JP2011168843A - Cu含有高強度鋼材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Niを積極的に添加することなく、熱間圧延中の赤熱脆性を防止し、YP:295MPa以上、TS:490MPa以上の強度を備え構造用鋼として好適なCu含有高強度鋼材の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼組成が、質量%で、C:0.01〜0.25%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Al:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.05%以下、Cr、Mo、W、V、Nb、B、Ti、Ca、REM、Mg、Zrの1種または2種以上、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000〜1100℃間を平均昇温速度50℃/h以上で昇温し、1200〜1350℃で且つ該温度範囲で1h以上保持後、1000℃以上の温度域での累積圧下率を50%以上、圧延仕上温度700℃以上で熱間圧延を行い、その後、空冷または1〜80℃/sの平均冷却速度で500〜650℃の温度範囲まで加速冷却する。
【選択図】なし
【解決手段】鋼組成が、質量%で、C:0.01〜0.25%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Al:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.05%以下、Cr、Mo、W、V、Nb、B、Ti、Ca、REM、Mg、Zrの1種または2種以上、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000〜1100℃間を平均昇温速度50℃/h以上で昇温し、1200〜1350℃で且つ該温度範囲で1h以上保持後、1000℃以上の温度域での累積圧下率を50%以上、圧延仕上温度700℃以上で熱間圧延を行い、その後、空冷または1〜80℃/sの平均冷却速度で500〜650℃の温度範囲まで加速冷却する。
【選択図】なし
Description
本発明は、Niを積極的に添加することなく、熱間圧延中の赤熱脆性を防止するCu含有高強度鋼材の製造方法に関し、YP:295MPa以上、TS:490MPa以上の強度を備え、厚鋼板や形鋼などの構造用鋼材として好適なものの製造方法に関する。
Cu含有鋼は、1000℃以上に加熱した場合にFeが優先的に酸化され、Feと酸化層の界面で低融点の金属Cuが液化して、Fe表層のγ粒界へ濃化することで粒界を脆化させ、熱間圧延中に表面割れが生じる(赤熱脆性)。
このような現象の防止には、Niの添加が有効で、Cuの固溶強化や析出強化を活用して高強度鋼を製造する場合、Niを概ねCu含有量の半分程度、例えば1質量%Cu含有鋼の場合には0.5質量%のNi量を添加することが行われている。
近年のスクラップ利用の拡大に伴って、鋼中Cuの含有量は増加する傾向にあることから、希少で高価なNi添加を必要とすることなく赤熱脆性を防止した高強度鋼材の製造方法が確立されれば、地球環境の改善に貢献するところが大きい。
特許文献1は、Cuに起因する鋼材の赤熱脆性の発生を加熱条件の工夫により防止することを特徴とする熱間圧延時のCu含有鋼材の加熱方法に関し、1080℃以上に加熱された状態において、Cuの濃化速度よりも拡散速度が大きくなるように加熱雰囲気の温度、加熱雰囲気の酸素濃度いずれかを制御して、スケール/地鉄界面に析出するCuの一部を地鉄中へ拡散させ、スケール/地鉄界面のCu濃化量を減少させて、Cu起因の赤熱脆性を抑制させる方法が記載されている。
特許文献2は、鋼材表面に生成したスケールが液体のCuを吸収する性質を利用して赤熱脆性を防止するCu含有鋼材の熱間圧延方法に関し、Cuを0.05〜2.1質量%含有する鋼材を熱間圧延する際、1パス目を1080℃以上で、鋼中Cu濃度に応じた圧下率の軽圧下圧延とすることが記載されている。
特許文献3は、電気炉製鋼により製造されるCu、Sn含有鋼の熱間割れ防止方法に関し、成分組成として添加したSiを表面スケール中へ取り込み、SiO2−FeO系の低融点酸化物相からなるスケールを形成して、鋼の表面に生成するCu、Sn融液の析出を防止することで熱間割れを防止することが記載されている。
しかしながら、特許文献1記載の方法は、加熱炉に酸素濃度制御機能を加える必要があり、実機製造における連続的な加熱炉操業には生産性の観点から適用が困難である。特許文献2記載の方法も圧延によるエネルギー消費と鋼材の温度低下を伴い、省エネルギーの観点から望ましい方法ではない。特許文献3記載の方法は、スクラップからのSnが含有される電気炉製鋼材を対象とするものでSnを含まないCu含有系高強度鋼の赤熱脆性防止を目的とするものでない。
本発明は、Niを積極的に添加することなく赤熱脆性を防止することが可能な、厚鋼板や形鋼などの構造用鋼としての特性を備えたCu含有系高強度鋼の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため、Cu含有鋼の製造条件について鋭意検討し、熱間圧延前の加熱条件の調整と圧延条件の調整により、赤熱脆性を防止し、構造材料として必要な強度・靭性の付与が可能なことを見出した。本発明は、
1.鋼組成が、質量%で、C:0.01〜0.25%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Al:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.05%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000〜1100℃間の平均昇温速度が50℃/h以上となるように昇温し、最高加熱温度が1200〜1350℃で且つ該温度範囲で1h以上保持した後、熱間圧延を行うことを特徴とするCu含有高強度鋼材の製造方法。
2.鋼組成として更に、質量%で、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、W:0.01〜1.0%、V:0.005〜0.2%、Nb:0.001〜0.1%、B:0.0001〜0.005%の1種または2種以上を添加することを特徴とする1記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
3.鋼組成として更に、質量%で、Ti:0.001〜0.03%、Ca:0.0001〜0.003%、REM:0.001〜0.02%、Mg:0.001〜0.01%、Zr:0.001〜0.01%の1種または2種以上を添加することを特徴とする1または2記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
4.熱間圧延を、1000℃以上の温度域での累積圧下率を50%以上、圧延仕上温度700℃以上で行い、その後、空冷することを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
5.熱間圧延を、1000℃以上の温度域での累積圧下率を50%以上、圧延仕上温度700℃以上で行い、その後、1〜80℃/sの平均冷却速度で500〜650℃の温度範囲まで加速冷却することを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
1.鋼組成が、質量%で、C:0.01〜0.25%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Al:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.05%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000〜1100℃間の平均昇温速度が50℃/h以上となるように昇温し、最高加熱温度が1200〜1350℃で且つ該温度範囲で1h以上保持した後、熱間圧延を行うことを特徴とするCu含有高強度鋼材の製造方法。
2.鋼組成として更に、質量%で、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、W:0.01〜1.0%、V:0.005〜0.2%、Nb:0.001〜0.1%、B:0.0001〜0.005%の1種または2種以上を添加することを特徴とする1記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
3.鋼組成として更に、質量%で、Ti:0.001〜0.03%、Ca:0.0001〜0.003%、REM:0.001〜0.02%、Mg:0.001〜0.01%、Zr:0.001〜0.01%の1種または2種以上を添加することを特徴とする1または2記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
4.熱間圧延を、1000℃以上の温度域での累積圧下率を50%以上、圧延仕上温度700℃以上で行い、その後、空冷することを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
5.熱間圧延を、1000℃以上の温度域での累積圧下率を50%以上、圧延仕上温度700℃以上で行い、その後、1〜80℃/sの平均冷却速度で500〜650℃の温度範囲まで加速冷却することを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
本発明によれば、厚鋼板や形鋼などの構造用鋼としての特性を備えたCu含有高強度鋼材を、鋼組成にNi添加することなく赤熱脆性を防止して製造することが可能で、産業上、地球環境の観点からも極めて有益である。
[成分組成]
本発明により製造されるCu含有高強度鋼材が有すべき成分組成について説明する。なお、以下の説明で%は質量%とする。
C:0.01〜0.25%
Cは鋼の強度を高めるのに有用な元素であり、本発明では所望の強度を得るためには0.01%以上含有する必要がある。一方、0.25%を超える添加は、溶接熱影響部(HAZ)の靭性や溶接性を低下させる。よって、C含有量は0.01〜0.25%の範囲とする。好ましくは0.03〜0.20%の範囲である。
本発明により製造されるCu含有高強度鋼材が有すべき成分組成について説明する。なお、以下の説明で%は質量%とする。
C:0.01〜0.25%
Cは鋼の強度を高めるのに有用な元素であり、本発明では所望の強度を得るためには0.01%以上含有する必要がある。一方、0.25%を超える添加は、溶接熱影響部(HAZ)の靭性や溶接性を低下させる。よって、C含有量は0.01〜0.25%の範囲とする。好ましくは0.03〜0.20%の範囲である。
Si:0.01〜1.0%
Siは脱酸材として、また鋼の強度を高め、Cu赤熱脆性防止に対しても有用なため0.01%以上添加する。一方、Siは鋼の靭性およびHAZ靭性を低下させるので、上限を1.0%とする。好ましくは、0.1〜0.5%の範囲である。
Siは脱酸材として、また鋼の強度を高め、Cu赤熱脆性防止に対しても有用なため0.01%以上添加する。一方、Siは鋼の靭性およびHAZ靭性を低下させるので、上限を1.0%とする。好ましくは、0.1〜0.5%の範囲である。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは鋼の強度を高める有用な元素であり、0.5%以上添加する。しかし、2.0%を超えての添加は鋼の靭性や溶接性を低下させるので、上限を2.0%とした。好ましくは、0.8〜1.6%の範囲である。
Mnは鋼の強度を高める有用な元素であり、0.5%以上添加する。しかし、2.0%を超えての添加は鋼の靭性や溶接性を低下させるので、上限を2.0%とした。好ましくは、0.8〜1.6%の範囲である。
P:0.025%以下
Pは鋼中に不可避的不純物として存在し、靭性などを低下させる有害な元素である。特に0.025%を超えると母材靭性やHAZ靭性を低下させるので、上限を0.025%とする。
Pは鋼中に不可避的不純物として存在し、靭性などを低下させる有害な元素である。特に0.025%を超えると母材靭性やHAZ靭性を低下させるので、上限を0.025%とする。
S:0.025%以下
SもPと同様に不可避的不純物として鋼中に存在し、Mnと結びついてMnSを形成し、靭延性の低下をもたらすため、Sの上限は0.025%とする。
SもPと同様に不可避的不純物として鋼中に存在し、Mnと結びついてMnSを形成し、靭延性の低下をもたらすため、Sの上限は0.025%とする。
Al:0.001〜0.1%
Alは脱酸材として、0.001%以上添加する必要がある。しかし、0.1%を超えて添加しても脱酸効果は飽和し、粗大な酸化物が鋼中に存在するようになり、靭性が低下するので、上限を0.1%とする。好ましくは、0.01〜0.05%である。
Alは脱酸材として、0.001%以上添加する必要がある。しかし、0.1%を超えて添加しても脱酸効果は飽和し、粗大な酸化物が鋼中に存在するようになり、靭性が低下するので、上限を0.1%とする。好ましくは、0.01〜0.05%である。
Cu:0.1〜2.0%
Cuは0.7%程度までは鋼中に固溶し、それ以上では析出して、固溶強化および析出強化により鋼を高強度化する。しかし、0.1%未満ではその効果が小さく、2.0%を超えての添加は、脆化を招くことや赤熱脆性に対して好ましくないため、上限を2.0%とする。好ましくは、0.2〜1.5%の範囲である。
Cuは0.7%程度までは鋼中に固溶し、それ以上では析出して、固溶強化および析出強化により鋼を高強度化する。しかし、0.1%未満ではその効果が小さく、2.0%を超えての添加は、脆化を招くことや赤熱脆性に対して好ましくないため、上限を2.0%とする。好ましくは、0.2〜1.5%の範囲である。
Ni:0.05%以下
Niは、Cu含有鋼の赤熱脆性を防止し、高強度鋼の低温靭性を向上させるなど極めて有用であるが、高強度鋼の利用拡大に伴い資源枯渇が心配され、高価な元素である。本発明では、積極的な添加は行わず不可避的不純物とし、0.05%以下に制限する。
Niは、Cu含有鋼の赤熱脆性を防止し、高強度鋼の低温靭性を向上させるなど極めて有用であるが、高強度鋼の利用拡大に伴い資源枯渇が心配され、高価な元素である。本発明では、積極的な添加は行わず不可避的不純物とし、0.05%以下に制限する。
以上が本発明の基本成分であるが、更に特性を向上させる場合、Cr、Mo、W、V、Nb、Bを1種または2種以上添加することができる。
Cr、Mo、W、V、Nb、Bは、構造用鋼として用いられる厚さの厚い、厚肉材の高強度化に対して有効な元素で、Cr:0.05%未満、Mo:0.01%未満、W:0.01%未満、V:0.005%未満、Nb:0.001%未満、B:0.0001%未満ではその効果が小さい。
一方、Cr:1.0%超え、Mo:1.0%超え、W:1.0%超え、V:0.2%超え、Nb:0.1%超え、B:0.005%超えではHAZ靭性を低下させることから、添加する場合は、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、W:0.01〜1.0%、V:0.005〜0.2%、Nb:0.001〜0.1%、B:0.0001〜0.005%とする。
また、大入熱溶接が適用される場合などのHAZ靭性をより向上させる場合には、Ti:0.001〜0.03%、Ca:0.0001〜0.003%、REM:0.001〜0.02%、Mg:0.001〜0.01%、Zr:0.001〜0.01%を1種または2種以上添加することができる。
Ti:0.001%未満、Ca:0.0001%未満、REM:0.001%未満、Mg:0.001%未満、Zr:0.001%未満では、HAZ靭性向上効果が小さく、Ti:0.03%超え、Ca:0.003%超え、REM:0.02%超え、Mg:0.01%超え、Zr:0.01%超えでは、鋼中の清浄性を低下させて延性を阻害する。
そのため、それぞれの元素を添加する場合は、Ti:0.001〜0.03%、Ca:0.0001〜0.003%、REM:0.001〜0.02%、 Mg:0.001〜0.01%、Zr:0.001〜0.01%とする。
[製造条件]
本発明では、赤熱脆性防止のため熱間圧延前の加熱条件を規定し、構造用鋼としての強度・靭性を付与するため圧延条件を規定する。以下の説明において温度は鋼片表面での温度(℃)とする。
1.熱間圧延前の加熱条件
熱間圧延前に1000〜1100℃間の平均昇温速度が50℃/h以上となるように昇温した後、最高加熱温度が1200〜1350℃で且つ該温度範囲で1h以上保持する。
本発明では、赤熱脆性防止のため熱間圧延前の加熱条件を規定し、構造用鋼としての強度・靭性を付与するため圧延条件を規定する。以下の説明において温度は鋼片表面での温度(℃)とする。
1.熱間圧延前の加熱条件
熱間圧延前に1000〜1100℃間の平均昇温速度が50℃/h以上となるように昇温した後、最高加熱温度が1200〜1350℃で且つ該温度範囲で1h以上保持する。
鋼片表面において1000〜1100℃間を平均昇温速度50℃/h未満(前記温度範囲の滞留時間2h超え)で昇温すると、Feとスケールとの界面にCuの濃化領域が形成され、その後の加熱によって濃化したCuを拡散させることが困難で、赤熱脆性を抑制することが困難となる。そのため、鋼素材表面の温度で1000〜1100℃間を平均昇温速度50℃/h以上(前記温度範囲の滞留時間2h以下)、好ましくは、平均昇温速度67℃/h以上(前記温度範囲の滞留時間1.5h以下)で加熱する。
その後、鋼片を最高加熱温度:1200〜1350℃で且つ該温度範囲で1h以上保持する。昇温過程の1000℃〜1100℃間でFeとスケールとの界面に濃化したCuをFeおよびスケール中へ拡散させるためである。
最高加熱温度が1200℃以下の場合、Cuの拡散が不十分で、一方、1350℃を超えると、スケールが溶解したり、スケールロスが増大して生産性を低下させるため、最高加熱温度は1200〜1350℃とする。
また、1200〜1350℃の温度範囲での保持時間が1h未満ではCuの拡散が不十分となるので、1h以上とする。好ましくは、最高加熱温度:1250℃〜1320℃で且つ該温度範囲で1h以上の保持を行う。
図1〜5に、成分組成が質量%で0.14%C−0.35%Si−1.45%Mn−1.0%Cu−0.01%Ni系となる鋼を種々の条件で加熱し、Fe−スケール界面でのCu濃化の状態を調査した結果を示す。加熱は大気中にて行い、Fe−スケール界面のCuの濃化状態をEPMAにてマッピングした。図において(a)はEPMA分析結果、(b)は(a)の模式図を示す。
図1は1000〜1100℃間を平均昇温速度約42℃/h(滞留時間:2.4h)で加熱し、その後、最高加熱温度1150℃で3h保持した場合を示し、界面でのCu濃化が顕著であり、赤熱脆性を生じている。
図2〜4は1000〜1100℃間を平均昇温速度約83℃/h(滞留時間:1.2h)で加熱し、その後、最高加熱温度を1150〜1300℃(保持時間は0.5hで一定)と変化させた場合を示す。
図2は最高加熱温度1150℃(保持時間0.5h)、図3は最高加熱温度1240℃(保持時間0.5h)、図4は最高加熱温度1300℃(保持時間0.5h)の場合で、これらの図より、高温に加熱するほど界面のCu濃化は軽減するが、いずれの最高加熱温度でも保持時間が0.5hでは不十分である。
一方、図5は1000〜1100℃間を平均昇温速度約83℃/h(滞留時間:1.2h)で加熱し、その後、最高加熱温度を1240℃で保持時間を1.2hとした結果を示し、界面にCu濃化が見られなかった。
2.熱間圧延条件
さらに強度、靭性、延性を生産性よく得るためには、熱間圧延条件は下記を満たすことが好ましい。
さらに強度、靭性、延性を生産性よく得るためには、熱間圧延条件は下記を満たすことが好ましい。
鋼片を上記加熱条件で加熱後、1000℃以上の温度域での累積圧下率が50%以上、圧延仕上温度が700℃以上で熱間圧延を行う。加熱時に粗大化したγ粒を再結晶細粒化により微細化し、ミクロ組織を微細化するため、1000℃以上で累積圧下率を50%以上とする。1000℃未満で累積圧下率50%以上の圧延では再結晶が不十分で、一方、1000℃以上で累積圧下率が50%未満においても同様に再結晶が不十分でγ粒が微細化せず、ミクロ組織が粗大で、靭性を低下させる。
構造用鋼として強度を得るため、圧延終了温度は700℃以上、好ましくは、800℃以上とし、圧延後、空冷する。圧延終了温度が700℃未満では、延性が低下し、また、圧延待機時間が長く生産性が低い。
なお、厚さが20mmを超える厚肉鋼材や、YP400MPa以上の強度とする場合、圧延後、1〜80℃/sの平均冷却速度で冷却停止温度:500〜650℃まで加速冷却してもよい。
平均冷却速度が1℃/s未満では構造用鋼としての強度が得られず、80℃/sを超える平均冷却速度では高強度化の効果は飽和するので、平均冷却速度は1〜80℃/sとする。
冷却停止温度は、650℃超えでは、高強度化の効果が小さく、一方、500℃未満では、延性の低下が顕著となり、また、Cuによる析出強化が少なくなるので、冷却停止温度は500〜650℃の温度範囲とした。
表1に示す成分組成を有する鋼を溶製して圧延素材とし、加熱条件、熱間圧延条件および圧延後の冷却条件を種々変化させて板厚20〜65mmの厚鋼板とした。得られた厚鋼板の表面割れを調査し、板厚1/4t部(L方向)よりJIS4号引張試験片および2mmVノッチのシャルピー衝撃試験片を採取し、鋼材の強度、靭性について調べた。シャルピー衝撃試験は遷移温度(℃)を求めた。
表2に試験結果を示す。No.1、4〜7、10〜13、18、20は本発明例で、表面に赤熱脆性による表面割れが見られることなく、高強度で靭性に優れる鋼材が得られている。また、No.2、17は、赤熱脆性による表面割れは観察されないが、熱間圧延条件が本発明の好適範囲外のため靭性が低い。一方、比較例であるNo.3、No.8、No.9、No.14〜16、No.19は本発明範囲外の加熱条件のため、No.21は成分組成が本発明範囲外のため、いずれも赤熱脆性による表面割れが観察された。
Claims (5)
- 鋼組成が、質量%で、C:0.01〜0.25%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Al:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.05%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000〜1100℃間の平均昇温速度が50℃/h以上となるように昇温し、最高加熱温度が1200〜1350℃で且つ該温度範囲で1h以上保持した後、熱間圧延を行うことを特徴とするCu含有高強度鋼材の製造方法。
- 鋼組成として更に、質量%で、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、W:0.01〜1.0%、V:0.005〜0.2%、Nb:0.001〜0.1%、B:0.0001〜0.005%の1種または2種以上を添加することを特徴とする請求項1記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
- 鋼組成として更に、質量%で、Ti:0.001〜0.03%、Ca:0.0001〜0.003%、REM:0.001〜0.02%、Mg:0.001〜0.01%、Zr:0.001〜0.01%の1種または2種以上を添加することを特徴とする請求項1または2記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
- 熱間圧延を、1000℃以上の温度域での累積圧下率を50%以上、圧延仕上温度700℃以上で行い、その後、空冷することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
- 熱間圧延を、1000℃以上の温度域での累積圧下率を50%以上、圧延仕上温度700℃以上で行い、その後、1〜80℃/sの平均冷却速度で500〜650℃の温度範囲まで加速冷却することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のCu含有高強度鋼材の製造方法。
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2010
- 2010-02-19 JP JP2010034159A patent/JP2011168843A/ja not_active Withdrawn
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