JP2016037831A - 速度調整装置及びこれを備えた日射遮蔽装置 - Google Patents

速度調整装置及びこれを備えた日射遮蔽装置 Download PDF

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【課題】制動力を大きくしても振動音を抑制することが可能な速度調整装置及びこれを備えた日射遮蔽装置を提供する。【解決手段】駆動軸13の回転速度に応じて拡開するように弾性変形しながら回転する回転部材60と、回転部材60の径方向外側に設置され、拡開した回転部材60に摺接する摺接部材70と、回転部材60と摺接部材70とを収容するケース部材34と、を備える速度調整装置30であって、回転部材60は、回転中心を含む回転中心部61と、回転中心部61から径方向外側に向かって延出する第1腕部62と、第1腕部62の先端から回転方向後側に向かって延出する第2腕部63と、第2腕部63の先端に設けられたウェイト部64と、を有し、第1腕部62の幅方向中心位置を通る軸線CL1は、回転中心Oを通り軸線CL1と平行な仮想線D1に対して、回転方向前側にずれている。【選択図】図3

Description

本発明は、速度調整装置及びこれを備えた日射遮蔽装置に関し、特に、横型ブラインド、たくし上げカーテン、プリーツスクリーン等の遮蔽材を自重降下させる日射遮蔽装置に用いられる速度調整装置及びこれを備えた日射遮蔽装置に関する。
例えば特許文献1には、ボトムレールを自重降下させることによって、巻取軸に巻き取られた昇降コードを巻き戻すタイプの日射遮蔽装置が開示されている。この日射遮蔽装置は、ボトムレールの降下速度を調整するための速度調整装置を備えている。
速度調整装置は、いわゆる遠心ガバナであり、巻取軸(昇降軸)の回転速度に応じて外周方向に拡開する回転部材と、回転部材の周囲に配置され拡開する回転部材に摺接可能な摺接ケースと、を有している。回転部材は、略逆S字形状のゴム板で構成されており、孔を中心に有する回転中心軸部と、この回転中心軸部の外周から延出する2本の腕部と、この腕部の各先端部分に連続的に形成されたウェイト部とを有している。そして、回転部材は、回転することにより、ウェイト部が遠心力によって外周方向へ腕部と共に拡開し、回転が止まることにより弾性力によって元の状態に戻るようになっている。また、特許文献2にも、同様の速度調整装置が開示されている。
特許文献1,2に記載された回転部材の腕部は、回転中心部から径方向外側に向かって伸びる第1腕部と、第1腕部の先端から回転方向後ろ側に延びる第2腕部を有しており、第1腕部の幅方向中心位置を通る直線は、回転部材の回転中心を通っている。
特許第3485164号公報 特開2013-72183号公報
ところで、例えば日射遮蔽装置が大型化すると、従来の速度調整装置では制動力が不足し、遮蔽材の降下速度が大きくなる場合がある。また、遮蔽材の降下速度が大きくなると、回転部材の回転速度が大きくなり、回転部材の振動音が大きくなることがある。そのため、従来よりも制動力が大きく、振動音が小さい速度調整装置の開発が求められていた。
制動力を大きくする方法として、例えば、第1腕部の位置は変更せずに、第2腕部を伸ばしてウェイト部を第1腕部から離すことによって、遠心力を増大させるとともに第2腕部と摺接部材の接触面積を大きくすることが考えられる。しかしながら、発明者らの実験の結果、このようにすると回転部材の振動音が大きくなってしまうことが判明した。
本発明は、前記した問題を解決し、制動力を大きくしても振動音を抑制することが可能な速度調整装置及びこれを備えた日射遮蔽装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、回転軸の回転速度に応じて拡開するように弾性変形しながら回転する回転部材と、前記回転部材の径方向外側に設置され、拡開した前記回転部材に摺接する摺接部材と、前記回転部材と前記摺接部材とを収容するケース部材と、を備える速度調整装置であって、前記回転部材は、回転中心を含む回転中心部と、前記回転中心部から径方向外側に向かって延出する第1腕部と、前記第1腕部の先端から回転方向後側に向かって延出する第2腕部と、前記第2腕部の先端に設けられたウェイト部と、を有し、前記第1腕部の幅方向中心位置を通る軸線は、前記回転中心を通り前記軸線と平行な仮想線に対して、回転方向前側にずれていることを特徴とする。
発明者らによる鋭意研究の結果、第2腕部の長さ等の他の条件が同じ場合、第1腕部の幅方向中心位置を通る軸線が回転中心を通り前記軸線と平行な仮想線に対して回転方向前側にずれている構成とした方が、当該軸線が前記仮想線に一致している(軸線が回転中心を通る)構成と比較して、振動音が小さくなることが判明した。そのため、本発明によれば、第1腕部の幅方向中心位置を通る軸線が回転中心を通り前記軸線と平行な仮想線に対して回転方向前側にずれるように、第1腕部を設けることによって、例えば第2腕部を伸ばして制動力を大きくしながら振動音を抑制することができる。
また、前記第2腕部の長さ(第1腕部からウェイト部までの長さ)は、前記第1腕部の幅よりも大きい構成とするのが好ましい。このようにすれば、第2腕部が遠心力によって拡開し易くなり、第2腕部と摺接部材との接触面積が増えるので、制動力を大きくすることができる。
また、前記回転部材の厚さは、前記第1腕部の幅よりも大きい構成とするのが好ましい。このようにすれば、回転部材と摺接部材との接触面積が増えるので、制動力を大きくすることができる。
また、前記摺接部材は、前記回転部材が内部に配置される筒状部と、前記筒状部から外向きに突出し前記ケース部材に支持される複数の突出片と、を有し、前記複数の突出片は、前記突出片が前記ケース部材に支持された状態で、前記摺接部材の上下方向の剛性と水平方向の剛性とが略等しくなるように配置されている構成とするのが好ましい。このようにすれば、摺接部材の剛性が均質になるので、摺接部材の変形量の差に起因する回転部材の振動を抑制することができる。
また、本発明は、前記した速度調整装置を備えた日射遮蔽装置であって、巻取軸に昇降コードを巻き取り又は巻き戻すことで遮蔽材を昇降させる昇降装置と、前記昇降装置及び前記速度調整装置を収容するヘッドボックスと、前記ケース部材と前記ヘッドボックスとの間に介設された振動抑制部材と、を備え、前記ヘッドボックスは、上方に開口する断面溝形状のボックス本体を有し、前記振動抑制部材は、前記ケース部材の底壁と前記ボックス本体の底壁との間に配置される底壁部と、前記ケース部材の一対の側壁と前記ボックス本体の一対の側壁との間にそれぞれ配置される一対の側壁部と、を有することを特徴とする。これによれば、速度調整装置からヘッドボックス(ボックス本体)に伝わる振動を抑制することができる。また、振動抑制部材をスペーサとして利用することによって、回転軸に対する速度調整装置の位置合わせが容易になる。
また、前記振動抑制部材は、前記昇降装置に係止されている構成とするのが好ましい。具体的には、前記底壁部及び前記昇降装置のいずれか一方の下面には凹部が形成されているとともに、前記底壁部及び前記昇降装置のいずれか他方には一方に向かって突出し前記凹部に嵌合する突出部が形成され、前記突出部は、前記凹部に対して上下方向に離脱可能であり、かつ、前記底壁部と前記昇降装置との隣接方向に係止されている構成とするのが好ましい。このようにすれば、ヘッドボックスの内部で振動抑制部材が昇降装置に対して位置ずれするのを防止することができる。
また、前記速度調整装置は、前記ボックス本体の長手方向の一端側に配置され、前記ヘッドボックスは、前記ボックス本体の長手方向の一端側の開口部を閉塞するキャップ部材を有し、前記キャップ部材は、前記速度調整装置の上方を被覆する被覆部を有する構成とするのが好ましい。このようにすれば、キャップ部材の被覆部によって速度調整装置の上方を被覆することができるので、速度調整装置のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、前記ヘッドボックスは、ボックス本体の上側の開口部を閉塞する蓋部材を有し、前記被覆部の先端部は、前記蓋部材と重なっている構成とするのが好ましい。このようにすれば、蓋部材と被覆部とのつなぎ目からヘッドボックスの内部に塵埃が侵入するのを抑制することができる。また、蓋部材と被覆部とのつなぎ目を目立たなくして装置のデザイン性を向上することができる。
本発明の速度調整装置及びこれを備えた日射遮蔽装置では、制動力を大きくしても振動音を抑制することが可能となる。
本発明の実施形態に係る速度調整装置を備えた日射遮蔽装置を示した正面図である。 速度調整装置の内部を回転軸の軸線方向からみた側面図である。 回転部材の説明図であり、(a)は回転部材の回転軸線方向から見た正面図、(b)は斜視図である。 摺接部材の説明図であり、(a)は回転部材の回転軸線方向から見た正面図、(b)は(a)に示すIVb−IVb矢視断面図、(c)は平面図、である。 振動抑制部材の説明図であり、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は側面図、(d)は(c)に示すVd−Vd矢視断面図である。 カバー部材の説明図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示すVIb−VIb矢視断面図、(c)は(a)に示すVIc−VIc矢視断面図、である。
本発明の実施形態に係る速度調整装置及びこれを備えた日射遮蔽装置について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、本発明の速度調整装置を横型ブラインドに適用した場合を例として説明する。以下の説明において、「上下左右」は図1の上下左右と一致し、図1の手前側を「前」、奥側を「後」として説明する。
横型ブラインド1は、図1に示すように、窓枠に固定されるヘッドボックス2と、ヘッドボックス2の側端部から吊り下げられた無端状の操作コード3と、ヘッドボックス2から吊り下げられた昇降コード4と、ヘッドボックス2から吊り下げられたラダーコード5と、を備えている。
さらに、横型ブラインド1は、昇降コード4の下端部に取り付けられたボトムレール6と、ラダーコード5に支持された複数のスラット7(遮蔽材)と、を備えている。
ラダーコード5は、室内側と室外側とに前後一対に配置されている。前後のラダーコード5,5の間には、複数のスラット7が上下方向に等間隔に支持されている。
ヘッドボックス2は、各種装置を収容するための箱状部材である。ヘッドボックス2内には、ボトムレール6および各スラット7を昇降させるための昇降装置10と、各スラット7を傾動させるためのスラット駆動装置20と、ボトムレール6および各スラット7の降下速度を調整するための速度調整装置30と、が主に収容されている。ヘッドボックス2は、断面視で上部が開口する溝形状に形成された長尺のボックス本体2aと、ボックス本体2aの上部の開口を塞ぐ蓋部材2bと、ボックス本体2aの右端部に嵌合するキャップ部材2cと、ボックス本体2aの左端部に嵌合するキャップ部材90と、を有している。
昇降装置10は、プーリー11と、プーリー11に連結されたクラッチ機構12と、クラッチ機構12に連結された回転軸である駆動軸13と、駆動軸13に連結された巻取軸14と、巻取軸14を回転自在に支持する軸受部材15と、を備えている。
プーリー11は、ヘッドボックス2の側端部に収容されており、操作コード3の上端部が掛けられている。
クラッチ機構12は、プーリー11と駆動軸13とを連結または切り離すものである。クラッチ機構12の一方側(図1の左側)には、軸受部材15が配置されている。
軸受部材15は、底板部と、底板部に立設された左右二つの側壁と、を有しており、巻取軸14を回転自在に支持するホルダである。
また、軸受部材15の底板部において図1の右側の端部には、昇降コード4およびラダーコード5が鉛直方向に吊り下がるようにガイドする穴部が形成されている。
巻取軸14は円筒状の部材であり、巻取軸14の両端部は、軸受部材15の両側壁に回転自在に支持されている。
巻取軸14には、駆動軸13が挿通されており、駆動軸13に連動して巻取軸14が回転するように、駆動軸13と巻取軸14とが係合されている。巻取軸14には、昇降コード4の上端部が固定されている。
昇降装置10では、操作コード3を回転操作して、プーリー11を回転させると、クラッチ機構12を介して、駆動軸13および巻取軸14が回転する。
そして、巻取軸14に昇降コード4を巻き取ることで、ボトムレール6を上昇させ、ボトムレール6によって下方のスラット7から順次に各スラット7を持ち上げることで、各スラット7を上昇させることができる。
また、巻取軸14に巻き取られた昇降コード4を巻き戻して、ボトムレール6を下降させると、上方のスラット7から順次にラダーコード5に支持され、各スラット7が展開する。
ボトムレール6を下降させるときには、クラッチ機構12によって、プーリー11と駆動軸13とを切り離すことで、ボトムレール6を自重によって下降させることができる。
ヘッドボックス2内には、ボトムレール6を自重によって下降させたときに、巻取軸14にブレーキ力を付与することで、ボトムレール6の下降速度を調整する速度調整装置30が収容されている。速度調整装置30については後に詳しく説明する。
また、ヘッドボックス2内には、ボトムレール6が下降時に障害物に接触したときに、巻取軸14の回転を停止し、ボトムレール6を停止させる障害物検知停止装置(図示せず)が設けられている。本実施形態では、障害物検知停止装置は、巻取軸14の左端部の内部に設置されている。
障害物検知停止装置は、ボトムレール6が下降時に障害物に接触して、昇降コード4の張力が小さくなると、巻取軸14の端部からストッパが突出し、ストッパが軸受部材15に係合することで、巻取軸14の回転が停止するように構成されている。
スラット駆動装置20は、チルト軸21と、チルト軸21に連結されたチルトドラム22と、を備えている。
チルト軸21は、歯車機構を介してプーリー11に連結されており、プーリー11に連動して回転するように構成されている。
チルトドラム22は、巻取軸14の端部と軸受部材15の側壁との間に介設された円筒状の部材である。
チルトドラム22は、外筒部と、内筒部と、内筒部に巻き付けられたチルトスプリングと、を備えている。内筒部には歯車機構を介してチルト軸21が連結されており、内筒部はチルト軸21に連動して回転する
チルトドラム22の外筒部の外周面には、前後二本のラダーコード5,5の上端部が固定されている。
各スラット7が水平な状態において、操作コード3を回転操作して、プーリー11を回転させると、駆動軸13およびチルト軸21が回転する。そして、スラット駆動装置20では、チルト軸21に連動してチルトドラム22の外筒部が回転することで、前後のラダーコード5,5の一方は下降し、他方は上昇する。これにより、表裏のラダーコード5,5の間に支持された各スラット7が起き上がり、各スラット7の間が遮蔽された状態となる。
次に、速度調整装置30の構成について図2乃至図4を参照して詳細に説明する。
図2に示すように、速度調整装置30は、ボトムレール6の下降速度を調整する装置である。速度調整装置30は、駆動軸13の回転を入力するための入力軸31と、入力軸31に入力された回転を増速して伝達する増速輪列40と、遠心ガバナ50と、これらの部材を組み込むための樹脂製のケース部材34と、を有している。
なお、遠心ガバナ50は、増速輪列40の最終段として回転すると共に、その回転速度に応じて外周方向に拡開する回転部材60と、ケース部材34の内側に嵌め込まれ回転部材60の周囲に所定のクリアランスを持たせて配置され拡開する回転部材60に摺接可能な摺接部材70と、から構成されている。また、ケース部材34は、箱状のケース本体34aと、ケース蓋34b(図1参照)とから構成されている。
入力軸31は、駆動軸13の先端を挿入するための角型形状の挿入口36を有する中空の中空軸部31aと、この中空軸部31aに一体的に形成された入力歯車31bとを有している。この入力軸31は、ケース部材34に形成された軸受部(図示省略)に両端を回転自在に支承されている。
増速輪列40は、入力歯車31bと、入力歯車31bと係合するピニオン41と、ピニオン41と同軸上に配置されたウォームホイール42と、ウォームホイール42と係合するウォーム43と、ウォーム43と同軸上に配置された回転部材60と、から構成されている。ピニオン41及びウォームホイール42は、回転軸方向を左右方向に向けた状態で、ケース部材34に形成された軸受部(図示省略)に回転自在に支承されている。ウォーム43は、回転軸方向を前後方向に向けた状態で、ケース部材34に形成された軸受部34cに一端側を支承され、後記する摺接部材70に形成された軸受部71aに他端側を支承されている。
なお、ウォーム43の他端側には、回転部材60をウォーム43に装填するための装填用部材65が設けられている。装填用部材65は、ウォーム43に圧入等によって固定されており、回転部材60と一体に回転する。また、ピニオン41とウォームホイール42との間には、駆動軸13の巻き戻し方向の回転のみをウォームホイール42に伝達する一方向回転手段(図示省略)が介設されている。
そして、増速輪列40は、入力軸31の入力歯車31bが回転すると、この入力歯車31bの回転を受けてピニオン41が回転し、ピニオン41の回転がウォームホイール42、ウォーム43と伝達されて回転部材60を回転させるようになっている。増速輪列40は、ウォームホイール42とウォーム43の組み合わせを用いることで、増速比を例えば1:70に高めている。
ウォーム43の他端側であって摺接部材70の内部には、回転部材60が設置されている。回転部材60は、駆動軸13の回転速度に応じて拡開するように弾性変形しながら回転する部材である。図3(a)に示すように、回転部材60は、回転中心Oを含む回転中心部61と、回転中心部61から径方向外側に向かって延出する第1腕部62と、第1腕部62の先端から回転方向後側に向かって延出する第2腕部63と、第2腕部63の先端に設けられたウェイト部64と、を有している。回転部材60は、例えばゴム等の弾性部材で一体に形成されている。回転部材60は、図3(a)において反時計回りに回転する(矢印Y参照)。回転部材60は、無回転状態では摺接部材70の内周面に接触していない。
回転中心部61は、ウォーム43の他端側に連結される円筒状の部位である。回転中心部61は、装填用部材65の一部が挿入される挿入孔61aを有している。挿入孔61aの中心は、ウォーム43の回転中心Oに一致している。
第1腕部62は、回転中心部61の外周面から直線状に延出する柱状の部位である。本実施形態では、4つの第1腕部62が等間隔(90度間隔)で設けられている。第1腕部62の幅方向中心位置を通る軸線CL1は、回転中心Oを通り軸線CL1に平行な仮想線D1に対して、回転方向前側にずれて設けられている。本実施形態では、第1腕部62の回転方向後側の側面が、仮想線D1に略一致している。
第2腕部63は、それぞれの第1腕部62の先端から回転方向後側に向かって延出する円弧状の部位である。それぞれの第2腕部63の先端には、ウェイト部64が設けられている。ウェイト部64は、第2腕部63よりも幅広に形成されている。ウェイト部64の外周面は、第2腕部63の外周面と面一になっている。
第2腕部63及びウェイト部64は、回転部材60が回転したときに、遠心力によって径方向外側へ拡開するように弾性変形する。これにより、第2腕部63及びウェイト部64の外周面が、摺接部材70の内周面に摺接し、両者の摩擦によって制動力が発生する。
なお、第2腕部63の長さL2は、第1腕部62の幅W1よりも大きい。また、回転部材60の厚さT1は、第1腕部62の幅W1よりも大きい(図3(b)参照)。ここで、第2腕部63の長さL2とは、第1腕部62の回転方向後側の側面からウェイト部64までの寸法をいう。また、第1腕部62の幅W1とは、第1腕部62の回転方向前側の側面から第1腕部62の回転方向後側の側面までの寸法をいう。
図4に示すように、摺接部材70は、回転部材60が内部に配置される有底円筒形状の筒状部71と、筒状部71から上向きに突出した一対の上側突出片72と、筒状部71から下向きに突出した一対の下側突出片73と、を有している。
筒状部71の底部には、ウォーム43の他端側を支承する軸受部71aが凹設されている。筒状部71の内周面71bには、回転部材60の回転時に、拡開した第2腕部63及びウェイト部64の外周面が摺接する。
一対の上側突出片72は、筒状部71の外周面から上向きに延出する板状の部位であり、互いに左右方向に離間して配置されている。一対の上側突出片72の上端部は、筒状部71の外周面の上端部71cよりも上方に突出している。
また、一対の下側突出片73は、筒状部71の外周面から下向きに延出する板状の部位であり、互いに左右方向に離間して配置されている。一対の下側突出片73の下端部は、筒状部71の外周面の下端部71dよりも下方に突出している。
図2に示すように、一対の上側突出片72は、ケース部材34の上壁に設けられた凹溝34dに嵌合している。また、一対の下側突出片73は、ケース部材34の側壁から突出するリブ34eに設けられた凹溝34fに嵌合している。つまり、摺接部材70(より詳しくは筒状部71)は、一対の上側突出片72及び一対の下側突出片73を介してケース部材34に支持されている。
一方、図4に示すように、一対の上側突出片72の間にある筒状部71の上端部71c付近は、ケース部材34に直接支持されていない。また、一対の下側突出片73の間にある筒状部71の下端部71d付近は、ケース部材34に直接支持されていない。さらに、左右の上側突出片72と左右の下側突出片73との間にある筒状部71の左右端部71e,71f付近もケース部材34に直接支持されていない。これにより、筒状部71の上下方向の剛性と、筒状部71の左右方向(水平方向)の剛性とが略等しくなる。
図1及び図5に示すように、振動抑制部材80は、ゴム等の弾性部材で形成された略U字形状の部材であり、底壁部81と、底壁部81の両端から立ち上がる一対の側壁部82と、を主に有している。振動抑制部材80は、速度調整装置30からボックス本体2aへの振動伝達を抑制する機能と、速度調整装置30の入力軸31と駆動軸13との位置を合わせるスペーサとしての機能を有する。
底壁部81は、ケース部材34の底壁とボックス本体2aの底壁との間に配置される。底壁部81の上面には、軽量化と振動伝達抑制のための凹部81a(図5(d)参照)が形成されている。また、底壁部81の下面には、底面視T字形状を呈する係止用凹部81b(図5(b)(c)参照)が形成されている。係止用凹部81bは、底壁部81の軸受部材15側の側面に開口している。一方、軸受部材15の速度調整装置30側の下端部には、この係止用凹部81bに係合する平面視T字形状の突出部15a(図1参照)が設けられている。振動抑制部材80は、突出部15aを係止用凹部81bに嵌め込むことで、軸受部材15に係止される。
側壁部82は、ケース部材34の側壁とボックス本体2aの側壁との間に配置される。図5(d)に示すように、側壁部82の厚さ方向の中央部には、軽量化と振動伝達抑制のための中空部82aが形成されている。中空部82aは、側壁部82の上端に開口している。また、側壁部82の軸受部材15と反対側の端部には、長方体形状の突出部82bが設けられている。
図1及び図6に示すように、キャップ部材90は、速度調整装置30が設置されたボックス本体2aの左端の開口部を閉塞する樹脂製の部材である。キャップ部材90は、薄板状のキャップ本体91と、キャップ本体91の上端部からボックス本体2a側に延出する被覆部92と、キャップ本体91の左右端部からボックス本体2a側に延出する一対の側板部93と、を有している。
キャップ本体91は、正面視で略四角形状を呈する薄板状の部材である。キャップ本体91の内側面には、井桁状のリブ91aが形成されている。
被覆部92は、水平な板状の上辺部92aと、上辺部92aの前後端部から垂設された一対の側辺部92bと、側片部92bの下端から外向きに延出するフランジ部92cと、によって断面視略ハット形状に形成されている。被覆部92は、速度調整装置30の上方を被覆している。被覆部92は、ボックス本体2aの上側の開口部を閉塞する蓋部材2bよりも上方に位置している。また、被覆部92の先端部は、蓋部材2bの端部と重なっている。
側板部93は、ボックス本体2aの側壁と振動抑制部材80の側壁部82との間に挿入される。これにより、キャップ部材90がボックス本体2aに保持される。
次に、速度調整装置30及びこれを備えた横型ブラインド1の動作及び作用効果について説明する。
昇降コード4が巻取軸14に巻き取られた状態で、操作コード3を操作してクラッチ機構12を切り離すと、ボトムレール6が自重により降下し、昇降コード4が巻き戻され、巻取軸14及び駆動軸13が、昇降コード4の巻き戻し方向に回転する。
駆動軸13の回転に伴って、駆動軸13の左端部に連結された速度調整装置30の入力軸31が回転する。入力軸31の回転は、増速輪列40によって増速され、増速輪列40の最後段に連結された回転部材60が、駆動軸13の例えば70倍の速度で回転する。
回転部材60が高速で回転すると、第2腕部63及びウェイト部64に遠心力が作用し、第2腕部63及びウェイト部64が径方向外側へ向かって移動する。これにより、第2腕部63が、第1腕部62に対して拡開するように弾性変形する。
第2腕部63及びウェイト部64が拡開すると、第2腕部63及びウェイト部64の外周面が、筒状部71の内周面71bに摺接する。第2腕部63及びウェイト部64は、遠心力によって内周面71bに強く押し付けられるので、両者の間に摩擦力(制動力)が発生する。ボトムレール6が昇降コード4を引く力と摩擦力とが釣り合ったところで、ボトムレール6の降下速度は一定になる。また、第2腕部63及びウェイト部64は、筒状部71の内周面71bに摺接することで振動し、振動音を発生する。
ここで、発明者らによる実験・研究の結果、第2腕部63の長さやウェイト部64の大きさ・質量等の他の条件が同じ場合、第1腕部62の幅方向中心位置を通る軸線CL1が、回転中心Oを通り軸線CL1と平行な仮想線D1に対して回転方向前側にずれている構成とした方が、当該軸線CL1が仮想線D1に一致している(軸線CL1が回転中心Oを通る)構成と比較して、振動音が小さくなることが判明した。
そのため、本実施形態に係る速度調整装置30によれば、第1腕部62の幅方向中心位置を通る軸線CL1が、回転中心Oを通り軸線CL1と平行な仮想線D1に対して回転方向前側にずれているので、例えば第2腕部63の長さL2を伸ばして制動力を大きくしながら、軸線CL1が仮想線D1に一致している場合よりも振動音を抑制することができる。また、同じ制動力であれば、振動音を小さくすることができる。
また、第2腕部63の長さL2(第1腕部62からウェイト部64までの長さ)は、第1腕部62の幅W1よりも大きいので、第2腕部63が遠心力によって拡開し易くなり、第2腕部63と摺接部材70との接触面積が増え、制動力を大きくすることができる。
また、回転部材60の厚さT1は、第1腕部62の幅W1よりも大きいので、回転部材60と摺接部材70との接触面積が増え、制動力を大きくすることができる。
また、摺接部材70の筒状部71は、筒状部71の上端部71cの左右両側が一対の上側突出片72に支持されており、筒状部71の下端部71dの左右両側が一対の下側突出片73に支持されており、筒状部71の上下端部71c,71d付近及び筒状部71の左右端部71e,71f付近は支持されていない。
そのため、例えば、筒状部71の上下端部71c,71d付近が図示しない突出片で支持されており、筒状部71の左右端部71e,71f付近は支持されていない構成と比較して、筒状部71の上下方向と左右方向の剛性差が小さくなる。その結果、筒状部71が回転部材60に押圧されたときの、筒状部71の上下方向と左右方向の変形差が小さくなり、回転部材60の振動を抑制することができる。
また、前記した速度調整装置30を備えた横型ブラインド1は、ケース部材34とボックス本体2aとの間に介設された振動抑制部材80を備え、振動抑制部材80は、ケース部材34の底壁とボックス本体2aの底壁との間に配置される底壁部81と、ケース部材34の一対の側壁とボックス本体2aの一対の側壁との間にそれぞれ配置される一対の側壁部82と、を有するので、速度調整装置30からボックス本体2aに伝わる振動を抑制することができる。また、振動抑制部材80をスペーサとして利用することによって、駆動軸13に対する入力軸31の位置合わせが容易になる。
また、振動抑制部材80は、昇降装置10の軸受部材15に係止されている。具体的には、底壁部81の下面には係止用凹部81bが形成されているとともに、軸受部材15には振動抑制部材80に向かって突出し係止用凹部81bに嵌合する突出部15aが形成されている。そして、突出部15aは、係止用凹部81bに対して上下方向に係脱可能であり、かつ、底壁部81と軸受部材15との隣接方向に係止されている。そのため、ヘッドボックス2の内部で振動抑制部材80が軸受部材15に対して位置ずれするのを防止することができる。
また、ボックス本体2aの左端側の開口部を閉塞するキャップ部材90は、速度調整装置30の上方を被覆する被覆部92を有する。そのため、例えば、速度調整装置30の入力軸31を駆動軸13に位置合わせすることで、速度調整装置30の上端部がヘッドボックス2の蓋部材2bよりも突出してしまうような場合でも、被覆部92によって速度調整装置30の上方を被覆することができる。つまり、速度調整装置30のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、被覆部92の先端部は、蓋部材2bと重なっているので、蓋部材2bと被覆部92とのつなぎ目からヘッドボックス2の内部に塵埃が侵入するのを抑制することができる。また、蓋部材2bと被覆部92とのつなぎ目を目立たなくして横型ブラインド1のデザイン性を向上することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、本実施形態では、本発明の速度調整装置を複数のスラットを有する横型ブラインドに適用した場合について説明しているが、本発明の速度調整装置は、ローマンシェード(たくし上げカーテン)やプリーツスクリーン等の各種の日射遮蔽装置に適用することができる。
また、本実施形態では、回転部材60に4つの第1腕部62、第2腕部63及びウェイト部64を90度間隔で設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1腕部62、第2腕部63及びウェイト部64は、回転対称に設けられていればよく、例えば、180度間隔で2つ設けたり、120度間隔で3つ設けたりしてもよい。
また、本実施形態では、振動抑制部材80の底壁部81の底面に係止用凹部81bを設け、軸受部材15に突出部15aを設ける構成にしたが、これとは逆に、振動抑制部材80の底壁部81に突出部を設け、軸受部材15の底面に係止用凹部を設ける構成にしてもよい。このようにした場合でも、振動抑制部材80と軸受部材15(昇降装置10)との位置ずれを防止することができる。
1 横型ブラインド(日射遮蔽装置)
2 ヘッドボックス
4 昇降コード
7 スラット(遮蔽材)
10 昇降装置
13 駆動軸(回転軸)
30 速度調整装置
60 回転部材
61 回転中心部
62 第1腕部
63 第2腕部
64 ウェイト部
70 摺接部材
CL1 軸線
D1 仮想線
O 回転中心

Claims (9)

  1. 回転軸の回転速度に応じて拡開するように弾性変形しながら回転する回転部材と、
    前記回転部材の径方向外側に設置され、拡開した前記回転部材に摺接する摺接部材と、
    前記回転部材と前記摺接部材とを収容するケース部材と、
    を備える速度調整装置であって、
    前記回転部材は、
    回転中心を含む回転中心部と、
    前記回転中心部から径方向外側に向かって延出する第1腕部と、
    前記第1腕部の先端から回転方向後側に向かって延出する第2腕部と、
    前記第2腕部の先端に設けられたウェイト部と、を有し、
    前記第1腕部の幅方向中心位置を通る軸線は、前記回転中心を通り前記軸線と平行な仮想線に対して、回転方向前側にずれていることを特徴とする速度調整装置。
  2. 前記第2腕部の長さは、前記第1腕部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の速度調整装置。
  3. 前記回転部材の厚さは、前記第1腕部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の速度調整装置。
  4. 前記摺接部材は、前記回転部材が内部に配置される筒状部と、前記筒状部から外向きに突出し前記ケース部材に支持される複数の突出片と、を有し、
    前記複数の突出片は、前記突出片が前記ケース部材に支持された状態で、前記摺接部材の上下方向の剛性と水平方向の剛性とが略等しくなるように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の速度調整装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の速度調整装置を備えた日射遮蔽装置であって、
    巻取軸に昇降コードを巻き取り又は巻き戻すことで遮蔽材を昇降させる昇降装置と、
    前記昇降装置及び前記速度調整装置を収容するヘッドボックスと、
    前記ケース部材と前記ヘッドボックスとの間に介設された振動抑制部材と、を備え、
    前記ヘッドボックスは、上方に開口する断面溝形状のボックス本体を有し、
    前記振動抑制部材は、前記ケース部材の底壁と前記ボックス本体の底壁との間に配置される底壁部と、前記ケース部材の一対の側壁と前記ボックス本体の一対の側壁との間にそれぞれ配置される一対の側壁部と、を有することを特徴とする日射遮蔽装置。
  6. 前記振動抑制部材は、前記昇降装置に係止されていることを特徴とする請求項5に記載の日射遮蔽装置。
  7. 前記底壁部及び前記昇降装置のいずれか一方の下面には凹部が形成されているとともに、前記底壁部及び前記昇降装置のいずれか他方には一方に向かって突出し前記凹部に嵌合する突出部が形成され、
    前記突出部は、前記凹部に対して上下方向に係脱可能であり、かつ、前記底壁部と前記昇降装置との隣接方向に係止されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の日射遮蔽装置。
  8. 前記速度調整装置は、前記ボックス本体の長手方向の一端側に配置され、
    前記ヘッドボックスは、前記ボックス本体の長手方向の一端側の開口部を閉塞するキャップ部材を有し、
    前記キャップ部材は、前記速度調整装置の上方を被覆する被覆部を有することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の日射遮蔽装置。
  9. 前記ヘッドボックスは、ボックス本体の上側の開口部を閉塞する蓋部材を有し、
    前記被覆部の先端部は、前記蓋部材と重なっていることを特徴とする請求項8に記載の日射遮蔽装置。
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