JP2015155382A - 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機半導体材料に応用可能な、新規含フッ素芳香族化合物及びその製造方法に関する。
有機化合物を半導体材料とする有機半導体素子は、従来のシリコン等の無機半導体材料を用いた半導体素子と比べて、その加工性が容易であることから、低価格なデバイスの実現が期待されている。また、有機化合物の半導体材料は、構造的に柔軟であることから、プラスチック基板と組み合わせて用いることで、フレキシブルなディスプレイ等のデバイスを実現することが期待されている。
有機半導体の加工プロセスは、蒸着によるドライプロセスと、塗布やプリンタブル、インクジェットなど、有機溶媒を用いたウェットプロセスとが知られている。従来の有機半導体材料は有機溶媒に対して溶解性が低く、ウェットプロセスの適用が困難であったため、ドライプロセスが広く利用されてきた。一方、ウェットプロセスは、容易で安価であり、環境負荷が小さい製造プロセスとなる。
有機半導体材料にはキャリア移動度の向上が求められている。有機半導体材料のキャリア移動度の向上のための手段としては、未だ有効な手段は確立していないが、分子間相互作用を強くすることや、分子の配列を制御することが重要と考えられている。例えば、縮合多環系化合物であるアセン化合物は、平面構造により共役系が拡張され、πスタックによる強い分子間相互作用を持つとして、有機半導体材料としての利用が試みられている(非特許文献1)。
縮合多環系化合物のうちアセン化合物は有機半導体材料として優れた機能が期待されている。たとえば、特許文献1には、ウェットプロセスによりアセン化合物を有機半導体材料として使用するために、アセン骨格にアルキル基等の基を導入することで、有機溶媒への溶解性を高める手法が開示されている。特許文献2には、重金属を用いたカップリング反応によるペルフルオロアルキル基を有するアセン化合物の製造方法が開示されている。
他の縮合多環系化合物としては、たとえば、特許文献3には、5つのベンゼン環がジグザグ状に縮合結合した構造を有するピセンと、該ピセンの炭素原子に置換基が結合した化合物が開示されている。このピセン系化合物は、HOMO−LUMOバンドギャップが広く、大気安定性、化学的安定性に優れた有機半導体材料として期待される(特許文献3)。
また、非特許文献2には光環化反応によるベンゾピセンの合成方法について記載されている。
D.J.Gundlach,S.F.Nelson,T.N.Jachson et al.,Appl.Phys.Lett.,(2002),80,2925.
Xiao−Qing Tang, Ronald G. Harvey,J. Org. Chem., 1995, 60 (11), pp 3568
しかし特許文献1及び2には、本発明の骨格を有する縮合多環系化合物については、一切開示がない。
また、特許文献3に記載のピセン系化合物では、開示される骨格構造や、該骨格に導入される置換基の構造から、有機溶媒への溶解性が低く、ウェットプロセスには適用が困難と考えられる。
さらに、非特許文献2に記載の化合物には、有機半導体特性はない。
また、特許文献3に記載のピセン系化合物では、開示される骨格構造や、該骨格に導入される置換基の構造から、有機溶媒への溶解性が低く、ウェットプロセスには適用が困難と考えられる。
さらに、非特許文献2に記載の化合物には、有機半導体特性はない。
本発明は、ドライプロセス及びウェットプロセスのいずれにも適用可能であり、かつキャリア移動度が高い構造を有する縮合多環系化合物及びその製造方法と、当該化合物を含む有機半導体材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、低極性溶媒にも比較的可溶な特定構造の含フッ素芳香族化合物を新たに見出し、当該含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料として本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関するものである。
<1>
下式(A)で表される含フッ素芳香族化合物、下式(B1)で表される含フッ素芳香族化合物、及び下式(B2)で表される含フッ素芳香族化合物から選ばれる含フッ素芳香族化合物。
<1>
下式(A)で表される含フッ素芳香族化合物、下式(B1)で表される含フッ素芳香族化合物、及び下式(B2)で表される含フッ素芳香族化合物から選ばれる含フッ素芳香族化合物。
[上記式中、
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
<2>
下式のいずれかで表される含フッ素芳香族化合物。
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
<2>
下式のいずれかで表される含フッ素芳香族化合物。
<3>
下式(1)で表される化合物と、下式(2−1)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−1)で表される化合物を得て、該式(3−1)で表される化合物に1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なう、下式(A)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
下式(1)で表される化合物と、下式(2−1)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−1)で表される化合物を得て、該式(3−1)で表される化合物に1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なう、下式(A)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
[上記式中、
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
X1はハロゲン原子である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
<4>
下式(1)で表される化合物と、下式(2−2)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−2)で表される化合物を得て、該式(3−2)で表される化合物に、ヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なう、下式(B1)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
X1はハロゲン原子である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
<4>
下式(1)で表される化合物と、下式(2−2)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−2)で表される化合物を得て、該式(3−2)で表される化合物に、ヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なう、下式(B1)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
[上記式中、
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
X1はハロゲン原子である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
<5>
下式(1)で表される化合物と、下式(2−2)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−3)で表される化合物を得て、該式(3−3)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なう、下式(B2)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
X1はハロゲン原子である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
<5>
下式(1)で表される化合物と、下式(2−2)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−3)で表される化合物を得て、該式(3−3)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なう、下式(B2)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
[上記式中、
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
X1はハロゲン原子である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
<6>
下式(3−1)で表される含フッ素芳香族化合物及び下式(3−3)で表される含フッ素芳香族化合物から選ばれる含フッ素芳香族化合物。
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
X1はハロゲン原子である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
<6>
下式(3−1)で表される含フッ素芳香族化合物及び下式(3−3)で表される含フッ素芳香族化合物から選ばれる含フッ素芳香族化合物。
[上記式中、
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
本発明における含フッ素芳香族化合物は有機半導体材料として有用な化合物である。該化合物は、ペルフルオロシクロアルキル基を有することでHOMOレベルが低くなり、耐酸化性が向上する。また、芳香族骨格を形成する炭素原子にペルフルオロシクロアルキル縮合環基を導入することにより化合物の有機溶媒への溶解性が高まり、ウェットプロセスを使った有機半導体薄膜の製造が可能になる。さらに、電子吸引性基であるペルフルオロシクロアルキル縮合環基は、凝集力が強く、フルオロフィリック効果に基づき分子間相互作用を強め、有機半導体材料として高いキャリア移動度を発揮しうる。
すなわち、本発明における含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料は、高性能な有機半導体薄膜を形成でき、有機半導体素子に適用することができる有用な化合物である。
また、本発明の含フッ素芳香族化合物の製造方法によれば、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基の導入に際し重金属カップリング反応を用いないことから、生成物中には、重金属を含まないか、含んだとしてもその割合を非常に少なくすることができる。したがって、重金属のコンタミネーションが低減された、高いキャリア移動度を有する含フッ素芳香族化合物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」とも記載する。他の式で表される化合物についても、同様に記載する。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」とも記載する。他の式で表される化合物についても、同様に記載する。
<含フッ素芳香族化合物>
本発明にかかる含フッ素芳香族化合物は、下式(A)、及び式(B1)〜(B3)で表される。
本発明にかかる含フッ素芳香族化合物は、下式(A)、及び式(B1)〜(B3)で表される。
[上記式中、
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。
mは0〜4の整数である。
nは2〜4の整数である。]
本発明にかかる含フッ素芳香族化合物は有機半導体材料として有用に用いる化合物である。有機半導体材料としては、本発明の含フッ素芳香族化合物のみからなる材料であってもよく、含フッ素芳香族化合物とともに、他の成分を含む材料であってもよい。他の成分は、後述する。
式(A)及び式(B1)〜(B3)で表されるような縮合多環系化合物は、縮合環の数が増えるにつれて、π−πスタッキングによる強い分子間相互作用により、キャリア移動度の増加が見込まれる。その一方、強い分子間相互作用は有機溶媒への溶解性の低下も招く。
本発明においては、含フッ素芳香族化合物がペルフルオロシクロアルキル縮合環基を有することにより、有機溶媒への溶解性を飛躍的に高めた。また、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基の置換位置が、縮合芳香族環の中心環であることで、化合物の対称性が高まるため、縮合環同士の分子間相互作用に効果的である。
本発明においては、含フッ素芳香族化合物がペルフルオロシクロアルキル縮合環基を有することにより、有機溶媒への溶解性を飛躍的に高めた。また、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基の置換位置が、縮合芳香族環の中心環であることで、化合物の対称性が高まるため、縮合環同士の分子間相互作用に効果的である。
ペルフルオロシクロアルキル縮合環基とは、シクロアルキル縮合環の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基をいう。式(A)及び式(B1)〜(B3)において、nは2〜4の整数である。すなわち、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基は4〜6員環である。ペルフルオロシクロアルキル縮合環基の環が大きいほど、有機溶媒への溶解性は高くなる。また、含フッ素芳香族化合物骨格の縮合環が大きくなるに連れて、π−πスタッキングによる強い分子間相互作用により、キャリア移動度の増加が見込まれる。一般的に、π−πスタッキングによる強い分子間相互作用は有機溶媒への溶解性の低下を招くが、本発明において、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基の炭素数とπ−πスタッキングによるアセン材料の有機溶媒への溶解性を調査した結果、4〜6員環のペルフルオロシクロアルキル縮合環基を導入すると、π−πスタッキングによる強い分子間相互作用を損なうことなく、含フッ素芳香族化合物の有機溶媒への溶解性が飛躍的に向上することが明らかとなった。
nは2〜4であることがより好ましい。
nは2〜4であることがより好ましい。
Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる基である。mは0〜4の整数である。mが1以上の場合、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
溶解性向上と分子配向性の点から、mは0〜2が好ましい。
またRの置換位置としては、結晶性と溶解性の観点から、化合物の対称性が高まる位置であることが好ましい。具体的には、下記に示すように、式(A)においては2位、3位、10位、及び11位から選ばれる1以上の位置が好ましい。式(B1)においては3位、4位、9位及び10位から選ばれる1以上の位置が好ましい。式(B2)においては3位、4位、7位及び8位から選ばれる1以上の位置が好ましい。式(B3)においては4位、5位、12位及び13位から選ばれる1以上の位置が好ましい。
溶解性向上と分子配向性の点から、mは0〜2が好ましい。
またRの置換位置としては、結晶性と溶解性の観点から、化合物の対称性が高まる位置であることが好ましい。具体的には、下記に示すように、式(A)においては2位、3位、10位、及び11位から選ばれる1以上の位置が好ましい。式(B1)においては3位、4位、9位及び10位から選ばれる1以上の位置が好ましい。式(B2)においては3位、4位、7位及び8位から選ばれる1以上の位置が好ましい。式(B3)においては4位、5位、12位及び13位から選ばれる1以上の位置が好ましい。
Rとしての炭素数1〜8のアルキル基としては、有機溶媒に対する溶解性向上の観点から炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよく、結晶性の向上及び分子配向性の点から直鎖状が好ましい。
Rとしての炭素数1〜8のアルキコキシ基としては、有機溶媒に対する溶解性向上の観点から炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、直鎖状でも分枝状でもよく、結晶性の向上及び分子配向性の点から直鎖状が好ましい。
Rとしてのハロゲン原子としては、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
本発明に係る含フッ素芳香族化合物は、下式(A−a)で表される化合物及び下式(B2−a)で表される化合物であることがより好ましい。
式中、R及びmの、定義、具体例及び好ましい態様は、上記式(A)及び(B1)と同様である。
化合物(A−a)としては、下式で表される化合物が特に好ましい。
化合物(B2−a)としては、下式で表される化合物が特に好ましい。
上述したように、本発明における含フッ素芳香族化合物は、縮合環のπ−πスタックによる強い分子間相互作用によって高いキャリア移動度を実現することができ、さらには、化合物中のペルフルオロシクロアルキル縮合環基の存在によって有機溶媒への溶解性を飛躍的に向上することができる。
したがって、本発明における含フッ素芳香族化合物は、高キャリア移動度を有する有機半導体材料として有用であり、簡便かつ基板を損傷させないウェットプロセスを用いて、高性能の有機半導体薄膜を大量に製膜することが可能となる。さらには、該有機半導体薄膜を使った、優れた有機半導体素子および有機半導体デバイスを得ることが可能となる。
したがって、本発明における含フッ素芳香族化合物は、高キャリア移動度を有する有機半導体材料として有用であり、簡便かつ基板を損傷させないウェットプロセスを用いて、高性能の有機半導体薄膜を大量に製膜することが可能となる。さらには、該有機半導体薄膜を使った、優れた有機半導体素子および有機半導体デバイスを得ることが可能となる。
<含フッ素芳香族化合物の製造方法>
本発明に係る含フッ素芳香族化合物は新規な化合物である。化合物(A)の製造方法について説明する。
本発明に係る含フッ素芳香族化合物は新規な化合物である。化合物(A)の製造方法について説明する。
<化合物(A)の製造方法>
化合物(A)は、下式(1)で表される化合物と、下式(2−1)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−1)で表される化合物を得て、該式(3−1)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なうことにより、得ることができる。
化合物(A)は、下式(1)で表される化合物と、下式(2−1)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−1)で表される化合物を得て、該式(3−1)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なうことにより、得ることができる。
上記式中、R、n、mの定義、具体例および好ましい態様は、上記式(A)と同様である。
X1はハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、臭素原子が好ましい。
X1はハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、臭素原子が好ましい。
出発原料である化合物(1)には公知のペルフルオロシクロアルケンを用いることができ、具体的には下記式化合物等が挙げられる。
化合物(2−1)には公知のハロゲン化ナフタレン系化合物を用いることができ、具体的には下記化合物が挙げられる。
化合物(1)に反応させる化合物(2−1)は、化合物(1)に対して2.0〜5.0モル/グラム等量が好ましい。
有機溶媒中、化合物(2−1)を温度−78〜−20℃で冷却し、反応系には、ハロゲン−金属交換のために、n−ブチルリチウム、Grignard試薬等の有機金属試薬を、化合物(2−1)に対して1〜5モル/グラム等量添加する。1〜24時間反応させ、化合物(1)を滴下し、続いて室温で、2〜5時間反応させ、化合物(3−1)を得る。有機溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。また、反応は窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で行なうことが好ましい。
有機溶媒中、化合物(2−1)を温度−78〜−20℃で冷却し、反応系には、ハロゲン−金属交換のために、n−ブチルリチウム、Grignard試薬等の有機金属試薬を、化合物(2−1)に対して1〜5モル/グラム等量添加する。1〜24時間反応させ、化合物(1)を滴下し、続いて室温で、2〜5時間反応させ、化合物(3−1)を得る。有機溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。また、反応は窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で行なうことが好ましい。
化合物(3−1)への光照射反応は公知の方法を適用でき限定されない。
例えば、化合物(3−1)を、ベンゼン等の有機溶媒中でヨウ素と攪拌し、1,2−エポキシブタンを加えた後、光照射を行なうことが好ましい。ヨウ素の添加量は化合物(3−1)に対して1〜2モル/グラム等量、1,2−エポキシブタンの添加量は化合物(3−1)に対して1〜20モル/グラム等量であることが好ましい。
光照射反応には、紫外線を用いるのが好ましい。紫外線光源は、通常化学反応や分解、殺菌等に用いられる250〜600nmの紫外線光を照射可能なものが好ましく、高圧水銀灯が好ましい。紫外線照射波長は300〜600nmが好ましく、330〜470nmが特に好ましい。また、本発明において用いる紫外線照射反応は、公知の光照射装置により行うことができる。具体的にはメリーゴーランド型光反応装置等が挙げられる。
光照射時間としては1〜24時間が好ましく、1〜8時間が特に好ましい。
例えば、化合物(3−1)を、ベンゼン等の有機溶媒中でヨウ素と攪拌し、1,2−エポキシブタンを加えた後、光照射を行なうことが好ましい。ヨウ素の添加量は化合物(3−1)に対して1〜2モル/グラム等量、1,2−エポキシブタンの添加量は化合物(3−1)に対して1〜20モル/グラム等量であることが好ましい。
光照射反応には、紫外線を用いるのが好ましい。紫外線光源は、通常化学反応や分解、殺菌等に用いられる250〜600nmの紫外線光を照射可能なものが好ましく、高圧水銀灯が好ましい。紫外線照射波長は300〜600nmが好ましく、330〜470nmが特に好ましい。また、本発明において用いる紫外線照射反応は、公知の光照射装置により行うことができる。具体的にはメリーゴーランド型光反応装置等が挙げられる。
光照射時間としては1〜24時間が好ましく、1〜8時間が特に好ましい。
上記反応により化合物(A)が生成する。
<化合物(B1)及び化合物(B2)の製造方法>
化合物(B1)は、下式(1)で表される化合物と、下式(2−2)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−2)で表される化合物を得て、該式(3−2)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なうことにより、得ることができる。
化合物(B1)は、下式(1)で表される化合物と、下式(2−2)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−2)で表される化合物を得て、該式(3−2)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なうことにより、得ることができる。
化合物(B2)は、下式(1)で表される化合物と、下式(2−2)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−3)で表される化合物を得て、該式(3−3)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なうことにより、得ることができる。
上記式中、R、n、mの定義、具体例および好ましい態様は、上記式(B1)と同様である。X1の定義、具体例および好ましい態様は、上記式(2−1)と同様である。
化合物(1)は、上記化合物(A)の製造方法で用いるものと同様である。
化合物(2−2)には公知のハロゲン化ナフタレン系化合物を用いることができ、具体的には下記化合物が挙げられる。
化合物(1)と化合物(2−2)とを反応させると、中間体として上述の化合物(3−2)又は化合物(3−3)のいずれかが得られる。どちらが生成するかは、化合物(3−2)と化合物(3−3)とで置換基Rの有無、種類、及び置換位置による立体障害によって決まる。具体的には、化合物(2−2)においてm=0、すなわち置換基Rがない場合は、化合物(3−3)が得られやすい。
化合物(1)を化合物(2−2)と反応させて化合物(3−2)を得る方法の条件、化合物(3−2)にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射して化合物(B1)を得る方法の条件は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件とそれぞれ同様である。
化合物(1)を化合物(2−2)と反応させて化合物(3−3)を得る方法の条件は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件と同様である。化合物(3−3)にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射して化合物(B2)を得る方法の条件は、ヨウ素の添加量を1〜1.5モル/グラム等量、1,2−エポキシブタンの添加量を1〜20モル/グラム等量、光照射時間を3〜5時間とする以外は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件と同様である。
化合物(1)を化合物(2−2)と反応させて化合物(3−3)を得る方法の条件は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件と同様である。化合物(3−3)にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射して化合物(B2)を得る方法の条件は、ヨウ素の添加量を1〜1.5モル/グラム等量、1,2−エポキシブタンの添加量を1〜20モル/グラム等量、光照射時間を3〜5時間とする以外は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件と同様である。
<化合物(B3)及び化合物(B4)の製造方法>
化合物(B3)は、下式(1)で表される化合物と、下式(2−3)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−4)で表される化合物を得て、該式(3−4)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なうことにより、得ることができる。
化合物(B3)は、下式(1)で表される化合物と、下式(2−3)で表される化合物とを反応させることにより、下式(3−4)で表される化合物を得て、該式(3−4)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なうことにより、得ることができる。
なお、下式(1)で表される化合物と、下式(2−3)で表される化合物とを反応させると、下式(3−5)で表される化合物を得ることもできる。該式(3−5)で表される化合物にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射を行なうことにより、下式(B4)で表される化合物が得られる。
上記式中、R、n、mの定義、具体例および好ましい態様は、上記式(B1)と同様である。X1の定義、具体例および好ましい態様は、上記式(2−1)と同様である。
化合物(1)は、上記化合物(A)の製造方法で用いるものと同様である。
化合物(2−3)には公知のハロゲン化アントラセンを用いることができ、具体的には下記式化合物が挙げられる。
化合物(1)と化合物(2−3)とを反応させると、中間体として上述の化合物(3−4)又は化合物(3−5)のいずれかが得られる。どちらが生成するかは、化合物(3−4)と化合物(3−5)とで置換基Rの有無、種類、及び置換位置による立体障害によって決まる。
化合物(1)を化合物(2−3)と反応させて化合物(3−4)を得る方法の条件、化合物(3−4)に光照射して化合物(B3)を得る方法の条件は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件とそれぞれ同様である。
化合物(1)を化合物(2−3)と反応させて化合物(3−5)を得る方法の条件は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件と同様である。化合物(3−5)にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射して化合物(B4)を得る方法の条件は、ヨウ素の添加量を1〜1.5モル/グラム等量、1,2−エポキシブタンの添加量を1〜20モル/グラム等量、光照射時間を3〜5時間とする以外は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件と同様である。
化合物(1)を化合物(2−3)と反応させて化合物(3−5)を得る方法の条件は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件と同様である。化合物(3−5)にヨウ素および1,2−エポキシブタン存在下で光照射して化合物(B4)を得る方法の条件は、ヨウ素の添加量を1〜1.5モル/グラム等量、1,2−エポキシブタンの添加量を1〜20モル/グラム等量、光照射時間を3〜5時間とする以外は、上記化合物(A)の製造方法において記載した方法の条件と同様である。
本発明における含フッ素芳香族化合物の合成方法によれば、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基の導入に際し、重金属を用いたカップリング反応を用いないため、合成された化合物中に含まれる重金属の割合を少なくできる。すなわち、本発明の方法により得られた含フッ素芳香族化合物においては、化合物中に含まれる重金属量を、25重量ppm以下、好ましくは、20重量ppm以下に低減できる。
<有機半導体材料>
有機半導体材料は、先述した含フッ素芳香族化合物を含む材料であり、例えば、他の有機半導体材料に混合して用いたり、種々のドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、例えば有機EL素子の発光層として用いる場合には、クマリン、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体、蛍光色素等を用いることができる。
有機半導体材料は、先述した含フッ素芳香族化合物を含む材料であり、例えば、他の有機半導体材料に混合して用いたり、種々のドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、例えば有機EL素子の発光層として用いる場合には、クマリン、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体、蛍光色素等を用いることができる。
また、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基間の親和力により隣接分子が凝集し(フルオロフィリック効果)、より効率的な電荷移動に寄与する。したがって、本発明の含フッ素芳香族化合物を用いれば、高いキャリア移動度を保持した有機半導体薄膜、およびこれを利用したトランジスタ等の電子素子の作製が実現できる。
本発明の含フッ素芳香族化合物は、電子求引性置換基であるペルフルオロシクロアルキル縮合環基が導入されたことから、導電性が変化しうる。たとえば、本発明の含フッ素芳香族化合物は、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基によって電子遷移エネルギーを変化させることでき、導電型を制御することが可能な有機半導体材料となりうる。
<有機半導体薄膜>
本発明に係る有機半導体材料は、ドライプロセス又はウェットプロセスを用い、通常の製造方法にしたがって、基板上に有機半導体に膜を形成できる。該膜としては、薄膜、厚膜、又は結晶性を有する膜が挙げられる。
本発明に係る有機半導体材料は、ドライプロセス又はウェットプロセスを用い、通常の製造方法にしたがって、基板上に有機半導体に膜を形成できる。該膜としては、薄膜、厚膜、又は結晶性を有する膜が挙げられる。
ドライプロセスで薄膜を形成する場合、真空蒸着法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、スパッタリング法、レーザー蒸着法、気相輸送成長法等の公知の方法を用いて製膜することができる。
これらの薄膜等は、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子の電荷輸送性部材として機能することから、該薄膜を有する多様な電子デバイスを作製できる。
これらの薄膜等は、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子の電荷輸送性部材として機能することから、該薄膜を有する多様な電子デバイスを作製できる。
ドライプロセスとして、真空蒸着法、MBE法、又は気相輸送成長法を用いて薄膜を形成する場合には、有機半導体材料を加熱して昇華した蒸気を、高真空、真空、低真空、又は常圧で基板表面に輸送する。薄膜の形成は、公知の方法や条件に従って実施でき、具体的には、基板温度20〜200℃、薄膜成長速度0.001〜1000nm/secが好ましい。該条件とすることで、結晶性があり、かつ、薄膜の表面平滑性がある膜を形成しうる。
基板温度は、低温であると薄膜がアモルファス状になりやすく、高温であると薄膜の表面平滑性が低下する傾向にある。また、薄膜成長速度が遅いと結晶性が低下しやすく、速すぎると薄膜の表面平滑性が低下する傾向がある。
基板温度は、低温であると薄膜がアモルファス状になりやすく、高温であると薄膜の表面平滑性が低下する傾向にある。また、薄膜成長速度が遅いと結晶性が低下しやすく、速すぎると薄膜の表面平滑性が低下する傾向がある。
ウェットプロセスを適用する場合、本発明の含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料を有機溶媒に溶解して溶液化した組成物を、ウェットプロセスで基板上に被覆した後に乾燥することによって有機半導体薄膜を形成することができる。
本発明の含フッ素芳香族化合物は、従来の有機半導体材料に比して有機溶媒に対する溶解性が改善され、ウェットプロセスの適用ができる利点を有する化合物である。その理由は、含フッ素化合物中のペルフルオロシクロアルキル縮合環基の存在により、本発明に係る有機半導体材料は親油性を示すことから、種々の有機溶媒に可溶となるためである。ウェットプロセスによる膜形成は、半導体結晶にダメージを与えることなく加工できる利点がある。
本発明の含フッ素芳香族化合物は、従来の有機半導体材料に比して有機溶媒に対する溶解性が改善され、ウェットプロセスの適用ができる利点を有する化合物である。その理由は、含フッ素化合物中のペルフルオロシクロアルキル縮合環基の存在により、本発明に係る有機半導体材料は親油性を示すことから、種々の有機溶媒に可溶となるためである。ウェットプロセスによる膜形成は、半導体結晶にダメージを与えることなく加工できる利点がある。
ウェットプロセスにおける製膜方法(基板を被覆する方法)としては、塗布、噴霧、および接触等が挙げられる。具体的には、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、ディスペンス法等の公知の方法が挙げられる。また、平板状結晶や厚膜状態の形態を取る場合には、キャスト法等が採用できる。製膜方法および有機溶媒は、作製するデバイスに適した組み合わせを選択することが好ましい。
ウェットプロセスにおいては、含フッ素芳香族化合物の溶液と基板との界面に、温度勾配、電場、および磁場から選ばれる少なくとも1つを印加して、結晶成長を制御することができる。該方法を採用すれば、より高結晶性の有機半導体薄膜を製造でき、かつ、高結晶性の薄膜の性能に基づく優れた半導体特性を得ることができる。また、ウェットプロセス製膜時に、環境雰囲気を溶媒雰囲気にすることにより、溶媒乾燥における蒸気圧を制御して、高結晶性の有機半導体薄膜を製造することもできる。
ウェットプロセスにおいて、本発明の含フッ素芳香族化合物を溶解することができる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類;又はこれらの混合物等の、非ハロゲン系の溶媒の例が挙げられる。なお混合溶媒とする場合は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類やシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類を併用することができる。
有機溶媒としては、含ハロゲン溶媒も例示できる。例えば、塩素化炭化水素類、フッ素化炭化水素類、塩素化フッ素化炭化水素類、含フッ素エーテル化合物が例示できる。具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、2,3,3−トリクロロヘプタフルオロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1−トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン、n−C6F13−C2H5、n−C4F9OCH3、n−C4F9OC2H5等が挙げられる。
溶媒は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合には、非ハロゲン系溶媒と、含ハロゲン溶媒とを併用するのが好ましく、これらを任意の割合で混合した溶媒が好ましい。
溶媒は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合には、非ハロゲン系溶媒と、含ハロゲン溶媒とを併用するのが好ましく、これらを任意の割合で混合した溶媒が好ましい。
本発明における含フッ素芳香族化合物を有機溶媒に溶解させて、ウェットプロセスを行う場合には、有機溶媒中の有機半導体材料量は0.01質量%以上が好ましく、0.2質量%程度以上が、作業効率の観点等から好ましい。さらに、有機溶媒中の有機半導体材料量は、0.01〜10重量%が好ましく、0.2〜10重量%が特に好ましい。
また、本発明の含フッ素芳香族化合物は有機溶媒に対する溶解性に優れるため、上記の製造方法で得た含フッ素芳香族化合物をカラムクロマトグラフィーや再結晶などの簡易な精製方法によって、高純度化してもよい。
また、本発明の含フッ素芳香族化合物は有機溶媒に対する溶解性に優れるため、上記の製造方法で得た含フッ素芳香族化合物をカラムクロマトグラフィーや再結晶などの簡易な精製方法によって、高純度化してもよい。
ウェットプロセスによる基板上の被覆は、大気下又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。特に半導体材料の溶液が酸化しやすい場合には、不活性ガス雰囲気下にすることが好ましく、窒素やアルゴン等を用いることができる。
基板上を被覆した後、溶媒を揮発させることで有機半導体薄膜が形成される。当該薄膜中の溶媒残存量が多いと薄膜の安定性や半導体特性が低下するおそれがあるため、薄膜形成の後に、再度加熱処理や減圧処理を施し、残存している溶媒を除去することが好ましい。
基板上を被覆した後、溶媒を揮発させることで有機半導体薄膜が形成される。当該薄膜中の溶媒残存量が多いと薄膜の安定性や半導体特性が低下するおそれがあるため、薄膜形成の後に、再度加熱処理や減圧処理を施し、残存している溶媒を除去することが好ましい。
ウェットプロセスに使用しうる基板の形状は特に限定されず、通常はシート状の基板や板状の基板が好ましい。基板に用いられる材料も特に限定されずセラミックス、金属基板、半導体、樹脂、紙、不織布等が挙げられる。
基板がセラミックス基板である場合の例としては、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素等の基板が挙げられる。金属基板としては金、銅、銀等の基板が挙げられる。半導体基板としては、シリコン(結晶性シリコン、アモルファスシリコン)、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムリン、チッ化ガリウム等の基板が挙げられる。樹脂基板としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ノルボルネン等の基板が挙げられる。
本発明の含フッ素芳香族化合物を用いた有機半導体薄膜は、結晶性の薄膜とすることができる。結晶性の薄膜は高い結晶性によって高いキャリア移動度が望め、それによる優れた有機半導体デバイス特性を発現する点から好ましい。
薄膜の結晶状態は、当該薄膜の斜入射X線回折測定、透過型電子線回折、薄膜のエッジ部にX線を入射させ回折を測定する方法により知ることができる。特に薄膜分野の結晶解析手法である斜入射X線回折が用いられる。X線回折において、測定する格子面の方向によって、Out−of−planeXRD法とIn−planeXRD法がある。Out−of−planeXRD法は基板に対して平行な格子面を観察する手法である。In−planeXRD法は基板に対して垂直な格子面を観察する手法である。薄膜が結晶性であるとは、薄膜を形成する有機半導体材料に由来する回折ピークが観察されることを意味する。具体的には有機半導体材料の結晶格子に基づく回折、分子長さ由来の回折、あるいは分子が基板に対して平行、あるいは垂直に並ぶ配向性を有する際に現れる特徴的な回折ピークが観察されることを意味する。非結晶状態の膜の場合はこの回折は観察されず、回折ピークが現れた薄膜は結晶性の薄膜であることを意味する。
薄膜の結晶状態は、当該薄膜の斜入射X線回折測定、透過型電子線回折、薄膜のエッジ部にX線を入射させ回折を測定する方法により知ることができる。特に薄膜分野の結晶解析手法である斜入射X線回折が用いられる。X線回折において、測定する格子面の方向によって、Out−of−planeXRD法とIn−planeXRD法がある。Out−of−planeXRD法は基板に対して平行な格子面を観察する手法である。In−planeXRD法は基板に対して垂直な格子面を観察する手法である。薄膜が結晶性であるとは、薄膜を形成する有機半導体材料に由来する回折ピークが観察されることを意味する。具体的には有機半導体材料の結晶格子に基づく回折、分子長さ由来の回折、あるいは分子が基板に対して平行、あるいは垂直に並ぶ配向性を有する際に現れる特徴的な回折ピークが観察されることを意味する。非結晶状態の膜の場合はこの回折は観察されず、回折ピークが現れた薄膜は結晶性の薄膜であることを意味する。
有機半導体素子に使用する有機半導体薄膜層の厚さは、通常10〜1,000nmであるのが好ましい。
<有機半導体素子、有機半導体トランジスタ>
本発明における含フッ素芳香族化合物は高いキャリア移動度を有する。よって、該化合物を含む有機半導体材料は該化合物の高いキャリア移動度を損なうことなく、有機半導体薄膜を形成することができる。
有機半導体薄膜の層を積層することにより形成した半導体層を含む有機半導体素子は、様々な半導体デバイスに非常に有用である。
本発明における含フッ素芳香族化合物は高いキャリア移動度を有する。よって、該化合物を含む有機半導体材料は該化合物の高いキャリア移動度を損なうことなく、有機半導体薄膜を形成することができる。
有機半導体薄膜の層を積層することにより形成した半導体層を含む有機半導体素子は、様々な半導体デバイスに非常に有用である。
半導体デバイスの例としては、有機半導体トランジスタ、有機半導体レーザー、有機光電変換デバイス、有機分子メモリ等が挙げられる。このうち半導体デバイスとしては有機半導体トランジスタが好ましく、さらに電界効果トランジスタ(FET)がより好ましい。
有機半導体トランジスタは、通常、基板、ゲート電極、絶縁体層(誘電体層)、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層で構成される。その他にバックゲートやバルクなどが含まれていてもよい。
有機半導体トランジスタ中の構成要素が配置される順序等については、特に限定されない。また、上記構成要素のうち、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層は複数層設けてもよい。複数層の半導体層が存在する場合には、同一平面内に設けても、積層して設けてもよい。
有機半導体トランジスタ中の構成要素が配置される順序等については、特に限定されない。また、上記構成要素のうち、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層は複数層設けてもよい。複数層の半導体層が存在する場合には、同一平面内に設けても、積層して設けてもよい。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
実施例において、合成した化合物は、以下の分析方法および分析条件により構造を同定した。
(評価方法)
実施例において、合成した化合物は、以下の分析方法および分析条件により構造を同定した。
質量分析は、Exactive社製Thermo−Fischerを使用した。
X線構造解析は、Bruker社製CCD搭載高輝度単結晶X線構造解析装置SMART APEXII ULTRAを使用した。
X線構造解析は、Bruker社製CCD搭載高輝度単結晶X線構造解析装置SMART APEXII ULTRAを使用した。
核磁気共鳴分析は、Bruker社製フーリエ変換高分解能核磁気共鳴装置(AVANCE III400)により同定を行った。
1H NMR(400MHz)
溶媒:クロロホルム−d(CDCl3)又はアセトン−d6(Aceton−d6)
内部標準:テトラメチルシラン(TMS)
13C NMR(100MHz)
溶媒:クロロホルム−d(CDCl3)又はアセトン−d6(Aceton−d6)
内部標準:クロロホルム−d(CDCl3)
19F NMR(400MHz)
溶媒:クロロホルム−d(CDCl3)又はアセトン−d6(Aceton−d6)
内部標準:ヘキサフルオロベンゼン(C6F6)を−163ppmとした(CFCl3を0ppmとする。)
1H NMR(400MHz)
溶媒:クロロホルム−d(CDCl3)又はアセトン−d6(Aceton−d6)
内部標準:テトラメチルシラン(TMS)
13C NMR(100MHz)
溶媒:クロロホルム−d(CDCl3)又はアセトン−d6(Aceton−d6)
内部標準:クロロホルム−d(CDCl3)
19F NMR(400MHz)
溶媒:クロロホルム−d(CDCl3)又はアセトン−d6(Aceton−d6)
内部標準:ヘキサフルオロベンゼン(C6F6)を−163ppmとした(CFCl3を0ppmとする。)
赤外吸収分光は、島津社製フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)、ShimadzuIRAffinityを使用した。
元素分析は、パーキンエルマー社製全自動元素分析装置2400シリーズIIを使用した。
融点は、島津製作所製示差走査熱量計DSC−60を使用し、吸熱ピーク温度として測定した。
元素分析は、パーキンエルマー社製全自動元素分析装置2400シリーズIIを使用した。
融点は、島津製作所製示差走査熱量計DSC−60を使用し、吸熱ピーク温度として測定した。
<実施例1:化合物(d)の合成>
Ar雰囲気下、−78℃条件下で、1−ブロモナフタレン(化合物(b)、10mmol)のTHF溶液(10ml)に、n−ブチルリチウム(12mmol)を滴下し、−78℃で1時間撹拌し、オクタフルオロシクロペンテン(化合物(a)、5mmol)を滴下した。−78℃で1時間撹拌した後、室温で12時間撹拌した。その後、反応混合物に水を加えて反応停止させ、酢酸エチル抽出、無水硫酸マグネシウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた油状残渣のカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン)により、化合物(c)を得た(収率25%)。
Ar雰囲気下、化合物(c)(0.17mmol)とヨウ素(1.2eq.)にベンゼン溶液(50ml)を加え、30分間撹拌し、1,2−エポキシブタン(0.5ml)を滴下した後、超高圧水銀灯(500W)で光照射を2時間行った。その後、チオ硫酸ナトリウム溶液、蒸留水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去したものを真空状態140℃の昇華精製により化合物(c)を回収し,さらに昇華(180℃/0.01mmHg)を行い、化合物(d)を得た(収率69%)。
Ar雰囲気下、化合物(c)(0.17mmol)とヨウ素(1.2eq.)にベンゼン溶液(50ml)を加え、30分間撹拌し、1,2−エポキシブタン(0.5ml)を滴下した後、超高圧水銀灯(500W)で光照射を2時間行った。その後、チオ硫酸ナトリウム溶液、蒸留水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去したものを真空状態140℃の昇華精製により化合物(c)を回収し,さらに昇華(180℃/0.01mmHg)を行い、化合物(d)を得た(収率69%)。
化合物(c)の解析結果
1H−NMR(CDCl3) δ[ppm]=7.13(t,J=7.76Hz,2H),7.25(ddd,J=8.55,7.50,0.80Hz,2H),7.29(d,J=7.04Hz,2H),7.34(t,J=7.51Hz,2H),7.50(d,J=8.27Hz,4H),7.73(d,J=8.36Hz,2H)
19F−NMR(CDCl3)δ[ppm]=−131.47(s,2F),−111.75(d,J=510.52Hz,4F)
1H−NMR(CDCl3) δ[ppm]=7.13(t,J=7.76Hz,2H),7.25(ddd,J=8.55,7.50,0.80Hz,2H),7.29(d,J=7.04Hz,2H),7.34(t,J=7.51Hz,2H),7.50(d,J=8.27Hz,4H),7.73(d,J=8.36Hz,2H)
19F−NMR(CDCl3)δ[ppm]=−131.47(s,2F),−111.75(d,J=510.52Hz,4F)
化合物(d)の解析結果
1H−NMR (CDCl3) δ[ppm]=7.69(m,2H),7.94(dd,J=6.28,1.76Hz,1H),8.08(d,J=9.12,1H),8.63(d,J=9.16,1H),8.82(d,J=8.16,1H).
19F−NMR (CDCl3) δ[ppm]=−132.93(tt,J=7.94,7.94Hz,2F),−102.98(t,J=7.04Hz,4F).
13C−NMR (CDCl3) δ[ppm]=120.75,124.45,127.34,128.01,128.24,128.88,131.54,132.78,133.11.(低濃度のためCF2シグナルは不観測)
HRMS m/z 426.08612(observed) for C25H12F6(426.08432)
1H−NMR (CDCl3) δ[ppm]=7.69(m,2H),7.94(dd,J=6.28,1.76Hz,1H),8.08(d,J=9.12,1H),8.63(d,J=9.16,1H),8.82(d,J=8.16,1H).
19F−NMR (CDCl3) δ[ppm]=−132.93(tt,J=7.94,7.94Hz,2F),−102.98(t,J=7.04Hz,4F).
13C−NMR (CDCl3) δ[ppm]=120.75,124.45,127.34,128.01,128.24,128.88,131.54,132.78,133.11.(低濃度のためCF2シグナルは不観測)
HRMS m/z 426.08612(observed) for C25H12F6(426.08432)
<実施例2:化合物(g)の合成>
Ar雰囲気下、−78℃条件下、2−ブロモナフタレン(化合物(e)、10mmol)のTHF溶液(20ml)に、n−ブチルリチウム(12mmol)を滴下し、−78℃で1時間撹拌し、オクタフルオロシクロペンテン(化合物(a)、5mmol)を滴下した。−78℃で1時間撹拌した後、室温で17時間撹拌した。その後、反応混合物に水を加えて反応を停止し、酢酸エチルによる抽出、無水硫酸マグネシウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去した残さの再結晶(ヘキサン)を行い、化合物(f)を得た(収率27%)。
Ar雰囲気下、化合物(f)(0.17mmol)とヨウ素(1.2eq.)にベンゼン溶液(50ml)を加え、30分間撹拌し、1,2−エポキシブタン(0.5ml)を滴下した後、光照射(超高圧水銀灯(500W))を5時間行った。反応混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液、蒸留水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残さのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により、化合物(g)を得た(収率55%)。
Ar雰囲気下、化合物(f)(0.17mmol)とヨウ素(1.2eq.)にベンゼン溶液(50ml)を加え、30分間撹拌し、1,2−エポキシブタン(0.5ml)を滴下した後、光照射(超高圧水銀灯(500W))を5時間行った。反応混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液、蒸留水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残さのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により、化合物(g)を得た(収率55%)。
化合物(f)の解析結果
1H−NMR (CDCl3) δ[ppm]=7.30(dd,J=8.69,1.81Hz,2H),7.55(m,4H),7.73(d,J=8.71Hz,2H),7.82(dd,J=8.72,0.60Hz,4H),8.06(s,2H)
19F−NMR (CDCl3) δ[ppm]=−131.51(tt,J=5.38,5.38Hz,2F),−109.97(t,J=5.38Hz,4F)
1H−NMR (CDCl3) δ[ppm]=7.30(dd,J=8.69,1.81Hz,2H),7.55(m,4H),7.73(d,J=8.71Hz,2H),7.82(dd,J=8.72,0.60Hz,4H),8.06(s,2H)
19F−NMR (CDCl3) δ[ppm]=−131.51(tt,J=5.38,5.38Hz,2F),−109.97(t,J=5.38Hz,4F)
化合物(g)の解析結果
1H−NMR (CDCl3) δ[ppm]=8.08(dd,J=7.3,7.3Hz,1H),8.22(d,J=8.4Hz,1H),8.23(d,J=7.3Hz,1H),8.51(d,J=8.4Hz,1H),9.01(d,J=7.3Hz,1H)
19F−NMR (CDCl3) δ[ppm]=−128.49(tt,J=4.7,4.7Hz,2F),−102.46(t,J=4.7Hz,4F)
HRMS m/z 424.06796(observed) for C25H10F6(424.06867)
融点 306.3℃
1H−NMR (CDCl3) δ[ppm]=8.08(dd,J=7.3,7.3Hz,1H),8.22(d,J=8.4Hz,1H),8.23(d,J=7.3Hz,1H),8.51(d,J=8.4Hz,1H),9.01(d,J=7.3Hz,1H)
19F−NMR (CDCl3) δ[ppm]=−128.49(tt,J=4.7,4.7Hz,2F),−102.46(t,J=4.7Hz,4F)
HRMS m/z 424.06796(observed) for C25H10F6(424.06867)
融点 306.3℃
<比較例1:化合物(j)の合成>
Ar雰囲気下、−78℃条件下で、フェニルリチウム(化合物(h)、15mmol)のTHF溶液(15ml)にオクタフルオロシクロペンテン(化合物(a)、7mmol)を滴下した。−78℃で1時間撹拌した後、室温で12時間撹拌した。その後、反応混合物に水を加えて反応停止させ、酢酸エチル抽出、無水硫酸マグネシウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた油状残渣のカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル(=8:2))により、化合物(i)を得た(収率85%)
Ar雰囲気下、化合物(i)(0.17mmol)とヨウ素(1.2eq.)にベンゼン溶液(50ml)を加え、30分間撹拌し、1,2−エポキシブタン(0.5ml)を滴下した後、光照射(超高圧水銀灯(500W))を1時間行った。反応混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液、蒸留水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残さの昇華(110℃/0.01mmHg)を行い、化合物(j)を得た(収率76%)。
Ar雰囲気下、化合物(i)(0.17mmol)とヨウ素(1.2eq.)にベンゼン溶液(50ml)を加え、30分間撹拌し、1,2−エポキシブタン(0.5ml)を滴下した後、光照射(超高圧水銀灯(500W))を1時間行った。反応混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液、蒸留水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによる乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残さの昇華(110℃/0.01mmHg)を行い、化合物(j)を得た(収率76%)。
化合物(i)の解析結果
1H NMR (CDCl3)δ[ppm]=7.31-7.47(m,5H)
19F NMR (CDCl3)δ=-132.22(tt,J=5.5,5.5Hz,2F),-110.97(t,J=5.5Hz,4F)
13C NMR (CDCl3)δ[ppm]=111.19 (tquint.,J=245.6,21.9Hz),116.53(tt,J=264.3,31.3Hz),127.78,128.86,129.28,130.26,139.40-140.10(m)
1H NMR (CDCl3)δ[ppm]=7.31-7.47(m,5H)
19F NMR (CDCl3)δ=-132.22(tt,J=5.5,5.5Hz,2F),-110.97(t,J=5.5Hz,4F)
13C NMR (CDCl3)δ[ppm]=111.19 (tquint.,J=245.6,21.9Hz),116.53(tt,J=264.3,31.3Hz),127.78,128.86,129.28,130.26,139.40-140.10(m)
化合物(j)の解析結果
1H−NMR (CDCl3) δ[ppm]=7.65(ddd,J=8.04,0.86Hz,1H),7.74(ddd,J=8.25,1.24Hz,1H),8.27(d, J=8.03Hz,1H),8.60(d,J=8.35Hz,1H) .
19F−NMR(CDCl3)δ[ppm]=−128.79(tt,J=3.92,3.92Hz,2F),−105.46(t,J=4.14Hz,4F)
13C−NMR (CDCl3) δ[ppm]=112.4(tt,J=271.0, 25.0Hz),117.0(tt,J=255.0,24.5Hz),123.6,124.0,125.1,128.3,130.1,133.0.
HRMS m/z 326.05444(observed) for C17H8F6 (326.05302)
融点 172.3℃
1H−NMR (CDCl3) δ[ppm]=7.65(ddd,J=8.04,0.86Hz,1H),7.74(ddd,J=8.25,1.24Hz,1H),8.27(d, J=8.03Hz,1H),8.60(d,J=8.35Hz,1H) .
19F−NMR(CDCl3)δ[ppm]=−128.79(tt,J=3.92,3.92Hz,2F),−105.46(t,J=4.14Hz,4F)
13C−NMR (CDCl3) δ[ppm]=112.4(tt,J=271.0, 25.0Hz),117.0(tt,J=255.0,24.5Hz),123.6,124.0,125.1,128.3,130.1,133.0.
HRMS m/z 326.05444(observed) for C17H8F6 (326.05302)
融点 172.3℃
<溶解性試験>
化合物のウェットプロセスへの適用性を検討するため、各種溶媒への溶解性試験を行った。実施例1の方法により得られた化合物(d)、比較例としてペンタセン、及びピセンを使用して、溶解性試験を行った。
具体的には、試料50mgを量りとり、室温で溶媒10gへの溶解性(0.5質量%)を目視により判断した。
溶媒の種類と結果を下記の表1に示す。表1において、○は可溶、×は不溶であったことを表す。なお、溶媒に「可溶」とは、溶媒温度が25℃において0.5質量%以上溶解したことを表す。
化合物のウェットプロセスへの適用性を検討するため、各種溶媒への溶解性試験を行った。実施例1の方法により得られた化合物(d)、比較例としてペンタセン、及びピセンを使用して、溶解性試験を行った。
具体的には、試料50mgを量りとり、室温で溶媒10gへの溶解性(0.5質量%)を目視により判断した。
溶媒の種類と結果を下記の表1に示す。表1において、○は可溶、×は不溶であったことを表す。なお、溶媒に「可溶」とは、溶媒温度が25℃において0.5質量%以上溶解したことを表す。
溶解性試験の結果、化合物(d)はペンタセンやピセンと比較して、有機溶媒への高い溶解性を有することが明らかになった。これは、化合物(d)にヘキサフルオロシクロペンチル縮合環基を導入した効果であると考えられる。
この結果から、本発明に係る含フッ素芳香族化合物はウェットプロセスの適用が可能であると言える。
この結果から、本発明に係る含フッ素芳香族化合物はウェットプロセスの適用が可能であると言える。
<イオン化ポテンシャル測定>
化合物(d)、ペンタセン、ピセンのイオン化ポテンシャルを、表面分析装置(理研計器株式会社製、商品名AC−1)を用いて測定した。結果を表2に示す。
化合物(d)、ペンタセン、ピセンのイオン化ポテンシャルを、表面分析装置(理研計器株式会社製、商品名AC−1)を用いて測定した。結果を表2に示す。
本発明の化合物(d)は、ペンタセンやピセンと環の数が同じであるにもかかわらずHOMOレベルが低く、耐酸化性に優れていることが分かった。これは、ペルフルオロシクロペンタン縮合環に起因するものであると考えられる。
<有機半導体材料特性>
化合物(d)の有機半導体材料としての特性評価のため蒸着電界効果型トランジスタ(蒸着FET)素子を作製し、電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。以下に蒸着FET素子の作製方法と半導体特性の評価手法を以下に示す。
化合物(d)の有機半導体材料としての特性評価のため蒸着電界効果型トランジスタ(蒸着FET)素子を作製し、電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。以下に蒸着FET素子の作製方法と半導体特性の評価手法を以下に示す。
洗浄済みのシリコン酸化膜付きシリコン基板をn−オクチルトリクロロシランのトルエン溶液に浸漬させ、シリコン酸化膜表面を処理した。上記基板に対して、実施例1で得た化合物(d)を真空蒸着(背圧〜10−4Pa、蒸着レート0.1Å/s、基板温度25℃、膜厚:60nm)することにより、有機半導体層を形成した。
この有機半導体層上部にシャドウマスクを用いて金を真空蒸着し(背圧〜10−4Pa、蒸着レート1〜2Å/s、膜厚:50nm)、ソース、ドレイン電極を形成した(チャネル長50μm、チャネル幅1mm)。電極とは異なる部位の有機半導体層及びシリコン酸化膜を削り取り、その部分に導電性ペースト(藤倉化成社製、ドータイトD−550)を付け溶媒を乾燥させた。このようにして、トップコンタクト・ボトムゲート構造の電界効果型トランジスタ(FET)素子を作製した。
得られた蒸着FET素子の電気特性はAgilent社製の半導体デバイスアナライザーB1500Aを用いて真空中(<5×10−3Pa)で評価した。作製した蒸着FET素子のシリコン基板をゲート電極として用い、シリコン基板に電圧を印加し、ソース・ドレイン電極間の電流/電圧曲線をゲート電圧をスキャンさせて測定した。
その結果、蒸着FET素子のゲート電圧によるドレイン電流のon/off動作が観測され、このドレイン電流/ゲート電圧の傾きから電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。化合物(d)を用いて形成した有機半導体素子は、p型トランジスタ素子としての特性を示した。この有機薄膜トランジスタの電流−電圧特性における飽和領域から、キャリア移動度を求めたところ、真空中で8.9×10−6cm2/V・sを示した。
その結果、蒸着FET素子のゲート電圧によるドレイン電流のon/off動作が観測され、このドレイン電流/ゲート電圧の傾きから電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。化合物(d)を用いて形成した有機半導体素子は、p型トランジスタ素子としての特性を示した。この有機薄膜トランジスタの電流−電圧特性における飽和領域から、キャリア移動度を求めたところ、真空中で8.9×10−6cm2/V・sを示した。
本発明は、ドライプロセス・ウェットプロセスのいずれにも使用可能で、高移動度が期待される含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料および新規な含フッ素芳香族化合物を提供する。
本発明によれば、縮合芳香環化合物をコアとして、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基を導入することで、有機溶媒への可溶化を図り、有機半導体材料として高いキャリア移動度がある含フッ素芳香族化合物が得られる。
さらに化合物のHOMOレベルを低下し、耐酸化性を向上させることが可能となる。
本発明の化合物を含む有機半導体材料は、有機半導体(薄膜)トランジスタ、次世代フラットパネルディスプレイ用の有機EL素子、および軽量かつフレキシブル電源としての有機薄膜太陽電池等へ利用されうる。
本発明によれば、縮合芳香環化合物をコアとして、ペルフルオロシクロアルキル縮合環基を導入することで、有機溶媒への可溶化を図り、有機半導体材料として高いキャリア移動度がある含フッ素芳香族化合物が得られる。
さらに化合物のHOMOレベルを低下し、耐酸化性を向上させることが可能となる。
本発明の化合物を含む有機半導体材料は、有機半導体(薄膜)トランジスタ、次世代フラットパネルディスプレイ用の有機EL素子、および軽量かつフレキシブル電源としての有機薄膜太陽電池等へ利用されうる。
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JP2014030065A JP2015155382A (ja) | 2014-02-19 | 2014-02-19 | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020147526A (ja) * | 2019-03-13 | 2020-09-17 | 国立大学法人茨城大学 | フッ素置換基を有するヘリセン類の製法 |
-
2014
- 2014-02-19 JP JP2014030065A patent/JP2015155382A/ja not_active Withdrawn
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JP7188698B2 (ja) | 2019-03-13 | 2022-12-13 | 国立大学法人茨城大学 | フッ素置換基を有するヘリセン類の製法 |
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