JP2005272822A - コークス炉炉体診断システム、炉体診断方法、及び、炉体診断システムの制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】補修の要否の判断のみならず、補修の優先順位の決定が可能な炉体診断方法を提供する。さらに、複数の補修方法がある場合に、適切な補修方法を決定することが可能な炉体診断システムを提供する。
【解決手段】
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込手段と、該データ取込手段で取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出手段と、該算出手段で算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段と、該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段と、該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込手段と、該データ取込手段で取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出手段と、該算出手段で算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段と、該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段と、該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、コークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システム、炉体診断方法、及び、炉体診断システムの制御プログラムに関する。
石炭を乾留してコークスにするコークス炉は、燃焼室と炭化室とが交互に配置され、燃焼室と炭化室とは耐火煉瓦の隔壁(炉壁煉瓦)で仕切られている。炭化室には上方から装入車のホッパに積んだ石炭が装入される。石炭は炭化室の両側に配置された燃焼室の熱で乾留され、コークスとされる。乾留されたコークスは、押出し機の押出しラムによって側方から押され、炭化室から排出される。
コークス炉の炉壁煉瓦は、過去の操業履歴により、経年変化して損傷する。コークス炉は連続操業設備であるため、稼動後に操業を停止して炉壁煉瓦を補修することは容易ではない。したがって、現在では炉壁煉瓦の損傷部分を溶射補修するなどの対策をとり、炉寿命を延長している。
近年、コークス炉の炉壁煉瓦の損傷状況を定性的あるいは定量的に診断する炉体診断 システムが種々提案されている。例えば特開平11−131069号公報(特許文献1)には、炉壁損傷が発生してないと仮定して算出される推定押出し力と実測した実績押出し力との偏差に基づいてコークス炉の炉壁の損傷を推定し、これにより、炉壁補修の必要性を判断するコークス炉の損傷状況推定法が記載されている。このコークス炉の損傷状況推定法によれば、コークス炉の炉壁の損傷状況を操業者の勘といった不安定因子を排しながら、推定することができる。
特開平11−131069号公報
前記特許文献1の技術は、コークス炉の炉壁の損傷状況を炭化室毎に推定することができ、これにより、炭化室毎に炉壁補修の必要性を判断することはできる。しかし、コークス炉は多数の炭化室を備えており、補修すべき炭化室が複数存在する場合には、どの炭化室を優先して補修するかが、操業の安定稼動を考える上で重要となるが、前記特許文献1の技術では、補修の優先順位までを決定することはできず、熟練した作業員による手間のかかる作業が必要となる。
また、実際には、補修方法にも複数の方法がある場合もあり、炉壁の状況により、補修方法を使い分けることが操業の効率的な運用を考えた上で重要となるが、前記特許文献1の技術では、炭化室毎の炉壁の状況に応じた適切な補修方法を選択するということはできない。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、補修の要否の判断のみならず、補修の優先順位の決定が可能な炉体診断方法を提供することを目的とする。さらに、複数の補修方法がある場合に、適切な補修方法を決定することが可能な炉体診断システム、炉体診断方法、及び、炉体診断システムの制御プログラムを提供することを目的とする。
上記の課題は次の発明により解決される。
[1]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムにおいて、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込手段と、
該データ取込手段で取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出手段と、
該算出手段で算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段と、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段と、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段とを有することを特徴とする炉体診断システム。
[2]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断方法において、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込ステップと、
該データ取込ステップで取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出ステップと、
該算出ステップで算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断ステップと、
該補修要否判断ステップで補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定ステップと、
該補修方法決定ステップで決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定ステップとを有することを特徴とする炉体診断方法。
[3]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムにおいて、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込手段と、
該データ取込手段で取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段と、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段と、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段とを有することを特徴とする炉体診断システム。
[4]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断方法において、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込ステップと、
該データ取込ステップで取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断ステップと、
該補修要否判断ステップで補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定ステップと、
該補修方法決定ステップで決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定ステップとを有することを特徴とする炉体診断方法。
[5]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムを制御するプログラムであって、
コンピュータを、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込手段、
該データ取込手段で取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出手段、
該算出手段で算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段
として機能させるためのプログラム。
[6]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムを制御するプログラムであって、
コンピュータを、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込手段、
該データ取込手段で取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段
として機能させるためのプログラム。
[1]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムにおいて、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込手段と、
該データ取込手段で取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出手段と、
該算出手段で算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段と、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段と、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段とを有することを特徴とする炉体診断システム。
[2]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断方法において、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込ステップと、
該データ取込ステップで取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出ステップと、
該算出ステップで算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断ステップと、
該補修要否判断ステップで補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定ステップと、
該補修方法決定ステップで決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定ステップとを有することを特徴とする炉体診断方法。
[3]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムにおいて、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込手段と、
該データ取込手段で取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段と、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段と、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段とを有することを特徴とする炉体診断システム。
[4]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断方法において、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込ステップと、
該データ取込ステップで取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断ステップと、
該補修要否判断ステップで補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定ステップと、
該補修方法決定ステップで決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定ステップとを有することを特徴とする炉体診断方法。
[5]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムを制御するプログラムであって、
コンピュータを、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込手段、
該データ取込手段で取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出手段、
該算出手段で算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段
として機能させるためのプログラム。
[6]石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムを制御するプログラムであって、
コンピュータを、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込手段、
該データ取込手段で取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段
として機能させるためのプログラム。
本発明によれば、補修の要否の判断のみならず、補修の優先順位の決定が可能な炉体診断方法が提供される。さらに、複数の補修方法がある場合に、適切な補修方法を決定することが可能な炉体診断システム、炉体診断方法、及び、炉体診断システムの制御プログラムが提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。
図1は、本発明に係る石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムの一例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本発明に係る炉体診断システム1は、炭化室毎に測定される押出し力データを取り込み保存するデータ取込手段10と、該データ取込手段10で取り込んだ押出し力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出し力を算出する算出手段20と、該算出手段20で算出された平均の押出し力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段30と、該補修要否判断手段30で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段40と、該補修方法決定手段40で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段50とを有している。
なお、前記炉体診断システム1には、例えば、コンピュータ等を用いることができる。
また、前記コークス炉に装入する石炭には、例えば、ピッチ類、粉コークス類、プラスチック類、廃棄物等をコークスの品質調整や資源の有効活用のために添加してもよい。
ここで、押出し負荷の1つのデータである前記炭化室毎に測定される押出し力データは、各炭化室内の炉壁の状態を推定することのできる重要なパラメータの一つである。前記押出し力とは、炭化室で乾留されたコークスを押出し機の押出しラムによって側方から押し、炭化室から排出させる際の、前記押出しラムの1回の押出し操作における最大の押出し力の出力データを指す。炭化室の炉壁煉瓦にカーボン等が大量に付着したり、炭化室の炉壁煉瓦の損傷が発生した場合、その部分が抵抗となってラムの押出し力が高くなる。そこで、炭化室毎に、1回の押出し操作における最大の値である押出し力データを測定することで、炉壁の損傷の診断が可能となる。
なお、押出し力データとして用いうる押出し負荷に関するデータとしては、上記1回の押出し操作における最大の値の他に、例えば1回の押出し操作における押出し力の平均値や、押出し操作中の特定の範囲における押出し力の値、最大値、平均値などのデータ値を用いることもできる。また、例えば、押出しラムの駆動モーターの電流値、電力値、トルク値などの値を用いることもできる。
以下、前記各手段について説明する。
[データ取込手段10]
本データ取込手段10では、例えば、コークス炉の操業を管理している操業管理システム2等から、コークス炉の各炭化室毎に測定されている押出し負荷データから1回の押出し操作における最大の値である押出し力データを取り込み、データ保存用のデータベース11に保存する。
本データ取込手段10では、例えば、コークス炉の操業を管理している操業管理システム2等から、コークス炉の各炭化室毎に測定されている押出し負荷データから1回の押出し操作における最大の値である押出し力データを取り込み、データ保存用のデータベース11に保存する。
前記押出し力データは、炭化室毎に、押出し日時等のデータとともにデータベース11に保存される。また、必要に応じて、前記押出し力データを補正するために、押出し力に影響を与えるような操業条件、例えば、乾留時間、フリュー温度、配合炭情報(水分、石炭粒度、配合比、装炭量等)等のデータを取り込むようにすることも好ましい。
[算出手段20]
本算出手段20では、前記データ取込手段10で取り込んだ押出し力データに基づいて、各炭化室毎の平均の押出し力を算出する。ここで、押出し力の平均は、所定の基準日数、例えば至近の10日間、の平均の押出し力とすることができる。なお、前記所定の基準日数としては、例えば、コークス炉の稼動状況、操業の安定性等により適宜決定され得るものである。また、前記押出し力の平均値を求める際には、稼働状況に突発的な変動が発生した場合にはその時のデータを平均の算出から除外したり、また、操業変動によりデータのバラツキが大きい場合には基準日数を長めに取るようにして平均を求めることで誤差を軽減することができる。
本算出手段20では、前記データ取込手段10で取り込んだ押出し力データに基づいて、各炭化室毎の平均の押出し力を算出する。ここで、押出し力の平均は、所定の基準日数、例えば至近の10日間、の平均の押出し力とすることができる。なお、前記所定の基準日数としては、例えば、コークス炉の稼動状況、操業の安定性等により適宜決定され得るものである。また、前記押出し力の平均値を求める際には、稼働状況に突発的な変動が発生した場合にはその時のデータを平均の算出から除外したり、また、操業変動によりデータのバラツキが大きい場合には基準日数を長めに取るようにして平均を求めることで誤差を軽減することができる。
前記算出結果は、炭化室毎に、データベース21に保存される。
なお、前記データ取込手段10で取り込んだ操業条件等のデータに基づき、前記算出した平均の押出し力データに、例えば、所定の係数を掛ける等の補正を行ってもよい。また、押出し力補正方法の具体的な例としては、一般に同じ炉温では乾留時間が長いほど押出し力は小さく、また、装炭量が少ないほど押出し力が小さくなることが知られているため、例えば押出し力と乾留時間の相関を操業実績の解析により定式化し、実際の押出し力データを用いてその時の押出しが標準乾留時間で実行されたとした場合の押出し力を推定し、その値を用いて算出手段20において平均の押出し力を求めるようにすることもできる。このようにすると、操業変動による押出し力の変動を除外した炭化室の損傷状態をよりよく表現した押出し力の値を求めることができる。
図2に、補修要否判断手段30及び補修方法決定手段40での判断フローの一例を示す。なお、本フローは、全ての炭化室について、炭化室毎に行うものである。以下、図2に基づき補修要否判断手段30及び補修方法決定手段40を説明する。
[補修要否判断手段30]
本補修要否判断手段30では、前記算出手段20で算出された平均の押出し力に基づいて、各炭化室毎に補修の要否の判断を行う。
本補修要否判断手段30では、前記算出手段20で算出された平均の押出し力に基づいて、各炭化室毎に補修の要否の判断を行う。
S10では、基準日数(A)の平均押出し力(a)が、予め定められている基準値(B)以上であるかどうかの判断を行う。ここで、前記基準日数(A)の平均押出し力(a)は、前記算出手段20で算出した、所定の基準日数における平均の押出し力である。前記平均押出し力(a)が基準値(B)以上である場合は、炭化室の炉壁に異常がある可能性があるものとして、次のS11に進む。また、前記平均押出し力(a)が基準値(B)より少ない場合には、炭化室の炉壁の状態は良好であると判断して、補修不要と判断する。
前記基準値(B)の値は、炭化室の炉壁に与える損傷を少なくするという観点から設定される値であり、コークス炉炭化室炉壁の劣化状況、すなわち炉壁の磨耗度、亀裂の幅、長さ、存在密度、炉壁レンガの劣化度などに基づいて、炉壁の耐荷重限界値を推定して設定することが好ましいが、より簡便には、操業実績の解析により、観測された押出し力と、押し詰まり、炉壁破孔などの押出しトラブル発生頻度の関係に基づいて設定してもよい。なお、一般に、炭化室内のコークス重量の2〜3倍程度の荷重を基準値(B)の値とすることが経験上適正である。つまり、20トン重(約200kN)程度のコークスを押し出す場合には、50トン重(約500kN)程度を基準値(B)の値とすることが適正である。また、本出願人による特開2001−323278号公報に記載のシミュレーション方法を用いて基準値(B)の値を決定することもできる。
S11では、補修後日数(C)が基準日数(D)より長いかどうかの判断を行う。ここで、前記補修後日数(C)は、判断を行っている当該炭化室に関し、至近に行った補修日からの経過日数を指す。前記経過日数が所定の基準日数(D)以下の場合には、長年の操業経験より、補修後の不安定期間であると判断して、様子を見ることが妥当であるため、補修不要と判断する。なお、前記基準日数(D)は、過去から蓄積された操業実績等に基づき決定される日数であり、コークス炉の場合、例えば、1ヵ月程度と設定することができる。炭化室の炉壁補修直後は、煉瓦の表面が剥き出しの状態になっており、押出し力が大きくなる傾向となる。操業を続けるうちに炉壁煉瓦の表面にカーボン等が薄くコーティングされた状態となり、それが潤滑材としての効果を有するようになると押出し力が小さくなり、安定化する。なお、この補修直後から安定化するまでの期間が前記基準日数(D)となる。その後の炉壁煉瓦表面へのカーボンの異常析出や炉壁煉瓦の極度の磨耗や凹凸等の損傷が発生した場合には、押出し力が大きくなる。そのため、前記経過日数が所定の基準日数(D)より長い場合には、炭化室の炉壁の異常による押出し力の上昇であるとし、補修が必要と判断し、次の補修方法決定手段40のS12に進む。
[補修方法決定手段40]
本補修方法決定手段40では、炭化室毎に、予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する。S12では、補修後日数(C)が、基準日数(E)より長いかどうかの判断を行い、補修の種類を決定する。ここで、前記補修の種類としては、例えば、炭化室内に石炭を装入しない状態で加熱を行い炭化室内の炉壁煉瓦に析出したカーボンを落とす「カーボン落し」、炭化室内の炉壁煉瓦の損傷部分に行う「炉壁補修(例えば、溶射や吹き付け)」がある。なお、補修の種類は上記2種類に限定されるものではなく、上記2種類の組合せでも良く、また、上記2種類以外のものを含めて3種類以上の補修の中から補修方法を決定するようにしても良い。3種類以上の補修方法がある場合には、前記基準日数(E)を段階的に複数に分けて、その範囲毎に補修方法を決定するようにしてもよい。
本補修方法決定手段40では、炭化室毎に、予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する。S12では、補修後日数(C)が、基準日数(E)より長いかどうかの判断を行い、補修の種類を決定する。ここで、前記補修の種類としては、例えば、炭化室内に石炭を装入しない状態で加熱を行い炭化室内の炉壁煉瓦に析出したカーボンを落とす「カーボン落し」、炭化室内の炉壁煉瓦の損傷部分に行う「炉壁補修(例えば、溶射や吹き付け)」がある。なお、補修の種類は上記2種類に限定されるものではなく、上記2種類の組合せでも良く、また、上記2種類以外のものを含めて3種類以上の補修の中から補修方法を決定するようにしても良い。3種類以上の補修方法がある場合には、前記基準日数(E)を段階的に複数に分けて、その範囲毎に補修方法を決定するようにしてもよい。
例えば、補修後日数(C)が基準日数(E1)以下の場合は補修1、補修後日数(C)が基準日数(E1)より長く基準日数(E2)以下の場合は補修2、補修後日数(C)が基準日数(E2)より長い場合は補修3、というようにしてもよい。
この場合、前記補修1,2,3は、補修の種類で分けてもよく、また、補修の程度により分けてもよい。前記補修の種類で分ける場合としては、炭化室の炉壁に付着したカーボンを落とす場合には、例えば、上述のように炭化室に石炭を装入しない状態で加熱を行う方法、外部からの空気を導入して焼き落とす方法、炭化室上部の石炭装入孔蓋を解放し、そこから人力でカーボンを突き落とす方法などの補修方法とすることができる。また、炉壁を補修する場合としては、例えば、溶射、吹き付け、モルタル充填などの補修方法があり、その際、溶射材、吹き付け材を変更したり、補修機械を用いる場合或いは人力で行なう場合など様々な補修方法とすることができる。
ここで、前記基準日数(E)は、過去から蓄積された操業実績等に基づき決定される日数であり、補修方法として、カーボン落としと溶射による炉壁補修手段を採用可能なコークス炉の場合、例えば、6ヵ月程度と設定することができる。補修後日数(C)が前記基準日数(E)より長く稼動してきた炭化室は、炉壁への炭素の成長速度が平均的あるいは比較的ゆるやかで、自然に成長したものであり、炉壁の損傷は軽微と考えられるためカーボン落しによる補修で十分と判断される。また、補修後日数(C)が前記基準日数(E)より短い炭化室は、炉壁への炭素の成長速度が異常であり、炉壁に凹凸や異常な磨耗等の炉壁の損傷があると考えられるため、例えば、溶射等による炉壁補修が必要と判断される。
一般に、炭化室の大規模な補修には長時間を要し、コークスの減産による損失および補修コストが大きくなるため、必要とする補修の程度に応じた最も効率的な方法を選択することが好ましい。本発明は、補修要否判断手段30において補修が必要と判断された時の補修後日数が炉壁の損傷の程度を判断するための指標となることが見出されたことを利用したものであり、補修後日数(C)が短い、例えば6ケ月以下にもかかわらず補修が必要と判断された場合には大規模な補修手段である溶射補修を選択し、そうでない場合には、軽度の補修手段であるカーボン落としを選択することによって効果的な補修が行えるようになる。従って、本発明での補修要否の判断、補修方法決定の判断は頻繁に行うことが望ましいものであって、もし、判断を行う頻度が低いと、いつの時点で補修が必要な状態に陥ったかが不明確となる場合があり、補修後日数(C)をよりどころとした炉壁損傷程度の把握の精度が低下する場合がある。前記判断を行う頻度として最も好ましくは、炭化室からのコークスの押出し毎、或いは、少なくとも5日に1回以上の頻度で判断を行うことが好ましい。
具体的な補修方法による区分の方法としては、例えば、補修後日数(C)が4ケ月(E1)未満の場合には、補修期間1週間程度の炉壁全面溶射補修(補修1)、補修後日数(C)が4ケ月(E1)以上6ケ月(E2)未満の場合には、補修期間3日間程度の炉壁窯口近傍溶射補修(補修2)、補修後日数(C)が6ケ月(E2)以上の場合にはカーボン落とし補修(補修3)、と分けることができる。
図3に、優先順位決定手段50での判断フローの一例を示す。なお、本フローは、該当する炭化室が複数存在する補修方法毎に行うものである。以下、図3に基づき優先順位決定手段50を説明する。
[優先順位決定手段50]
本優先順位決定手段50では、前記補修方法決定手段40で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する。S20では、基準日数(A)の平均押出し力(a)が、予め定められている基準値(F)以上であるかどうかの判断を行う。ここで、前記基準日数(A)の平均押出し力(a)は、前記算出手段20で算出した、所定の基準日数における平均の押出し力である。前記平均押出し力(a)が基準値(F)以上である場合は、早急に炉壁の補修が必要な状態であると考えられ、補修の優先順位を高くし、さらに、平均押出し力(a)の値の絶対値が大きい順に優先順位を高くする。前記平均押出し力(a)が基準値(F)より小さい場合は、前記平均押出し力(a)が基準値(F)以上であるグループよりは、補修の優先順位を下げ、平均押出し力(a)が基準値(F)より小さいグループの中では、該当する炭化室の至近1ヵ月の押出し力データの上昇のトレンド回帰から、前記基準値(F)以上になる到達日を予測し、その到達日が早い炭化室から優先順位を高くする。なお、前記基準値(F)は、過去から蓄積された操業実績等に基づき決定される値であり、平均押出し力(a)がそれ以上となった場合には補修が早急に必要となる値を示す。このように、前記基準値(F)は緊急に補修が必要と判断される値であり、押し詰まり発生時に観測される荷重程度に設定するのが好ましいが、前述の基準値(B)と同様の方法で決定してもよい。
本優先順位決定手段50では、前記補修方法決定手段40で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する。S20では、基準日数(A)の平均押出し力(a)が、予め定められている基準値(F)以上であるかどうかの判断を行う。ここで、前記基準日数(A)の平均押出し力(a)は、前記算出手段20で算出した、所定の基準日数における平均の押出し力である。前記平均押出し力(a)が基準値(F)以上である場合は、早急に炉壁の補修が必要な状態であると考えられ、補修の優先順位を高くし、さらに、平均押出し力(a)の値の絶対値が大きい順に優先順位を高くする。前記平均押出し力(a)が基準値(F)より小さい場合は、前記平均押出し力(a)が基準値(F)以上であるグループよりは、補修の優先順位を下げ、平均押出し力(a)が基準値(F)より小さいグループの中では、該当する炭化室の至近1ヵ月の押出し力データの上昇のトレンド回帰から、前記基準値(F)以上になる到達日を予測し、その到達日が早い炭化室から優先順位を高くする。なお、前記基準値(F)は、過去から蓄積された操業実績等に基づき決定される値であり、平均押出し力(a)がそれ以上となった場合には補修が早急に必要となる値を示す。このように、前記基準値(F)は緊急に補修が必要と判断される値であり、押し詰まり発生時に観測される荷重程度に設定するのが好ましいが、前述の基準値(B)と同様の方法で決定してもよい。
本発明においては基準値(B)は補修が必要とされる状態を判断するための基準として用いられ、基準値(F)は緊急に補修が必要とされる状態を判断するための基準として用いられる。そのため、基準値(F)>基準値(B)であり、基準値(F)と基準値(B)の値には5〜10トン重(約50〜100kN)程度の差を持たせるのが効果的である。つまり、前記基準値(F)の値としては、コークス炉の場合、例えば、60トン重(約600kN)程度と設定することが適正となる。
図4は、本発明に係る石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムの他の実施形態の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、本発明に係る炉体診断システム2は、炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込手段60と、該データ取込手段60で取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段70と、該補修要否判断手段70で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段80と、該補修方法決定手段80で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段90とを有している。なお、前記炉体診断システム2には、例えば、コンピュータ等を用いることができる。
ここで、前記炭化室毎に測定される煤塵濃度データは、各炭化室内の炉壁の状態を推定することのできる重要なパラメータの一つである。炭化室の炉壁の煉瓦に、煉瓦の抜け、穴開き、亀裂等の損傷による隙間があると、炭化室内に石炭を装入した後に、炭化室内で発生したCガス等のガスの一部が前記隙間を通って燃焼室側に流れ込み、そこで流れ込んだガスが燃焼する際に煤塵を発生させる。炭化室毎の煤塵濃度は、例えば、各燃焼室からの排ガス配管にそれぞれ煤塵濃度計を取り付けて測定してもよく、また、各燃焼室からの排ガスを集める配管に煤塵濃度計を取り付け、煤塵が出たときの装入タイミングで炭化室を特定するようにしてもよい。これにより、各炭化室毎の煤塵濃度が測定でき、炉壁の損傷の診断が可能となる。
以下、前記各手段について説明する。
[データ取込手段60]
本データ取込手段60では、例えば、コークス炉の操業を管理している操業管理システム2等から、コークス炉の各炭化室毎に測定されている煤塵濃度データを取り込み、データ保存用のデータベース61に保存する。
本データ取込手段60では、例えば、コークス炉の操業を管理している操業管理システム2等から、コークス炉の各炭化室毎に測定されている煤塵濃度データを取り込み、データ保存用のデータベース61に保存する。
前記煤塵濃度データは、炭化室毎に、煤塵濃度測定日時等のデータとともにデータベース61に保存される。
図5に、補修要否判断手段70及び補修方法決定手段80での判断フローの一例を示す。なお、本フローは、全ての炭化室について、炭化室毎に行うものである。以下、図5に基づき補修要否判断手段70及び補修方法決定手段80を説明する。
[補修要否判断手段70]
本補修要否判断手段70では、前記データ取込手段60で取り込まれた各炭化室毎の煤塵濃度データに基づいて、各炭化室毎に補修の要否の判断を行う。
本補修要否判断手段70では、前記データ取込手段60で取り込まれた各炭化室毎の煤塵濃度データに基づいて、各炭化室毎に補修の要否の判断を行う。
S30では、平均煤塵濃度(b)が、予め定められている基準濃度(H)以上であるかどうかの判断を行う。前記平均煤塵濃度(b)が基準濃度(H)以上である場合は、炭化室の炉壁に異常がある可能性があるものとして、次のS31に進む。また、前記平均煤塵濃度(b)が基準濃度(H)より少ない場合には、炭化室の炉壁の状態は良好であると判断して、補修不要と判断する。ここで、前記平均煤塵濃度(b)は、例えば、至近の装入時における装入後の所定時間内、例えば、装入後3分間、の平均の煤塵濃度とすることができる。煤塵濃度は、石炭を炭化室に装入した直後が最も高い値を示し、その後、煤塵濃度が低くなる傾向を示すからである。なお、前記装入後の所定時間としては、例えば、コークス炉の稼動状況、操業の安定性等により適宜決定され得るものである。また、前記基準濃度(H)の値は、炉形式、操業条件、炉の状態、計測条件などにより変わりうるものであるが、装入後3分間の平均値で見る場合、一般には30g/Nm3以下であり、後述するような目地損傷や亀裂などがある場合には100g/Nm3近くなることもあることが知られており、操業データを参考に、炉壁に異常のある場合とない場合の煤塵濃度実績をもとに決定することができる。なお、前記基準濃度(H)の値としては、コークス炉の場合、例えば、50g/Nm3程度と設定することができる。
S31では、補修後日数(C)が基準日数(I)より長いかどうかの判断を行う。ここで、前記補修後日数(C)は、判断を行っている当該炭化室に関し、至近に行った補修日からの経過日数を指す。前記経過日数が所定の基準日数(I)以下の場合には、長年の操業経験より、補修後の不安定期間であると判断して、様子を見ることが妥当であるため、補修不要と判断する。なお、前記基準日数(I)は、過去から蓄積された操業実績等に基づき決定される日数であり、コークス炉の場合、例えば、1週間程度と設定することができる。炭化室の炉壁補修直後は、炉壁煉瓦の表面が剥き出しの状態になっており、目地部分や煉瓦の亀裂等による細かい穴等が空いた状態で煤塵濃度が高くなる傾向となる。操業を続けるうちに目地部分や炉壁煉瓦の表面にカーボン等が薄くコーティングされた状態となり、目地部分や煉瓦の表面の細かい穴等が塞がり煤塵濃度が低くなり、安定化する。なお、この補修直後から安定化するまでの期間が前記基準日数(I)となる。その後の煉瓦の抜け、穴開き、亀裂等の損傷による隙間が発生した場合には、煤塵濃度が高くなる。そのため、前記経過日数が所定の基準日数(I)より長い場合には、炭化室の炉壁の異常による煤塵濃度の上昇であるとし、補修が必要と判断し、次の補修方法決定手段80のS32に進む。
[補修方法決定手段80]
本補修方法決定手段80では、炭化室毎に、予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する。S32では、炉壁及び炉内観察を行い、煉瓦の穴明きの有無の判断を行い、補修方法を決定する。穴明きがあった場合には、例えば、煉瓦の積み替え、差し替え、溶射等を行い、穴明きがなかった場合には、例えば、CVD・ドライシーリングなどの亀裂を塞ぐ補修を行う。
本補修方法決定手段80では、炭化室毎に、予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する。S32では、炉壁及び炉内観察を行い、煉瓦の穴明きの有無の判断を行い、補修方法を決定する。穴明きがあった場合には、例えば、煉瓦の積み替え、差し替え、溶射等を行い、穴明きがなかった場合には、例えば、CVD・ドライシーリングなどの亀裂を塞ぐ補修を行う。
図6に、優先順位決定手段90での判断フローの一例を示す。なお、本フローは、該当する炭化室が複数存在する補修方法毎に行うものである。以下、図6に基づき優先順位決定手段90を説明する。
[優先順位決定手段90]
本優先順位決定手段90では、前記補修方法決定手段80で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する。S35では、所定の基準日数(J)の間における煤塵濃度の推移トレンドの傾き(c)が上昇或いは横ばいであるかどうかの判断を行う。前記所定の基準日数(J)の間における煤塵濃度の推移トレンドの傾き(c)が上昇或いは横ばいである場合には、早急に炉壁の補修が必要な状態であると考えられ、補修の優先順位を高くし、さらに、所定の基準日数(K)の間における平均煤塵濃度が高い順に優先順位を高くする。前記傾き(c)が下降している場合は、前記傾き(c)が上昇或いは横ばいである場合のグループよりは、補修の優先順位を下げ、所定の基準日数(K)の間における平均煤塵濃度の高い順に優先順位を高くする。なお、前記基準日数(J)は、操業実績に基づき決定される値であり、コークス炉の場合、例えば、30日程度と設定することができる。また、前記基準日数(K)は、操業実績に基づき決定される値であり、コークス炉の場合、例えば、1〜3日程度と設定することができる。前記煤塵濃度の推移トレンドの傾き(c)を調べるのは、その炭化室が先に述べたカーボン等による微細な亀裂などの閉塞が進行する安定化過程にあるかどうかを判断するためであり、こうした安定化はゆっくりと進行することから、測定データのバラツキを考慮するとある程度の期間のデータに基づいたトレンドを見る必要がある。そのため、前記基準日数(J)としては、こうした判断が可能な日数、例えば30日程度を設定するのが好ましい。この傾き(c)は、煤塵濃度を観測日に対してプロットを行い、その回帰係数の傾きとして求めることができるが、トレンドの判断において「横ばい」と判断する場合には、傾きがゼロ近傍の値、例えば0±2g/Nm3/dとなる場合とすることができる。前記基準日数(K)については、至近の急激な変動を検知可能とするために比較的短い期間、例えば1〜3日程度を設定することが好ましい。
本優先順位決定手段90では、前記補修方法決定手段80で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する。S35では、所定の基準日数(J)の間における煤塵濃度の推移トレンドの傾き(c)が上昇或いは横ばいであるかどうかの判断を行う。前記所定の基準日数(J)の間における煤塵濃度の推移トレンドの傾き(c)が上昇或いは横ばいである場合には、早急に炉壁の補修が必要な状態であると考えられ、補修の優先順位を高くし、さらに、所定の基準日数(K)の間における平均煤塵濃度が高い順に優先順位を高くする。前記傾き(c)が下降している場合は、前記傾き(c)が上昇或いは横ばいである場合のグループよりは、補修の優先順位を下げ、所定の基準日数(K)の間における平均煤塵濃度の高い順に優先順位を高くする。なお、前記基準日数(J)は、操業実績に基づき決定される値であり、コークス炉の場合、例えば、30日程度と設定することができる。また、前記基準日数(K)は、操業実績に基づき決定される値であり、コークス炉の場合、例えば、1〜3日程度と設定することができる。前記煤塵濃度の推移トレンドの傾き(c)を調べるのは、その炭化室が先に述べたカーボン等による微細な亀裂などの閉塞が進行する安定化過程にあるかどうかを判断するためであり、こうした安定化はゆっくりと進行することから、測定データのバラツキを考慮するとある程度の期間のデータに基づいたトレンドを見る必要がある。そのため、前記基準日数(J)としては、こうした判断が可能な日数、例えば30日程度を設定するのが好ましい。この傾き(c)は、煤塵濃度を観測日に対してプロットを行い、その回帰係数の傾きとして求めることができるが、トレンドの判断において「横ばい」と判断する場合には、傾きがゼロ近傍の値、例えば0±2g/Nm3/dとなる場合とすることができる。前記基準日数(K)については、至近の急激な変動を検知可能とするために比較的短い期間、例えば1〜3日程度を設定することが好ましい。
Claims (6)
- 石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムにおいて、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込手段と、
該データ取込手段で取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出手段と、
該算出手段で算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段と、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段と、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段とを有することを特徴とする炉体診断システム。 - 石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断方法において、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込ステップと、
該データ取込ステップで取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出ステップと、
該算出ステップで算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断ステップと、
該補修要否判断ステップで補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定ステップと、
該補修方法決定ステップで決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定ステップとを有することを特徴とする炉体診断方法。 - 石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムにおいて、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込手段と、
該データ取込手段で取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段と、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段と、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段とを有することを特徴とする炉体診断システム。 - 石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断方法において、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込ステップと、
該データ取込ステップで取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断ステップと、
該補修要否判断ステップで補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定ステップと、
該補修方法決定ステップで決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定ステップとを有することを特徴とする炉体診断方法。 - 石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムを制御するプログラムであって、
コンピュータを、
炭化室毎に測定される押出力データを取り込み保存するデータ取込手段、
該データ取込手段で取り込んだ押出力データに基づいて、炭化室毎の平均の押出力を算出する算出手段、
該算出手段で算出された平均の押出力に基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段
として機能させるためのプログラム。 - 石炭を乾留してコークスにするコークス炉における炉壁の損傷を診断する炉体診断システムを制御するプログラムであって、
コンピュータを、
炭化室毎に測定される煤塵濃度データを取り込み保存するデータ取込手段、
該データ取込手段で取り込んだ煤塵濃度データに基づいて、炭化室毎に補修の要否を判断する補修要否判断手段、
該補修要否判断手段で補修が必要と判断された炭化室に関し、炭化室毎に予め決定された複数の補修方法の中から1つの補修方法を決定する補修方法決定手段、
該補修方法決定手段で決定された特定の補修方法に関し、複数の炭化室が該当する場合に、補修を行う優先順位を決定する優先順位決定手段
として機能させるためのプログラム。
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