JP6394176B2 - 表示装置用前面板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、表示装置の前面に配置される表示装置用前面板およびその製造方法に関するものである。
一般に、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示装置、電子ペーパー等の表示装置の前面には、表示装置の保護のために前面板が設けられている。前面板としては、耐衝撃性の観点から強化ガラス基板を用いることが知られている。このような表示装置においては、前面板と空気との界面の屈折率差により光の反射が起こり、視認性が低下する。そこで、前面板の最表面に反射防止フィルムや反射防止層を配置することが提案されている。
反射防止フィルムとしては、例えばTACフィルムやPETフィルム等の透明基材上に反射防止層を形成したものを挙げることができ、反射防止層としては、例えば高屈折率層および低屈折率層が積層されたものが挙げられる。このような反射防止フィルムは、前面板の最表面に粘着層や接着層を介して貼付される。
反射防止フィルムは前面板に貼付するだけで反射防止性を付与することができる。しかしながら、反射防止フィルムにおいては透明基材および粘着層または接着層が存在するため、光学設計が複雑になる。また、透明基材にはうねりがあるため、平坦性が低下し、表示品位が劣化する。また、反射防止フィルムを貼付する際に異物や気泡の混入等の不具合が生じ、歩留りが低下する。また、透明基材および粘着層または接着層によって、透過率が低下する。
一方、反射防止層としては、例えばスパッタリング法や真空蒸着法等のドライプロセスにより形成された無機膜を挙げることができる。このような反射防止層は強化ガラス基板上に形成可能であることから、上記の反射防止フィルムにおける問題点を解消することができる。また、無機膜は膜強度が高く、表面硬度の高い反射防止層を得ることができる。
しかしながら、無機膜では低屈折率化が難しく、高屈折率層および低屈折率層を交互に複数積層するのが一般的である。この場合、ドライプロセスにより複数層を積層するため、生産性が低下し、製造コストがかかる。特に、大面積の表示装置に用いられる前面板の場合には設備が大掛かりになりコストが増大する。また、ドライプロセスの場合には、反射防止層の厚みの面内分布にばらつきが生じ、反射防止性の均一性が損なわれる。
このような問題点を解決するために、例えば特許文献1〜5には前面板に塗布により反射防止層を形成する技術が提案されている。この場合、生産性やコスト面で有利である。
ところで、前面板には、表示装置の非表示領域に加飾層が設けることが知られている(例えば特許文献1〜5参照)。加飾層の形成方法としては、例えばフォトリソグラフィ法や印刷法等により樹脂および着色剤を含有する加飾層を形成する方法が用いられる。
ここで、反射防止層には前面板の最表面に位置することから防汚性が望まれている。そのため、反射防止層上に加飾層を形成しようとすると、加飾層の材料がはじかれてしまい、加飾層の形成が困難であるという問題がある。一方、加飾層上に反射防止層を形成すると、加飾層による段差によって反射防止層の厚みが不均一になり、干渉ムラが生じるため、目的とする反射防止特性が得られなくなるという問題がある。
特開2012−88683号公報 特開2012−88684号公報 特開2012−150418号公報 特開2012−189986号公報 特開2012−225992号公報
そこで、ガラス基板の一方の面に反射防止層を設け、他方の面に加飾層を設けることが考えられる。しかしながら、先に加飾層を形成すると、その後に反射防止層を形成するまでの間に加飾層が損傷するおそれがある。また、先に反射防止層を形成すると、その後に加飾層を形成するまでの間に反射防止層が損傷するおそれがある。特に、加飾層は非表示領域に形成されるため、位置合わせが必要であり、搬送時だけでなく位置合わせ時に反射防止層が傷つくおそれがある。
さらに、塗布により反射防止層や加飾層を形成する場合には、耐擦傷性や硬度を高めるのは困難であり、特に反射防止層の場合は難しい。
すなわち、塗布により反射防止層を形成する場合、反射防止層を構成する低屈折率層や高屈折率層等としては、樹脂および微粒子を含有するものを用い、厚みを薄くすることが提案されている。低屈折率層や高屈折率層の形成方法としては、例えば硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が用いられているが、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の種類によっては、空気中の酸素により硬化反応が阻害される場合がある。特に、微粒子が含有されている場合や、厚みが薄い場合には、硬化反応が不十分になりやすく、密着性や、耐擦傷性、硬度が低下する傾向がある。
また、前面板の反射防止層の最表面に位置する低屈折率層に用いられる材料については、一般に、屈折率を低くすることと耐擦傷性を高くすることとはトレードオフの関係にある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、反射防止層の耐擦傷性を高めることが可能であり、反射防止性に優れる表示装置用前面板、ならびに反射防止層および加飾層の傷つきを抑制することが可能な表示装置用前面板の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層と、上記アンカー層上に直に形成され、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層と、上記強化ガラス基板の他方の面に形成され、有機材料を含有する加飾層とを有することを特徴とする表示装置用前面板を提供する。
本発明によれば、アンカー層がフィラーを含有することにより、アンカー層の硬度や強度を高めることができる。また、強化ガラス基板と反射防止層との間にアンカー層が形成されていることにより、強化ガラス基板に対する反射防止層の密着性を高めることができる。そのため、反射防止層の耐擦傷性を高めることができる。したがって、強化ガラス基板の一方の面にアンカー層および反射防止層を形成した後、他方の面に加飾層を形成する場合において、反射防止層の傷つきを抑制することができる。また、強化ガラス基板の両面にそれぞれ反射防止層および加飾層が形成されているため、加飾層の段差によって反射防止層の厚みが不均一になることがなく、反射防止性に優れる反射防止層とすることができる。
上記発明においては、上記アンカー層が、上記強化ガラス基板上に形成された第1アンカー層と、上記第1アンカー層上に形成された第2アンカー層とを有し、上記第1アンカー層および上記第2アンカー層のうち、一方が上記フィラーを含有し、他方が上記フィラーを含有しないことが好ましい。アンカー層がフィラーを含有する層とフィラーを含有しない層とを有することにより、反射防止層の耐擦傷性をさらに高めることができるからである。
上記の場合、上記第1アンカー層が上記フィラーを含有し、上記第2アンカー層が上記フィラーを含有しないことが好ましい。強化ガラス基板に接する第1アンカー層がフィラーを含有することにより、反射防止層の耐擦傷性をより一層高めることができるからである。
また本発明は、強化ガラス基板の一方の面に直に、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層を形成するアンカー層形成工程と、上記アンカー層上に直に、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程と、上記反射防止層形成工程後、上記強化ガラス基板の他方の面に、有機材料を含有する加飾層を形成する加飾層形成工程とを有することを特徴とする表示装置用前面板の製造方法を提供する。
本発明によれば、強化ガラス基板と反射防止層との間にフィラーを含有するアンカー層を形成することにより、反射防止層の耐擦傷性を高めることができる。したがって、反射防止層形成工程後の反射防止層の傷つきを抑制することができる。また、強化ガラス基板の両面にそれぞれ反射防止層および加飾層を形成するため、加飾層の段差によって反射防止層の厚みが不均一になることがなく、反射防止性に優れる反射防止層を得ることができる。
上記発明においては、上記アンカー層形成工程が、上記強化ガラス基板上に第1アンカー層を形成するアンカー層形成工程と、上記第1アンカー層上に第2アンカー層を形成する第2アンカー層形成工程とを有し、上記第1アンカー層および上記第2アンカー層のうち、一方が上記フィラーを含有し、他方が上記フィラーを含有しないことが好ましい。アンカー層としてフィラーを含有する層とフィラーを含有しない層とを積層して形成することにより、反射防止層の耐擦傷性をさらに高めることができるからである。
上記の場合、上記第1アンカー層が上記フィラーを含有し、上記第2アンカー層が上記フラーを含有しないことが好ましい。強化ガラス基板に接してフィラーを含有する第1アンカー層を形成することにより、反射防止層の耐擦傷性をより一層高めることができるからである。
本発明においては、反射防止層の耐擦傷性を高め、反射防止層および加飾層の傷つきを抑制することができ、反射防止性に優れる表示装置用前面板およびその製造方法を提供することが可能であるという効果を奏する。
本発明の表示装置用前面板の一例を示す概略断面図である。 本発明の表示装置用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の表示装置用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の表示装置用前面板の他の例を示す概略平面図である。 本発明の表示装置用前面板を有する表示装置の一例を示す概略断面図である。 本発明の表示装置用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明の表示装置用前面板およびその製造方法について詳細に説明する。
A.表示装置用前面板
本発明の表示装置用前面板は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層と、上記アンカー層上に直に形成され、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層と、上記強化ガラス基板の他方の面に形成され、有機材料を含有する加飾層とを有することを特徴とするものである。
ここで、「強化ガラス基板の一方の面に直に形成されたアンカー層」とは、強化ガラス基板とアンカー層とが直に接しており、強化ガラス基板とアンカー層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等が形成されていないことをいう。
また、「アンカー層上に直に形成された反射防止層」とは、アンカー層と反射防止層とが直に接しており、アンカー層と反射防止層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等が形成されていないことをいう。
本発明の表示装置用前面板について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の表示装置用前面板の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、表示装置用前面板1は、強化ガラス基板2と、強化ガラス基板2の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層3と、アンカー層3上に直に形成された反射防止層4と、強化ガラス基板2の他方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有する加飾層7とを有している。反射防止層4は、アンカー層3上に形成された高屈折率層5と、高屈折率層5上に形成された低屈折率層6とを有しており、高屈折率層5および低屈折率層6はいずれも有機層である。
本発明においては、アンカー層がフィラーを含有することにより、アンカー層の硬度や強度を高めることができる。また、強化ガラス基板と反射防止層との間にアンカー層が形成されていることにより、強化ガラス基板に対する反射防止層の密着性を高めることができる。特に、反射防止層を構成する有機層が微粒子を含有する場合や、有機層の厚みが薄い場合において、空気中の酸素により硬化反応が阻害された場合であっても、強化ガラス基板に対する反射防止層の密着性を確保することができる。
ここで、強化ガラス基板上に有機膜が形成されている場合、強化ガラス基板が比較的硬く、有機膜が比較的軟らかいため、擦りに対する有機膜の追従性が耐擦傷性に影響すると考えられる。反射防止層を構成する有機層は、厚みが薄く、界面の密着性が低い傾向にある。そのため、強化ガラス基板上に反射防止層のみが形成されている場合には、擦りに対する反射防止層の追従性が悪く、反射防止層が剥がれて傷が生じてしまう。これに対し、強化ガラス基板上にアンカー層および反射防止層が順に積層されている場合には、擦りに対する有機膜(アンカー層および反射防止層の積層体)の追従性が良くなるため、また強化ガラス基板に対する反射防止層の密着性が良くなるため、耐擦傷性が高くなると予想される。しかしながら、本発明者が検討した結果、樹脂を含有するアンカー層を形成するだけでは十分な耐擦傷性が得られず、アンカー層が樹脂およびフィラーを含有する場合に所望の耐擦傷性が得られることが判明した。この理由は明らかではないが、次のように推量される。すなわち、樹脂のみを含有するアンカー層は硬度が低く軟らかすぎるため、荷重が大きいと傷が生じるが、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層は硬度が高くなりつつもある程度軟らかいため、荷重が大きくても傷つきを抑制することができると考えられる。
したがって本発明においては、反射防止層の耐擦傷性を高めることができる。よって、強化ガラス基板の一方の面にアンカー層および反射防止層を形成した後、他方の面に加飾層を形成する場合において、反射防止層を形成してから加飾層を形成するまでの間、例えば搬送時や位置合わせ時に反射防止層が傷つくのを抑制することができる。
また、反射防止層の耐擦傷性を高めることができるので、強化ガラス基板の一方の面にアンカー層および反射防止層を形成した後、他方の面に加飾層を形成することにより、反射防止層および加飾層が傷つくことなく、強化ガラス基板の両面にそれぞれ反射防止層および加飾層を形成することができる。そのため、加飾層の段差によって反射防止層の厚みが不均一になることがなく、反射防止性に優れる反射防止層とすることができる。
また本発明においては、アンカー層、反射防止層および加飾層はいずれもウェットプロセスにより形成可能であり、大面積であっても均一な層を容易に形成することができる。したがって、反射防止性に優れる安価な表示装置用前面板を得ることが可能である。
以下、本発明の表示装置用前面板における各構成について説明する。
1.アンカー層
本発明におけるアンカー層は、強化ガラス基板の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するものである。
アンカー層に用いられる樹脂としては、強化ガラス基板および反射防止層との密着性を有し、透明性を有し、後述の屈折率を満たすアンカー層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化した硬化樹脂を挙げることができる。硬化樹脂としては、例えば熱硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂が挙げられる。中でも、電離放射線硬化樹脂が好ましい。アンカー層の表面硬度を高めることができるからである。
ここで、「電離放射線硬化樹脂」とは、電離放射線の照射により硬化した樹脂をいう。「電離放射線」とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものをいい、例えば、紫外線や電子線の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。
電離放射線硬化樹脂としては、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を挙げることができる。中でも、紫外線硬化樹脂が好ましい。
例えば、樹脂としては、アクリル樹脂等を用いることができ、具体的には、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレート等が挙げられる。
アンカー層に用いられるフィラーとしては、アンカー層の硬度を高めることができるとともに、強化ガラス基板および反射防止層との密着性を有し、透明性を有し、後述の屈折率を満たすアンカー層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、無機系、有機系のいずれも用いることができる。中でも、硬度の点から、無機系フィラーが好ましい。
無機系フィラーとしては、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫等の微粒子や、ガラスビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。
また、有機系フィラーとしては、例えば樹脂ビーズを用いることができ、具体的にはアクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ、シリコーンゴムビーズ、ポリカーボネートビーズ等が挙げられる。
フィラーの平均粒径としては、透明性を有するアンカー層を得ることができる程度の粒径であればよく、例えば5nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、中でも5nm〜40nmの範囲内、特に5nm〜30nmの範囲内であることが好ましい。フィラーの平均粒径が上記範囲内にあれば、アンカー層の透明性を損なうことがなく、良好なフィラーの分散状態が得られる。一方、フィラーの平均粒径が小さすぎると取り扱いが困難になり、大きすぎると硬度を高める効果が十分に得られない場合がある。なお、フィラーの平均粒径が上記範囲内にあれば、平均粒径は1次粒径および2次粒径のいずれであってもよく、またフィラーが鎖状に連なっていてもよい。
ここで、フィラーの平均粒径は、アンカー層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
フィラーの形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、鎖状、針状等を挙げることができる。
アンカー層における樹脂およびフィラーの含有量としては、目的とする硬度や強度、屈折率、フィラーの種類等に応じて適宜設定される。アンカー層中のフィラーの含有量は、例えば20質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。フィラーの含有量が上記範囲内であれば、所望の耐擦傷性を得ることができる。
また、アンカー層は、必要に応じて、重合開始剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
アンカー層は、単層であってもよく、複数層が積層されたものであってもよい。また、複数層が積層されている場合、少なくとも1層がフィラーを含有すればよく、他の層はフラーを含有してもよく含有しなくてもよい。
また、複数層が積層されている場合、硬度の異なる層を形成することが好ましい。擦りに対する有機膜(アンカー層および反射防止層の積層体)の追従性のバランスを調整することができるからである。硬度の異なる層とするには、例えばフィラーを含有する層とフィラーを含有しない層とを形成する、あるいは、フィラーの種類や含有量の異なる層を形成すればよい。
中でも、図2に例示するように、アンカー層3は、強化ガラス基板2上に形成された第1アンカー層3aと、第1アンカー層3a上に形成された第2アンカー層3bとを有しており、第1アンカー層3aおよび第2アンカー層3bのうち、一方がフィラーを含有し、他方がフィラーを含有しないことが好ましい。特に、第1アンカー層3aがフィラーを含有し、第2アンカー層3bがフィラーを含有しないことが好ましい。強化ガラス基板上に硬い第1アンカー層と軟らかい第2アンカー層と反射防止層とが順に積層されている場合には、擦りに対する有機膜(アンカー層および反射防止層の積層体)の追従性のバランスが良く、反射防止層の耐擦傷性をさらに高めることができるからである。これは、アンカー層および反射防止層の積層体において、擦りのエネルギーが程良く分散されているためであると考えられる。
フィラーを含有しない層としては、上記の樹脂を含有する層を用いることができる。
アンカー層の屈折率としては、強化ガラス基板の屈折率以上であることが好ましく、またアンカー層上に形成される高屈折率層の屈折率以下であることが好ましい。また、アンカー層の屈折率は、強化ガラス基板の屈折率との差が小さいあるいは高屈折率層の屈折率との差が小さいことが好ましく、例えば強化ガラス基板の屈折率との差が0.03以内、中でも0.015以内あるいは高屈折率層の屈折率との差が0.03以内、中でも0.015以内であることが好ましい。特に、アンカー層の屈折率は強化ガラス基板の屈折率との差が小さいことが好ましい。具体的には、強化ガラス基板の屈折率が1.51である場合、アンカー層の屈折率は1.495〜1.525の範囲内であることが好ましい。この場合、アンカー層と強化ガラス基板との界面で光が反射するのを抑制することができる。
なお、アンカー層が複数層が積層されたものである場合、アンカー層と強化ガラス基板との屈折率の大小関係については、強化ガラス基板に接する層と強化ガラス基板との屈折率が上記の関係を満たしていればよい。また、アンカー層と高屈折率層との屈折率の大小関係については、高屈折率層に接する層と高屈折率層との屈折率が上記の関係を満たしていればよい。
ここで、各部材の「屈折率」とは、波長550nmの光に対する屈折率をいう。屈折率の測定方法は特に限定されないが、例えば、分光反射スペクトルから算出する方法、エリプソメーターを用いて測定する方法、アッベ法を挙げることができる。エリプソメーターとしてはジョバンーイーボン社製UVSELが挙げられる。具体的には、テクノ・シナジー社製DF1030Rにて屈折率を測定することができる。
また、図3に例示するように、アンカー層3は、反射防止層4側の面に凹凸を有していてもよい。これにより、アンカー層および反射防止層の密着性を高めることができる。凹凸の高低差やピッチとしては、反射防止層との密着性を高めることが可能な程度であればよく、適宜調整される。凹凸は、規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
アンカー層の厚みとしては、強化ガラス基板に対する反射防止層の密着性を高めることが可能な程度であれば特に限定されるものではない。例えば、アンカー層の厚みを反射防止層を構成する各有機層の厚みよりも厚くすることにより、強化ガラス基板に対する反射防止層の密着性を高めることができる。具体的には、密着性の観点から、アンカー層の厚みは、0.3μm〜10.0μmの範囲内であることが好ましい。なお、上記のアンカー層の厚みは、複数層が積層されている場合には、アンカー層を構成する各層の厚みを意味する。
ここで、各部材の「厚み」とは、一般的な測定方法によって得られる厚みをいう。厚みの測定方法としては、例えば、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚みを算出する触針式の方法や、分光反射スペクトルに基づいて厚みを算出する光学式の方法等を挙げることができる。具体的には、ケーエルエー・テンコール株式会社製の触針式膜厚計P−15を用いて厚みを測定することができる。なお、厚みとして、対象となる部材の複数箇所における厚み測定結果の平均値が用いられてもよい。
アンカー層の形成方法としては、強化ガラス基板上にアンカー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
なお、アンカー層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
2.反射防止層
本発明における反射防止層は、上記アンカー層上に直に形成され、1層以上の有機層を有し、有機層のみを有するものである。
反射防止層は耐擦傷性を有している。反射防止層の耐擦傷性としては、反射防止層の耐スチールウール試験により判定される耐スチールウール性が荷重400gで傷なしであることが好ましく、中でも荷重600gで傷なし、特に荷重800gで傷なしであることが好ましい。
ここで、耐スチールウール試験は、反射防止層の表面を#0000番のスチールウールを用いて、所定の荷重で10往復擦り、目視で傷の有無を評価する試験である。
また、反射防止層の硬度としては、所望の耐擦傷性を得ることが可能な程度であれば特に限定されるものではないが、具体的には、JIS K 5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験にて、鉛筆硬度が4H以上であることが好ましく、中でも5H以上、特に6H以上であることが好ましい。なお、鉛筆硬度の上限は9H程度である。
反射防止層は、1層以上の有機層を有し、有機層のみを有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、図示しないが強化ガラス基板よりも屈折率の低い低屈折率層を有する単層の反射防止層や、図1に例示するようにアンカー層3上に高屈折率層5および低屈折率層6が順に積層された反射防止層4、図示しないがアンカー層上に中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層が順に積層された反射防止層、アンカー層上に高屈折率層、中屈折率層および低屈折率層が順に積層された反射防止層等が挙げられる。
以下、低屈折率層、高屈折率層および中屈折率層について説明する。
(1)低屈折率層
本発明における低屈折率層は、有機層であり、高屈折率層および中屈折率層よりも屈折率が低いものである。
低屈折率層の屈折率としては、高屈折率層および中屈折率層の屈折率よりも低く、強化ガラス基板の屈折率よりも低ければよい。具体的には、低屈折率層の屈折率は1.2〜1.4の範囲内であることが好ましい。
低屈折率層としては、上記の屈折率を満たし、透明性を有する有機層であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂を含有するものや、バインダー樹脂および低屈折率微粒子を含有するもの等が挙げられる。中でも、耐擦傷性の点で、低屈折率層は樹脂を含有するものである、すなわち微粒子を含有しないことが好ましい。一方、低屈折率層がバインダー樹脂および低屈折率微粒子を含有する場合には、屈折率の調整が容易である。この場合、例えば低屈折率微粒子の含有量を比較的少なくすることで目的とする耐擦傷性を得ることができる。
低屈折率層に用いられる樹脂およびバインダー樹脂としては、上記の屈折率を満たし、透明性を有する低屈折率層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、成膜性や膜強度等の観点から適宜選択される。例えば、樹脂およびバインダー樹脂としては、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化した硬化樹脂が挙げられる。硬化樹脂としては、例えば熱硬化樹脂や電離放射線硬化樹脂が挙げられる。中でも、電離放射線硬化樹脂が好ましい。低屈折率層の表面硬度を高めることができるからである。また、電離放射線硬化樹脂としては、例えば紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を用いることができる。中でも、紫外線硬化樹脂が好ましい。
具体的に、樹脂およびバインダー樹脂としては、特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報、特開2009−86360号公報、特開2008−9347号公報等に記載されている低屈折率層に用いられるものを挙げることができる。
樹脂およびバインダー樹脂は、フッ素を含有するフッ素系樹脂であってもよい。低屈折率層に防汚性を付与することができるからである。また、屈折率を低くすることができる。また、フッ素系樹脂は、ケイ素を含有していてもよい。
また、低屈折率層は、防汚剤を含有していてもよい。防汚剤としては、フッ素系化合物またはケイ素系化合物等を用いることができる。具体的に、防汚剤としては、特開2012−150226号公報等に記載されているものを挙げることができる。
低屈折率微粒子としては、バインダー樹脂よりも屈折率が低く、上記の屈折率を満たす低屈折率層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、無機系、有機系のいずれも用いることができる。中でも、屈折率が低いことから、中空粒子や多孔質粒子が好ましく用いられる。中空粒子および多孔質粒子としては、例えば、多孔質シリカ粒子、中空シリカ粒子、多孔質ポリマー粒子、中空ポリマー粒子が挙げられる。
また、低屈折率微粒子は、表面処理されたものであってもよい。低屈折率微粒子に表面処理を施すことにより、バインダー樹脂や溶媒との親和性が向上し、低屈折率微粒子の分散が均一となり、低屈折率微粒子同士の凝集が生じにくくなるので、低屈折率層の透明性の低下や、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布性、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗膜強度の低下を抑制することができる。
表面処理された低屈折率微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報、特開2008−9348号公報に記載されているものを挙げることができる。
また、低屈折率微粒子は、その表面に光硬化性基を有する反応性微粒子であってもよい。
具体的に、低屈折率微粒子としては、特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報、特開2009−86360号公報、特開2008−9347号公報等に記載されている低屈折率層に用いられるものを挙げることができる。
低屈折率微粒子の平均粒径としては、均一な厚みを有する低屈折率層を形成可能な程度であればよく、例えば5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも5nm〜100nmの範囲内、特に10nm〜80nmの範囲内であることが好ましい。低屈折率微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、低屈折率層の透明性を損なうことがなく、良好な低屈折率微粒子の分散状態が得られる。なお、低屈折率微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、平均粒径は1次粒径および2次粒径のいずれであってもよく、また低屈折率微粒子が鎖状に連なっていてもよい。
ここで、低屈折率微粒子の平均粒径は、低屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
低屈折率微粒子の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、鎖状、針状等を挙げることができる。
低屈折率層におけるバインダー樹脂および低屈折率微粒子の含有量としては、目的とする屈折率、耐擦傷性等に応じて適宜設定される。低屈折率層中の低屈折率微粒子の含有量は、例えば20質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましく、中でも30質量%〜70質量%の範囲内、特に40質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましい。低屈折率微粒子の含有量が上記範囲内であれば、所望の耐擦傷性を得ることができる。
電離放射線硬化樹脂として紫外線硬化樹脂を用いる場合、低屈折率層は光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤としては、一般的なものから適宜選択することができる。
低屈折率層は、所望の物性に応じて各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば分散助剤、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等が挙げられる。
低屈折率層の厚みは、屈折率に応じて異なるが、可視光領域における反射を低減する観点から、50nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
低屈折率層の形成方法としては、低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
なお、低屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
(2)高屈折率層
本発明における高屈折率層は、有機層であり、低屈折率層および中屈折率層よりも屈折率が高いものである。
高屈折率層の屈折率としては、低屈折率層および中屈折率層の屈折率よりも高く、強化ガラス基板の屈折率よりも高ければよい。なお、強化ガラス基板の屈折率は、例えば1.51である。具体的には、高屈折率層の屈折率は1.5〜1.7の範囲内であることが好ましい。
高屈折率層としては、上記の屈折率を満たし、透明性を有する有機層であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂を含有するものや、バインダー樹脂および高屈折率微粒子を含有するもの等が挙げられる。中でも、屈折率の調整が容易であることから、高屈折率層はバインダー樹脂および高屈折率微粒子を含有することが好ましい。
高屈折率層に用いられるバインダー樹脂としては、上記の屈折率を満たし、透明性を有する高屈折率層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、成膜性や膜強度等の観点から適宜選択される。中でも、バインダー樹脂は、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化した硬化樹脂であることが好ましい。硬化樹脂としては、例えば熱硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂が挙げられる。中でも、電離放射線硬化樹脂が好ましい。高屈折率層の表面硬度を高めることができるからである。また、電離放射線硬化樹脂としては、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を挙げることができる。中でも、紫外線硬化樹脂が好ましい。
具体的に、バインダー樹脂としては、特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報等に記載されている高屈折率層に用いられるものを挙げることができる。
高屈折率微粒子としては、バインダー樹脂よりも屈折率が高く、上記の屈折率を満たす高屈折率層を得ることができるものであれば特に限定されるものではないが、中でも高屈折率微粒子の屈折率は1.5〜2.8程度であることが好ましい。
このような高屈折率微粒子としては、例えば金属酸化物微粒子を挙げることができ、具体的には酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb、屈折率:2.04)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、ガリウム亜鉛酸化物(屈折率:1.90〜2.00)、β−Al(屈折率:1.63〜1.76)、γ−Al(屈折率:1.63〜1.76)、BaTiO(屈折率:2.4)、酸化チタン(TiO、屈折率:2.71)、酸化セリウム(CeO、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO、屈折率:2.00)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb、屈折率:1.9〜2.0)等が挙げられる。
また、高屈折率微粒子は、表面処理されたものであってもよい。高屈折率微粒子に表面処理を施すことにより、バインダー樹脂や溶媒との親和性が向上し、高屈折率微粒子の分散が均一となり、高屈折率微粒子同士の凝集が生じにくくなるので、高屈折率層の透明性の低下や、高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布性、高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗膜強度の低下を抑制することができる。
表面処理された高屈折率微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報に記載されているものを挙げることができる。
また、高屈折率微粒子は、その表面に光硬化性基を有する反応性微粒子であってもよい。
高屈折率微粒子の平均粒径としては、均一な厚みを有する高屈折率層を形成可能な程度であればよく、例えば5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも5nm〜100nmの範囲内、特に10nm〜80nmの範囲内であることが好ましい。高屈折率微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、高屈折率層の透明性を損なうことがなく、良好な高屈折率微粒子の分散状態が得られる。なお、高屈折率微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、平均粒径は1次粒径および2次粒径のいずれであってもよく、また高屈折率微粒子が鎖状に連なっていてもよい。
ここで、高屈折率微粒子の平均粒径は、高屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
高屈折率微粒子の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、鎖状、針状等を挙げることができる。
高屈折率層におけるバインダー樹脂および高屈折率微粒子の含有量としては、高屈折率層全体としての屈折率が上記の屈折率を満たすように適宜設定される。
電離放射線硬化樹脂として紫外線硬化樹脂を用いる場合、高屈折率層は光重合開始剤を含有していてもよい。また、高屈折率層は、所望の物性に応じて各種添加剤を含有していてもよい。なお、光重合開始剤、各種添加剤については、上記高屈折率層と同様とすることができる。
高屈折率層の厚みは、屈折率に応じて異なるが、50nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。高屈折率層の厚みが上記のように薄い場合、高屈折率層に含有されるバインダー樹脂の種類によっては空気中の酸素により硬化反応が阻害される場合がある。このような場合、密着性の低下が懸念される。これに対し本発明においては、高屈折率層の下にアンカー層が形成されているため、高屈折率層の厚みが薄くとも密着性を確保することができる。
高屈折率層の形成方法としては、高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
なお、高屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
(3)中屈折率層
本発明における中屈折率層は、有機層であり、高屈折率層よりも屈折率が低く、低屈折率層よりも屈折率が高いものである。
中屈折率層の屈折率としては、高屈折率層の屈折率よりも低く、低屈折率層の屈折率よりも高ければよい。具体的には、中屈折率層の屈折率は1.4〜1.6の範囲内であることが好ましい。
中屈折率層としては、上記の屈折率を満たし、透明性を有する有機層であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記高屈折率層と同様の材料を用いることができる。
中屈折率層の厚みは、屈折率に応じて異なるが、可視光領域における反射を低減する観点から、50nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
中屈折率層の形成方法としては、中屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
なお、中屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
3.加飾層
本発明における加飾層は、強化ガラス基板の他方の面に形成され、有機材料を含有するものである。
加飾層は、有機材料を含有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばバインダー樹脂および着色剤を含有するものが挙げられる。
加飾層に用いられる着色剤としては、目的の色に応じて適宜選択されるものであり、例えば黒色顔料、白色顔料、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料等の着色顔料を用いることができる。着色顔料は1種単独で用いてもよく、同種類の色または異なる色の着色顔料を複数種類用いてもよい。
黒色顔料としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。
加飾層に用いられるバインダー樹脂としては、加飾層の形成方法に応じて適宜選択される。
例えばフォトリソグラフィ法により加飾層を形成する場合、バインダー樹脂としては、感光性樹脂が用いられる。感光性樹脂としては、一般的なものを用いることができ、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム等の反応性ビニル基等の光反応性基を有する感光性樹脂が挙げられる。感光性樹脂は1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
アクリル系樹脂の場合、例えばアルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート系モノマー、光重合開始剤、その他添加剤等を含有する感光性樹脂組成物を樹脂成分として用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えばベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体等のメタクリル酸エステル共重合体、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシアクリレート等のカルド樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
多官能アクリレート系モノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかであることを意味する。
光重合開始剤としては、例えばアルキルフェノン系、オキシムエステル系、トリアジン系、チタネート系等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
感光性樹脂組成物は、上記の他、光増感剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、レベリング剤等の公知の各種添加剤を含むことができる。
また、加飾層には、カラーフィルタの着色層に用いられるカラーレジストを用いることもできる。
また、例えば印刷法により加飾層を形成する場合、バインダー樹脂としては、上記の高屈折率層、低屈折率層およびアンカー層に用いられるものを使用することができる。
加飾層の色は、特に限定されるものではなく、例えば黒色、青色、緑色、赤色、茶色、橙色、白色系の色等が挙げられる。
加飾層は、本発明の表示装置用前面板を表示装置に用いた場合に非表示領域に配置されていることが好ましい。この場合、額縁状の加飾層により表示装置の配線等を隠すことができ、意匠性を高めることができる。
加飾層の厚みとしては、目的に応じて適宜選択される。
加飾層は、強化ガラス基板上に直に形成されていてもよく、接着層を介して形成されていてもよい。加飾層を強化ガラス基板上に直に形成する場合においても、上述したように反射防止層の傷つきを抑制することができる。
加飾層の形成方法としては、強化ガラス基板上に加飾層をパターン状に形成可能な方法であれば特に限定されるものではない。
なお、加飾層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
4.強化ガラス基板
本発明における強化ガラス基板は、アンカー層、反射防止層および加飾層を支持するものである。
ここで、「強化ガラス」とは、ガラスの表面に圧縮応力層が設けられたものである。圧縮応力層は、例えばガラス中のナトリウムをカリウムに置換することにより形成される。このような圧縮応力層がガラスの表面に形成されていることにより、強化ガラス基板に何らかの衝撃が加えられた場合に強化ガラス基板が割れるのを抑制することができる。
圧縮応力層の厚みは特に限定されることはなく、要求特性に応じて適宜設定される。例えば、ガラスにある程度の強度を付与しながら、ガラスの切断性および生産性も確保される必要がある場合、圧縮応力層の厚みは約5μm〜10μmの範囲内に設定される。また、ガラスにさらに高い強度を付与することが求められる場合、圧縮応力層の厚みは、約10μm〜35μmの範囲内に設定されてもよく、35μm以上に設定されてもよい。圧縮応力層の厚みが約10μm〜35μmの範囲内である場合は、ガラスはある程度の切断性を有している。一方、圧縮応力層の厚みが35μm以上である場合は、仮にダイヤモンドカッター等の高性能の切断手段が用いられる場合であっても、ガラスを切断することが困難になる。そのため、圧縮応力層の厚みを35μm以上にすることが求められる場合、所望の形状に切り出された後のガラスにイオン交換処理を施すことにより、ガラスの表面に圧縮応力層が形成されることが好ましい。
このように表面に圧縮応力層が形成されたガラスの例としては、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、旭硝子社のDragontrail(ドラゴントレイル)等が挙げられる。
強化ガラス基板の材料としては、例えば化学強化ガラスを用いることができ、透明性や耐久性等に応じて適宜選択される。
強化ガラス基板の厚みとしては、表示装置用前面板として使用可能な程度であればよく、表示装置用前面板に求められる強度や、表示装置用前面板が使用される表示装置の寸法等に応じて適宜設定され、例えば0.1mm〜1.5mmの範囲内にすることができる。
5.表示装置用前面板
本発明の表示装置用前面板は、図4(a)、(b)に例示するような多面付け前面板であってもよい。なお、図4(a)は反射防止層4側から見た概略平面図、図4(b)は加飾層7側から見た概略平面図である。アンカー層、反射防止層および加飾層はウェットプロセスにより形成可能であることから、大面積であっても安価かつ容易に均一な層を形成することができるので、多面付けが容易である。多面付け前面板の大きさは、特に限定されるものではないが、例えば2200mm×2500mmまでの大きさであれば適用可能である。一方、従来のように前面板に反射防止フィルムを貼り合わせる場合には、上記のような大型の基板には適用が困難である。
図5は本発明の表示装置用前面板を備える表示装置の一例を示す概略断面図である。図5に示す表示装置10においては、表示パネル11の観察者側に粘着層または接着層12を介して表示装置用前面板1が貼り合わされている。表示装置用前面板1は、反射防止層4側が観察者側になり、加飾層7が表示パネル11と対向するように配置されている。なお、表示装置用前面板1は、上述の図1に示すものと同様である。
本発明の表示装置用前面板は、例えば液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示装置、無機EL表示装置、電子ペーパー等の表示装置に用いることができる。また、本発明の表示装置用前面板の用途としては、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン、テレビ、デジタルサイネージ、ウェアラブル端末等を挙げることができる。中でも、アンカー層、反射防止層および加飾層はウェットプロセスにより形成可能であることから、大面積であっても安価かつ容易に均一な層を形成することができるので、本発明の表示装置用前面板は大面積の表示装置に好適である。特に、テレビが好ましく、大型テレビがより好ましい。
6.製造方法
本発明の表示装置用前面板は、後述の表示装置用前面板の製造方法により製造されたものであることが好ましい。すなわち、まず強化ガラス基板の一方の面にアンカー層および反射防止層を形成し、次に強化ガラス基板の他方の面に加飾層を形成することが好ましい。本発明においては、反射防止層の耐擦傷性を高めることができるため、上記の方法において、反射防止層を形成してから加飾層を形成するまでの間、例えば搬送時や位置合わせ時に反射防止層が傷つくのを抑制することができる。
B.表示装置用前面板の製造方法
本発明の表示装置用前面板の製造方法は、強化ガラス基板の一方の面に直に、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層を形成するアンカー層形成工程と、上記アンカー層上に直に、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程と、上記反射防止層形成工程後、上記強化ガラス基板の他方の面に、有機材料を含有する加飾層を形成する加飾層形成工程とを有することを特徴とする方法である。
ここで、「強化ガラス基板の一方の面に直にアンカー層を形成する」とは、強化ガラス基板とアンカー層とが直に接しており、強化ガラス基板とアンカー層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等を形成しないことをいう。
また、「アンカー層上に直に反射防止層を形成する」とは、アンカー層と反射防止層とが直に接しており、アンカー層と反射防止層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等を形成しないことをいう。
本発明の表示装置用前面板の製造方法について図面を参照して説明する。
図6(a)〜(d)は本発明の表示装置用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図6(a)に示すように、強化ガラス基板2の一方の面に直にアンカー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させてアンカー層3を形成する。次いで、図6(b)に示すように、アンカー層3上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて高屈折率層5を形成する。次に、図6(c)に示すように、高屈折率層5上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて低屈折率層6を形成する。これにより、アンカー層3上に直に、高屈折率層5および低屈折率層6が積層された反射防止層4を形成する。高屈折率層5および低屈折率層6はいずれも有機層である。次に、図6(d)に示すように、強化ガラス基板2の上下を反転させて、強化ガラス基板2の他方の面に、フォトリソソグラフィ法により有機材料を含有する加飾層7を形成する。
本発明においては、上記「A.表示装置用前面板」に記載したように、強化ガラス基板と反射防止層との間にフィラーを含有するアンカー層を形成することにより、反射防止層の耐擦傷性を高めることができる。したがって、反射防止層を形成してから加飾層を形成するまでの間、例えば搬送時や位置合わせ時に反射防止層が傷つくのを抑制することができる。また、強化ガラス基板の一方の面にアンカー層および反射防止層を形成した後、他方の面に加飾層を形成することにより、反射防止層および加飾層が傷つくことなく、強化ガラス基板の両面にそれぞれ反射防止層および加飾層を形成することができる。そのため、加飾層の段差によって反射防止層の厚みが不均一になることがなく、反射防止性に優れる反射防止層を得ることができる。
また本発明においては、アンカー層、高屈折率層および低屈折率層はいずれもウェットプロセスにより形成可能であるため、大面積であっても均一な層を容易に形成することができる。したがって、反射防止性に優れる表示装置用前面板を低コストで製造することが可能である。
以下、本発明の表示装置用前面板の製造方法における各工程について説明する。
1.アンカー層形成工程
本発明におけるアンカー層形成工程は、強化ガラス基板の一方の面に直にアンカー層を形成する工程である。
アンカー層の形成方法としては、例えば強化ガラス基板上に直にアンカー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてアンカー層を形成する方法が挙げられる。
アンカー層用硬化性樹脂組成物は、例えば樹脂成分と各種添加剤と溶媒とを含有するものである。溶媒としては、各成分を溶解もしくは分散させることが可能であれば特に限定されるものではなく、適宜選択される。
塗布方法としては、例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法等の強化ガラス基板の全域にアンカー層用硬化性樹脂組成物を塗布する方法や、インクジェット法等の強化ガラス基板上にアンカー層用硬化性樹脂組成物を吐出する方法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、シルクスクリーン印刷法等の印刷法等が挙げられる。
アンカー層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
硬化方法としては、樹脂成分の種類に応じて異なるが、例えば熱あるいは紫外線または電子線の照射が挙げられる。
また、表面に凹凸を有するアンカー層を形成する場合には、例えば強化ガラス基板上にアンカー層用硬化性樹脂組成物を塗布し乾燥させた後、塗膜に凹凸形成用基板または凹凸形成用ロールを圧着させた状態で硬化し、凹凸形成用基板または凹凸形成用ロールを剥離する方法や、アンカー層表面を研磨する方法が挙げられる。
なお、アンカー層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
2.反射防止層形成工程
本発明における反射防止層形成工程は、アンカー層上に直に、1層以上の有機層を有し、有機層のみを有する反射防止層を形成する工程である。
なお、反射防止層の耐擦傷性および硬度ならびに層構成については、上記「A.表示装置用前面板 2.反射防止層」に記載したので、ここでの説明は省略する。
反射防止層形成工程としては、例えば、アンカー層上に直に低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程を有する工程や、アンカー層上に直に高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程と、高屈折率層上に低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程とを有する工程、アンカー層上に直に中屈折率層を形成する中屈折率層形成工程と、中屈折率層上に高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程と、高屈折率層上に低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程とを有する工程、アンカー層上に直に高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程と、高屈折率層上に中屈折率層を形成する中屈折率層形成工程と、中屈折率層上に低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程とを有する工程等とすることができる。
以下、反射防止層形成工程における各工程について説明する。
(1)低屈折率層形成工程
低屈折率層の形成方法としては、例えば低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて低屈折率層を形成する方法が挙げられる。
低屈折率層用硬化性樹脂組成物は、例えば樹脂成分と低屈折率微粒子と各種添加剤と溶媒とを含有するものである。溶媒としては、各成分を溶解もしくは分散させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報、特開2009−86360号公報、特開2008−9347号公報等に記載されている低屈折率層の形成に用いられるものを挙げることができる。
塗布方法としては、アンカー層の形成方法と同様とすることができる。
低屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
硬化方法としては、樹脂成分の種類に応じて異なるが、例えば熱あるいは紫外線や電子線等の電離放射線の照射が挙げられる。硬化条件としては、例えば特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報等に記載されている条件を適用することができる。また、塗膜を硬化させる際には、酸素による硬化阻害を抑制するために、不活性ガス雰囲気、例えば窒素ガス雰囲気とすることが好ましい。いわゆる、窒素パージを行うことで、低屈折率層の耐擦傷性を高めることができる。
また、電離放射線の照射後に、耐擦傷性や硬度を高めるために、加熱を行ってもよい。加熱温度としては、例えば50℃〜230℃の範囲内とすることができる。
なお、低屈折率層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)高屈折率層形成工程
高屈折率層の形成方法としては、例えば高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する方法が挙げられる。
高屈折率層用硬化性樹脂組成物は、例えば樹脂成分と高屈折率微粒子と各種添加剤と溶媒とを含有するものである。溶媒としては、各成分を溶解もしくは分散させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報等に記載されている高屈折率層の形成に用いられるものを挙げることができる。
高屈折率層の形成方法は、上記低屈折率層の形成方法と同様とすることができる。
アンカー層上に高屈折率層を形成する場合には、アンカー層形成工程および高屈折率層形成工程では、アンカー層用硬化性樹脂組成物の塗膜上に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布した後、アンカー層用硬化性樹脂組成物の塗膜および高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させてもよい。すなわち、アンカー層用硬化性樹脂組成物の塗膜が未硬化または半硬化の状態で高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布してもよい。この場合、密着性が良好なアンカー層および高屈折率層を得ることができる。
このような場合において、アンカー層の屈折率は、高屈折率層の屈折率との差が小さいことが好ましく、例えば高屈折率層の屈折率との差が0.03以内、中でも0.015以内であることが好ましい。
なお、高屈折率層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
(3)中屈折率層形成工程
中屈折率層の形成方法としては、例えば中屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて中屈折率層を形成する方法が挙げられる。
中屈折率層用硬化性樹脂組成物としては、上記の高屈折率層用硬化性樹脂組成物と同様とすることができる。
また、中屈折率層の形成方法は、上記低屈折率層の形成方法と同様とすることができる。
なお、中屈折率層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
3.加飾層形成工程
本発明における加飾層形成工程は、上記反射防止層形成工程後、強化ガラス基板の他方の面に、有機材料を含有する加飾層を形成する工程である。
加飾層の形成方法としては、強化ガラス基板上に加飾層をパターン状に形成可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトリソグラフィ法や、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法等の印刷法が挙げられる。
加飾層用樹脂組成物は、例えば樹脂成分と着色剤と各種添加剤と溶媒とを含有するものである。溶媒としては、各成分を溶解もしくは分散させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。溶媒は1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
フォトリソグラフィ法の場合、塗布方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ビードコート法等の公知の方法を用いることができる。
また、加飾層を、接着層を介して強化ガラス基板上に貼り合わせてもよい。この場合、例えば基材上に加飾層および接着層が順に積層された加飾フィルムを用い、加飾フィルムの接着層を強化ガラス基板に貼り合わせた後、基材を加飾層から剥離することで、加飾層を配置することができる。
基材としては、例えば樹脂基材を用いることができる。また、接着層としては、例えばOCAと称される光学用透明接着剤を用いることができる。
上記のアンカー層および反射防止層を多面付けで形成する場合、加飾層を同様に多面付けで形成してもよく、また反射防止層形成後に多面付け基板から各基板を切り出してから、加飾層を形成してもよい。
なお、加飾層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[準備]
下記の材料を用いて表示装置用前面板を作製した。
強化ガラス基板:Dragontrail(旭硝子社製) 大きさ100mm×100mm 厚み0.7mm
低屈折率層材 :TU2205(JSR社製、n=1.35)
高屈折率層材 :KZ6661(JSR社製、n=1.60)
アンカー層材A:Z7503(JSR社製、n=1.51)
アンカー層材B:硬化性樹脂組成物C(n=1.50)
JSR社製のZ7503は、平均粒径10nm〜20nmのシリカ粒子を含む紫外線硬化性樹脂組成物である。
(硬化性樹脂組成物Cの調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2′-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、及びハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に、下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物Cとした。
<硬化性樹脂組成物Cの組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%):16重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399):24重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70):4重量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン:4重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:52重量部
[実施例1]
強化ガラス基板の一方の面にJSR社製のZ7503を所定の厚みになるようにスピンコーティングし、窒素雰囲気下で露光照度30mWの高圧水銀ランプを用いて30秒間露光し、230℃で20分間熱処理して、アンカー層Aを形成した。
次に、JSR社製のKZ6661を用い、アンカー層Aの形成と同様の工程で、アンカー層A上に高屈折率層を形成した。続いて、JSR社製のTU2205を用いて、アンカー層Aの形成と同様の工程で、高屈折率層上に低屈折率層を形成した。
次に、強化ガラス基板の上下を反転させて、強化ガラス基板の他方の面に、スクリーン印刷により黒色の加飾層を形成した。これにより、表示装置用前面板を得た。
[実施例2]
アンカー層Aの形成後に、硬化性樹脂組成物Cを用いて、アンカー層Aの形成と同様の工程で、アンカー層A上にアンカー層Bを形成したこと以外は、実施例1と同様に表示装置用前面板を作製した。
[実施例3]
アンカー層A、Bの形成順を逆にしたこと以外は、実施例1と同様に表示装置用前面板を作製した。
[実施例4]
アンカー層A、Bの厚みを3.0μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして表示装置用前面板を作製した。
[比較例1]
アンカー層Aを形成しなかったこと以外は、実施例2と同様にして表示装置用前面板を作製した。
[評価]
(耐擦傷性)
表示装置用前面板について、反射防止層の表面を各荷重の条件で#0000のスチールウールを10往復させた後の傷つき有無を目視評価した。傷つき無しとなる最大荷重を表1に示す。
◎:荷重800gで傷つき無し
○:荷重400gで傷つき無し
×:荷重400gで傷つき有り
(鉛筆硬度)
表示装置用前面板について、JIS K 5600−5−4に準拠する鉛筆硬度試験を行い、表示装置用前面板の反射防止層の表面の硬度を測定した。
(反射見栄え)
表示装置用前面板の加飾層側の面に黒テープを添付して、日本分光株式会社製の絶対反射率測定装置VAR−7010にて反射率を測定した。光源はD65にて評価を行った。いずれの表示装置用前面板も反射率は0.5%以下であった。
Figure 0006394176
1 … 表示装置用前面板
2 … 強化ガラス基板
3 … アンカー層
4 … 反射防止層
5 … 高屈折率層
6 … 低屈折率層
7 … 加飾層

Claims (4)

  1. 強化ガラス基板と、
    前記強化ガラス基板の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層と、
    前記アンカー層上に直に形成され、1層以上の有機層を有し、前記有機層のみを有する反射防止層と、
    前記強化ガラス基板の他方の面に形成され、有機材料を含有する加飾層と
    を有し、
    前記アンカー層が、前記強化ガラス基板上に形成された第1アンカー層と、前記第1アンカー層上に形成された第2アンカー層とを有し、前記第1アンカー層および前記第2アンカー層のうち、前記第1アンカー層が前記フィラーを含有し、前記第2アンカー層が前記フィラーを含有しないものであり、
    前記フィラーが、無機系フィラーであることを特徴とする表示装置用前面板。
  2. 前記アンカー層中の前記フィラーの含有量が、20質量%〜80質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用前面板。
  3. 強化ガラス基板の一方の面に直に、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層を形成するアンカー層形成工程と、
    前記アンカー層上に直に、1層以上の有機層を有し、前記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程と、
    前記反射防止層形成工程後、前記強化ガラス基板の他方の面に、有機材料を含有する加飾層を形成する加飾層形成工程と
    を有し、
    前記アンカー層形成工程が、前記強化ガラス基板上に第1アンカー層を形成するアンカー層形成工程と、前記第1アンカー層上に第2アンカー層を形成する第2アンカー層形成工程とを有し、前記第1アンカー層および前記第2アンカー層のうち、前記第1アンカー層が前記フィラーを含有し、前記第2アンカー層が前記フィラーを含有しないものであり、
    前記フィラーが、無機系フィラーであることを特徴とする表示装置用前面板の製造方法。
  4. 前記アンカー層中の前記フィラーの含有量が、20質量%〜80質量%の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の表示装置用前面板の製造方法。
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