JP2016045230A - 表示装置用前面板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
反射防止フィルムは前面板に貼付するだけで反射防止性を付与することができる。しかしながら、反射防止フィルムにおいては透明基材および粘着層または接着層が存在するため、光学設計が複雑になる。また、透明基材にはうねりがあるため、平坦性が低下し、表示品位が劣化する。また、反射防止フィルムを貼付する際に異物や気泡の混入等の不具合が生じ、歩留りが低下する。また、透明基材および粘着層または接着層によって、透過率が低下する。
しかしながら、無機膜では低屈折率化が難しく、高屈折率層および低屈折率層を交互に複数積層するのが一般的である。この場合、ドライプロセスにより複数層を積層するため、生産性が低下し、製造コストがかかる。特に、大面積の表示装置に用いられる前面板の場合には設備が大掛かりになりコストが増大する。また、ドライプロセスの場合には、反射防止層の厚みの面内分布にばらつきが生じ、反射防止性の均一性が損なわれる。
しかしながら、先に加飾層を形成すると、その後に反射防止層を形成するまでの間に加飾層が損傷するおそれがある。加飾層が傷つくと、意匠性が劣ってしまう。
また、先に反射防止層を形成すると、その後に加飾層を形成するまでの間に反射防止層が損傷するおそれがある。特に、加飾層は非表示領域に形成されるため、位置合わせが必要であり、搬送時だけでなく位置合わせ時に反射防止層が傷つくおそれがある。また、加飾層形成時の加熱や紫外線照射等により、反射防止層の厚みが変化して厚みムラが生じ、干渉ムラが生じるおそれがある。この場合、目的とする反射防止特性が得られなくなる。さらに、加飾層形成時の反射防止層の厚み変化を想定して光学設計を行うことも考えられるが、そのような光学設計は極めて煩雑になる。
本発明の表示装置用前面板は、保護層の態様により2つの実施態様を有する。以下、各実施態様について説明する。
本実施態様の表示装置用前面板は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板の一方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有する加飾層と、上記加飾層上のみに形成された保護層と、上記強化ガラス基板の他方の面に直に形成され、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層とを有することを特徴とするものである。
図1は、本実施態様の表示装置用前面板の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、表示装置用前面板1は、強化ガラス基板2と、強化ガラス基板2の一方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有する加飾層3と、加飾層3上のみに形成された保護層4と、強化ガラス基板2の他方の面に直に形成された反射防止層5とを有している。反射防止層5は、強化ガラス基板2上に形成された高屈折率層6と、高屈折率層6上に形成された低屈折率層7とを有しており、高屈折率層6および低屈折率層7はいずれも有機層である。
本実施態様における保護層は、加飾層上のみに形成されるものである。
ここで、「保護層が加飾層上に直に形成されている」とは、保護層と加飾層とが直に接しており、保護層と加飾層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等が形成されていないことをいう。
なお、保護層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における加飾層は、強化ガラス基板の一方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有するものである。
黒色顔料としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。
例えばフォトリソグラフィ法により加飾層を形成する場合、バインダー樹脂としては、感光性樹脂が用いられる。感光性樹脂としては、一般的なものを用いることができ、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム等の反応性ビニル基等の光反応性基を有する感光性樹脂が挙げられる。感光性樹脂は1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えばベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体等のメタクリル酸エステル共重合体、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシアクリレート等のカルド樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
多官能アクリレート系モノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかであることを意味する。
光重合開始剤としては、例えばアルキルフェノン系、オキシムエステル系、トリアジン系、チタネート系等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
感光性樹脂組成物は、上記の他、光増感剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、レベリング剤等の公知の各種添加剤を含むことができる。
また、加飾層には、カラーフィルタの着色層に用いられるカラーレジストを用いることもできる。
なお、加飾層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における反射防止層は、強化ガラス基板の他方の面に直に形成され、1層以上の有機層を有し、有機層のみを有するものである。
本実施態様における低屈折率層は、有機層であり、高屈折率層および中屈折率層よりも屈折率が低いものである。
バインダー樹脂は、フッ素を含有するフッ素系樹脂であってもよい。低屈折率層に防汚性を付与することができるからである。また、屈折率を低くすることができる。また、フッ素系樹脂は、ケイ素を含有していてもよい。
また、低屈折率層は、防汚剤を含有していてもよい。防汚剤としては、フッ素系化合物またはケイ素系化合物等を用いることができる。具体的に、防汚剤としては、特開2012−150226号公報等に記載されているものを挙げることができる。
表面処理された低屈折率微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報、特開2008−9348号公報に記載されているものを挙げることができる。
ここで、低屈折率微粒子の平均粒径は、低屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
なお、低屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における高屈折率層は、有機層であり、低屈折率層および中屈折率層よりも屈折率が高いものである。
このような高屈折率微粒子としては、例えば金属酸化物微粒子を挙げることができ、具体的には酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb2O5、屈折率:2.04)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、ガリウム亜鉛酸化物(屈折率:1.90〜2.00)、β−Al2O5(屈折率:1.63〜1.76)、γ−Al2O5(屈折率:1.63〜1.76)、BaTiO3(屈折率:2.4)、酸化チタン(TiO2、屈折率:2.71)、酸化セリウム(CeO2、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO2、屈折率:2.00、)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb2O6、屈折率:1.9〜2.0)等が挙げられる。
表面処理された高屈折率微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報に記載されているものを挙げることができる。
ここで、高屈折率微粒子の平均粒径は、高屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
なお、高屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における中屈折率層は、有機層であり、高屈折率層よりも屈折率が低く、低屈折率層よりも屈折率が高いものである。
なお、中屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様におけるアンカー層は、有機層であり、強化ガラス基板上に直に形成されるものである。アンカー層が形成されていることにより、強化ガラス基板に対する反射防止層の密着性を高めることができる。
例えば、アクリル樹脂等が挙げられ、具体的には、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレート等が挙げられる。
ここで、フィラーの平均粒径は、アンカー層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
なお、アンカー層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様に用いられる強化ガラス基板は、反射防止層、加飾層および保護層を支持するものである。
圧縮応力層の厚みは特に限定されることはなく、要求特性に応じて適宜設定される。例えば、ガラスにある程度の強度を付与しながら、ガラスの切断性および生産性も確保される必要がある場合、圧縮応力層の厚みは約5μm〜10μmの範囲内に設定される。また、ガラスにさらに高い強度を付与することが求められる場合、圧縮応力層の厚みは、約10μm〜35μmの範囲内に設定されてもよく、35μm以上に設定されてもよい。圧縮応力層の厚みが約10μm〜35μmの範囲内である場合は、ガラスはある程度の切断性を有している。一方、圧縮応力層の厚みが35μm以上である場合は、仮にダイヤモンドカッター等の高性能の切断手段が用いられる場合であっても、ガラスを切断することが困難になる。そのため、圧縮応力層の厚みを35μm以上にすることが求められる場合、所望の形状に切り出された後のガラスにイオン交換処理を施すことにより、ガラスの表面に圧縮応力層が形成されることが好ましい。
このように表面に圧縮応力層が形成されたガラスの例としては、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、旭硝子社のDragontrail(ドラゴントレイル)等が挙げられる。
本実施態様の表示装置用前面板は、図3(a)、(b)に例示するような多面付け前面板であってもよい。なお、図3(a)は反射防止層5側から見た概略平面図、図4(b)は保護層4側から見た概略平面図である。反射防止層、加飾層および保護層はウェットプロセスにより形成可能であることから、大面積であっても安価かつ容易に均一な層を形成することができるので、多面付けが容易である。多面付け前面板の大きさは、特に限定されるものではないが、例えば2200mm×2500mmまでの大きさであれば適用可能である。一方、従来のように前面板に反射防止フィルムを貼り合わせる場合には、上記のような大型の基板には適用が困難である。
本実施態様の表示装置用前面板は、後述の表示装置用前面板の製造方法により製造されたものであることが好ましい。すなわち、まず強化ガラス基板の一方の面に加飾層および保護層を形成し、次に強化ガラス基板の他方の面に反射防止層を形成することが好ましい。本実施態様においては、加飾層上に保護層が形成されているため、上記の方法において、加飾層を形成してから反射防止層を形成するまでの間、例えば搬送時時に加飾層が傷つくのを抑制することができる。
本実施態様の表示装置用前面板は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板の一方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有する加飾層と、上記加飾層および上記強化ガラス基板上に形成された保護層と、上記強化ガラス基板の他方の面に直に形成され、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層とを有し、前記保護層の耐スチールウール試験により判定される耐スチールウール性が荷重400gで傷なしであることを特徴とするものである。
図2は、本実施態様の表示装置用前面板の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、表示装置用前面板1は、強化ガラス基板2と、強化ガラス基板2の一方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有する加飾層3と、加飾層3および強化ガラス基板2上に形成された保護層4と、強化ガラス基板2の他方の面に直に形成された反射防止層5とを有している。反射防止層5は、強化ガラス基板2上に形成された高屈折率層6と、高屈折率層6上に形成された低屈折率層7とを有しており、高屈折率層6および低屈折率層7はいずれも有機層である。
本実施態様における保護層は、加飾層および強化ガラス基板上に形成されるものである。
ここで、耐スチールウール試験は、保護層の表面を#0000番のスチールウールを用いて、所定の荷重で10往復擦り、目視で傷の有無を評価する試験である。
保護層の屈折率としては、所望の反射防止性を有する表示装置用前面板を得ることができればよいが、中でも強化ガラス基板の屈折率との差が小さいことが好ましく、具体的には強化ガラス基板の屈折率との差が0.02以内、特に0.01以内であることが好ましい。例えば、強化ガラス基板の屈折率が1.51である場合、保護層の屈折率は1.49〜1.53の範囲内であることが好ましく、中でも1.50〜1.52の範囲内であることが好ましい。保護層および強化ガラス基板の屈折率がほぼ同等であれば、光学設計に寄与しないからである。
無機系フィラーとしては、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫等の微粒子や、ガラスビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。
また、有機系フィラーとしては、例えば樹脂ビーズを用いることができ、具体的にはアクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ、シリコーンゴムビーズ、ポリカーボネートビーズ等が挙げられる。
ここで、フィラーの平均粒径は、アンカー層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
硬化性樹脂組成物に用いられるモノマーとしては、例えば、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、および、これらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、ならびにメタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。市販のモノマーを用いることもでき、例えば、SR399(サートマー社製)、アロニックスM−400(東亞合成株式会社製)、およびアロニックスM−450(東亞合成株式会社製)が好ましい。
硬化性樹脂組成物中のモノマーの含有量は、固形分の合計質量に対して5質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
硬化性樹脂組成物中のポリマーの含有量は、固形分の合計質量に対して5質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
硬化性樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、固形分の合計質量に対して1質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
また、保護フィルムは剥離可能なものであってもよい。表示装置用前面板の作製後に保護フィルムを剥離して除去することができる。この場合、保護層の光学設計は不要となる。
保護フィルムに用いられる基材としては、例えば透明性および可撓性を有するものを用いることができ、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂等を挙げることができる。また、基材には、粘着層との密着性を高めるために、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理や下塗り剤(プライマー剤)の塗布等を行ってもよい。
基材の厚みとしては、加飾層を保護することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば12μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも16μm〜50μmの範囲内、特に25μm〜38μmの範囲内であることが好ましい。基材の厚みが厚すぎると、保護フィルムを加飾層および強化ガラス基板上に密着性良く貼り合わせることが困難となる場合がある。また、基材の厚みが薄すぎると、加飾層を十分に保護することが困難となる場合がある。
また、粘着層は、必要に応じて架橋剤を含有していてもよい。粘着層が架橋剤を含有する場合、粘着層は、粘着剤を架橋剤で架橋してなるものである。架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤およびイソシアネート系架橋剤等を挙げることができる。具体的には、特開2009−102458号公報に記載されているものを用いることができる。
また、粘着層は、必要に応じて、金属キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光重合開始剤等を含有していてもよい。
粘着層の厚みとしては、例えば3μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも4μm〜100μmの範囲内、特に5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
なお、保護層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明の表示装置用前面板の製造方法は、保護層の態様により2つの実施態様を有する。以下、各実施態様について説明する。
本実施態様の表示装置用前面板の製造方法は、強化ガラス基板の一方の面に、有機材料を含有する加飾層をパターン状に形成する加飾層形成工程と、上記加飾層上のみに保護層を形成する保護層形成工程と、上記保護層形成工程後、上記強化ガラス基板の他方の面に直に、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程とを有することを特徴とする方法である。
図5(a)〜(d)は本実施態様の表示装置用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図5(a)に示すように、強化ガラス基板2の一方の面に、フォトリソグラフィ法により有機材料を含有する加飾層3をパターン状に形成する。続いて、図5(b)に示すように、加飾層3上のみに、フォトリソグラフィ法により保護層4をパターン状に形成する。次に、強化ガラス基板2の上下を反転させて、図5(c)に示すように、強化ガラス基板2の他方の面に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて高屈折率層6を形成する。続いて、図5(d)に示すように、高屈折率層6上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて低屈折率層7を形成する。これにより、強化ガラス基板2の他方の面に直に、高屈折率層6および低屈折率層7が積層された反射防止層5を形成する。高屈折率層6および低屈折率層7はいずれも有機層である。
本実施態様における加飾層形成工程は、強化ガラス基板の一方の面に、有機材料を含有する加飾層をパターン状に形成する工程である。
フォトリソグラフィ法の場合、塗布方法としては、例えばダイコート法、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ビードコート法等の公知の方法を用いることができる。
基材としては、例えば離型フィルムを用いることができる。また、接着層としては、例えばOCAと称される光学用透明接着剤を用いることができる。
本実施態様における保護層形成工程は、上記加飾層上のみに保護層を形成する工程である。
保護層用樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
本実施態様における反射防止層形成工程は、強化ガラス基板の他方の面に直に、1層以上の有機層を有し、有機層のみを有する反射防止層を形成する工程である。
以下、反射防止層形成工程における各工程について説明する。
低屈折率層の形成方法としては、例えば低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて低屈折率層を形成する方法が挙げられる。
低屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
高屈折率層の形成方法としては、例えば高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する方法が挙げられる。
このような場合において、アンカー層の屈折率は、高屈折率層の屈折率との差が小さいことが好ましく、例えば高屈折率層の屈折率との差が0.03以内であることが好ましい。
中屈折率層の形成方法としては、例えば中屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて中屈折率層を形成する方法が挙げられる。
中屈折率層用硬化性樹脂組成物としては、上記の高屈折率層用硬化性樹脂組成物と同様とすることができる。
また、中屈折率層の形成方法は、上記低屈折率層の形成方法と同様とすることができる。
なお、中屈折率層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本実施態様におけるアンカー層形成工程は、強化ガラス基板上に直にアンカー層を形成する工程である。
アンカー層の形成方法としては、例えば強化ガラス基板上に直にアンカー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてアンカー層を形成する方法が挙げられる。
本実施態様の表示装置用前面板の製造方法は、強化ガラス基板の一方の面に、有機材料を含有する加飾層をパターン状に形成する加飾層形成工程と、上記加飾層および上記強化ガラス基板上に保護層を形成する保護層形成工程と、上記保護層形成工程後、上記強化ガラス基板の他方の面に直に、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程とを有することを特徴とする方法である。
本実施態様における保護層形成工程は、上記加飾層および上記強化ガラス基板上に保護層を形成する工程である。
保護層用樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
[実施例1]
(硬化性樹脂組成物Aの調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2′-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、及びハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
<硬化性樹脂組成物Aの組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%):16重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399):24重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70):4重量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン:4重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:52重量部
まず、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調製した。
<黒色顔料分散液の組成>
・黒色顔料:23重量部
・高分子分散材(ビックケミー・ジャパン(株) Disperbyk111):2重量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル):75重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、加飾層用樹脂組成物を得た。
<加飾層用樹脂組成物の組成>
・上記黒色顔料分散液:61重量部
・硬化性樹脂組成物A:20重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:30重量部
加飾層がパターン状に形成された強化ガラス基板上に、硬化性樹脂組成物Aを厚さ2μmとなるように塗布し、フォトマスクを介して露光し、現像し、その後、180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理して、加飾層上のみに保護層を形成した。
反射防止層には下記の材料を用いた。
低屈折率層材 :TU2205(JSR社製、n=1.35)
高屈折率層材 :KZ6661(JSR社製、n=1.60)
アンカー層材 :Z7503(JSR社製、n=1.51)
JSR社製のZ7503は、平均粒径10nm〜20nmのシリカ粒子を含む紫外線硬化性樹脂組成物である。
強化ガラス基板の加飾層および保護層を形成した面とは反対側の面に、JSR社製のZ7503を厚さ1.0μmになるようにスピンコーティングし、窒素雰囲気下で露光照度30mWの高圧水銀ランプを用いて30秒間露光し、230℃で20分間熱処理して、アンカー層を形成した。次いで、JSR社製のKZ6661を用い、アンカー層の形成と同様の工程で、アンカー層上に厚さ150nmの高屈折率層を形成した。続いて、JSR社製のTU2205を用いて、アンカー層の形成と同様の工程で、高屈折率層上に厚さ100nmの低屈折率層を形成し、表示装置用前面板を得た。
硬化性樹脂組成物Aに換えて上記のJSR社製のZ7503を用いて保護層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして表示装置用前面板を作製した。
保護層を強化ガラス基板の全面に形成したこと以外は、実施例2と同様にして表示装置用前面板を作製した。
保護層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして表示装置用前面板を作製した。
保護層を強化ガラス基板の全面に形成したこと以外は、実施例1と同様にして表示装置用前面板を作製した。
(耐擦傷性)
表示装置用前面板について、保護層の表面を各荷重の条件で#0000のスチールウールを10往復させた後の傷つき有無を目視評価した。傷つき無しとなる最大荷重を表1に示す。
表示装置用前面板について、JIS K 5600−5−4に準拠する鉛筆硬度試験を行い、表示装置用前面板の保護層の表面の硬度を測定した。
表示装置用前面板の保護層側の面を荷重400gで#0000のスチールウールを10往復させた後の傷つき有無を目視評価した。
○:傷無し
×:傷有り
2 … 強化ガラス基板
3 … 加飾層
4 … 保護層
5 … 反射防止層
6 … 高屈折率層
7 … 低屈折率層
Claims (6)
- 強化ガラス基板と、
前記強化ガラス基板の一方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有する加飾層と、
前記加飾層上のみに形成された保護層と、
前記強化ガラス基板の他方の面に直に形成され、1層以上の有機層を有し、前記有機層のみを有する反射防止層と
を有することを特徴とする表示装置用前面板。 - 強化ガラス基板と、
前記強化ガラス基板の一方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有する加飾層と、
前記加飾層および前記強化ガラス基板上に形成された保護層と、
前記強化ガラス基板の他方の面に直に形成され、1層以上の有機層を有し、前記有機層のみを有する反射防止層と
を有し、前記保護層の耐スチールウール試験により判定される耐スチールウール性が荷重400gで傷なしであることを特徴とする表示装置用前面板。 - 前記保護層の鉛筆硬度が4H以上であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置用前面板。
- 強化ガラス基板の一方の面に、有機材料を含有する加飾層をパターン状に形成する加飾層形成工程と、
前記加飾層上のみに保護層を形成する保護層形成工程と、
前記保護層形成工程後、前記強化ガラス基板の他方の面に直に、1層以上の有機層を有し、前記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程と
を有することを特徴とする表示装置用前面板の製造方法。 - 強化ガラス基板の一方の面に、有機材料を含有する加飾層をパターン状に形成する加飾層形成工程と、
前記加飾層および前記強ガラス基板上に保護層を形成する保護層形成工程と、
前記保護層形成工程後、前記強化ガラス基板の他方の面に直に、1層以上の有機層を有し、前記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程と
を有し、前記保護層の耐スチールウール試験により判定される耐スチールウール性が荷重400gで傷なしであることを特徴とする表示装置用前面板の製造方法。 - 前記保護層の鉛筆硬度が4H以上であることを特徴とする請求項5に記載の表示装置用前面板の製造方法。
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