JP2016044200A - インクジェットインクおよびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)分散染料と、分散剤と、水溶性有機溶剤と、水と、少なくとも1種の塩基とを含むインクジェットインクであって、該分散剤がカルボキシル基を有する高分子化合物を含み、該水溶性有機溶剤の含有量が該インクジェットインクの全質量に対して10質量%以上70質量%未満であり、該少なくとも1種の塩基の25℃での蒸気圧が1.4Pa以下であって、かつ、該少なくとも1種の塩基の25℃でのpKaが7.5以上8.6以下である、インクジェットインク。
(2)前記インクジェットインクの25℃でのpHが7以上9以下である、第(1)項に記載のインクジェットインク。
(3)前記インクジェットインク中の前記少なくとも1種の塩基の量が、前記分散剤が有する前記カルボキシル基に対して、モル当量で1.5倍以上である、第(1)項又は第(2)項に記載のインクジェットインク。
(4)前記水溶性有機溶剤が、グリコールエーテル類を含む、第(1)項〜第(3)項のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
(5)シリコーン系の界面活性剤を更に含む、第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
(6)第(1)項〜第(5)項のいずれか1項に記載のインクジェットインクの液滴を記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程と、該記録媒体上に付着した該液滴を該記録媒体に定着させる工程とを含む、インクジェット記録方法。
(7)前記記録媒体は布帛であり、前記方法は、前記付着させる工程の前に、布帛に前処理剤を付与する工程を含み、前記定着させる工程の後に、布帛へ染着できなかった前記分散染料または前記前処理剤を除去する工程を含む、第(6)項に記載のインクジェット記録方法。
本発明によるインクジェットインクは、分散染料と、分散剤と、水溶性有機溶剤と、水と、少なくとも1種の塩基とを含むインクジェットインクであって、分散剤がカルボキシル基を有する高分子化合物を含み、水溶性有機溶剤の含有量がインクジェットインクの全質量に対して、0質量%以上70質量%未満であり、少なくとも1種の塩基の25℃での蒸気圧が1.4Pa以下であって、かつ、少なくとも1種の塩基の25℃でのpKa(以下、単に「pKa」ともいう。)が7.5以上8.6以下である、インクジェットインクである。
本発明のインクジェットインクに含まれる分散染料は、本発明の目的を達成し、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、分散染料の例として以下のものが挙げられる。
C.I.Disperse Yellow:3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、
C.I.Disperse Orange:1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、
C.I.Disperse Red:1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、337、343
C.I.Disperse Violet:1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、
C.I.Disperse Green9、
C.I.Disperse Brown:1、2、4、9、13、19
C.I.Disperse Blue:3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、77、79、79:1、79:2、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、281、284、285、287、288、291、291:1、293、295、297、301、315、330、333、373
C.I.Disperse Black1、3、10、24、
などが挙げられる。なかでも、経時による染料の分散安定性をより良好に保つことができる点で、分散染料は、C.I.Disperse Blue60を使用したインクで用いることが特に好ましい。
本発明のインクジェットインクに含まれる分散剤は、カルボキシル基を有する高分子化合物を含む。この分散剤は、分散染料を水中に分散させやすくするための分散樹脂であり、分散染料などを記録媒体に定着させるためのバインダー樹脂として機能するものであってもよい。
樹脂が、エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒約50mlに溶解しない場合は、エタノール50ml、あるいはエタノール/純水=1:1の混合溶媒約50mlのいずれか溶解するほうを用いて同様の滴定を行う。
A=(B×f×5.611)/S
(式中、Aは樹脂の酸価(mgKOH/g)、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.1mol/リットル水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Sは樹脂の質量(g)、5.611は水酸化カリウムの式量の1/10の値(56.11/10)である)
(測定条件)
溶媒 : テトラヒドロフラン
カラム : 東ソー製TSKgel G4000+2500+2000HXL
カラム温度: 40℃
注入量 : 100μl
検出器 : RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ : L6000(日立製作所(株)製)
流量 : 1.0ml/min
校正曲線 : 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13のサンプルによる校正曲線を使用する。13のサンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明のインクジェットインクには水溶性有機溶剤が含まれる。
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等);
多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等);
アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等);
アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等);
複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等);
スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等);
グリコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等);
1,2−アルカンジオール類(例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等)
等が挙げられる。これらは、一種類で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインクジェットインクには、少なくも1種の塩基が含まれる。少なくとも1種の塩基は、25℃での蒸気圧が1.4Pa以下である。蒸気圧の測定は、公知の一般的な方法でよく、例えば、静止法により蒸気圧を求めることができる。静止法による蒸気圧測定は、試料の固体と平衡にある蒸気の圧力を直接、あるいは間接的に測定する方法であり、測定器としては、種々のマノメーターを使用することができるほか、OECDガイドライン104に従って測定することもできる。
本発明のインクジェットインクには、界面活性剤が含まれてもよい。
本発明のインクジェットインクには、必要に応じて防腐剤、防黴剤などがさらに含有されてもよい。
本発明のインクジェットインクの25℃における粘度は、インクの吐出安定性を得る観点から、1mPa・s以上40mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上40mPa・s以下であることがより好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの粘度は、E型粘度計により、25℃、20rpmで測定することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェットインクの液滴を、記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程と、当該記録媒体上に付着した液滴を、記録媒体に定着させる工程とを含む。
前処理工程は、布帛上でのインクの滲みを防止して鮮明な画像を得るために、予め布帛に前処理剤で処理する工程である。前処理の方法は、特に制限されず、布帛の材質やインクに適した方法を、従来公知の方法から適宜選択することができる。例えば、前処理剤を、パッド法、コーティング法、スプレー法などで布帛に付与する方法が挙げられる。前処理剤の付与量(絞り率)は、布帛の種類やその用途にもよるが、布帛の全質量に対して例えば0.2質量%以上90質量%以下としうる。
画像形成工程は、記録ヘッドから本発明のインクジェットインクの液滴を布帛に向けて吐出して、発色前の画像を形成する工程である。複数の記録ヘッドを搭載するヘッドキャリッジに対して、布帛を相対移動させながら、インク液滴を吐出して、布帛に着弾させる。なお、前記各色のインク液滴は、別々に吐出しても、同時に吐出してもよい。発色前画像の滲みを抑制するなどの観点から、必要に応じて画像形成時に布帛を加熱してもよい。
発色工程は、布帛中に十分に染着されていない発色反応前の画像中の染料を、布帛に染着させてインク本来の色相を発色させる工程である。その方法は、従来公知の方法でよく、例えば、スチーミング法、HTスチーミング法、HPスチーミング法、サーモフィクス法、アルカリパッドスチーム法、アルカリブロッチスチーム法、アルカリショック法、またはアルカリコールドフィックス法等が含まれ、捺染インクや布帛などにより適宜選択される。例えば、ポリエステル系繊維は、HTスチーマーで高温の蒸気を当てる場合は160℃以上180℃以下で5分以上10分以下の間処理されることが好ましく;HPスチーマーで高圧の蒸気の当てる場合は130℃以上140℃以下で約30分間処理されることが好ましい。セルロース系繊維は、95℃以上105℃以下で、5分以上15分以下の間処理されることが好ましく;絹や羊毛等のアミド系繊維は、95℃以上105℃以下で、20分以上40分以下の間処理されることが好ましい。なお、発色反応前の画像が形成された布帛は直ちに発色されてもよく、時間が経過してから発色されてもよい。
洗浄工程は、布帛の発色工程後に布帛へ染着できなかった染料や前処理剤を除去する工程である。洗浄方法は、従来公知の水洗法やソーピング法等を用いることができ、インクジェットインクや布帛などの種類により適宜選択される。例えば、ポリエステル系繊維を主体とする布帛は、一般的には苛性ソーダ、界面活性剤およびハイドロサルファイトの混合液で洗浄処理されうる。
乾燥工程は、前記洗浄工程の後に行われ、洗浄された布帛を乾燥させる工程である。乾燥方法は特に限定されないが、洗浄された布帛を絞ったり、干したり、または乾燥機(ヒートロール、アイロン等)を使用して乾燥させる。
以下において、図面を参照しながら前処理工程と画像形成工程を行う装置について説明するが、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置は、これに限定されない。
(分散染料)
C.I.Disperse Blue 60
J819:JONCRYL819(BASF社製、酸価75mgKOH/g、重量平均分子量14500、Tg57℃)
N−メチルジエタノールアミン(MDA(pKa8.5)日本乳化剤株式会社製)
トリエタノールアミン(TEA(pKa7.7))
グリシルグリシン(Glygly(pKa8.2))
トリイソプロパノールアミン(TIPA(pKa8.1)ダウ・ケミカル社製)
NaOH
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP(pKa9.8))
EG:エチレングリコール
Gly:グリセリン
DPGME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
DPGPE:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル
Safynol465(アセチレンジオールにエチレンオキサイドを65%付加したもの;エアープロダクツ社製)
KF−351A(信越化学工業製)
BYK−347(ビッグケミー社製)
イオン交換水
酸価は、JISのK0070に準拠して、以下の方法で測定した。
樹脂10gを、300mlの三角フラスコに秤量し、エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒を約50ml加えて樹脂を溶解させた。次いで、この溶液を、フェノールフタレイン指示薬を用いて、予め標定された0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定した。そして、滴定に用いた水酸化カリウムエタノール溶液の量から、下記計算式(1)で酸価(mgKOH/g)を求めた。
計算式(1)
A=(B×f×5.611)/S
(式中、Aは樹脂の酸価(mgKOH/g)、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.1mol/リットル水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Sは樹脂の質量(g)、5.611は水酸化カリウムの式量の1/10の値(56.11/10)である)
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。測定条件は以下の通りとした。
(測定条件)
溶媒 : テトラヒドロフラン
カラム : 東ソー製TSKgel G4000+2500+2000HXL
カラム温度: 40℃
注入量 : 100μl
検出器 : RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ : L6000(日立製作所(株)製)
流量 : 1.0ml/min
校正曲線 : 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13のサンプルによる校正曲線を使用した。13のサンプルは、ほぼ等間隔に用いた。
(分散液1の調製)
イオン交換水77.55質量%に分散剤としてJONCRYL819を20質量%、ジメチルアミノエタノール(DMAE(pKa9.87))2.45質量%を加え、60℃に加熱しながら攪拌し、JONCRYL819の分散剤水溶液を得た。この分散剤水溶液30質量%をイオン交換水35質量%に加え、これにエチレングリコール10質量%とグリセリン5質量%、をさらに加えて混合した。この溶液にC.I.Disperse Blue 60を20質量%添加し、プレミックスした後、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、分散液1を得た。
(インク1の調製)
上記調製した分散液1を47.5質量%、塩基1としてMDAを0.65質量%、Safynol465を1質量%、防黴剤としてプロキセルGXL(ゼネカ製)を0.2質量%、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールとグリセリンを、分散液1に含まれる分と合わせてそれぞれ35質量%と5質量%となるように添加し、全体が100質量%となるようにイオン交換水をさらに加えて、攪拌した。得られた溶液を1μmのフィルターでろ過して、インク1を得た。
インク2〜13の調製
塩基1、塩基2、水溶性有機溶剤、界面活性の種類および添加量を表2に示されるように変更した以外は実施例1と同様にしてインク2〜13を調製した。なお、各実施例および比較例において、表2には示さないが、防黴剤であるプロキセルGXLをすべてのインクに0.2質量%添加した。
(前処理工程)
まず、ポリエステル布帛を用意し、下記の前処理剤を、絞り率(または付着量)が80質量%となるように施した後、60℃で乾燥させた。前処理剤は、アルギン酸ナトリウムを2.5質量%(株式会社キミカ製 アルギテックスLL)、クエン酸を0.2質量%、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.5質量%およびイオン交換水を96.8質量%を含むものを用いた。
(画像形成工程)
ノズル口径22μm、ノズル数512、最小液適量14pl、ノズル密度180dpi(なお、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)のヘッドを搭載したプリンター(コニカミノルタ社製、ナッセンジャーVII)を用いて、前処理したポリエステル布帛に1時間連続して、A4サイズのベタ画像を印刷した。その印刷が終了した後に、ノズルチェックパターンを印刷し、ノズル欠の個数を確認し、下記の評価基準に従って評価した。
◎:ノズル欠なし
○:ノズル欠1個
△:ノズル欠2個以上5個以下
×:ノズル欠が6個以上
コニカミノルタ製のインクジェットヘッド(HA−1024)を15個用意し、インク1〜13をそれぞれのヘッドに充填しキャップをし、その状態で40℃で保存した。このインクジェットヘッドを週に1回記録装置に組み込んで前記画像形成を3ヶ月間行った。次いで、3ヶ月経過後に形成した画像を評価することにより、インクジェットヘッドの長期耐久性を判定した。
△:3ヶ月経過後の画像にわずかな白スジが発生しており、部分的ではあるがインクジ
ェットヘッドの劣化が見られる
×:3ヶ月経過後の画像は白スジが多発しており、インクジェットヘッドが大きく劣化
している。
φ5cmのシャーレにインク1〜13をそれぞれ、10g入れ、ふたをせずに室温で放置し、以下の評価基準で評価した。
○:3日以上放置しても析出が見られない
△:3日以上放置すると小さな粒が数個見られる
×:3日以内に明らかに析出が見られる。
(ヘッドクリーニング液の調製)
消泡剤:シリコーン系消泡剤、東レダウコーニング社製、FSアンチフォーム92 0.30質量%
防黴剤:アーチケミカル社製、プロキセルGXL−S 0.10質量%
イオン交換水(総量を100質量%とするに必要な量) 99.60質量%
上記各添加剤を混合、攪拌して、ヘッドクリーニング液を調製した。
クリーニング機構を有するインクジェット記録装置(コニカミノルタ社製、ナッセンジャーVII)を用い、記録ヘッドとしてはコニカミノルタ製のインクジェットヘッド(HA−1024)を装備し、インク1〜13を用いた。
上記インクジェット記録装置に、インク1〜13を装填し、540dpi×720dpiの解像度、駆動電圧12.4Vの条件で、全ノズル(512ノズル)から連続30分間射出し、その後10分間休止した。この作業を1日に12回繰り返して行った。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
上記方法に従って、1日当たり12回の出射及びクリーニング操作を連続7日間行った後、記録ヘッド(512ノズル)からインク1〜13を540dpi×720dpiの解像度、駆動電圧12.4Vの条件で吐出したとき、ノズル欠を起こしているか否か、下記の評価基準で評価をした。
○:ノズル面にわずかに付着物がみられるが吐出欠はない
△:ノズル欠が1個以上5個未満のノズルで発生する
×:ノズル欠が5個以上のノズル以上発生する
(前処理工程)
まず、ポリエステル布帛を用意し、下記の前処理剤を、絞り率(または付着量)が80質量%となるように施した後、60℃で乾燥させた。前処理剤は、アルギン酸ナトリウムを2.5質量%(株式会社キミカ製 アルギテックスLL)、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.5質量%および残量はイオン交換水を含むものを用いた。
インクジェットプリンターとして、ナッセンジャーVII(コニカミノルタ社製)を用いて、前処理したポリエステル布帛にベタ画像をプリントした。
前記各ベタ画像を、HTスチーマーHT−3型(辻井染機工業製)にて、175℃で4分間と7分間スチーミングを行った後(発色工程);80℃での還元洗浄を含む洗浄を行い(洗浄工程)、乾燥させた。得られたベタ画像を目視観察し、下記の評価基準に基づいて発色性を評価した。
○:3分間の画像の方が7分間に比べてやや濃度が薄い
△:3分間の画像の方が7分間に比べて明らかに濃度が薄い
×:3分間の画像の方が7分間に比べて非常に濃度が薄い
インク1(実施例1)及びインク13(比較例3)のそれぞれに対して、水酸化ナトリウム水溶液で滴定しながら、東亜ディーケーケー株式会社のデジタルpHメーター「HM−30S」を使用して25℃でのpHを測定するという条件で、インク1(実施例1)及びインク13(比較例3)のそれぞれの滴定曲線をシミュレーションした。インク1(実施例1)及びインク13(比較例3)のそれぞれの滴定曲線のシミュレーション結果を図2に示す。
表3から明らかなように、実施例1〜10(インク1〜10)は、比較例1〜3(インク11〜13)に対して、良好な連続吐出性(ノズル欠の発生しにくさ)、ヘッド長期耐久性(白スジの発生しにくさ)、析出性(析出のしにくさ)、クリーニング性を有し、発色性については、実施例1〜10(インク1〜10)と、比較例1〜3(インク11〜13)とは同等の性能を有した。実施例2〜10(インク2〜10)は、インクのpHが7以上9以下であるため、ヘッドが腐食しにくく、ヘッド長期耐久性が良好であった。実施例4〜10(インク4〜10)は、分散剤が有する前記カルボキシル基に対してモル当量で1.5倍以上の塩基をインクが含有するため、インクを保存しても分散剤が析出しにくかった。実施例6〜10(インク6〜10)は、水溶性有機溶媒がグリコールエーテル類を含むため、クリーニング性が良好であった。実施例8〜10(インク8〜10)は、シリコーン系の界面活性剤をインクが含むため、発色性が良好であった。
2 搬送手段
5 ヘッドキャリッジ
6 温風付与手段
6A ファン
6B 発熱体
21 粘着性ベルト
22 サポートローラ
23 搬送ローラ
24 ニップローラ
Claims (7)
- 分散染料と、分散剤と、水溶性有機溶剤と、水と、少なくとも1種の塩基とを含むインクジェットインクであって、
該分散剤がカルボキシル基を有する高分子化合物を含み、
該水溶性有機溶剤の含有量が該インクジェットインクの全質量に対して10質量%以上70質量%未満であり、
該少なくとも1種の塩基の25℃での蒸気圧が1.4Pa以下であって、かつ、該少なくとも1種の塩基の25℃でのpKaが7.5以上8.6以下である、
インクジェットインク。 - 前記インクジェットインクの25℃でのpHが7以上9以下である、請求項1に記載のインクジェットインク。
- 前記インクジェットインク中の前記少なくとも1種の塩基の量が、前記分散剤が有する前記カルボキシル基に対して、モル当量で1.5倍以上である、請求項1又は2に記載のインクジェットインク。
- 前記水溶性有機溶剤が、グリコールエーテル類を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
- シリコーン系の界面活性剤を更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインクの液滴を記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程と、該記録媒体上に付着した該液滴を該記録媒体に定着させる工程とを含む、インクジェット記録方法。
- 前記記録媒体は布帛であり、
前記方法は、
前記付着させる工程の前に、布帛に前処理剤を付与する工程を含み、
前記定着させる工程の後に、布帛へ染着できなかった前記分散染料または前記前処理剤を除去する工程を含む、請求項6に記載のインクジェット記録方法。
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