JP2009206108A - 有機半導体材料および有機薄膜デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化水素芳香族基と含フッ素芳香族性基とが結合してなるπ共役化合物を電荷輸送材料として用いた、キャリア移動度等に優れる有機半導体材料の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料(式中、ArFはペルフルオロ芳香族性基(ただし、前記ペルフルオロ芳香族性基中のフッ素原子はペルフルオロアルキル基により置換されていてもよい。)。nは1〜4の整数。Qは下記式(2)で表される構造からn個の水素原子を除いて得られるn価の芳香族性基(ただし、前記芳香族性基中の水素原子は炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8の含フッ素アルキル基により置換されていてもよい。)。pは0〜4の整数。)。
【化1】
【化2】
【選択図】なし
【解決手段】下記式(1)で表される含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料(式中、ArFはペルフルオロ芳香族性基(ただし、前記ペルフルオロ芳香族性基中のフッ素原子はペルフルオロアルキル基により置換されていてもよい。)。nは1〜4の整数。Qは下記式(2)で表される構造からn個の水素原子を除いて得られるn価の芳香族性基(ただし、前記芳香族性基中の水素原子は炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8の含フッ素アルキル基により置換されていてもよい。)。pは0〜4の整数。)。
【化1】
【化2】
【選択図】なし
Description
本発明は、有機半導体材料および有機薄膜デバイスに関する。
近年、有機化合物を半導体材料として用いた有機エレクトロニクス素子がめざましい発展を遂げている。その代表的な応用例としては、次世代のフラットパネルディスプレイとして期待される有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)、軽量かつフレキシブルな電源としての有機薄膜太陽電池、ディスプレイの画素駆動用等に使用される薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を印刷等の低コストプロセスで製造できることやフレキシブルな基板に対応できることで注目されている有機薄膜トランジスタ(以下「有機TFT」と記す。)が挙げられる。
有機化合物は、無機物のシリコンと比較して加工することが容易であるため、半導体材料として有機化合物を用いることによって低価格なデバイスを実現することが期待されている。また、有機化合物を用いた半導体デバイスに関しては、デバイスを低温で製造することが可能であるため、プラスチック基板を含む多種多様な基板を適用することが可能である。さらに、有機化合物の半導体材料は、構造的に柔軟であるため、プラスチック基板および有機化合物の半導体材料を組み合わせて用いることで、フレキシブルなディスプレイ等のデバイスを実現することが期待されている。
一般に、有機TFT素子の低閾値電圧化、スイッチング速度向上等のために、有機半導体材料のキャリア移動度の向上が求められている。有機半導体材料のキャリア移動度は一般的に低いが、近年、ペンタセンを用いた有機TFT素子において、アモルファスシリコン並みの移動度(>1.0cm2/Vs)が実現されつつある(非特許文献1参照。)。
有機半導体材料において、キャリア移動度の向上のための手段としては、未だ有効な手段は確立していないが、分子間相互作用を強くすることや、分子の配列を制御することが重要と言われている。
具体的には、平面構造により共役系が拡張され、πスタックによる強い分子間相互作用を持つペンタセン等の縮合多環系の化合物を利用した例(非特許文献1参照。)や、電子吸引性の芳香族基と電子供与性の芳香族基を分子内に共存させることにより、電荷の偏りを生じさせ、分子間相互作用を高めるだけでなく、分子配列を制御した例(非特許文献2参照。)が知られている。
具体的には、平面構造により共役系が拡張され、πスタックによる強い分子間相互作用を持つペンタセン等の縮合多環系の化合物を利用した例(非特許文献1参照。)や、電子吸引性の芳香族基と電子供与性の芳香族基を分子内に共存させることにより、電荷の偏りを生じさせ、分子間相互作用を高めるだけでなく、分子配列を制御した例(非特許文献2参照。)が知られている。
また、分子間相互作用を高める手段としては、含フッ素芳香族性基および炭化水素芳香族基の相互作用が知られている(例えば、非特許文献3参照。)。
しかしながら、この相互作用を有機半導体材料のキャリア移動度の向上のために利用した例は少なく、ペンタセンの骨格にフッ素原子を導入した例はあるが、キャリア移動度は十分に高いとは言えないものであった(非特許文献4参照。)。
一方、有機半導体材料は一般的にホール輸送性を有するp型半導体材料が多く、電子輸送性を有するn型半導体材料は比較的少ない。特に、n型半導体特性を示すものとしては、ペリレンテトラカルボン酸無水物およびそのジイミド誘導体、フラーレン(C60)、フッ素化銅フタロシアニン、フッ素化ペンタセン等が知られているが、高いキャリア移動度を有するもの、大気中で高い安定性を示すものが少なく、有機薄膜デバイスとして実用的な材料がないということが問題であった(非特許文献5参照。)
しかしながら、この相互作用を有機半導体材料のキャリア移動度の向上のために利用した例は少なく、ペンタセンの骨格にフッ素原子を導入した例はあるが、キャリア移動度は十分に高いとは言えないものであった(非特許文献4参照。)。
一方、有機半導体材料は一般的にホール輸送性を有するp型半導体材料が多く、電子輸送性を有するn型半導体材料は比較的少ない。特に、n型半導体特性を示すものとしては、ペリレンテトラカルボン酸無水物およびそのジイミド誘導体、フラーレン(C60)、フッ素化銅フタロシアニン、フッ素化ペンタセン等が知られているが、高いキャリア移動度を有するもの、大気中で高い安定性を示すものが少なく、有機薄膜デバイスとして実用的な材料がないということが問題であった(非特許文献5参照。)
D.J.Gundlach,S.F.Nelson,T.N.Jachsonら、Appl.Phys.Lett.,(2002),80,2925.
H.Tada,Y.Yamashita et al.,Materials Research Society Symposium Proceedings,(2002),725,143.
G.W.Coates,J.W.Ziller,R.H.Grubbs et al.,J.Am.Chem.Soc.,(1998),120,3641.
J.E.Anthony,G.G.Malliaras et al.,Org.Lett.,(2005),7(15),3163.
H.E.Katz,et al.,Nature,(2000),404,478.
本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決するために、炭化水素芳香族基と含フッ素芳香族性基とが結合してなるπ共役化合物を電荷輸送材料として用いた、キャリア移動度等に優れる有機半導体材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記有機半導体材料を含む高性能な有機薄膜デバイスを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記有機半導体材料を含む高性能な有機薄膜デバイスを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、特定の含フッ素芳香族化合物が、有機半導体材料として有機薄膜デバイスに用いられた場合に、n型半導体特性を有することおよび高いキャリア移動度を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(i)〜(vii)を提供する。
(i)下記式(1)で表される含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料。
(i)下記式(1)で表される含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料。
ArFはペルフルオロ芳香族性基(ただし、前記ペルフルオロ芳香族性基中のフッ素原子はペルフルオロアルキル基により置換されていてもよい。)。
nは1〜4の整数。
Qは下記式(2)で表される構造からn個の水素原子を除いて得られるn価の芳香族性基(ただし、前記芳香族性基中の水素原子は炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8の含フッ素アルキル基により置換されていてもよい。)。
nは1〜4の整数。
Qは下記式(2)で表される構造からn個の水素原子を除いて得られるn価の芳香族性基(ただし、前記芳香族性基中の水素原子は炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8の含フッ素アルキル基により置換されていてもよい。)。
pは0〜4の整数。
(ii)nが2である上記(i)に記載の有機半導体材料。
(iii)ArFがペルフルオロフェニル基、ペルフルオロナフチル基およびペルフルオロビフェニル基からなる群から選択されるペルフルオロ芳香族性基であり、pが0または1である、上記(ii)に記載の有機半導体材料。
(iv)pが0であり、Qにおける−C≡C−ArFの結合位置が2位と6位である、上記(iii)に記載の有機半導体材料。
(v)pが1であり、Qにおける−C≡C−ArFの結合位置が2位と6位、または、9位と10位である、上記(iii)に記載の有機半導体材料。
(vi)前記式(1)で表される含フッ素芳香族化合物が、下記式(11)で表される化合物、下記式(12)で表される化合物、下記式(13)で表される化合物、下記式(14)で表される化合物、下記式(15)で表される化合物および下記式(16)で表される化合物からなる群から選択される化合物である、上記(iii)に記載の有機半導体材料。
(ii)nが2である上記(i)に記載の有機半導体材料。
(iii)ArFがペルフルオロフェニル基、ペルフルオロナフチル基およびペルフルオロビフェニル基からなる群から選択されるペルフルオロ芳香族性基であり、pが0または1である、上記(ii)に記載の有機半導体材料。
(iv)pが0であり、Qにおける−C≡C−ArFの結合位置が2位と6位である、上記(iii)に記載の有機半導体材料。
(v)pが1であり、Qにおける−C≡C−ArFの結合位置が2位と6位、または、9位と10位である、上記(iii)に記載の有機半導体材料。
(vi)前記式(1)で表される含フッ素芳香族化合物が、下記式(11)で表される化合物、下記式(12)で表される化合物、下記式(13)で表される化合物、下記式(14)で表される化合物、下記式(15)で表される化合物および下記式(16)で表される化合物からなる群から選択される化合物である、上記(iii)に記載の有機半導体材料。
(vii)基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、有機半導体層と、ソース電極およびドレイン電極とを有する有機薄膜トランジスタからなる有機薄膜デバイスであって、
前記有機半導体層が上記(i)〜(vi)のいずれかに記載の有機半導体材料を含む有機薄膜デバイス。
前記有機半導体層が上記(i)〜(vi)のいずれかに記載の有機半導体材料を含む有機薄膜デバイス。
本発明の有機半導体材料は、電荷輸送材料としてキャリア移動度が高く、また、電子輸送性を有するため、高性能な有機TFTを得ることができる。
以下に本発明の実施の形態を、代表例を示して詳細に説明する。初めに、本発明の有機半導体材料について説明する。
本発明の有機半導体材料は、下記式(1)で表される含フッ素芳香族化合物を含む。なお、本明細書においては、「式(1)で表される化合物」等を「化合物(1)」等と記す。
本発明の有機半導体材料は、下記式(1)で表される含フッ素芳香族化合物を含む。なお、本明細書においては、「式(1)で表される化合物」等を「化合物(1)」等と記す。
化合物(1)において、ArFはペルフルオロ芳香族性基である。ここで、「ペルフルオロ芳香族性基」は、芳香族性を示す1価の炭化水素基の水素原子をすべてフッ素原子で置換したものを意味する。ただし、前記ペルフルオロ芳香族性基中のフッ素原子はペルフルオロアルキル基により置換されていてもよい。この場合、ペルフルオロアルキル基は、炭素原子数1〜8の直鎖のまたは分岐のアルキル基であるのが好ましい。ArFとしては無置換のペルフルオロフェニル基、無置換のペルフルオロナフチル基および無置換のペルフルオロビフェニル基(−C6F4C6F5)からなる群から選択されるペルフルオロ芳香族性基であるのが好ましく、無置換のペルフルオロフェニル基または無置換のペルフルオロナフチル基であるのがより好ましい。
化合物(1)においてnは1〜4の整数を表す。nは、1または2であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。
化合物(1)においてQは下記式(2)で表される構造からn個の水素原子を除いて得られるn価の芳香族性基である。ただし、前記芳香族性基中の水素原子は炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8の含フッ素アルキル基により置換されていてもよい。
ここで、pは0〜4の整数を表す。pは0または1であるのが好ましい。
Qとしては、nが2であり、pが0または1であるのが好ましく、nが2であり、pが0または1であり、前記芳香族性基中の水素原子が無置換であるのがより好ましい。
化合物(1)は、結晶構造において分子が規則的に並んでいることが好ましく、そのため、分子の対称性が高いことが好ましい。分子の対称性の観点から、Qにおける−C≡C−ArFの結合位置については、nが2であり、pが0である場合は、2位と6位であるのが好ましく、また、nが2であり、pが1である場合は、2位と6位、または、9位と10位であるのが好ましい。
Qとしては、nが2であり、pが0または1であるのが好ましく、nが2であり、pが0または1であり、前記芳香族性基中の水素原子が無置換であるのがより好ましい。
化合物(1)は、結晶構造において分子が規則的に並んでいることが好ましく、そのため、分子の対称性が高いことが好ましい。分子の対称性の観点から、Qにおける−C≡C−ArFの結合位置については、nが2であり、pが0である場合は、2位と6位であるのが好ましく、また、nが2であり、pが1である場合は、2位と6位、または、9位と10位であるのが好ましい。
さらに、化合物(1)としては、下記式(11)で表される化合物、下記式(12)で表される化合物、下記式(13)で表される化合物、下記式(14)で表される化合物、下記式(15)で表される化合物および下記式(16)で表される化合物からなる群から選択される化合物であるのが好ましい。
化合物(1)は製造方法を特に限定されないが、以下の方法により製造可能である。例えば、化合物(1)においてnが1である場合を例にとると、下記1)または2)の方法により製造することができる。
1)下記式(a)または(b)で表される、活性プロトンを有するエチニレン化合物とのカップリング反応を利用する方法
Q−C≡C−H + L−ArF → Q−C≡C−ArF + HL (a)
または
Q−L + H−C≡C−ArF → Q−C≡C−ArF + HL (b)
または
Q−L + H−C≡C−ArF → Q−C≡C−ArF + HL (b)
ここで、ArFおよびQは、それぞれ上記式(1)におけるのと同じ意味であり、Lは脱離基を表す。脱離基Lは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子である。本カップリング反応は、触媒として、パラジウム、銅、白金、ニッケル等の遷移金属、その塩またはその錯体を使用するのが好ましい。触媒は1種のみで用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価のパラジウム触媒と、臭化銅、ヨウ化銅等の遷移金属塩とを混合して用いることが挙げられる。また、上記触媒には、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のハロゲン化リチウム塩を混合して用いてもよい。
また、本カップリング反応の溶媒としては、生成するHLを捕捉することができる溶媒が好ましく、一般にアミン系の溶媒が用いられる。具体的には、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン、ピロリジン、ピペリジンが用いられる。また、これらは他の溶媒と混合してもよく、その場合は、他の溶媒として、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性溶媒を用いるのが好ましい。
本反応の反応温度としては、30〜150℃で行うのが好ましい。中でも、70〜100℃程度に加熱して行うのが好ましい。
反応式(a)中の式Q−C≡C−Hで表される化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。
Q−L + H−C≡C−C(CH3)2OH
→ Q−C≡C−C(CH3)2OH + HL (c)
→ Q−C≡C−C(CH3)2OH + HL (c)
Q−C≡C−C(CH3)2OH
→ Q−C≡C−H + O=C(CH3)2 (d)
→ Q−C≡C−H + O=C(CH3)2 (d)
ここで、ArF、QおよびLは、それぞれ上記式(a)におけるのと同じ意味である。
反応式(c)で表される反応はカップリング反応であり、上記式(a)または(b)で表されるカップリング反応と同様の条件で行うことができる。
反応式(d)で表される反応は脱アセトンによるエチニル基の生成反応であり、通常は塩基性条件下にて行われる。用いられる塩基としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられ、塩基性の強さの観点から水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを用いるのが好ましい。また、本反応は生成するアセトンを系中から速やかに除去しながら行うのが好ましく、中でも、減圧下で加熱して行うのが好ましい。反応圧力としては、0.01〜0.5Paの範囲で行うのが好ましく、0.3〜0.5Paの範囲で行うのがより好ましい。反応温度としては30〜200℃で行うのが好ましい。中でも、100〜150℃程度に加熱して行うのが好ましい。
反応式(c)で表される反応はカップリング反応であり、上記式(a)または(b)で表されるカップリング反応と同様の条件で行うことができる。
反応式(d)で表される反応は脱アセトンによるエチニル基の生成反応であり、通常は塩基性条件下にて行われる。用いられる塩基としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられ、塩基性の強さの観点から水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを用いるのが好ましい。また、本反応は生成するアセトンを系中から速やかに除去しながら行うのが好ましく、中でも、減圧下で加熱して行うのが好ましい。反応圧力としては、0.01〜0.5Paの範囲で行うのが好ましく、0.3〜0.5Paの範囲で行うのがより好ましい。反応温度としては30〜200℃で行うのが好ましい。中でも、100〜150℃程度に加熱して行うのが好ましい。
反応式(b)中の式H−C≡C−ArFで表される化合物も同様の方法で製造可能である。
2)下記式で表されるフッ素原子の脱離を伴う求核置換反応を利用する方法
Q−C≡C−M + F−ArF → Q−C≡C−ArF + MF
ここで、ArFおよびQは、それぞれ上記式(1)におけるのと同じ意味であり、Mは1価の金属を表す。1価の金属Mとしては、リチウム、カリウム、ナトリウム等を使用することができる。本求核置換反応は低温下、非プロトン性極性溶媒中で行うのが好ましい。反応温度としては−80〜10℃で行うのが好ましく、−20℃〜5℃で行うのがより好ましい。本反応の溶媒としては、非プロトン性極性溶媒を用いるのが好ましい。具体的には、例えば、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが用いられる。
本発明の有機半導体材料は、上述した化合物(1)を含む有機半導体材料である。本発明の有機半導体材料は、化合物(1)を含むものであればよく、例えば、他の有機半導体材料に混合して用いてもよく、また、種々のドーパントを含んでいてもよい。
化合物(1)は、ArFで表されるペルフルオロ芳香族性基とQで表される炭化水素芳香族基の相互作用により、分子間相互作用が大きく、高キャリア移動度を達成することができるので、本発明の有機半導体材料は、有機TFTの有機半導体層(有機活性層)に用いると効果的である。
また、化合物(1)は、含フッ素芳香族基の電子親和性の効果により、電子受容性が高く、電子輸送性を有するので、本発明の有機半導体材料は、n型半導体として用いることができる。
化合物(1)は、ArFで表されるペルフルオロ芳香族性基とQで表される炭化水素芳香族基の相互作用により、分子間相互作用が大きく、高キャリア移動度を達成することができるので、本発明の有機半導体材料は、有機TFTの有機半導体層(有機活性層)に用いると効果的である。
また、化合物(1)は、含フッ素芳香族基の電子親和性の効果により、電子受容性が高く、電子輸送性を有するので、本発明の有機半導体材料は、n型半導体として用いることができる。
つぎに、本発明の有機薄膜デバイスについて説明する。
本発明の有機薄膜デバイスは、本発明の有機半導体材料を用いた有機TFTからなる有機薄膜デバイスである。すなわち、本発明の有機薄膜デバイスは、化合物(1)を含む有機TFTからなる有機薄膜デバイスである。具体的には、本発明の有機薄膜デバイスは、少なくとも1層の有機層を備え、この有機層のうち少なくとも1層が上述した化合物(1)を含む。
より具体的には、本発明の有機薄膜デバイスは、基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、有機半導体層と、ソース電極およびドレイン電極とを有する有機TFTからなる有機薄膜デバイスであって、前記有機半導体層が本発明の有機半導体材料を含む有機薄膜デバイスである。
本発明の有機薄膜デバイスは、本発明の有機半導体材料を用いた有機TFTからなる有機薄膜デバイスである。すなわち、本発明の有機薄膜デバイスは、化合物(1)を含む有機TFTからなる有機薄膜デバイスである。具体的には、本発明の有機薄膜デバイスは、少なくとも1層の有機層を備え、この有機層のうち少なくとも1層が上述した化合物(1)を含む。
より具体的には、本発明の有機薄膜デバイスは、基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、有機半導体層と、ソース電極およびドレイン電極とを有する有機TFTからなる有機薄膜デバイスであって、前記有機半導体層が本発明の有機半導体材料を含む有機薄膜デバイスである。
基板は、特に限定されず、例えば、従来公知の構成とすることができる。
基板としては、例えば、ガラス(例えば、石英ガラス)、シリコン、セラミック、プラスチックが挙げられる。
プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の汎用の樹脂基板が挙げられる。樹脂基板は、酸素、水蒸気等のガスの透過性を低くするためのガスバリア膜を積層したものであることが好ましい。
基板としては、例えば、ガラス(例えば、石英ガラス)、シリコン、セラミック、プラスチックが挙げられる。
プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の汎用の樹脂基板が挙げられる。樹脂基板は、酸素、水蒸気等のガスの透過性を低くするためのガスバリア膜を積層したものであることが好ましい。
ゲート電極は、特に限定されず、例えば、従来公知の構成とすることができる。
ゲート電極としては、例えば、金、白金、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、銅、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム等の金属またはそれらの合金、ポリシリコン、アモルファスシリコン、グラファイト、スズドープ酸化インジウム(以下「ITO」と称する。)、酸化亜鉛、導電性ポリマー等の材料を用いることができる。
ゲート電極としては、例えば、金、白金、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、銅、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム等の金属またはそれらの合金、ポリシリコン、アモルファスシリコン、グラファイト、スズドープ酸化インジウム(以下「ITO」と称する。)、酸化亜鉛、導電性ポリマー等の材料を用いることができる。
ゲート絶縁層は、特に限定されず、例えば、従来公知の構成とすることができる。
ゲート絶縁層としては、SiO2、Si3N4、SiON、Al2O3、Ta2O5、アモルファスシリコン、ポリイミド樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂(PTFE、PFA、PETFE、PCTFE、CYTOP(登録商標)等)等の材料を用いることができる。
ゲート絶縁層としては、SiO2、Si3N4、SiON、Al2O3、Ta2O5、アモルファスシリコン、ポリイミド樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂(PTFE、PFA、PETFE、PCTFE、CYTOP(登録商標)等)等の材料を用いることができる。
有機半導体層は、化合物(1)を含む層であれば、特に限定されない。例えば、実質的に化合物(1)のみからなる層であってもよく、化合物(1)以外の他の物質を含有する層であってもよい。
ソース電極およびドレイン電極は、いずれも特に限定されず、例えば、従来公知の構成とすることができる。
ソース電極およびドレイン電極としては、いずれも、金、白金、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、銅、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム等の金属またはそれらの合金、ポリシリコン、アモルファスシリコン、グラファイト、ITO、酸化亜鉛、導電性ポリマー等の材料を用いることができる。
ソース電極およびドレイン電極としては、いずれも、金、白金、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、銅、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム等の金属またはそれらの合金、ポリシリコン、アモルファスシリコン、グラファイト、ITO、酸化亜鉛、導電性ポリマー等の材料を用いることができる。
有機TFTにおける積層の構成は、基板側から、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、有機半導体層と、ソース電極およびドレイン電極とをこの順に有する構成(1)、基板側から、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ソース電極およびドレイン電極と、有機半導体層とをこの順に有する構成(2)、基板側から、有機半導体層と、ソース電極およびドレイン電極と、ゲート絶縁層と、ゲート電極とをこの順に有する構成(3)、および、基板側から、ソース電極およびドレイン電極と、有機半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、をこの順に有する構成(4)のいずれであってもよい。
有機TFTの作製方法は、特に限定されないが、構成(1)の場合、例えば、基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、有機半導体層と、ドレイン電極およびソース電極とを順次積層するトップコンタクトソース−ドレイン法が挙げられ、構成(2)の場合、基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ドレイン電極およびソース電極と、有機半導体層とを順次積層するボトムコンタクトソース−ドレイン法が挙げられる。また、構成(3)や構成(4)の場合、トップゲート型の作製方法も挙げられる。
有機TFTの作製方法は、特に限定されないが、構成(1)の場合、例えば、基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、有機半導体層と、ドレイン電極およびソース電極とを順次積層するトップコンタクトソース−ドレイン法が挙げられ、構成(2)の場合、基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ドレイン電極およびソース電極と、有機半導体層とを順次積層するボトムコンタクトソース−ドレイン法が挙げられる。また、構成(3)や構成(4)の場合、トップゲート型の作製方法も挙げられる。
ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ソース電極およびドレイン電極とは、形成方法を特に限定されないが、いずれも、例えば、上述した材料を用いて、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、RFスパッタ法、スピンコート法、印刷法等の周知の膜作製方法により形成させることができる。
有機半導体層は、形成方法を特に限定されないが、例えば、上述した化合物(1)を用いて、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等の周知の膜作製方法により形成させることができる。
有機半導体層は、形成方法を特に限定されないが、例えば、上述した化合物(1)を用いて、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等の周知の膜作製方法により形成させることができる。
化合物(1)は、ArFで表されるペルフルオロ芳香族性基とQで表される炭化水素芳香族基とがある程度規則的に配置された化学構造を有しており、ペルフルオロ芳香族性基および炭化水素芳香族基の相互作用により、ペルフルオロ芳香族性基と炭化水素芳香族基が交互にスタッキングし、積層した結晶構造を持つ。このため分子間相互作用が大きく、分子同士でπ電子軌道がオーバーラップすることによる高キャリア移動度を期待することができる。したがって、この材料を有機TFT(電界効果トランジスタ)の有機半導体層(「有機活性層」とも呼ばれる。)に用いることで、大きい電界効果移動度特性を実現することができる。
有機TFTからなる本発明の有機薄膜デバイスは、用途を特に限定されないが、例えばプラスチック基板を用いたフレキシブルディスプレイの駆動用TFTとして好適に用いられる。
一般的にプラスチック基板上に無機物で構成されたTFTを作製することはプロセス上困難である。しかし、有機TFTからなる本発明の有機薄膜デバイスの作製工程では、上述したように真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等のプロセスを用い、高温プロセスを使用しないため、プラスチック基板上に画素駆動用のTFTを形成しうる。特に、本発明に用いられる化合物(1)は、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の汎用有機溶媒に可溶であるため、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等の低コストプロセスを適用可能であり、安価なペーパーライク(フレキシブル)ディスプレイの作製に適している。
一般的にプラスチック基板上に無機物で構成されたTFTを作製することはプロセス上困難である。しかし、有機TFTからなる本発明の有機薄膜デバイスの作製工程では、上述したように真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等のプロセスを用い、高温プロセスを使用しないため、プラスチック基板上に画素駆動用のTFTを形成しうる。特に、本発明に用いられる化合物(1)は、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の汎用有機溶媒に可溶であるため、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等の低コストプロセスを適用可能であり、安価なペーパーライク(フレキシブル)ディスプレイの作製に適している。
本発明の有機薄膜デバイスにおいては、上述したように、トランジスタ等の電気デバイスの基板として、ガラス基板のほかに、プラスチック基板を使用することが可能である。
基板として用いられるプラスチックは、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性および低吸湿性に優れているのが好ましい。このようなプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリイミド等が挙げられる。
基板として用いられるプラスチックは、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性および低吸湿性に優れているのが好ましい。このようなプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリイミド等が挙げられる。
本発明の有機薄膜デバイスにおいては、基板の電極側の面および電極と反対側の面の一方または両方に、透湿防止層(ガスバリア層)を有するのが好ましい。透湿防止層を構成する材料としては、窒化ケイ素、酸化ケイ素等の無機物が好適に例示される。透湿防止層はRFスパッタ法等の周知の膜作製方法により形成することができる。
また、本発明の有機薄膜デバイスにおいては、必要に応じて、ハードコート層やアンダーコー卜層を有していてもよい。
また、本発明の有機薄膜デバイスにおいては、必要に応じて、ハードコート層やアンダーコー卜層を有していてもよい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
1.中間体の合成
(1)2,6−ジエチニルナフタレンの合成
後述する化合物(11)および(12)の合成に用いる中間体として、下記式(A)および(B)により、2,6−ジエチニルナフタレンを合成した。
1.中間体の合成
(1)2,6−ジエチニルナフタレンの合成
後述する化合物(11)および(12)の合成に用いる中間体として、下記式(A)および(B)により、2,6−ジエチニルナフタレンを合成した。
2,6−ジエチニルナフタレンの具体的な合成方法を以下に示す。
熱電対温度計およびメカニカルスターラを取り付けた容量300mLの四つ口フラスコに、20.15gの2,6−ジブロモナフタレン、2.0gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および1.14gのトリフェニルホスフィンを仕込み、系を窒素置換した。そして、60mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、0.15gの臭化銅(I)および0.59gの臭化リチウムを15mLのテトラヒドロフラン(以下「THF」という。)に溶解したものを仕込み、そこへ23.9gの2−メチルブタ−3−イン−2−オールを添加した。そして、系を90〜95℃に加熱し、2〜3時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、200mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびメタノールによる洗浄をこの順で行った後に、50℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な4,4′−(ナフタレン−2,6−ジイル)ビス(2−メチルブタ−3−イン−2−オール)を16.0g得た(収率:77%)(上記式(A)参照。)。
熱電対温度計およびメカニカルスターラを取り付けた容量300mLの四つ口フラスコに、20.15gの2,6−ジブロモナフタレン、2.0gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および1.14gのトリフェニルホスフィンを仕込み、系を窒素置換した。そして、60mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、0.15gの臭化銅(I)および0.59gの臭化リチウムを15mLのテトラヒドロフラン(以下「THF」という。)に溶解したものを仕込み、そこへ23.9gの2−メチルブタ−3−イン−2−オールを添加した。そして、系を90〜95℃に加熱し、2〜3時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、200mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびメタノールによる洗浄をこの順で行った後に、50℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な4,4′−(ナフタレン−2,6−ジイル)ビス(2−メチルブタ−3−イン−2−オール)を16.0g得た(収率:77%)(上記式(A)参照。)。
こうして得られた生成物を、熱電対温度計およびメカニカルスターラを取り付けた容量300mLの四つ口フラスコに移し、そこへ29.8gの流動パラフィンおよび13.4gの粉砕した水酸化カリウムを仕込み、かくはんして分散した。そして、系を0.23Paまで減圧した後、100〜130℃に加熱し、アセトンの発生による発泡がなくなるまで加熱、かくはんし続けた。続いて100mLのジクロロメタンおよび100mLの水を添加し、かくはんした後、不溶な固体をろ過して取り除いた。粗生成物はジクロロメタンにより抽出し、濃縮することにより流動パラフィンとの混合物として得られ、それをカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、ほぼ純粋な2,6−ジエチニルナフタレンを7.3g得た(収率:86%)(上記式(B)参照。)。なお、2,6−ジエチニルナフタレンは、1H−NMRの分析により同定した。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm);3.18(s,2H),7.53(d,2H),7.74(d,2H),7.98(s,2H)
(2)2,6−ジエチニルアントラセンの合成
後述する化合物(13)および(14)の合成に用いる中間体として、下記式(C)および(D)により、2,6−ジエチニルアントラセンを合成した。
後述する化合物(13)および(14)の合成に用いる中間体として、下記式(C)および(D)により、2,6−ジエチニルアントラセンを合成した。
2,6−ジエチニルアントラセンの具体的な合成方法を以下に示す。
熱電対温度計を取り付け、マグネティックスターラを投入した容量50mLの三つ口フラスコに、1.0gの2,6−ジブロモアントラセン、94mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および57mgのトリフェニルホスフィンを仕込み、系を窒素置換した。そして、2mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、12mgの臭化銅(I)および25mgの臭化リチウムを0.75mLのTHFに溶解したものを仕込み、そこへ1.0gの2−メチルブタ−3−イン−2−オールを添加した。そして、系を90〜95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、40mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびメタノールによる洗浄をこの順で行った後に、50℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な4,4′−(アントラセン−2,6−ジイル)ビス(2−メチルブタ−3−イン−2−オール)を0.9g得た(収率:85%)(上記式(C)参照。)。
熱電対温度計を取り付け、マグネティックスターラを投入した容量50mLの三つ口フラスコに、1.0gの2,6−ジブロモアントラセン、94mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および57mgのトリフェニルホスフィンを仕込み、系を窒素置換した。そして、2mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、12mgの臭化銅(I)および25mgの臭化リチウムを0.75mLのTHFに溶解したものを仕込み、そこへ1.0gの2−メチルブタ−3−イン−2−オールを添加した。そして、系を90〜95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、40mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびメタノールによる洗浄をこの順で行った後に、50℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な4,4′−(アントラセン−2,6−ジイル)ビス(2−メチルブタ−3−イン−2−オール)を0.9g得た(収率:85%)(上記式(C)参照。)。
こうして得られた生成物のうち0.8gを、熱電対温度計およびメカニカルスターラを取り付けた容量200mLの四つ口フラスコに移し、そこへ2.2gの流動パラフィンおよび0.7gの粉砕した水酸化カリウムを仕込み、かくはんして分散した。そして、系を0.23Paまで減圧した後、100〜130℃に加熱し、アセトンの発生による発泡がなくなるまで加熱、かくはんし続けた。続いて40mLのジクロロメタンおよび40mLの水を添加し、かくはんした後、不溶な固体をろ過して取り除いた。粗生成物はジクロロメタンおよびクロロホルムにより抽出し、濃縮することにより流動パラフィンとの混合物として得られ、それをカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、ほぼ純粋な2,6−ジエチニルアントラセンを0.45g得た(収率:87%)(上記式(D)参照。)。なお、2,6−ジエチニルアントラセンは、1H−NMRの分析により同定した。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm);3.22(s,2H),7.48(d,2H),7.95(d,2H),8.19(s,2H),8.35(s,2H)
2.含フッ素芳香族化合物の合成
(合成例1):化合物(11)
(1)化合物(11)の合成
熱電対温度計およびメカニカルスターラを取り付けた容量300mLの四つ口フラスコに、1.7gの2,6−ジエチニルナフタレン、0.5gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および0.09gの臭化銅(I)を仕込み、系を窒素置換した。続いて、35mLのトルエンおよび4.5mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、そこへ7.3gのブロモペンタフルオロベンゼンを添加した。そして、系を90〜95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、100mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびメタノールによる洗浄をこの順で行った後に、60℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な化合物(11)を4.1g得た(収率:87%)。
(合成例1):化合物(11)
(1)化合物(11)の合成
熱電対温度計およびメカニカルスターラを取り付けた容量300mLの四つ口フラスコに、1.7gの2,6−ジエチニルナフタレン、0.5gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および0.09gの臭化銅(I)を仕込み、系を窒素置換した。続いて、35mLのトルエンおよび4.5mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、そこへ7.3gのブロモペンタフルオロベンゼンを添加した。そして、系を90〜95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、100mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびメタノールによる洗浄をこの順で行った後に、60℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な化合物(11)を4.1g得た(収率:87%)。
(2)化合物(11)の精製
上記で得られた化合物(11)のうちの2.0gを5.5×10-4〜6.0×10-4Paの減圧下、250℃で昇華精製を行うことにより、純粋な白色結晶1.8gを得た。この白色結晶は、19F−NMRおよび1H−NMRの各分析により2,6−ビス(ペンタフルオロフェニルエチニル)ナフタレン(化合物(11))であると同定された。分析結果を以下に示す。
上記で得られた化合物(11)のうちの2.0gを5.5×10-4〜6.0×10-4Paの減圧下、250℃で昇華精製を行うことにより、純粋な白色結晶1.8gを得た。この白色結晶は、19F−NMRおよび1H−NMRの各分析により2,6−ビス(ペンタフルオロフェニルエチニル)ナフタレン(化合物(11))であると同定された。分析結果を以下に示す。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm);−136.34(4F),−152.70(2F),−162.14(4F)
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm);7.64(d,2H),7.84(d,2H),8.11(s,2H)
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm);7.64(d,2H),7.84(d,2H),8.11(s,2H)
(合成例2):化合物(12)
(1)化合物(12)の合成
熱電対温度計およびメカニカルスターラを取り付けた容量300mLの四つ口フラスコに、0.3gの2,6−ジエチニルナフタレン、0.09gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および0.03gの臭化銅(I)を仕込み、系を窒素置換した。続いて、6mLのトルエンおよび0.75mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、そこへ1.7gの2−ブロモヘプタフルオロナフタレンを添加した。そして、系を90〜95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、100mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびアセトンによる洗浄をこの順で行った後に、60℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な化合物(12)を5.6g得た(収率:92%)。
(1)化合物(12)の合成
熱電対温度計およびメカニカルスターラを取り付けた容量300mLの四つ口フラスコに、0.3gの2,6−ジエチニルナフタレン、0.09gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および0.03gの臭化銅(I)を仕込み、系を窒素置換した。続いて、6mLのトルエンおよび0.75mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、そこへ1.7gの2−ブロモヘプタフルオロナフタレンを添加した。そして、系を90〜95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、100mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびアセトンによる洗浄をこの順で行った後に、60℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な化合物(12)を5.6g得た(収率:92%)。
(2)化合物(12)の精製
上記で得られた化合物(12)のうちの1.0gを5.5×10-4〜6.0×10-4Paの減圧下、350℃で昇華精製を行うことにより、純粋な白色結晶0.5gを得た。この白色結晶は、19F−NMRおよび1H−NMRの各分析により2,6−ビス((ヘプタフルオロナフタレン−2−イル)エチニル)ナフタレン(化合物(12))であると同定された。分析結果を以下に示す。
上記で得られた化合物(12)のうちの1.0gを5.5×10-4〜6.0×10-4Paの減圧下、350℃で昇華精製を行うことにより、純粋な白色結晶0.5gを得た。この白色結晶は、19F−NMRおよび1H−NMRの各分析により2,6−ビス((ヘプタフルオロナフタレン−2−イル)エチニル)ナフタレン(化合物(12))であると同定された。分析結果を以下に示す。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:THF−d8、基準:CFCl3)δ(ppm);−113.1(2F),−134.5(2F),−144.1(2F),−144.6(2F),−149.3(2F),−153.2(2F),−156.3(4F)
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:THF−d8,基準:TMS)δ(ppm);7.74(d,2H),8.03(d,2H),8.29(s,2H)
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:THF−d8,基準:TMS)δ(ppm);7.74(d,2H),8.03(d,2H),8.29(s,2H)
(合成例3):化合物(13)
(1)化合物(13)の合成
熱電対温度計を取り付け、マグネティックスターラを投入した容量50mLの三つ口フラスコに、0.29gの2,6−ジエチニルアントラセン、88mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および19mgの臭化銅(I)を仕込み、系を窒素置換した。続いて、6mLのトルエンおよび0.75mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、そこへ1.0gのブロモペンタフルオロベンゼンを添加した。そして、系を95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、40mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびメタノールによる洗浄をこの順で行った後に、60℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な化合物(13)を0.44g得た(収率:62%)。
(1)化合物(13)の合成
熱電対温度計を取り付け、マグネティックスターラを投入した容量50mLの三つ口フラスコに、0.29gの2,6−ジエチニルアントラセン、88mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および19mgの臭化銅(I)を仕込み、系を窒素置換した。続いて、6mLのトルエンおよび0.75mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、そこへ1.0gのブロモペンタフルオロベンゼンを添加した。そして、系を95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、40mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびメタノールによる洗浄をこの順で行った後に、60℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な化合物(13)を0.44g得た(収率:62%)。
(2)化合物(13)の精製
上記で得られた化合物(13)のうちの0.3gを5.5×10-4〜6.0×10-4Paの減圧下、350℃で昇華精製を行うことにより、純粋な白色結晶0.15gを得た。この白色結晶は、19F−NMRおよび1H−NMRの各分析により2,6−ビス(ペンタフルオロフェニルエチニル)ナフタレン(化合物(13))であると同定された。分析結果を以下に示す。
上記で得られた化合物(13)のうちの0.3gを5.5×10-4〜6.0×10-4Paの減圧下、350℃で昇華精製を行うことにより、純粋な白色結晶0.15gを得た。この白色結晶は、19F−NMRおよび1H−NMRの各分析により2,6−ビス(ペンタフルオロフェニルエチニル)ナフタレン(化合物(13))であると同定された。分析結果を以下に示す。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:THF−d8、基準:CFCl3)δ(ppm);−137.20(4F),−153.78(2F),−162.95(4F)
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:THF−d8,基準:TMS)δ(ppm);7.59(d,2H),8.12(d,2H),8.40(s,2H),8.58(s,2H)
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:THF−d8,基準:TMS)δ(ppm);7.59(d,2H),8.12(d,2H),8.40(s,2H),8.58(s,2H)
(合成例4):化合物(14)
(1)化合物(14)の合成
熱電対温度計を取り付け、マグネティックスターラを投入した容量50mLの三つ口フラスコに、0.3gの2,6−ジエチニルアントラセン、77mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および14mgの臭化銅(I)を仕込み、系を窒素置換した。続いて、6mLのトルエンおよび0.75mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、そこへ1.4gの2−ブロモヘプタフルオロナフタレンを添加した。そして、系を95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、40mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびアセトンによる洗浄をこの順で行った後に、60℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な化合物(14)を0.81g得た(収率:82%)。
(1)化合物(14)の合成
熱電対温度計を取り付け、マグネティックスターラを投入した容量50mLの三つ口フラスコに、0.3gの2,6−ジエチニルアントラセン、77mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および14mgの臭化銅(I)を仕込み、系を窒素置換した。続いて、6mLのトルエンおよび0.75mLのトリエチルアミンを仕込んだ。さらに、そこへ1.4gの2−ブロモヘプタフルオロナフタレンを添加した。そして、系を95℃に加熱し、3〜4時間かくはんした。続いて、反応系を室温まで冷却した後、40mLの0.5mol/L塩酸を投入し、析出した固体をろ過して回収した。回収した固体について水による洗浄、トルエンによる洗浄およびアセトンによる洗浄をこの順で行った後に、60℃で2時間真空乾燥を行って、ほぼ純粋な化合物(14)を0.81g得た(収率:82%)。
(2)化合物(14)の精製
上記で得られた化合物(14)のうちの0.5gを5.5×10-4〜6.0×10-4Paの減圧下、400℃で昇華精製を行うことにより、純粋な白色結晶0.26gを得た。この白色結晶は、19F−NMRおよび1H−NMRの各分析により2,6−ビス((ヘプタフルオロナフタレン−2−イル)エチニル)アントラセン(化合物(14))であると同定された。分析結果を以下に示す。
上記で得られた化合物(14)のうちの0.5gを5.5×10-4〜6.0×10-4Paの減圧下、400℃で昇華精製を行うことにより、純粋な白色結晶0.26gを得た。この白色結晶は、19F−NMRおよび1H−NMRの各分析により2,6−ビス((ヘプタフルオロナフタレン−2−イル)エチニル)アントラセン(化合物(14))であると同定された。分析結果を以下に示す。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:THF−d8、基準:CFCl3)δ(ppm);−113.2(2F),−134.6(2F),−144.1(2F),−144.5(2F),−149.4(2F),−153.2(2F),−156.4(4F)
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:THF−d8,基準:TMS)δ(ppm);7.60(d,2H),8.11(d,2H),8.41(s,2H),8.59(s,2H)
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:THF−d8,基準:TMS)δ(ppm);7.60(d,2H),8.11(d,2H),8.41(s,2H),8.59(s,2H)
3.含フッ素芳香族化合物の薄膜の物性の評価
(実施例1)
厚さ130nmのガラス基板を真空蒸着機の基板ホルダーに固定して、真空度1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)まで減圧した。つぎに、合成例1で合成され、精製された化合物(11)を蒸着速度0.2nm/秒で40nmの厚さとなるようにガラス基板上に蒸着した。
蒸着された化合物(11)の薄膜のイオン化ポテンシャルを、大気中光電子分光装置(AC−3、理研計器社製)を用いて測定したところ、6.2eVであった。
また、蒸着された化合物(11)の薄膜の吸収スペクトルを、分光高度計(UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定したところ、吸収極大の波長は280nmおよび336nmであり、最も長波長側の吸収端の波長は372nmであった。
これらの特性から、化合物(11)の薄膜のHOMOおよびLUMOの準位がそれぞれ−6.2eVおよび−2.9eVと求められた。したがって、化合物(11)の薄膜が電子輸送性を有することが予想される。
(実施例1)
厚さ130nmのガラス基板を真空蒸着機の基板ホルダーに固定して、真空度1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)まで減圧した。つぎに、合成例1で合成され、精製された化合物(11)を蒸着速度0.2nm/秒で40nmの厚さとなるようにガラス基板上に蒸着した。
蒸着された化合物(11)の薄膜のイオン化ポテンシャルを、大気中光電子分光装置(AC−3、理研計器社製)を用いて測定したところ、6.2eVであった。
また、蒸着された化合物(11)の薄膜の吸収スペクトルを、分光高度計(UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定したところ、吸収極大の波長は280nmおよび336nmであり、最も長波長側の吸収端の波長は372nmであった。
これらの特性から、化合物(11)の薄膜のHOMOおよびLUMOの準位がそれぞれ−6.2eVおよび−2.9eVと求められた。したがって、化合物(11)の薄膜が電子輸送性を有することが予想される。
4.有機TFTの作製および評価
(実施例2)
ガラス基板上にマスクを介して、金をスパッタリングすることにより成膜し、幅5mm、厚さ30nmのゲート電極を形成した。
ついで、その上にポリモノクロロパラキシリレンの薄膜を蒸着重合することによりゲート絶縁層(高分子絶縁膜)を形成した。具体的には、減圧下でモノクロロキシリレンダイマー(パリレンC、日本パリレン(株)製)を加熱して蒸発させ、680℃に加熱した加熱管を通して熱分解させて、ジラジカルモノマーを発生させた。ついで、室温に保持したゲート電極を形成されたガラス基板上へ、発生させたジラジカルモノマーを導入し、厚さ990nmのポリモノクロロパラキシリレンの薄膜を形成した。
以降の過程はすべて蒸着機、グローブボックス内で行った。
ゲート絶縁層を形成されたガラス基板上に、化合物(12)を蒸着速度0.05nm/秒で約40nmの厚さとなるように蒸着し、有機半導体層を形成した。蒸着装置のチャンバ内の真空度は2×10-4Pa以下であった。
つぎに、有機半導体層上に、金属マスクを用いてカルシウムを真空蒸着法で成膜してソース電極およびドレイン電極を形成し、更に、その上に銀を蒸着して保護層を形成し、有機TFTを得た。
有機TFTのチャネル幅(W)およびチャネル長(L)は、それぞれ5mmおよび75μmとした。
(実施例2)
ガラス基板上にマスクを介して、金をスパッタリングすることにより成膜し、幅5mm、厚さ30nmのゲート電極を形成した。
ついで、その上にポリモノクロロパラキシリレンの薄膜を蒸着重合することによりゲート絶縁層(高分子絶縁膜)を形成した。具体的には、減圧下でモノクロロキシリレンダイマー(パリレンC、日本パリレン(株)製)を加熱して蒸発させ、680℃に加熱した加熱管を通して熱分解させて、ジラジカルモノマーを発生させた。ついで、室温に保持したゲート電極を形成されたガラス基板上へ、発生させたジラジカルモノマーを導入し、厚さ990nmのポリモノクロロパラキシリレンの薄膜を形成した。
以降の過程はすべて蒸着機、グローブボックス内で行った。
ゲート絶縁層を形成されたガラス基板上に、化合物(12)を蒸着速度0.05nm/秒で約40nmの厚さとなるように蒸着し、有機半導体層を形成した。蒸着装置のチャンバ内の真空度は2×10-4Pa以下であった。
つぎに、有機半導体層上に、金属マスクを用いてカルシウムを真空蒸着法で成膜してソース電極およびドレイン電極を形成し、更に、その上に銀を蒸着して保護層を形成し、有機TFTを得た。
有機TFTのチャネル幅(W)およびチャネル長(L)は、それぞれ5mmおよび75μmとした。
図1は、実施例2で作製した有機TFTの電気特性を示すグラフである。図1において、横軸はドレイン電圧(V)、縦軸はドレイン電流(A)である。
図1から、実施例2において化合物(12)を用いて作製した有機TFTがn型半導体の特性を示すことが分かる。
また、図1に示されるように、各ゲート電圧におけるドレイン電流の変化曲線は、低いドレイン電圧の線形領域(電圧比例領域)と高いドレイン電圧での飽和領域を有していた。また、実施例2で作製した有機TFTの閾値電圧(Vt)は23Vであった。
図1から、実施例2において化合物(12)を用いて作製した有機TFTがn型半導体の特性を示すことが分かる。
また、図1に示されるように、各ゲート電圧におけるドレイン電流の変化曲線は、低いドレイン電圧の線形領域(電圧比例領域)と高いドレイン電圧での飽和領域を有していた。また、実施例2で作製した有機TFTの閾値電圧(Vt)は23Vであった。
一般に、有機TFTの電子移動度(μ)は、飽和ドレイン電流Idを表わす下記式(A)から算出することができる。
Id=(W/2L)μCi(Vg−Vt)2 (A)
式中、Lはチャネル長であり、Wはチャネル幅であり、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量であり、Vgはゲート電圧であり、Vtは閾値電圧である。絶縁層として用いたポリモノクロロパラキシリレンのCiは2.86×10-9F/cm2である。
上記式(A)を用いて電子移動度(μ)を計算した結果、実施例2で作製した有機TFTでは、2.6×10-4cm2/Vsの電子移動度が得られることが分かった。
上記式(A)を用いて電子移動度(μ)を計算した結果、実施例2で作製した有機TFTでは、2.6×10-4cm2/Vsの電子移動度が得られることが分かった。
Claims (7)
- nが2である、請求項1に記載の有機半導体材料。
- ArFがペルフルオロフェニル基、ペルフルオロナフチル基およびペルフルオロビフェニル基からなる群から選択されるペルフルオロ芳香族性基であり、pが0または1である、請求項2に記載の有機半導体材料。
- pが0であり、Qにおける−C≡C−ArFの結合位置が2位と6位である、請求項3に記載の有機半導体材料。
- pが1であり、Qにおける−C≡C−ArFの結合位置が2位と6位、または、9位と10位である、請求項3に記載の有機半導体材料。
- 基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、有機半導体層と、ソース電極およびドレイン電極とを有する有機薄膜トランジスタからなる有機薄膜デバイスであって、
前記有機半導体層が請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体材料を含む有機薄膜デバイス。
Priority Applications (3)
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JP2006187503A JP2009206108A (ja) | 2006-06-16 | 2006-07-07 | 有機半導体材料および有機薄膜デバイス |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012023549A1 (ja) * | 2010-08-19 | 2012-02-23 | 住友化学株式会社 | 有機トランジスタ |
JP2013152961A (ja) * | 2012-01-24 | 2013-08-08 | Tokai Univ | クリセン化合物を使用した有機半導体デバイス。 |
JP2015109455A (ja) * | 2009-09-25 | 2015-06-11 | 出光興産株式会社 | 有機薄膜トランジスタ |
-
2006
- 2006-07-07 JP JP2006187503A patent/JP2009206108A/ja not_active Withdrawn
- 2006-08-07 JP JP2006214239A patent/JP2009078975A/ja not_active Withdrawn
-
2007
- 2007-06-15 TW TW96121871A patent/TW200808697A/zh unknown
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