JP2021165345A - コークス炉ガスのガスカロリー予測方法 - Google Patents

コークス炉ガスのガスカロリー予測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】窯毎のコークス炉ガスのガスカロリーを実測することなく、製鉄所内に流通するコークス炉ガスのガスカロリーをリアルタイムに精度よく推定することができる、コークス炉ガスのガスカロリー予測方法を提供する。【解決手段】コークス炉において石炭を乾留しコークスを製造する過程で発生するコークス炉ガスのガスカロリー予測方法10であって、予測時点から石炭の乾留時間の30%〜70%の時間前までを積算時間とし、該積算時間内に前記コークス炉の炭化室に装入された石炭量を積算する積算装炭量算出工程S1と、積算装炭量算出工程により算出された積算装炭量及び該積算装炭量をガスカロリーに換算可能な換算係数を用いて、予測時点におけるコークス炉ガスのガスカロリーを予測するガスカロリー予測工程S2と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明はコークス炉ガスのガスカロリー予測方法に関する。
石炭を乾留しコークスを製造する過程で発生するコークス炉ガス(以下、「COG(Coke Oven Gas)」ということがある。)は、製鉄所内の工場において燃料として使用される。しかし、COG発生源であるコークス炉の操業変動によって、コークス炉ガスの発生量(以下、「COG発生量」ということがある。)及びコークス炉ガスのガスカロリー(以下、「COGカロリー」ということがある。)が低下する場合がある。COG発生量およびCOGカロリーの低下は、COGを使用する各工場において加熱炉やバーナの操業度抑制を起因とした減産や休損、熱量低下による直下還元炉等での品質トラブルの原因となる。そのため、COG発生量及びCOGカロリーの低下を予測できれば、事前の措置によってこれらのトラブルを抑制することができる。
COG発生量については、特許文献1に記載されているように、装炭量、石炭揮発分、置時間ならびに乾留時間から演算推定することが可能であり、操業変動自体が把握できれば予測することは困難ではない。
特開平6−1981号公報
一方で、操業変動を把握することができても、発生するCOGカロリーのリアルタイムな予測には、以下の課題を有する。
COGを工業的に使用する場合、理論組成成分から計算されるカロリー(例えば、特開2011−148924号公報等)よりも低位なカロリーを使用することとなる。これは、コークス炉内やCOG配管系内への外気侵入や乾留末期に発生するHと大気中Oとの燃焼によって発生する排ガスの侵入によって、石炭から発生するガスが希釈されるためと考えられる。これによるCOGカロリーの差異(理論値と実際に使用するカロリーの乖離)は、健全なコークス炉であれば問題になる大きさではないが、コークス炉が老朽化すると炉体の健全性が低下するとともに操業変動が増加してCOG発生量およびCOGカロリーの低下が顕著になり、この差異が無視できない大きさになるため、COGの工業的な使用に際してトラブルの原因となる虞があった。
また、コークス炉各窯によって外気侵入量等は異なるので、COGカロリー値を知るためには、コークス炉各窯のカロリー測定をしなくてはならないが、窯毎のカロリーを把握することはコストや手間等の問題が有り事実上困難であった。
上記の実情を鑑み、本発明は、窯毎(炭化室毎)のコークス炉ガスのガスカロリーを実測することなく、製鉄所内に流通するコークス炉ガスのガスカロリーをリアルタイムに精度よく推定することができる、コークス炉ガスのガスカロリー予測方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、所定の積算時間内に装入された石炭量の合計に、所定の換算係数を掛けることにより、コークス炉ガスのガスカロリーを精度よく推定することができることを知見した。本発明は当該知見に基づいて完成されたものである。
上記課題を解決するための本発明の1つの態様は、コークス炉において石炭を乾留しコークスを製造する過程で発生するコークス炉ガスのガスカロリー予測方法であって、予測時点から石炭の乾留時間の30%〜70%の時間前までを積算時間とし、該積算時間内にコークス炉の炭化室に装入された石炭量を積算する積算装炭量算出工程と、積算装炭量算出工程により算出された積算装炭量及び該積算装炭量をガスカロリーに換算可能な換算係数を用いて、上記予測時点におけるコークス炉ガスのガスカロリーを予測するガスカロリー予測工程と、を備え、換算係数は過去のガスカロリー実績に基づいて算出される、コークス炉ガスのガスカロリー予測方法である。
上記ガスカロリー予測方法の積算装炭量算出工程において、積算時間は上記予測時点から石炭の乾留時間の40%〜60%の時間前までであることが好ましい。また、換算係数は、過去のガスカロリー実績に基づいて、積算時間と同じ時間積算した過去の積算装炭量とコークス炉ガスの過去のガスカロリー実績値との関係から算出されることが好ましく、ガスカロリー予測方法に用いる石炭と同じ石炭種を用いた過去の積算装炭量と過去のガスカロリー実績との関係から算出されることがより好ましい。さらに、上記ガスカロリー予測方法は、コークス炉の操業スケジュールに基づいて、積算装炭量算出工程とガスカロリー予測工程とを繰り返し行い、操業スケジュールとガスカロリー予測値との関係を得る工程を更に備えることが好ましい。
本発明によれば、窯毎のコークス炉ガスのガスカロリーを実測することなく、製鉄所内に流通するコークス炉ガスのガスカロリーをリアルタイムに精度よく推定することができる。
コークス炉のCOG系統概略図である。 劣化したコークス炉のCOG系統概略図である。 コークス炉ガスのガスカロリー予測方法10のフローチャートである。 石炭種毎の換算係数の違いについて説明した図である。 コークス炉ガスのガスカロリー予測方法10の具体例である。(a)はコークス炉に装入された装炭量を時間ごとに示した図であり、(b)は積算装炭量を時間ごとに示した図であり、(c)は(b)の積算装炭量に換算係数を掛け、COGカロリーに変換した図(予測チャート)である。 積算時間毎のCOGカロリー予測値及びCOGカロリー実績値の時間推移を示した図である。 COGカロリー予測値とCOGカロリー実績値との誤差(COGカロリー誤差)を積算時間毎に示した図である。 実地試験の結果である。 実地試験において、積算時間を11時間又は24時間とした場合における、COGカロリー予測精度を説明するための図である。
1.事前検討
本発明を適用することができるコークス炉は室炉式コークス炉である。室炉式コークス炉は煉瓦を使用した構造物であり、炉体の下部に蓄熱室があり、上部には燃焼室と炭化室とが交互に配列される構成である。炭化室はレンガに囲まれた室であり、上面の装入口から石炭が装入される。燃焼室は、炉壁(レンガ壁)を介して炭化室と隣接し、炉長方向に20〜30室のフリューに仕切られている。各フリューの底部は蓄熱室に通じており、蓄熱室にて予熱された燃焼ガスがフリューへと供給され、そこで燃料ガスが燃焼することで、両側の炭化室が加熱され、石炭の乾留が進行する。生成したコークスは、炉の後方(押出機側)から押出機で押出され、炉の前方(コークス払出側)から取出される。かかるコークス炉の構成は一般的な室炉式コークス炉の構成と同じである。
上記のように炭化室において石炭の乾留が行われるが、乾留の際に石炭からタールとともに多量のCOGが発生する。それぞれの炭化室にはガス精製設備につながる配管が備えられているので、炭化室内で発生したタール及びCOGは分離捕集され、配管を通じてガス精製設備に送られることとなる。そして、COGはガス精製設備において精製され、各工場等に送られる。ここで、COGカロリーはガス精製設備によって精製された後、各工場に送られる前に測定される。具体的にはガス精製設備と各工場等との間をつなぐ配管に取り付けられた熱量計(QT)によって測定される。図1に炭化室、ガス精製設備、及びCOGを送る配管の模式図(COG系統概略図)を示した。
一方で、このようなコークス炉において、老朽化が進行するとコークス炉の操業変動が増加して、COGカロリーの低下が顕著になる。例えば、コークス炉の劣化に伴ってCOGカロリーが低下する理由は、次の通りである。
(1)炭化室炉蓋
炭化室は、通常、炉長方向両端に設置される炉蓋で外気と遮断されているが、コークス炉の劣化により炉体変形等が発生すると、炉蓋による閉止が不十分になる。炭化室内は通常は正圧であるため発生ガスは系外に流出する側であるが、乾留時間が長期化かつ乾留末期になると炉内の一部で負圧になる箇所が発生しやすくなるため、炉蓋による閉止が不十分であると炭化室内に外気が侵入する。すると、COG中に外気成分であるNやOが増加したり、さらにOとCOG中の燃焼成分との反応によってCOG中の成分が変化したりする。これにより、COGが希釈され、COGカロリーが低下する。
(2)炭化室と燃焼室とを隔てる炉壁煉瓦の目地切れ
目地とは積みあげられた煉瓦間の隙間であり、コークス炉の炉壁の目地には充填材が施工される。施工された充填材を単に目地と称することもある。コークス炉の劣化により、このような目地に亀裂等が生じ、炭化室と燃焼室の一部とが繋がった状態となる。これを目地切れという。
炭化室内は発生ガスにより通常正圧に保たれているため、目地切れが発生すると炭化室内のガスが燃焼室へ漏れ込むことになる。また、コークス炉は燃焼/排気を一定時間毎に切替えており、この切替え時には燃焼室の圧力が一時的に低下することがあるため、目地切れが発生すると、燃焼室の圧力の低下に伴って炭化室の圧力も一時的に低下する。このような場合、炉蓋の隙間等から炭化室内に侵入した空気がCOGと反応し燃焼することや、逆に燃焼室から炭化室内への排ガス流入により、COGのN分率が上昇し、COGカロリーが低下する。
(3)コークス炉の非稼働炭化室の存在や装炭量(炭化室内に装入された石炭量)の偏り
図2に劣化したコークス炉のCOG系統概略図を示した。図2のように、コークス炉の劣化に伴い、設備的負荷を軽減するために装炭量(炭化室内に装入される石炭量)を減じる炭化室(図2の炭化室#2、#i)や、補修等のためにコークス製造を実施しない非稼働炭化室が生じる(図2の炭化室#i+1)。そうすると、ある特定の時点においてコークスを製造する複数の炭化室や乾留中石炭の乾留経過時間分布が一様ではなくなる。後述するように、乾留初期の炭化室が多ければCOGカロリーは高く、乾留末期の炭化室が多ければCOGカロリーは低い。このように、コークス炉の劣化に伴って、炭化室毎の装炭量が異なるものとなりやすく、それによりCOGカロリーが大きく変動し、COGカロリーが低下する場合がある。
このような場合、例えば図2のA点から天然ガス等の可燃性ガスを供給し、供給点の前後で熱量計によりCOGカロリー及び可燃性ガスを付加したCOGカロリーを計測し、適切なCOGカロリーに調整した後に工場等にCOGを送る対策等が取られるが、可燃性ガスの追加により操業コストが増加する。
以上の理由により、コークス炉の劣化に伴って、COGカロリーが変動、低下するため、COGを工業用に使用するためは、その予測が非常に重要となる。
そこで、本発明者はCOGカロリーを精度よく予測することができる方法について検討した。まず、本発明者はCOGの発生は乾留中の石炭に起因することから、COGカロリーと乾留中の総装炭量との関係について検討した。その結果、COGカロリーの予測精度は低いことが分かった。
次に、本発明者はCOGの組成が石炭の乾留中に一定ではないことに着目した。COGカロリー値は、石炭の乾留中一定ではなく、乾留経過時間によって変化することが公知である(鉄鋼便覧参照)。典型的な推移は、乾留初期はCHが多く発熱量が高めであり、乾留時間の中ほどで極大値を迎えた後、乾留末期に向かうとHの発生が増えることから、カロリー値は徐々に低下する。具体的には、乾留時間を24時間としたとき、装炭当初から11時間程度経過するまではCHの発生量が多く高カロリーで推移し、11時間を超えると、ガス中H濃度の増加によりガスカロリーは低下基調になる。
なお、通常のコークス炉操業では、COGは、数十あるいは100超程度の複数の炭化室から発生するガスを集めて精製している。そして当該複数の炭化室は、石炭装入やコークス押出作業が特定の時間帯に集中しないように全体として操業スケジュールの均一化が図られている。そのため、個別の炭化室から発生するガスのカロリー値が乾留経過時間によって変化しても、コークス炉全体からのCOGカロリー値は、通常は問題になるような変化はしない。
本発明者は、乾留初期の発熱量は高位で安定することから、CHの発生量が多い石炭(装炭から11時間以内の石炭)の総装炭量とCOGカロリーとの関係について検討した。その結果、COGカロリーの予測精度が非常に高いことが分かった。本発明は当該知見に基づいて完成されたものである。
2.コークス炉ガスのガスカロリー予測方法
以下、本発明のコークス炉ガスのガスカロリー予測方法について、一実施形態であるコークス炉ガスのガスカロリー予測方法10(以下、「予測方法10」ということがある。)を用いて説明する。
[コークス炉ガスのガスカロリー予測方法10]
コークス炉ガスのガスカロリー予測方法10は、コークス炉において石炭を乾留しコークスを製造する過程で発生するコークス炉ガスのガスカロリー予測方法であって、予測時点から石炭の乾留時間の30%〜70%の時間前までを積算時間とし、該積算時間内にコークス炉の炭化室に装入された石炭量を積算する積算装炭量算出工程S1と、積算装炭量算出工程S1により算出された積算装炭量及び該積算装炭量をガスカロリーに換算可能な換算係数を用いて、上記予測時点におけるコークス炉ガスのガスカロリー(COGカロリー)を予測するガスカロリー予測工程S2と、コークス炉の操業スケジュールに基づいて、積算装炭量算出工程S1とガスカロリー予測工程S2とを繰り返し行い、操業スケジュールとガスカロリー予測値との関係を得る工程S3(以下、「予測チャート作成工程S3」ということがある。)と、を備えるものである。図3に予測方法10のフローチャートを示した。
<積算装炭量算出工程S1>
積算装炭量算出工程S1は、予測時点から石炭の乾留時間の30%〜70%の時間前までを積算時間とし、該積算時間内にコークス炉の炭化室に装入された石炭量を積算する工程である。
「予測時点」とは、COGカロリーを予測する時点という意味である。これは現在の時間を用いても、過去の時間を用いても、未来の時間を用いてもよい。予測時点を適宜設定することにより、リアルタイム予測が可能になる。
「石炭の乾留時間」とは、石炭の乾留を完了する時間として設定された時間である。原則、同一操業炉団に属する各炭化室の石炭の乾留時間は基本的に統一されるものである。
上記積算時間は、予測時点から石炭の乾留時間の40%〜60%の時間前までであることが好ましく、予測時点から石炭の乾留時間の40%〜50%の時間前までであることがより好ましい。これにより、COGカロリーの予測精度が向上する。
具体的な積算時間は、例えば乾留時間を24時間程度に設定した場合、8時間〜16時間であり、好ましくは10時間〜14時間であり、より好ましくは10時間〜12時間である。
<ガスカロリー予測工程S2>
ガスカロリー予測工程S2は、積算装炭量算出工程S1により算出された積算装炭量及び該積算装炭量をガスカロリーに換算可能な換算係数を用いて、上記予測時点におけるCOGカロリーを予測する工程である。すなわち、ガスカロリー予測工程S2は積算装炭量と換算係数とを掛け合わせる工程である。換算係数は単位積算装炭量当たりのCOGカロリーを示すものである。
換算係数は過去のガスカロリー実績に基づいて算出されるものである。具体的には、換算係数は、過去のガスカロリー実績に基づいて、積算装炭量算出工程S1で用いた積算時間と同じ時間積算した過去の積算装炭量とコークス炉ガスの過去のガスカロリー実績値との関係から算出されるものである。
「過去のガスカロリー実績」とは、過去のCOGカロリーの実績値及び過去のコークス炉の操業情報を含むものである。「積算装炭量算出工程S1で用いた積算時間と同じ時間積算した過去の積算装炭量」とは、過去のCOGカロリーの実績値を測定した時点から積算装炭量算出工程S1で用いた積算時間と同じ時間前までの間に、コークス炉の炭化室に装入された石炭量の合計である。「積算装炭量算出工程S1で用いた積算時間と同じ時間積算した過去の積算装炭量とコークス炉ガスの過去のガスカロリー実績値との関係」とは、上記過去の積算装炭量と過去のCOGカロリーの実績値との関係である。「・・・の関係から算出される」とは、例えば、該関係を用いて逐次計算等を行うことにより換算係数を算出することである。
好ましくは、換算係数は、ガスカロリー予測方法に用いる石炭と同じ石炭種を用いた過去の積算装炭量と過去のガスカロリー実績との関係から算出されることである。
「同じ石炭種」とは、単一の銘柄の石炭を用いた場合は同じ銘柄の石炭を意味し、複数の銘柄を組み合わせた石炭を用いた場合は銘柄の組み合わせが同じ石炭を意味する。石炭は天然産品であることから、銘柄が同じであっても全く同じ石炭性状であるとは言えないが、銘柄が同じであると石炭性状(元素組成やコークスになりやすい指標、そしてCOGカロリーなど)はほぼ一定となる。そのため、同じ石炭種を用いた過去のガスカロリー実績から換算係数を算出することにより、COGカロリー予測の精度が向上する。
換算係数の算出方法について、図4を用いてさらに説明する。図4は横軸に過去の積算装炭量を取り、縦軸に過去のCOGカロリー実績値を取ったものであり、図中の小さい点と大きい点とは、別々の石炭種を意味している。このような図を用いて、逐次計算を行い、過去の積算装炭量と過去のCOGカロリー実績値との相関(傾き)を算出し、当該相関(傾き)を換算係数とする。図4のとおり、小さい点から算出された直線と大きい点から算出された破線との傾きを比べると、石炭種毎に傾きが異なっているのが分かる。このように、石炭種毎に積算装炭量とCOGカロリーとの関係が異なることから、ガスカロリー予測に用いる石炭種と同じ石炭種を用いて算出された換算係数を用いることにより、予測精度を向上することができる。
<予測チャート作成工程S3>
予測チャート作成工程S3は、コークス炉の操業スケジュールに基づいて、積算装炭量算出工程S1とガスカロリー予測工程S2とを繰り返し行い、操業スケジュールとガスカロリー予測値との関係を得る工程である。具体的には、コークス炉の操業情報に基づいて、COGカロリーの予測時点を変化させて、積算装炭量算出工程S1とガスカロリー予測工程S2とを繰り返し行い、操業スケジュールとガスカロリー予測値との関係を得る工程である。コークス炉の操業情報とは、炭化室毎の装炭量、装炭タイミング、石炭の乾留時間、稼働・非稼働炭化室等の情報である。これらの情報を用いて、工程S3を行い、例えば横軸に時間、縦軸にガスカロリー予測値を取った予測チャートを作成する。作成された予測チャートはコークス炉の操業者や生産計画部門、エネルギー部門などの関係者に知覚できるように、例えばディスプレイ等に出力する。
<具体例>
次に予測方法10について、図5を用いて具体的に説明する。図5(a)はコークス炉に装入された装炭量を時間ごとに示した図であり、図5(b)は積算装炭量を時間ごとに示した図であり、図5(c)は図5(b)の積算装炭量に換算係数を掛け、COGカロリーに変換した図である。
まず、積算装炭量算出工程S1の予測時点を図5(a)のB点とする。そして、積算時間を図5(a)の矢印で示した期間とする。これらの条件を用いて、積算時間内の装炭量を全て加算し、総積算装炭量を算出する。これを図5(b)のB点に示した。次に、ガスカロリー予測工程S2において、過去のガスカロリー実績に基づいて算出された換算係数を用いて、B点におけるCOGカロリー予測値を算出する(図5(c))。そして、これらの工程を操業スケジュールに基づいて繰り返し行うことで、図5(c)に示すような操業スケジュールとガスカロリー予測値との関係(予測チャート)を得ることができる。
以上、コークス炉ガスのガスカロリー予測方法10を用いて、本発明のコークス炉ガスのガスカロリー予測方法について説明した。
従来、石炭成分からCOGカロリーの理論値を算出することができる(特開2011−148924号公報等)ため、これを用いて予測が行われてきたが、理論値を用いた予測では時間変動予測は実現できなかった。一方で、本発明は操業スケジュールに基づいてCOGカロリーの予測を行うことができるため、高精度な時間変動予測(リアルタイム予測)を可能とするものである。
よって、本発明を用いることで、COGカロリーを長期的に予測することができるため、例えばCOGカロリーが大幅に下落するタイミングにおける製鉄所内の各工場の操業や定期補修の的確な実施/延期判断が可能となる。また、直下還元炉に代表されるような、COGカロリー低下が鋼板品質に直接的に悪影響を及ぼす工程を行うに当たって、可燃性ガス等の外部エネルギー混合による増熱必要性を事前に準備することが可能になり、製鉄所の生産活動の安定性を向上することができる。さらに、本発明により不慮の事態による不規則な操業状態となっても逐次計算により予測線が容易に修正され、対策を講じる時間的な余裕が生じることから、COGを使用する工場での品質不良や減産を抑制することができるとともに、工場定修等のタイミングを計るために用いるCOGバランス予測の精度を向上することができる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに説明する。
<積算時間の検討>
上記に説明したコークス炉ガスのガスカロリー予測方法を用いて、積算時間を変化して得られるCOGカロリー予測値とCOGカロリー実測値とを比較した。試験では、乾留時間を24時間に設定し、積算時間をそれぞれ8時間、11時間、12時間、16時間とした。なお、乾留時間に対する積算時間のそれぞれ割合は30%、46%、50%、60%である。結果を図6、図7に示した。
図6は積算時間を変化させて算出したそれぞれのCOGカロリー予測値とCOGカロリー実測値とを重ねて、時系列に並べて示した図である。図7は、COGカロリー予測値とCOGカロリー実測値との差の最大値(最大誤差)を積算時間毎に示した図である。
図6、図7より、何れの積算時間を用いても、最大誤差を約100kcal/Nm程度又はそれ以下に抑えられており、精度良く予測できていると言える。積算時間を乾留時間と同じ24時間として予測を行う場合は、最大誤差を約100kcal/Nm程度に抑えることが困難だからである。また、積算時間を8時間、11時間、12時間とした場合、より最大誤差が抑えられており、11時間とした場合はさらに最大誤差を抑えられていた。さらに、図7より、これら最大誤差は二次曲線状の相関があると考えられる。これらの結果及び相関を踏まえると、積算時間は乾留時間の30%〜70%、好ましくは40%〜60%、より好ましくは40〜50%の割合に設定することが良いと考えられる。
<実地試験>
上記に説明したコークス炉ガスのガスカロリー予測方法を用いて、実地試験を行った。この期間、積算時間を11時間に設定して試験を行った。結果を図8に示した。
図8のとおり、COGカロリー予測値とCOGカロリー実績値とは、概ね一致しており、COGカロリーを精度良く予測できたと言える。
また、試験期間の第3日目において、コークス炉の保全等を行うことが計画されており、COGカロリーの低下が懸念されていたが、これについても精度良く予測できていた。また、第3日目において、COGカロリー実績値は試験期間中の最低値(3864kcal/Nm)を記録したが、これに対しCOGカロリー予測値も同様に最低値(3788kcal/Nm)を算出していた。この差は58kcal/Nmであり、非常に近い値であった。
さらに、試験期間中において、COGカロリー予測値とCOGカロリー実績値との差が±100kcal/Nm以内である割合を計算すると、その割合は72.9%となり、非常に高い値であった。このことからも、本発明のコークス炉ガスのガスカロリー予測方法は精度良くCOGカロリーを予測できていることが分かる。
一方で、積算時間を乾留時間と同じ24時間に設定して予測を行った場合、本発明ほど精度良く予測することはできない。図9に上記の試験期間において、積算時間を24時間に設定して予測した場合のCOGカロリーの予測値の分布を示した。比較として積算時間を11時間に設定して予測したCOGカロリーの予測値の分布も重ねて示している。図9より、積算時間を24時間とした場合、COGカロリー予測値とCOGカロリー実績値との差が±100kcal/Nm以内である割合は18.3%であり、非常に低い値であった。

Claims (5)

  1. コークス炉において石炭を乾留しコークスを製造する過程で発生するコークス炉ガスのガスカロリー予測方法であって、
    予測時点から前記石炭の乾留時間の30%〜70%の時間前までを積算時間とし、該積算時間内に前記コークス炉の炭化室に装入された石炭量を積算する積算装炭量算出工程と、
    前記積算装炭量算出工程により算出された積算装炭量及び該積算装炭量をガスカロリーに換算可能な換算係数を用いて、前記予測時点における前記コークス炉ガスのガスカロリーを予測するガスカロリー予測工程と、を備え、
    前記換算係数は過去のガスカロリー実績に基づいて算出される、
    コークス炉ガスのガスカロリー予測方法。
  2. 前記積算装炭量算出工程において、前記積算時間が前記予測時点から前記石炭の乾留時間の40%〜60%の時間前までである、請求項1に記載のガスカロリー予測方法。
  3. 前記換算係数は、過去のガスカロリー実績に基づいて、前記積算時間と同じ時間積算した過去の積算装炭量とコークス炉ガスの過去のガスカロリー実績値との関係から算出される、請求項1又は2に記載のガスカロリー予測方法。
  4. 前記換算係数は、前記ガスカロリー予測方法に用いる前記石炭と同じ石炭種を用いた前記過去の積算装炭量と前記過去のガスカロリー実績との関係から算出される、請求項3に記載のガスカロリー予測方法。
  5. 前記コークス炉の操業スケジュールに基づいて、前記積算装炭量算出工程と前記ガスカロリー予測工程とを繰り返し行い、前記操業スケジュールとガスカロリー予測値との関係を得る工程を更に備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスカロリー予測方法。
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