JP2004211184A - Ni含有鋼の連続鋳造方法およびその鋳片 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Niを5〜10質量%の範囲で含有する鋼の連続鋳造方法であって、P:0.0050%以下、S:0.0020%以下、Al:0.040%以下、N:0.0040%以下およびB:0.0010%以下とし、残部が実質的にFeからなる鋼を用いて、鋳造するNi含有鋼の連続鋳造方法。鋼中のT.O含有量を0.0020%以下とすることが好ましい。また、フラックス中のS含有量が0.1%以下の鋳型内フラックスを使用することが好ましい。さらに、鋳型内に供給する溶鋼の過熱温度を10〜40℃とすることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Ni含有鋼の連続鋳造時に発生する横ヒビ割れなどの表面欠陥、ならびに表層下割れ、気泡性欠陥、および介在物欠陥などの鋳片内部欠陥を防止する鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から鋼にNiを添加すると低温靭性が向上することは知られており、低温用鋼としてNiを5〜10質量%含有する鋼が使用されている。その中で特にNiを9質量%程度含有する鋼(以下「9%Ni鋼」という)は、−160℃以下の超低温での使用に耐え得ることから、液化天然ガス(LNG)用タンク材として、近年需要が増加している。
【0003】
しかし、Niを5〜10質量%含有する鋼は、連続鋳造時に、通常の炭素鋼や低合金鋼に比べて、表面横ヒビ割れなどの表面欠陥が発生しやすい。また、9%Ni鋼においては、オーステナイト(以下「γ」という)相単相で凝固するために、γ相の結晶粒界にPおよびSなどの不純物元素が濃化し、歪感受性が高く、小さな歪でも表面のみならず表皮下割れなどの内部欠陥が発生しやすい。
【0004】
これらの割れは、連続鋳造における二次冷却時に鋳片表面温度が熱間延性の低下する600〜900℃にまで降下し、この時に受ける熱応力や矯正応力によって発生することが知られている。Niを5〜10質量%含有する鋼においては、前述した理由により、通常の炭素鋼や低合金鋼に比べて600〜900℃における延性の低下が顕著となり、連続鋳造時の割れ感受性が悪化し、割れの程度も大きくなるという問題を有していた。
【0005】
そこで、これらの鋼を連続鋳造によって製造するために、種々の方法が提案されている。
【0006】
前記Ni含有鋼の連続鋳造時の表面欠陥を防止するためには、高温脆化温度域での矯正を避ける必要があり、鋳片表面温度の管理を目的とした二次冷却の制御が実施されている。
【0007】
例えば、特許文献1には、二次冷却帯において鋳片の液相線温度から1050℃までの温度領域を3.0℃/秒以上の速度で冷却すると共に、鋳片の矯正点通過終了時の表面温度を850℃以上に維持するNi含有鋼の連続鋳造方法が開示されている。特許文献2には、鋳造中の鋼の推定絞り値が50%以上となるように鋳造速度と二次冷却速度を制御する高Ni鋼の連続鋳造方法が開示されている。また、特許文献3には、連続鋳造鋳片が矯正応力を受ける点における鋳片の表面温度を850℃以上とし、鋳片の表面温度が850〜600℃となる範囲を鋳片矯正応力がかからないように冷却する低温用Ni含有鋼の連続鋳造方法が開示されている。
【0008】
前記のように、連続鋳造時の二次冷却に関する方法はいくつか提案されており、表面割れの防止には効果があると考えられるが、実操業において連続鋳造機の冷却条件を安定して制御することは困難であり、依然として、連続鋳造時に発生する割れを完全に防止するには至っていない。
【0009】
一方、連続鋳造機内における歪を規定した方法もいくつか提案されている。
【0010】
例えば、特許文献4には、内部凝固界面歪率を0.7×10−2以下とするNi含有鋼の連続鋳造方法が開示されている。これ以外にも歪を規定した方法は提案されているが、前述した二次冷却方法と同様、実操業において連続鋳造機内の歪量を正確に測定し、かつ安定して歪量を制御することは困難である。
【0011】
その他、鋼の成分を規定した方法がある。Niを5〜10質量%含有する鋼は、γ単相凝固のため、P、Sなどの不純物元素が粒界に偏析しやすく、その際に割れ感受性が高まるため、これらの含有量を低減すると良いことが知られており、例えば、特許文献4には、S:0.005%以下、P:0.010%以下に低減すると、表皮下割れ防止効果があることが開示されている。
【0012】
しかし、この方法では、割れ感受性の低減には不十分であるとして、その他、例えば、特許文献5では、S:0.003%以下、P:0.006%以下に低減すると、割れ防止効果があるとされている。さらに、特許文献6では、S:0.0010%以下、P:0.0010%以下に低減することにより、一層割れ防止効果があると記載されている。このように鋼を特性上要求されていたレベルよりも高純度化することにより、表面割れおよび内部割れを防止する方法がいくつか提案されている。
【0013】
しかしながら、上記の方法は、一般の精錬技術では容易に達成できないレベルまで不純物含有量を低減する方法であり、実操業の量産下においては、精錬技術の難しさに加えて、精錬コストの点でも、生産性の面でも困難が多い。
【0014】
また、Al含有量およびN含有量を低減することにより高温延性が向上することが報告されており、例えば特許文献7では、Al、Nの含有量をそれぞれ0.005〜0.030%、および0.0030%以下とし、かつAlとNの濃度積を[Al]×[N]≦6.0×10−5%とすることが開示されている。この方法に関しても、Alや、特にNの低減は技術的に困難であり、またNについては、精錬工程での低減が図れても、連続鋳造時などで大気に触れた段階において溶鋼鋳にピックアップされるため、上記の範囲内の含有量レベルを常時確保することは非常に困難であり、不安定な方法といわざるを得ない。
【0015】
さらに、特許文献8には、連続鋳造時の二次冷却条件を規定することに加え、溶鋼過熱温度を30℃以下とする方法が開示されている。同号公報では、溶鋼過熱温度(以下「△T」という)を低下させることにより、鋳片表層の柱状γ粒の成長が抑制され、チル状の微細γ粒が生成することにより、高温延性が向上すること、および、鋳造可能な限り、△Tは低い方が割れ感受性低減効果が得られることが記載されている。
【0016】
しかしながら、粒界割れおよび気泡性欠陥のいずれも発生しない最適な△Tの条件および鋳造条件については開示されていない。また、上記の従来技術においても、鋳片内部における介在物欠陥の原因となる鋼中酸化物に関しては記載されていない。
【0017】
【特許文献1】
特開平8−10919号公報(特許請求の範囲、〔0007〕)
【特許文献2】
特開平8−33964号公報(特許請求の範囲、〔0012〕)
【特許文献3】
特許第2833442号公報(特許請求の範囲、〔0014〕〜〔0016〕)
【特許文献4】
特許第2966309号公報(特許請求の範囲、〔0011〕)
【特許文献5】
特許第3025631号公報(特許請求の範囲、〔0013〕)
【特許文献6】
特許第3186614号公報(特許請求の範囲、〔0018〕)
【特許文献7】
特開平10−156496号公報(特許請求の範囲、〔0011〕)
【特許文献8】
特許第3039369号公報(特許請求の範囲、〔0013〕〜〔0015〕)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、特許第3039369号公報に記載されたNi含有低温用鋼の製造方法を用いて、以下に示す条件にて連続鋳造試験を行った。
【0019】
表1に示す化学組成を有する鋼番号A1の鋼を用い、鋳造条件は下記のとおりとした。
【0020】
【表1】
【0021】
a)連続鋳造機:機長28mの垂直曲げ型連続鋳造機、
b)鋳片サイズ:幅2200mm、厚さ240mm、
c)鋳込み速度:1.0m/min、
d)△T:17℃、
e)二次冷却水量密度:0.015L(リットル)/(cm2・min)。
【0022】
なお、本発明においては、特に断らない限り、上記a)およびb)の条件は、上述と同一とした。
【0023】
上記試験の結果、スラブ表面には、粒界割れに起因する欠陥は発生しなかったが、ピンホールに起因すると考えられる気泡性欠陥が検出された。そこで、本発明者らは、表面割れに効果がある△Tの低下は、COガスや鋳型内Ar気泡の捕捉に起因する気泡性欠陥を誘発する可能性があり、粒界割れおよび気泡性欠陥のいずれも発生しない最適な△Tの範囲およびその他の鋳造条件の規定が必要であると判断した。
【0024】
また、鋳片内部における介在物欠陥の原因となる鋼中酸化物に関しても規定が必要であると考えた。
【0025】
本発明の課題は、前記の問題点を解消し、不純物元素中のPおよびSを極限まで低減することなく、粒界割れに起因した表面欠陥、内部欠陥および気泡性欠陥を防止することができるNi含有鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を達成するため、前記した従来技術の問題点について調査および検討を加え、以下の知見を得た。
【0027】
a)Ni含有鋼の粒界割れを防止するためには、P、S、AlおよびN含有量の他に、B含有量の低減が有効である。
b)精錬過程における鋼中S含有量の低減の他に、連続鋳造用鋳型内フラックス中のS含有量を低減することにより、鋼中のSのピックアップが抑制され、粒界割れを抑制できる。
c)△T、および鋳型内溶鋼へのArガス吹き込み量を適正化することにより、粒界割れおよび気泡性欠陥の発生を抑制し、鋼中全酸素含有量(以下「T.O」という)を低減することにより、介在物由来の欠陥を低減するのが効果的である。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記に示す方法にある。
【0028】
(1)Niを5〜10質量%の範囲で含有する鋼の連続鋳造方法であって、鋼に混入するP、S、Al、NおよびBの含有量をそれぞれ質量%で、P:0.0050%以下、S:0.0020%以下、Al:0.040%以下、N:0.0040%以下およびB:0.0010%以下とし、残部が実質的にFeからなる鋼を用いて、鋳造するNi含有鋼の連続鋳造方法(以下「第1の方法」という)。
【0029】
(2)前記(1)に記載のNi含有鋼の連続鋳造方法において、鋼中のT.O含有量を質量%で0.0020%以下とすることが好ましい(以下「第2の方法」という)。
【0030】
(3)前記(1)または(2)のいずれかに記載のNi含有鋼の連続鋳造方法において、フラックス中のS含有量が0.1質量%以下の鋳型内フラックスを使用することが好ましい(以下「第3の方法」という)。
(4)前記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のNi含有鋼の連続鋳造方法において、鋳型内に供給する溶鋼の過熱温度を10〜40℃の範囲とすることが好ましい(以下「第4の方法」という)。
【0031】
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)のいずれかに記載のNi含有鋼の連続鋳造方法において、鋳型内溶鋼へのAr吹き込み量を0.5〜10L(リットル)/minの範囲とすることが好ましい(以下「第5の方法」という)。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明における限定理由について説明する。
【0033】
(1)第1の方法
まず、第1の方法における鋼成分元素の限定理由について説明する。
【0034】
粒界に偏析する不純物元素に関して独自の調査を行い、Ni含有鋼の粒界割れに対して影響を及ぼす元素を見出した。
【0035】
元素P、S、Al、Nは、従来より当該鋼の粒界割れに影響を及ぼす元素であるとされているが、本発明者らは、Bに着目した。Bは、鋼中では一般に窒化物(BN)として析出し、鋼製品特性の面では、大入熱溶接部の靭性向上に有効である。ただし、母材の靭性が悪化するため、一般的には0.0030%以下が望ましいとされている。
【0036】
B窒化物は、1000〜1100℃の範囲内で析出を開始するため、連続鋳造機の機内では、約半分の領域から全部の領域にわたって析出する可能性が高い。特に、Niを5〜10質量%含有する鋼においては、γ単相凝固のため、γ粒にB窒化物が析出する。よって連続鋳造機内において歪の作用する曲げ部や矯正帯においては、すでに粒界に析出していると推察される。
【0037】
そこで、本発明者らは、鋼の粒界割れに及ぼすB含有量の影響につき調査を行った。表2に、連続鋳造試験に使用した鋼の化学成分組成を示す。試験における二次冷却の比水量は、0.55L/(kg−steel)とした。
【0038】
【表2】
【0039】
鋳造試験後の鋳片は、熱応力による割れを防止するために、徐冷した後、表面を研削し、割れの発生状況を調査した。割れの発生状況の評価は、全く割れが発生しなかった場合を「0」とし、全面に深い割れが発生し、手入れが不可能な場合を「5」として、6段階の割れコード指数を用いて行った。
【0040】
図1は、鋼の粒界割れに及ぼすP、SおよびB含有量の影響を示す図である。この試験においては、AlおよびN含有量は、それぞれ0.008〜0.017%、0.0023〜0.0037%の範囲内となるように製錬工程で投入合金量の調整を行って溶製した。同図の結果より、PおよびSの含有量をそれぞれ0.0050%以下および0.0020%以下とした上で、B含有量を0.0010%以下とすることにより、粒界割れの発生が見られないことが判明した。
【0041】
PおよびSの含有量を低減することにより、割れの発生を低減できることは知られており、図1の結果からも、その傾向は明らかであるが、さらに、B含有量を低減することにより、割れ疵を一層低減できることが判明した。これは、PおよびSの含有量を低減しても、B含有量を低減しなければ、粒界偏析元素の絶対量を減少させることは困難であり、したがって、不純物PおよびS含有量の極端に低い過度な高純度化が要求されることを意味する。つまり、図1の結果から、PおよびS含有量を過度に低減させなくとも、B含有量を0.0010%以下にすることにより、割れ疵の皆無化が図れることが明らかとなった。
【0042】
次に、鋼の粒界割れに及ぼすAlおよびNの影響について説明する。
【0043】
図2は、鋼の粒界割れに及ぼすAlおよびN含有量の影響を示す図である。この試験においては、P、SおよびB含有量は、それぞれ0.0045〜0.0050%、0.0016〜0.0020%、および0.0010%以下となるように成分調整を行って溶製した。なお、P、S、B、AlおよびNを除くその他の元素の含有量は、表2に記載された値と同一範囲とした。また、冷却の比水量は、0.55L/(kg−steel)とした。
その結果、P、SおよびB含有量をそれぞれ0.0050%以下、0.0020%以下、および0.0010%以下の範囲内とした上で、Al:0.040%以下およびN:0.0040%以下とすれば、粒界割れの発生が見られないことが判明した。Al、Nに関しても、従来より、その含有量を低減することにより、割れの発生を低減できることは知られていたが、従来の方法においては、Al、および特にN含有量を必要以上に低減する必要性があった。一方、本発明法では、従来法のように高純度化を図らずとも、P、S、Al、NおよびB含有量をいずれも上記の範囲まで下げることにより、疵防止効果が得られる。
【0044】
一般の精錬技術によっても、鋼成分組成を本発明法に規定されるAlおよびN含有量の範囲に制御することは可能であり、したがって、溶製も非常に容易となる。ただし、さらに、P、S、Al、NおよびB含有量の低減が図れれば、表面割れおよび表皮下内部割れに対して一層の抑制効果が期待できることはいうまでもない。
【0045】
(2)第2の方法
T.O含有量は、Al2O3 などの酸化物を含む鋼中酸素量の総和を表す。鋼中で、酸素が溶存酸素として単独で存在していることは少なく、最も親和性の高い元素と結合しているため、T.O含有量は、鋼中における介在物含有量の指標となる。
【0046】
一般鋼においても、鋼中介在物が少ない方が品質上問題の少ないことはいうまでもないが、いわゆる9%Ni鋼においては、LNG用タンクに用いられることもあり、わずかな欠陥であっても製品にとって深刻な問題となることから、一般に高感度の超音波探傷による内部品質の検査を行って、その品質を確保している。
【0047】
そこで、板内部欠陥に及ぼすT.O含有量の影響を調査した。超音波探傷は、鋳造後のスラブを製品板厚まで圧延した後、板全面に対してJIS G 0801に規定された方法により+12dbの探傷感度で実施した。また、鋼中のT.O含有量は、精錬工程中のRH真空脱ガス精錬における環流時間を変化させて、介在物の浮上および滓への吸着を施しつつ調整を行った。T.O含有量の測定は、製品から分析用サンプルを採取し、燃焼法を用いて行った。
【0048】
図3は、鋼中のT.O含有量と超音波探傷による板内部欠陥個数との関係を示す図である。同図の結果から、T.O含有量を0.0020%以下とすることにより、超音波探傷欠陥の無い製品を得ることができることが判明した。
【0049】
図7は、欠陥の発生した製品におけるミクロ組織写真を示す図である。また、欠陥部位に観察された介在物の組成をエネルギー分散型X線回折(EDX)により分析した結果、介在物は高純度のAl2O3 であった。この結果から、T.O含有量を0.0020%以下に低減することにより、Al2O3 などの酸化物系介在物の生成を抑制でき、一層好ましいことが明らかとなった。
【0050】
ここで、鋼鋳片の化学成分組成を限定した理由、および好ましいとした理由をまとめて説明する
Ni:5〜10%:
Ni含有量が5〜10%の鋼は、γ単相凝固のため、不純物元素が粒界に偏析しやすく、その際に割れ感受性が高まるため、P、S、Al、NおよびB含有量を低減することによる割れ防止効果が大きい。Ni含有量が5%未満では、γ単相凝固ではなくなるため、割れ感受性が高くはなく、割れ防止の必要性が小さい。また、Ni含有量が10%を超える鋼は一般的でない。
上記の理由により、Ni含有量の範囲を5〜10%とする。
P:0.0050%以下:
Pは、Sと同様に、粒界に偏析しやすく、粒界割れ感受性を高める元素であるため、その含有量は少ないほど良い。前記の試験結果に基づき、その含有量を0.0050%以下とする。
S:0.0020%以下:
Sは、Pと同様に、粒界に偏析しやすく、粒界割れ感受性を高める元素であるため、その含有量は少ないほど良い。前記の試験結果に基づき、その含有量を0.0020%以下とする。
【0051】
B:0.0010%以下:
Bは、本発明において、最も重要な役割を有する元素である。前記のとおり、PおよびS含有量を上記の程度に低減した上で、B含有量を0.0010%以下に低減することにより、粒界割れを極めて効果的に抑制できることから、その含有量を0.0010%以下とする。好ましくは、0.0005%以下である。
【0052】
Al:0.040%以下:
Alは、Nと同様に、その含有量を低減することにより、粒界割れを抑制する効果を有する。P、SおよびB含有量を上記のように低減した上で、Al含有量を0.040%以下とすることにより、粒界割れを抑制できることから、その含有量を0.040%以下とする。好ましくは、0.025%以下である。
【0053】
N:0.0040%以下:
Nは、Alと同様に、その含有量を低減することにより、粒界割れを抑制する効果を有する。P、SおよびB含有量を上記のように低減した上で、N含有量を0.0040%以下とすることにより、粒界割れを抑制できることから、その含有量を0.0040%以下とする。好ましくは、0.0030%以下である。
T.O:0.0020%以下
鋼中酸素量の総和を表すT.O含有量の低減は、鋼中の非金属介在物量を低減させ、超音波探傷欠陥の発生を抑制する効果を有する。その好ましい範囲は、0.0020%以下である。さらに好ましい範囲は0.0016%以下である。
【0054】
(3)第3の方法
9%Ni鋼が特に極低硫化を要求される理由については、前記したとおりである。そこで、溶製工程におけるSピックアップの原因を特定するための調査を行った。その結果、製品から採取したサンプル中のS含有量は、鋳込工程において、タンディッシュ(樋)内の溶鋼から採取したサンプル中のS含有量よりも約0.0005%程度上昇していることが判明した。
【0055】
これに基づき、本発明者らは、鋳型内フラックス中のS含有量に着目し、鋳型内フラックス中のS含有量と鋼中Sピックアップとの関係について調査した。
【0056】
図4は、鋳型内フラックス中のS含有量と鋼中のSピックアップ量との関係を示す図である。同図の結果より、フラックス中のS含有量が増加すると、鋼中のS含有量も上昇しており、これは、フラックスが溶融してガラス層を形成した際に、鋼との界面において、鋼中にフラックス中のSが溶出しているためと推察される。
【0057】
この現象は、Ni含有鋼のみならず、その他の鋼に関しても見られることが確認された。しかし、特に、Niを5〜10%程度含有する鋼においては、前述のとおり、γ相単相凝固であること、また、Sなどの不純物元素はγ相の結晶粒界に濃化し、これが表面割れおよび表皮下割れに直結することから、Niを5〜10%程度含有する鋼に対して本方法を用いることは非常に有効である。
【0058】
また、鋳片表層部から鋳片内部に向かっての厚み方向のS含有量の濃度分布に関しては、表皮および表皮直下から20mm程度までにおいて、最もS含有量の上昇がみられると推察される。その理由は、フラックスから鋼中へのSの移動は、鋳型内での両者の接触面における界面での反応であり、反応直後に鋳片表層部は凝固が完了し、Sの移動が阻止されるからである。
【0059】
図4の結果から、鋼中のS含有量の上昇を安定して0.0002%以内に抑制するためには、鋳型内フラックス中のS含有量を0.1質量%以下にすればよいことが判明した。さらに、鋼中のS含有量の上昇を0.0001%以内に抑制するためには、鋳型内フラックス中のS含有量を0.05%以下にすることが望ましい。
【0060】
(4)第4の方法
溶鋼の過熱温度(△T)とは、(溶鋼の実温度−溶鋼の化学成分組成により定まる液相線温度)の値をいい、本方法においては、溶鋼の実温度として、タンディッシュ内の溶鋼温度を用いた。
【0061】
△Tの低下により、鋳片表層部のγ粒は細粒化され、高温延性が向上するが、同時に、鋳型内フラックス中のCと反応して生成したCOガスや鋳型内に吹き込まれたArガス気泡が鋼中に捕捉されやすくなり、したがって、気泡性欠陥が発生する可能性が高まる。
【0062】
そこで、表3に示される化学組成を有する9%Ni鋼を溶製し、鋳型内フラックスを使用しながら連続鋳造した後、得られた鋳片の表面から厚さ方向に5mmの鋳片表層部位置のγ粒径および欠陥発生の有無と△Tとの関係について調査を行った。なお、連続鋳造後の鋳片には二次冷却を施し、その比水量は、0.55L/(kg−steel)とした。
【0063】
【表3】
【0064】
図5は、△Tと、鋳片表層部におけるγ粒径および欠陥発生有無との関係を示す図である。同図の結果によれば、△Tの値が40℃を超えると、γ粒径が約2mm以上と粗大になり、表層粒界割れが発生し始める。一方、△Tが10℃を下回るとγ粒は微細となるが、表皮下40〜50mmの位置に気泡性欠陥の発生が確認された。
【0065】
図8は、上記の鋳片を鏡面加工した横断面における気泡欠陥の外観写真を示す図である。
【0066】
以上の調査結果から、△Tの値を10〜40℃とすることが、表面欠陥の発生のない品質良好な鋳片を得る上で望ましいことが判明した。
(5)第5の方法
鋳型内溶鋼へのArガス吹き込みにより生成するAr気泡は、気泡性欠陥の主要因となる。△Tの値が低いと、鋳型内メニスカス近傍で溶鋼が凝固する皮張りが発生し、吹き込まれたArガス気泡が溶鋼中に捕捉され、表皮下に止まるか、あるいは皮張りと共に溶鋼中に沈降して内部に気泡性欠陥を発生させる。鋳型内吹き込みArの流量が多い場合には、一般炭素鋼においても、ピンホールやブローホールと呼ばれる鋳片表層部あるいは表皮下欠陥に繋がる。
【0067】
そこで、Niを5〜10質量%程度含有する鋼における気泡性欠陥の発生に及ぼす鋳型内Ar吹き込み量の影響につき調査した。供試材は、前述の表1に示される成分組成を有する9%Ni鋼とし、鋳型内Ar吹き込み量をパラメータとして、鋳片表層近傍の欠陥の有無および欠陥の程度について調査を行った。なお、△Tの値は、前記第4の方法で述べた望ましい範囲である10〜40℃とした。
【0068】
図6は、気泡性欠陥に及ぼす鋳型内Arガス吹き込み量と溶鋼の過熱温度との関係を示す図である。ここで、欠陥の程度については、表4で定義されるコードに従って、区分し、整理した。
【0069】
【表4】
【0070】
図6の結果から、鋳型内Ar吹き込み量を10L/min以下とすることにより、気泡性欠陥の発生が防止できることが確認された。また、注目すべき点は、鋳型内Ar吹き込みを行わなくても、また、気泡性欠陥が発生することである。そこで、鋳型内Ar吹き込み量を0〜1L/minの範囲で制御し、気泡性欠陥への影響を調査したところ、0.5L/min未満では、気泡性欠陥が発生することが確認された。したがって、気泡性欠陥の発生を防止するためには、鋳型内Ar吹き込み量を0.5〜10L/minとすることが好ましい。
【0071】
この理由は、以下のように推察される。すなわち、鋳型内にArを吹き込むと、その気泡が、浸漬ノズルからの吐出流により、鋳型内部へ誘導され、メニスカス温度の上昇を誘引する。しかし、これとは逆に、Ar吹き込み量が極度に減少し、0L/min近傍にまで低下すると、メニスカス温度は低下し、これが、気泡の逸脱を阻害して気泡性欠陥の発生原因につながっていると推察される。
【0072】
【実施例】
前記の実製造ラインの垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、Ni含有鋼の連続鋳造試験を行い、得られた鋳片につき、表面割れ、気泡性欠陥、および内部欠陥の発生状況を調査した。なお、鋳込み速度は、1.0m/minとし、二次冷却の比水量は、0.55L/(kg−steel)とした。
【0073】
鋼の成分組成、鋳造条件、および鋳片の欠陥の有無状況を、それぞれまとめて表5および表6に示す。ここで、鋳造条件としては、パウダー中のS含有量、溶鋼の過熱温度および鋳型内Arガス吹き込み量を示した。
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
また、表面欠陥および内部欠陥の有無とその程度は、それぞれ、表6および表7に示すとおりの基準により、4段階に区分して評価した。
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
鋼番号E1〜E3を用いた試験番号1〜3、鋼番号E5〜E14を用いた試験番号5〜14、鋼番号E19を用いた試験番号19、および鋼番号E20を用いた試験番号20は、それぞれ本発明例である。また、表中に*印を付した鋼番号E4を用いた試験番号4、および鋼番号E15〜E18を用いた試験番号15〜18は、それぞれ比較例である。
【0080】
試験番号3は、鋼成分のP、S、B、Al、NおよびNi含有量が全て本発明で規定する範囲を満足しており、表面および内部に一部不良はあるものの、鋳片は十分に使用可能であった。
【0081】
試験番号3の条件に加えて鋼成分中のT.O含有量が好ましい範囲にある試験番号6、パウダー中S含有量が好ましい範囲にある試験番号8、過熱温度が好ましい範囲にある試験番号10、および鋳型内Ar吹き込み量が好ましい範囲にある試験番号12は、いずれも表面および内部に一部不良はあるものの、鋳片は十分に使用可能であった。
【0082】
鋼成分中のT.O含有量が好ましい範囲よりも高めであるが、パウダー中S含有量、過熱温度、およびAr吹き込み量がいずれも好ましい範囲内にある試験番号5、パウダー中S含有量が好ましい範囲よりも高めであるが、T.O含有量、過熱温度、およびAr吹き込み量がいずれも好ましい範囲内にある試験番号7、過熱温度が好ましい範囲よりも低めであるが、T.O含有量、パウダー中S含有量、およびAr吹き込み量がいずれも好ましい範囲内にある試験番号9、Ar吹き込み量が好ましい範囲外(吹き込みなし)であるが、T.O含有量、パウダー中S含有量、および過熱温度がいずれも好ましい範囲内にある試験番号11、Ar吹き込み量が好ましい範囲よりも高めであるが、T.O含有量、パウダー中S含有量、および過熱温度がいずれも好ましい範囲内にある試験番号13、ならびに過熱温度が好ましい範囲よりも高めであるが、T.O含有量、パウダー中S含有量、およびAr吹き込み量がいずれも好ましい範囲内にある試験番号14は、いずれも極軽微な欠陥があるのみで、鋳片は良好であった。
【0083】
特に、試験番号1、2、19および20は、上記のすべての条件が好ましい範囲内にあることから、表面および内部ともに欠陥は皆無で、最も良好な鋳片であった。
これに対して、試験番号4は、鋼成分のB含有量が高く、試験番号15、16、17および18は、それぞれ鋼成分のP、S、AlおよびN含有量が高いことから、いずれも表面および表面直下に重度の粒界割れが発生し、手入れによる修復ができず、鋳片は使用不可能であった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、Niを5〜10質量%含有する鋼の連続鋳造において、粒界割れに起因する表面欠陥、内部欠陥、および気泡性欠陥を防止することができ、鋳片品質および歩留まりの向上を達成することが可能となる。また、本発明の方法によれば、従来のような鋼の過度な高純度化や、精錬工程での困難さを緩和することができるため、実用上の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼の粒界割れに及ぼすP、SおよびB含有量の影響を示す図である。
【図2】鋼の粒界割れに及ぼすAlおよびN含有量の影響を示す図である。
【図3】鋼中のT.O含有量と超音波探傷による板内部欠陥個数との関係を示す図である。
【図4】モールドフラックス中のS含有量と鋼中のSピックアップ量との関係を示す図である。
【図5】溶鋼の過熱温度と鋳片表層部におけるγ粒径および欠陥発生有無との関係を示す図である。
【図6】気泡性欠陥に及ぼす鋳型内Arガス吹き込み量と溶鋼の過熱温度との関係を示す図である。
【図7】超音波探傷による板内部欠陥のミクロ写真を示す図である。
【図8】鋳片を鏡面加工した横断面における気泡欠陥の外観写真を示す図である。
Claims (5)
- Niを5〜10質量%の範囲で含有する鋼の連続鋳造方法であって、鋼に混入するP、S、Al、NおよびBの含有量をそれぞれ質量%で、P:0.0050%以下、S:0.0020%以下、Al:0.040%以下、N:0.0040%以下およびB:0.0010%以下とし、残部が実質的にFeからなる鋼を用いて、鋳造することを特徴とするNi含有鋼の連続鋳造方法。
- 鋼中の全酸素含有量を質量%で0.0020%以下とすることを特徴とする請求項1に記載のNi含有鋼の連続鋳造方法。
- フラックス中のS含有量が0.1質量%以下の鋳型内フラックスを使用することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のNi含有鋼の連続鋳造方法。
- 鋳型内に供給する溶鋼の過熱温度を10〜40℃の範囲とすることを特徴とする請求項1、2または3のいずれかに記載のNi含有鋼の連続鋳造方法。
- 鋳型内溶鋼へのAr吹き込み量を0.5〜10L(リットル)/minの範囲とすることを特徴とする請求項1、2、3または4のいずれかに記載のNi含有鋼の連続鋳造方法。
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JP2008285741A (ja) * | 2007-05-21 | 2008-11-27 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
JP2013213273A (ja) * | 2012-03-09 | 2013-10-17 | Kobe Steel Ltd | 極低温靭性に優れた厚鋼板 |
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-
2003
- 2003-01-07 JP JP2003001592A patent/JP2004211184A/ja active Pending
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