JP2009203539A - 溶鋼の真空脱ガス処理装置及び真空脱ガス精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 RH真空脱ガス装置のような2本の浸漬管を有する真空脱ガス処理装置を用いて溶鋼の精錬を行うに際し、新たな装置を設置する必要がなく、処理コストの上昇を招くことなく、溶鋼の環流量を増大させ、脱ガス精錬反応速度の向上並びに処理時間の短縮を達成することのできる真空脱ガス処理装置を提供する。
【解決手段】 本発明の真空脱ガス処理装置1は、脱ガス槽5の下部に、取鍋2内の溶鋼3を脱ガス槽内に導くための上昇側浸漬管8と、脱ガス槽で処理した溶鋼を脱ガス槽から取鍋へ戻すための下降側浸漬管9との2本の浸漬管を有する真空脱ガス処理装置において、前記上昇側浸漬管の内径(Du)と前記下降側浸漬管の内径(Dd)とが下記の(1)式の関係の範囲内で、下降側浸漬管の内径(Dd)が上昇側浸漬管の内径(Du)よりも大きいことを特徴とする。 Du<Dd<1.4×Du …(1)
【選択図】 図1

Description

本発明は、取鍋内の溶鋼を脱ガス槽内に導くための上昇側浸漬管と、脱ガス槽で処理した溶鋼を脱ガス槽から取鍋へ戻すための下降側浸漬管とを有する溶鋼の真空脱ガス処理装置、並びに、この真空脱ガス処理装置を用いた溶鋼の真空脱ガス精錬方法に関するものである。
鋼材の高級化並びにその需要の多様化に伴い、真空脱ガス処理を要する鋼種及び数量は益々増加する傾向にあり、真空脱ガス処理に要する時間を短縮することによって、脱ガス処理能力の向上並びに転炉からの出鋼時の溶鋼温度低下による製造コストの削減が強く望まれる状況にある。
このような状況下、真空脱ガス処理設備としては、処理能力に優れることから、RH真空脱ガス装置が広く使用されている。このRH真空脱ガス装置は、溶鋼を減圧下で処理するための脱ガス槽の下部に2本の浸漬管を有し、一方を上昇側浸漬管、他方を下降側浸漬管として、これら2本の浸漬管を取鍋内の溶鋼に浸漬させ、脱ガス槽内を減圧することにより、上昇側浸漬管から吹き込む不活性ガスによるガスリフト効果を利用して取鍋内の溶鋼を上昇側浸漬管から脱ガス槽に導き、脱ガス槽内で溶鋼を減圧下に曝して精錬し、その後、溶鋼を下降側浸漬管から取鍋に戻し、この循環を連続して実施して、溶鋼に脱ガス精錬を施すという装置である。取鍋から脱ガス槽を循環する溶鋼の流れを「環流」と呼んでいる。
RH真空脱ガス装置では、溶鋼の減圧下での脱炭精錬、取鍋と脱ガス槽とを循環する溶鋼に脱硫剤を添加して行う脱硫精錬、溶鋼中の窒素や水素などのガス成分を減圧下で除去するガス成分除去精錬、更には、強攪拌を利用した、溶鋼中に懸濁する非金属介在物の分離除去精錬が行われている。つまり、溶鋼中の不純物成分を除去し、高純度で高清浄性の溶鋼を溶製する目的で使用されている。これらの精錬において、不純物成分を速やかに除去するには、単位時間当りの還流する溶鋼量(「環流量」という)を増加させることが効果的であり、そのために、環流量を増加させるための手段が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、200℃ないし1000℃に加熱した、脱ガス槽の真空度及び上昇側浸漬管の内径から定められる所定量の不活性ガスを0.5MPa以上の圧力で上昇側浸漬管に吹き込んで行う真空脱ガス処理方法が提案されている。しかし、この方法では、不活性ガスを加熱するための設備が必要であり、これにより処理コストが上昇するという問題点がある。
特許文献2には、脱ガス槽を下方に延長して下向きに開口した外側浸漬筒を設け、この外側浸漬筒の内部に同心に上下方向に開口した内側浸漬筒を配設し、内側浸漬筒に設けた環流用ガス吹き込み口からArガスを吹き込んで溶鋼を上昇させ、一方、内側浸漬筒と外側浸漬筒との間隙を溶鋼の下降流路とする、溶鋼の環流量を増大させた真空脱ガス処理装置が提案されている。しかし、この装置では、内側浸漬筒と外側浸漬筒とが必要であり、装置が複雑になるばかりでなく、耐火物などの使用する資材が多くなり、これにより処理コストが上昇するという問題点がある。
特許文献3には、RH真空脱ガス装置において、上昇側浸漬管の下端部の内径を下向きに拡大させることが提案されている。しかし、この方法では、上昇側浸漬管の形状が複雑になり、複雑であることから使用中の熱応力により亀裂が発生しやすく、耐火物の寿命が短くなり、補修時間が多くなるなどの操業阻害が生ずるのみならず、処理コストも高くなるという問題点がある。
特許文献4には、上昇側浸漬管の直下位置に相当する取鍋底部にポーラス煉瓦を配置し、このポーラス煉瓦から不活性ガスを吹き込み、上昇側浸漬管に吹き込む環流用ガスによる環流を強化する方法が提案されている。しかし、この方法では、取鍋に別途ポーラス煉瓦を設置する必要があり、これにより処理コストが上昇するという問題点がある。
特許文献5には、上昇側浸漬管に配置する環流用ガス吹き込み管を、内部に向かって斜め上向きとなるように配置することが提案されている。環流用不活性ガスは溶鋼に対して比重が極めて小さく、水平方向に吹き込んだ場合も環流用不活性ガスは直ちに上向き方向に移動することから、単に斜め上向きに吹き込む上記方法のみでは、環流量の大幅な増加は期待できない。
また、特許文献6には、上昇側浸漬管に設置される環流用ガス吹き込み口の近傍の浸漬管内周面に超音波加振子を配置し、この超音波加振子によって環流用ガス吹き込み口から吹き込まれた不活性ガスの気泡を微細化することが提案されている。しかし、この方法では、超音波加振子や超音波発信装置が必要であり、これにより処理コストが上昇するという問題点がある。
ところで、RH真空脱ガス装置における環流量は、一般的に下記の(2)式で計算されることが多い。
Q=11.4×G1/3×D4/3×[ln(P1/P2)]1/3…(2)
但し、(2)式において、Qは溶鋼環流量(トン/min)、Gは環流用ガス流量(NL/min)、Dは浸漬管内径(m)、P1は大気圧(Pa)、P2は脱ガス槽内圧力(Pa)である。
(2)式において、浸漬管内径(D)のべき数は、環流用ガス流量(G)のべき数に較べて大きいことから、溶鋼環流量の増加には、浸漬管内径(D)を拡大した方が環流用ガス流量(G)を増加することよりも効果のあることが明らかであり、一般に、脱ガス精錬の反応効率を向上させる手段として、溶鋼環流量を増大させるべく、浸漬管の内径を拡大することが行われている。
しかしながら、RH真空脱ガス装置は、上昇側浸漬管及び下降側浸漬管を脱ガス槽の下部に並べて設置する必要があり、浸漬管を構成する耐火物の厚みを考慮すると、浸漬管の内径は必然的に脱ガス槽の内径の1/2未満になる。このため、浸漬管の断面積は、脱ガス槽の断面積の1/4より小さくなる。一方、脱ガス槽の内径は、脱ガス精錬中に脱ガス槽の下端部を取鍋の上端位置よりも取鍋内部側に挿入させる必要があることから、自ずと取鍋の内径に制約を受ける。
このような事情から、上昇側浸漬管及び下降側浸漬管ともに、内径拡大による環流量の向上は限界に達しているのが実情である。
特開2007−31820号公報 特開平8−269534号公報 特開平7−150225号公報 特開平4−131316号公報 特開平5−1319号公報 特開平2−173205号公報
上記説明のように、従来、RH真空脱ガス装置において、環流量を増大させるための手段が多数提案されているが、何れも新たな装置を設置する必要があったり、装置の形状が複雑になったり、或いは、耐火物寿命が短くなったりするなどによって、処理コストの上昇を余儀なくされていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、RH真空脱ガス装置のような2本の浸漬管を有する真空脱ガス処理装置を用いて溶鋼の精錬を行うに際し、新たな装置を設置する必要がなく、処理コストの上昇を招くことなく、溶鋼の環流量を増大させ、脱ガス精錬反応速度の向上並びに処理時間の短縮を達成することのできる真空脱ガス処理装置を提供することであり、且つ、当該真空脱ガス処理装置を使用した真空脱ガス精錬方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶鋼の真空脱ガス処理装置は、脱ガス槽の下部に、取鍋内の溶鋼を脱ガス槽内に導くための上昇側浸漬管と、脱ガス槽で処理した溶鋼を脱ガス槽から取鍋へ戻すための下降側浸漬管との2本の浸漬管を有する真空脱ガス処理装置において、前記上昇側浸漬管の内径(Du)と前記下降側浸漬管の内径(Dd)とが下記の(1)式の関係の範囲内で、下降側浸漬管の内径(Dd)が上昇側浸漬管の内径(Du)よりも大きいことを特徴とする。
Du<Dd<1.4×Du …(1)
また、第2の発明に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法は、第1の発明に記載の溶鋼の真空脱ガス処理装置を用い、前記上昇側浸漬管によって取鍋内の溶鋼を脱ガス槽に導入すると同時に、前記下降側浸漬管によって脱ガス槽内の溶鋼を取鍋内に排出させ、かくして取鍋内の溶鋼を取鍋と脱ガス槽との間で環流させながら精錬することを特徴とする。
本発明によれば、下降側浸漬管の内径を上昇側浸漬管の内径に対して所定の範囲内で大きくするので、下降側環流管における流れに対する抵抗が最小となり、新たな装置を設置しなくとも、溶鋼の環流量を増大させることができる。その結果、脱ガス精錬反応速度の向上並びに処理時間の短縮が可能となり、大幅な処理コストの削減が達成される。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯を説明する。
本発明者等は、上昇側浸漬管及び下降側浸漬管の2本の浸漬管を有する真空脱ガス処理装置として最も代表的な装置であるRH真空脱ガス装置において、取鍋と脱ガス槽とを還流する溶鋼の環流量を増加させることを研究・検討した。その結果、上昇側浸漬管と下降側浸漬管とが同一の内径の場合には、下降側浸漬管における溶鋼の流れが、装置全体の環流量の律速となっていることを知見した。
そこで、下降側浸漬管の内径を上昇側浸漬管の内径よりも大きくする方向で、それぞれの浸漬管の内径を変化させて環流量を測定した。その結果、下降側浸漬管の内径を上昇側浸漬管の内径よりも大きくすることにより、環流量が増加することを確認した。しかしながら、下降側浸漬管の内径を大きくし過ぎると、具体的には、上昇側環流管の内径の1.4倍を超える内径に拡大すると、逆に、還流量は、内径が同一であった場合よりも減少することを確認した。そして、最も環流量が増加するのは、下降側浸漬管の内径を上昇側浸漬管の内径の約1.15〜1.25倍とする範囲であることも分かった。
本発明は、これらの知見に基づくものであり、取鍋内の溶鋼を脱ガス槽内に導くための上昇側浸漬管と、脱ガス槽で処理した溶鋼を脱ガス槽から取鍋へ戻すための下降側浸漬管との2本の浸漬管を有する真空脱ガス処理装置において、下降側浸漬管の内径を、上昇側浸漬管の内径の1.4倍を超えない範囲で、上昇側浸漬管の内径よりも大きくすることを特徴としている。
次に、本発明に係る真空脱ガス処理装置を、RH真空脱ガス装置を例として説明する。図1は、上昇側浸漬管の内径よりも下降側浸漬管の内径の方が大きい、本発明に係るRH真空脱ガス装置の縦断面概略図である。
図1に示すように、RH真空脱ガス装置1は、上部槽6及び下部槽7からなる脱ガス槽5と、下部槽7の下部に設けられた上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9の2つの浸漬管とを備えており、上部槽6には、排気装置(図示せず)と接続するダクト11と、成分調整用合金鉄や脱硫剤などを投入するための原料投入口12と、脱ガス槽5の内部を上下方向に移動可能な上吹きランス13と、が設けられ、また、上昇側浸漬管8には環流用ガス吹き込み管10が設けられている。環流用ガス吹き込み管10からは環流用ガスとしてArガスが上昇側浸漬管8の内部に吹き込まれる構造となっている。図1では、環流用ガス吹き込み管10を1本のみ記載しているが、上昇側浸漬管8にはその円周方向に、1つの供給管から枝分かれした複数個の環流用ガス吹き込み管10が、その吐出方向を上昇側浸漬管8の中心部に向けて設置されている。また、上吹きランス13は、酸素ガスを脱ガス槽5の内部の溶鋼3に向かって吹き付けることができるように構成されている。但し、希ガスのみを吹き込んだり、希ガスと酸素ガスとの混合ガスを吹き込んだりすることもできるのみならず、CaO系媒溶剤などを搬送用ガスとともに溶鋼3に向かって吹き付けることもできるように構成されている。
図中、Duは上昇側浸漬管8の内径、Ddは下降側浸漬管9の内径である。この下降側浸漬管9の内径Ddは、上昇側浸漬管8の内径Duの1.4倍を超えない範囲で、上昇側浸漬管8の内径Duよりも大きくなっている。この場合、環流量増加の効果が最も大きくなることから、下降側浸漬管9の内径Ddを、上昇側浸漬管8の内径Duの1.15〜1.25倍の範囲内とすることが好ましい。尚、上昇側浸漬管8の内径Du及び下降側浸漬管9の内径Ddは、両者で径は異なるものの一定であり、下方或いは上方に向かって内径が拡大するなどのことはない。また、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9は、厚みの略中央部に芯金(図示せず)を有し、その両側にアルミナ質耐火物、マグネシア質耐火物、或いはマグネシア−クロム質耐火物などが施工されて構成されている。
このように構成されるRH真空脱ガス装置1において、次のようにして溶鋼3を精錬する。転炉や電気炉などで精錬した溶鋼3を収納する取鍋2を、脱ガス槽5の直下に搬送し、取鍋2を昇降装置(図示せず)によって上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋2に収容された溶鋼3に浸漬させる。溶鋼3の上にはスラグ4が存在するので、スラグ4が脱ガス槽5の内部に入らないようにするために、例えば、薄鋼板などを、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を浸漬する前にその下方に配置する。浸漬後、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8の内部にArガスを環流用ガスとして吹き込むとともに、脱ガス槽5の内部をダクト11に連結される排気装置にて排気して脱ガス槽5の内部を減圧する。脱ガス槽5の内部が減圧されると、取鍋2に収容された溶鋼3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれるArガスとともにガスリフト効果によって上昇側浸漬管8を上昇して脱ガス槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
即ち、溶鋼3は、脱ガス槽5の内部で減圧下に曝され、その結果、溶鋼3に含まれる不純物成分である炭素、窒素、水素は、取鍋内における大気圧下での平衡状態から減圧下での平衡状態へと強制的に移行させられ、溶鋼3に対して、脱炭精錬及びガス成分除去精錬が施される。また、溶鋼3は、前記環流により激しく攪拌され、この攪拌によって脱酸生成物である酸化物系非金属介在物の凝集・合体が促進され、酸化物系非金属介在物の分離除去精錬が行われている。また、更に、原料投入口12などから脱硫剤を添加した場合には、前述した溶鋼3の強攪拌によって溶鋼3と脱硫剤との混合が促進され、溶鋼中の硫黄と脱硫剤とが反応して脱硫精錬が行われる。硫黄を捕り込んだ脱硫剤は下降側浸漬管9から排出された後、スラグ4に吸収される。
これらの精錬は、溶鋼3の環流量が多いほど促進され、短時間で終了する。上記構成のRH真空脱ガス装置1においては、下降側浸漬管9の内径Ddの方が、上昇側浸漬管8の内径Duよりも大きいので、上昇側環流管8及び下降側環流管9の内径が同一である従来の場合に比較して環流量が増加し、短時間で所望する脱ガス精錬を完了することが可能となる。
以下に、RH真空脱ガス装置1において溶鋼3に対して行われる脱ガス精錬について詳しく説明する。尚、水素及び窒素を除去するガス成分除去精錬及び脱酸生成物などの酸化物系非金属介在物の分離除去精錬は、RH真空脱ガス装置1において溶鋼3を取鍋2と脱ガス槽5との間で環流させることにより必然的に施される精錬であるので、それ以外の人為的に行われる脱炭精錬及び脱硫精錬について説明する。ここでは、脱炭精錬及び脱硫精錬の両方を実施する場合について説明する。尚、RH真空脱ガス装置1で行われる減圧下での脱炭精錬を「真空脱炭精錬」と呼び、大気圧下での転炉における脱炭精錬と区別している。
真空脱炭精錬は、溶鋼中の溶存酸素濃度が高いほど進行するので、転炉或いは電気炉で溶製した溶鋼を、脱酸処理せずに未脱酸のまま取鍋2に出鋼し、RH真空脱ガス装置1に搬送する。転炉或いは電気炉からの出鋼時、炉内のスラグの一部が溶鋼とともに取鍋2に流出し、取鍋2の溶鋼上にスラグ4として滞留する。このスラグ4は、脱酸処理後の溶鋼中のAlと反応して溶鋼3の清浄性を損なうので、スラグ4に金属Alなどのスラグ改質剤を添加して、スラグ4を改質することが好ましい。
未脱酸の溶鋼3を脱ガス槽5の内部の減圧雰囲気に曝すと、脱ガス槽5の内部雰囲気のCOガス分圧は大気圧下で実施した転炉或いは電気炉での脱炭精錬時に比べて大幅に小さいので、溶鋼中の炭素と溶存酸素との反応が発生する。つまり、脱炭反応が発生し、溶鋼3に含まれる炭素はCOガスとなって排ガスとともに脱ガス槽5からダクト11を介して排出され、溶鋼3に真空脱炭精錬が施される。この場合に、溶鋼3の溶存酸素が不足するなどの理由で脱炭反応が遅延する場合には、上吹きランス13から脱ガス槽5の内部の溶鋼3に向かって酸素ガス或いは酸素ガスと希ガスとの混合ガスを吹き付けて、脱炭反応を促進させることもできる。
このようにして真空脱炭精錬を継続し、溶鋼3の炭素含有量が所定の値以下となったなら、原料投入口12から溶鋼3に金属Alなどの脱酸剤を添加して溶鋼3を脱酸処理する。この脱酸処理により、溶鋼中の溶存酸素濃度が急激に低下し、真空脱炭精錬が終了する。真空脱炭精錬中、酸素ガスや酸化鉄などを脱ガス槽5に供給していた場合には、前記脱酸剤を添加する前に、酸素ガスや酸化鉄などの供給を停止する。
溶鋼3を脱酸処理した後、原料投入口12から脱硫剤を投入し、脱硫精錬を実施する。この場合、上吹きランス13から、Arガスを搬送用ガスとして、脱硫剤を脱ガス槽5の内部の溶鋼3に向けて吹き付けてもよい。所定量の脱硫剤の添加を完了した以降、更に、数分間の環流を継続し、脱硫剤の浮上・分離を促進させる。更に、その後必要に応じて溶鋼3を還流しながら、Al、Si、Mn、Ni、Cr、Cu、Nb、Ti、V、Bなどの成分調整剤を原料投入口12から溶鋼3に投入して溶鋼3の成分を調整する。成分調整後、脱ガス槽5の内部を大気圧に戻してRH真空脱ガス精錬を終了する。真空脱炭精錬を不要とする場合は、処理開始後直ちに脱硫精錬を実施し、また、脱硫精錬を不要とする場合は、脱酸処理後、直ちに溶鋼3の成分を調整すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、下降側浸漬管9の内径Ddを上昇側浸漬管8の内径Duに対して所定の範囲内で大きくするので、下降側環流管9における流れに対する抵抗が最小となり、新たな装置を設置しなくとも、溶鋼3の環流量を増大させることができ、その結果、脱ガス精錬反応速度の向上並びに処理時間の短縮が可能となる。
RH真空脱ガス装置にて、上昇側浸漬管の内径Duと、下降側浸漬管の内径Ddとの関係を種々に変更し、溶鋼にトレーサーとして銅を添加し、均一混合時間を測定した。そして、この均一混合時間から溶鋼の環流量を求めた。
用いた溶鋼の化学成分は、C:0.03〜0.035質量%、Si:0.05質量%以下、Mn:0.3質量%以下、P:0.02質量%以下、S:0.003質量%以下であり、溶鋼温度は1600〜1650℃であった。
図2に、横軸を、上昇側浸漬管の内径Duと下降側浸漬管の内径Ddとの比(Dd/Du)とし、縦軸を環流量比として、得られた試験結果を示す。ここで、縦軸の環流量比とは、上昇側浸漬管の内径Duと、下降側浸漬管の内径Ddとが同じ場合、つまり比(Dd/Du)が1.0の場合の環流量を1.0として表示している。
図2に示すように、比(Dd/Du)が1.0よりも大きい場合、つまり、下降側浸漬管の内径Ddが上昇側浸漬管の内径Duよりも大きい場合に、環流量比が増加することが確認できた。しかしながら、比(Dd/Du)が1.4よりも大きくなると、逆に、環流量比は1.0よりも小さくなることが確認できた。
この結果から、比(Dd/Du)を1.0よりも大きく且つ1.4未満とすることで、環流量が増加することが確認できた。
RH真空脱ガス装置において溶鋼の真空脱炭精錬を実施する際に、上昇側浸漬管の内径Duと、下降側浸漬管の内径Ddとの関係を種々に変更し、試験を実施した。この真空脱炭精錬中、取鍋内の溶鋼から分析試料を採取して、溶鋼中の炭素濃度の経時変化を調査し、炭素濃度が所定値になった時点を処理完了時点として、それまでの所用時間を脱炭処理時間と定義した。
図3に、横軸を、上昇側浸漬管の内径Duと下降側浸漬管の内径Ddとの比(Dd/Du)とし、縦軸を脱炭処理時間比として、得られた試験結果を示す。ここで、縦軸の脱炭処理時間比とは、上昇側浸漬管の内径Duと、下降側浸漬管の内径Ddとが同じ場合、つまり比(Dd/Du)が1.0の場合の脱炭処理時間を1.0として表示している。
図3に示すように、比(Dd/Du)が1.0よりも大きい場合、つまり、下降側浸漬管の内径Ddが上昇側浸漬管の内径Duよりも大きい場合に、脱炭処理時間比が減少することが確認できた。しかしながら、比(Dd/Du)が1.4よりも大きくなると、逆に、脱炭処理時間比は1.0よりも大きくなることが確認できた。
この結果から、比(Dd/Du)を1.0よりも大きく且つ1.4未満とすることで、脱炭処理時間が従来よりも短くなることが確認できた。
RH真空脱ガス装置において溶鋼の脱硫精錬を実施する際に、上昇側浸漬管の内径Duと、下降側浸漬管の内径Ddとの関係を種々に変更し、試験を実施した。この脱硫精錬中、取鍋内の溶鋼から分析試料を採取して、溶鋼中の硫黄濃度の経時変化を調査し、硫黄濃度が所定値になった時点を処理完了時点として、それまでの所用時間を脱硫処理時間と定義した。
図4に、横軸を、上昇側浸漬管の内径Duと下降側浸漬管の内径Ddとの比(Dd/Du)とし、縦軸を脱硫処理時間比として、得られた試験結果を示す。ここで、縦軸の脱硫処理時間比とは、上昇側浸漬管の内径Duと、下降側浸漬管の内径Ddとが同じ場合、つまり比(Dd/Du)が1.0の場合の脱硫処理時間を1.0として表示している。
図4に示すように、比(Dd/Du)が1.0よりも大きい場合、つまり、下降側浸漬管の内径Ddが上昇側浸漬管の内径Duよりも大きい場合に、脱硫処理時間比が減少することが確認できた。しかしながら、比(Dd/Du)が1.4よりも大きくなると、逆に、脱硫処理時間比は1.0よりも大きくなることが確認できた。
この結果から、比(Dd/Du)を1.0よりも大きく且つ1.4未満とすることで、脱硫処理時間が従来よりも短くなることが確認できた。
本発明に係るRH真空脱ガス装置の縦断面概略図である。 比(Dd/Du)と環流量比との関係を示す図である。 比(Dd/Du)と脱炭処理時間比との関係を示す図である。 比(Dd/Du)と脱硫処理時間比との関係を示す図である。
符号の説明
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 脱ガス槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口
13 上吹きランス

Claims (2)

  1. 脱ガス槽の下部に、取鍋内の溶鋼を脱ガス槽内に導くための上昇側浸漬管と、脱ガス槽で処理した溶鋼を脱ガス槽から取鍋へ戻すための下降側浸漬管との2本の浸漬管を有する真空脱ガス処理装置において、前記上昇側浸漬管の内径(Du)と前記下降側浸漬管の内径(Dd)とが下記の(1)式の関係の範囲内で、下降側浸漬管の内径(Dd)が上昇側浸漬管の内径(Du)よりも大きいことを特徴とする、溶鋼の真空脱ガス処理装置。
    Du<Dd<1.4×Du …(1)
  2. 請求項1に記載の溶鋼の真空脱ガス処理装置を用い、前記上昇側浸漬管によって取鍋内の溶鋼を脱ガス槽に導入すると同時に、前記下降側浸漬管によって脱ガス槽内の溶鋼を取鍋内に排出させ、かくして取鍋内の溶鋼を取鍋と脱ガス槽との間で環流させながら精錬することを特徴とする、溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
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