JP2016037664A - オーステナイト系耐熱合金部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Ni:30.0〜70.0%、Cr:19.0〜35.0%、W:3.0〜10.0%、Ti:0.01〜3.0%、Al: 3.0%以下、B:0.0001〜0.01%、N:0.02%以下、O:0.01%以下、Ca:0〜0.05%、REM:0〜0.1%、Co:0〜25.0%、Cu:0〜1.0%、Mo:0〜10.0%、V:0〜0.5%、Nb:0〜3.0%、Zr:0〜0.5%、残部:Feおよび不純物であり、金属組織が、厚さ中央部がASTM粒度番号4.0番以下の結晶粒からなり、亀裂の内面に、Cr2O3主体の酸化スケールを形成したオーステナイト系耐熱合金部材。
【選択図】図1
Description
0<w/d≦0.5
ただし、d:亀裂の最大深さ(μm)、w:最大深さdの位置における亀裂の幅(μm)である。
化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.15%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Ni:30.0〜70.0%、
Cr:19.0〜35.0%、
W:3.0〜10.0%、
Ti:0.01〜3.0%、
Al:3.0%以下、
B:0.0001〜0.01%、
N:0.02%以下、
O:0.01%以下、
Ca:0〜0.05%、
REM:0〜0.1%、
Co:0〜25.0%、
Cu:0〜1.0%、
Mo:0〜10.0%、
V:0〜0.5%、
Nb:0〜3.0%、
Zr:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、
金属組織が、厚さ中央部がASTM粒度番号4.0番以下の結晶粒からなり、
上記亀裂のうち、下記(1)式および(2)式を満たす亀裂の内面に、下記(3)式および(4)式を満たすCr2O3主体の酸化スケールを形成した、
オーステナイト系耐熱合金部材。
40≦d≦500 ・・・(1)
0<w/d≦0.5 ・・・(2)
a/d≧0.5 ・・・(3)
a=s×{(2d/w)2+1}1/2 ・・・(4)
ただし、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
d:亀裂の最大深さ(μm)
w:最大深さdの位置における亀裂の幅(μm)
a:最大深さdの位置における酸化スケールの深さ(μm)
s:部材表面の酸化スケールの厚さ(μm)
化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.15%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Ni:40.0〜55.0%、
Cr:20.0〜35.0%、
W:3.0〜10.0%、
Ti:0.01〜1.2%、
Al:0.3%以下、
B:0.0001〜0.01%、
N:0.02%以下、
O:0.01%以下、
Ca:0〜0.05%、
REM:0〜0.1%、
Co:0〜1.0%、
Cu:0〜1.0%、
Mo:0〜1.0%、
V:0〜0.5%、
Nb:0〜0.5%、
Zr:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、
金属組織が、厚さ中央部がASTM粒度番号4.0番以下の結晶粒からなり、
表面に生成し下記(1)式および(2)式を満たす亀裂の内面に、下記(3)式および(4)式を満たすCr2O3主体の酸化スケールを形成した、
オーステナイト系耐熱合金部材。
40≦d≦500 ・・・(1)
0<w/d≦0.5 ・・・(2)
a/d≧0.5 ・・・(3)
a=s×{(2d/w)2+1}1/2 ・・・(4)
ただし、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
d:亀裂の最大深さ(μm)
w:最大深さdの位置における亀裂の幅(μm)
a:最大深さdの位置における酸化スケールの深さ(μm)
s:部材表面の酸化スケールの厚さ(μm)
(A)Ca:0.0001〜0.05%およびREM:0.001〜0.1%
(B)Co:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%およびZr:0.01〜0.5%
C:0.01〜0.15%
Cは、オーステナイトを安定にするとともに粒界に微細な炭化物を形成し、高温でのクリープ強度を向上させる。この効果を十分に得るためには、0.01%以上のC含有量が必要である。しかしながら、Cが過剰に含有された場合には、炭化物が粗大となり、かつ多量に析出するので、粒界の延性が低下し、さらに、靱性およびクリープ強度の低下も生じる。したがって、上限を設け、Cの含有量を0.01〜0.15%とする。C含有量の望ましい下限は0.03%、より望ましい下限は0.04%、さらに望ましい下限は0.05%である。また、C含有量の望ましい上限は0.12%、より望ましい上限は0.10%である。
Siは、脱酸作用を有するとともに、高温での耐食性および耐酸化性の向上に有効な元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合にはオーステナイトの安定性が低下して、靱性およびクリープ強度の低下を招く。そのため、Siの含有量に上限を設けて1.0%以下とする。Siの含有量は望ましくは0.8%以下、より望ましくは0.6%以下である。
Mnは、Siと同様、脱酸作用を有する。Mnは、オーステナイトの安定化にも寄与する。しかしながら、Mnの含有量が過剰になると脆化を招き、さらに、靱性およびクリープ延性の低下も生じる。そのため、Mnの含有量に上限を設けて2.0%以下とする。Mnの含有量は望ましくは1.8%以下、より望ましくは1.5%以下である。
Pは、不純物として合金中に含まれ、多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性を著しく低下させ、さらに、長時間使用後のクリープ延性も低下させる。そのため、Pの含有量に上限を設けて0.03%以下とする。Pの含有量は、望ましくは0.025%以下、より望ましくは0.02%以下である。
Sは、Pと同様に不純物として合金中に含まれ、多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性を著しく低下させ、さらに、長時間使用後のクリープ延性も低下させる。そのため、Sの含有量に上限を設けて0.01%以下とする。Sの含有量は、望ましくは0.008%以下、より望ましくは0.005%以下である。なお、Sの含有量は可能な限り低減することが好ましい。
Niは、オーステナイトを得るために有効な元素であり、長時間使用時の組織安定性を確保するために必須の元素である。後述の20.0〜35.0%という本発明のCr含有量の範囲で、上記したNiの効果を十分に得るためには、30.0%以上のNi含有量が必要である。しかしながら、Niは高価な元素であり、多量に含有させるとコストの増大を招く。そのため、上限を設けて、Niの含有量を30.0〜70.0%とする。Ni含有量の望ましい下限は40.0%、さらに望ましい下限は41.0%、より望ましい下限は42.0%である。また、Ni含有量の望ましい上限は55.0%、さらに望ましい上限は54.0%、より望ましい上限は53.0%である。
Crは、高温での耐酸化性および耐食性の確保のために必須の元素である。上記30.0〜70.0%という本発明のNi含有量の範囲で、上記したCrの効果を得るためには、19.0%以上のCr含有量が必要である。しかしながら、Crの含有量が35.0%を超えると、高温でのオーステナイトの安定性が劣化してクリープ強度の低下を招く。したがって、Crの含有量を19.0〜35.0%とする。Cr含有量の望ましい下限は20.0%、さらに望ましい下限は20.5%、より望ましい下限は21.0%である。また、Cr含有量の望ましい上限は34.5%、より望ましい上限は34.0%である。
Wは、マトリックスに固溶して高温でのクリープ強度の向上に大きく寄与する元素である。その効果を十分に発揮させるためには少なくとも3.0%以上のW含有量が必要である。しかしながら、Wを過剰に含有させても効果は飽和し、却ってクリープ強度を低下させる場合もある。さらに、Wは高価な元素であるため、過剰に含有させるとコストの増大を招く。そのため、上限を設けて、Wの含有量を3.0〜10.0%とする。W含有量の望ましい下限は3.5%、より望ましい下限は4.0%である。また、W含有量の望ましい上限は9.5%、より望ましい上限は9.0%である。
Tiは、微細な炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度に寄与する。その効果を得るためには0.01%以上のTi含有量が必要である。しかしながら、Tiの含有量が過剰になると炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。このため、上限を設けて、Tiの含有量を0.01〜3.0%とする。Ti含有量の望ましい下限は0.03%、より望ましい下限は0.05%である。また、Ti含有量の望ましい上限は1.2%、さらに望ましい上限は1.0%、より望ましい上限は0.8%である。
Alは、脱酸作用を有する元素である。しかしながら、Alの含有量が過剰になると合金の清浄性が著しく劣化して、熱間加工性および延性が低下する。そのため、Alの含有量に上限を設けて3.0%以下とする。Alの含有量は望ましくは0.3%以下、より望ましくは0.2%以下、さらに望ましくは0.1%以下である。
Bは、高温での使用中に粒界に偏析して粒界を強化するとともに粒界炭化物を微細分散させることにより、クリープ強度を向上させるのに必要な元素である。この効果を得るためには、B含有量を0.0001%以上とする必要がある。しかしながら、Bの含有量が過剰になると、溶接性が劣化することに加えて、熱間加工性が劣化する。そのため、上限を設けて、Bの含有量を0.0001〜0.01%とする。B含有量の望ましい下限は0.0005%、より望ましい下限は0.001%である。また、B含有量の望ましい上限は0.008%、より望ましい上限は0.006%である。
Nは、オーステナイトを安定にするのに有効な元素であるものの、過剰に含有されると、高温での使用中に多量の微細窒化物が粒内に析出してクリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、Nの含有量に上限を設けて0.02%以下とする。Nの含有量は望ましくは0.018%以下、より望ましくは0.015%以下である。
O(酸素)は、不純物として合金中に含まれ、その含有量が過剰になると熱間加工性が低下し、さらに靱性および延性の劣化を招く。このため、Oの含有量に上限を設けて0.01%以下とする。Oの含有量は望ましくは0.008%以下、より望ましくは0.005%以下である。
Caは、熱間加工性を改善する作用を有する。具体的には、Caは、CaSを生成しSの粒界偏析を抑制することで、熱間加工性を改善する効果を有する元素である。このため、Caを含有させてもよい。しかしながら、Caの含有量が過剰になるとOと結合して、清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。このため、Caを含有させる場合には、その含有量を0.05%以下とする。Ca含有量の上限は、望ましくは0.04%である。上記の効果は、Caの含有量が0.0001%以上の場合に顕著となる。
REMは、熱間加工性を改善する作用を有する。すなわち、REMは、Sとの親和力が強く、熱間加工性の向上に寄与する。このため、REMを含有させてもよい。しかしながら、REMの含有量が過剰になると、Oと結合して、清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。このため、REMを含有させる場合には、その含有量を0.1%以下とする。REM含有量の上限は、望ましくは0.08%である。上記の効果は、REMの含有量が0.001%以上の場合に顕著となる。
Coは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Coは、Niと同様オ−ステナイト生成元素であり、相安定性を高めてクリープ強度の向上に寄与する。したがって、Coを含有させてもよい。しかしながら、Coは極めて高価な元素であるため、Coの過剰の含有は大幅なコスト増を招く。このため、Coを含有させる場合には、その含有量を25.0%以下とする。Co含有量の上限は、望ましくは1.0%、より望ましくは0.8%である。上記の効果は、Coの含有量が0.001%以上の場合に顕著となる。
Cuは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Cuは、NiおよびCoと同様オ−ステナイト生成元素であり、相安定性を高めてクリープ強度の向上に寄与する。したがって、Cuを含有させてもよい。しかしながら、Cuが過剰に含有された場合には熱間加工性の低下を招く。このため、Cuを含有させる場合には、その含有量を1.0%以下とする。Cu含有量の上限は、望ましくは0.8%である。一方、上記の効果は、Cuの含有量が0.01%以上の場合に顕著となる。
Moは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Moは、マトリックスに固溶して高温でのクリープ強度を向上させる作用を有する。したがって、Moを含有させてもよい。しかしながら、Moが過剰に含有された場合にはオーステナイトの安定性が低下して、却ってクリープ強度の低下を招く。そのため、Moを含有させる場合には、その含有量を10.0%以下とする。Mo含有量の上限は、望ましくは1.0%、より望ましくは0.8%である。一方、上記の効果は、Moの含有量が0.01%以上の場合に顕著となる。
Vは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Vは、CまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物を形成し、クリープ強度を向上させる作用を有する。したがって、Vを含有させてもよい。しかしながら、Vが過剰に含有された場合、炭化物または炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性の低下を招く。そのため、Vを含有させる場合には、その含有量を0.5%以下とする。V含有量の上限は、望ましくは0.4%である。一方、上記の効果は、Vの含有量が0.01%以上の場合に顕著となる。
Nbは、Vと同様にCまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度向上に寄与する。したがって、Nbを含有させてもよい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると炭化物や炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、Nbを含有させる場合には、その含有量を3.0以下とする。Nb含有量の上限は、望ましくは0.5%、より望ましくは0.4%である。一方、上記の効果は、Nbの含有量が0.01%以上の場合に顕著となる。
Zrは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Zrは、粒界強化元素であり、高温でのクリープ強度向上に寄与し、さらに、クリープ延性の向上にも寄与する。したがって、Zrを含有させてもよい。しかしながら、Zrの含有量が0.5%を超えると熱間加工性が低下する場合がある。そのため、Zrを含有させる場合には、その含有量を0.5%以下とする。Zr含有量の上限は、望ましくは0.4%である。一方、上記の効果は、Zrの含有量が0.01%以上の場合に顕著となる。
本発明のオーステナイト系耐熱合金部材は、厚さ中央部が平均結晶粒度でASTM粒度番号4.0番以下の結晶粒からなる金属組織を有する。部材の厚さ中央部の金属組織を、平均結晶粒度でASTM粒度番号4.0番以下の粗粒組織とすることにより、優れたクリープ特性を得ることができる。本発明において、「部材の厚さ中央部」とは、部材厚さの25%となる各表面側を除外した領域をいう。
40≦d≦500
部材表面に生成する亀裂の最大深さdが40μm未満の場合、亀裂が小さく、クリープ特性の低下には影響を及ぼさない。一方、亀裂の最大深さdが500μmを超える場合、亀裂を熱処理により生じた酸化スケールで埋めるには、熱処理温度が高く、熱処理時間が長くなり、その結果、母材の性能を劣化させることとなる。さらに、亀裂の最大深さdが500μmを超えると、後述するように、亀裂の内部を酸化スケールで充填しても、クリープ特性が低下する。
亀裂の最大深さdと最大深さdの位置における亀裂の幅wの比(w/d)が0.5を超える場合には、亀裂先端の角度が大きく、亀裂が切り欠き状ではないため、亀裂先端における応力集中が小さく、亀裂がクリープ特性の低下に大きな影響を及ぼさない。しかし、比(w/d)が0.5以下の場合には、部材のクリープ特性を悪化させる。
40≦d≦500 ・・・(1)
0<w/d≦0.5 ・・・(2)
ただし、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
d:亀裂の最大深さ(μm)
w:最大深さdの位置における亀裂の幅(μm)
母材とCr2O3主体の酸化スケールとの間の密着力をF1、亀裂を進展させる力をF2、および、Cr2O3主体の酸化スケール同士の密着力をF3とすると、F1>F2≧F3という関係が成り立つ、すなわち、母材とCr2O3主体の酸化スケールとの間の密着力は他の2つの力と比べて大きい。そして、Cr2O3主体の酸化スケールを母材の亀裂の内部に充填または被覆すると、母材とCr2O3との界面近傍では、母材とCr2O3主体の酸化スケールとの間の高い密着力が亀裂を進展させる抗力として作用し、母材における亀裂の進展を抑制できる。さらに、母材とCr2O3主体の酸化スケールとの間の密着力は、母材とFe酸化物との間の密着力よりも高いため、Cr2O3主体の酸化スケールは、母材から剥離しにくい。これらのことから、亀裂の内部にCr2O3主体の酸化スケールを形成させることにより、クリープ特性の低下を抑制できる。
a/d≧0.5 ・・・(3)
a=s×{(2d/w)2+1}1/2 ・・・(4)
ただし、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
d:亀裂の最大深さ(μm)
w:最大深さdの位置における亀裂の幅(μm)
a:最大深さdの位置における酸化スケールの深さ(μm)
s:部材表面の酸化スケールの厚さ(μm)
本発明のオーステナイト系耐熱合金部材において、部材表面の亀裂の内部に酸化スケールを、上記(3)式を満たす所望の深さaとなるように形成するには、次に規定する範囲内で熱処理を施すことが好ましい。ここで、酸素含有量が最大(20体積%)の雰囲気としては、大気を用いてもよい。
雰囲気圧力:大気圧(1atm(0.1013MPa))
雰囲気の組成範囲:酸素含有量0.1〜20体積%および残部不活性ガスの混合ガス
熱処理温度:1000〜1250℃
熱処理時間:0.5〜10時間
亀裂内部の酸化スケールの深さaは、部材から採取した試料の断面を研磨して直接顕微鏡で観察することにより、測定することが可能である。また、部材の表面に生成した亀裂の最大深さdおよびそれに対応する亀裂の幅wがあらかじめ分かっている場合、亀裂の内部に酸化スケールを形成した後で亀裂部分を観察しなくても、部材の表面に生成した酸化スケールの厚さsを顕微鏡観察により測定すれば、上記(4)式にw、dおよびsの値を代入して、亀裂内部の酸化スケールの深さaを算出することも可能である。
s=(PO2+0.8)×{6×(100.0008×T−21.2×t)1/2}/(5×10−7) ・・・(5)
ここで、s:部材表面の酸化スケールの厚さ(μm)、T:熱処理温度(℃)、t:熱処理時間(h)、PO2:酸素分率(体積%、具体的には0.01体積%〜大気)である。ただし、PO2=0のときs=0である。
本発明のオーステナイト系耐熱合金部材は、熱間での塑性加工や熱処理によって金属組織が粗粒となる厚肉材、特に厚さが20mm以上の厚肉材に適用することが好ましい。金属組織が粗粒であると、粒界が弱化し、微小亀裂が発生しやすいため、微小亀裂によるクリープ特性の低下を抑制する本発明の効果がより発揮されるからである。
d.亀裂の最大深さ
s.部材表面の酸化スケールの厚さ
w.亀裂の最大深さ位置における亀裂の幅w
Claims (3)
- 表面に亀裂を有するオーステナイト系耐熱合金部材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.15%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Ni:30.0〜70.0%、
Cr:19.0〜35.0%、
W:3.0〜10.0%、
Ti:0.01〜3.0%、
Al:3.0%以下、
B:0.0001〜0.01%、
N:0.02%以下、
O:0.01%以下、
Ca:0〜0.05%、
REM:0〜0.1%、
Co:0〜25.0%、
Cu:0〜1.0%、
Mo:0〜10.0%、
V:0〜0.5%、
Nb:0〜3.0%、
Zr:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、
金属組織が、厚さ中央部がASTM粒度番号4.0番以下の結晶粒からなり、
表面に生成し下記(1)式および(2)式を満たす亀裂の内面に、下記(3)式および(4)式を満たすCr2O3主体の酸化スケールを形成した、
オーステナイト系耐熱合金部材。
40≦d≦500 ・・・(1)
0<w/d≦0.5 ・・・(2)
a/d≧0.5 ・・・(3)
a=s×{(2d/w)2+1}1/2 ・・・(4)
ただし、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
d:亀裂の最大深さ(μm)
w:最大深さdの位置における亀裂の幅(μm)
a:最大深さdの位置における酸化スケールの深さ(μm)
s:部材表面の酸化スケールの厚さ(μm) - 表面に亀裂を有するオーステナイト系耐熱合金部材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.15%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Ni:40.0〜55.0%、
Cr:20.0〜35.0%、
W:3.0〜10.0%、
Ti:0.01〜1.2%、
Al:0.3%以下、
B:0.0001〜0.01%、
N:0.02%以下、
O:0.01%以下、
Ca:0〜0.05%、
REM:0〜0.1%、
Co:0〜1.0%、
Cu:0〜1.0%、
Mo:0〜1.0%、
V:0〜0.5%、
Nb:0〜0.5%、
Zr:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、
金属組織が、厚さ中央部がASTM粒度番号4.0番以下の結晶粒からなり、
表面に生成し下記(1)式および(2)式を満たす亀裂の内面に、下記(3)式および(4)式を満たすCr2O3主体の酸化スケールを形成した、
オーステナイト系耐熱合金部材。
40≦d≦500 ・・・(1)
0<w/d≦0.5 ・・・(2)
a/d≧0.5 ・・・(3)
a=s×{(2d/w)2+1}1/2 ・・・(4)
ただし、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
d:亀裂の最大深さ(μm)
w:最大深さdの位置における亀裂の幅(μm)
a:最大深さdの位置における酸化スケールの深さ(μm)
s:部材表面の酸化スケールの厚さ(μm) - 化学組成が、質量%で、下記(A)および(B)に示す元素から選択される1種以上を含有する、請求項2に記載のオーステナイト系耐熱合金部材。
(A)Ca:0.0001〜0.05%およびREM:0.001〜0.1%
(B)Co:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%およびZr:0.01〜0.5%
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