JP2014001445A - 表面性状に優れた鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面性状および耐食性に優れる鋼材を高効率で、かつ歩留まりよく製造する。
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.01〜0.70%、Mn:0.20〜3.00%、Cu:0.05〜3.00%、Sn:0.06〜3.00%、sol.Al:0.20〜3.00%、を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのP、S、NおよびOが、それぞれP:0.040%以下、S:0.040%以下、N:0.020%以下、およびO:0.010%以下であり、下記(1)式から求められるCP値が0.98以下である表面性状に優れた鋼材。
CP=3Cu−2Ni+Sn−sol.Al−100B ・・・(1)
ただし、(1)式中の元素記号は各元素の鋼中含有量(質量%)を意味する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鋼材に係り、特に、耐食性が要求される用途に使用される厚鋼板、形鋼などの表面性状に優れた鋼材に関する。
CuおよびSnには、鋼材の耐食性を高める効果があるが、熱間圧延時に表面疵を生成する、いわゆる赤熱脆性の問題を生じさせる。表面疵が生じた場合には、冷間での機械加工によって当該部分を除去する必要があり、生産能率および歩留まりが低下する。
上記の表面疵の生成を防止する方法として、特許文献1には、表面性状に優れた鋼材の製造方法に関する技術が開示されている。特許文献1で開示された技術によれば、加工に先立つ加熱初期に鋳片表面温度を1300℃以上に加熱することにより、CuおよびSnを含有する鋼材であっても、優れた表面性状を有するものとできるとされている。また、特許文献2には、CuおよびSnを含有する鋼スラブを950℃以下の温度で加熱し、さらに無酸化雰囲気下で圧延温度に加熱する表面疵防止方法が開示されている。
特開平7−246402号公報 特開平5−220505号公報
特許文献1に開示された技術では1300℃以上という高温に鋳片を加熱する必要があるので、加熱炉の炉壁の寿命が従来よりも短くなるという問題がある。また、特許文献2に開示された技術では950℃を超える温度域では無酸化雰囲気で加熱することが必要であるとされ、設備コストが従来よりも大きくなるという問題がある。
本発明は、このような従来技術の問題を解決するため、CuおよびSnを含有する鋳片を酸化雰囲気で950℃を超え1300℃未満に加熱した後に熱間圧延を行う場合においても、優れた表面性状を有する鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、CuおよびSnを含有する鋼材における赤熱脆性は、酸化雰囲気での加熱によるスケールの生成、難酸化元素であるCuおよびSnの濃度の高い液相の生成、その液相のオーステナイト粒界への進入などに関係していると考えた。
そして、本発明者らは、CuおよびSnを含有する鋳片を酸化雰囲気で950℃を超え1300℃未満に加熱しても、赤熱脆性が起こりにくく、良好な表面性状を有する鋼材を得るべき、鋭意検討を行い、本発明を完成させた。
本発明は、下記の鋼材を要旨とする。
(A)質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.01〜0.70%、Mn:0.20〜3.00%、Cu:0.05〜3.00%、Sn:0.06〜3.00%、sol.Al:0.20〜3.00%、を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのP、S、NおよびOが、それぞれP:0.040%以下、S:0.040%以下、N:0.020%以下、およびO:0.010%以下であり、下記(1)式から求められるCP値が0.98以下である、表面性状に優れた鋼材。
CP=3Cu−2Ni+Sn−sol.Al−100B ・・・(1)
ただし、(1)式中の元素記号は各元素の鋼中含有量(質量%)を意味する。
(B)さらに、質量%で、Ni:4.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、V:0.50%以下、Nb:0.50%以下、B:0.010%以下およびW:2.0%以下から選択される1種以上を含有する、上記(A)の表面性状に優れた鋼材。
(C)さらに、質量%で、Ti:0.50%以下を含有する、上記(A)または(B)の表面性状に優れた鋼材。
(D)さらに、質量%で、Sb:1.0%以下を含有する、上記(A)〜(C)のいずれかの表面性状に優れた鋼材。
(E)さらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.020%以下、Mg:0.010%以下およびZr:0.20%以下から選択される1種以上を含有する、上記(A)〜(D)のいずれかの表面性状に優れた鋼材。
本発明の鋼材は、CuおよびSnを含有する鋼材でありながら、950℃を超え1300℃未満の温度域に酸化雰囲気で加熱しても、赤熱脆性が起こりにくく、表面性状に優れている。このため、本発明の鋼材は、その後に、割れ部分を除去するなどの手間が不要であるので、高効率で、かつ歩留まりよく製造することが可能である。本発明の鋼材は、また、特殊な加熱炉を用いることなく製造することが可能である。そして、本発明の鋼材は、表面性状、耐食性に優れているので、各種の構造物に用いられる厚鋼板や形鋼などとして好適である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、化学組成における各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
[1]鋼材の化学組成について
C:0.01〜0.30%
Cは、鋼の強度を高めるために必要な元素である。この効果を得るために、C含有量は0.01%以上とする。しかし、Cの含有量が0.30%を超えると靱性が低下するのみならず、溶接割れが顕著に起こりやすくなることがある。よって、C含有量は0.01〜0.30%とする。好ましい下限は0.04%である。また、好ましい上限は0.18%であり、より好ましい上限は0.16%である。
Si:0.01〜0.70%
Siは、製鋼の過程で脱酸作用を有するとともに、鋼材の強度を高める元素である。これらの効果を得るために、Si含有量は0.01%以上とする。しかし、Siの含有量が0.70%を超えると靱性の低下が顕著になることがある。よって、Si含有量は0.01〜0.70%とする。好ましい下限は0.05%であり、より好ましい下限は0.10%である。また、好ましい上限は0.50%であり、より好ましい上限は0.40%である。
Mn:0.20〜3.00%
Mnは、鋼材の強度および靱性を高める作用を有する。これらの効果を得るために、Mn含有量は0.20%以上とする。しかし、その含有量が3.00%を超えると溶接割れが顕著に起こりやすくなることがある。このため、Mnの含有量は0.20〜3.00%とする。好ましい下限は0.50%であり、より好ましい下限は1.00%である。また、好ましい上限は2.00%、より好ましい上限は1.60%である。
Cu:0.05〜3.00%
Cuは、鋼材の耐食性を向上させるのに有効な元素であり、その効果を得るために0.05%以上含有させる。しかし、Cu含有量が3.00%を超えると溶接割れが起こりやすくなるのみならず、鋼材の表面性状が顕著に悪化することがある。よって、Cuの含有量は0.05〜3.00%とする。好ましい下限は0.10%である。また、好ましい上限は1.20%、より好ましい上限は0.50%である。
Sn:0.06〜3.00%
Snは、鋼材の耐食性を向上させるのに有効な元素であり、その効果を得るために0.06%以上含有させる。しかし、Sn含有量が3.00%を超えると鋼材の表面性状が顕著に悪化することがある。よって、Snを含有させる場合には、その含有量を0.06〜3.00%とする。好ましい下限は0.10%である。また、好ましい上限は0.50%、より好ましい上限は0.25%である。
sol.Al:0.20〜3.00%
Alは、製鋼の過程で脱酸作用を有する元素であるとともに、熱間圧延前の加熱時には選択酸化され、またFeにおけるCu、Snの固溶限拡大と液相抑制の作用があり、赤熱脆性の防止に寄与する。これらの効果を得るために、sol.Al(「酸可溶Al」)として0.20%以上含有させる。しかし、sol.Al含有量が3.00%を超えると、溶接熱影響部の靱性が顕著に悪化することがある。よって、sol.Al含有量は0.20〜3.00%とする。好ましい下限は0.50%である。また、好ましい上限は1.50%であり、より好ましい上限は1.00%である。
本発明の鋼材は、上記の化学組成を有し、残部はFeおよび不純物からなるものである。不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。ただし、P、S、NおよびOは、不純物としての含有量が高いと、鋼の特性を顕著に悪化させる可能性がある。よって、これらの元素については、その含有量を下記の範囲に制限する必要がある。
P:0.040%以下
Pは、鋼材中に不純物として不可避的に存在し、耐食性を向上させる効果を有するが、靱性を悪化させる元素である。そのため、P含有量は0.040%以下とする必要がある。好ましい上限は0.020%であり、より好ましい上限は0.010%である。
S:0.040%以下
Sは、鋼材中に不純物として不可避的に存在し、靱性に有害な元素である。そのため、S含有量は0.040%以下とする必要がある。好ましい上限は0.010%であり、より好ましい上限は0.007%であり、さらに好ましい上限は0.004%である。
N:0.020%以下
Nは、鋼材中に不純物として不可避的に存在し、V、Nb、Ti、B、Alなどとともに窒化物を形成し、母材および溶接熱影響部の靱性を改善する場合もあるが、その含有量が0.020%を超えると、母材および溶接熱影響部の靱性の悪化が顕著になる。よって、N含有量は0.020%以下とする。好ましい上限は0.009%であり、より好ましい上限は0.006%である。
O:0.010%以下
O(酸素)は、鋼材中に不純物として不可避的に存在し、Si、Al、Tiなどとともに酸化物を形成し、母材および溶接熱影響部の靱性を改善する場合もあるが、その含有量が0.010%を超えると、母材および溶接熱影響部の靱性の悪化が顕著である。そのため、O含有量は0.010%以下とする必要がある。好ましい上限は0.004%であり、より好ましい上限は0.002%である。
CP値:0.98以下
Cu、Snを含有する鋼の状態図、計算状態図および熱間圧延実験の結果を用いて、赤熱脆性を抑制するための条件を本発明者らが検討した結果、赤熱脆性は、加熱時におけるCu、Snの濃度の高い液相の生成およびその液相のオーステナイト粒界への進入に関係しているが、sol.Al、NiおよびBを適切に含有させることによって、その液相の生成およびオーステナイト粒界への進入を抑制でき、赤熱脆性を防止可能であるとの知見が得られた。より具体的には鋼材中の各元素をそれぞれ規定することに加えて、(1)式から求められるCP値を0.98以下にした場合に、熱間圧延後の表面性状が良好になる。CP値は、0.66以下とすることがより好ましく、0.20以下とすることがさらに好ましい。
CP=3Cu−2Ni+Sn−sol.Al−100B・・・(1)
ただし、(1)式中の元素記号は各元素の鋼中含有量(質量%)を意味する。無添加の元素についてはゼロを代入する。
本発明の鋼材は、上記の各元素を基本成分とし、さらに、Ni:4.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、V:0.50%以下、Nb:0.50%以下、B:0.010%以下、W:2.0%以下、Ti:0.50%以下、Sb:1.0%以下、Ca:0.010%以下、REM:0.020%以下、Mg:0.010%以下およびZr:0.20%以下から選択される1種以上を含有してもよい。
Ni:4.0%以下
Niは、鋼材の強度、靱性、耐食性を向上させるのに有効な元素であるとともに、加熱時におけるCuおよびSnの濃度の高い液相の生成を抑制し、赤熱脆性の防止に寄与する。これらの効果を得るため、鋼材にNiを含有させてもよい。しかし、Ni含有量が4.0%を超えると、鋼材の表面性状が顕著に悪化することがある。よって、Niを含有させる場合には、その含有量を4.0%以下とする。上記の効果は、Niを0.01%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.1%である。好ましい上限は1.0%、より好ましい上限は0.50%である。
Cr:3.0%以下
Crは、鋼材の強度を向上させるのに有効な元素であるとともに耐食性の改善にも寄与する。これらの効果を得るため、鋼材にCrを含有させてもよい。しかし、Cr含有量が3.0%を超えると、溶接割れが起こりやすくなる。よって、Crを含有させる場合には、その含有量を3.0%以下とする。上記の効果は、Crを0.01%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.1%である。好ましい上限は1.0%、より好ましい上限は0.50%である。
Mo:2.0%以下
Moは、鋼材の強度を向上させるのに有効な元素であるとともに耐食性の改善に寄与する。これらの効果を得るため、鋼材にMoを含有させてもよい。しかし、Mo含有量が2.0%を超えると、溶接割れが起こりやすくなる。よって、Moを含有させる場合には、その含有量を2.0%以下とする。上記の効果は、Moを0.01%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.1%である。好ましい上限は1.0%、より好ましい上限は0.50%である。
V:0.50%以下
Vは、鋼材の強度を向上させるのに有効な元素であるとともに耐食性の改善にも寄与する。これらの効果を得るため、鋼材にVを含有させてもよい。しかし、V含有量が0.50%を超えると靱性が顕著に悪化するおそれがある。よって、Vを含有させる場合には、その含有量を0.50%以下とする。上記の効果は、Vを0.001%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.01%であり、より好ましい下限は0.02%である。好ましい上限は0.15%、より好ましい上限は0.10%、さらに好ましい上限は0.06%である。
Nb:0.50%以下
Nbは、鋼材の強度を向上させるのに有効な元素であるとともに耐食性の改善にも寄与する。これらの効果を得るため、鋼材にNbを含有させてもよい。しかし、その含有量が0.50%を超えると、母材と溶接熱影響部の靱性が悪化する。よって、Nbを含有させる場合には、その含有量を0.50%以下とする。上記の効果は、Nbを0.001%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.01%である。好ましい上限は0.10%であり、より好ましい上限は0.05%である。
B:0.010%以下
Bは、鋼材の強度を向上させるのに有効な元素であるとともに、液相のオーステナイト粒界への進入を抑制し、赤熱脆性の防止に寄与する。また、Nとともに析出物(BN)を形成し、母材、溶接熱影響部の靱性を改善する効果もある。これらの効果を得るため、鋼材にBを含有させてもよい。しかし、Bの含有量が0.010%を超えると、靱性低下や溶接割れが起こりやすくなる。よって、Bを含有させる場合には、その含有量を0.010%以下とする。上記の効果は、Bを0.0001%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.0005%である。好ましい上限は0.003%であり、より好ましい上限は0.002%である。
W:2.0%以下
Wは、鋼材の強度を向上させるのに有効な元素であるとともに耐食性の改善にも寄与する。これらの効果を得るため、鋼材にWを含有させてもよい。しかし、W含有量が2.0%を超えると、溶接割れが起こりやすくなる。よって、Wを含有させる場合には、その含有量を2.0%以下とする。上記の効果は、Wを0.01%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.05%である。好ましい上限は1.0%、より好ましい上限は0.50%である。
なお、Ni、Cr、Mo、V、Nb、BおよびWから選択される1種以上を含有させる場合には、その合計含有量を3.0%以下とすることが好ましい。合計含有量は2.0%以下とするのがより好ましく、1.0%以下とするのがさらに好ましい。
Ti:0.50%以下
Tiは、Nとともに析出物(TiN)を形成し、溶接熱影響部の靱性を改善するのに有効な元素であるとともに耐食性の改善にも寄与する。また、Tiには、固溶N量を調整して、B(ボロン)の働きを高める効果もある。これらの効果を得るため、鋼材にTiを含有させてもよい。しかし、その含有量が0.50%を超えると、母材と溶接熱影響部の靱性悪化が顕著になる。よって、Ti含有量は0.50%以下とする。上記の効果は、Tiを0.001%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.01%である。好ましい上限は0.10%であり、より好ましい上限は0.05%であり、さらに好ましい上限は0.03%である。
Sb:1.0%以下
Sbは、鋼材の耐食性を向上させるのに有効な元素である。この効果を得るため、鋼材にSbを含有させてもよい。しかし、Sb含有量が1.0%を超えると鋼材の表面性状が悪化する可能性がある。よって、Sbを含有させる場合には、その含有量を1.0%以下とする。上記効果は、0.01%以上含有させた場合に顕著となる。好ましい下限は0.05%である。好ましい上限は0.50%、より好ましい上限は0.25%である。
Ca:0.010%以下
REM:0.020%以下
CaおよびREMは、硫化物(特にMnS)の形態を制御し、靱性を向上させるのに有効な元素である。これらの効果を得るためにCaおよびREMの一方または両方を含有させてもよい。ただし、含有量が過剰な場合、CaおよびREMを含む介在物が粗大となる。粗大化した介在物がクラスター化すると、鋼の清浄度を害し、溶接性にも悪影響を及ぼすことがある。よって、Caを含有させる場合には、その含有量は0.010%以下とし、REMを含有させる場合には、その含有量は0.020%以下とする。上記の効果は、Caは0.0005%以上、REMは0.0010%以上含有させた場合に顕著となる。Ca含有量は、溶接性の観点から0.005%以下にすることが好ましい。REMの含有量は、溶接性の観点から0.010%以下にすることが好ましい。なお、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、これらの元素から選択される1種以上を含有させることができる。REMの含有量は上記元素の合計量を意味する。
Mg:0.010%以下
Mgは、微細に分散した酸化物を形成し、溶接熱影響部のオーステナイト粒径の粗大化を抑制して低温靭性を向上させる効果を有する。この効果を得るためにMgを含有させてもよい。ただし、Mg含有量が0.010%を超えると、粗大な酸化物を生成して靭性を劣化させることがある。このため、Mgを含有させる場合には、その含有量は0.010%以下とする。上記の効果は、Mgを0.0005%以上含有させた場合に顕著となる。
Zr:0.20%以下
Zrは、微細に分散した酸化物または窒化物を形成し、溶接熱影響部のオーステナイト粒径の粗大化を抑制して低温靭性を向上させる効果を有する。この効果を得るためにZrを含有させてもよい。ただし、Zr含有量が0.20%を超えると、粗大な酸化物または窒化物を生成して靭性を劣化させることがある。このため、Zrを含有させる場合には、その含有量は0.20%以下とする。上記の効果は、Zrを0.010%以上含有させた場合に顕著となる。
[2]製造条件について
上記[1]で説明した化学組成を有する鋼片または鋼塊を加熱し、熱間加工を行うことで表面性状に優れた鋼材を製造することができる。各工程の好ましい条件を以下に示す。
熱間加工前の加熱温度は、鋼材の熱間加工を容易に行うため、950℃を超える温度とすることが好ましい。この温度で熱間加工前の加熱を行えば、炭窒化物の固溶が促進され、ひいては、強度および靱性が向上するなどの効果が得られる。ただし、加熱温度が高すぎると、オーステナイト結晶粒が粗大化して靱性が劣化することがあり、また高温のために加熱炉の炉壁の寿命が短くなるという問題がある。したがって、加熱温度は1300℃未満とするのが好ましい。加熱温度の下限は970℃とするのが好ましく、1000℃とするのがより好ましく、1100℃とするのがさらに好ましい。加熱温度の上限は、1280℃とするのが好ましく、1250℃とするのがより好ましい。
熱間加工は、950℃以下の温度域における合計圧下率が0.1以上となる条件で行うことが好ましい。これにより、製品の結晶粒径を小さくすることができ、良好な靱性を確保することが容易になる。950℃以下の温度域における合計圧下率は0.2以上とするのがより好ましい。ここで、「950℃以下の温度域における合計圧下率」とは、{(950℃に達した時点の厚さ)−(仕上厚さ)}/(950℃に達した時点の厚さ)を意味する。
熱間加工の仕上温度は、900℃以下とすることが好ましい。これにより、良好な靱性がより確実に得られる。仕上温度は、850℃以下とすることがより好ましい。上記各温度は、被熱間加工材の代表位置(例えば、圧延面の中央部)における表面温度を意味する。
熱間加工中および加工後の一方または両方において、被熱間加工材に加速冷却を適用することにより、強度、靱性および生産能率を改善できる場合があるので、加速冷却を用いてもよい。また、各種の熱処理を行ってもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する厚さ130mmの鋼片を、1200℃に加熱し、加熱後にその温度で1時間保持し、表2に示す条件で熱間圧延を実施し、鋼板を作製した。950℃以下の温度域における合計圧下率は0.26であった。仕上板厚は25mmとし、圧延後は放冷した。表2中、温度を測定しなかったパスにおいては、「温度(℃)」を空欄とした。
得られた各鋼板について、常温で表面性状の観察を行った結果を表1に記載した。表面性状度として4段階(0:不良、1:やや良好、2:良好、3:極めて良好)で評価した。観察位置は、熱間圧延材のクロップ部(長手方向の端)における端面である。
Figure 2014001445
Figure 2014001445
表1に示すように、鋼No.1〜28(本発明例)は表面性状度が1〜3であり、表面性状度が1、2の鋼板でも表面割れは軽微であり、特に表面性状度が3の鋼板では表面割れが全く見られなかった。一方、CP値が本発明で規定される条件を満足しない鋼No.29および30(比較例)は表面性状度0と不良であり、板端面に最大深さ3mmを超える割れが見られた。
本発明の鋼材は、CuおよびSnを含有する鋼材でありながら、950℃を超え1300℃未満の温度域に酸化雰囲気で加熱しても、赤熱脆性が起こりにくく、表面性状に優れている。このため、本発明の鋼材は、その後に、割れ部分を除去するなどの手間が不要であるので、高効率で、かつ歩留まりよく製造することが可能である。本発明の鋼材は、また、特殊な加熱炉を用いることなく製造することが可能である。そして、本発明の鋼材は、表面性状、耐食性に優れているので、各種の構造物に用いられる厚鋼板や形鋼などとして好適である。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.01〜0.70%、Mn:0.20〜3.00%、Cu:0.05〜3.00%、Sn:0.06〜3.00%、sol.Al:0.20〜3.00%、を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、
    不純物としてのP、S、NおよびOが、それぞれP:0.040%以下、S:0.040%以下、N:0.020%以下、およびO:0.010%以下であり、
    下記(1)式から求められるCP値が0.98以下
    であることを特徴とする表面性状に優れた鋼材。
    CP=3Cu−2Ni+Sn−sol.Al−100B ・・・(1)
    ただし、(1)式中の元素記号は各元素の鋼中含有量(質量%)を意味する。
  2. さらに、質量%で、Ni:4.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、V:0.50%以下、Nb:0.50%以下、B:0.010%以下およびW:2.0%以下から選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の表面性状に優れた鋼材。
  3. さらに、質量%で、Ti:0.50%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面性状に優れた鋼材。
  4. さらに、質量%で、Sb:1.0%以下を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の表面性状に優れた鋼材。
  5. さらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.020%以下、Mg:0.010%以下およびZr:0.20%以下から選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の表面性状に優れた鋼材。
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