JP6951060B2 - 鋳片の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、垂直曲げ型又は湾曲型の連続鋳造機を用いて製造され、曲げ及び矯正時における表面割れの発生が抑制されたB及びNiを含有する鋼からなる鋳片の製造方法に関する。
Niを鋼に添加すると、鋼の低温靭性が向上することから、0.1〜2mass%のNiを含む鋼は、海洋構造物や液化天然ガスのタンク材等、厚板材料に広く使用されている。しかしながら、Ni含有鋼を垂直曲げ型又は湾曲型の連続鋳造機で鋳造する際、曲げあるいは矯正に伴って、鋳片に引張歪みが作用し、これにより鋳片表面に旧オーステナイト粒界に沿った割れが発生しやすい。特に、700〜850℃において鋳片表面に引張歪みが作用した際に割れが生じやすいことから、2次冷却水量を調整して脆化域から鋳片表面温度を回避する対策がとられている。
一方、B(ホウ素)は、鋼に数十 massppm程度添加するだけで、変態温度が低下し、粒界の焼き入れ性が高まる。そのため、Bは、鋼材組織を制御して鋼材強度を高められるため、厚板などの鋼材設計において重要な元素の一つである。しかしながら、Bは、Ni同様に鋳片の表面割れを助長する元素の一つであり、特に、1000℃程度の高温域ですでに脆化しやすい。
したがって、NiとBの双方を含む鋼を連続鋳造する際、2次冷却水量をいくら調整しても、脆化温度域を回避することが現実的には困難で、歩留まりロスが大きく、生産性の低下や生産コストの増加に繋がってしまう。
それゆえ、優れた特性を有するNiとBを含有する鋼の連続鋳造鋳片の表面割れを防止できる方法が求められてきた。
例えば、特許文献1には、B濃度及びN濃度を適正範囲に制御することにより、連続鋳造鋳片の表面割れを抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2には、B及びNを含有する鋼の連続鋳造時の冷却条件を最適化することにより、連続鋳造鋳片の表面割れを抑制する技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、B濃度及びN濃度を規定するともに、BNの平衡析出量を規定することにより、連続鋳造鋳片の表面割れを抑制する技術が開示されている。
特開昭56−080354号公報 特許第4561755号公報 特開2010−189712号公報
ところで、垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機を使用して連続鋳造鋳片を製造する場合、鋳片が曲げられる、あるいは、矯正される際に、鋳片表面に歪みが作用する。特に、引張歪みが作用する際の鋳片表面温度が、オーステナイトからフェライトに変態する温度域、いわゆる第III領域の脆化温度(700〜850℃)に合致すると、連続鋳造鋳片に粒界割れなどの表面疵が発生しやすい。これは、オーステナイト粒界に沿って生成するフィルム状フェライトに起因するためである。
これに加え、Niを含有する鋼では、オーステナイト粒界にSなどの軽元素が偏析し、粒界強度が下がるため、これも脆化を助長する要因である。同時に、鋳片表面が酸化した際、優先的な粒界酸化が生じ、これも脆化を助長する。したがって、オーステナイトからフェライトへの固相変態の影響のみならず、軽元素の粒界偏析や粒界酸化の影響も受けるため、Niを含む鋼の割れ感受性は大きい。
一方、鋼中のBは粒界に偏析しやすく、1000℃程度の高温域から、粒界にBNが析出し、それを起点として、粒界割れが生じる。したがって、NiおよびBを含む鋼では、一般鋼に比べて脆化温度域が広いため、連続鋳造鋳片の表面割れを防止することは極めて困難である。
以上のことから、上記した特許文献1〜3に記載された技術においては、NiとBを含有する鋼の連続鋳造鋳片の表面割れを十分に抑制することはできなかった。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、B及びNiを含有する鋼の鋳片を、垂直曲げ型又は湾曲型の連続鋳造機を用いて製造した場合であっても、曲げや矯正時における表面割れの発生を抑制することが可能な鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、脆化要因となる軽元素の無害化法および析出物の形態制御法を導き、連続鋳造鋳片に生じる表面欠陥を防止できる方法を導いた。
具体的には、連続鋳造鋳片の割れ感受性を模擬するために、表1に示す組成の鋼A〜Dを一旦溶融させ、アズキャスト組織を有する鋼の高温引張試験を実施し、本発明の構成要件を見出した。
Figure 0006951060
丸棒状(φ10×190mm,鍛伸材でアズキャスト組織を有さない)の鋼を、形状を維持したまま長さ方向中心約30mm長さを溶融させた後、溶融状態から1200℃までは10℃/sで試料を降温し、それ以下の温度域では0.4℃/sにて、連続的に試料を冷却した。試料の冷却過程で、その凝固部の試料温度が650〜1000℃の範囲で、連続鋳造時に作用する矯正・曲げ時の歪み速度とオーダーが概ね合致する3×10−4−1で、試料を引っ張り、破断させた。(1)式で定義される破断前後における試料の断面積減少率(RA)によって、鋼の高温延性を評価した。
RA=(A−A)/A×100 (%) ・・・・・・(1)
ここで、Aは引っ張り前の試料断面積(m)、Aは破断後の試料断面積(m)を表す。
垂直曲げ型または湾曲型の連続鋳造機を使用した際に鋳片表面が受ける引張歪み量を想定すると、RA値が60%以上、望ましくは63%以上であれば、鋳片の表面割れの懸念がないことに合致する。さらに、RA値が60%未満のときは粒界脆性破面で、RA値が60%以上のときは粒内延性破面であった。
鋼Aの場合、650〜950℃においての断面積減少率が20〜55%を示し、鋼の高温延性の低下を確認した。引張り後の試料破面を観察した結果、破断形態はいずれも典型的なオーステナイト粒界割れであった。また、1000℃の断面積減少率は63%と許容下限の60%以上を確保できたものの明瞭な延性回復には至らなかった。したがって、NiおよびBを含有する鋼の連続鋳造鋳片の割れ感受性が大きいことを意味している。
REM(希土類元素)であるLaを添加した鋼Bの場合、750℃以上での断面積減少率が60%を超え、さらに、900℃以上では80%以上と良好な延性を示した。
Caを添加した鋼Cの場合、750℃以上での断面積減少率が60%以上を示し、鋼Bよりは延性回復下限温度が小さいものの、鋼Aと比べると良好な延性を示した。
Zrを添加した鋼Dの場合、750℃以上から断面積減少率が60%以上を示し、特に850℃以上では90%以上と良好な延性を示し、鋼A〜Dの4種類の中で最も良好な延性を示した。
そして、800℃における引張り後の試験片を、2つの解析手法によって調査した。1つ目は、オージェ電子分光法によって破断面の元素マッピングを実施した。2つ目は、破断後の試料を縦断方向に切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡で観察し、BNの存在有無を観察した。
鋼A(RA値=33%)では、破面上のS偏析と数百nmサイズのBNが容易に観察された。Sが粒界偏析しているとき、オージェ電子分光法によって得られた粒界上のS濃度は鋼のバルク組成の約2〜3桁程度大きく、800℃における鋼A(RA値=33%)の場合では、粒界上S濃度は0.9%であった。また、ナイタールエッチングで旧オーステナイト粒界を顕出させたままの状態で、走査型電子顕微鏡にて試料の粒界上の介在物を少なくとも30個以上観察、分析し、その60%以上が300nm以下の球形のBNであることを確認した。特に、観察されたBNは他組成を有する介在物とは一体となっておらず、BNそのものであった。
一方、鋼B(RA値=69%)および鋼C(RA値=65%)では破面上のS偏析はほとんど認められず、粒界S濃度はバルク濃度の高々30倍以下であった。鋼BではLaを含み、また鋼CではCaを含む。これら元素はSとの親和性が高く、鋼中で硫化物、酸硫化物を形成し、固溶Sが固定化され、破面上のS偏析がほとんど認められなかった。ここで、Sとの親和性の高い元素とは、周期IIAに属するCaおよびLa,Ce,NdなどREMと称するランタノイドで、特に、溶鉄中Sに対するそれら元素の相互作用助係数(熱力学データ)が1600℃において−1以下のものである。
これら硫化物、酸硫化物の多くが、溶鋼段階で生じるため、存在位置は旧オーステナイト粒界とは無関係に存在する。無作為に30個以上、5〜10μmサイズの介在物を対象に観察した。その50%以上の割合で、硫化物、酸硫化物が観察された場合には、鋼が高温脆化しにくいレベル(RA値60%以上)まで固溶Sが固定化されている。特に、Caの場合には、硫化物、酸硫化物が単独として存在するケースは少なく、カルシウムアルミネート系酸化物とCaSが一体となって存在していた。固溶Sの固定効果および粒界割れ軽減効果に対しては、単一の硫化物、酸硫化物として存在するか、あるいは他の非金属物と一体になった複合形態として存在するかどうかは、関係しない。
さらに、鋼Aで観察されたような単一な数百nmサイズの粒界上BNもほとんど観察されず、5〜10μmサイズの硫化物、酸硫化物上に数百nmサイズのBNが析出していた。これら硫化物、酸硫化物は溶鋼段階で生成するために、結果として、それら表面に析出したBNも旧オーステナイト粒界上とは無関係に存在している。
そのため、Sの粒界偏析および粒界へのBN析出が抑制され、鋼Aと比べ延性の回復効果が得られた。種々調査し、RA値が60%以上のとき、適正な硫化物あるいは酸硫化物が存在し、粒界S濃度が最大でもバルク組成の高々30倍以下、かつ、粒界にBNが存在しないことに相関がある。
また、鋼D(RA値=79%)では、BN析出が見当たらず、主に数μmサイズのZrNが観察され、これは30個以上観察した窒化物の90%以上であった。そのうち、50%以上の割合で、数百nmサイズのMnSがZrN上同時に析出している場合がほとんどであった。このことは、鋼中にZrを含むことによって、NとSが同時に固定化できる条件が存在することを意味している。また、酸化物等の他の非金属物と一体になってZrNが存在する場合もあるが、延性改善効果に対しては、ZrNの存在形態には特に制約はない。
さらに、RAが60%未満の場合、粒界S濃度は鋼のバルク組成の2〜3桁程度大きく、RAが60%以上では、バルク濃度の高々30倍以下であった。したがって、NとSが同時に固定化され、鋼Aと比べて延性回復効果が出現した。この場合にも、RA値が60%以上のとき、ZrNとMnSが複合析出した介在物が存在し、粒界S濃度が最大でもバルク組成の高々30倍以下、かつ、粒界にBNが存在しないことに相関がある。
したがって、NiとBを含む鋼にREM(希土類元素)またはCaまたはZrの添加が、連続鋳造鋳片の表面割れ抑制には有効であることを見出した。
BおよびNiを含む鋼の連続鋳造鋳片に生じる表面割れを防止するために、脆化要因となる粒界偏析Sの無害化および粒界上のBN析出抑制が必要で、鋳片曲げおよび矯正時の鋳片のコーナから鋳片厚み相当位置における表面温度を750℃以上に制御した上で、固溶S抑制およびBNの析出形態制御を行うことが重要である。
本発明に係る鋳片の製造方法は、垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のLa濃度を[%La]とし、Laの原子量をMLaとした場合に、[%La]/MLa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにLaを添加し、 La含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させ、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴としている。
この構成の鋳片の製造方法によれば、溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のLa濃度を[%La]とし、Laの原子量をMLaとした場合に、[%La]/MLa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにLaを添加しているので、溶鋼中のSがREMと反応して化合物を形成し、結晶粒界へのSの偏析を抑制することができる。
また、La含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させているので、この酸化物及び酸硫化物を析出サイトとしてBNを析出させることができ、結晶粒界にBNが析出することを抑制できる。
さらに、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上としているので、曲げ部または矯正部において鋳片の表面割れの発生を抑制することができる。
また、本発明に係る鋳片の製造方法は、垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のCa濃度を[%Ca]とし、Caの原子量をMCaとした場合に、[%Ca]/MCa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにCaを添加し、Ca含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させ、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴としている。
この構成の鋳片の製造方法によれば、溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のCa濃度を[%Ca]とし、Caの原子量をMCaとした場合に、[%Ca]/MCa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにCaを添加しているので、溶鋼中のSがCaと反応して化合物を形成し、結晶粒界へのSの偏析を抑制することができる。
また、Ca含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させているので、この酸化物及び酸硫化物を析出サイトとしてBNを析出させることができ、結晶粒界にBNが析出することを抑制できる。
さらに、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上としているので、曲げ部または矯正部において鋳片の表面割れの発生を抑制することができる。
さらに、本発明に係る鋳片の製造方法は、垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、溶鋼中の窒素濃度を[%N]、溶鋼中のホウ素濃度を[%B]、溶鋼中のZr濃度を[%Zr]とし、Zrの原子量をMZrとした場合に、[%Zr]/MZr≧0.3×([%N]/14.01−[%B]/10.81)を満足するようにZrを添加し、ZrNとMnSとを含む粒径500nm以上5μm以下の複合介在物を単位面積あたり30個/mm 以上で分散させ、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴としている。
この構成の鋳片の製造方法によれば、溶鋼中の窒素濃度を[%N]、溶鋼中のホウ素濃度を[%B]、溶鋼中のZr濃度を[%Zr]とし、Zrの原子量をMZrとした場合に、[%Zr]/MZr≧0.3×([%N]/14.01−[%B]/10.81)を満足するようにZrを添加しているので、溶鋼中のNがZrと反応してZrNを形成し、BNの生成を抑制することができる。
また、ZrNはMnSとともに存在することから、ZrNとMnSとを含む粒径500nm以上5μm以下の複合介在物を単位面積あたり30個/mm以上を分散させることすることができる。
さらに、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上としているので、曲げ部または矯正部において鋳片の表面割れの発生を抑制することができる。
本発明によれば、B及びNiを含有する鋼の鋳片を、垂直曲げ型又は湾曲型の連続鋳造機を用いて製造した場合であっても、曲げや矯正時における表面割れの発生を抑制することが可能な鋳片の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態において用いられる連続鋳造装置の概略説明図である。 実施例において、Sと親和性の高い元素(REM、Ca)をαとしたときの[%α]/Mαと([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)の関係を示すグラフである。 実施例において、[%Zr]/MZrと([%N]/14.01−[%B]/10.81)の関係を表すグラフである。
以下に、本発明の実施形態である鋳片、及び、鋳片の製造方法について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態である鋳片は、その組成が、質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、さらに、REM:0.0015%以上0.02%以下、Ca:0.0015%以上0.0060%以下、Zr:0.0020%以上0.015%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物とされている。さらに、本実施形態では、必要に応じて、Cu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有してもよい。
以下に、各成分を規定した理由について説明する。
(C:0.05%以上0.18%以下)
Cは、一般に鋼の強度に大きな影響を及ぼす元素として知られ、0.05%未満では高強度厚鋼板などの用途に対して所定の強度を得ることが困難となる。C濃度が0.18%を超えると、硬度が著しく高くなって新たな疵の原因となるため、熱処理に特段の工程が必要となる他、溶接部および熱影響部の硬化のため厚鋼板として必要となる溶接性を損なう。このような理由によりCの濃度範囲を0.05%以上0.18%以下と規定した。なお、C濃度の下限は0.08%以上であることが好ましく、C濃度の上限は0.16%以下であることが好ましい。
(Si:0.10%以上0.4%以下)
Siは、一般に鋼の製造プロセスでは脱酸元素としての鋼中の酸素濃度を低減するために有効な元素の一つであり、鋼を強化する効果もある。溶鋼が十分に脱酸されていない状態で連続鋳造すると鋼中に気泡が生成し、製品の欠陥となるばかりでなく、ときにブレークアウトを誘発し操業できないという問題がある。このため、Siの含有量の下限を0.10%以上としている。一方、Siの含有量が0.4%を超えると縞状マルテンサイトが生成するようになり、溶接時にHAZ靭性を悪化させるという問題がある。したがって、その上限は0.4%以下と規定するが、より好ましくは0.3%未満とする。
(Mn:0.5%以上2.0%以下)
Mnは、一般に鋼材の強度に大きな影響を与える元素であるが、0.5%未満では高強度厚鋼板として十分な強度を得ることが困難である。また、2.0%を超えると固溶強化のため強度強化が著しく製品の強度調整が困難となる。またMnは中心偏析部で濃化するため鋳片や圧延後の厚鋼板内で強度むらを生じさせる。このためMnの濃度範囲を0.5%以上2.0%以下と規定した。なお、Mn濃度の下限は0.8%以上であることが好ましく、Mn濃度の上限は1.8%以下であることが好ましい。
(P:0.020%以下)
Pは鋼中に不可避的に含有する不純物元素の一つであり低い方が好ましい。Pは凝固時の固液界面における平衡分配係数が小さいため著しく偏析する。このため、種々の製品特性に悪影響を与えることが懸念される。偏析部では融点も著しく低下するため、圧延時には濃化部が溶融し製品疵につながることもある。そのため、含有量の上限を0.020%以下とした。偏析部における種々の問題を防止するために、好ましくは0.010%未満とするべきである。
(S:0.0035%以下)
Sも鋼中に不可避的に含有する不純物元素の一つでありできるだけ低い方が好ましい。Sも凝固後の固液界面における平衡分配係数が小さいため著しく偏析する元素であるばかりでなく、偏析部ではPと同様に融点を低下させ、特に圧延時には表面疵の発生原因となる。このため、上限を0.0035%以下とした。高強度鋼などより要求レベルの厳しい条件では、S含有量の上限を0.0020%以下とすることが好ましい。
(Ni:0.1%以上2.0%以下)
Niには固溶強化によって鋼の強度を向上させるとともに、靭性を改善する効果もある。これらの効果を得るためには0.1%以上添加する必要があるが、2.0%を超えて添加してもその効果は飽和し、溶接性を悪化させるという悪影響もある。このため、Niの濃度範囲を0.1%以上2.0%以下と規定した。なお、Ni濃度の下限は0.3%以上であることが好ましく、Ni濃度の上限は1.8%以下であることが好ましい。
(Ti:0.005%以上0.03%以下)
Tiは鋼の強度を向上させるとともに、鋼中のNをTiNとして固定するため、BNの生成にも影響を与える。このことから、連続鋳造の鋳片の曲げ・矯正時の鋳片表面割れを防止する効果もある。このような効果を得るためには0.005%以上の添加が必要である。しかし、0.03%を超えて含有すると炭化物が多数生成し、溶接熱影響部の靭性を低下させるとともに粗大なTiNが生成する原因となる。このため、0.005%以上0.03%以下と規定する。鋳片の表面割れおよびTiNに基づく表面性状の低下の双方を安定的に抑制する観点からは、Ti濃度の下限を0.010%以上、Ti濃度の上限を0.020%以下とすることが好ましい。
(Al:0.005%以上0.06%以下)
Alも脱酸元素として鋼中の酸素濃度を低減するために有効な元素の一つである。脱酸のために必要となる含有量は0.005%以上となる。0.005%未満では、製錬工程における十分な脱硫も困難になる。一方、Alを過剰に添加するとAlNが生成しやすく、鋳片表面割れの原因となることから、0.06%以下とすることが好ましい。なお、Al濃度の下限は0.007%以上であることが好ましく、Al濃度の上限は0.04%以下であることが好ましい。
(N:0.0015%以上0.007%以下)
Nは転炉などの大気雰囲気で溶製する場合には鋼中に不可避的に浸入する元素であり、BNの構成元素である。鋼材中ではTiなどと窒化物を形成する元素であり、これらの窒化物は熱間加工の過程でピン留め粒子として結晶粒を微細化する効果を有することから鋼材の機械特性に影響を与える。このため0.0015%以上の濃度とする必要がある。一方で、前述のようにこれらの窒化物が連続鋳造時にオーステナイト粒界に動的析出することにより鋳片表面割れの原因となることから上限は0.007%以下とする。組織のピン留め効果を確実に発揮するとともに、鋳片の中心部などにおける粗大な炭・窒化物の生成に伴う靱性低下を防止する観点からは、N濃度の下限を0.002%以上、N濃度の上限を0.004%以下とすることが好ましい。
(B:0.0005%以上0.0050%以下)
Bは粒界の焼き入れ性を高め、鋼材の組織を制御し、鋼材の強度を高める成分として添加される。Bは微量の添加で高い効果があるが、引張強度が700MPa〜1200MPaという高い強度を実現するためには下限は0.0005%以上となる。一方、0.0050%を超えて添加するとその効果が飽和するとともに靭性も低下することになるので、上限を0.0050%以下とする。厚鋼板のミクロ組織を制御し、Bの添加効果を明確に発現する観点からは、B濃度の下限を0.0010%以上、B濃度の上限を0.0040%以下とすることが好ましい。
また、引張強度700MPa以上の高強度を達成や、溶接性、耐候性など他の特性を発現させるには、以下に示すCu,Cr,Mo,V,Nbから選択される一種又は二種以上を添加している。
(Cu:0.1%以上0.5%以下)
Cuは鋼の焼き入れ性を向上させる。そのためには0.1%以上の添加が必要であるが、0.5%を超えるとその効果が過剰となるばかりでなく鋼材の熱間加工性が低下する。なお、連続鋳造時にはスタークラックと称する表面割れを誘発する元素であることからCuを0.2%以上添加する場合にはその1/3以上の濃度のNiを併せて添加する必要がある。
(Cr:0.2%以上2.0%以下)
Crには鋼の強度、靭性を高める効果がある。そのためには0.2%以上の添加が必要である。80kgクラス以上など高強度のスペックが要求される場合には半ば必須の添加元素となる。一方で2.0%を超えて添加すると溶接割れが発生する等の問題が発生する。同じ理由により溶接性を重視する場合には、Cr濃度の上限を1.5%以下とすべきである。
(Mo:0.1%以上0.8%以下)
Moは鋼板の焼き入れ性を向上させ、強度上昇にも寄与する。Crと同様、80kgクラス以上など高強度のスペックが要求される場合には半ば必須の添加元素となる。この効果を得るためには0.1%以上の添加が必要となる。しかし、Moは高価な元素でありコスト増加に繋がるばかりでなく、0.8%を超えて添加するとベイナイトやマルテンサイト相などの硬化相が生成し熱間加工性や溶接性を悪化させることから上限は0.8%以下とする。
(V:0.01%以上0.1%以下)
Vは鋼中でフェライト中への固溶ならびに炭窒化物を形成し、鋼の強度を高めるために有効な元素である。そのためには0.01%以上添加する必要がある。しかし、Vの含有量が0.1%を超えると溶接熱影響部での析出状況が変化し靭性に悪影響を与える。また過剰に添加すると鋳片内部にVNとして析出し、鋳片表面割れの原因となることから上限は0.1%以下とする。
(Nb:0.005%以上0.05%以下)
Nbは鋼中で炭窒化物を形成し鋼の強度を高めるとともに靱性の向上にも有効な元素である。そのためには0.005%以上添加する必要がある。また特にTMCP(Thermo−Mechanical Control Process)において固溶および析出を制御することにより鋼板のミクロ組織制御するために使用される。この効果を得るためにも0.005%以上添加する必要がある。しかし、0.05%を超えて含有すると加熱時にも固溶せず、組織制御ができなくなる。また過剰に添加すると鋳片内部にNbCとして析出し、鋳片表面割れの原因となる。このため、Nbの濃度は0.005%以上0.05%以下と規定した。
そして、本実施形態においては、固溶Sの固定および窒化物の形態制御して鋳片の表面割れを抑制するために、以下に示すREM,Ca,Zrから選択される一種又は二種以上を添加している。
(REM:0.0015〜0.02%)
REM(希土類元素)とは、ランタノイド(La,Ce等、原子番号57〜71の15元素)から選ばれた1種以上の金属元素を意味し、特に、Ce、La、PrまたはNdのうちの1種以上の元素が該当する。REMの添加効果は、0.0015%以上で現れる。しかし、REMは高価であり、過剰に添加しても効果が飽和するため、費用対効果の点から0.02%以下とすることが好ましい上、さらに、鋳造時の浸漬ノズルが閉塞するという新たな問題も併発してしまう。なお、REM濃度の下限は0.003%以上であることが好ましく、REM濃度の上限は0.018%以下であることが好ましい。
(Ca:0.0015%以上0.0060%以下)
BおよびNiを含む表面割れを防止する観点から、Caは0.0015%以上添加することが必要である。0.0060%を超えて添加してもその効果は飽和し製造コストの増加を招くばかりでなく、かえってノズル閉塞などの新たな問題を引き起こす場合もあり、このため0.0005%以上0.0060%以下と規定した。なお、Ca濃度の下限は0.0020%以上であることが好ましく、Ca濃度の上限は0.0050%以下であることが好ましい。
(Zr:0.0020〜0.015%)
BおよびNiを含む表面割れを防止する観点から、Zrは0.0020%以上添加することが必要である。0.015%を超えて添加してもその効果は飽和し製造コストの増加を招くばかりで、メリットが小さくなる。なお、Zr濃度の下限は0.0030%以上であることが好ましく、Zr濃度の上限は0.013%以下であることが好ましい。
上述した元素以外は、Feおよび不純物である。ここで、「不純物」とは、鋼材の工業的生産において原料たる鉱石、スクラップや製造設備からの溶出成分等から混入するものであり、性能に悪影響を及ぼさない範囲で含有されていてもよい。
そして、本実施形態である鋳片においては、800℃で引張試験を行った試験片の破断面を観察した結果、結晶粒界におけるSの最大濃度が鋳片全体のS濃度の30倍以下とされるとともに、結晶粒界において観察される粒径10nm以上300nm以下のBN粒子の個数が粒界1mm長さあたり3000個以下とされている。
すなわち、本実施形態においては、結晶粒界におけるSの偏析や粒径10nm以上300nm以下のBN粒子の析出が抑制されており、粒界強度が十分に確保されている。
次に、垂直曲げ型又は湾曲型の連続鋳造機を用いて、上述した本実施形態である鋳片の製造方法について説明する。
本実施形態では、図1に示す連続鋳造機10を用いて上述の本実施形態である鋳片1を製造する。
図1に示す連続鋳造機10は、水冷鋳型11と、この水冷鋳型に溶鋼を供給する浸漬ノズル12と、水冷鋳型11の下方に位置する複数の鋳片支持ロール21からなる鋳片支持ロール群20を備えている。
なお、本実施形態である連続鋳造機10においては、水冷鋳型11から引き抜かれた鋳片1を下方へと引き抜く垂直部14と、鋳片1を曲げる曲げ部15と、曲げた鋳片1を曲げ戻す矯正部16と、鋳片1を水平方向へ搬送する水平部17と、を有する垂直曲げ型連続鋳造機とされている。
水冷鋳型11は、矩形孔を有する筒状をなしており、この矩形孔の形状に合わせた断面の鋳片1が引き抜かれることになる。例えば、この矩形孔の長辺長さ(鋳片1の幅に相当)は500〜2500mmとされ、矩形孔の短辺長さ(鋳片1の厚さに相当)は100〜600mmとされているものが例示できるが、これに限定されるものではない。
鋳片支持ロール群20は、垂直部14に位置するピンチロール部24と、曲げ部15に位置するベンディングロール部25と、矯正部16に位置する矯正ロール部26と、水平部17に位置する水平ロール部27と、を備えている。
この連続鋳造機10においては、曲げ部15及び矯正部16において、鋳片1に引張歪みが負荷されることになる。
ここで、本実施形態では、鋳片1に対して引張歪みが負荷される曲げ部15及び矯正部16内において、鋳片1の長辺面においてコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上としている。例えば、鋳片1の幅を500mmとし、鋳片1の厚さを100mmとした場合には、鋳片1の長辺面の幅端部から100mm位置における表面温度が750℃以上とされているのである。
そして、本実施形態においては、以下に示すような手段により、結晶粒界の強度を確保し、曲げ部15及び矯正部16における鋳片1の表面割れを抑制している。
以下に、本実施形態である鋳片の製造方法本実施形態について、(1)REMを添加する場合、(2)Caを添加する場合、(3)Zrを添加する場合、の3つに分けて説明する。
(1)REM添加の場合
REMは、Sとの親和性が高いことから、溶鋼中にREMを添加することにより、REMとSの化合物が生成される。これにより、Sが固定されることになり、結晶粒界におけるSの偏析を抑制することが可能となる。また、REMを溶鋼中に添加することにより、酸化物及び酸硫化物が生成することになるが、これらの酸化物及び酸硫化物は、BN粒子の析出サイトとなるため、BN粒子の結晶粒界への析出を抑制することが可能となる。
ここで、本実施形態では、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出を抑制するために、REMの添加量を以下の範囲内に調整している。
溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のREM濃度を[%REM]とし、REMの原子量をMREMとした場合に、
[%REM]/MREM≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにREMを添加する。
これにより、REM含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させることが可能となる。なお、鋳片を観察した際に、観察される粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物のうちの50%以上が、REM含有量が30mol%以上に制御された酸化物及び酸硫化物であることが好ましい。
以上のように、REMを適量添加することにより、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出が抑制され、粒界強度が確保され、曲げ部15及び矯正部16において鋳片1の表面割れを抑制することが可能となる。
(2)Ca添加の場合
Caは、REMと同様に、Sとの親和性が高いことから、溶鋼中にCaを添加することにより、CaとSの化合物が生成され、結晶粒界におけるSの偏析を抑制することが可能となる。また、Caを溶鋼中に添加することにより、酸化物及び酸硫化物が生成することになるが、これらの酸化物及び酸硫化物は、BN粒子の析出サイトとなるため、BN粒子が結晶粒界に析出することを抑制することが可能となる。
ここで、本実施形態では、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出を抑制するために、Caの添加量を以下の範囲内に調整している。
溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のCa濃度を[%Ca]とし、Caの原子量をMCaとした場合に、
[%Ca]/MCa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにCaを添加する。
これにより、Ca含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させることが可能となる。なお、鋳片を観察した際に、観察される粒径 1μm以上の酸化物及び酸硫化物のうちの50%以上が、Ca含有量が30mol%以上に制御された酸化物及び酸硫化物であることが好ましい。
以上のように、Caを適量添加することにより、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出が抑制され、粒界強度が確保されることになり、曲げ部15及び矯正部16において鋳片1の表面割れを抑制することが可能となる。
(3)Zr添加の場合
Zrは、Nと反応してZrNを生成する。これにより、BNの生成を抑制することができ、BN粒子の結晶粒界への析出を抑制することができる。また、このZrNは、MnSと複合析出することから、溶鋼中のSが固定されることになる。これにより、結晶粒界におけるSの偏析を抑制することが可能となる。
ここで、本実施形態では、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出を抑制するために、Zrの添加量を以下の範囲内に調整している。
溶鋼中の窒素濃度を[%N]、溶鋼中のホウ素濃度を[%B]、溶鋼中のZr濃度を[%Zr]とし、Zrの原子量をMZrとした場合に、
[%Zr]/MZr≧0.3×([%N]/14.01−[%B]/10.81)
を満足するようにZrを添加する。
これにより、ZrNとMnSとを含む粒径500nm以上5μm以下の複合介在物を単位面積あたり30個/mm以上で分散させることが可能となる。なお、鋳片を観察した際に、観察される粒径500nm以上5μm以下の複合介在物のうちの50%以上が、ZrNとMnSとを含む複合介在物であることが好ましい。
以上のように、Zrを適量添加することにより、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出が抑制され、粒界強度が確保されることになり、曲げ部15及び矯正部16において鋳片1の表面割れを抑制することが可能となる。
以上のように、本発明の実施形態によれば、B及びNiを含有する鋼の鋳片1を、垂直曲げ型の連続鋳造機10を用いて製造した場合であっても、曲げ部15及び矯正部16における鋳片1の表面割れの発生を抑制することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、垂直曲げ型の連続鋳造機10を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、湾曲型の連続鋳造機であってもよい。
以下に、発明の効果を確認すべく実施した確認実験について説明する。
2.5tonの高周波誘導炉を用いて、SiおよびMnによる予備複合脱酸を施した溶鋼を2.5ton溶製し、その後、高周波誘導炉から上注ぎで取鍋に溶鋼を移し替えた。取鍋内には、移し替える溶鋼に対して、金属Alを予め装入しておき、溶鋼の注入によって溶鋼中にAlを溶解させた。
また、このとき、必要に応じて、Sとの親和力の大きい元素(REM,Ca)、またはZrも同様の手順で投入し、鋳造すべき溶鋼組成に最終調整した。取鍋中の溶鋼を、タンディッシュを介して、垂直部の長さ1.3mの垂直曲げ型連続鋳造機に注入し、厚さ100mm、幅500mmの鋳片を得た。鋳造速度は0.70〜1.20m/min、2次冷却の比水量は0.7〜1.6L/kg−steelである。また、鋳片曲げ入り側直前および矯正入り側直前のロール間に配置した放射温度計によって、L面(天側の長辺面のこと)側の鋳片表面温度を測温した。本発明で規定する測温位置はコーナから鋳片厚相当位置であり、本実施例ではコーナから100mm位置に相当する。
また、鋳片C断面(鋳片横断面の意で、この事例では500mm×100mmに相当)において、鋳片巾1/4およびL面側表層から厚み方向10mm位置までの10mm×20mmの視野を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。5〜10μmサイズの介在物を無作為に50個以上観察した。このとき、REM含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物、又は、Ca含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物がこの観察方法によって、少なくとも50%以上の割合で存在しなければならない。また、観察される硫化物、酸硫化物が他の非金属物と一体になっていた場合には、その硫化物または酸硫化物部分を対象に、EDSにて点分析を行い、CaまたはREMの含有量が30mol%以上であるかを確認した。
一方、同様の手順にて、無作為に30個以上の窒化物を観察し、10μm以下のZrNが90%以上の割合で存在し、そのうち50%以上の割合で、ZrN上に1μm未満のMnSが同時に観察されるとき、ZrNとMnSが複合した析出物を含むと定義した。
得られた鋳片表面からスケールを除去し、酸洗処理をした後に、鋳片のL面、F面(L面=天側の長辺面,F面=地側の長辺面)双方に対して、JIS Z2343に規定された染色浸透探傷試験、いわゆるカラーチェック法により割れ発生の有無を目視で観察した。表面疵の程度を指標化した値(疵指数)の3段階(0,1,2)で、表面割れの程度を評価した。疵指数が0(ゼロ)のとき、鋳片表面に、全く疵が確認できず、健全であることを表す。疵指数が1のとき、鋳片単位長さあたりの疵個数が10個/m以下と少ない上、表面を最大3mm程度のグラインダで旋削すれば、容易に手入れによって除去でき、実用上問題ないレベルである。疵指数が2のとき、鋳片全面に疵が散見される上(鋳片単位長さあたりの疵個数は30〜40個/m程度)、両面ともに、3mm程度のグラインダ旋削の軽度な手入れでは、完全に除去できないレベルである。または、鋳片コーナ部に3mm深さ以上の割れが顕著に観察され、その鋳片を次工程で使用するには、鋳片両端を30mm程度切断せざる、歩留まりの大幅低下を伴う。
したがって、したがって、疵発生指数0,1は鋳片の表面品質として支障がないレベルに該当し、疵指数2は、実用上、許容できないレベルに該当する。
Sと親和性の高いREM及びCaを添加した本発明例1〜5及び比較例1〜5の結果について、表2及び図2に示す。なお、単位はいずれも質量%であり、各鋼について残部はFeおよび不純物である。
Figure 0006951060
図2においては、溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、Sと親和性の高い元素(REM、Ca)の溶鋼中の濃度を[%α]、Sと親和性の高い元素(REM、Ca)の原子量をMαとした場合の、[%α]/Mαと([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)の関係を表す。
本発明例2,3では、疵の発生が全く観察されず(疵指数0)、非常に健全であった。
本発明例1,4,5の疵指数1は、軽微な表面手入れで済む範囲で、生産性、歩留まりの弊害となるレベルではなかった。特に、疵指数0の場合と比べて、酸化物または酸硫化物中に占めるαの濃度がやや低位であっため、完全に疵発生を防止できなかった。比較例1、2、4は、請求項1,2で規定する式を満足せず、さらに酸化物または酸硫化物中のSと親和性の高い元素(REM、Ca)の濃度が30mol%未満であるため、曲げ、矯正時の表面温度が750℃以上であっても割れ抑制できなかった。また、比較例3,5は、請求項1,2で規定する式を満足するものの、矯正時の鋳片表面温度が750℃未満であったため割れが発生した。
次に、Zrを添加した本発明例6〜8及び比較例6〜8の結果について、表3及び図3に示す。なお、単位はいずれも質量%であり、各鋼について残部はFeおよび不純物である。
Figure 0006951060
図3においては、溶鋼中の窒素濃度を[%N]、溶鋼中のホウ素濃度を[%B]、溶鋼中のZr濃度を[%Zr]とし、Zrの原子量をMZrとし、[%Zr]/MZrと([%N]/14.01−[%B]/10.81)の関係を表す。
本発明例7では、疵の発生が全く観察されず(疵指数0)、非常に健全であった。また、本発明例6,8(疵指数1)は、軽微な表面手入れで済む範囲で、生産性、歩留まりの弊害となるレベルではなかった。これは疵指数0の条件と比べると、矯正時に表面温度がやや低いため、疵指数1となった。比較例6、7は、請求項3で規定する式を満足せず、さらに鋼中に存在する窒化物としてZrNが認められず、BNが観察された。また、比較例8は、請求項3で規定する式を満足するものの、矯正時の鋳片表面温度が750℃未満であったため割れが発生した。
以上から、本発明例によれば、鋳片の表面割れの発生を抑制することが可能であることが確認された。
1 鋳片
10 連続鋳造機

Claims (3)

  1. 垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、
    質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、
    溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のLa濃度を[%La]とし、Laの原子量をMLaとした場合に、
    [%La]/MLa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにLaを添加し、
    La含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させ、
    鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴とする鋳片の製造方法。
  2. 垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、
    質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、
    溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のCa濃度を[%Ca]とし、Caの原子量をMCaとした場合に、
    [%Ca]/MCa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにCaを添加し、
    Ca含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させ、
    鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴とする鋳片の製造方法。
  3. 垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、
    質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、
    溶鋼中の窒素濃度を[%N]、溶鋼中のホウ素濃度を[%B]、溶鋼中のZr濃度を[%Zr]とし、Zrの原子量をMZrとした場合に、
    [%Zr]/MZr≧0.3×([%N]/14.01−[%B]/10.81)を満足するようにZrを添加し、
    ZrNとMnSとを含む粒径500nm以上5μm以下の複合介在物を単位面積あたり30個/mm 以上で分散させ、
    鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴とする鋳片の製造方法。
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