JP5206239B2 - 高n含有二相ステンレス鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
高n含有二相ステンレス鋼の連続鋳造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5206239B2 JP5206239B2 JP2008221729A JP2008221729A JP5206239B2 JP 5206239 B2 JP5206239 B2 JP 5206239B2 JP 2008221729 A JP2008221729 A JP 2008221729A JP 2008221729 A JP2008221729 A JP 2008221729A JP 5206239 B2 JP5206239 B2 JP 5206239B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- content
- steel
- molten steel
- mold
- hydrogen
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
Description
1−1.溶鋼の電磁攪拌の作用
図2は、本発明の連続鋳造方法における針状ピンホールの形成抑制機構を説明するための、鋳型内部周辺の縦断面模式図である。図中の記号は、図1における説明と同様である。
前記のように溶鋼の電磁攪拌を行うことにより、針状ピンホールの形成を抑制することができることが明らかとなった。この針状ピンホールの形成抑制作用により、溶鋼中の水素含有率の許容範囲を下記のとおり、緩和(上昇)させることができる。
2−1.溶鋼流速の適正範囲
鋳型内のメニスカス近傍において周回する溶鋼流速は、10〜60cm/sの範囲内とすることが適切である。
以下に、本発明において鋼の成分組成を前記のとおり限定した理由および好ましい範囲について説明する。
Cは、オーステナイト相を安定化させるのに有効な元素であるが、その含有率が0.03%を超えて高くなると、Crの炭化物が析出しやすくなって耐粒界腐食性が低下する。このため、本発明ではその含有率を0.03%以下とした。C含有率の好ましい下限は、機械的特性を確保する観点から0.012%である。
Siは、鋼の精錬過程で脱酸剤として作用し、また、鋼の耐水蒸気酸化性の改善に有効である。しかしながら、その含有率が1.0%を超えて高くなると加工性を害し、金属間化合物の生成を促進しやすくなり、熱間加工性を低下させる。一方、Siには鋼の強度を向上させる作用もあり、その効果ならびに脱酸および耐水蒸気酸化性の改善の効果を得るためには0.1%以上を含有させることが必要である。そこで、耐水蒸気酸化性の改善および強度向上の両効果を得るため、Siの含有率を0.1〜1.0%とした。Si含有率の好ましい範囲は0.15〜0.5%である。
Mnは、鋼の熱間加工性を改善する作用を有する元素であるが、その含有率が1.2%を超えて高くなると、鋼を硬化させ、加工性の低下を招く。そこで、Mnの含有率を1.2%以下とした。Mn含有率の好ましい下限は、0.40%である。
Pは、鋼の耐食性、靭性および熱間加工性に有害な不純物元素である。鋼中に不可避的に混入し、その含有率が0.04%を超えて高くなると、粒界腐食が発生しやすくなる。そのため、Pの含有率を0.04%以下とした。P含有率はできる限り少ない方がよい。
Sも、鋼の耐食性、靭性および熱間加工性に有害な不純物元素であり、鋼中に不可避的に混入して硫化物を形成する。その含有率が0.002%を超えて高くなると、耐食性が低下する。そこで、Sの含有率を0.002%以下とした。S含有率はできる限り少ない方がよい。
Crは、耐食性の維持およびNの溶解度の向上に有効な元素であるが、その含有率が20.0%未満では、必要な耐食性を確保することができない。一方、その含有率が30.0%を超えて高くなると、金属間化合物の析出が顕著になり、オーステナイト組織の安定性が低下する。そのため、Crの含有率を20.0〜30.0%とした。Cr含有率の望ましい範囲は23.5%〜26.5%である。
Niは、オーステナイト組織を安定化させる元素であり、かつδ相(フェライト相)の析出抑制に寄与する。しかし、その含有率が5.0%未満では、フェライト相の割合が多くなりすぎて二相ステンレス鋼の特徴が消失する。また、フェライト相が多くなると、窒化物が析出しやすくなり、耐食性が低下する。一方、その含有率が8.0%を超えて高くなると、フェライト相の割合が少なくなり、二相ステンレス鋼としての特徴が薄れる。また、金属間化合物が析出し、靭性および加工性を損なう。そのため、オーステナイト相とフェライト相の比のバランスから、Niの含有率を5.0〜8.0%とした。Ni含有率の好ましい範囲は5.5〜7.5%である。
Moは、鋼中に固溶して強度を向上させる作用を有する固溶強化元素である。また、耐食性、特に耐孔食性および耐隙間腐食性を向上させるのにも有効である。しかしながら、その含有率が2.0%未満では、上記の効果は得られない。一方、その含有率が4.0%を超えて高くなると、金属間化合物が結晶粒界に析出し、靭性、加工性および耐粒界腐食性の劣化を招く。そのため、Moの含有率を2.0〜4.0%とした。
Alは、鋼の脱酸作用を有する元素である。その効果を得るためには、0.003%以上を含有する必要がある。しかし、含有率が0.020%を超えて高くなると、AlはAlNとして析出し、靭性および耐食性の劣化を招く。そのため、Alの含有率を0.003〜0.020%とした。
Nは、Cr、Mo、Wなどのフェライト相生成元素を比較的多く含有する鋼の熱的安定性と耐食性とを向上させるのに有効な元素である。しかし、その含有率が0.22%未満では、これらの効果は得られない。一方、その含有率が0.34%を超えて高くなると、熱間加工性が低下するのみならず、Crの窒化物が生成し、溶接部の靭性および耐食性が低下する。また、Nの含有率が溶鋼のNの溶解度を超えると、気孔が発生する。そのため、Nの含有率を0.22〜0.34%とした。
Cuは、オーステナイト組織を安定化させる作用を有する元素であり、また、鋼の耐酸化性および耐食性の改善に有効な元素である。これらの効果を得るためには0.1%以上の含有率が必要である。しかしながら、その含有率が1.0%を超えて高くなると、Fe中の固溶限度を超え、クリープ強度の低下および熱間加工性の低下を招く。そのため、Cuの含有率を0.1〜1.0%とした。
Wは、クリープ強度を向上させる作用を有する元素であり、耐食性、特に耐孔食性および耐隙間腐食性を向上させるのにも有効である。しかし、その含有率が1.0%未満では、その効果が小さく、3.0%を超えて高くなると、金属間化合物が析出し、靭性および加工性が損なわれる。そのため、Wの含有率を1.0〜3.0%とした。
Bは、強度およびクリープ強度の向上に有効であるとともに、Sが結晶粒界に偏析するのを抑制して熱間加工性を向上させる作用を有する元素である。しかし、その含有率が0.001%未満では、十分な効果が得られず、0.004%を超えて高くなると、溶接性、加工性および耐食性の劣化を招く。そこで、Bの含有率を0.001〜0.004%とした。
鋳造方式:湾曲式ブルーム連続鋳造機による連続鋳造。
鋳型内溶鋼の電磁攪拌:鋳型外周に配置した電磁攪拌装置により移動磁場を印加。
攪拌方向:鋳型内のメニスカス近傍の溶鋼を、水平面内において鋳型内を周回する
方向に攪拌。
攪拌強度:鋳型内メニスカス近傍における溶鋼の流速を、10〜60cm/sとし
た。溶鋼の流速は、電磁攪拌時の電流値より計算により求めた。
磁場印加条件:電磁攪拌コイルに流す電流値を600A(84turn×600A
=50400AT)、磁場回転周波数を1.5Hzとした。
鋼組成:下記表1に記載の成分組成を有する鋼。
溶鋼温度:タンディッシュ内温度を1470〜1530℃とした。
鋳型寸法:厚さ390mm×幅700mm。
鋳造速度:0.25〜0.55m/min。
このようにして製造された鋳片を素材として、圧延によりビレットを製造し、このビレットから鋼管を製造した。圧延条件は以下に示すとおりとした。
圧延条件:分塊圧延。
ビレット形状:直径253〜360mmφの丸ビレット(圧延比5.4〜2.9)。
製管条件:丸ビレットの外削後、ユジーン・セジュルネ法による熱間押し出し製管。
鋼管形状:外径87〜222mmφ、内径7.5〜31mmφ。
上記条件で製造した連続鋳造鋳片、ビレットおよび鋼管について評価を行った。試験結果を、以下に示す。比較例として、前記表1に示す組成の溶鋼を用いて、鋳型内の電磁攪拌を行わずに鋳造した鋳片、ビレットおよび鋼管についての評価も行った。
上述の連続鋳造鋳片について、表面を片側当たり6mmずつ、グラインダーにより研削した後、研削面の400mm×400mmの領域についてさらにハンドグラインダーによりならし研削を行った。ならし研削を行った面に、速乾式現像法を用いた溶剤除去性染色浸透探傷検査(ダイチェック)を実施し、これによって検出されたピンホールの発生個数を目視によって計数した。
鋳片の圧延後、ビレットの目視検査を実施し、ビレット表面疵の発生状況を確認した。表面疵の多発したビレットは、軟化焼鈍した後、目視によって確認された表面疵の部位をハンドグラインダーによって研削して除去するとともに、その研削の深さをデプスゲージによって測定し、表面疵の深さとした。
鋳片の圧延によって得られたビレットを、ユジーン・セジュルネ製管法を用いて製管し、抽伸後、得られた鋼管について、超音波探傷試験によって欠陥を調査した。欠陥が1個以上検出された鋼管の本数を、超音波探傷試験に供した鋼管の本数により除して百分率(%)を求め、これを外面欠陥発生率とした。
上記試験に加えて、溶鋼中の水素含有率を変化させて、鋳型内電磁攪拌を行った場合と行わない場合とについて連続鋳造試験を行い、溶鋼中の水素含有率([H])と圧延後のビレットの表面疵深さとの関係を調査した。
6:モールドパウダー、 7:パウダー溶融層、 8:針状ピンホール、
8a:水素気泡、 9:鋳型内電磁攪拌装置
Claims (1)
- 質量%で、C:0.03%以下、Si:0.1〜1.0%、Mn:1.2%以下、P:0.04%以下、S:0.002%以下、Cr:20.0〜30.0%、Ni:5.0〜8.0%、Mo:2.0〜4.0%、Al:0.003〜0.020%、N:0.22〜0.34%、Cu:0.1〜1.0%、W:1.0〜3.0%およびB:0.001〜0.004%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる高N含有二相ステンレス鋼を連続鋳造する方法であって、
不純物である水素の含有率を6.7ppmよりも高く、8.3ppm以下とし、かつ、
鋳型内のメニスカス近傍の溶鋼を、水平面内において10〜60cm/sの範囲内の流速で周回する方向に電磁攪拌することを特徴とする高N含有二相ステンレス鋼の連続鋳造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008221729A JP5206239B2 (ja) | 2008-08-29 | 2008-08-29 | 高n含有二相ステンレス鋼の連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008221729A JP5206239B2 (ja) | 2008-08-29 | 2008-08-29 | 高n含有二相ステンレス鋼の連続鋳造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010052026A JP2010052026A (ja) | 2010-03-11 |
JP5206239B2 true JP5206239B2 (ja) | 2013-06-12 |
Family
ID=42068504
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008221729A Active JP5206239B2 (ja) | 2008-08-29 | 2008-08-29 | 高n含有二相ステンレス鋼の連続鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5206239B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5801647B2 (ja) * | 2011-03-17 | 2015-10-28 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 耐表面疵性に優れた高n含有ステンレス鋼およびその製造方法 |
KR101505150B1 (ko) * | 2013-04-30 | 2015-03-23 | 현대제철 주식회사 | 코일제조방법 |
FI126798B (en) * | 2013-07-05 | 2017-05-31 | Outokumpu Oy | Stainless steel with strength against delayed cracking and process for its manufacture |
CN105839024A (zh) * | 2016-05-06 | 2016-08-10 | 泰州金东方特钢制造有限公司 | 一种垃圾发电站炉排用耐热耐磨蚀双相不锈钢铸造合金材料及其制备方法 |
JP6347864B1 (ja) | 2017-03-24 | 2018-06-27 | 日新製鋼株式会社 | オーステナイト系ステンレス鋼スラブの製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58179553A (ja) * | 1982-04-15 | 1983-10-20 | Kawasaki Steel Corp | 薄板用スラブの連続鋳造方法 |
JP5063024B2 (ja) * | 2006-04-03 | 2012-10-31 | 住友金属工業株式会社 | CrおよびNiを含有する合金鋼の鋳造方法 |
-
2008
- 2008-08-29 JP JP2008221729A patent/JP5206239B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010052026A (ja) | 2010-03-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4725437B2 (ja) | 厚鋼板用連続鋳造鋳片及びその製造方法並びに厚鋼板 | |
JP4363403B2 (ja) | 耐hic性に優れたラインパイプ用鋼材及びその鋼材を用いて製造されるラインパイプ | |
JP2006206967A (ja) | 機械構造用快削鋼の連続鋳造方法 | |
JP4462452B1 (ja) | 高合金管の製造方法 | |
JP5206239B2 (ja) | 高n含有二相ステンレス鋼の連続鋳造方法 | |
JP6951060B2 (ja) | 鋳片の製造方法 | |
JP5217277B2 (ja) | 高合金管の製造方法 | |
JP2005298909A (ja) | 表面割れの少ない鋳片 | |
JP5063024B2 (ja) | CrおよびNiを含有する合金鋼の鋳造方法 | |
TWI326714B (en) | Low-carbon resulfurized free-machining steel excellent in machinability | |
JP5299169B2 (ja) | 耐食性厚板用低合金鋼の連続鋳造方法及び連続鋳造鋳片 | |
JP4325497B2 (ja) | 低炭素硫黄系快削鋼の連続鋳造方法 | |
JP5157598B2 (ja) | Ni含有鋼鋳片及びNi含有鋼の連続鋳造方法 | |
JP7406177B1 (ja) | サワー環境での使用に適した鋼材 | |
JP5761075B2 (ja) | 高C高Mn非磁性鋼の連続鋳造方法 | |
JP4635954B2 (ja) | Cr含有鋼の鋳造方法 | |
JP2017131933A (ja) | 低炭素鋼薄肉鋳片の製造方法および低炭素鋼薄肉鋳片、並びに低炭素鋼薄鋼板の製造方法 | |
JP2018015794A (ja) | 低炭素鋼薄肉鋳片の製造方法および低炭素鋼薄肉鋳片、並びに低炭素鋼薄鋼板の製造方法 | |
JP5246280B2 (ja) | 高強度鋼管用鋼板及び高強度鋼管 | |
JP6809243B2 (ja) | 鋼の連続鋳造鋳片およびその製造方法 | |
JPH01228603A (ja) | 二相ステンレス鋼継目無鋼管の製造方法 | |
JP6331881B2 (ja) | Cu−Sn共存鋼材およびその製造方法 | |
JP3518517B2 (ja) | 高クロム・フェライト系耐熱鋼材の製造方法 | |
JP4301081B2 (ja) | 耐熱用低合金鋼の連続鋳造方法および連続鋳造鋳片 | |
JP2019018238A (ja) | 低炭素鋼薄肉鋳片の製造方法および低炭素鋼薄肉鋳片、並びに低炭素鋼薄鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100830 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120918 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121011 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20121011 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121102 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130204 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5206239 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |