JP2016060147A - 3dプリンター用造形材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】低臭気で、変形が少なく、透明性・表面処理(研磨・塗装)性に優れた造形品を造形し得る、熱溶融積層方式の3Dプリンター用造形材料を提供する。【解決手段】熱溶融積層方式の3Dプリンターに用いる造形材料であって、少なくとも1種の環状ポリオレフィン系樹脂を含みフィラメント状である造形材料である。熱変形温度は0℃以上であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、3Dプリンター用造形材料に関し、より詳細には、熱溶融積層方式の3Dプリンターに用いるフィラメント状の造形材料に関する。
近年、樹脂などの造形材料を、所望の三次元立体形状に造形することができる3Dプリンターが普及しつつある。3Dプリンターは、ラピッドプロトタイピング(3次元造形機)の1種で、PCなどのコンピュータ上で作成した3Dデータに基づき、所定の造形材料により立体形状を造形する立体プリンターである。
このような3Dプリンターとしては、例えば、熱可塑性樹脂を高温で溶融して積層させることで立体形状を作製する熱溶融積層方式(例えば、特許文献1参照)や、インクジェット方式で印画した液体状の光硬化性樹脂などに紫外線を照射し硬化させながら積層していくインクジェット方式(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
上記熱溶融積層方式において用いられる造形材料としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(以下、「ABS樹脂」と呼ぶ。)、ポリ乳酸樹脂(以下、「PLA樹脂」と呼ぶ。)などが一般に使用される。
特表2014−516829号公報 特開2005−35299号公報
しかしながら、ABS樹脂では造形中の熱変形が大きい、臭気が強い、などの問題点がある。また、ABS樹脂製の造形品はそり変形が生じやすく、それを減らすため造形テーブルを加温するなどの対策を講じる必要がある。また、PLA樹脂製の造形品は耐熱性が低いことや、塗装性にやや難があることなどの問題点がある。さらに、ABS樹脂もPLA樹脂も透明性が低く、透明性が高い造形品を作製しようとする際に制約があった。透明性が高い造形品を得るには、ポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂を用いることが考えられるが、それらは造形に際し保温のための特殊な装置が必要である。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、低臭気で、変形が少なく、透明性・表面処理(平滑化処理)性に優れた造形品を造形し得る、熱溶融積層方式の3Dプリンター用造形材料を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は以下の通りである。
(1)熱溶融積層方式の3Dプリンターに用いる造形材料であって、少なくとも1種の環状ポリオレフィン系樹脂を含みフィラメント状である造形材料。
(2)熱変形温度が0℃以上である前記(1)に記載の造形材料。
(3)前記環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移点が180℃以下である前記(1)又は(2)に記載の造形材料。
本発明によれば、低臭気で、変形が少なく、透明性・表面処理(平滑化処理)性に優れた造形品を造形し得る、熱溶融積層方式の3Dプリンター用造形材料を提供することができる。
本発明の3Dプリンター用造形材料は、熱溶融積層方式の3Dプリンターに用いる造形材料であって、少なくとも1種の環状ポリオレフィン系樹脂を含みフィラメント状であることを特徴としている。
本発明は、従来において、熱溶融積層方式の3Dプリンターの造形材料として使用されていたABS樹脂やPLA樹脂を使用した場合に生じる問題を解決するためになされたものであり、造形材料として環状オレフィン系樹脂を使用する。環状オレフィン系樹脂の一般特性として、透明性に優れる、耐熱温度のコントロールが容易である、変形が少ない、残存金属・モノマー・オリゴマー(スチレン等)等が少ない、水蒸気バリア性に優れる、などが挙げられる。また、残存金属・モノマー等が少ないことで、造形時の不快な臭気の発生が抑えられる。他には、熱溶融積層方式に適した固化速度であり、溶媒による表面処理が可能であり、柔軟性も付与することができ、人体に対する安全性があり、光学特性に優れる、電気特性(低誘電特性等)に優れる、等が挙げられる。
造形材料として環状オレフィン系樹脂を使用した造形品も上記特性をそのまま有することとなる。
環状オレフィン系樹脂のTgは、180℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることがさらに好ましい。下限は特に規定されないが、通常は0℃以上のものが用いられる。Tgが0℃未満では、透明性が低下する場合がある。
一方、異なるガラス転移点(以下、Tgと呼ぶ。)を有する複数の環状オレフィン系樹脂をブレンドすることで所望のTgの環状オレフィン系樹脂を得ることができる。この場合、ブレンド前の各環状オレフィン系樹脂の量とTgとの間には加成性があるため、ブレンド後の環状オレフィン系樹脂のTgは予測することができ、そのような予測に基づき所望のTgの環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
例えば、Tg38℃の環状オレフィン系樹脂とTg68℃の環状オレフィン系樹脂をブレンドして、Tg50℃とすることができる。
熱溶融積層方式においては 一旦形成された層が次に積層される層の熱と圧力で変形しないことが求められるが、その観点から、本発明の造形材料は、熱変形温度が0℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましい。熱変形温度の上限は特に規定されないが、200℃、さらには180℃以下でよい。Tgが200℃を超えると溶融加工性が低下する場合がある。
環状オレフィン系樹脂は、平滑化処理、つまり研磨や溶媒による表面処理が容易であるとの利点がある。溶融積層法の場合、造形材料の積層に伴い層状の筋が多かれ少なかれ発生する。表面を平滑化するために、後処理として研磨する、ないしは軽く溶媒で表面を溶かすようなことが行われている。環状ポリオレフィンの場合、一般に弾性率が高く研磨しやすい。また炭化水素系溶媒に対し室温で部分的に溶解・膨潤するため、溶媒を用いて表面を拭く、あるいは短時間(例えば、1分未満)溶媒に浸漬することによって平滑化することができる。
さらに環状オレフィン系樹脂による造形品は塗装性にも優れる。造形品をそのまま塗装することも可能であり、上記の平滑化処理した後に塗装することも可能である。デザイン性向上のため塗装することも多い。
以上の通り、本発明の造形材料は、ABS樹脂やPLA樹脂を用いた造形材料とは異なり、不快なにおいがせず、溶媒での表面処理が容易である。さらに上記、残存金属・モノマー等が少ないことから、人体に対する安全性が高く、医療用途、食品用途への応用も可能である。また、歯科材料等に用いることができる。
また、透明性に優れるためスケルトンを要求される造形品、あるいはレンズなどの光学部材の造形にも有効である。
一方、熱溶融積層方式の3Dプリンターにおいては、造形材料はフィラメント状に成形された上でスプールに巻回された形態で供給されるため、本発明の造形材料は、その形状をフィラメント状としている。
以下に、本発明の造形材料の主成分である環状オレフィン系樹脂について詳述する。
[環状オレフィン系樹脂]
環状オレフィン系樹脂とは、α−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体、環状オレフィン開環重合体、環状オレフィン開環重合体の水素添加物からなる群より選ばれるものである。また、本発明に使用する環状オレフィン系樹脂は、透明性を確保するためには非晶性であることが必要である。ここで、本発明においては、「非晶性」とは、JIS K 7121プラスチックの転移熱測定方法に従って、DSC測定で結晶融解ピークが認められない状態を言う。
また、環状オレフィン系樹脂としては、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの、を含む。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ) アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(TOPAS Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、さらに環状オレフィン成分を出発原料にしてメタセシス触媒で開環重合し、水素添加して製造される市販されている環状オレフィン系ポリマーとしては、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標) (日本ゼオン社製) 、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂のα−オレフィンとしては、特に制限はないが炭素数2〜20のα−オレフィンが好ましい。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂における環状オレフィン成分として好適なものは、下記一般式(A)で示される環状オレフィンを挙げることができる。
Figure 2016060147

(式中、R〜R12は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
一般式(A)におけるR〜R12は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基; ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組合せからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(A)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、一般式(A)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよいが、ランダム共重合であることが好ましい。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒を用いて製造されることが好ましい。
メタセシス触媒としては、シクロオレフィンの開環重合用触媒として公知のモリブデン又はタングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−127728号公報、同58−129013号公報などに記載)が挙げられる。また、メタセシス触媒で得られる重合体は無機担体担持遷移金属触媒等を用い、主鎖の二重結合を90%以上、側鎖の芳香環中の炭素−炭素二重結合の98%以上を水素添加することが好ましい。
ガラス転移温度の多様性、調整のし易さから環状オレフィン系共重合体が好んで用いられる場合もある。
[他の成分]
本発明の造形材料には、本発明の効果を損なわない範囲において、着色剤、充填剤、安定剤、衝撃改良剤、滑材、帯電防止剤、紫外線吸収剤などの他の成分を添加してもよい。ただし、着色剤を用いると、本発明の効果の1つである「透明性に優れる」という効果のみ発揮しない場合がある。
なお、本発明の造形材料において、他の成分の添加は任意であり、すべて環状ポリオレフィン系共重合体で構成してもよい。
また、環状ポリオレフィンに各種ポリオレフィンを添加してもよく、そのようなポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。特に、直鎖低密度ポリエチレンは環状ポリオレフィンに対する相容性に優れ、任意の割合でブレンドすることが可能である。環状ポリオレフィン樹脂のみでは靭性が不足する場合、直鎖低密度ポリエチレンをブレンドすることで、靭性向上できる。
本発明の造形材料において、フィラメント状にする手法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。すなわち、押出機等を用いて、環状オレフィン系樹脂をはじめ上記各成分を含む組成物を溶融混練し、ダイ・ノズルから溶融押し出しし、押し出された組成物を引き取ってストランド状とする。このストランド状の組成物を水や空気等の冷却媒体を用いて冷却して紡糸を行い、その後に、必要に応じて、加熱延伸、熱処理、オイル塗布等の処理を行い、巻き取ることでフィラメント状となる。
フィラメントの断面形状としては、特に制限はなく、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、星型などが挙げられる。
本発明の造形材料を用い、熱溶融積層方式の3Dプリンターで造形する場合、ノズル温度としては、120〜250℃とすることが好ましい。また、本発明の造形材料は、熱変形が少ないため造形テーブルの加熱は不要となる場合もある。
積層ピッチは、通常0.05〜0.5mmである。ノズルの径と押出条件の調整で積層ピッチは決定される。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
〈フィラメントの作製〉
環状オレフィン系樹脂(TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9506F−04、Tg:68℃)を、押出機として(株)日本製鋼所製TEX30Cを用い、押出温度C1 140℃、C2-C6 200℃、H 200℃にて溶融押出しを行った。押出し後、水槽で冷却した後、メッシュコンベアを用い定速で引き取り、直径1.7mmのフィラメント状の造形材料を作製した。
〈熱溶融積層法による造形〉
作製したフィラメント状の造形材料を、(株)ホットプロシード製Blade−1にセットして造形を行い、高さ26mm、底面14mm、開口部φ21mm、壁面厚み1.3mmのコップ状の造形品を作製した。なお、ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.1mmとし、造形テーブル加熱は行わなかった。
[実施例2]
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)8007F−04(Tg:78℃)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
[実施例3]
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9903D−10(Tg:38℃)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
[実施例4]
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9506F−04(Tg:68℃)と、同9903D−10(Tg:38℃)とを50:50の質量比率でブレンドしたものに代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
[実施例5]
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9506F−04(Tg:68℃)と、同エラストマーE−140(Tg:6℃)とを50:50の質量比率でブレンドしたものに代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
[実施例6]
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9903D−10(Tg:38℃)と、同エラストマーE−140(Tg:6℃)とを70:30の質量比率でブレンドしたものに代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
[実施例7]
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9903D−10(Tg:38℃)と、同エラストマーE−140(Tg:6℃)とを50:50の質量比率でブレンドしたものに代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
[実施例8]
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)エラストマーE−140(Tg:6℃)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
[比較例1]
サインストア・ジャパン製、3Dプリンター用フィラメント(ABS樹脂製、ホワイト)を用い、実施例1と同様にして熱溶融積層法によって造形を行った。なお、造形に際し、成形品の変形を防ぐため、造形テーブルを110℃に加熱した。また、造形テーブル温度以外の積層条件は実施例1と同じである。
[比較例2]
サインストア・ジャパン製、3Dプリンター用フィラメント(ABS樹脂製、天然色)を用い、実施例1と同様にして熱溶融積層法によって造形を行った。なお、造形に際し、造形品の変形を防ぐため、造形品が載置される造形テーブルを110℃に加熱した。また、造形テーブル温度以外の積層条件は実施例1と同じである。
[比較例3]
梅本有限責任事業組合製、3Dプリンター用フィラメント(PLA樹脂製、ホワイト)を用い、実施例1と同様にして熱溶融積層法によって造形を行った。なお、成形品の変形を防ぐため、造形テーブルを60℃に加熱した。また、造形テーブル温度以外の積層条件は実施例1と同じである。
<評価>
(1)臭気
作製した造形品に対して臭気が発生しているか否かについて官能評価を行った。臭気が発生しなかった場合を「なし」とし、臭気が発生していたものを「有り」として評価した。評価結果を表1及び2に示す。
(2)層間密着性
作製した造形品について、手で層間の剥離を試み、剥離しなかったものを良好として層間密着性を評価した。評価結果を表1及び2に示す。なお、層間密着性についてはいずれも良好であった。
(3)造形性
造形品の変形が少なく壁も均一な場合を「○」とし、少し変形があるかあるいは壁の厚みが不均一な場合を「△」として評価した。評価結果を表1及び2に示す。
(4)透明性
作製した造形品を目視観察して透明性を評価した。すなわち、造形品の反対側に新聞紙を置き文字が判読できるほどの十分な透明性が得られた場合を「透明」とし、造形品の反対側に新聞紙を置き文字が判別判読できないものの、文字の存在が判る場合を「半透明」とし、文字の存在が判らない場合を「不透明」として評価した。評価結果を表1及び2に示す。
(5)表面処理性
作製した造形品に対し、サンドペーパーにより表面を研磨した。いずれも容易に研磨でき、平滑性に優れた表面が得られた。
Figure 2016060147
Figure 2016060147
表1及び表2より、実施例1〜8においてはいずれも臭気がなく、層間密着性が良好であり、造形性に優れ(すなわち、変形が少ない)、透明性・表面処理性に優れることが分かる。
これに対して、比較例1〜3においてはいずれも、臭気があり、透明性に劣っていたことが分かる。

Claims (3)

  1. 熱溶融積層方式の3Dプリンターに用いる造形材料であって、少なくとも1種の環状ポリオレフィン系樹脂を含みフィラメント状である造形材料。
  2. 熱変形温度が0℃以上である請求項1に記載の造形材料。
  3. 前記環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移点が180℃以下である請求項1又は2に記載の造形材料。
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