Total Dilatation)を調整する。配合炭に含まれる複数種類の石炭の配合比率[mass%]を変更することにより、配合炭の全膨張率TDを調整することができる。
ばらつき管理値σDI_tagは、高炉での過去の操業実績等に基き、適宜決めればよい。ここで、コークス強度ばらつきσDI_curが増加しすぎてしまうと、コークスを高炉で用いた場合の高炉の安定操業を維持しづらくなるおそれがある。この点を考慮して、ばらつき管理値σDI_tagを決めることができ、例えば、ばらつき管理値σDI_tagを0.55[−]とすることができる。
以下、コークス強度ばらつきσDI_curを低減するために、配合炭の全膨張率TDを調整する方法について、図4に示すフローチャートを用いながら説明する。
まず、コークス強度ばらつきσDI_curを把握する(図4のステップS101)。以下、コークス強度ばらつきσDI_curを把握する方法について、具体的に説明する。
各炭化室2から押し出されたコークスをサンプリングすれば、サンプリングしたコークスについて、コークス強度DI150 を測定することができる。そして、複数の炭化室2から製造されたそれぞれのコークスの強度を母集団として、コークス強度DI150 の標準偏差を算出すれば、この標準偏差がコークス強度ばらつきσDI_curとなる。具体的には、コークス強度ばらつきσDI_curは、下記式(1)に基づいて算出することができる。
Figure 0006874487
上記式(1)において、nは、コークス炉団1に含まれる炭化室2の総数である。DIiは各炭化室2から押し出されたコークスのコークス強度DI150 であり、添字iは、各炭化室2を区別するための識別子である。DIaveは、すべての炭化室2から押し出されたコークスのコークス強度DI150 の平均値である。
上述した説明では、すべての炭化室2から押し出されたコークスをサンプリングしているが、これに限るものではない。具体的には、一部(複数)の炭化室2から押し出されたコークスをサンプリングして、コークス強度ばらつきσDI_curを算出してもよい。この場合であっても、コークス強度ばらつきσDI_curを把握することができる。
上述したように、一部(複数)の炭化室2から押し出されたコークスをサンプリングする場合には、上記式(1)に示すnは、一部(複数)の炭化室2の総数であり、添字iは、これらの炭化室2を区別するための識別子となる。また、上記式(1)に示すDIaveは、一部(複数)の炭化室2から押し出されたコークスのコークス強度DI150 の平均値となる。
次に、すべての燃焼室3における炉温のばらつき(以下、炉温ばらつきという)σTを算出する(図4のステップS102)。具体的には、炉温ばらつき(標準偏差)σTは、下記式(2)に基づいて算出される。
Figure 0006874487
上記式(2)において、nは燃焼室3の総数であり、Taveは、すべての燃焼室3の炉温の平均値である。Tiは各燃焼室3の炉温であり、添字iは、各燃焼室3を区別するための識別子である。各燃焼室3の各フリュー3aの温度を測定することにより、上述したように燃焼室3の炉温Tiを算出することができる。各燃焼室3の炉温Tiを算出すれば、上記式(2)に基づいて、炉温ばらつきσTを算出することができる。
次に、炉温ばらつきσTと、石炭の単位全膨張率あたりのコークス強度ばらつきσDIの変化量を示す変化率ΔσDI/TDとの相関関係に基づいて、図4のステップS102で算出した炉温ばらつきσTに対応する変化率ΔσDI/TDを算出する(図4のステップS103)。変化率ΔσDI/TDは、石炭の全膨張率TDが1変化したときに、コークス強度ばらつきσDIが変化する量である。
図5には、炉温ばらつきσT及び変化率ΔσDI/TDの相関関係を示す。この相関関係は、図5に示す直線(一次関数)L1によって表される。図5に示す直線L1は一例であり、炉温ばらつきσT及び変化率ΔσDI/TDの相関関係は、曲線(二次関数等)で表されることもある。
図5に示す相関関係を予め求めておけば、上述したように炉温ばらつきσTを算出することにより、この炉温ばらつきσTに対応する変化率ΔσDI/TDを算出することができる。図5によれば、例えば、炉温ばらつきσTが105.9℃であるときには、変化率ΔσDI/TDが0.009となり、炉温ばらつきσTが34.5℃であるときには、変化率ΔσDI/TDが0.005となる。
変化率ΔσDI/TDを算出すれば、配合炭の全膨張率TDを1変化させたときの炉温ばらつきσTの変化量ΔσDIを把握することができる。そこで、コークス強度ばらつきσDI_cur及びばらつき管理値σDI_tagの差と、変化率ΔσDI/TDとを考慮することにより、コークス強度ばらつきσDI_curをばらつき管理値σDI_tagに到達させるための全膨張率TDの増加量(以下、全膨張率増加量という)ΔTDを算出する(図4に示すステップS104)。具体的には、下記式(3)に基づいて、全膨張率増加量ΔTDを算出することができる。
Figure 0006874487
上記式(3)に基づいて全膨張率増加量ΔTDを算出するときの条件は、コークス強度ばらつきσDI_curがばらつき管理値σDI_tagよりも大きいときである。この理由は、コークス強度ばらつきσDI_curがばらつき管理値σDI_tag以下であるときには、コークス強度ばらつきσDI_curを低減させる必要がないからである。ここで、コークス強度ばらつきσDI_curがばらつき管理値σDI_tag以下であるときには、全膨張率増加量ΔTDを0に設定することができる。
上述したように全膨張率増加量ΔTDを算出することにより、配合炭の全膨張率TDを、現在の全膨張率TDに全膨張率増加量ΔTDを加算した値にすれば、コークス強度ばらつきσDI_curをばらつき管理値σDI_tagに到達させることができる。
次に、全膨張率増加量ΔTDに基づいて、配合炭の全膨張率TDを調整する(図4に示すステップS105)。具体的には、配合炭の全膨張率TDを、調整前の全膨張率TDに全膨張率増加量ΔTDを加算した値とする。配合炭に含まれる複数種類の石炭の配合比率を変更すれば、配合炭の全膨張率TDを調整することができる。石炭の配合比率を変更するときには、配合炭に含まれる石炭の種類を変更せずに、配合比率だけを変更することもできるし、石炭の種類を変更して所定の配合比率とすることもできる。
なお、全膨張率増加量ΔTDが0であるときには、配合炭の全膨張率TDを調整する必要がない。ここで、図4に示すステップS101の処理を行ったときに、コークス強度ばらつきσDI_curがばらつき管理値σDI_tagよりも大きいか否かを判別することができる。そして、コークス強度ばらつきσDI_curがばらつき管理値σDI_tagよりも大きいときに、図4に示すステップS102以降の処理を行ってもよい。
次に、図5に示す相関関係を求める方法について説明する。
所定の炉温ばらつきσTを有するコークス炉団1において、炭化室2に装入される配合炭の全膨張率TDを変更しながら、各炭化室2から製造されるそれぞれのコークスについて、コークス強度DI150 を推定する。コークス強度DI150 の推定方法については後述する。すべての炭化室2について、それぞれのコークス強度DI150 を推定すれば、上記式(1)と同様に、コークス強度ばらつきσDIを算出することができる。
図6には、コークス強度ばらつきσDI及び配合炭の全膨張率TDの関係を示す。コークス強度DI150 を推定するときの炉温ばらつきσTを変更することにより、各炉温ばらつきσTにおいて、コークス強度ばらつきσDI及び配合炭の全膨張率TDの関係が得られる。図6では、炉温ばらつきσTが34.5℃及び105.9℃のそれぞれにおいて、コークス強度ばらつきσDI及び配合炭の全膨張率TDの関係を示している。
図6に示す直線L2の傾きは、炉温ばらつきσTが34.5℃であるときの変化率ΔσDI/TD(すなわち、0.005)となる。また、図6に示す直線L3の傾きは、炉温ばらつきσTが105.9℃であるときの変化率ΔσDI/TD(すなわち、0.009)となる。図6によれば、炉温ばらつきσT及び変化率ΔσDI/TDの相関関係が分かるため、図5に示す相関関係を求めることができる。
次に、コークス強度DI150 の推定方法について説明する。
まず、石炭が軟化溶融する温度域における各炭化室2内の昇温速度を算出する。石炭を加熱すると、石炭は、400℃前後で軟化して膨張し、500℃前後で再固化するため、上述した温度域は400℃〜500℃である。各炭化室2内の昇温速度を算出する方法としては、様々な方法があるが、以下、例示として2つの方法を説明する。
昇温速度を算出する第1の方法では、炭化室2内の温度を測定し、この測定結果に基づいて昇温速度を算出する。例えば、コークス炉団1の炉蓋から温度センサを挿入し、この温度センサによって炭化室2内の温度を測定する。そして、炭化室2内の温度が400℃から500℃に上昇するまでの経過時間を測定することにより、昇温速度を算出する。
昇温速度を算出する第2の方法では、炭化室2の内部における伝熱をモデル化し、この伝熱計算モデルにおいて、燃焼室3の炉温から昇温速度を算出(推定)することができる。伝熱計算モデルの詳細については、たとえば「鉄と鋼、第70年(1984)第3号、コークス化機構を考慮した乾留モデルの開発」に記載の手法がある。この概要は以下のとおりである。
このモデルは炉幅方向Y(図1参照)の1次元伝熱モデルが基本となっており、石炭からコークスになるまでの比熱の温度依存性については過去の測定値を参考としている。他に、伝熱に影響する因子として石炭あるいはコークス層の密度があるが、これは装入嵩密度に加え軟化溶融時の膨張に伴う物質移動を考慮し、石炭膨張率の関数としている。これにより、炉幅方向Yの任意の位置における温度の経時変化を計算することで、単位時間あたりの温度変化、すなわち昇温速度を求めることができる。
上述したように各炭化室2の昇温速度を算出した後、この昇温速度に基づいて、各炭化室2に装入された石炭の膨張比容積SVを算出する。具体的には、昇温速度と膨張比容積SVとの相関関係を予め求めておけば、この相関関係を用いて、算出した昇温速度に対応する膨張比容積SVを算出することができる。ここで、複数の昇温速度のそれぞれにおいて石炭を加熱し、各昇温速度における石炭の膨張比容積SVを算出すれば、昇温速度と膨張比容積SVとの相関関係を求めることができる。
膨張比容積SVの算出方法は、特開平05−60707号公報等に記載されている。この算出方法の概要としては、微粉砕した石炭試料を、JIS M8801に規定する細管に所定の装入密度で装入した後、石炭試料に荷重を加えた状態又は石炭試料に荷重を加えない状態において、所定の昇温速度(例えば、3[℃/min])で石炭試料を加熱する。石炭試料を細管に装入したときの初期の装入高さ(乾燥炭ベース)Lcと、石炭試料を加熱した後の試料高さLとを測定すれば、下記式(4)に基づいて、膨張比容積SV[cm/dry,g−coal]を算出することができる。
Figure 0006874487
次に、膨張比容積SV及び石炭の嵩密度BDに基づいて、コークス強度DI150 を算出する。特許第3971563号等に記載されているように、膨張比容積SV及び嵩密度BDに基づいて、石炭の軟化時における空隙充填度Sを算出することができる。具体的には、下記式(5)に基づいて、空隙充填度S[−]を算出することができる。ここで、嵩密度BDは、配合炭を炭化室2に装入するときに測定しておけばよい。
Figure 0006874487
図7に示すように、空隙充填度S及びコークス強度DI150 は相関関係がある。この相関関係を予め求めておけば、算出した空隙充填度Sに対応するコークス強度DI150 を算出することができる。これにより、各炭化室2で製造されるコークスについて、コークス強度DI150 を推定することができる。
上述したように、本実施形態によれば、炉温ばらつきσTに基づいて変化率ΔσDI/TDを算出することにより、コークス強度ばらつきσDI_curをばらつき管理値σDI_tagに到達させるための全膨張率増加量ΔTDを把握することができる。そして、全膨張率増加量ΔTDだけ全膨張率TDが増加するように、配合炭の全膨張率TDを調整し、この配合炭を炭化室2に装入して乾留すれば、コークス強度ばらつきσDIを低減してばらつき管理値σDI_tagに到達又は近づけることができる。
特に、複数の炭化室2から製造されるそれぞれのコークスについて、コークス強度DI150 が強度管理値DI_tag以上であるコークスと、コークス強度DI150 が強度管理値DI_tagよりも低いコークスとが混在するときには、本実施形態のようにコークス強度ばらつきσDIを低減することのメリットが大きい。すなわち、コークス強度ばらつきσDIを低減することにより、コークス強度DI150 が強度管理値DI_tag以上であるコークスについては、コークス強度DI150 を強度管理値DI_tag以上のままにしつつ、コークス強度DI150 が強度管理値DI_tagよりも低いコークスについては、コークス強度DI150 を強度管理値DI_tag以上とすることができる。結果として、複数の炭化室2から製造される複数のコークスについて、コークス強度DI150 が強度管理値DI_tag以上であるコークスの割合を増加させることができる。なお、強度管理値DI_tagとは、コークスとしての性能を発揮させるために予め定められたコークス強度DI150 である。
次に、本発明の好ましい形態について、図8を用いて説明する。図8は、燃焼室3の総数N1に対して、炉温が設定炉温T_tag以下である燃焼室3の数N2が占める割合R(R=(N2/N1)×100)と、炉温ばらつきσTとの関係を示す。図8では、4つの領域A〜Dを規定している。また、図8では、5つの実際のコークス炉団1のそれぞれにおいて、炉温ばらつきσT及び割合Rの関係(実測値)をプロットしている。図8に示すプロットによれば、割合Rが増加することに応じて、炉温ばらつきσTが増加する傾向がある。ちなみに、領域Aにプロットしている3つは老朽化したコークス炉団1のデータであり、領域Dにプロットしている2つは新設のコークス炉団1のデータである。
領域Aでは、割合Rが20%以上であり、かつ、炉温ばらつきσTが40℃以上である。領域Bでは、割合Rが20%以上であり、かつ、炉温ばらつきσTが40℃未満である。領域Cでは、割合Rが20%未満であり、かつ、炉温ばらつきσTが40℃以上である。領域Dでは、割合Rが20%未満であり、かつ、炉温ばらつきσTが40℃未満である。
図8によれば、新設のコークス炉団1であっても、炉温ばらつきσTが40℃弱であることから、炉温ばらつきσTが40℃未満であるときには、炉温ばらつきσTに起因するコークス強度ばらつきσDIが大きくなりにくいと考えられる。従って、全膨張率増加量ΔTDに基づいて配合炭の全膨張率TDを調整することの効果は、それほど大きくないと考えられる。
また、新設のコークス炉団1であっても、割合Rが20%弱であることから、割合Rが20%未満であれば、コークス強度DI150 が強度管理値DI_tag未満となるコークスが混在していても、高炉の操業上問題はないと考えられる。従って、全膨張率増加量ΔTDに基づいて配合炭の全膨張率TDを調整することの効果は、それほど大きくないと考えられる。
上述した点を考慮すると、割合R及び炉温ばらつきσTが領域Aに含まれるとき、全膨張率増加量ΔTDに基づいて配合炭の全膨張率TDを調整することの効果が大きいため、最も好ましい。
本実施形態によれば、炉温ばらつきσTとして標準偏差を用いているが、これに限るものではない。例えば、炉温ばらつきとして、炉温の最低値及び炉温の最高値の差分を用いてもよい。この場合であっても、図5に示す相関関係と同様の相関関係を求めておけばよい。
1:コークス炉団、2:炭化室、3:燃焼室、3a:フリュー

Claims (3)

  1. コークス炉団の複数の炭化室から製造されたそれぞれのコークスの強度を母集団として、コークス強度のばらつきを算出し、
    前記コークス炉団の複数の燃焼室における炉温のばらつきを算出し、
    前記炉温のばらつきと、石炭の単位全膨張率あたりのコークス強度のばらつきの変化量である変化率との予め求められた相関関係を用いて、算出した前記炉温のばらつきに対応する前記変化率を算出し、
    算出したコークス強度のばらつき及びコークス強度のばらつきの管理値の差と、算出した前記変化率とに基づいて、コークス強度のばらつきを前記管理値に到達させるための石炭の全膨張率の増加量を算出し、
    前記増加量に基づいて、前記炭化室に装入される配合炭の全膨張率を調整する、
    ことを特徴とする配合炭の調整方法。
  2. 前記燃焼室の総数に対して、前記炉温が設定炉温以下である前記燃焼室の数が占める割合が20%以上であり、前記炉温のばらつきが40℃以上であるとき、前記配合炭の全膨張率の調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の配合炭の調整方法。
  3. 請求項1又は2に記載の調整方法によって全膨張率が調整された配合炭を前記炭化室に装入して乾留することを特徴とするコークスの製造方法。
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