JP2016056098A - 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法、ならびに有機半導体材料 - Google Patents

含フッ素芳香族化合物及びその製造方法、ならびに有機半導体材料 Download PDF

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Abstract

【課題】ドライプロセス・ウェットプロセスのいずれにも適用可能であり、さらに、高キャリア移動度を有する有機半導体材料となる有機化合物およびその製造方法を提供する。【解決手段】下式(1)で表される含フッ素芳香族化合物。[下式において、Rf1、Rf2は、互いに異なる基であり、Rf1は炭素数1〜3の直鎖状ペルフルオロアルキル基であり、Rf2は炭素数2〜12の直鎖状ペルフルオロアルキル基である。Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、および水素原子から選ばれる基である。AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、m、nは整数、m+nは3〜6である。]【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体材料、ならびに該有機半導体材料として有用な新規な含フッ素芳香族化合物及びその製造方法に関する。さらに、本発明は、含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体薄膜、有機半導体素子及び有機半導体トランジスタに関する。
近年、有機化合物を半導体材料として用いた有機半導体素子は、従来のシリコン等の無機半導体材料を用いた半導体素子と比べて、その加工性が容易であることから、低価格なデバイスの実現が期待されている。また、有機化合物の半導体材料は、構造的に柔軟であることから、プラスチック基板と組み合わせて用いることで、フレキシブルなディスプレイ等のデバイスを実現することが期待されている。
有機半導体の加工プロセスには、蒸着によるドライプロセスと、塗布やプリンタブル、インクジェットなど、有機溶媒を用いたウェットプロセスとが知られている。従来の有機半導体材料は有機溶媒に対して溶解性が低く、ウェットプロセスの適用が困難であったため、ドライプロセスが広く利用されてきた。一方、ウェットプロセスは、容易で安価であり、環境負荷が小さい製造プロセスとなる。
一般に、有機半導体材料にはキャリア移動度の向上が求められている。有機半導体材料において、キャリア移動度の向上のための手段としては、未だ有効な手段は確立していないが、分子間相互作用の強化や、分子配列の制御が重要と考えられている。例えば、縮合多環系化合物は、平面構造により共役系が拡張され、π−πスタックによる強い分子間相互作用を持つとして、有機半導体材料としての利用が試みられている(非特許文献1)。
縮合多環系化合物のうちアセン化合物は有機半導体材料として優れた機能が期待されている。たとえば、特許文献1には、ウェットプロセスによりアセン化合物を有機半導体材料として使用するために、アセン骨格にアルキル基等の基を導入することで、有機溶媒への溶解性を高める手法が開示されている。特許文献2には、重金属を用いたカップリング反応によるペルフルオロアルキル基を有するアセン化合物の製造方法が開示されている。
特開2007−13097号公報 国際公開第2011/022678号
D.J.Gundlach, S.F.Nelson, T.N.Jachson et al., Appl.Phys.Lett.,(2002),80,2925.
しかし特許文献1及び2には、本発明のような骨格を有するアセン系の縮合多環系化合物については、一切開示がない。
本発明は、ドライプロセス及びウェットプロセスのいずれにも適用可能であり、かつキャリア移動度が高い構造を有するアセン型の縮合多環系化合物及びその製造方法と、当該化合物を含む有機半導体材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、低極性溶媒にも比較的可溶な特定構造の含フッ素芳香族化合物を新たに見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記<1>〜<10>に関する。
<1> 下式(1)で表される含フッ素芳香族化合物。
Figure 2016056098
[上記式において、Rf1、Rf2は、互いに異なる基であり、Rf1は炭素数1〜3の直鎖状ペルフルオロアルキル基であり、Rf2は炭素数2〜12の直鎖状ペルフルオロアルキル基である。
Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、及び水素原子から選ばれる基である。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、及びフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、Aを付したベンゼン環構造AとBを付したベンゼン環構造Bが結合する順序は制限されない。
mは、ベンゼン環構造Aの繰り返し数、nはベンゼン環構造Bの繰り返し数であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数、m+nは3〜6である。]
<2> 式(1)で表される化合物が下式(1−1)で表される化合物である上記<1>に記載の含フッ素芳香族化合物。
Figure 2016056098
[ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。]
<3> 式(1)で表される化合物が下式(1−11)で表される化合物である上記<1>に記載の含フッ素芳香族化合物。
Figure 2016056098
[ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。]
<4> 上記<1>〜<3>のいずれか1に記載の含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料。
<5> 上記<4>に記載の有機半導体用材料で構成される有機半導体薄膜。
<6> 上記<4>に記載の有機半導体用材料で構成され、結晶性を有する有機半導体薄膜。
<7> 基板上に、上記<5>又は<6>に記載の有機半導体薄膜が形成された有機半導体素子。
<8> ゲート電極、誘電体層、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層を備えるトランジスタにおいて、前記半導体層が上記<5>又は<6>に記載の有機半導体薄膜で構成されるトランジスタ。
<9> 下式(2)で示される化合物を、式Rf1−Si(CHで表される化合物と反応させて下式(3)で表される化合物を得て、つぎに該式(3)で表される化合物と式Rf2−Xで表される化合物とを反応させて下式(4)で表される化合物を得て、つぎに、該式(4)で表される化合物において脱保護反応及び芳香族化反応を行うことを特徴とする下式(1)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
Figure 2016056098
[上記式において、Rf1、Rf2は、互いに異なる基であり、Rf1は炭素数1〜3の直鎖状ペルフルオロアルキル基であり、Rf2は炭素数2〜12の直鎖状ペルフルオロアルキル基である。
Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、及び水素原子から選ばれる基である。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、及びフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、Aを付したベンゼン環構造AとBを付したベンゼン環構造Bが結合する順序は制限されない。
mは、ベンゼン環構造Aの繰り返し数、nはベンゼン環構造Bの繰り返し数であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数、m+nは3〜6である。
Xはヨウ素原子又は臭素原子である。]
<10> 下式(2A)で表される化合物を、式Rf1−Si(CHで表される化合物と反応させて下式(3A)で表される化合物を得て、つぎに該式(3A)で表される化合物と式Rf2−Xで表される化合物と反応させて下式(4A)で表される化合物を得て、つぎに、該式(4A)で表される化合物において脱保護反応及び芳香族化反応を行い下式(1A)で表される化合物を得て、つぎに、該式(1A)で表される化合物中のハロゲン原子であるRをRに置換することを特徴とする下式(1B)で表される化合物の製造方法。
Figure 2016056098
[上記式において、Rf1、Rf2は、互いに異なる基であり、Rf1は炭素数1〜3の直鎖状ペルフルオロアルキル基であり、Rf2は炭素数2〜12の直鎖状ペルフルオロアルキル基である。
は、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、及び水素原子から選ばれる基であり、Rの1つ以上はハロゲン原子を示す。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、及びフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
はRに対応する基であり、ハロゲン原子であるRに対応するRは、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、及びハロゲン原子から選ばれる基である。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、及びフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
ハロゲン原子以外のRに対応するRは、Rと同一の基である。
AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、Aを付したベンゼン環構造AとBを付したベンゼン環構造Bが結合する順序は制限されない。
mは、ベンゼン環構造Aの繰り返し数、nはベンゼン環構造Bの繰り返し数であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数、m+nは3〜6である。
Xはヨウ素原子又は臭素原子である。]
本発明の含フッ素芳香族化合物は、芳香族骨格を形成する炭素原子に含フッ素アルキル基を導入した化合物であり、有機溶媒への溶解性が高い化合物である。このため、有機半導体材料の製造において、ウェットプロセスを使った製造が可能になる。さらに、含フッ素アルキル基は電子吸引性基であるために凝集力が強くなり、フルオロフィリック効果に基づき分子間相互作用を強めることから、有機半導体材料として高いキャリア移動度を発揮する。
すなわち、本発明の含フッ素芳香族化合物を用いた有機半導体材料は、高性能な有機半導体薄膜を形成でき、有機半導体素子に適用することができる。
図1は化合物(e4)の出力特性の測定結果を示す図である。 図2は化合物(e4)の蒸着薄膜のOut−of−planeX線回折パターンを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本明細書においては、式(X)で表される化合物を「化合物(X)」とも称する。
<含フッ素芳香族化合物>
本発明にかかる含フッ素芳香族化合物は、下式(1)で表される。
Figure 2016056098
上記式において、Rf1、Rf2は、互いに異なる基であり、Rf1は炭素数1〜3の直鎖状ペルフルオロアルキル基であり、Rf2は炭素数2〜12の直鎖状ペルフルオロアルキル基である。
Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、及び水素原子から選ばれる基である。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、及びフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、Aを付したベンゼン環構造AとBを付したベンゼン環構造Bが結合する順序は制限されない。環構造AとBが、それぞれ、複数存在する場合、ブロック状になって連結していても、ランダムで結合していてもよい。 mは、ベンゼン環構造Aの繰り返し数、nはベンゼン環構造Bの繰り返し数であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数、m+nは3〜6である。
本発明にかかる含フッ素芳香族化合物は、異なる直鎖状ペルフルオロアルキル基Rf1及びRf2を、化合物の短軸方向すなわち芳香族環の縮合方向と垂直の方向に有する。ペルフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基をいう。縮合多環系化合物は、縮合環の数が増えるにつれてπ−πスタッキングによる分子間相互作用が強まり、キャリア移動度の増加が見込まれる。その一方、強い分子間相互作用は有機溶媒への溶解性の低下も招く。
本発明の化合物は、このような直鎖状ペルフルオロアルキル基であるRf1及びRf2を、分子中に一組以上導入することにより、有機溶媒への溶解性を飛躍的に高めた。また、Rf1とRf2とはパラ位の関係にあり、このことは、含フッ素芳香族化合物を有機半導体材料として用いた場合に、基板に対する配向性の向上、及び、薄膜の結晶性の観点から好ましい。さらにペルフルオロアルキル基は直鎖状であることで、フッ素原子の相互作用による分子間相互作用の向上の点で好ましい。
ペルフルオロアルキル基は、炭素数が多すぎると、立体障害のために縮合環同士の分子間相互作用を弱める傾向がある。π−πスタッキングによる強い分子間相互作用を損なうことなく、アセン化合物の有機溶媒への溶解性が向上させるために、ペルフルオロアルキル基の炭素数は、Rf1は1〜3であり、Rf2は2〜12である。また、分子間相互作用と溶解性向上とのバランスの観点から、炭素数は、Rf1は1〜3が好ましく、Rf2は2〜10が好ましい。
式中の複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、及び水素原子から選ばれる基である。
炭素数1〜12の1価炭化水素基としては、溶解性の向上の観点からアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基が好ましい。
1価芳香族炭化水素基としては、溶解性の向上の観点からフェニル基、アリール基、2−チエニル基、3−チエニル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、他の置換基に変換することができ、目的に応じた機能を含フッ素芳香族化合物に付与できる観点から臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
Rのうち少なくとも一つが、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、又は1価複素芳香族基であれば、有機溶媒への溶解性をさらに向上させることができる。
またRのうち少なくとも一つがハロゲン原子であれば、ハロゲン原子をさらに所望の機能を有する置換基に変換することができ、目的に応じた機能を含フッ素芳香族化合物に付与することができる。変換する置換基としては、上記した炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基等が挙げられる。
さらに、R中に、炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、及びフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。このように、Rの構造は目的に応じて種々選択することができる。
AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、Aを付したベンゼン環構造AとBを付したベンゼン環構造Bが結合する順序は制限されない。 mは、ベンゼン環構造Aの繰り返し数であり、0以上の整数であり、好ましくは1〜2である。
nはベンゼン環構造Bの繰り返し数であり、1以上の整数であり、好ましくは1〜2である。
m+nは3〜6の整数であり、好ましくは3〜5である。
本発明に係る含フッ素芳香族化合物は、下式(1−1)で表される化合物が好ましい。ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。
Figure 2016056098
さらに、本発明に係る含フッ素芳香族化合物は、下式(1−10)〜下式(1−12)で表される化合物が好ましい。ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。式(1−10)はmが2でありnが1である化合物、式(1−11)はmが4でありnが1である化合物、式(1−12)はmが3でありnが2である化合物に該当する。
Figure 2016056098
本発明に係る含フッ素芳香族化合物の具体例としては、Rが水素原子である下記化合物が挙げられる。
Figure 2016056098
本発明における含フッ素芳香族化合物は、高いキャリア移動度を有することから、有機半導体材料として有用である。また、有機溶媒への良好な溶解性を有することから、簡便かつ基板を損傷させないウェットプロセスを用いて、高性能の有機半導体薄膜を大量に製膜でき、該有機半導体薄膜を使った、優れた有機半導体素子及び有機半導体デバイスを得ることが可能となる。
<含フッ素芳香族化合物の製造方法>
本発明の含フッ素芳香族化合物は下記に示すルートにより製造できる。すなわち、下式(2)で示される化合物を、式Rf1−Si(CHで表される化合物と反応させて下式(3)で表される化合物を得て、つぎに該式(3)で表される化合物と式Rf2−Xで表される化合物とを反応させて下式(4)で表される化合物を得て、つぎに、該式(4)で表される化合物において脱保護反応を行って下式(5)で表される化合物を得て、該式(5)で表される化合物の芳香族化反応を行うことにより、製造できる。
Figure 2016056098
上記式中の記号の意味、及び好ましい態様は、前記の意味及び好ましい態様と同様である。Xはヨウ素原子又は臭素原子であり、収率が良い点でヨウ素原子が好ましい。
上記製造方法によれば、パラ位の関係にあるケト基の一方ずつを段階的にペルフルオロアルキル基に変換できるため、構造の異なるペルフルオロアルキル基Rf1、Rf2をアセン化合物に導入することができる。
化合物(1)のRの1以上がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子を別の置換基に変換してもよい。すなわち、下式(2A)で表される化合物を、式Rf1−Si(CHで表される化合物と反応させて下式(3A)で表される化合物を得て、つぎに該式(3A)で表される化合物と式Rf2−Xで表される化合物と反応させて下式(4A)で表される化合物を得て、つぎに、該式(4A)で表される化合物において脱保護反応を行って下式(5A)で表される化合物を得て、該式(5A)で表される化合物の芳香族化反応を行いハロゲン原子を必須とする下式(1A)で表される化合物を得て、つぎに、該式(1A)で表される化合物中のハロゲン原子であるRをRに置換することにより、式(1B)で表される本発明の含フッ素芳香族化合物を製造することができる。
Figure 2016056098
上記式中の記号の意味及び好ましい態様は前記と同様である。
複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、および水素原子から選ばれる基であり、Rの1つ以上はハロゲン原子を示す。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、およびフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
については、ハロゲン原子であるRに対応するRは、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、およびハロゲン原子から選ばれる基である。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、およびフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。ハロゲン原子以外のRに対応するRは、Rと同一の基である。
出発原料である化合物(2)および化合物(2A)(以下、2つの化合物をまとめて「化合物(2)」とも記す。)には公知のキノン系化合物を用いることができる。例えば、9,10−アントラキノン、2−ブロモ−9,10−アントラキノン、2−ヨード−9,10−アントラキノン、2,6−ジブロモ−9,10−アントラキノン、2,6−ジヨード−9,10−アントラキノン、6,13−ペンタセンキノン、5,7,12,14−テトラヒドロペンタセン−5,7,12,14−テトラオン、等が挙げられる。
化合物(2)としては、下記化合物が好ましい。
Figure 2016056098
キノン系化合物(2)に反応させる式Rf1−Si(CH(以下「Rf1TMS」とも記載する。)で表される化合物も、市販されている化合物から、又は公知の製造方法で製造することにより入手できる。
本発明の製造方法では、化合物(2)の1モルに対して、Rf1TMSを1.0〜2.0モル、フッ化セシウムを0.1〜1モル加え、有機溶媒中で、温度10〜30℃下で1〜5時間反応させて化合物(3)を得るのが好ましい。該条件によれば、ケト基の一方のみが変換された化合物(3)が得られる。有機溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等が好ましい。
化合物(3)に反応させる式Rf2−Xで表される化合物も、市販されている化合物から、又は公知の製造方法で製造することにより入手できる。
本発明の製造方法では、化合物(3)の1モルに対して、Rf2−Xを1.0〜3.0モル、MeLi−LiBrを1.0〜3.0モル加え、有機溶媒中で、温度−80℃以下で1〜5時間反応させて化合物(4)を得るのが好ましい。該条件によれば、ケト基の他方も変換されて化合物(4)が得られる。有機溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等が好ましい。
つぎに化合物(4)のトリメチルシリル基(TMS基)の脱保護反応により化合物(5)を得る。該反応は濃塩酸を用いた酸処理による脱保護反応によるのが好ましい。該反応は、化合物(4)の1モルに対して、濃塩酸を1〜20モル用いて、有機溶媒中で、還流下3〜24時間反応させる方法によるのが特に好ましい。。有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、エタノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
このTMS基の脱保護は、テトラブチルアンモニウムフルオリドのようなフッ化物源を用いても実施できる。この場合、化合物(4)の1gに対して、テトラブチルアンモニウムフルオリドを1〜5モル加え、有機溶媒中で、0℃付近の温度で0.5〜5時間反応させる方法によるのが好ましい。
続いて、化合物(5)の水酸基の脱離を経由した芳香族化を行い化合物(1)を得る。該反応の反応条件は限定されないが、最終生成物中への金属の混入をできるだけ避けるために一般的な芳香族化反応に用いられる重金属(例として塩化スズ)を用いた反応は採用しないのが好ましい。重金属を用いない反応としては、、真空中で220℃以上の熱処理による反応、トリフェニルホスフィン/四臭化炭素を用いた反応が挙げられる。
後者の反応においては、化合物(5)の1gに対して、四臭化炭素を3〜10モル、トリフェニルホスフィンを2〜10モル加えて、有機溶媒中で、10〜40℃、還流下で3〜24時間反応させる方法を採用するのが好ましい。有機溶媒としては、塩素系溶媒が好ましく、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素が挙げられる。ジクロロメタンが特に好ましい。
得られた化合物(1)は本発明の含フッ素芳香族化合物(1)となり、目的とする用途に用いることができる。
さらに、化合物(1)のRの1以上がハロゲン原子である場合(すなわちRがRである化合物(1A)である場合)、化合物(1A)の該ハロゲン原子RをRで置換し、化合物(1B)に誘導することができる。置換反応は、C−X結合からC−C結合を生成する公知の反応が採用でき、例えば、鈴木カップリング反応や薗頭カップリング反応が好ましい。
<有機半導体材料>
本発明の含フッ素芳香族化合物は、種々の機能性材料として用いることができ、特に有機半導体材料として有用に用い得る化合物である。
該有機半導体材料とは、本発明の含フッ素芳香族化合物を含み、有機半導体用として用いうる材料である。有機半導体材料は、含フッ素芳香族化合物のみからなる材料であってみよく、含フッ素芳香族化合物と他の材料とを含む材料であってもよい。他の材料としては、他の有機半導体材料や、種々のドーパント等が挙げられる。ドーパントとしては、例えば有機EL素子の発光層として用いる場合には、クマリン、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体、蛍光色素等を用いることができる。
本発明の含フッ素芳香族化合物は、ペルフルオロアルキル基間の親和力により隣接分子が凝集し(該効果をフルオロフィリック効果という。)、より効率的な電荷移動に寄与する。したがって、本発明の含フッ素芳香族化合物を用いれば、高いキャリア移動度を保持した有機半導体薄膜、およびこれを利用したトランジスタ等の電子素子の作製が実現できる。
本発明の含フッ素芳香族化合物に対して、ペルフルオロアルキル基を有していないアントラセン、ペンタセンはp型半導体としてふるまう。しかし、本発明の含フッ素芳香族化合物は、電子求引性置換基であるペルフルオロアルキル基が導入されているため、置換基によって導電性が変わりうる。よって、本発明の含フッ素化合物は、骨格の一部に存在するペルフルオロアルキル基によって電子遷移エネルギーを変化させることでき、導電型を制御することが可能となり、有機半導体材料として好ましい材料になりうる。
<有機半導体薄膜>
本発明に係る有機半導体材料は、ドライプロセス又はウェットプロセスを用い、通常の製造方法にしたがって、基板上に有機半導体に膜を形成できる。該膜としては、薄膜、厚膜、及び結晶性を有する膜が挙げられる。
ドライプロセスで薄膜を形成する場合、真空蒸着法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、スパッタリング法、レーザー蒸着法、気相輸送成長法等の公知の方法を用いうる。
これらの薄膜等は、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子の電荷輸送性部材として機能することから、該薄膜を有する多様な電子デバイスを作製することが可能である。
ドライプロセスとして、真空蒸着法、MBE法、又は気相輸送成長法を用いて薄膜を形成する場合には、有機半導体材料を加熱して昇華した蒸気を、高真空、真空、低真空、又は常圧で基板表面に輸送する。薄膜の形成は、公知の方法や条件に従って実施でき、具体的には、基板温度は20〜200℃、薄膜成長速度は0.001〜1000nm/secが好ましい。該条件とすることで、結晶性があり、かつ、薄膜の表面平滑性がある膜を形成しうる。
基板温度は、低温であると薄膜がアモルファス状になりやすく、高温であると薄膜の表面平滑性が低下する傾向がある。また、薄膜成長速度が遅いと結晶性が低下しやすく、速すぎると薄膜の表面平滑性が低下する傾向がある。
ウェットプロセスで薄膜を形成する場合、含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料を有機溶媒に溶解して溶液化したものを、基板上に被覆することによって有機半導体薄膜を形成することができる。
本発明の含フッ素芳香族化合物は、従来の有機半導体材料に比して有機溶媒に対する溶解性が改善され、ウェットプロセスの適用ができる利点を有する化合物である。その理由は、含フッ素化合物中のペルフルオロアルキル基の存在により、本発明に係る有機半導体材料が親油性に傾き種々の有機溶媒に可溶となる。ウェットプロセスによる膜形成は、半導体結晶にダメージを与えることなく加工できる利点がある。
ウェットプロセスにおける製膜方法(基板を被覆する方法)としては、塗布、噴霧、および接触等が挙げられる。具体的には、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、ディスペンス法等の公知の方法が挙げられる。また、平板状結晶や厚膜状態の形態を取る場合には、キャスト法等が採用できる。製膜方法および有機溶媒は、作製するデバイスに適した組み合わせを選択することが好ましい。
ウェットプロセスにおいては、含フッ素芳香族化合物の溶液と基板との界面に、温度勾配、電場、および磁場から選ばれる少なくとも1つを印加して、結晶成長を制御することもできる。該方法を採用すれば、より高結晶性の有機半導体薄膜を製造でき、かつ、高結晶性の薄膜の性能に基づく優れた半導体特性を得ることができる。また、ウェットプロセス製膜時に、環境雰囲気を溶媒雰囲気にすることにより、溶媒乾燥における蒸気圧を制御して、高結晶性の有機半導体薄膜を製造することもできる。
ウェットプロセスにおいて、含フッ素芳香族化合物を溶解できる有機溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類;又はこれらの混合物等の、非ハロゲン系の溶媒の例が挙げられる。
含ハロゲン溶媒の例としては、塩素化炭化水素類、フッ素化炭化水素類、塩素化フッ素化炭化水素類、含フッ素エーテル化合物が例示できる。具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、2,3,3−トリクロロヘプタフルオロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1−トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン、n−C13−C、n−COCH、n−COC等が挙げられる。
溶媒は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合には、非ハロゲン系溶媒と、含ハロゲン溶媒とを併用するのが好ましく、これらを任意の割合で混合した溶媒が好ましい。
本発明における含フッ素芳香族化合物を有機溶媒に溶解させて、ウェットプロセスを行う場合には、作業効率の観点等から有機溶媒に溶解させる有機半導体材料の量は0.01質量%以上が好ましく、0.2質量%程度がより好ましい。さらに、有機溶媒中の有機半導体材料量は、0.01〜10重量%が好ましく、0.2〜10重量%が特に好ましい。
また、本発明の含フッ素芳香族化合物は有機溶媒に対する溶解性に優れるため、上記の製造方法で得た含フッ素芳香族化合物をカラムクロマトグラフィーや再結晶などの簡易な精製方法によって、高純度化してもよい。
ウェットプロセスによる基板表面の被覆は、大気下又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。特に半導体材料の溶液が酸化しやすい場合には、不活性ガス雰囲気下にすることが好ましく、窒素やアルゴン等を用いることができる。
基板表面を被覆した後、溶媒を揮発させることで有機半導体薄膜が形成される。当該薄膜中の溶媒残存量が多いと薄膜の安定性や半導体特性が低下するおそれがあるため、薄膜形成の後に、再度加熱処理や減圧処理を施し、残存している溶媒を除去することが好ましい。
ウェットプロセスに使用しうる基板の形状は特に限定されず、通常はシート状の基板や板状の基板が好ましい。基板に用いられる材料も特に限定されずセラミックス、金属基板、半導体、樹脂、紙、不織布等が挙げられる。
基板がセラミックス基板である場合の例としては、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素等の基板が挙げられる。金属基板としては金、銅、銀等の基板が挙げられる。半導体基板としては、シリコン(結晶性シリコン、アモルファスシリコン)、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムリン、チッ化ガリウム等の基板が挙げられる。樹脂基板としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ノルボルネン等の基板が挙げられる。
含フッ素芳香族化合物を用いた有機半導体薄膜は、結晶性の薄膜とすることができる。結晶性の薄膜は高い結晶性によって高いキャリア移動度が望め、それによる優れた有機半導体デバイス特性を発現する点から好ましい。
薄膜の結晶状態は、当該薄膜の斜入射X線回折測定、透過型電子線回折、薄膜のエッジ部にX線を入射させ回折を測定する方法により知ることができる。特に薄膜分野の結晶解析手法である斜入射X線回折が用いられる。X線回折において、測定する格子面の方向によって、Out−of−planeXRD法とIn−planeXRD法がある。Out−of−planeXRD法は基板に対して平行な格子面を観察する手法である。In−planeXRD法は基板に対して垂直な格子面を観察する手法である。薄膜が結晶性であるとは、薄膜を形成する有機半導体材料に由来する回折ピークが観察されることを意味する。具体的には有機半導体材料の結晶格子に基づく回折、分子長さ由来の回折、あるいは分子が基板に対して平行、あるいは垂直に並ぶ配向性を有する際に現れる特徴的な回折ピークが観察されることを意味する。非結晶状態の膜の場合はこの回折は観察されず、回折ピークが現れた薄膜は結晶性の薄膜であることを意味する。
有機半導体素子に使用する有機半導体薄膜層の厚さは、通常10〜1,000nmであることが好ましい。
<有機半導体素子、有機半導体トランジスタ>
本発明における含フッ素芳香族化合物は高いキャリア移動度を有する。よって、含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料は含フッ素化合物の高いキャリア移動度を損なうことなく、有機半導体薄膜を形成することができる。
有機半導体薄膜の層を積層することにより形成した半導体層を含む有機半導体素子は、様々な半導体デバイスに非常に有用である。
半導体デバイスの例としては、有機半導体トランジスタ、有機半導体レーザー、有機光電変換デバイス、有機分子メモリ等が挙げられる。このうち半導体デバイスとしては有機半導体トランジスタが好ましく、さらに電界効果トランジスタ(FET)がより好ましい。
有機半導体トランジスタは、通常、基板、ゲート電極、絶縁体層(誘電体層)、ソース電極、ドレイン電極、および半導体層で構成される。その他にバックゲートやバルクなどが含まれていてもよい。
有機半導体トランジスタ中の構成要素が配置される順序等については、特に限定されない。また、上記構成要素のうち、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、および半導体層は複数層設けてもよい。複数層の半導体層が存在する場合には、同一平面内に設けても、積層して設けてもよい。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
実施例において、合成した化合物は、以下の分析方法および分析条件により構造を同定した。
核磁気共鳴分析は、日本電子社製フーリエ変換高分解能核磁気共鳴装置(JNM−AL400)により同定を行った。
H NMR(300MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl),メタノール−d(CDOD)又はアセトン−d(Acetone−d)。内部標準:テトラメチルシラン(TMS).
13C NMR(75MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl),メタノール−d(CDOD)又はアセトン−d(Acetone−d)。内部標準:クロロホルム−d(CDCl).
19F NMR(283MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl),メタノール−d(CDOD)又はアセトン−d(Acetone−d)。内部標準:ヘキサフルオロベンゼン(C)を−163ppmとした(CFClを0ppmとする).
赤外吸収分光は、日本分光社製フーリエ変換赤外分光高度計(FT−IR)、FT/IR−4100を使用した。元素分析は、パーキンエルマー社製全自動元素分析装置2400シリーズIIを使用した。融点測定は、ヤマト科学社製融点測定器MP−21を使用した。
<実施例1>
(1)化合物(a1)(9−(Trifluoromethyl)−9−(trimethylsiloxy)anthrcen−10−one)の合成
300mL三口フラスコにCsF(0.304g、2.0mmol)を加え、加熱乾燥した後、Ar置換を行った。THF(150mL)、アントラセン−9,10−ジオン(4.164g、20.0mmol)を加え、THF(25mL)に溶かしたTMSCF(3.55mL、24.0mmol)を滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。室温で3時間撹拌した後、飽和NHCl水溶液でクエンチを行い、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を無水NaSOで乾燥させ、溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:CHCl=2:1)で単離精製を行い、目的の化合物(a1)を白色固体として得た(6.311g,18.0mmol,収率90%)。
Figure 2016056098
(分析結果) M.P. 84〜86℃. H NMR(CDCl) δ −0.09(s,9H),7.63(td,2H,J=7.6,0.9Hz),7.74(td,2H,J=7.2,1.8Hz),8.15(dt,2H,J=6.3,1.5Hz),8.34(dd,2H,J=7.8,1.2Hz).
19F NMR(CDCl) δ −81.66 (s).
13C NMR(CDCl) δ 1.7,74.6(q,J=29.8Hz),123.8(q,J=286.6Hz),127.5,129.0(d,J=1.8Hz),129.9,131.4,133.0,139.0,182.7.
IR(KBr)ν 3006,2971,2905,1668,1599,1457,1253,1082,956,818,712,679cm−1
HRMS(APCI) Calcd for (M+H) C181712Si: 350.1028, Found 349.1008.
(2)化合物(a2)(9−(Nonafluorobutyl)−10−(trifluoromethyl)−10−(trimethylsiloxy)anthracen−9−ol)の合成
Ar置換した30mL三口フラスコに、化合物(a1)(0.350g(1.0mmol))、ジエチルエーテル(10mL)、CF(CFCFI(0.36mL(2.1mmol))を加え、−80℃まで冷却した。滴下ロートを用いて1.5MのMeLi−LiBrエーテル溶液(1.33mL(2.0mmol))をゆっくり滴下した後、80℃のまま2時間撹拌した。1NのHCl水溶液を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出後、有機層を無水NaSOで乾燥させた。減圧下で濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:CHCl=2:1)で単離精製を行い、目的の化合物(a2)を白色固体として得た(0.449g,0.79mmol,収率79%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 99〜101℃.
H NMR(CDCl) δ 0.03(s,9H),2.98(s,1H),7.50−7.60(m,4H),7.91−7.98(m,2H),8.00−8.09(m,2H).
19F NMR(CDCl) δ −81.55(s,3F),−82.21(t,J=9.0Hz,3F),−116.49(m,2F),−120.15(m,2F),−127.28(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 1.8,74.2(tt,J=19.8,1.8Hz),76.0(q,J=27.3Hz),124.1(q,J=289.0Hz),128.6(tt,J=5.6,1.8Hz), 129.0,129.5,129.6,132.8,133.4.
IR (KBr) ν 3589,3563,2963,1449,1357,1235,1170,940,878,763cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M−H) C221712Si: 569.0806, Found 569.0824.
(3)化合物(a3)(9−(Nonafluorobutyl)−10−(trifluoromethyl)anthracene−9,10−diol)の合成
ジムロート冷却管を付けた、30mL二口ナス型フラスコに、化合物(a2)(0.506g(0.89mmol))、THF(5mL)、濃塩酸(0.5mL)を加え、3時間還流した。酢酸エチルで抽出後、有機層を無水NaSOで乾燥させたのち、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:CHCl=2:1)で単離精製を行い、目的の化合物(a3)を白色固体として得た(0.351g,0.71mmol,収率79%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 118〜120℃.
H NMR(CDCl) δ 2.88(s,1H),3.15(d,J=1.2Hz,1H),7.55−7.63(m,4H),8.00−8.08(m,4H).
19F NMR(CDCl) δ −79.19(s,3F),−82.19(t,J=9.0Hz,3F), −119.32(m,2F),−121.64(m,2F),−127.47(m,2F). 13C NMR(CDCl) δ 73.3(q,J=27.9Hz),73.7(tt,J=18.6,2.5Hz),124.0(q,J=287.8Hz),128.3(q,J=3.1Hz),128.4(t,J=5.6Hz),129.8,129.9,132.6,132.8.
IR(KBr) ν 3610,3481,3083,1450,1363,1202,1185,1135,1026,804,767cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M−H) C1912: 497.0411, Found 497.0401.
(4)化合物(a4)(9−(Nonafluorobutyl)−10−(trifluoromethyl)anthracene)の合成
Ar置換した30mL二口ナス型フラスコに、化合物(a3)(0.232g(0.47mmol))、四臭化炭素(0.468g(1.4mmol))を加え、5mLのCHClに溶解させた。トリフェニルホスフィン(0.551g(2.1mmol))を加え、室温で15時間撹拌した後、飽和NHCl水溶液を加え反応を停止した。CHClで抽出後、有機層を無水NaSOで乾燥させたのち、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン)より単離精製を行い目的の化合物(a4)を黄色固体として得た(0.205g,0.44mmol,収率93%)。
Figure 2016056098
M.P. 89〜91℃.
H NMR(CDCl) δ 7.57−7.65(m,4H),8.35−8.45(m,2H),8.50-8.55(m,2H).
19F NMR (CDCl) δ −49.62(s,3F),−81.87(t,J=9.0Hz,3F),−93.04(t,J=16.1Hz,2F),−119.39(q,J=11.6Hz,2F),−126.86(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 124.8(q,J=6.3Hz),125.4(tt,J=9.9,4.3Hz),125.6(q,J=277.9Hz),126.4,126.9(q,J=1.2Hz),127.2(t,J=2.3Hz),129.4,131.0(t,J=2.5Hz).
IR(KBr) ν 3155,3100,3052,1350,1290,1238,1134,1032,932,829,765cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C1912: 464.0434, Found 464.0402.
<実施例2>
(1)化合物(b2)(9−(Tridecafluorohexyl)−10−(trifluoromethyl)−10−(trimethylsiloxy)anthracen−9−ol)の合成
化合物(a2)の合成において、CF(CFCFIをCF(CFCFIに変更した以外は同様として、目的の化合物(b2)を白色固体として得た(0.456g,0.68mmol,収率68%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 58〜60℃.
H NMR(CDCl) δ 0.04(s,9H),3.01(s,1H),7.50−7.60(m,4H),7.91−8.00(m,2H),8.03−8.09(m,2H).
19F NMR (CDCl) δ −81.62(s,3F),−82.17(t,J=9.0Hz,3F),−116.45(m,2F),−119.28(m,2F),−123.11(brs,2F),−124.20(brs,2F),−127.449(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 2.3,74.6(tt,J=19.8,1.9Hz),76.4(q,J=27.9Hz),124.5(q,J=289.0Hz),129.0(tt,J=5.6,1.2Hz),129.4,129.9,130.0,133.2,133.8.
IR(KBr) ν 3585,3445,2966,1237,1198,1151,1032,937,848,761cm−1
HRMS(APCI) Calcd for (M+) C241716Si: 670.0821, Found 669.0778.
(2)化合物(b3)(9−(Tridecafluorohexyl)−10−(trifluoromethyl)anthracen−9,10−diol)の合成
化合物(a3)の合成において、化合物(a2)を化合物(b2)に変更した以外は同様として、目的の化合物(b3)を白色固体として得た(0.409g,0.68mmol,収率77%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 91−93°C.
H NMR(CDCl) δ 2.88(d,J=3.0Hz,1H),3.16(dd,J=3.9,1.2Hz,1H),7.58−7.63(m,4H),8.01−8.07(m,4H).
19F NMR(CDCl) δ −79.17(s,3F),−82.17(t,J=9.0Hz,3F),−119.15(m,2F),−120.06(m,2F),−123.28(brs,2F),−124.15(brs,2F),−127.56(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 73.2(q,J=27.9Hz),73.7(tt,J=19.2,1.8Hz),124.0(q,J=287.2Hz),128.3(q,J=2.5Hz),128.4(t,J=5.6Hz),129.6,129.8,132.7,132.9.
IR (KBr) ν 3489,3228,1453,1360,1244,1182,1025,924,768cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M−H) C2116:597.0347, Found 597.0385.
(3)化合物(b4)(9−(Tridecafluorohexyl)−10−(trifluoromethyl)anthracene)の合成
化合物(a4)の合成において、化合物(a3)を化合物(b3)に変更した以外は同様として、目的の化合物(b4)を黄色固体として得た(0.169g,0.30mmol,収率64%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 101−103°C.
H NMR(CDCl) δ 7.57-7.65(m,4H),8.36−8.46(m,2H),8.46−8.56(m,2H).
19F NMR(CDCl) δ −49.64(s,3F),−81.94(t,J=9.0Hz,3F),−92.92(t,J=15.8Hz,2F),−118.52(m,2F),−122.76(m,2F),−123.74(m,2F),−127.22(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 124.7(q,J=5.6Hz),125.4(tt,J=9.3,4.4Hz),125.5(q,J=277.3Hz),125.8,126.4,126.8,127.2,129.4,131.0.
IR (KBr) ν 3165,3048,2927,1364,1243,1223,1146,1115,1063,937,774cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C2116: 564.0370, Found 564.0394.
<実施例3>
(1)化合物(c2)(9−(Heptadecafluorooctyl)−10−(trifluoromethyl)−10−(trimethylsiloxy)anthracen−9−ol)の合成
化合物(a2)の合成において、CF(CFCFIをCF(CFCFIに変更した以外は同様として、目的の化合物(c2)を白色固体として得た(0.539g,0.70mmol,収率70%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 84−86 °C.
H NMR(CDCl) δ 0.03(s,9H),2.98(s,1H),7.50−7.59(m,4H),7.91−7.97(m,2H),8.03−8.09(m,2H).
19F NMR(CDCl) δ −81.59(s,3F),−82.07(t,J=9.0Hz,3F),−116.40(m,2F),−119.18(brs,2F),−122.90(brs,2F),−123.22(brs,4F),−124.08(brs,2F),−127.44(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 1.8,74.3(tt,J=19.9,2.4Hz),76.0(q,J=27.9Hz),124.2(q,J=289.0Hz),128.6(t,J=5.6Hz),128.9,129.5,129.6,132.8,133.5.
IR (KBr) ν 3586,3078,2971,1371,1235,1180,1155,1035,908,877,763cm−1
HRMS(APCI) Calcd for (M+) C261820Si: 770.0757, Found 769.0758.
(2)化合物(c3)(9−(Heptadecafluorooctyl)−10−(trifluoromethyl)anthracene−9,10−diol)の合成
化合物(a3)の合成において、化合物(a2)を化合物(c2)に変更した以外は同様として、目的の化合物(c3)を白色固体として得た(0.416g,0.60mmol,収率67%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 117−119°C.
H NMR(CDCl) δ 2.87(s,1H),3.15(d,J=1.2Hz,1H),7.54−7.63(m,4H),8.00−8.08(m,4H).
19F NMR(CDCl) δ −79.17(s,3F),−82.09(t,J=9.0Hz,3F),−119.12(m,2F),−120.58(m,2F),−123.10(m,4F),−123.34(m,2F),−124.13(brs,2F),−127.47(m,2F).
IR (KBr) ν 3596,3440,3086,1450,1368,1211,1151,1019,919,766cm−1
HRMS(APCI) Calcd for (M−H) C2320: 697.0283, Found 697.0316.
(3)化合物(c4)(9−(Heptadecafluorooctyl)−10−(trifluoromethyl)anthracene)の合成
化合物(a4)の合成において、化合物(a3)を化合物(c3)に変更した以外は同様として、目的の化合物(c4)を黄色固体として得た(0.197g,0.29mmol,収率63%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 114−116°C.
H NMR(CDCl) δ 7.55−7.65(m,4H),8.32−8.45(m,2H),8.46−8.57(m,2H).
19F NMR(CDCl) δ −49.65(s,3F),−81.97(t,J=9.0Hz,3F),−92.91(t,J=16.1Hz,2F),−118.46(m,2F),−122.52to−123.04(m,6F),−123.88(brs,2F),−127.33(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 124.7(q,J=8.0Hz),125.4(tt,J=9.4,5.0Hz),125.5(q,J=277.9Hz),125.8,126.3,126.8,127.2,129.3,131.0.
IR (KBr) ν 3156,3098,3051,1446,1368,1241,1148,990,766cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C2320: 664.0307, Found 664.0336.
<実施例4>
(1)化合物(d2)(9−(Henicosafluorodecyl)−10−(trifluoromethyl)−10−(trimethylsiloxy)anthracen−9−ol)の合成
化合物(a2)の合成において、CF(CFCFIをCF(CFCFIに変更した以外は同様として、目的の化合物(d2)を白色固体として得た(0.461g,0.53mmol,収率53%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 107−109°C.
H NMR(CDCl) δ 0.04(s,9H),3.01(s,1H),7.50−7.59(m,4H),7.92−7.97(m,2H),8.03−8.09(m,2H).
19F NMR(CDCl) δ −81.60(s,3F),―82.05(t,J=9.3Hz,3F),−116.41(brs,2F),−119.20(brs,2F),−123.13(brs,10F),−124.04(brs,2F),−127.42(brs,2F).
13C NMR(CDCl) δ 2.1,74.6(tt,J=19.8,1.9Hz),76.4(q,J=27.9Hz),124.5(q,J=289.0Hz),129.0(t,J=5.6Hz),129.4,129.9,130.0,133.2,133.8.
IR(KBr) ν 3585,3076,2973,1339,1224,1173,1160,1037,940,879,763cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C281824Si: 870.0693, Found 870.0744.
(2)化合物(d3)(9−(Henicosafluorodecyl)−10−(trifluoromethyl)anthracene−9,10−diol)の合成
化合物(a3)の合成において、化合物(a2)を化合物(d2)に変更した以外は同様として、目的の化合物(d3)を白色固体として得た(0.562g,0.71mmol,収率80%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 132−134°C.
H NMR(CDCl) δ 2.86(s,1H),3.14(d,J=0.6Hz,1H),7.55−7.64(m,4H),8.01-8.08(m,4H).
19F NMR(CDCl) δ −79.17(s,3F),−82.05(t,J=9.3Hz,3F),−119.11(brs,2F),−120.57(brs,2F),−123.14(brs,10F),−124.06(brs,2F),−127.45(brs,2F).
13C NMR(CDCl) δ 73.2(q,J=27.9Hz),73.7(tt,J=14.3,1.8Hz),124.0(q,J=287.2Hz),128.3(q,J=3.1Hz),128.4(t,J=5.6Hz),129.7,129.8,132.6,132.8.
IR(KBr) ν 3585,3077,2910,1450,1338,1222,1175,1037,939,879,763cm−1
HRMS(APCI) Calcd for (M−H) C2524: 797.0219, Found 797.0199.
(3)化合物(d4)(9−(Henicosafluorodecyl)−10−(trifluoromethyl)anthracene)の合成
化合物(a4)の合成において、化合物(a3)を化合物(d3)に変更した以外は同様として、目的の化合物(d4)を黄色固体として得た(0.313g,0.41mmol,収率87%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 115−117°C.
H NMR(CDCl) δ 7.57−7.65(m,4H),8.35−8.45(m,2H),8.48−8.55(m,2H).
19F NMR(CDCl) δ −49.65(s,3F),―81.98(t,J=9.0Hz,3F),−92.91(t,J=15.8Hz,2F),−118.46(m,2F),−122.25to−123.22(m,10F),−123.94(m,2F),−127.34(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 124.7(q,J=5.6Hz),125.4(tt,J=10.0,4.4Hz),125.5(q,J=276.7Hz),125.8,126.4,126.8,127.2,129.3,130.9.
IR(KBr) ν 3098,3075,3048,1340,1215,1153,1115,917,841,776cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C2524: 764.0243, Found 764.0210.
<実施例5>
(1)化合物(e1)(6−(Trifluoromethyl)−6−(trimethylsiloxy)pentacen−13−one)の合成
化合物(a1)の合成において、アントラセン−9,10−ジオンをペンタセン−6,13−ジオンに変更した以外は同様として、目的化合物(e1)を白色固体として得た(5.31g,11.8mmol,収率59%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 220−221°C.
H NMR(CDCl) δ −0.04(s,9H),7.68(m,4H),8.02(d,2H,J=7.2Hz),8.13(d,J=2H,J=7.8Hz),8.53(s,2H),8.97(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −81.42(s,3F).
13C NMR(CDCl) δ 1.9,75.2(q,J=29.8Hz),124.2(q,J=286.6Hz),127.9,128.3,129.1,129.2,129.5(q,J=1.9Hz),129.6,129.8,133.0,134.4,135.0.
IR(KBr) ν 3066,2961,1669,1624,1454,1344,1193,991,844,748,476cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C2621Si: 450.1263, Found 450.1276.
(2)化合物(e2)(6−(Nonafluorobutyl)−13−(trifluoromethyl)−13−(trimethylsiloxy)pentacen−6−ol)の合成
化合物(a2)の合成において、化合物(a1)を化合物(e1)に変更した以外は同様として、目的の化合物(e2)を白色固体として得た(0.407g,0,60mmol,収率60%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 180〜181 °C.
H NMR(CDCl) δ 0.15(s,9H),3.32(s,1H),7.59−7.67(m,4H),7.98-8.03(m,4H),8.49(s,2H),8.65(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −82.10(s,3F),−82.21(t,J=9.3Hz,3F),−116.66(m,2F),−119.91(m,2F),−127.22(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 2.1,75.6(tt,J=20.4,1.8Hz),76.8(q,J=27.3Hz),124.4(q,J=288.3Hz),127.6,127.8,128.2,128.5,129.3(t,J=5.0Hz),130.0(q,J=2.5Hz),130.4,132.7,133.1.
IR(KBr) ν 3586,3563,3078,2962,2902,1235,1170,878,852,763,703cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C302212Si: 670.1197, Found 670.1174.
(3)化合物(e3)(6−(Nonafluorobutyl)−13−(trifluoromethyl)pentacene−6,13−diol)の合成
化合物(a3)の合成において、化合物(a2)を化合物(e2)に変更した以外は同様として、目的の化合物(e3)を白色固体として得た(0.532g,0.76mmol,収率85%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 228〜229°C.
H NMR(CDCl) δ 3.19(s,1H),3.43(s,1H),7.63−7.66(m,4H),8.00−8.04(m,4H),8.63(s,4H).
19F NMR(CDCl) δ −79.84(s,3F),−82.20(t,J=9.0Hz,3F),−119.63(m,2F),−121.12(m,2F),−127.39(m,2F).
13C NMR(CDCl) δ 74.1(q,J=27.9Hz),73.7(tt,J=18.6,2.5Hz),124.3(q,J=287.2Hz),127.8,127.9,128.3,128.5,129.0(q,J=2.9Hz),129.2(t,J=4.7Hz),129.6,133.1,133.2.
IR (KBr) ν 3598,3452,3059,1219,1185,754,479cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M−H) C271312: 597.0724, Found 597.0752.
(4)化合物(e4)(6−(Nonafluorobutyl)−13−(trifluoromethyl)pentacene)の合成
化合物(a4)の合成において、化合物(a3)を化合物(e3)に変更した以外は同様として、目的の化合物(e4)を暗青色結晶として得た(0.078g,0.14mmol,収率30%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 200°C(分解).
H NMR(CDCl) δ 7.26−7.47(m,4H),7.91−7.97(m,4H),9.02(s,2H),9.13(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −49.43(s,3F),−81.73(t,J=9.0Hz,3F),−92.98(t,J=14.0Hz,2F),−118.17(q,J=9.3Hz,2F),−126.80(m,2F).
IR(KBr) ν 3155,1353,1229,1132,1106,876,743,729cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C271212: 564.0747, Found 564.0736.
<実施例6>
(1)化合物(f2)(6−(Tridecafluorohexyl)−13−(trifluoromethyl)−13−(trimethylsiloxy)pentacen−6−ol)の合成
化合物(e2)の合成において、CF(CFCFIをCF(CFCFIに変更した以外は同様として、目的の化合物(f2)を白色固体として得た(0.475g,0.61mmol,収率61%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 175〜177°C.
H NMR(CDCl) δ 0.15(s,9H),3.32(s,1H),7.59−7.67(m,4H),7.98−8.03(m,4H),8.49(s,2H),8.65(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −82.12(s,3F),−82.21(t,J=9.0Hz,3F),−116.58(brs,2F),−118.93(brs,2F),−123.02(brs,2F),−124.16(brs,2F),−127.52(brs,2F).
13C NMR(CDCl) δ 2.1,75.1(tt,J=20.1,1.8Hz),76.7(q,J=27.9Hz),124.3(q,J=289.0Hz),127.6,127.8,128.1,128.5,129.3(t,J=5.0Hz),129.9(q,J=2.5Hz),130.3,132.7,133.1.
IR(KBr) ν 3528,3062,2960,2902,1243,1170,1149,905,848,641,520cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M−H) C322116Si: 769.1055, Found 769.1010.
(2)化合物(f3)(6−(Tridecafluorohexyl)−13−(trifluoromethyl)pentacene−6,13−diol)の合成
化合物(e3)の合成において、化合物(e2)を化合物(f2)に変更した以外は同様として、目的の化合物(f3)を白色固体として得た(0.572g,0.82mmol,収率92%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 230〜231°C.
H NMR(CDCl) δ 3.20(s,1H),3.44(s,1H),7.62−7.65(m,4H),8.00−8.03(m,4H),8.62(d,J=2.4Hz,4H).
19F NMR(CDCl) δ −79.82(s,3F),−82.24(t,J=9.0Hz,3F),−119.48(brs,2F),−120.17(brs,2F),−123.25(brs,2F),−124.16(brs,2F),−127.63(m,2F).
IR(KBr) ν 3551,3478,3065,1197,1166,753,647,480cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M−H) C291316: 697.0660, Found 697.0684.
(3)化合物(f4)(6−(Tridecafluorohexyl)−13−(trifluoromethyl)pentacene)の合成
化合物(e4)の合成において、化合物(e3)を化合物(f3)に変更した以外は同様として、目的の化合物(f4)を暗青色結晶として得た(0.068g,0.10mmol,収率22%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 195°C(分解).
H NMR(CDCl) δ 7.42−7.49(m,4H),7.93−7.97(m,4H),9.03(s,2H),9.13(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −49.42(s,3F),−81.90(t,J=9.0Hz,3F),−92.82(brs,2F),−117.94(m,2F),−122.65(brs,2F),−123.60(m,2F),−127.15(m,2F).
IR(KBr) ν 3060,1233,1145,1105,740,713,679cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C291216: 664.0684, Found 664.0701.
<実施例7>
(1)化合物(g2)の合成:
化合物(e2)の合成において、CF(CFCFIをCF(CFCFIに変更した以外は同様として、目的の化合物(g2)を白色固体として得た(0.548g,0.63mmol,収率63%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 181〜183°C.
H NMR(CDCl) δ 0.15(s,9H),3.32(s,1H),7.59−7.67(m,4H),7.98−8.03(m,4H),8.49(s,2H),8.65(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −82.12(m,6F),−116.56(brs,2F),−118.88(brs,2F),−122.82(brs,2F),−123.25(brs,4F),−124.14(brs,2F),−127.49(brs,2F).
13C NMR(CDCl) δ 2.1,75.2(tt,J=20.4,2.5Hz),77.0(q,J=30.4Hz),124.3(q,J=288.3Hz),127.6,127.8,128.2,128.5,129.3(t,J=4.9Hz),130.0(q,J=2.5Hz),130.4,132.7,133.1.
IR(KBr) ν 3582,3064,2955,2898,1237,1173,881,747,558,524cm−1
HRMS(APCI) Calcd for (M−H) C342120Si: 869.0991, Found 869.1067.
(2)化合物(g3)(6−(Heptadecafluorooctyl)−13−(trifluoromethyl)pentacene−6,13−diol)の合成
化合物(e3)の合成において、化合物(e2)を化合物(g2)に変更した以外は同様として、目的の化合物(g3)を白色固体として得た(0.535g,0.67mmol,収率75%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 233〜234 °C.
H NMR (CDCl) δ 3.18(s,1H),3.42(s,1H),7.63−7.65(m,4H),8.00−8.03(m,4H),8.62(s,4H).
19F NMR(CDCl) δ −79.67(s,3F),−81.96(t,J=9.0Hz,3F),−119.29(brs,2F),−119.95(brs,2F),−122.93(brs,4F),−123.27(brs,2F),−124.00(brs,2F),−127.34(brs,2F).
IR(KBr) ν 3599,3578,3454,3061,1206,1150,754,660,548,415cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C311420: 798.0674, Found 798.0721.
(3)化合物(g4)(6−(Heptadecafluorooctyl)−13−(trifluoromethyl)pentacene)の合成
化合物(e4)の合成において、化合物(e3)を化合物(g3)に変更した以外は同様として、目的の化合物(g4)を暗青色結晶として得た(0.19g,0.25mmol,収率54%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 192°C(分解).
H NMR(CDCl) δ 7.42-7.48(m,4H),7.93−7.97(m,4H),9.03(s,2H),9.13(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −49.42(s,3F),−81.94(t,J=9.0Hz,3F),−92.79(brs,2F),−117.85(brs,2F),−122.50(m,4F),−122.93(m,2F),−123.82(m,2F),−127.26(brs,2F).
IR(KBr) ν 3061,1217,1153,1106,735,672,646,630,554cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C291216: 664.0684, Found 664.0701.
<実施例8>
(1)化合物(h2)(6−(Henicosafluorodecyl)−13−(trifluoromethyl)−13−(trimethylsiloxy)pentacen−6−ol)の合成
化合物(e2)の合成において、CF(CFCFIをCF(CFCFIに変更した以外は同様として、目的の化合物(h2)を白色固体として得た(0.552g,0.57mmol,収率57%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 194〜195 °C.
H NMR(CDCl) δ 0.15(s,9H),3.30(s,1H),7.60−7.66(m,4H),7.98−8.03(m,4H),8.49(s,2H),8.65(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −82.06(t,J=9.0Hz,3F),−82.14(s,3F),−116.58(brs,2F),−118.88(brs,2F),−122.83(brs,2F),−123.15(brs,2F),−124.04(brs,8F),−127.44(brs,2F).
IR(KBr) ν 3582,3065,2955,2897,1220,1173,848,747,547cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M−H) C362124Si: 969.0928, Found 969.0960.
(2)化合物(h3)(9−(Henicosafluorodecyl)−10−(trifluoromethyl)anthracene−9,10−diol)の合成
化合物(e3)の合成において、化合物(e2)を化合物(h2)に変更した以外は同様として、目的の化合物(h3)を白色固体として得た(0.598g,0.667mmol,収率75%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 240−242 °C.
H NMR(CDCl) δ 3.40(s,1H),3.71(s,1H),7.62−7.65(m,4H),8.00−8.04(m,4H),8.62−8.64(m,4H).
19F NMR(CDCl) δ −79.86(s,3F),−82.07(t,J=9.3Hz,3F),−119.47(brs,2F),−119.09(brs,2F),−123.19(brs,10F),−124.04(brs,2F),−127.45(brs,2F).
IR(KBr) ν 3595,3477,3056,1206,1155,657,646,554,450cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M−H) C331324: 897.0533, Found 897.0557.
(3)化合物(h4)(6−(Henicosafluorodecyl)−13−(trifluoromethyl)pentacene)の合成
化合物(e4)の合成において、化合物(e3)を化合物(h3)に変更した以外は同様として、目的の化合物(h4)を暗緑色結晶として得た(0.096g,0.112mmol,収率24%)。
Figure 2016056098
(分析結果)
M.P. 199°C(分解).
H NMR(CDCl) δ 7.26−7.47(m,4H),7.93−7.97(m,4H),9.03(s,2H),9.13(s,2H).
19F NMR(CDCl) δ −49.42(s,3F),−81.97(t,J=9.3Hz,3F),−92.79(brs,2F),−117.86(brs,2F),−122.41to−123.09(m,10F),−123.90(brs,2F),−127.34(brs,2F).
IR(KBr) ν 3061,1211,1152,1105,744,558,455,418cm−1
HRMS(FAB) Calcd for (M+) C331224: 864.0556, Found 864.0576.
<溶解性試験>
実施例5〜8で得られた化合物(e4)〜(h4)のウェットプロセスへの適用性を検討するため、各種溶媒に対する溶解性試験を行った。具体的には、試料20mgを量りとり、室温で溶媒10gへの溶解性(0.2質量%)を目視により判断した。溶媒はトルエン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムおよびo−ジクロロベンゼンの4種類を用いた。比較例として、縮合多環系化合物で環の数が同じ5環であるペンタセン(比較例1)の溶解性試験の結果も併せて示す。
Figure 2016056098
溶解性試験の結果、化合物はペンタセンと比較して、有機溶媒への高い溶解性を有することが明らかになった。これは、化合物にパーフルオロアルキル基を持つためであると考えられる。
これにより、ペンタセンがドライプロセスである蒸着法以外にデバイスに適用が困難な一方で、化合物(e4)〜(h4)は塗布やスピンコート法、インクジェット法などに代表されるウェットプロセスの適用が可能であると言える。
<イオン化ポテンシャル測定>
実施例5〜8で得られた化合物(e4)〜(h4)のイオン化ポテンシャルを、大気中光電子分光装置(理研計器株式会社製、AC−1)を用いて測定した。測定サンプルはシリコン基板に対して、化合物(e4)〜(h4)を真空蒸着(背圧〜10−4Pa、蒸着レート0.1Å/s、基板温度25℃、膜厚:70nm)することにより、作製した。比較例として同様に作製したペンタセン蒸着膜を用いた。
測定の結果を下記の表2に示す。
Figure 2016056098
イオン化ポテンシャル測定の結果、化合物(e4)〜(h4)はHOMOレベルが低く、耐酸化性に優れていることが分かった。これは、化合物(e4)〜(h4)のフッ素原子の電子吸引性に起因するものであると考えられる。
<有機半導体材料特性>
化合物(e4)〜(g4)の有機半導体材料としての特性評価のため蒸着電界効果型トランジスタ(蒸着FET)素子を作製し、電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。以下に蒸着FET素子の作製方法と半導体特性の評価手法を以下に示す。
洗浄済みのシリコン酸化膜付きシリコン基板をn−オクチルトリクロロシランのトルエン溶液に浸漬させ、シリコン酸化膜表面を処理した。上記基板に対して、実施例5〜7で得た化合物(e4)〜(g4)を真空蒸着(背圧〜10−4Pa、蒸着レート0.1Å/s、基板温度25℃、膜厚:70nm)することにより、有機半導体層を形成した。
この有機半導体層上部にシャドウマスクを用いて金を真空蒸着し(背圧〜10−4Pa、蒸着レート1〜2Å/s、膜厚:50nm)、ソース、ドレイン電極を形成した(チャネル長50μm、チャネル幅1mm)。電極とは異なる部位の有機半導体層およびシリコン酸化膜を削り取り、その部分に導電性ペースト(藤倉化成社製、ドータイトD−550)を付け溶媒を乾燥させた。このようにして、トップコンタクト・ボトムゲート構造の電界効果型トランジスタ(FET)素子を作製した。
得られた蒸着FET素子の電気特性はAgilent社製の半導体デバイスアナライザーB1500Aを用いて真空中(<5×10−3Pa)で評価した。作製した蒸着FET素子のシリコン基板をゲート電極として用い、シリコン基板に電圧を印加し、ソース・ドレイン電極間の電流/電圧曲線をゲート電圧をスキャンさせて測定した。
その結果、蒸着FET素子のゲート電圧によるドレイン電流のon/off動作が観測され、このドレイン電流/ゲート電圧の傾きから電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。化合物(e4)〜(g4)を用いて形成した有機半導体素子は、p型トランジスタ素子としての特性を示した。この有機薄膜トランジスタの電流−電圧特性における飽和領域から、キャリア移動度を求めた。
測定の結果を下記の表3に示す。
また、化合物(e4)の出力特性の結果を図1に示す。
これらの結果から、化合物(e4)〜(g4)は高いキャリア移動度を有し、十分な半導体特性を示すことが分かる。
Figure 2016056098
<薄膜X線回折>
実施例5で得られた化合物(e4)の蒸着薄膜のOut−of−planeX線回折パターン測定(基板表面に平行な格子面による回折)を行った。Out−of−planeX線回折測定はRigaku社製のTTR−IIIを用いて、斜入射測定によって行った。測定の結果を図2に示す。一般に秩序性の高い配向性を持った薄膜のサンプルは、2θ=5°以下に回折線が確認され、特に秩序性の高い試料は高次の回折線も確認される。化合物(e4)の蒸着薄膜は、2θ=4.7°(d=18.8Å)および2θ=14.1°(d=6.2Å)に2本の回折線が確認され、化合物(e4)は薄膜内において秩序性の高い配向性と結晶性を有していることが分かった。
また、実施例5で得られた化合物(e4)の蒸着薄膜のIn−planeX線回折パターン測定(基板表面に垂直な格子面による回折)を行った。In−planeX線回折測定はRigaku社製のATX−Gを用いて評価した。パーフルオロアルキル基のパッキング由来の回折線が2θχ/φ=16°付近に、分子間のπ−πスタッキングに起因する回折線である2θχ/φ=23°(d=3.8Å)が観測され、化合物(e4)は薄膜内において、π−πスタッキングを形成し、薄膜は結晶性を有していることが分かった。
本発明は、ドライプロセス・ウェットプロセスのいずれにも使用可能で、高移動度が期待される含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料を提供する。
本発明によれば、縮合芳香環化合物であるアセン化合物をコアとして、ペルフルオロアルキル基を導入することで、有機溶媒に可溶になり、有機半導体材料として高いキャリア移動度がある含フッ素芳香族化合物が得られる。
本発明の化合物を含む有機半導体材料は、有機半導体(薄膜)トランジスタ、次世代フラットパネルディスプレイ用の有機EL素子、および軽量かつフレキシブル電源としての有機薄膜太陽電池等へ利用されうる。

Claims (10)

  1. 下式(1)で表される含フッ素芳香族化合物。
    Figure 2016056098
    [上記式において、Rf1、Rf2は、互いに異なる基であり、Rf1は炭素数1〜3の直鎖状ペルフルオロアルキル基であり、Rf2は炭素数2〜12の直鎖状ペルフルオロアルキル基である。
    Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、および水素原子から選ばれる基である。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、およびフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
    AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、Aを付したベンゼン環構造AとBを付したベンゼン環構造Bが結合する順序は制限されない。
    mは、ベンゼン環構造Aの繰り返し数、nはベンゼン環構造Bの繰り返し数であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数、m+nは3〜6である。]
  2. 式(1)で表される化合物が下式(1−1)で表される化合物である請求項1に記載の含フッ素芳香族化合物。
    Figure 2016056098
    [ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。]
  3. 式(1)で表される化合物が下式(1−11)で表される化合物である請求項1に記載の含フッ素芳香族化合物。
    Figure 2016056098
    [ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。]
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料。
  5. 請求項4に記載の有機半導体用材料で構成される有機半導体薄膜。
  6. 請求項4に記載の有機半導体用材料で構成され、結晶性を有する有機半導体薄膜。
  7. 基板上に、請求項5又は6に記載の有機半導体薄膜が形成された有機半導体素子。
  8. ゲート電極、誘電体層、ソース電極、ドレイン電極、および半導体層を備えるトランジスタにおいて、該半導体層が請求項5又は6に記載の有機半導体薄膜で構成されることを特徴とするトランジスタ。
  9. 下式(2)で示される化合物を、式Rf1−Si(CHで表される化合物と反応させて下式(3)で表される化合物を得て、つぎに該式(3)で表される化合物と式Rf2−Xで表される化合物とを反応させて下式(4)で表される化合物を得て、つぎに、該式(4)で表される化合物において脱保護反応および芳香族化反応を行うことを特徴とする下式(1)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
    Figure 2016056098
    [上記式において、Rf1、Rf2は、互いに異なる基であり、Rf1は炭素数1〜3の直鎖状ペルフルオロアルキル基であり、Rf2は炭素数2〜12の直鎖状ペルフルオロアルキル基である。
    Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、および水素原子から選ばれる基である。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、およびフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
    AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、Aを付したベンゼン環構造AとBを付したベンゼン環構造Bが結合する順序は制限されない。
    mは、ベンゼン環構造Aの繰り返し数、nはベンゼン環構造Bの繰り返し数であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数、m+nは3〜6である。
    Xはヨウ素原子又は臭素原子である。]
  10. 下式(2A)で表される化合物を、式Rf1−Si(CHで表される化合物と反応させて下式(3A)で表される化合物を得て、つぎに該式(3A)で表される化合物と式Rf2−Xで表される化合物と反応させて下式(4A)で表される化合物を得て、つぎに、該式(4A)で表される化合物において脱保護反応および芳香族化反応を行い下式(1A)で表される化合物を得て、つぎに、該式(1A)で表される化合物中のハロゲン原子であるRをRに置換することを特徴とする下式(1B)で表される化合物の製造方法。
    Figure 2016056098
    [上記式において、Rf1、Rf2は、互いに異なる基であり、Rf1は炭素数1〜3の直鎖状ペルフルオロアルキル基であり、Rf2は炭素数2〜12の直鎖状ペルフルオロアルキル基である。
    は、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、ハロゲン原子、および水素原子から選ばれる基であり、Rの1つ以上はハロゲン原子を示す。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、およびフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
    はRに対応する基であり、ハロゲン原子であるRに対応するRは、炭素数1〜12の1価炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、1価複素芳香族基、およびハロゲン原子から選ばれる基である。該R中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合には、該水素原子の1個以上は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、およびフェニル基から選ばれる基で置換されていてよい。
    ハロゲン原子以外のRに対応するRは、Rと同一の基である。
    AとBは、ベンゼン環を区別する記号であり、Aを付したベンゼン環構造AとBを付したベンゼン環構造Bが結合する順序は制限されない。 mは、ベンゼン環構造Aの繰り返し数、nはベンゼン環構造Bの繰り返し数であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数、m+nは3〜6である。
    Xはヨウ素原子又は臭素原子である。]
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