JP2016047944A - Cu−Sn共存鋼材およびその製造方法 - Google Patents

Cu−Sn共存鋼材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CuおよびSnを含有する鋼材であって、表面に割れおよび疵がない鋼を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.04〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.2〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Cu:0.20〜1.20%、Ni:0.05〜1.00%、Sn:0.06〜0.50%、sol.Al:0.04%以上0.20%未満、およびNd:0.005%以上0.10%未満を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、sol.Alの含有量とNdの含有量との和が0.05〜0.21%である、Cu−Sn共存鋼材。【選択図】なし

Description

本発明は、CuおよびSnの双方を含有する低合金鋼のCu−Sn共存鋼材およびその製造方法に関する。
CuおよびSnは、いずれも、鋼の耐食性(または、耐候性)を向上させる効果を有する元素である。特に、CuおよびSnの双方を含有する鋼材は、様々な腐食環境に対して耐食性を発揮することから、耐食性が要求される厚板、形鋼等に用いられる。
しかし、Cuは、鋼の熱間加工(たとえば、熱間鍛造、または熱間圧延)時に、鋼の表面に割れ(熱間割れ)を生じさせる、いわゆる赤熱脆化の原因となる。また、Snは、鋼中にCuと共存すると、赤熱脆化を助長する。そのため、CuおよびSnの双方を含有する鋼材は、熱間加工時に割れを極めて生じやすく、また、連続鋳造時には、表面疵を生じやすい。したがって、CuおよびSnを含有する鋼材を製造する際には、表面割れ、および表面疵の発生を抑制することが最大の課題となる。
さらに、鋼中に含有するSnは、熱間でのγ粒界偏析を助長し、その鋼材の割れ感受性を高めるおそれがある。すなわち、Snは易偏析元素であるため、Sn自体が熱間でγ結晶粒界に偏析することに加え、Snと同様に偏析傾向の大きい軽元素B、N、P、S等とSnとが共存すると、これらの複数の元素が同時に粒界偏析し得る。粒界偏析による鋼の脆化は、赤熱脆化とあいまって、鋼材の割れ感受性を著しく高め、鋼材の製造工程で、表面割れ、または表面疵を発生させ、製造時の歩留り低下と、手入れコストの増加とを招く。
特許文献1には、CuおよびSnの双方を含有し、飛来塩分量の多い環境下において耐候性を有する鋼材が開示されている。しかし、同文献では、熱間における鋳片の表面脆化、および連続鋳造時における表面疵を防止することに関しては記載がない。
特許文献2には、CuおよびSnの双方を含有し、熱間加工時に表面疵の発生を防止することが可能な熱間圧延鋼が開示されている。同文献によれば、Snの含有量をCuの含有量の2倍以上とすると、表面疵の発生を防止できるが、Snの含有量がCuの含有量の2倍未満であるときは表面疵が発生する場合がある、とされている。
また、特許文献2には、Cuを含有する鋼に対して、さらにNiを含有させることで、Cuに起因する鋼表面の割れを防止できるが、CuおよびSnを含有する鋼に対して、さらにNiを含有させても、割れ防止効果が十分に得られないことが記載されている。特許文献2では、Niは資源的に少なくNiを添加することはコスト高を招くので、Niを添加することなく良質な表面性状の熱間圧延鋼を提供することが目的とされている。要するに、特許文献2には、鋼中に、CuおよびSnと、Niとが共存する場合については十分な記載がない。
非特許文献1には、表面赤熱脆性(液体脆化)による熱間加工割れに及ぼすCuおよびSnの影響として、以下のように記載されている。すなわち、1000℃以上に加熱された鋼は、大気酸化によってその表面にスケールが生成する。Cu含有量が約0.3質量%の鋼の場合、母相の主成分であるFeが選択酸化され、表層部にCuが濃化する。その際、Feよりも融点が低いCuは、表層部で液相を生じ、これが結晶粒界に侵入して液膜脆化を招来する。
非特許文献1では、CuおよびSnに起因する脆化を抑制するNiの効果についても検討されている。同文献では、上記のCuのみを含有する鋼の脆化の抑制にはNiを0.15質量%添加することで十分であり、一方、上記のCuおよびSnを含有する鋼の脆化の抑制にはNiを0.3質量%添加することが必要であるとされている。
このように、非特許文献1では、上記のCuのみを含有する鋼の脆化の抑制にSnおよびNiが影響を及ぼすこと、ならびに上記のSnのみを含有する鋼では脆化が生じないことが記載されているに過ぎない。
特開2004−360063号公報 特開平6−256904号公報
国重和俊、外3名、「銅や錫に起因する表面赤熱脆性の抑制方法」、材料とプロセス、社団法人日本鉄鋼協会、2000年、第13巻、第6号、p.1080−1083
本発明は、耐食性が高く、表面性状がより優れたCu−Sn共存鋼材、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記(I)の鋼、および下記(II)の鋼の製造方法を要旨とする。
(I)質量%で、
C:0.04〜0.20%、
Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.2〜2.5%、
P:0.05%以下、
S:0.02%以下、
Cu:0.20〜1.20%、
Ni:0.05〜1.00%、
Sn:0.06〜0.50%、
sol.Al:0.04%以上0.20%未満、
Nd:0.005%以上0.10%未満、および
残部がFeおよび不純物からなり、
sol.Alの含有量とNdの含有量との和が0.05〜0.21%である、Cu−Sn共存鋼材。
(II)上記(I)のCu−Sn共存鋼材の製造方法であって、
溶鋼に、Alを添加し、その後にNdを添加する精錬工程と、
前記精錬工程で得られた溶鋼を用いて連続鋳造を行い、鋳片を製造する連続鋳造工程と、
前記鋳片に熱間加工を施し、前記Cu−Sn共存鋼材を得る熱間加工工程と
を含む、鋼材の製造方法。
本発明の鋼材は、CuおよびSnを含有しつつ、熱間加工時に表面割れおよび表面疵が生じにくい。
本発明の製造方法により、本発明の鋼材を有効に製造することができる。
1.本発明の技術思想
本発明者は、CuおよびSnを含有する鋼材の熱間加工時に、鋼の赤熱脆化を抑制し、さらに粒界脆化を軽減して、割れ発生を防止するべく、種々の成分系の鋼材を検討した。その結果、精錬の際、溶鋼に、所定量のAlを添加した後、Ndを添加することによって、鋼の赤熱脆化を抑制できるとともに、粒界の脆弱性を緩和でき、これにより、鋼材の表面割れおよび疵を防止できることを見いだした。以下、この知見に至るまでに検討したことについて説明する。
Cuを含有する鋼の赤熱脆化による割れを抑制するためには、一般に、Niを含有させることが有効である。NiはCuの固溶限を高くし、赤熱脆化を抑制する。しかし、CuおよびSnを含有する鋼に対しては、低融点金属であるSnの影響が大きく、Niを含有させることによる効果が、ある程度損なわれる。このため、CuおよびSnを含有する鋼に対しては、Niを含有させるだけでは、脆化を抑制する効果が十分に得られない。
また、Niを含有する鋼は、表面酸化の際に選択酸化によりFeが消費されて、表層部分で、貴な(酸化されにくい)Niが濃化して高Ni合金化が進行する。Feの選択酸化と同時に高Ni合金化が進行すると、生じた高Ni合金相は酸化されにくいため、表層酸化が抑制される。しかし、母相に比べ粒界部は酸素元素の短拡散経路となるため、著しく酸化されやすい。その結果、母相と粒界とで酸化速度が大きく異なり、粒界酸化のみが顕著に進行して、粒界脆化を助長することになる。
そこで、本発明者は、種々検討の結果、Feより貴なNiと併用する添加元素として、Feより卑な(酸化されやすい)AlおよびNdを、Niと併用すれば、CuおよびSnを含有する鋼材の脆化を抑制できることを見いだした。脆化は、以下の理由により抑制されるものと考えられる。
Al添加の効果
鋼中の固溶Alは、Niを含有する鋼の粒界酸化を抑制する作用を有する。選択酸化によりFeが消費されて、表層部分で高Ni合金化が進行しても、母相内の固溶Alが存在すると、このAlが酸化されて内部酸化が進行する。したがって、母相の内部酸化と粒界酸化とが並行して進行するために、局所的な粒界酸化進行が抑制される。すなわち、酸化層が均一生成する。
Nd添加の効果
Ndは、粒界偏析を軽減する作用を有する。Ndは還元力が強いため溶鋼の脱酸剤として用いられ、鋼材中では、一部が脱酸生成物のNd酸化物(Nd23)として存在し、一部が固溶Ndとして存在する。このNd23および固溶Ndは、偏析元素P、S等と反応して固定する作用を有する。このため、熱間でのオーステナイト結晶粒界へのP、Sの偏析が軽減されるので、脆化を抑制する効果を得ることができる。
AlとNdとを併用する効果、およびAlとNdとの添加順序
以上のことから、AlとNdとを併用すれば、固溶Alによる酸化層を均一生成させる効果と、Ndによる粒界脆化を抑制する効果とが、同時に得られると考えられる。
ここで、Ndを用いることにより連続鋳造に使用する浸漬ノズルが閉塞しやすくなるので、これを防止しなければならない。Nd含有鋼材の製造工程では、連続鋳造時にタンディッシュ(溶鋼容器)から鋳型へと溶鋼を供給する浸漬ノズル(以下、単に、「ノズル」という。)が極めて閉塞しやすい。その理由は、以下の二点である。第一の理由は、還元力の強いNdは溶鋼中で酸素との反応性が極めて高く、固相のNd23が容易に生成することである。第二の理由は、Nd23は凝集肥大化しやすいことに加え、その比重が溶鋼の比重に近いため溶鋼中を浮上しにくいことである。これらの理由により、所定量以上のNdを添加すると、ノズルの内壁面には、凝集したNd23が付着堆積しやすく、堆積が進行するとノズルが閉塞する。
そこで、ノズルが閉塞するのを防ぎつつ、十分な量のNdを添加できる方法について検討した結果、溶鋼に対して、予め所定量のAlを添加した後に、Ndを添加することに想到した。溶鋼に、まずAlを添加することによって、溶鋼を予め強脱酸し溶鋼中の酸素活量を十分に低下させる。その後にNdを添加することによって、ノズル閉塞の原因となる余剰なNd23の生成を抑制して生成したNd23の凝集肥大化を防止することができる。
本発明の製造方法において、精錬工程では、製造するべき鋼材のAl含有量、およびNd含有量が、所定の範囲内になるように、溶鋼に、Al、およびNdを、所定の順序で添加する。Al、およびNdについて、所定範囲内の含有量を有する鋼材を得るには、予備試験として、各添加金属について、溶鋼に対する添加量と、その溶鋼から得られる鋼材中の含有量との関係を調べて添加歩留まりを求めておき、この添加歩留まりに基づいて、溶鋼への添加量を決定する。予備試験の際は、本発明で規定される順序で、Al、およびNdを添加する。
2.鋼材の化学組成
以下、含有量の単位として、「質量%」を、単に、「%」と記す。
C:0.04〜0.20%
Cは、材料の強度を高める効果を有する元素である。この効果を得るために、C含有量は、0.04%以上とする。一方、C含有量が0.20%を超えると、靱性の低下、および溶接割れ感受性が高くなる。したがって、C含有量は、0.04〜0.20%とする。
Si:0.05〜1.00%
Siは、脱酸に有効な元素である。この効果を得るために、Si含有量は、0.05%以上とする。一方、Si含有量が1.00%を超えると、靱性が低下するおそれがある。したがって、Si含有量は、0.05〜1.00%とする。Si含有量の下限は、0.10%であることが好ましい。Si含有量の上限は、0.70%であることが好ましい。
Mn:0.20〜2.50%
Mnは、材料の強度を高める効果を有する元素である。この効果を得るために、Mn含有量は、0.20%以上とする。一方、Mn含有量が2.50%を超えると靱性が低下するおそれがある。したがって、Mn含有量は、0.20〜2.50%とする。Mn含有量の下限は、0.40%であることが好ましい。Mn含有量の上限は、2.00%であることが好ましい。
P:0.05%以下
Pは、鋼材中に不可避に含まれる不純物元素であり、少ない方がよい。P含有量が、0.05%を超えると、熱間での割れ感受性が高くなる。したがって、P含有量は、0.05%以下とするが、少ないほど好ましい。P含有量の上限は、0.03%であることが好ましい。
S:0.02%以下
Sは、鋼材中に不可避に含まれる不純物元素であり、少ない方がよい。S含有量が、0.02%を超えると、熱間での割れ感受性が高くなり、また、鋼材の腐食起点となるMnS介在物の量が多くなって、耐食性が損なわれる。したがって、S含有量は、0.02%以下とするが、少ないほど好ましい。S含有量の上限は、0.010%であることが好ましい。
Cu:0.20〜1.20%
Cuは、鋼の耐食性を向上させる効果を有する元素である。この効果を得るために、Cu含有量は、0.20%以上とする。一方、鋼材中にCuが過剰に存在すると、鋼の製造工程において、高温酸化を伴う工程、たとえば、連続鋳造工程、および熱間圧延工程において、赤熱脆化が生じ、表面に割れまたは疵が発生する。このため、Cu含有量は、1.20%以下とする。したがって、Cu含有量は、0.20〜1.20%とする。Cu含有量の下限は、0.25%であることが好ましい。Cu含有量の上限は、1.00%であることが好ましい。
Sn:0.06〜0.50%
Snは、耐食性を向上させる効果を有する元素である。この効果を得るため、Sn含有量は、0.06%以上とする。一方、Sn含有量が、0.50%を超えると、耐食性は飽和する。また、Cuを含有する鋼にSnを含有させると、耐食性は向上するが、赤熱脆化は助長され、製造工程で表面疵が発生しやすくなる。このため、Sn含有量は、0.50%以下とする。したがって、Sn含有量は、0.06〜0.50%とする。Sn含有量の下限は、0.10%であることが好ましい。Sn含有量の上限は、0.40%であることが好ましい。
Ni:0.05〜1.00%
Niは、Cuによる赤熱脆化を抑制する作用がある元素である。Ni含有量が少ない場合、特に、Ni含有量が0.05%未満である場合は、鋼材の表面酸化の際に、スケールと母相との界面が平滑になり、Cuを含有する液相の集積が助長され、赤熱脆化は抑制されない。このため、Ni含有量は、0.05%以上とする。一方、CuおよびSnが共存する鋼では、Ni含有による赤熱脆化抑制効果は小さくなる。また、Niは、高価な合金元素であり、多量のNi含有は鋼材の製造コストの増大を招く。さらに、Snを含有する鋼にNiを含有させると、熱間での粒界脆化が助長されて、鋼材表面の割れ感受性が高くなる。そこで、Ni含有量は、0.05〜1.00%とする。Ni含有量の下限は、0.10%であることが好ましい。Ni含有量の上限は、0.80%であることが好ましい。
sol.Al:0.04%以上0.20%未満
sol.Alの値は、酸可溶性Alの分析値であり、sol.Alは、鋼材中の固溶Alを意味する。Alは、精錬工程で溶鋼の脱酸に有効な元素である。本発明の製造方法では、Nd添加前にAlによる予備脱酸を行う。溶鋼中のAl含有量が0.04%未満であると、Nd酸化物の付着堆積が生じやすいため、ノズルの閉塞を十分に抑制することができない。
また、鋼材にAlを固溶させると、熱間では、鋼材表層部の固溶Alが選択酸化される。固溶Alの選択酸化は、Ni含有鋼の内部酸化層生成を安定化する。Al含有量が0.20%以上になると、鋼中の介在物としてのAl23の総量が多くなり、清浄度を低下させ、鋼の品質を低下させる。また、鋼中のAl含有量が0.20%以上になると、鋼材が酸化する際、内部酸化層中のAl23量が過剰となる。この場合、介在物としてのAl23が硬質であることにより、熱間圧延時に、このAlが鋼材表面に露出して、表面疵の原因になるおそれがある。
そこで、本発明では、鋼材中のsol.Al含有量を0.04%以上0.20%未満とする。sol.Al含有量の下限は、0.05%であることが好ましい。sol.Al含有量は、0.15%未満であることが好ましい。
Nd:0.005%以上0.10%未満
Ndは、強力な脱酸作用を奏する元素であり、本発明の製造方法では、精錬工程で、溶鋼に対して、Al添加後に添加される。Ndは、鋼材中では一部がNd23として存在し、一部が固溶Ndとして存在する。Nd23は主として3μm以下の微細な介在物として分散して存在し、その表面、すなわち、介在物と母相との界面に軽元素を固定する作用を有する。また、固溶Ndは還元力が強く、偏析元素のP、Sと反応し固定する作用を有する。Nd含有量が0.005%未満では、このような効果は、十分に得られない。Nd含有量が0.10%以上になると、介在物量が多くなり、鋼の清浄度を悪化させるとともに、連続鋳造時のノズル閉塞を生じやすくなり、この場合、安定製造が困難になる。そこで、Nd含有量は、0.005%以上0.10%未満とする。Nd含有量の下限は、0.010%であることが好ましい。Nd含有量の上限は、0.08%であることが好ましい。
sol.Al+Nd:0.05〜0.21%
本発明の製造方法では、主として、AlおよびNdにより溶鋼を脱酸するため、この脱酸を十分に行うことができる量のAlおよびNdが必要である。また、Ndによる軽元素固定の効果を得るには、十分な量のAlおよびNdが必要である。Al含有量とNd含有量との和が0.05%未満では、これらの効果が十分に得られない。また、Al含有量とNd含有量との和が0.21%を超えると、介在物量、および鋼材が酸化する際に生じる内部酸化物層中のAl23量が過剰となり、鋼材の品質が低下する。そこで、本発明では、sol.Al含有量とNd含有量との和(sol.Al+Nd)を、0.05〜0.21%とする。sol.Al+Ndの下限は、0.07%であることが好ましい。sol.Al+Ndの上限は、0.18%であることが好ましい。
Ca:0.005%以下
Caは、本発明の鋼材において、任意添加元素である。Caの添加により、鋼材中の硫化物の形態を制御して、鋼の靱性を向上させることができる。このような効果を奏するため、Ca含有量は、0.001%以上とすることが好ましい。しかし、含有量が過剰であるとCaを含有する介在物が粗大化する。このため、Ca含有量は、0.005%以下とする。Ca含有量の上限は、0.004%であることが好ましい。
Caの好ましい添加方法は、以下の通りである。Ca源には、Ca−Si、Ca−Ni等のCa合金を用いる。Ca合金の添加時期は、Alを添加し脱酸した後であれば、限定されないが、Caの歩留りをより高めるには、低酸素活量の溶鋼に添加するのが有利であるため、Ndを添加した後の強脱酸溶鋼に添加することが好ましい。
〈実施例1〉
本発明の効果を確認するために、以下の試験を行った。表1に、試験に用いた鋼の組成を示す。これらの鋼のうち、No.1〜6の鋼(実施例)は、本発明の鋼材の要件を満たし、No.7〜12の鋼(比較例)は、本発明の鋼材の要件のいずれかを満たさない。
Figure 2016047944
No.1〜12の鋼を、それぞれ、真空溶解炉で溶製し、50kgのインゴットを作製した。各インゴットを粗鍛造して、100mm厚の試験鋼材を得た。そして、各試験鋼材を、大気雰囲気の炉内で、1200℃まで加熱し、その温度で1時間保持した後、1100〜900℃の範囲内の温度で熱間圧延して、評価用の鋼板を作製した。
得られた各鋼板を、室温まで冷却した後、各鋼板について、表面観察を行い、割れ(表面疵)の評価を行った。実施例であるNo.1〜6の鋼は、いずれも、割れは認められず、表面性状は良好であった。一方、比較例であるNo.7〜12の鋼は、いずれも、端面に割れ(耳割れ)が発生していた。
〈実施例2〉
本発明の、鋼材の製造方法の効果を確認するために以下の試験を行った。
表1に示すNo.1(本発明例)の鋼を、2.5ton溶製して、連続鋳造試験を行った。連続鋳造の条件は、以下の通りである。まず、所定組成の2.5tonの溶鋼を調製した。その際、AlおよびNd以外の成分を溶融した後、Alを添加し、その後、Ndを添加した。この溶鋼を、取鍋を介してタンディッシュに供給した。タンディッシュとして、ノズルの開度調整を行うためのスライディングゲートが設けられたものを用いた。溶鋼の過熱度を50〜70℃として、ノズルを介して、内部水冷型の振動鋳型内に供給し、0.8m/分の鋳造速度で鋳込み、厚さ100mm、幅800mm、長さ3500mmのスラブ鋳片を作製した。
鋳造時には、スライディングゲートの開度を大きく変更することなく、溶鋼を所定の流量で鋳型内に供給することができた。二次冷却として、鋳片1kgあたり1.7Lの比水量でスプレー冷却し、スラブ鋳片を、室温まで冷却した。
得られたスラブ鋳片の一部を切り取り、その表面を酸洗して、スケールを除去した後の表面肌について、ダイチェック(染色浸透探傷検査)を実施した。その結果、この切り出したスラブ鋳片には、表面疵、および割れは、認められなかった。
表1に示すNo.12(比較例)の鋼についても、上記と同様の連続鋳造試験を行った。この場合、溶鋼を所定の流量で鋳型内に供給するために、鋳造開始3分後から、スライディングゲートの開度を徐々に開く必要が生じた。その結果、やがて、必要な流量で溶鋼供給をすることができなくなったため鋳造を中止した。
タンディッシュが室温まで冷却された後、ノズルを回収し、内部を調査したところ、Nd含有酸化物を含む金属が、ノズル内壁に堆積していた。このことから、鋳造中、酸化物によるノズルの閉塞が進行していたことがわかった。
〈実施例3〉
表2に示す組成(表1のNo.2と同じ)を目標として、上記と同様の連続鋳造試験を行った。
Figure 2016047944
連続鋳造試験を行うに先立って、溶鋼を用いた実験により、AlおよびNdの添加順序を変えてNdの添加歩留まりを調べた。溶鋼に、Alを添加した後Ndを添加したときは、Ndの添加歩留まりは60%であり、Ndを添加した後Alを添加したときは、Ndの添加歩留まりは30%であった。鋳造により得るべき鋼材中のNd含有量は、目標値として、表2に示すように0.05%であった。したがって、添加歩留まりを考慮して、Alを添加してからNdを添加する場合は、鋼材1tonあたり0.83kgのNdを添加することとし、Ndを添加してからAlを添加する場合は、鋼材1tonあたり1.67kgのNdを添加することとした。
タンディッシュに供給すべき溶鋼として、まず、C、Si、Mn、P、およびSを所定の割合で含有する溶鋼を形成し、さらなる金属を、所定の順序で、5分間隔で添加した。表3に、添加した金属、添加順序、Ndの添加歩留まり、および必要Nd量を示す。
Figure 2016047944
得られた溶鋼を、タンディッシュに設けられたノズルを介して、鋳型へ供給しながら、連続鋳造を行った。この際、ノズルを通過する溶鋼の流量を調査し、ノズルの閉塞が生じたか否かを判断した。表3に、ノズルの閉塞が生じたか否かの結果を、併せて示す。
Alを添加した後Ndを添加した場合(表3のNo.2Bの場合)は、ノズルは閉塞することなく、連続鋳造により、安定してスラブ鋳片を得ることができた。一方、Alを添加した後Ndを添加した場合(No.2Cの場合)は、溶鋼の所定の流量を得るために必要なスライディングゲートの開度は、連続鋳造開始2分後以降、徐々に大きくなり始め、やがて必要な流量での溶鋼供給ができなくなったため、鋳造を中止した。すなわち、ノズルの閉塞が生じた。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.04〜0.20%、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:0.2〜2.5%、
    P:0.05%以下、
    S:0.02%以下、
    Cu:0.20〜1.20%、
    Ni:0.05〜1.00%、
    Sn:0.06〜0.50%、
    sol.Al:0.04%以上0.20%未満、
    Nd:0.005%以上0.10%未満、および
    残部がFeおよび不純物からなり、
    sol.Alの含有量とNdの含有量との和が0.05〜0.21%である、Cu−Sn共存鋼材。
  2. 請求項1に記載のCu−Sn共存鋼材において、
    Feの一部に代えてCa:0.005%以下を含有する、Cu−Sn共存鋼材。
  3. 請求項1または2に記載のCu−Sn共存鋼材の製造方法であって、
    溶鋼に、Alを添加し、その後にNdを添加する精錬工程と、
    前記精錬工程で得られた溶鋼を用いて連続鋳造を行い、鋳片を製造する連続鋳造工程と、
    前記鋳片に熱間加工を施し、前記Cu−Sn共存鋼材を得る熱間加工工程と
    を含む、鋼材の製造方法。
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