JP5761075B2 - 高C高Mn非磁性鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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[P]≦−0.1241×[C]+0.1557 …(1)
ここで、[P]および[C]はそれぞれ前記溶鋼中のPおよびCの含有率(質量%)である。
本発明が対象とする高C高Mn非磁性鋼の成分組成の範囲、およびこの範囲に限定した理由について説明する。
C含有率を0.85%以上としたのは、0.85%未満では鋼の用途上必要な強度が得られないからである。また、1.0%以下としたのは、1.0%よりも大きいと炭化物の析出による鋼の脆化が顕著となり、かつ熱間加工性が著しく低下するからである。
Si含有率を0.10〜0.50%としたのは、熱間加工性の低下を防止するためである。0.50%以下としたのは、0.50%よりも大きいと表面割れが発生し、表面品質が悪化するからである。
Mn含有率を13.0〜16.0%としたのは、非磁性鋼に要求される透磁率を満足するためである。
P含有率を0.050%以下としたのは、0.050%以下の場合と比較して、0.050%よりも大きい場合は熱間加工性が著しく低くなるからである。P含有率は、0.030%よりも大きく0.050%以下であることが好ましい。鋼のP含有率を0.030%よりも大きく0.050%以下する場合、Mn原料としてP含有率が高く安価なものを使用することができ、コストの削減ができるからである。
NおよびVの含有率を上記範囲としたのは、鉄筋としての機械的特性を満足するためである。
また、本発明の高C高Mn非磁性鋼の連続鋳造方法では、鋼中のP含有率とC含有率との関係を下記(1)式で規定する。
[P]≦−0.1241×[C]+0.1557 …(1)
ここで、[P]および[C]はそれぞれ前記溶鋼中のPおよびCの含有率(質量%)である。
本発明の連続鋳造方法では、鋳型内の溶鋼を電磁攪拌装置を用いて攪拌する。これは、鋳片の内部に等軸晶を形成し、内部割れの発生を防止するためである。また、電磁攪拌により、凝固シェルの厚さを均一にすることができる。
2次冷却比水量とは、下記(2)式で定義される値である。
R=m/(t×w×ρ×Vc) …(2)
ここで、R:2次冷却比水量(L/kg−steel)、m:2次冷却水流量(L/min)、t:鋳片の厚さ(m)、w:鋳片のスプレー幅(m)、ρ:鋼の密度(kg/m3)、Vc:鋳造速度(m/min)である。
本発明の連続鋳造方法では、鋳造速度は0.60〜0.90m/minとする。これは、熱膨張係数の影響を低減させること、およびバルジングを低減させることを目的とする。
本発明の連続鋳造方法では、鋳片の曲がりを矯正する矯正帯を有する連続鋳造装置を用い、矯正帯を通過する際の鋳片の表面温度(以下「矯正温度」という。)を850℃以上とする。本発明者らの調査の結果、矯正温度を850℃以上とした場合、本発明が対象とする高C高Mn非磁性鋼の鋳片の矯正時に発生する熱応力による表面割れおよびバルジングによる鋳片の内部割れが、850℃未満とした場合と比較して大幅に少ないことがわかっている。
本発明の連続鋳造方法に適用する鋳片は、横断面のアスペクト比(横断面の長辺の長さを短辺の長さで割った値)が1〜1.7であるブルームである。ブルームは、横断面のアスペクト比が1.7よりも大きい鋳片と比較して、バルジングが発生しにくい。そのため、ブルームの鋳造に本発明の連続鋳造方法を適用することにより、表面および内部の割れの発生を皆無とすることができる。
垂直曲げ型の連続鋳造機を使用し、鋳片として横断面の大きさが幅400mm、厚さ300mmのブルーム(横断面のアスペクト比1.33)を作成した。鋳造中、鋳型内の溶鋼は、電磁攪拌により流速25〜40cm/sで攪拌した。鋳造に用いた溶鋼は表1に示す成分組成の高C高Mn非磁性鋼とした。これらの鋼は、安価なMn合金を使用できる、P含有率が0.055%以下の高Mn鋼である。同表には、上記(1)式で規定するP含有率の最大値、2次冷却比水量、鋳造速度および鋳片の矯正温度も示した。
上記条件で作製した鋳片について、表面割れおよび内部割れの発生状況を評価した。表面割れの評価は、鋳片表面を目視観察およびカラーチェックすることによって行った。目視観察は鋳片全長について行い、カラーチェックは鋳片のうち鋳造方向に1mの長さの部分について行った。ここで、カラーチェックとは、JIS Z 2343−1に規定される染色浸透探傷検査をいう。内部割れの評価は、鋳片から採取し、研削したサンプルの横断面をカラーチェックすることによって行った。
[P]max=−0.1241×[C]+0.1557 …(3)
ここで、[P]maxは鋳片の割れが発生するP含有率の上限(質量%)、[C]はCの含有率(質量%)である。
Claims (1)
- 質量%で、C:0.85〜1.0%、Si:0.10〜0.50%、Mn:13.0〜16.0%、P:0.050%以下、N:0.003〜0.05%およびV:0.01〜0.50%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる高C高Mn非磁性鋼を、横断面のアスペクト比が1〜1.7のブルームとして連続鋳造する方法であって、
表面割れおよびバルジングによる鋳片の内部割れの発生を抑制するように、
鋳型内の溶鋼を電磁攪拌装置で攪拌し、
2次冷却比水量を0.20〜0.50L/kg−steel、鋳造速度を0.60〜0.90m/minとし、
かつ、鋳片の曲がりを矯正する際の鋳片の表面温度を850℃以上として、
PおよびCの含有率が下記(1)式を満足するように連続鋳造することを特徴とする高C高Mn非磁性鋼の連続鋳造方法。
[P]≦−0.1241×[C]+0.1557 …(1)
ここで、[P]および[C]はそれぞれ前記溶鋼中のPおよびCの含有率(質量%)である。
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