JP6341053B2 - 複合非金属介在物を含有する高Siオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
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[C:0.04%以下]
Cは、鋼の強度を高める元素ではあるが、溶接部の熱影響部において粒界にCr炭化物を形成させ、鋭敏化(粒界腐食の感受性増大)の原因となるなど、耐食性を劣化させる元素である。したがって、C含有量は0.04%以下とする。C含有量は、好ましくは0.03%以下であり、さらに好ましくは0.02%以下である。
Siは、濃硝酸中での耐食性を高めるために2.5%以上7%以下含有させる。硝酸中での耐食性を確保するシリケート皮膜を形成するために、Si含有量は2.5%以上とする。一方、Siを過剰に含有させるとステンレス鋼のゼロ延性温度が低下し、熱間圧延を困難にして操業阻害を生じるとともに、コストアップになるだけでなく、溶接性の低下も招く。したがって、Si含有量の上限は7%とする。Si含有量の下限は、好ましくは2.7%であり、さらに好ましくは2.8%である。また、Si含有量の上限は、好ましくは6.8%であり、さらに好ましくは6.6%である。
Mnは、オーステナイト相安定化元素であり、脱酸剤としても作用するので、10%以下の量で含有させる。Mn含有量が10%を超えると耐食性の低下、溶接時の高温割れ、さらには加工性の低下を招く。したがって、Mn含有量の上限は10%とする。Mn含有量は、5%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。Mnの上記の効果を確実に得るためには、Mn含有量は、0.5%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがさらに好ましい。
P,Sともに、耐食性、溶接性、Sについては、特に熱間加工性に有害な元素であり、その含有量は低いほどよく、いずれも0.03%を超えるとその有害性は顕著に現れる。そこで、Pが含有量は0.03%以下、S含有量は0.03%以下とする。
Nは、Nbとの親和力が高く、これらの元素によるCの固定を阻害するので、できるだけ低い方が好ましい。N含有量が0.035%を超えるとその有害性が顕著に現れる。そこで、N含有量は0.035%以下とする。N含有量は、0.020%以下であることが好ましく、0.015%以下であることがさらに好ましい。
Alは、脱酸剤やスラグの還元剤として用いられるが、それ以外に、合金中に含まれているために、合金添加の際に混入する。Alは、溶鋼中の溶存酸素と反応してAl2O3を生成する。それ以外に、溶鋼中のSiO2介在物やスラグ中の酸化物をAlが還元することでもAl2O3が生成する。
Crは、ステンレス鋼の耐食性を確保するための基本元素であり、7〜20%とする。Cr含有量が7%未満では十分な耐食性を得られない。一方、Cr含有量が過剰になると、SiとNbの共存により多量のフェライトが析出した二相組織となって、加工性、耐衝撃性の低下を招くので、Cr含有量の上限は20%とする。Cr含有量の下限は、10%であることが好ましく、15%であることがさらに好ましい。
Niは、オーステナイト相の安定化元素であり、ゼロ延性温度を高める効果もあるので、10〜22%の量で含有させる。Ni含有量が10%未満では、オーステナイト単相とするには不十分である。一方、Niの過剰添加は、コストアップを招くだけであり、22%以下で十分にオーステナイト単相となる。Ni含有量の上限は18%であることが好ましく、14%であることがさらに好ましい。Ni含有量の下限は11%であることが好ましく、12%であることがさらに好ましい。
Nbは、Cを固定して鋭敏化による耐食性の低下を抑制する効果があり、特に溶接熱影響部の鋭敏化抑制にも有効な元素である。さらに、Cを固定してNbCとなった場合、Al2O3と複合化し介在物自身の溶解を抑制する。しかしながら、Nb含有量が0.7%を超えると、加工性、耐食性を劣化させる。したがって、Nbの含有量は0.05%以上0.7%以下とする。
(2−1)B1系介在物
本発明において規定するB1系介在物、C系介在物の量は、いずれも、上述のJIS G 0555に記載の方法にしたがって測定した量である。また、介在物の量(%)はいずれも面積%である。測定は、上記規格に規定された方法に従い、60視野測定して、その平均値を介在物量として算出する。
本発明に係る高Siオーステナイト系ステンレス鋼の場合、化学組成からみて、B1系介在物はほとんどがアルミナ(Al2O3)である。鋼材の表層に露出したAl2O3介在物は、非水溶性であり、硝酸中で耐食性を発揮するシリケート皮膜の生成を阻み、腐食起点となり得る。それ以外にも、溶鋼中のAl2O3系介在物は、ノズル閉塞を引き起こし、鋳込み作業の阻害の原因となる。また、鋳片中に残存した介在物は、圧延により疵となり、見た目に悪いだけでなく、加工中や使用中に割れの起点となるために、疵除去の工程が必要となってくる。したがって、これらを改善するためには、B1系介在物の量を0.03%以下とする。この量は好ましくは0.025%以下である。
本発明では、C系介在物として検出されるSiO2−Al2O3−NbC複合介在物の金属元素中のSi,Nb比を規定することによって、C系介在物中のAl2O3の溶解も抑制する。
本発明に係る高Siオーステナイト系ステンレス鋼の場合、後述する実施例で示すように、C系介在物はその殆どがアルミナ(Al2O3)である。C系介在物として検出されるAl2O3はNbCおよびSiO2などと複合化することにより、介在物中にNbとSiを含む。このC系介在物中のSi、Nbの元素比が0.18at%未満と少ない場合には、98%硝酸中で介在物自身が腐食起点となり、耐食性を劣化させる。
本発明に係る高Siオーステナイト系ステンレス鋼を確実に製造することができる方法を次に説明する。ただし、上記の化学組成および介在物により特定される本発明に係るステンレス鋼を製造することができる限り、他の製造方法を採用することも勿論可能である。
また、Alに比べて酸化性の弱い元素から生成された酸化物の介在物が存在する状態でAlやAlを含有するFe−Si合金を投入した場合、(2)式に示すようにAlがそれを還元してAl2O3が生成する。
高Si鋼の場合、大量にSiを投入することにより溶鋼中にSiO2介在物が大量に生成する。そこへAlやAlを含有するFe−Si合金を投入した場合、(2)式に示すAlによる還元反応が起こり、(3)式に示す反応が起こる。
そこで、高Si鋼では、大量にSiを投入した後、SiO2を鋼中に残存させ、Al量を規定することにより、上記(3)式の反応によるAl2O3介在物の生成を抑える。しかし、この手法でAl2O3介在物の生成をある程度抑えることは可能であるが、求められる耐食性を得るには不十分である。したがって、Al量の制限に加え、Al2O3介在物量も制限する必要があり、そのために介在物浮上分離処理を行うことが必要となる。
その後、精錬工程として、まずAOD(argon oxygen decarburization)炉、次にVOD(vacuumm oxygen decarburization)炉で脱炭処理する。
(Si+Nb)/(Fe+Si+Mn+Cr+Ni+Al+Nb)
以上のようなAl2O3介在物の性状が異なる素材を用いて、高温・高濃度における耐硝酸性を比較した。
耐硝酸性試験はN=2、60℃、98%硝酸水溶液中にて、24時間浸漬し、腐食減量から腐食速度を算出し、その大小を比較した。耐硝酸性試験の結果と併せて、C系介在物中のSi、Nb元素比を表4に示す。また、それらの関係を図3にまとめた。
Claims (1)
- 質量%で、C:0.04%以下、Si:2.5〜7.0%、Mn:10%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、N:0.035%以下、sol.Al:0.03%以下、Cr:7〜20%、Ni:10〜22%、Nb:0.05〜0.7%、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有し、JIS G 0555(2003)付随書1「点算法による非金属介在物の顕微鏡試験方法」に記載された方法により測定したB1系介在物の合計量が0.03面積%以下であるとともに、Al2O3とSi、Nbを含む介在物の複合介在物であるC系介在物を有し、該複合介在物中にNbおよびSiを0.18at%以上含有することを特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼。
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