JP6951060B2 - 鋳片の製造方法 - Google Patents
鋳片の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6951060B2 JP6951060B2 JP2016163855A JP2016163855A JP6951060B2 JP 6951060 B2 JP6951060 B2 JP 6951060B2 JP 2016163855 A JP2016163855 A JP 2016163855A JP 2016163855 A JP2016163855 A JP 2016163855A JP 6951060 B2 JP6951060 B2 JP 6951060B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- slab
- molten steel
- concentration
- steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Description
それゆえ、優れた特性を有するNiとBを含有する鋼の連続鋳造鋳片の表面割れを防止できる方法が求められてきた。
また、特許文献2には、B及びNを含有する鋼の連続鋳造時の冷却条件を最適化することにより、連続鋳造鋳片の表面割れを抑制する技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、B濃度及びN濃度を規定するともに、BNの平衡析出量を規定することにより、連続鋳造鋳片の表面割れを抑制する技術が開示されている。
以上のことから、上記した特許文献1〜3に記載された技術においては、NiとBを含有する鋼の連続鋳造鋳片の表面割れを十分に抑制することはできなかった。
具体的には、連続鋳造鋳片の割れ感受性を模擬するために、表1に示す組成の鋼A〜Dを一旦溶融させ、アズキャスト組織を有する鋼の高温引張試験を実施し、本発明の構成要件を見出した。
RA=(A0−Af)/A0×100 (%) ・・・・・・(1)
ここで、A0は引っ張り前の試料断面積(m2)、Afは破断後の試料断面積(m2)を表す。
Caを添加した鋼Cの場合、750℃以上での断面積減少率が60%以上を示し、鋼Bよりは延性回復下限温度が小さいものの、鋼Aと比べると良好な延性を示した。
Zrを添加した鋼Dの場合、750℃以上から断面積減少率が60%以上を示し、特に850℃以上では90%以上と良好な延性を示し、鋼A〜Dの4種類の中で最も良好な延性を示した。
そのため、Sの粒界偏析および粒界へのBN析出が抑制され、鋼Aと比べ延性の回復効果が得られた。種々調査し、RA値が60%以上のとき、適正な硫化物あるいは酸硫化物が存在し、粒界S濃度が最大でもバルク組成の高々30倍以下、かつ、粒界にBNが存在しないことに相関がある。
BおよびNiを含む鋼の連続鋳造鋳片に生じる表面割れを防止するために、脆化要因となる粒界偏析Sの無害化および粒界上のBN析出抑制が必要で、鋳片曲げおよび矯正時の鋳片のコーナから鋳片厚み相当位置における表面温度を750℃以上に制御した上で、固溶S抑制およびBNの析出形態制御を行うことが重要である。
また、La含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させているので、この酸化物及び酸硫化物を析出サイトとしてBNを析出させることができ、結晶粒界にBNが析出することを抑制できる。
さらに、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上としているので、曲げ部または矯正部において鋳片の表面割れの発生を抑制することができる。
また、Ca含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させているので、この酸化物及び酸硫化物を析出サイトとしてBNを析出させることができ、結晶粒界にBNが析出することを抑制できる。
さらに、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上としているので、曲げ部または矯正部において鋳片の表面割れの発生を抑制することができる。
また、ZrNはMnSとともに存在することから、ZrNとMnSとを含む粒径500nm以上5μm以下の複合介在物を単位面積あたり30個/mm2以上を分散させることすることができる。
さらに、鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上としているので、曲げ部または矯正部において鋳片の表面割れの発生を抑制することができる。
以下に、各成分を規定した理由について説明する。
Cは、一般に鋼の強度に大きな影響を及ぼす元素として知られ、0.05%未満では高強度厚鋼板などの用途に対して所定の強度を得ることが困難となる。C濃度が0.18%を超えると、硬度が著しく高くなって新たな疵の原因となるため、熱処理に特段の工程が必要となる他、溶接部および熱影響部の硬化のため厚鋼板として必要となる溶接性を損なう。このような理由によりCの濃度範囲を0.05%以上0.18%以下と規定した。なお、C濃度の下限は0.08%以上であることが好ましく、C濃度の上限は0.16%以下であることが好ましい。
Siは、一般に鋼の製造プロセスでは脱酸元素としての鋼中の酸素濃度を低減するために有効な元素の一つであり、鋼を強化する効果もある。溶鋼が十分に脱酸されていない状態で連続鋳造すると鋼中に気泡が生成し、製品の欠陥となるばかりでなく、ときにブレークアウトを誘発し操業できないという問題がある。このため、Siの含有量の下限を0.10%以上としている。一方、Siの含有量が0.4%を超えると縞状マルテンサイトが生成するようになり、溶接時にHAZ靭性を悪化させるという問題がある。したがって、その上限は0.4%以下と規定するが、より好ましくは0.3%未満とする。
Mnは、一般に鋼材の強度に大きな影響を与える元素であるが、0.5%未満では高強度厚鋼板として十分な強度を得ることが困難である。また、2.0%を超えると固溶強化のため強度強化が著しく製品の強度調整が困難となる。またMnは中心偏析部で濃化するため鋳片や圧延後の厚鋼板内で強度むらを生じさせる。このためMnの濃度範囲を0.5%以上2.0%以下と規定した。なお、Mn濃度の下限は0.8%以上であることが好ましく、Mn濃度の上限は1.8%以下であることが好ましい。
Pは鋼中に不可避的に含有する不純物元素の一つであり低い方が好ましい。Pは凝固時の固液界面における平衡分配係数が小さいため著しく偏析する。このため、種々の製品特性に悪影響を与えることが懸念される。偏析部では融点も著しく低下するため、圧延時には濃化部が溶融し製品疵につながることもある。そのため、含有量の上限を0.020%以下とした。偏析部における種々の問題を防止するために、好ましくは0.010%未満とするべきである。
Sも鋼中に不可避的に含有する不純物元素の一つでありできるだけ低い方が好ましい。Sも凝固後の固液界面における平衡分配係数が小さいため著しく偏析する元素であるばかりでなく、偏析部ではPと同様に融点を低下させ、特に圧延時には表面疵の発生原因となる。このため、上限を0.0035%以下とした。高強度鋼などより要求レベルの厳しい条件では、S含有量の上限を0.0020%以下とすることが好ましい。
Niには固溶強化によって鋼の強度を向上させるとともに、靭性を改善する効果もある。これらの効果を得るためには0.1%以上添加する必要があるが、2.0%を超えて添加してもその効果は飽和し、溶接性を悪化させるという悪影響もある。このため、Niの濃度範囲を0.1%以上2.0%以下と規定した。なお、Ni濃度の下限は0.3%以上であることが好ましく、Ni濃度の上限は1.8%以下であることが好ましい。
Tiは鋼の強度を向上させるとともに、鋼中のNをTiNとして固定するため、BNの生成にも影響を与える。このことから、連続鋳造の鋳片の曲げ・矯正時の鋳片表面割れを防止する効果もある。このような効果を得るためには0.005%以上の添加が必要である。しかし、0.03%を超えて含有すると炭化物が多数生成し、溶接熱影響部の靭性を低下させるとともに粗大なTiNが生成する原因となる。このため、0.005%以上0.03%以下と規定する。鋳片の表面割れおよびTiNに基づく表面性状の低下の双方を安定的に抑制する観点からは、Ti濃度の下限を0.010%以上、Ti濃度の上限を0.020%以下とすることが好ましい。
Alも脱酸元素として鋼中の酸素濃度を低減するために有効な元素の一つである。脱酸のために必要となる含有量は0.005%以上となる。0.005%未満では、製錬工程における十分な脱硫も困難になる。一方、Alを過剰に添加するとAlNが生成しやすく、鋳片表面割れの原因となることから、0.06%以下とすることが好ましい。なお、Al濃度の下限は0.007%以上であることが好ましく、Al濃度の上限は0.04%以下であることが好ましい。
Nは転炉などの大気雰囲気で溶製する場合には鋼中に不可避的に浸入する元素であり、BNの構成元素である。鋼材中ではTiなどと窒化物を形成する元素であり、これらの窒化物は熱間加工の過程でピン留め粒子として結晶粒を微細化する効果を有することから鋼材の機械特性に影響を与える。このため0.0015%以上の濃度とする必要がある。一方で、前述のようにこれらの窒化物が連続鋳造時にオーステナイト粒界に動的析出することにより鋳片表面割れの原因となることから上限は0.007%以下とする。組織のピン留め効果を確実に発揮するとともに、鋳片の中心部などにおける粗大な炭・窒化物の生成に伴う靱性低下を防止する観点からは、N濃度の下限を0.002%以上、N濃度の上限を0.004%以下とすることが好ましい。
Bは粒界の焼き入れ性を高め、鋼材の組織を制御し、鋼材の強度を高める成分として添加される。Bは微量の添加で高い効果があるが、引張強度が700MPa〜1200MPaという高い強度を実現するためには下限は0.0005%以上となる。一方、0.0050%を超えて添加するとその効果が飽和するとともに靭性も低下することになるので、上限を0.0050%以下とする。厚鋼板のミクロ組織を制御し、Bの添加効果を明確に発現する観点からは、B濃度の下限を0.0010%以上、B濃度の上限を0.0040%以下とすることが好ましい。
Cuは鋼の焼き入れ性を向上させる。そのためには0.1%以上の添加が必要であるが、0.5%を超えるとその効果が過剰となるばかりでなく鋼材の熱間加工性が低下する。なお、連続鋳造時にはスタークラックと称する表面割れを誘発する元素であることからCuを0.2%以上添加する場合にはその1/3以上の濃度のNiを併せて添加する必要がある。
Crには鋼の強度、靭性を高める効果がある。そのためには0.2%以上の添加が必要である。80kgクラス以上など高強度のスペックが要求される場合には半ば必須の添加元素となる。一方で2.0%を超えて添加すると溶接割れが発生する等の問題が発生する。同じ理由により溶接性を重視する場合には、Cr濃度の上限を1.5%以下とすべきである。
Moは鋼板の焼き入れ性を向上させ、強度上昇にも寄与する。Crと同様、80kgクラス以上など高強度のスペックが要求される場合には半ば必須の添加元素となる。この効果を得るためには0.1%以上の添加が必要となる。しかし、Moは高価な元素でありコスト増加に繋がるばかりでなく、0.8%を超えて添加するとベイナイトやマルテンサイト相などの硬化相が生成し熱間加工性や溶接性を悪化させることから上限は0.8%以下とする。
Vは鋼中でフェライト中への固溶ならびに炭窒化物を形成し、鋼の強度を高めるために有効な元素である。そのためには0.01%以上添加する必要がある。しかし、Vの含有量が0.1%を超えると溶接熱影響部での析出状況が変化し靭性に悪影響を与える。また過剰に添加すると鋳片内部にVNとして析出し、鋳片表面割れの原因となることから上限は0.1%以下とする。
Nbは鋼中で炭窒化物を形成し鋼の強度を高めるとともに靱性の向上にも有効な元素である。そのためには0.005%以上添加する必要がある。また特にTMCP(Thermo−Mechanical Control Process)において固溶および析出を制御することにより鋼板のミクロ組織制御するために使用される。この効果を得るためにも0.005%以上添加する必要がある。しかし、0.05%を超えて含有すると加熱時にも固溶せず、組織制御ができなくなる。また過剰に添加すると鋳片内部にNbCとして析出し、鋳片表面割れの原因となる。このため、Nbの濃度は0.005%以上0.05%以下と規定した。
REM(希土類元素)とは、ランタノイド(La,Ce等、原子番号57〜71の15元素)から選ばれた1種以上の金属元素を意味し、特に、Ce、La、PrまたはNdのうちの1種以上の元素が該当する。REMの添加効果は、0.0015%以上で現れる。しかし、REMは高価であり、過剰に添加しても効果が飽和するため、費用対効果の点から0.02%以下とすることが好ましい上、さらに、鋳造時の浸漬ノズルが閉塞するという新たな問題も併発してしまう。なお、REM濃度の下限は0.003%以上であることが好ましく、REM濃度の上限は0.018%以下であることが好ましい。
BおよびNiを含む表面割れを防止する観点から、Caは0.0015%以上添加することが必要である。0.0060%を超えて添加してもその効果は飽和し製造コストの増加を招くばかりでなく、かえってノズル閉塞などの新たな問題を引き起こす場合もあり、このため0.0005%以上0.0060%以下と規定した。なお、Ca濃度の下限は0.0020%以上であることが好ましく、Ca濃度の上限は0.0050%以下であることが好ましい。
BおよびNiを含む表面割れを防止する観点から、Zrは0.0020%以上添加することが必要である。0.015%を超えて添加してもその効果は飽和し製造コストの増加を招くばかりで、メリットが小さくなる。なお、Zr濃度の下限は0.0030%以上であることが好ましく、Zr濃度の上限は0.013%以下であることが好ましい。
すなわち、本実施形態においては、結晶粒界におけるSの偏析や粒径10nm以上300nm以下のBN粒子の析出が抑制されており、粒界強度が十分に確保されている。
本実施形態では、図1に示す連続鋳造機10を用いて上述の本実施形態である鋳片1を製造する。
なお、本実施形態である連続鋳造機10においては、水冷鋳型11から引き抜かれた鋳片1を下方へと引き抜く垂直部14と、鋳片1を曲げる曲げ部15と、曲げた鋳片1を曲げ戻す矯正部16と、鋳片1を水平方向へ搬送する水平部17と、を有する垂直曲げ型連続鋳造機とされている。
この連続鋳造機10においては、曲げ部15及び矯正部16において、鋳片1に引張歪みが負荷されることになる。
以下に、本実施形態である鋳片の製造方法本実施形態について、(1)REMを添加する場合、(2)Caを添加する場合、(3)Zrを添加する場合、の3つに分けて説明する。
REMは、Sとの親和性が高いことから、溶鋼中にREMを添加することにより、REMとSの化合物が生成される。これにより、Sが固定されることになり、結晶粒界におけるSの偏析を抑制することが可能となる。また、REMを溶鋼中に添加することにより、酸化物及び酸硫化物が生成することになるが、これらの酸化物及び酸硫化物は、BN粒子の析出サイトとなるため、BN粒子の結晶粒界への析出を抑制することが可能となる。
溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のREM濃度を[%REM]とし、REMの原子量をMREMとした場合に、
[%REM]/MREM≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにREMを添加する。
以上のように、REMを適量添加することにより、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出が抑制され、粒界強度が確保され、曲げ部15及び矯正部16において鋳片1の表面割れを抑制することが可能となる。
Caは、REMと同様に、Sとの親和性が高いことから、溶鋼中にCaを添加することにより、CaとSの化合物が生成され、結晶粒界におけるSの偏析を抑制することが可能となる。また、Caを溶鋼中に添加することにより、酸化物及び酸硫化物が生成することになるが、これらの酸化物及び酸硫化物は、BN粒子の析出サイトとなるため、BN粒子が結晶粒界に析出することを抑制することが可能となる。
溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のCa濃度を[%Ca]とし、Caの原子量をMCaとした場合に、
[%Ca]/MCa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにCaを添加する。
以上のように、Caを適量添加することにより、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出が抑制され、粒界強度が確保されることになり、曲げ部15及び矯正部16において鋳片1の表面割れを抑制することが可能となる。
Zrは、Nと反応してZrNを生成する。これにより、BNの生成を抑制することができ、BN粒子の結晶粒界への析出を抑制することができる。また、このZrNは、MnSと複合析出することから、溶鋼中のSが固定されることになる。これにより、結晶粒界におけるSの偏析を抑制することが可能となる。
溶鋼中の窒素濃度を[%N]、溶鋼中のホウ素濃度を[%B]、溶鋼中のZr濃度を[%Zr]とし、Zrの原子量をMZrとした場合に、
[%Zr]/MZr≧0.3×([%N]/14.01−[%B]/10.81)
を満足するようにZrを添加する。
以上のように、Zrを適量添加することにより、結晶粒界におけるSの偏析やBN粒子の結晶粒界への析出が抑制され、粒界強度が確保されることになり、曲げ部15及び矯正部16において鋳片1の表面割れを抑制することが可能となる。
本実施形態では、垂直曲げ型の連続鋳造機10を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、湾曲型の連続鋳造機であってもよい。
2.5tonの高周波誘導炉を用いて、SiおよびMnによる予備複合脱酸を施した溶鋼を2.5ton溶製し、その後、高周波誘導炉から上注ぎで取鍋に溶鋼を移し替えた。取鍋内には、移し替える溶鋼に対して、金属Alを予め装入しておき、溶鋼の注入によって溶鋼中にAlを溶解させた。
一方、同様の手順にて、無作為に30個以上の窒化物を観察し、10μm以下のZrNが90%以上の割合で存在し、そのうち50%以上の割合で、ZrN上に1μm未満のMnSが同時に観察されるとき、ZrNとMnSが複合した析出物を含むと定義した。
したがって、したがって、疵発生指数0,1は鋳片の表面品質として支障がないレベルに該当し、疵指数2は、実用上、許容できないレベルに該当する。
本発明例2,3では、疵の発生が全く観察されず(疵指数0)、非常に健全であった。
本発明例1,4,5の疵指数1は、軽微な表面手入れで済む範囲で、生産性、歩留まりの弊害となるレベルではなかった。特に、疵指数0の場合と比べて、酸化物または酸硫化物中に占めるαの濃度がやや低位であっため、完全に疵発生を防止できなかった。比較例1、2、4は、請求項1,2で規定する式を満足せず、さらに酸化物または酸硫化物中のSと親和性の高い元素(REM、Ca)の濃度が30mol%未満であるため、曲げ、矯正時の表面温度が750℃以上であっても割れ抑制できなかった。また、比較例3,5は、請求項1,2で規定する式を満足するものの、矯正時の鋳片表面温度が750℃未満であったため割れが発生した。
本発明例7では、疵の発生が全く観察されず(疵指数0)、非常に健全であった。また、本発明例6,8(疵指数1)は、軽微な表面手入れで済む範囲で、生産性、歩留まりの弊害となるレベルではなかった。これは疵指数0の条件と比べると、矯正時に表面温度がやや低いため、疵指数1となった。比較例6、7は、請求項3で規定する式を満足せず、さらに鋼中に存在する窒化物としてZrNが認められず、BNが観察された。また、比較例8は、請求項3で規定する式を満足するものの、矯正時の鋳片表面温度が750℃未満であったため割れが発生した。
10 連続鋳造機
Claims (3)
- 垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、
質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、
溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のLa濃度を[%La]とし、Laの原子量をMLaとした場合に、
[%La]/MLa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにLaを添加し、
La含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させ、
鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴とする鋳片の製造方法。 - 垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、
質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、
溶鋼中の硫黄濃度を[%S]、溶鋼中のトータル酸素濃度をT.[%O]、溶鋼中のCa濃度を[%Ca]とし、Caの原子量をMCaとした場合に、
[%Ca]/MCa≧0.3×([%S]/32.06+T.[%O]/16.01)を満足するようにCaを添加し、
Ca含有量が30mol%以上に制御された粒径1μm以上の酸化物及び酸硫化物を分散させ、
鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴とする鋳片の製造方法。 - 垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳片を製造する鋳片の製造方法であって、
質量%で、C:0.05%以上0.18%以下、Si:0.10%以上0.4%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.020%以下、S:0.0035%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、Ti:0.005%以上0.030%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.0015%以上0.007%以下、およびB:0.0005%以上0.0050%以下、を含有し、必要に応じてCu:0.1%以上0.5%以下、Cr:0.2%以上2.0%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、V:0.01%以上0.1%以下、Nb:0.005%以上0.05%以下、から選択される1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成の溶鋼に、
溶鋼中の窒素濃度を[%N]、溶鋼中のホウ素濃度を[%B]、溶鋼中のZr濃度を[%Zr]とし、Zrの原子量をMZrとした場合に、
[%Zr]/MZr≧0.3×([%N]/14.01−[%B]/10.81)を満足するようにZrを添加し、
ZrNとMnSとを含む粒径500nm以上5μm以下の複合介在物を単位面積あたり30個/mm 2 以上で分散させ、
鋳片曲げ入側直前および矯正入り側直前において、前記鋳片の長辺面のコーナから鋳片厚み相当距離の位置における鋳片表面温度を750℃以上とすることを特徴とする鋳片の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016163855A JP6951060B2 (ja) | 2016-08-24 | 2016-08-24 | 鋳片の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016163855A JP6951060B2 (ja) | 2016-08-24 | 2016-08-24 | 鋳片の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018031055A JP2018031055A (ja) | 2018-03-01 |
JP6951060B2 true JP6951060B2 (ja) | 2021-10-20 |
Family
ID=61304918
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016163855A Active JP6951060B2 (ja) | 2016-08-24 | 2016-08-24 | 鋳片の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6951060B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019207636A1 (ja) * | 2018-04-24 | 2019-10-31 | 株式会社Sbb66 | 高張力鋼からなる鋼板の製造方法 |
JP7206700B2 (ja) * | 2018-08-28 | 2023-01-18 | 日本製鉄株式会社 | 鋼板 |
JP7206701B2 (ja) * | 2018-08-28 | 2023-01-18 | 日本製鉄株式会社 | 鋼板 |
KR102209405B1 (ko) * | 2019-05-15 | 2021-01-29 | 주식회사 포스코 | 표면 균열이 저감된 고망간 주편 및 그 제조방법과 이를 이용한 고망간 강판 |
BR112022018172A2 (pt) * | 2020-04-07 | 2022-10-25 | Nippon Steel Corp | Eslabe de aço com alto teor de alumínio, e, método de fundição contínua do eslabe |
-
2016
- 2016-08-24 JP JP2016163855A patent/JP6951060B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018031055A (ja) | 2018-03-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4725437B2 (ja) | 厚鋼板用連続鋳造鋳片及びその製造方法並びに厚鋼板 | |
JP6872616B2 (ja) | 耐水素誘起割れ性に優れた圧力容器用鋼材及びその製造方法 | |
JP6951060B2 (ja) | 鋳片の製造方法 | |
JP6418358B1 (ja) | 高Mn鋼板およびその製造方法 | |
JP5846311B2 (ja) | 溶接熱影響部ctod特性に優れた厚肉高張力鋼およびその製造方法 | |
JP6711434B2 (ja) | 耐摩耗鋼板およびその製造方法 | |
JP4363403B2 (ja) | 耐hic性に優れたラインパイプ用鋼材及びその鋼材を用いて製造されるラインパイプ | |
WO2020262638A1 (ja) | 鋼材及びその製造方法 | |
KR20180132910A (ko) | 고장력강 및 해양 구조물 | |
JP6131833B2 (ja) | Ti脱酸鋼の連続鋳造方法 | |
JPH08158006A (ja) | 溶接熱影響部の靭性が優れた高強度鋼 | |
EP3730642A1 (en) | Structural steel having excellent brittle crack propagation resistance, and manufacturing method therefor | |
KR101409291B1 (ko) | 용접부 내식성이 우수한 구조용 스테인레스 강판 및 그의 제조 방법 | |
JP3303647B2 (ja) | 耐サワー性と耐炭酸ガス腐食性とに優れた溶接鋼管 | |
JPWO2019180957A1 (ja) | 圧延h形鋼及びその製造方法 | |
JP2012052224A (ja) | 溶接熱影響部靭性に優れた鋼材 | |
JP2017057483A (ja) | H形鋼及びその製造方法 | |
JP7126077B2 (ja) | 高マンガン鋼鋳片の製造方法、高マンガン鋼鋼片および高マンガン鋼鋼板の製造方法 | |
JP7063401B2 (ja) | 高マンガン鋼鋳片の製造方法、および、高マンガン鋼鋼片または鋼板の製造方法 | |
JP7088235B2 (ja) | 耐摩耗鋼板およびその製造方法 | |
JP2003049236A (ja) | 溶接熱影響部靱性および耐候性に優れた橋梁用高強度鋼およびその製造方法 | |
JP6534240B2 (ja) | B含有鋼の連続鋳造鋳片 | |
JP7356025B2 (ja) | 連続鋳造鋳片の熱間幅圧下圧延方法 | |
JP2003342670A (ja) | 靭性の優れた非調質高張力鋼 | |
WO2023286338A1 (ja) | 加工性、耐食性に優れる溶接管用Ni-Cr-Mo系合金 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20181019 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190415 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20191127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20191224 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200217 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20200519 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200728 |
|
C60 | Trial request (containing other claim documents, opposition documents) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60 Effective date: 20200728 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20200805 |
|
C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21 Effective date: 20200811 |
|
A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20200904 |
|
C211 | Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211 Effective date: 20200908 |
|
C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22 Effective date: 20210420 |
|
C302 | Record of communication |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C302 Effective date: 20210607 |
|
C13 | Notice of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C13 Effective date: 20210615 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210726 |
|
C302 | Record of communication |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C302 Effective date: 20210811 |
|
C23 | Notice of termination of proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23 Effective date: 20210817 |
|
C03 | Trial/appeal decision taken |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03 Effective date: 20210914 |
|
C30A | Notification sent |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012 Effective date: 20210914 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210924 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6951060 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |