JP2016056391A - 溶鋼の脱硫処理方法 - Google Patents

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【課題】脱硫反応効率を向上させることができる溶鋼の脱硫処理方法を提供する。【解決手段】真空槽内の溶鋼表面に滞留しているフラックスを巻き込ませるため、真空槽を有するRH式真空脱ガス処理装置を用いた溶鋼の処理において真空槽内に脱硫フラックスを添加して脱硫するにあたり、前記真空槽内での環流量と下降浸漬管の断面積との比、および前記真空槽内の湯面から槽底までの深さである浴深とが、それぞれ(1)式および(2)式を満足する。0.56≦(Q/A) ・・・・・・・・・・・・・・(1)0.05≦h≦0.39・(Q/A)−0.17 ・・・(2)(1)式中、Qは溶鋼の環流量(m3/s)、Aは下降浸漬管の断面積(m2)であり、(2)式中、hは真空槽内の浴深(m)である。【選択図】図3

Description

本発明は、鉄鋼精錬における溶鋼処理において、RH式真空脱ガス処理装置を用い、真空槽内に脱硫フラックスを添加して溶鋼の脱硫処理を施すに際し、従来よりも脱硫反応効率を向上させて脱硫フラックスの使用量を低減することができる溶鋼の脱硫処理方法に関する。
鋼材中の硫黄(S)は耐食性や、溶接性などといった鋼材の多数の特性に影響を与える。ラインパイプやガスタンクなどに用いられる鋼材では、S濃度をより低減することが求められている。特に、S濃度として0.0010%以下が要求される極低硫鋼では、転炉処理後の二次精錬工程における溶鋼脱硫が必要である。ここで、二次精錬ではRH式真空脱ガス処理が主に行われており、RH式真空脱ガス処理における脱硫反応効率を向上させることが有効である。
RH式真空脱ガス処理における脱硫は、処理中にCaOを主体とする脱硫フラックスを添加することで行う。脱硫フラックスによる脱硫を促進するためには、脱硫フラックスの粒子を溶鋼中に巻き込ませ、溶鋼とフラックス間での脱硫反応が生じる反応界面積を増大させることが有効である。
特許文献1では、真空槽内の溶鋼上に脱硫剤を添加しながら、真空槽側壁の下部から下降浸漬管への吐出孔を横切るように不活性ガスを真空槽内の溶鋼中に吹き込む方法が提示されている。この方法を用いると、RH式真空脱ガス処理装置内の溶鋼環流が抑制され、脱硫フラックス粒子が巻き込まれ、溶鋼との反応界面積ならびに反応時間が長くなって、脱硫が促進される。しかし、この方法では、真空槽内側壁から吹き込まれたガスによるスプラッシュが増加し、鉄ロスならびに耐火物溶損を招いてしまうおそれがある。
特許文献2では、溶鋼の上昇流を導く浸漬管の下方中央に開口させた脱硫剤の吹込みランスから、微粉状脱硫剤をキャリアガスと共に溶鋼の上昇流中に吹込む方法が提示されている。この方法を用いると、直接溶鋼中に脱硫フラックス粒子を吹き込み巻き込ませるため、脱硫が促進される。しかし、この方法では溶鋼中に脱硫フラックスを吹込むランスを浸漬せねばならず、ランスの溶損が生じてしまうことに加え、ランスを浸漬させるスペースが必要であることから、使用条件が限定される。
特許文献3では、粉状の脱硫剤をキャリアガスと共に溶鋼中に吹き込み、吹き込んだ脱硫剤と溶鋼とをRH真空脱ガス装置の真空槽内で混合して脱硫する方法が提示されている。この方法を用いると、上昇管内に脱硫フラックスを直接吹き込み巻き込ませることができ、脱硫が促進される。しかし、この方法では、上昇管の脱硫フラックスを吹き込む羽口近傍の耐火物の溶損が促進されてしまうし、上昇管を浮上するガス気泡量が増加するため、真空槽内でのスプラッシュが増加してしまい、鉄ロスや耐火物溶損に注意が必要になる。
特開平9−118914号公報 特開昭58−037112号公報 特開2002−161310号公報
脱硫反応効率を高めるためには、脱硫フラックスを溶鋼中に巻き込ませることが有効であるが、キャリアガスとともに溶鋼中にインジェクションする方法では耐火物溶損やスプラッシュ増加による鉄ロスといった課題があり、その解決は簡単ではない。
そこで、本発明では溶鋼中にインジェクションすることなく、RH式真空脱ガス処理条件の適正化により真空槽内に添加した脱硫フラックスを溶鋼に巻き込ませることで、脱硫反応効率を向上させることができる溶鋼の脱硫方法を提供することを課題とする。
RH式真空脱ガス処理において、真空槽内に添加された脱硫フラックスは真空槽内の溶鋼流動によって下降管直上に運ばれる。その際、フラックスが真空槽内の溶鋼表面上に滞留してしまう可能性があり、滞留する割合が高くなると脱硫反応が生じる界面積は小さくなってしまう。したがって、脱硫反応を促進するためには、フラックスを溶鋼中に巻き込ませる必要がある。
そこで、真空槽内の溶鋼が下降管を通じ下降する流れによって、真空槽内の溶鋼表面に滞留しているフラックスを巻き込ませることができる条件を検討した。フラックスを巻き込ませるためには、下降管内の下降流速を大きくすることと、真空槽内の浴深を浅くすることの二点が必要である。しかし、浴深については、過度に浅くすると真空槽の底面にフラックスが付着してしまい、脱硫反応に寄与しなくなる。また、フラックスの巻き込みが生じる浴深の上限は、下降管内の下降流速に依存する。そのため、真空槽内の浴深には適正な範囲が存在するが、その範囲は装置形状や処理条件により異なる。そこで、フラックスを下降流に巻き込ませて脱硫反応効率を向上させることができる、装置形状に応じた処理条件を試験により明らかにした。その結果、本発明の要旨を次のように纏めることができた。
(1)真空槽と溶鋼上昇浸漬管及び溶鋼下降浸漬管とを有するRH式真空脱ガス処理装置を用いる溶鋼の真空処理において、その真空槽内に脱硫フラックスを添加して溶鋼を脱硫処理するにあたり、
当該溶鋼の環流量と前記下降浸漬管の断面積との比(Q/A)が(1)式を満足し、かつ、前記真空槽内の湯面から槽底までの深さである浴深(h)が(2)式を満足すること
を特徴とする溶鋼の脱硫処理方法。
0.56≦(Q/A) ・・・・・・・・・・・・・・(1)
0.05≦h≦0.39・(Q/A)−0.17 ・・・(2)
(1)式中、Qは溶鋼の環流量(m/s)、Aは下降浸漬管の断面積(m)であり、(2)式中、hは真空槽内の浴深(m)である。
(2)前記浴深(h)が更に(3)式を満足することを特徴とする上記(1)に記載の溶鋼の脱硫処理方法。
h≦0.13 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
(3)前記脱硫フラックスの添加を、真空槽内に設置した上吹きランスを用いて行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の溶鋼の脱硫処理方法。
本発明を用いることで、脱硫フラックスの反応効率が飛躍的に向上し、同一のフラックス使用原単位であれば、より低い溶鋼中S濃度に低減できるため、脱硫フラックスの添加量を低減することが可能となる。これにより、スラグ排出量も低減することができ、環境負荷の低減による社会的貢献度は非常に大きい。
図1は、RH式真空脱ガス装置の概略図である。 図2は、溶鋼の下降速度を表す「環流量/下降管断面積」の比の値に応じて、脱硫処理後の溶鋼中S濃度に及ぼす真空槽内浴深の影響が変化することを示す図である。 図3は、脱硫処理後の溶鋼中S濃度低減に関する、「環流量/下降浸漬管断面積」及び真空槽内浴深の適切な範囲を示す図である。
本発明を実施するための形態を説明する。
本発明は転炉処理後にRH式真空脱ガス処理を行う場合を例として挙げるが、転炉処理とRH式真空脱ガス処理の間に、合金成分調整やスラグ改質を目的とした、大気圧下での不活性ガス吹き込みによる取鍋精錬処理を行っても良い。
転炉処理後に溶鋼を取鍋に出鋼する。取鍋をRH式真空脱ガス処理装置へ搬送し、真空処理を開始する。
本発明で用いるRH式環流型脱ガス装置は、例えば図1に示すような真空槽1を有する溶鋼処理装置である。図1に示すように、真空槽1は上昇浸漬管5および下降浸漬管6と連設されている。上昇浸漬管5および下降浸漬管6の一部は、取鍋9内の溶鋼8に浸漬されている。上昇浸漬管5には、還流ガス吹込み孔4が設けられている。還流ガス3は還流ガス吹込み孔4から、上昇浸漬管5内の溶鋼に吹き込まれる。また、真空槽1には不図示の合金添加孔が設けられており、さらに上吹きランスが設けられていることもある。本発明において、浴深hは真空槽1内の湯面から真空槽1の槽底2までの溶鋼深さを表す。(1)式中、還流量Qは溶鋼が下降浸漬管6を下降する流量であり、Aは下降浸漬管6の断面積である。
RH式真空脱ガス処理において、真空槽1内に添加された脱硫フラックスは、真空槽内の溶鋼流動によって下降浸漬管6の直上に運ばれる。その際、フラックスは真空槽内の溶鋼表面上に滞留してしまう傾向があり、その滞留比率が高くなると脱硫反応が生じる界面積は小さくなってしまう。したがって、脱硫反応を促進するためには、フラックスを溶鋼中に効率よく巻き込ませる必要がある。
そこで、真空槽内の溶鋼が下降浸漬管6を通じ下降する流れによって、真空槽内の溶鋼表面に滞留しているフラックスを巻き込ませることができる条件を検討した。フラックスを巻き込ませるためには、下降管内の下降流速を大きくすることと、真空槽内の浴深を浅くすることの二点が必要である。しかし、浴深については、過度に浅くすると、真空槽の底面にフラックスが付着してしまい、その付着したフラックスは脱硫反応に寄与しなくなる。一方、フラックスの巻き込みが生じる浴深の上限は、下降浸漬管内の下降流速に依存する。そのため、真空槽内の浴深には適正な範囲が存在するが、その範囲は装置形状や処理条件により異なる。そこで、フラックスを下降流に効率よく巻き込ませて脱硫反応効率を向上させることができる、装置形状に応じた処理条件を試験により明らかにした。
100〜250トンの溶鋼をRH式真空脱ガス処理装置を用いて脱硫処理するにあたり、C濃度が0.010〜0.10%、Si濃度が0.020〜0.50%、Mn濃度が0.30〜1.50%、Al濃度が0.025〜0.14%、S濃度が0.0028〜0.0032%である溶鋼に対し、真空槽内に最大粒径が150μmであるCaO粉体を脱硫フラックスとして添加した。脱硫フラックスの添加量は7.0kg/tに統一し、下降浸漬管内の下降流速を各所定の一定値に維持すべく溶鋼の環流量を所定値に制御した。
その所定の環流量において、真空槽内の溶鋼深さを所定の深さに維持した状態で、約10分間にわたってフラックスをArガスとともに連続的に溶鋼に吹き付けた。その吹き付けが完了した後、さらに5分間の溶鋼環流を施してから溶鋼のサンプルを採取し、その含有S濃度を分析して本発明に係る処理後のS%とした。なお、本願明細書において濃度を表す単位の%は、特に断りが無い限り質量%の意味で用いる。
ここで、溶鋼の環流量は、RH式真空脱ガス処理装置の環流量として一般的に用いられている次の(A)式により、主として環流ガス流量を調整することによって制御した。
Q=1.06・G1/3・D4/3・{ln(P/P)}1/3 ・・・(A)
(A)式中、Qは環流量(m/s)、Gは環流ガス流量(Nm/s)、D:浸漬管内径(m)、 Pは環流ガス吹き込み位置の静圧(Pa)、Pは真空槽内圧力(Pa)である。
また、真空槽内の浴深は、次の(B)式により、主として浸漬管の溶鋼中への浸漬深さを調整することによって制御した。
h=(P−P)/(ρ・g)+H−L ・・・(B)
h:真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さ(m)、P:大気圧(Pa)、P:真空槽内の圧力(Pa)、ρ:溶鋼密度(kg/m)、g:重力加速度(m/s)、H:浸漬管の浸漬深さ(m)、L:浸漬管下端から真空槽内の槽底までの長さ(m)
図2に、下降浸漬管内の下降流速として環流量/下降管断面積(Q/A)が0.53〜1.26m/sにおける、真空槽内浴深hと脱硫フラックスを添加して脱硫処理した後の溶鋼中S濃度との関係を、Q/Aの数値別に示す。図2(a)〜図2(d)に示したQ/Aが0.91〜1.26の各条件では点線が3本あり、左側の点線がh=0.05、中央の点線がh=0.13、右側の点線が前記した(2)式の右辺の値を表す。各所定のQ/Aにおいて、hが左側の点線の0.05から右側の点線の(2)式の右辺の値までの間で、脱硫処理後のS%が低くなっていることが分かった。さらに、hが左側の点線の0.05から中央の点線の0.13までの間が、最も脱硫処理後のS%が低かったことも分かった。
そして、Q/Aをさらに小さく0.80とした図2(e)の条件では、(2)式の右辺の値が0.14であって上記した0.13と近いため、点線が実質的に2本になっている。さらにQ/Aを0.63と小さくした図2(f)の条件では、(2)式の右辺の値が上記した0.13よりも小さくなっているため、0.13を示す点線が消滅している。しかし、脱硫処理後のS%は図2(a)〜図2(e)のhが0.05〜0.13の間の数値と同等の好成績であった。一方、さらにQ/Aを0.53と小さくした条件では、図2(g)に示すように、図2(a)〜図2(f)に示したS濃度が低かった範囲が消滅してしまっていた。
このように、Q/Aが0.53〜1.26m/sの範囲において、Q/Aの値を0.56以上にすると共に、その値に応じて真空槽内浴深hを適切な範囲内に制御することによって、脱硫フラックス添加して脱硫処理した後のS濃度は著しく低減されることが分かった。
図3に、上記した図2(a)〜図2(g)の結果に基づき、脱硫フラックスの添加を完了して脱硫処理を終えた後の溶鋼中S%の低減範囲について、環流量/下降管断面積(Q/A)と真空槽内浴深hの適正な範囲を纏めて示す。脱硫処理後のS濃度が0.0010%以下まで低減されたのは、先ずQ/Aが0.56以上の範囲である。図2(g)のようにQ/Aが0.56未満では、S濃度が低い領域というものが存在しなかった。このことは、このように下降流の流速が低い条件では、その流速が低すぎて、下降流が脱硫フラックスを巻き込むことができなかったためと考えられる。
次に、hが0.5m以上の範囲である。これは、図2(a)〜図2(g)の全条件においてhが0.5m未満では極端に処理後S%が高かったことから、真空槽内の浴深が浅すぎると真空槽内の底面にフラックスが堆積し、脱硫反応に寄与しなくなったためと考えられる。
さらに、浴深hが前記した(2)式の右辺である{0.39・(Q/A)−0.17}以下の領域である。これは下降流の流速が速いほど浴深hが深くても良いことを表しており、(2)式の右辺の値以下であれば下降管直上の湯面上に滞留していた脱硫フラックスが、下降流に巻き込まれて行ったことを示していると考えられる。
なお、図2(a)〜図2(e)において、浴深hが0.13m以下の場合に処理後S濃度が0.0005%以下と特に低位にあった。このため、下降流が速ければその速さに応じて浴面状の脱硫フラックスを巻き込んで脱硫が促進されるものの、その巻き込み効果にはある程度の揺らぎがあるため、hが0.13mという浅い条件でその揺らぎの影響がほぼ無くなって、脱硫フラックスの巻き込み効率が安定して高くなったためと考えられる。この巻き込み状況の揺らぎは、(2)式の右辺の条件を満たす下降流速で巻き込みが発生していることが前提なので、浴深hが0.13m以下でも下降流速が遅過ぎては揺らぎの影響解消効果が現れることがない。
環流量/下降管断面積(Q/A)の上限は、本発明の目的である真空槽内の浴面上に滞留している脱硫フラックスを下降流に巻き込むためには特に定める必要がないが、実際上は特定の下降浸漬管断面積Aに対して現実的な環流量Qが定まってくる。したがって、今回の調査範囲であるQ/A=1.26を含み、さらに下降流速が速いQ/A=1.50程度までが本発明の対象範囲と想定される。
真空槽内の圧力は67〜13300Paが望ましい。さらには133〜6670Paが望ましい。圧力が低すぎると環流量が増加する一方で、環流ガスとして吹き込まれた気泡の破裂時の溶鋼飛散が激しくなり、この悪影響の度合いが強くなる場合がある。圧力が高すぎると、環流量が低下してしまい、合金添加に伴う成分調整、脱ガス、清浄化といった脱硫反応以外への悪影響が強くなる場合がある。
RH式真空脱ガス装置を用いた処理中に、真空槽内の溶鋼へ脱硫フラックスを添加する。脱硫フラックスの添加方法は、合金添加孔からの添加や、真空槽内に設置したランスからの吹き付け添加があるが、フラックスが真空排気の集じんロスを低減するためには、ランスからの吹き付け添加が好ましい。
脱硫フラックスの添加量は1〜10kg/tが好ましい。1kg/t未満では、脱硫フラックスの量そのものが不足してしまい、S濃度の低減が十分にできない場合がある。10kg/tを超えて大きいと、溶鋼内に巻き込まれるフラックス粒子が多くなりすぎてしまうことで、溶鋼中に残留してしまい、鋼材特性に影響を及ぼす場合がある。
脱硫フラックスはCaOを主体とする組成であるが、ここでいうCaOを主体とするフラックスとは、CaO純分の濃度が80%以上であり、残部はフラックスの融点を低下させるためにCaFやAlを含んでもよく、また脱酸を強化するためにCaSiといった合金粉末を含んでもよい。さらに不可避的に混入する不純物成分を含有してもよい。CaO純分の濃度が80%未満の場合、フラックスの精錬反応効率が低下する場合がある。
脱硫フラックス粒子の最大粒径は、溶鋼と脱硫フラックス粒子との界面面積を広くするために1mm以下等の微粉が好ましく、さらに0.15mm以下などと粒子径を小さくするほど一層好ましい。
脱硫フラックスを添加する際、溶鋼中Al濃度は0.010〜0.20質量%が望ましい。Alは強脱酸元素であり、フラックスと平衡するS濃度を低下させる効果がある。そのため、Al濃度が0.010質量%未満では、溶鋼中の脱酸が不十分となり、平衡S濃度が高濃度化し、脱硫反応が生じにくくなる場合がある。Al濃度が0.20質量%超えでは、脱酸効果が飽和してしまう場合がある。好ましくは0.020〜0.14%であり、より好ましくは0.025〜0.14%である。
なお、脱硫フラックス添加の前後に成分調整のための合金添加や、脱ガス処理、温度調整処理を行ってもよい。
転炉で脱炭処理した溶鋼250トンを取鍋に出鋼した。出鋼時に、取鍋ごと溶鋼をRH式真空脱ガス処理装置まで搬送した後、真空処理を開始した。真空槽内の圧力は133〜13000Paとした。
真空処理開始後に合金成分や金属Alを添加し、溶鋼組成をC濃度が0.010〜0.10%、Si濃度が0.020〜0.50%、Mn濃度が0.30〜1.50%、Al濃度が0.025〜0.14%に調整した。溶鋼中のS濃度は0.0027〜0.0031%であった。その後、真空槽内の溶鋼に脱硫フラックスとして最大粒径が150μmのCaOを6.5〜7.5kg/t添加して脱硫処理を行った。表1に本発明に係る操業の結果を比較例の結果と対比して示す。なお、表1中の比較例において、下線を付した値は本発明に係る発明特定要件の範囲から外れていることを示す。
表1に示したように、環流量/下降管断面積ならびに真空槽内浴深が本発明の規定する範囲を満足するように操業したNo.1〜No.4では、真空槽内に添加した脱硫フラックスを下降流に巻き込ませることができたために、脱硫処理後のS濃度を0.0010%以下に低減することができていた。特に、真空槽内浴深を(3)式の範囲を満足するように制御したNo.3、No.4では、脱硫処理後のS濃度を0.0005%以下まで脱硫することができていた。
一方、比較のために下降管内の下降流速である環流量/下降管断面積を小さくしたNo.5では、脱硫処理後のS濃度が0.0016%と低減不十分であった。
また、真空槽内の浴深を本発明の規定する範囲を超えて浅くしたNo.6では、脱硫処理後のS濃度が0.0022%と最も高濃度であった。
さらに、真空槽内の浴深を本発明の規定する範囲を超えて深くしたNo.7〜No.9でも、脱硫処理後のS濃度が0.0015〜0.0018%と低減不十分であった。

Claims (3)

  1. 真空槽と溶鋼上昇浸漬管及び溶鋼下降浸漬管とを有するRH式真空脱ガス処理装置を用いる溶鋼の真空処理において、その真空槽内に脱硫フラックスを添加して溶鋼を脱硫処理するにあたり、
    当該溶鋼の環流量と前記下降浸漬管の断面積との比(Q/A)が(1)式を満足し、かつ、前記真空槽内の湯面から槽底までの深さである浴深(h)が(2)式を満足することを特徴とする溶鋼の脱硫処理方法。
    0.56≦(Q/A) ・・・・・・・・・・・・・・(1)
    0.05≦h≦0.39・(Q/A)−0.17 ・・・(2)
    (1)式中、Qは溶鋼の環流量(m/s)、Aは下降浸漬管の断面積(m)であり、(2)式中、hは真空槽内の浴深(m)である。
  2. 前記浴深(h)が更に(3)式を満足することを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の脱硫処理方法。
    h≦0.13 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
  3. 前記脱硫フラックスの添加を、真空槽内に設置した上吹きランスを用いて行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶鋼の脱硫処理方法。
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