JP2016042412A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高容量かつ高いサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池を提供すること。
【解決手段】正極、負極、および非水電解液を有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極は、正極活物質として、LiMn1−xM’3−α{式中、M’は、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素であり、そして0≦x<1、および0≦α<1の関係を満足する。}で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造を有するリチウム含有金属酸化物を含有する正極合剤層を有しており、前記非水電解液は、電解質塩と環状カーボネートと鎖状カーボネートとをそれぞれ少なくとも1種類以上含み、鎖状カーボネートの合計体積/環状カーボネートの合計体積=βで表されるβが3<β<5の範囲であり、そして前記電解質塩として、LiおよびBを含む化合物を、非水電解液の全体に対して0.001mol/L超過2.0mol/L未満含むことを特徴とする、前記リチウムイオン二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、高容量かつ高いサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池に関する。
近年の環境技術への関心の高まりに伴い、太陽光発電、風力発電等によって生み出された電気エネルギーの蓄電用途;電気自動車のバッテリー用途等において、蓄電デバイスに対する期待はますます高くなっている。特に、蓄電デバイスの代表であるリチウムイオン二次電池には、蓄電能力向上のために、さらなる高容量化が求められている。リチウムイオン二次電池の容量は、電池内の正極合剤層における正極活物質のリチウム含有量に支配される。そのため、リチウム含有量が多い正極活物質を用いることにより、リチウムイオン二次電池の高容量化が期待できる。
正極活物質は、一般に、1種類または複数種類のリチウム含有金属酸化物の結晶から構成される。リチウム含有金属酸化物として、組成式LiMeO{式中、MeはLi以外の1種類以上の金属元素、好ましくは遷移金属元素である。}で表される層状リチウム酸化物結晶を用いる現在のリチウムイオン二次電池の実容量は約160mAh/gであり、これ以上容量を増やすことは現実的に困難な状況になっている。かかる問題に対して、リチウム含有金属酸化物中のリチウムの含有量を増やすことによって高容量化を達成したリチウム含有金属酸化物が報告されている。
例えば非特許文献1には、組成式LiMnOで表される層状リチウム酸化物結晶が記載されている。この結晶は、前述の組成式LiMeOで表される層状リチウム酸化物結晶よりも、リチウムの含有量が多い。
特許文献1には、前述の組成式LiMeOで記載される層状リチウム酸化物結晶と、リチウムの含有量がより高い組成式LiMnOで表される層状リチウム酸化物結晶とが固溶した結晶である、組成式ωLiMeO・(1−ω)LiMnO{式中、0<ω<1である。}で表されるリチウム含有金属酸化物が記載されている。
特許文献2には、組成式LiMn2−εMe’ε{式中、Me’は、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素であり、そして0≦ε≦0.5である。}で表されるスピネル構造を有する結晶と、前述の組成式LiMnOで記載される層状リチウム酸化物結晶とが固溶した結晶である、組成式ωLiMnO・(1−ω)LiMn2−εMe’ε{式中、0<ω<1であり、Me’はMn以外の金属元素であり、そして0≦ε≦0.5である。}で表されるリチウム含有金属酸化物が記載されている。
さらに、特許文献3には、前述のLiMeOと、LiMnOと、LiMn2−εMe’εとからなる3種類の結晶を固溶させた結晶を含むリチウム含有金属酸化物が記載されている。
リチウム含有金属酸化物を構成する結晶内に、リチウムの含有量が多い組成式LiMnOで表される結晶を固溶させたこれらのリチウム含有金属酸化物は、組成式LiMeOで表される現在のリチウム含有金属酸化物よりもリチウムの含有量が多い。このような高リチウム含量の金属酸化物を正極に用いたリチウムイオン二次電池は、その実容量として約200mAh/g以上の高い数値が報告されている。
米国特許第6677082号明細書 米国特許第7635536号明細書 米国特許第7790308号明細書
Solid State Ionics Proceedings of the 13th Asian Conference(2012),pp96−101
しかしながら、組成式LiMnOで表される結晶またはその固溶体からなるリチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン二次電池は、充放電を繰り返した際の容量劣化率(サイクル特性)が悪く、現状では実用化には至っていない。その理由は定かではないが、本発明者等は次のように推測している。すなわち;
組成式LiMnOで表される結晶またはその固溶体からなるリチウム含有金属酸化物を用いた高容量のリチウムイオン二次電池においては、公知の電解液を用いた場合、該電解液の分解物由来の成分が正極表面と反応して、正極表面にリチウムの拡散を阻害する膜を形成するためであることが考えられる。従って、組成式LiMnOで表される結晶またはその固溶体からなるリチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン二次電池用に適した電解液を用いることにより、よりサイクル特性が高く、かつ高容量のリチウムイオン二次電池が提供されると期待される。
かかる事情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、高容量かつ高いサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた。その結果、
正極活物質として、組成式LiMnOで表される結晶(ここで該結晶のMnの一部を他の金属に置換してもよい)またはその固溶体からなるリチウム含有金属酸化物を用い;そして
電解液として、電解質塩と環状カーボネートと鎖状カーボネートとをそれぞれ少なくとも1種類以上含んだ非水電解液を用いるリチウムイオン二次電池において、前記電解質塩としてLiおよびBを含む化合物を用い、かつ、鎖状カーボネートの合計体積および環状カーボネートの使用比とが、ある特定の範囲にある場合に、特異的に高いサイクル特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1] 正極、負極、および非水電解液を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記正極は、正極活物質として、下記組成式(1):
LiMn1−xM’3−α・・・(1)
{式中、M’は、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素であり、そして0≦x<1、および0≦α<1の関係を満足する。}で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造を有するリチウム含有金属酸化物を含有する正極合剤層を有しており、
前記非水電解液は、電解質塩と環状カーボネートと鎖状カーボネートとをそれぞれ少なくとも1種類以上含み、下記式(2):
鎖状カーボネートの合計体積/環状カーボネートの合計体積=β・・・(2)
で表されるβが3<β<5の範囲であり、そして
前記電解質塩として、LiおよびBを含む化合物を、非水電解液の全体に対して0.001mol/L超過2.0mol/L未満含むことを特徴とする、前記リチウムイオン二次電池。
[2] 電解質塩としてのLiおよびBを含む化合物が、LiBF、Li1212−g〔gは0〜3の整数〕、LiBF(C2s+14−q〔qは1〜3の整数、sは1〜8の整数〕、LiB(C、LiBF(C)、およびLiB(Cから選ばれる少なくとも1種類以上である、[1]に記載のリチウムイオン二次電池。
[3] 前記非水電解液中の電解質塩の濃度が1.0mol/L以上2.0mol/L未満である、[1]または[2]に記載のリチウムイオン二次電池。
[4] 組成式(1)中のM’が、Ni、Co、Al、Mo、W、Ce、Nb、Mg、Fe、Cu、Ti、Sn、Pb、V、Zn、Ga、Ge、およびZrから選ばれる1種類以上の金属元素である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
[5] 前記リチウム含有金属酸化物が、
前記組成式(1)で表される層状結晶構造と、
下記組成式(3):
Li1+kMn2−yMe’4―γ・・・(3)
{式中、Me’は、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素であり、そして0≦k<1、0<y≦0.5、および0≦γ<1の関係を満足する。}で表されるスピネル結晶構造、および
下記組成式(4):
LiMeO・・・(4)
{式中、Meは、Li以外の1種類以上の金属元素である。}で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造
から選ばれる1種類以上の結晶構造と
が固溶した結晶を有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、高容量かつ高いレート特性を有するため、電気自動車用、定置型電源用、もしくはモバイル機器の電源用の電池に好適に利用可能である。
実施例1〜3および比較例1における、充放電に伴うサイクル特性を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
[電解液]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池における電解液は、電解質塩と環状カーボネートと鎖状カーボネートとをそれぞれ少なくとも1種類以上含む非水系の電解液である。
本実施形態においては、電解液中の電解質として、LiおよびBを含む化合物の1種類以上を、非水電解液の全体に対して、0.001mol/L超過2.0mol/L未満含む。LiおよびBを含む化合物としては、例えばLiBF、Li1212−g〔gは0〜3の整数〕、LiBF(C2s+14−q〔qは1〜3の整数、sは1〜8の整数〕、LiB(C、LiBF(C)、LiB(C等を挙げることができ、特にLiBF、LiBF(C)、およびLiB(Cから選ばれる1種以上を使用することが好ましい。
本実施形態における電解質塩としては、上記のようなLiおよびBを含む化合物のみを使用してもよいし、LiおよびBを含む化合物とともに、その他の電解質塩を併用してもよい。
ここで使用することのできるその他の電解質塩としては、例えばLiPF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2t+1〔tは1〜8の整数〕、LiPF(C2t+16−n[nは1〜5の整数、tは1〜8の整数〕、LiPF(C)、LiPF(C、LiAlO、LiAlCl、LiPF(C)等を挙げることができる。これらのうち、特にLiPFが好ましい。これらの電解質は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態においては、電解液中における電解質塩の濃度が、1.0mol/L以上2.0mol/L未満であると、より好適である。さらに好ましくは1.2mol/L以上1.9mol/L未満であり、最も好ましくは1.4mol/L以上1.8mol/L以下である。電解液中の電解質塩の濃度が1.0mol/L未満であると、電解質塩の濃度が低すぎてイオン伝導性が低下し、レート特性が低下する場合がある。また、電解液中の電解質塩の濃度が2.0mol/L以上であると、電解質塩の濃度が高すぎて電解液の粘度が上昇しイオン伝導性が低下して、レート特性が悪化する場合がある。
本実施形態において、LiおよびBを含む化合物の使用量は、電解質塩の全体に対して、0.1質量%以上とすることが好ましく、0.5質量%以上とすることがより好ましく、1〜25質量%とすることがより好ましく、特に2〜20質量%とすることが好ましい。
電解液中のLiおよびBを含む化合物の濃度は、0.001mol/L超過2.0mol/L未満である。該化合物の濃度の下限は、本発明の効果を有効に発現させる観点から、0.003mol/L以上とすることが好ましく、0.005mol/L以上とすることがさらに好ましく、特に好ましくは0.01mol/L以上である。該化合物の濃度の上限は、得られるリチウムイオン二次電池の内部抵抗を低く維持する観点から、0.5mol/L以下とすることがより好ましく、0.25mol/L以下とすることが特に好ましい。
本実施形態においては、電解液中の非水溶媒として、環状カーボネートを少なくとも1種類以上含む。その具体例としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、耐酸化性の観点から、好ましくはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、および4,5−ジフルオロエチレンカーボネートから成る群より選ばれる1種以上が好ましく、特に好ましくは、エチレンカーボネートである。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態においては、電解液中の非水溶媒として、鎖状カーボネートを少なくとも1種類以上含む。その具体例としては、例えばエチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち、電解液の粘度を低く保ってイオン導電性を高くするとの観点から、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートから成る群より選ばれる1種以上が好ましく、特に好ましくは、ジメチルカーボネートである。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態においては、電解液における鎖状カーボネートの合計体積を環状カーボネートの合計体積で割った値(下記式(2):
鎖状カーボネートの合計体積/環状カーボネートの合計体積=β・・・(2)
で表されるβの値)が、3より大きく5未満である。βの値は、より好ましくは3.5以上4.5未満である。該β値が3以下または5以上であると、得られる蓄電デバイスのレート特性が悪化する。この現象は、電解液中におけるLiの拡散速度の低下に起因するものと考えられる。
本実施形態の電解液における非水溶媒としては、上記の環状カーボネートおよび鎖状カーボネートのみを用いてもよいし、これら以外にその他の非水溶媒を併用してもよい。ここで使用されるその他の非水溶媒としては、電池物性改善の観点から、例えばγ−プチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン;スルホラン等の環状スルホン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルエーテル等の鎖状エ一テル;プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタン等の鎖状エーテルカーボネート化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のようなその他の非水溶媒の使用割合は、非水溶媒の全量を100質量部とした場合に、50質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましい。
[正極]
本実施形態に係る正極は、正極活物質として、下記組成式(1):
LiMn1−xM’3−α・・・(1)
{式中、M’は、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素であり、そして0≦x<1、および0≦α<1の関係を満足する。}で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造を有するリチウム含有金属酸化物を含有する正極合剤層を有している。
前記組成式(1)で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造としては、空間群
Figure 2016042412
に帰属される結晶構造でもよいし、空間群C2/mに帰属される結晶構造でもよいし、もしくは空間群P312に帰属される結晶構造でもよいし、またはこれらが混じった構造でもよい。
組成式(1)で表されるLiが層状に配列した層状構造が、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素M’を有する場合、該M’は特に限定されるものではないが、本実施形態として好ましいものは、Ni、Co、Al、Mo、W、Ce、Nb、Mg、Fe、Cu、Ti、Sn、Pb、V、Zn、Ga、Ge、およびZrから選ばれる1種以上である。なかでも、3d軌道の有効核電荷が大きい金属元素が、リチウムイオン二次電池の起電力を向上させるという点で好ましく、
有効核電荷が6以上の鉄、コバルト、およびニッケルから選ばれる1種以上がより好ましく、
最も有効核電荷が大きいニッケルが、特に好ましい。また、高容量を発現し易いとの観点からは、多くの価数状態を採れる金属元素、特に第6族の遷移金属元素であるMoおよびWから選ばれる1種以上も好ましい。
マンガンおよび金属元素M’は、組成式(1)で表されるリチウム含有金属酸化物内で均一に分散していることが好ましい。このことは、同種の金属元素が凝集していないことが好ましいことを意味する。この要件は、同種の金属元素の凝集が存在すると、その凝集部分が所望の結晶構造とは異なる構造になる可能性があるから、これを排除する趣旨である。
本実施形態における正極活物質としてのリチウム含有金属酸化物は、前記組成式(1)で表される層状結晶構造だけを有していてもよいし、
前記組成式(1)で表される層状結晶構造と、
下記組成式(3):
Li1+kMn2−yMe’4―γ・・・(3)
{式中、Me’は、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素であり、そして0≦k<1、0<y≦0.5、0≦γ<1の関係を満足する。}で表されるスピネル結晶構造、および
下記組成式(4):
LiMeO・・・(4)
{式中、Meは、Li以外の1種類以上の金属元素である。}で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造
から選ばれる1種以上の結晶構造が固溶した結晶構造を有するものであってもよい。
組成式(3)で表されるスピネル結晶構造としては、空間群
Figure 2016042412
に帰属されるディスオーダー構造でもよいし、空間群P432に帰属されるオーダー構造でもよいし、その両方の構造が混じっていてもよい。スピネル結晶構造においては、kの値は一般的なスピネルでは0であるが、リチウムを過剰に含むスピネル構造の場合、0<k<1の値をとってもよい。その際、スピネル構造の一部または全体が岩塩構造等の、立方晶、斜方晶、正方晶等の他の結晶構造に近い構造に変形してもよい。
組成式(3)で表されるスピネル構造が、マンガンおよびリチウム以外の1種類以上の金属元素Me’を有する場合、該Me’は特に限定されるものではないが、Niを含むことが好ましい。この場合、該Me’の割合を示すyの値は、0.5が最大値である。0.5を超えて、マンガンおよびリチウム以外の1種類以上の金属元素を導入しようとすると、スピネル構造ではない構造が生成してしまう可能性がある。
組成式(3)で表されるスピネル構造が含有する酸素の割合を示すγの値は、0に近い値をとる。γ=0のとき、スピネル構造中の酸素原子が入るサイトには、すべて酸素原子が入っており、酸素欠損が無い状態となる。しかしながら、実際のスピネル構造では酸素欠損が多かれ少なかれ発生し、γ>0となる場合が多い。但し、γ<1でないとスピネル構造を形成することは困難である。
組成式(4)で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造としては、空間群
Figure 2016042412
に帰属される結晶構造を有するものが好ましい。組成式(4)で表される1種類以上の金属元素Meは特に限定されるものではないが、本実施形態として好ましいものは、Mn、Ni、Co、Ti、Al、Mg、Mo、W、およびVから選ばれる1種以上である。特に、Mn,Co、およびNiから選ばれる1種以上を含有していることにより、3d軌道の有効核電荷が大きい金属元素がリチウムイオン二次電池の起電力を向上させるという点で好ましい。
なお、組成式(4)で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造においては、金属元素Meに対する酸素原子の存在比が2倍等量の表記になっている。この表記は、理想的な結晶構造の場合を示している。実際の結晶においては、製造段階または充放電過程において、若干の酸素の欠損が発生することがあり、金属元素Meに対して酸素原子が2倍等量より僅かに少なくなる場合もあるが、その場合も本実施形態に含まれる。
本実施形態に係る正極中におけるリチウム含有金属酸化物は、一般には、一次粒子と、該一次粒子が凝集した二次粒子とからなる紛体である。一次粒子は、それ自身が単結晶であってもよく、複数の単結晶が異なる面方位で結合したものであってもよい。二次粒子は、他の粒子との結合箇所がなく、1つの粒子として単離できる形態のものである。
一次粒子の平均粒子径である平均一次粒径は、特に限定されるものではない。しかしながら、平均一次粒径が大きくなりすぎると、最終的に得られるリチウム含有金属酸化物の結晶の平均一次粒径も大きくなる結果、放電時に大電流を流し難くなる。そのため、好適な平均一次粒径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。但し、平均一次粒径が小さくなりすぎると電池としての耐久性(長期保存特性、充放電の繰り返しによる劣化特性等)が悪化するため、好適な平均一次粒径は、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上である。
リチウム含有金属酸化物の結晶中で、
組成式(1)で表される層状結晶構造と、
組成式(3)で表されるスピネル結晶構造および組成式(4)で表される層状結晶構造から選ばれる1種以上の結晶構造と
が、結晶構造内でどのように固溶しているかについては、例えば以下のようにして知ることができる。すなわち、リチウム含有金属酸化物の結晶を収束イオンビーム等により厚さ約100nm以下の薄片に加工し、透過型電子顕微鏡を用いて結晶内の原子配列を観察する。特に、透過型電子顕微鏡の光学系における球面収差を補正した球面収差補正型走査透過型電子顕微鏡(Cs−STEM)およびCs−STEMに付随するエネルギー分散型X線分析装置を用いることにより、原子の配列および種類を高分解能で観察することができ、リチウム含有金属酸化物中における各結晶構造の平均サイズおよび分散状態を画像観察から求めることができる。
正極は、集電体上に正極活物質を含有する正極合剤層が形成された構成を有するものが好ましい。前述したリチウム含有金属酸化物を正極活物質として正極合剤層中に有する正極の製造方法の一例を以下に示す。
正極は、リチウム含有金属酸化物および集電体以外に、導電助剤およびバインダーを含有することが好ましい。ここで、導電助剤としては、電子を伝導できる公知のものであれば特に限定されないが、例えばグラファイト、アセチレンブラック、カーボンブラック等に代表される炭素材料が好適である。また、バインダーとしては、正極に含まれる2種類以上の構成材料を結着できるものであれば特に限定されないが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム等に代表されるポリマー材料が好適である。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。集電体としては特に限定されないが、例えば、金属箔、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル、カーボンクロス、カーボンペーパー等が好適である。前記金属箔、エキスパンドメタル、パンチメタル、および発泡メタルを構成する金属としては、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス等が好適である。
リチウム含有金属酸化物と、必要に応じて、上記の導電助剤、バインダー等を加えて混合した正極合剤を、例えばN−メチルピロリドン(NMP)のような適当な溶剤に分散させて、正極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この正極合剤含有ペーストを集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、必要に応じてこれを更に加圧して厚みを調整することによって、正極が製造される。
[負極]
本実施形態に用い得る負極としては、リチウムイオン二次電池に用いられる従来公知のものを用いることができ、特に制限されない。
負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な材料からなることが好ましい。すなわち、負極としては、
リチウム金属を用いるか、あるいは、
集電体上に、負極活物質として、炭素負極活物質、リチウムと合金形成が可能な元素を含む負極活物質、ケイ素酸化物負極活物質、スズ酸化物負極活物質、リチウム含有化合物(例えばチタン酸リチウム等)からなる負極活物質等より選ばれる1種以上の負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極が好ましい。後者の態様における負極活物質は、1種で、または2種以上を組合せて用いることが可能である。
前記の炭素負極活物質としては、例えばハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラック等が挙げられる。コークスとしては、例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等が挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。
前記のリチウムと合金形成が可能な元素を含む負極活物質としては、金属または半金属の単体であっても、合金または化合物であってもよく、また、これらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。本明細書において、「合金」には、全体として金属の性質を有するものであれば、非金属元素が含まれていてもよい。従って、本明細書における「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含まれる。金属元素および半金属元素としては、例えばチタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等が挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期表における4族または14族の金属元素および半金属元素が好ましく、特に好ましくはチタン、ケイ素、およびスズから選ばれる1種以上である。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン,ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、およびクロム(Cr)からなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、およびクロムからなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタン化合物、スズ化合物、およびケイ素化合物としては、例えば、酸素または炭素を有するものが挙げられ、チタン、スズまたはケイ素に加えて、上述の第2の構成元素を有していてもよい。
負極の製造方法の一例は、例えば以下のとおりである。
上記負極活物質に、必要に応じて、導電助剤、バインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤含有ペーストを調製する。バインダーとしては負極に含まれる2種類以上の構成材料を結着できるものであれば特に限定されない。特に、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンの架橋ゴムラテックス、アクリル系ラテックス、ポリフッ化ビニリデン等が、バインダーとして好ましい。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
次いで、この負極合剤含有ペーストを集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成する。得られた負極合剤層を、必要に応じて加圧して厚みを調整することによって、負極が製造される。負極における集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。なお、負極活物質は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
[セパレーター]
本実施形態に用い得るセパレーターとしては、リチウムイオン二次電池に用いられる従来公知のものを用いることができ、特に制限されない。中でも、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。そのようなセパレーターとしては、例えば織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。合成樹脂製微多孔膜としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、またはこれらのポリオレフィンの双方を共に含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が好適に用いられる。不織布としては、例えばガラスを含むセラミック製、ポリオレフィン製、ポリエステル製、ポリアミド製、液晶ポリエステル製、アラミド製等の耐熱樹脂製の多孔膜が用いられる。
セパレーターは、1種の微多孔膜を単層または複数積層したものであってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。
[外装体]
本実施形態のリチウムイオン二次電池に用い得る外装体は、従来公知のものを用いることができ、特に制限されない。外装体の材料としては、特に限定されないが、例えばステンレス、鉄、アルミニウム等の金属、あるいはその金属の表面を樹脂で被覆したラミネートフィルム等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<リチウム含有金属酸化物の製造>
以下の硫酸塩:
MnSO・5HO(関東化学株式会社製)2,563.5g、
NiSO・6HO(関東化学株式会社製)931.5g、および
CoSO・7HO(関東化学株式会社製)569.4g
を純水に溶解させて合計8,100mlとした水溶液Aを調製した。
炭酸ナトリウムNaCO(関東化学株式会社製)1,717.2gを純水に溶解させ、さらに28質量%アンモニア水(関東化学株式会社製)546.9mlを加えて合計8,100mlとした水溶液Bを調製した。
撹拌機構と、不活性ガスをバブリングさせる機構と、を有する反応槽中に、硫酸ナトリウムNaSO(関東化学株式会社製)710.2gを純水に溶解させて合計5,000mlとした水溶液Cを入れた。この水溶液Cに対し、撹拌下に窒素ガスを吹き込みつつ、水溶液Aおよび水溶液Bを同時に水溶液C中に滴下させ、かつ、滴下した水溶液Aおよび水溶液Bの合計と同量の液を反応槽から抜き出しつつ、水に難溶性の金属塩の粒子を反応槽中に生成させた。
300分後に滴下を止め、反応槽内の液を回収し、ろ過して、沈殿およびろ液を得た。
得られた沈殿につき、純水中で10分撹拌した後にろ過をする作業を繰り返し、ろ液の導電率が30mS/cm以下になるまで沈殿Fを洗浄した。
洗浄後の沈澱Fを80℃で真空乾燥させたもの2.00gと、平均一次粒径2μm以下に粉砕した炭酸リチウムLiCO(本荘ケミカル株式会社)0.953gと、をよく混合した後、大気中、500℃において5時間焼成した後、再度混合して、さらに大気中、900℃において5時間焼成することにより、リチウム含有金属酸化物を得た。
このリチウム含有金属酸化物についてX線構造解析を行ったところ、組成式(1):
LiMn1−xM’3−α・・・(1)
{式中、M’は、NiおよびCoから選ばれ、そして、0≦x<1、および0≦α<1の関係を満足する。}で表される層状結晶構造、および下記組成式(4):
LiMeO・・・(4)
{式中、Meは、Mn,NiおよびCoから選ばれる。}
で表される層状結晶構造の2つの結晶構造が固溶した構造を有していることが分かった。
このリチウム含有金属酸化物をマイクロウェーブ(アナリティクイエナ社製、TOPwave(登録商標))により酸分解し、ICP測定(Perkin Elmer社製、Optima8300)することにより、その金属元素の組成比が、Li:Mn:Ni:Co=0.62:0.28:0.076:0.054であることが分かった。また、上記組成式(1)中のM’としてNiが存在することが確認され、
上記組成式(4)中のMeとして、Mn、Ni、およびCoの3種の金属元素が共存していることが確認された。
<電解液の製造>
エチレンカーボネート(EC、キシダ化学株式会社製)2.64g(2mL)とジメチルカーボネート(DMC、キシダ化学株式会社製)8.55g(8mL)とを混合した混合溶媒A約4mLを、容量目盛のついた試料容器に入れた。ここに、電解質塩として、LiPF(キシダ化学株式会社製)0.957gおよびLiBF(キシダ化学株式会社製)0.0656gを入れて良く撹拌して溶解させ、さらに前記混合溶媒Aを追加して、全体の溶液の体積が5mLとなるように調整することにより、電解液を製造した。この電解液中のβ(鎖状カーボネートの合計体積/環状カーボネートの合計体積)の値は4であり、電解質塩の濃度は1.4mol/Lであった。
<リチウムイオン二次電池の製造>
本実施例においては、前述のようにして得られたリチウム含有金属酸化物を正極活物質として用いた。
この正極活物質と、
導電助剤であるグラファイトの粉末(TIMCAL社製、KS−6)およびアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、HS−100)と、
バインダーであるポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製、L#7208)と、
を固形分比として80:5:5:10の質量比で混合した。得られた混合物に、分散溶媒としてNMPを固形分30質量%となるように投入して更に混合することにより、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して、厚さ60μmの正極を得た。なお、この正極の厚さは、アルミニウム箔の厚さを含む値である。
ステンレス製の円盤型電池ケース(外装体)に、負極として直径16mmに打ち抜いたリチウム金属箔(厚さ0.5mm)を挿入した。その上からポリエチレン製微多孔膜からなるセパレーター、ガラス繊維製のセパレーター(ADVANTEC社製、GA−100、膜厚約500μm)、および直径16mmに打ち抜いた正極を、この順で挿入した。次いで、電池ケース内に、前述の電解液を1.0mL注入して、正極、負極、およびセパレーターを電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉することにより、リチウムイオン二次電池を製造した。
<電池評価>
得られたリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう。)を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)内に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、この電池を、0.1Cの定電流で充電し、4.7Vに到達した後、4.7Vの定電圧において2時間または電流が0.05mA以下になるまでの予定で充電した。本実施例においては、2時間の定電圧充電を行うこととなった。次いで、0.1Cの定電流で2.0Vまで放電した。なお、1Cとは、電池が1時間で放電される電流値である。
次に、この電池を、0.3Cの定電流で充電し、4.6Vに到達した後、4.6Vの定電圧において2時間または電流が0.05mA以下になるまでの予定で充電した後、0.3Cの定電流で2.0Vまで放電する充放電サイクルを4回行った。本実施例においては、前記の最初の4.6Vの定電圧充電が2時間の定電圧充電、2回目以降の4.6Vの定電圧充電が電流が0.05mA以下になるまでの充電を行うこととなった。 さらに、その電池を0.3Cの定電流で充電し、4.6Vに到達した後、4.6Vの定電圧において、2時間または電流が0.05mA以下になるまで充電した後、0.3Cの定電流において2.0Vまで放電する充放電サイクルを30回行った。本実施例においては、前記4.6Vの定電圧充電の時に電流が0.05mA以下になるまでの定電圧充電を行うこととなった。
各充放電サイクルにおける放電容量の計測結果を図1に示した。最初のサイクルにおける放電容量は261mAh/g、30回目のサイクルにおける放電容量は250mAh/gであった。
[実施例2]
実施例1において、LiPFの使用量を1.230gとし、LiBFの使用量を0.0843gとした他は上記実施例1と同様にして電解液を製造し、これを用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
本実施例で製造した電解液のβ値は4であり、電解質塩の濃度は1.8mol/Lであった。
本実施例で製造したリチウムイオン二次電池について、実施例1と同様にして電池評価を行った。ここで、最初の4.7V定電圧充電の条件は2時間の定電圧充電であり、
4回の充放電サイクルにおける4.6V定電圧充電の条件は、
最初の4.6の定電圧充電が2時間の定電圧充電、
2回目以降の4.6の定電圧充電は、電流が0.05mA以下になるまでの充電であり、そして
30回の充放電サイクルにおける4.6V定電圧充電の条件は、電流が0.05mA以下になるまでの定電圧充電であった。
各充放電サイクルにおける放電容量の計測結果を図1に示した。最初のサイクルにおける放電容量は261mAh/g、30回目のサイクルにおける放電容量は250mAh/gであった。
[実施例3]
実施例1において、ジメチルカーボネートの代わりにエチルメチルカーボネート(EMC、キシダ化学株式会社製)8.12g(8mL)を使用した他は上記実施例1と同様にして電解液を製造し、これを用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
本実施例で製造した電解液のβ値は4であり、電解質塩の濃度は1.4mol/Lであった。
本実施例で製造したリチウムイオン二次電池について、実施例1と同様にして電池評価を行った。ここで、最初の4.7V定電圧充電の条件は2時間の定電圧充電であり、
4回の充放電サイクルにおける4.6V定電圧充電の条件は、
最初の4.6の定電圧充電が2時間の定電圧充電、
2回目以降の4.6の定電圧充電は、電流が0.05mA以下になるまでの充電であり、そして
304回の充放電サイクルにおける4.6V定電圧充電の条件は、電流が0.05mA以下になるまでの定電圧充電であった。
各充放電サイクルにおける放電容量の計測結果を図1に示した。最初のサイクルにおける放電容量は256mAh/g、30回目のサイクルにおける放電容量は241mAh/gであった。
[比較例1]
実施例3おいて、エチレンカーボネートの使用量を5.28g(2mL)とし、
電解質塩として、LiPF0.759gのみを使用した他は上記実施例3と同様にして電解液を製造し、これを用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
本実施例で製造した電解液のβ値は2であり、電解質塩の濃度は1.0mol/Lであった。
本実施例で製造したリチウムイオン二次電池について、実施例1と同様にして電池評価を行った。ここで、最初の4.7V定電圧充電の条件は2時間の定電圧充電であり、
4回の充放電サイクルにおける4.6V定電圧充電の条件は、
最初の4.6の定電圧充電が2時間の定電圧充電、
2回目以降の4.6の定電圧充電が電流が0.05mA以下になるまでの充電であり、そして
304回の充放電サイクルにおける4.6V定電圧充電の条件は、電流が0.05mA以下になるまでの定電圧充電であった。
各充放電サイクルにおける放電容量の計測結果を図1に示した。最初のサイクルにおける放電容量は250mAh/g、30回目のサイクルにおける放電容量は235mAh/gであった。
本比較例における蓄電デバイスは、実施例1〜3の場合と比較してサイクル特性に劣ることが分かった。
本発明のリチウムイオン二次電池は、各種民生用機器用電源、定置型電源、自動車用電源等の製造において好適に利用可能である。

Claims (5)

  1. 正極、負極、および非水電解液を有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、正極活物質として、下記組成式(1):
    LiMn1−xM’3−α・・・(1)
    {式中、M’は、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素であり、そして0≦x<1、および0≦α<1の関係を満足する。}で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造を有するリチウム含有金属酸化物を含有する正極合剤層を有しており、
    前記非水電解液は、電解質塩と環状カーボネートと鎖状カーボネートとをそれぞれ少なくとも1種類以上含み、下記式(2):
    鎖状カーボネートの合計体積/環状カーボネートの合計体積=β・・・(2)
    で表されるβが3<β<5の範囲であり、そして
    前記電解質塩として、LiおよびBを含む化合物を、非水電解液の全体に対して0.001mol/L超過2.0mol/L未満含むことを特徴とする、前記リチウムイオン二次電池。
  2. 電解質塩としてのLiおよびBを含む化合物が、LiBF、Li1212−g〔gは0〜3の整数〕、LiBF(C2s+14−q〔qは1〜3の整数、sは1〜8の整数〕、LiB(C、LiBF(C)、およびLiB(Cから選ばれる少なくとも1種類以上である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記非水電解液中の電解質塩の濃度が1.0mol/L以上2.0mol/L未満である、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 組成式(1)中のM’が、Ni、Co、Al、Mo、W、Ce、Nb、Mg、Fe、Cu、Ti、Sn、Pb、V、Zn、Ga、Ge、およびZrから選ばれる1種類以上の金属元素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記リチウム含有金属酸化物が、
    前記組成式(1)で表される層状結晶構造と、
    下記組成式(3):
    Li1+kMn2−yMe’4―γ・・・(3)
    {式中、Me’は、MnおよびLi以外の1種類以上の金属元素であり、そして0≦k<1、0<y≦0.5、および0≦γ<1の関係を満足する。}で表されるスピネル結晶構造、および
    下記組成式(4):
    LiMeO・・・(4)
    {式中、Meは、Li以外の1種類以上の金属元素である。}で表されるLiが層状に配列した層状結晶構造
    から選ばれる1種類以上の結晶構造と
    が固溶した結晶を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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