JP2016060147A - 3dプリンター用造形材料 - Google Patents
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このような3Dプリンターとしては、例えば、熱可塑性樹脂を高温で溶融して積層させることで立体形状を作製する熱溶融積層方式(例えば、特許文献1参照)や、インクジェット方式で印画した液体状の光硬化性樹脂などに紫外線を照射し硬化させながら積層していくインクジェット方式(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
(1)熱溶融積層方式の3Dプリンターに用いる造形材料であって、少なくとも1種の環状ポリオレフィン系樹脂を含みフィラメント状である造形材料。
造形材料として環状オレフィン系樹脂を使用した造形品も上記特性をそのまま有することとなる。
一方、異なるガラス転移点(以下、Tgと呼ぶ。)を有する複数の環状オレフィン系樹脂をブレンドすることで所望のTgの環状オレフィン系樹脂を得ることができる。この場合、ブレンド前の各環状オレフィン系樹脂の量とTgとの間には加成性があるため、ブレンド後の環状オレフィン系樹脂のTgは予測することができ、そのような予測に基づき所望のTgの環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
例えば、Tg38℃の環状オレフィン系樹脂とTg68℃の環状オレフィン系樹脂をブレンドして、Tg50℃とすることができる。
さらに環状オレフィン系樹脂による造形品は塗装性にも優れる。造形品をそのまま塗装することも可能であり、上記の平滑化処理した後に塗装することも可能である。デザイン性向上のため塗装することも多い。
また、透明性に優れるためスケルトンを要求される造形品、あるいはレンズなどの光学部材の造形にも有効である。
環状オレフィン系樹脂とは、α−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体、環状オレフィン開環重合体、環状オレフィン開環重合体の水素添加物からなる群より選ばれるものである。また、本発明に使用する環状オレフィン系樹脂は、透明性を確保するためには非晶性であることが必要である。ここで、本発明においては、「非晶性」とは、JIS K 7121プラスチックの転移熱測定方法に従って、DSC測定で結晶融解ピークが認められない状態を言う。
(式中、R1〜R12は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R5〜R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
ガラス転移温度の多様性、調整のし易さから環状オレフィン系共重合体が好んで用いられる場合もある。
本発明の造形材料には、本発明の効果を損なわない範囲において、着色剤、充填剤、安定剤、衝撃改良剤、滑材、帯電防止剤、紫外線吸収剤などの他の成分を添加してもよい。ただし、着色剤を用いると、本発明の効果の1つである「透明性に優れる」という効果のみ発揮しない場合がある。
なお、本発明の造形材料において、他の成分の添加は任意であり、すべて環状ポリオレフィン系共重合体で構成してもよい。
また、環状ポリオレフィンに各種ポリオレフィンを添加してもよく、そのようなポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。特に、直鎖低密度ポリエチレンは環状ポリオレフィンに対する相容性に優れ、任意の割合でブレンドすることが可能である。環状ポリオレフィン樹脂のみでは靭性が不足する場合、直鎖低密度ポリエチレンをブレンドすることで、靭性向上できる。
積層ピッチは、通常0.05〜0.5mmである。ノズルの径と押出条件の調整で積層ピッチは決定される。
〈フィラメントの作製〉
環状オレフィン系樹脂(TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9506F−04、Tg:68℃)を、押出機として(株)日本製鋼所製TEX30Cを用い、押出温度C1 140℃、C2-C6 200℃、H 200℃にて溶融押出しを行った。押出し後、水槽で冷却した後、メッシュコンベアを用い定速で引き取り、直径1.7mmのフィラメント状の造形材料を作製した。
作製したフィラメント状の造形材料を、(株)ホットプロシード製Blade−1にセットして造形を行い、高さ26mm、底面14mm、開口部φ21mm、壁面厚み1.3mmのコップ状の造形品を作製した。なお、ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.1mmとし、造形テーブル加熱は行わなかった。
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)8007F−04(Tg:78℃)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9903D−10(Tg:38℃)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9506F−04(Tg:68℃)と、同9903D−10(Tg:38℃)とを50:50の質量比率でブレンドしたものに代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9506F−04(Tg:68℃)と、同エラストマーE−140(Tg:6℃)とを50:50の質量比率でブレンドしたものに代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9903D−10(Tg:38℃)と、同エラストマーE−140(Tg:6℃)とを70:30の質量比率でブレンドしたものに代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)9903D−10(Tg:38℃)と、同エラストマーE−140(Tg:6℃)とを50:50の質量比率でブレンドしたものに代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
実施例1における環状オレフィン系樹脂を、TOPAS Advanced Polymers社製、TOPAS(登録商標)エラストマーE−140(Tg:6℃)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィラメントの作製、及び該フィラメントを用いての造形を行った。
サインストア・ジャパン製、3Dプリンター用フィラメント(ABS樹脂製、ホワイト)を用い、実施例1と同様にして熱溶融積層法によって造形を行った。なお、造形に際し、成形品の変形を防ぐため、造形テーブルを110℃に加熱した。また、造形テーブル温度以外の積層条件は実施例1と同じである。
サインストア・ジャパン製、3Dプリンター用フィラメント(ABS樹脂製、天然色)を用い、実施例1と同様にして熱溶融積層法によって造形を行った。なお、造形に際し、造形品の変形を防ぐため、造形品が載置される造形テーブルを110℃に加熱した。また、造形テーブル温度以外の積層条件は実施例1と同じである。
梅本有限責任事業組合製、3Dプリンター用フィラメント(PLA樹脂製、ホワイト)を用い、実施例1と同様にして熱溶融積層法によって造形を行った。なお、成形品の変形を防ぐため、造形テーブルを60℃に加熱した。また、造形テーブル温度以外の積層条件は実施例1と同じである。
(1)臭気
作製した造形品に対して臭気が発生しているか否かについて官能評価を行った。臭気が発生しなかった場合を「なし」とし、臭気が発生していたものを「有り」として評価した。評価結果を表1及び2に示す。
(2)層間密着性
作製した造形品について、手で層間の剥離を試み、剥離しなかったものを良好として層間密着性を評価した。評価結果を表1及び2に示す。なお、層間密着性についてはいずれも良好であった。
(3)造形性
造形品の変形が少なく壁も均一な場合を「○」とし、少し変形があるかあるいは壁の厚みが不均一な場合を「△」として評価した。評価結果を表1及び2に示す。
(4)透明性
作製した造形品を目視観察して透明性を評価した。すなわち、造形品の反対側に新聞紙を置き文字が判読できるほどの十分な透明性が得られた場合を「透明」とし、造形品の反対側に新聞紙を置き文字が判別判読できないものの、文字の存在が判る場合を「半透明」とし、文字の存在が判らない場合を「不透明」として評価した。評価結果を表1及び2に示す。
これに対して、比較例1〜3においてはいずれも、臭気があり、透明性に劣っていたことが分かる。
Claims (3)
- 熱溶融積層方式の3Dプリンターに用いる造形材料であって、少なくとも1種の環状ポリオレフィン系樹脂を含みフィラメント状である造形材料。
- 熱変形温度が0℃以上である請求項1に記載の造形材料。
- 前記環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移点が180℃以下である請求項1又は2に記載の造形材料。
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