JP2019183193A - オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼 Download PDF

Info

Publication number
JP2019183193A
JP2019183193A JP2018071533A JP2018071533A JP2019183193A JP 2019183193 A JP2019183193 A JP 2019183193A JP 2018071533 A JP2018071533 A JP 2018071533A JP 2018071533 A JP2018071533 A JP 2018071533A JP 2019183193 A JP2019183193 A JP 2019183193A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
content
less
inner layer
scale
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018071533A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7114998B2 (ja
Inventor
礼文 河内
Norifumi Kochi
礼文 河内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018071533A priority Critical patent/JP7114998B2/ja
Publication of JP2019183193A publication Critical patent/JP2019183193A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7114998B2 publication Critical patent/JP7114998B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】700℃以上の高温環境においても優れた耐水蒸気酸化性およびクリープ破断強度を有するオーステナイト系ステンレス鋼の提供。【解決手段】母材側から第1内層、第2内層、第3内層および外層の各スケールを形成し、母材は質量%で、C:0.01〜0.20%、Si≦1.0%、Mn:0.1〜0.7%、P≦0.050%、S≦0.010%、N:0.10〜0.50%、Cr:16.0〜26.0%、Ni:18.0%〜<35.0%、Nb:0.01〜1.0%、B:0.0005〜0.010%、およびMo、W、Ti、Al、Ca、Mg、Co、Cu、V、Zr、Hf、Ta、REM、Sn、Sb、Pb、As、Biから選択される1種以上、残部:Feおよび不純物で、[0.5<Mo+W/2<8.0]を満足し、第2内層スケールが[CrI2>40×MnI2]を満足し、母材の平均結晶粒度が4番以下であるオーステナイト系ステンレス鋼。【選択図】図1

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼に関する。
近年、地球温暖化等の環境問題への関心が高まっている。そのため、発電プラントには、操業時のCO排出量の低減を求められている。CO排出量を低減するため、例えば、石炭火力発電プラントでは、蒸気を高温化および高圧化することにより、発電効率を高めている。これにより、同発電量において消費する燃料を節減することができる。
発電プラントのボイラの過熱器管および再熱器管には、ボイラ用鋼管が使用される。蒸気の高温化および高圧化に伴い、ボイラ用鋼管には、従来よりも優れた性能として、高温強度、特にクリープ破断強度だけでなく、水蒸気による高温酸化への耐性(耐水蒸気酸化性)が求められる。
鋼管の耐水蒸気酸化性を高める技術について、以下のとおり提案されている。
(A)鋼組織を細粒化する技術
特許文献1に開示されたオーステナイト系ステンレス鋼管は、鋼管の平均結晶粒度番号がNo.6以下の粗粒組織と、内面鋼の結晶粒度番号がNo.7以上の細粒組織を有する。細粒層部のC+Nは0.15%以上である。
(B)表層に吹き付け加工を施す技術
特許文献2に開示されたオーステナイト系ステンレス鋼の酸化の防止法では、製造工程中の最終熱処理後または熱間仕上げによる製造工程の熱間圧延後、オーステナイト系ステンレス鋼の表面に流体による粒子吹き付けピーニング加工を実施する。
特許文献3に開示されたオーステナイト系ステンレス鋼の酸化の防止方法では、製造工程の最終熱処理後または熱間仕上げによる製造工程の熱間圧延後、炭素鋼、合金鋼またはステンレス鋼からなる粒子を用いて、所定の吹き付け圧力および吹き付け量で、流体による吹き付けピーニング加工を実施する。
特許文献4に開示されたステンレス管体処理方法では、既設ボイラから取り出したステンレス管体に対し、溶体化熱処理を施した後、内面脱スケールを目的とした化学洗浄を施す。その後、管体内面に対し、脱スケールと冷間加工層形成を目的としたショットブラスト加工とを施す。
(C)高加工度の冷間加工を付与する技術
特許文献5に開示されたボイラ用鋼管の製造方法では、質量%で5〜30%のCrを含有するフェライト系耐熱鋼管の内表面に超音波衝撃処理を施す。
特許文献6に開示された鋼管は、質量%で、Crを8〜28%含有し、鋼管内表面からの深さが20μmの位置におけるビッカース硬度が、t/2(t:鋼管の肉厚)の位置におけるビッカース硬度の1.5倍以上となるような高い加工層を有する。
(D)フェライト系耐熱鋼の耐水蒸気酸化を改善する技術
特許文献7に開示されたフェライト系耐熱鋼の加工方法では、質量%で、9.5〜15%のCrを含有するフェライト系耐熱鋼を、900℃以上の温度で焼きならし処理し、A変態点以下の温度で焼きもどし処理した後、鋼表面に粒子を吹き付けてショット加工層を形成する。
特開昭58−133352号公報 特開昭49−135822号公報 特開昭52−8930号公報 特開昭63−54598号公報 特開2004−132437号公報 特開2009−68079号公報 特開2002−285236号公報
しかしながら、特許文献1に開示された細粒鋼では、700℃以上の高温環境において、耐水蒸気酸化性が低くなる場合がある。特許文献2〜6に開示された方法で製造された鋼も同様に、700℃以上の高温環境において、耐水蒸気酸化性が低くなる場合がある。特許文献7に開示されたフェライト鋼は高温強度が低いため、700℃以上の高温環境では使用しにくい。
発電プラントでは、さらなる発電効率の向上を目的として、将来、800℃程度での操業も予想される。したがって、発電プラント用途に用いられる鋼には、700℃以上の高温環境下においても優れた耐水蒸気酸化性が要求される。
本発明は、700℃以上の高温環境においても優れた耐水蒸気酸化性およびクリープ破断強度を有するオーステナイト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記のオーステナイト系ステンレス鋼を要旨とする。
(1)母材の表面の少なくとも一部に、スケールが形成されたオーステナイト系ステンレス鋼であって、
前記スケールは、前記母材側から順に、
Crを主体とする第1内層スケール、
Cr−Mn系スピネル型酸化物を主体とする第2内層スケール、
Fe−Cr系スピネル型酸化物を主体とする第3内層スケール、および
Feを主体とする外層スケールを含み、
前記母材の化学組成が、質量%で、
C:0.01%〜0.20%、
Si:1.0%以下、
Mn:0.1〜0.7%、
P:0.050%以下、
S:0.010%以下、
N:0.10〜0.50%、
Cr:16.0〜26.0%、
Ni:18.0%以上35.0%未満、
Nb:0.01〜1.0%、
B:0.0005〜0.010%、
Mo:0〜5.0%、
W:0〜10.0%、
Ti:0〜1.0%、
Al:0〜0.3%、
Ca:0〜0.1%、
Mg:0〜0.1%、
Co:0〜10.0%、
Cu:0〜4.0%、
V:0〜1.0%、
Zr:0〜0.2%、
Hf:0〜0.2%、
Ta:0〜1.0%、
REM:0〜0.1%、
Sn:0〜0.010%、
Sb:0〜0.010%、
Pb:0〜0.001%、
As:0〜0.001%、
Bi:0〜0.001%、
残部:Feおよび不純物であり、かつ
下記(i)式を満足し、
前記第2内層スケールの化学組成が、下記(ii)式を満足し、
前記母材の平均結晶粒度が4番以下である、
オーステナイト系ステンレス鋼。
0.5<Mo+W/2<8.0 ・・・(i)
CrI2>40×MnI2 ・・・(ii)
但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
Mo:母材のMo含有量(質量%)
W:母材のW含有量(質量%)
CrI2:第2内層スケールのCr含有量(質量%)
MnI2:第2内層スケールのMn含有量(質量%)
(2)前記第2内層スケールの厚さをtI2(μm)、前記第3内層スケールの厚さをtI3(μm)とした場合に、下記(iii)式および(iv)式を満足する、
上記(1)に記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
I2<tI3 ・・・(iii)
I2+tI3≦20 ・・・(iv)
本発明によれば、700℃以上の高温環境においても優れた耐水蒸気酸化性およびクリープ破断強度を有するオーステナイト系ステンレス鋼を得ることが可能になる。
母材およびスケールの断面SEM写真である。
本発明者は、700℃での水蒸気酸化雰囲気におけるオーステナイト系ステンレス鋼の耐水蒸気酸化性およびクリープ破断強度について調査および検討を行い、以下の知見を得た。
耐水蒸気酸化性を向上させる場合には、鋼の表面にクロミア(Cr)を含む皮膜が均一に形成されるよう、鋼中のCr含有量を増加させることが有効である。
しかしながら、Cr含有量が過剰になるとオーステナイト組織の安定性が低下し、クリープ破断強度が劣化するおそれがある。そのため、Cr含有量は所定値以下に制限する必要がある。
そこで、本発明者が、耐水蒸気酸化性およびクリープ破断強度を両立する方法について検討を行ったところ、鋼中のMn含有量を制限することにより、クリープ破断強度を劣化させることなく耐水蒸気酸化性を向上させることが可能であることを見出した。
その理由は以下のように推定される。
オーステナイト系ステンレス鋼が高温水蒸気環境下に曝されると、母材の表面には、外層スケールおよび内層スケールが形成される。この時、鋼中のMn含有量が高いと、内層スケールの母材側の領域において、CrおよびMnを含むスピネル型酸化物の形成が促進される。
一方、鋼中のMn含有量が低い場合には、内層スケール中のCrおよびMnを含むスピネル型酸化物の形成が抑制され、スケールと母材との境界部にクロミアの層が均一に形成されるようになる。すなわち、CrおよびMnを含むスピネル型酸化物の形成により、クロミアの形成が阻害されると考えられる。
母材中のMn含有量を低減するとともに、事前に所定の環境下で熱処理を施し、内層スケール中のCrおよびMnを含むスピネル型酸化物の量を抑制し、クロミアの形成を促進しておくことにより、耐水蒸気酸化性を向上させることが可能になる。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.母材の化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.01〜0.20%
炭素(C)は不純物として含まれる元素である。しかし、耐熱鋼において、一般的に、Cは炭化物を形成し、クリープ強度を高める。C含有量が0.01%未満ではこの効果が得られない。一方、過剰にCが含有されると、粗大な炭化物が形成され、クリープ強度が低下する。そのため、C含有量は0.01〜0.20%とする。C含有量は0.02%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.18%以下であるのが好ましく、0.15%以下であるのがより好ましい。
Si:1.0%以下
シリコン(Si)は不可避的に含有される。Siは鋼を脱酸する。しかしながら、Si含有量が高すぎると、鋼の熱間加工性を低下する。したがって、Si含有量は1.0%以下とする。Si含有量は0.9%以下であるのが好ましく、0.8%以下であるのがより好ましい。なお、過剰の低減はコストの増大を招くため、Si含有量は0.01%以上であるのが好ましい。
Mn:0.1〜0.7%
マンガン(Mn)はSiと同様に、鋼を脱酸する。さらに、MnはSと結合してMnSを形成し、鋼の熱間加工性を高める。Mn含有量が0.1%未満ではこの効果が得られない。一方、Mn含有量が高すぎると、Cr−Mnスピネル型酸化物の形成を促進し、耐水蒸気酸化性を低下させる。Mnはさらにシグマ(σ)相の生成を促進して、鋼の熱間加工性を低下する。そのため、Mn含有量は0.1〜0.7%とする。Mn含有量は0.15%以上であるのが好ましく、0.2%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は0.65%以下であるのが好ましく、0.6%以下であるのがより好ましい。
P:0.050%以下
燐(P)は不純物である。Pは鋼の熱間加工性および延性を低下する。したがって、P含有量は0.050%以下とする。P含有量は0.030%以下であるのが好ましく、なるべく低い方が好ましい。
S:0.010%以下
硫黄(S)は不純物である。Sは鋼の熱間加工性を低下する。したがって、S含有量は0.010%以下とする。S含有量は0.008%以下であるのが好ましく、なるべく低い方が好ましい。
N:0.10〜0.50%
窒素(N)は、Nbと結合して窒化物を形成し、材料の高温クリープ強度を高める。N含有量が低すぎると上記効果が得られない。一方、窒化物は高温で長時間加熱されると凝集して粗大化する。粗大な窒化物は鋼のクリープ強度を低下する。したがって、N含有量は0.10〜0.50%とする。N含有量は0.12%以上であるのが好ましく、0.15%以上であるのがより好ましい。また、Nb含有量は0.45%以下であるのが好ましく、0.40%以下であるのがより好ましい。
Cr:16.0〜26.0%
クロム(Cr)は、鋼の耐水蒸気酸化性を高める。700℃以上の高温水蒸気環境において、Crは、鋼の表面近傍にクロミア(Cr)皮膜を形成する。鋼の表面に均一なクロミア皮膜が形成されることにより、鋼の耐水蒸気酸化性が高まる。Cr含有量が低すぎると、上記効果が得られない。一方、Cr含有量が高すぎると、組織の安定性が低下してクリープ強度が低下する。したがって、Cr含有量は16.0〜26.0%とする。Cr含有量は18.0%以上であるのが好ましく、20.0%以上であるのがより好ましい。また、Cr含有量は25.0%以下であるのが好ましく、24.0%以下であるのがより好ましい。
Ni:18.0%以上35.0%未満
ニッケル(Ni)は、オーステナイトを安定化する。Niはさらに、鋼の耐水蒸気酸化性および耐食性を高める。Ni含有量が低すぎると、これらの効果が得られない。一方、Ni含有量が高すぎると、これらの効果が飽和するだけでなく、熱間加工性の低下により製造コストが高くなる。また、必要以上のNi含有により、原料コストが高くなる。したがって、Ni含有量は18.0%以上35.0%未満とする。Ni含有量は19.0%であり、さらに好ましくは20.0%である。Ni含有量の好ましい上限は34.0%であり、さらに好ましくは33.0%である。
Nb:0.01〜1.0%
ニオブ(Nb)は、Nと結合して窒化物を形成する。Nbはさらに、NiおよびFeと結合してγ”相(NiNb)、Laves相(FeNb)をそれぞれ形成する。これらの化合物が、高温環境中において粒界および粒内に析出することで、材料の高温クリープ強度を高める。Nb含有量が低すぎると上記効果が得られない。一方、Nb含有量が高すぎると、鋼の靭性および熱間加工性が低下する。したがって、Nb含有量は0.01〜1.0%とする。Nb含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.10%以上であるのがより好ましい。また、Nb含有量は0.90%以下であるのが好ましく、0.80%以下であるのがより好ましい。
B:0.0005〜0.010%
ボロン(B)は、粒界に偏析することで粒界の強度を高める。これにより、高温でのすべり変形が抑制され、クリープ強度が高まる。B含有量が低すぎると上記効果が得られない。一方、B含有量が高すぎると、溶接時の熱影響部での溶接熱サイクルにより粒界の偏析が過剰になり、粒界の融点が低下することで液化割れ感受性が高くなる。したがって、B含有量は0.0005〜0.010%とする。B含有量は0.0008%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましい。また、B含有量は0.008%以下であるのが好ましく、0.006%以下であるのが好ましい。
Mo:0〜5.0%
W:0〜10.0%
0.5<Mo+W/2<8.0 ・・・(i)
モリブデン(Mo)およびタングステン(W)は、組織中に固溶することで固溶強化により、または微細な金属間化合物を析出することで析出強化により、鋼の高温強度を高める。これらの含有量が低すぎると上記効果が得られない。
一方、これらの含有量が高すぎると、効果が飽和するだけでなく、熱間加工性が低下する。したがって、(i)式の中辺値は0.5%を超えて8.0%未満とする。(i)式の中辺値は0.8%以上であるのが好ましく、1.0%以上であるのがより好ましい。また、(i)式の中辺値は7.8%以下であるのが好ましく、7.5%以下であるのがより好ましい。
Ti:0〜1.0%
チタン(Ti)は、Nと結合して窒化物を形成し、材料の高温クリープ強度を高める。しかしながら、Ti含有量が高すぎると、窒化物が粗大に形成し、耐応力腐食割れ性、高温強度、加工性および溶接性を低下させる。したがって、Ti含有量は1.0%以下とする。Ti含有量は0.8%以下であるのが好ましく、0.5%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ti含有量は0.001%以上であるのが好ましく、0.002%以上であるのがより好ましい。
Al:0〜0.3%
アルミニウム(Al)は、製造時に脱酸元素として機能し、鋼を清浄化する。しかしながら、Al含有量が高すぎると、非金属介在物を多量に形成し、耐応力腐食割れ性、高温強度、加工性、靱性および高温下での組織安定性を低下させる。したがって、Al含有量は0.3%以下とする。Al含有量は0.2%以下であるのが好ましく、0.1%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Al含有量は0.005%以上であるのが好ましく、0.01%以上であるのがより好ましい。
Ca:0〜0.1%
カルシウム(Ca)は、脱酸の仕上げとして添加する。しかしながら、Ca含有量が高すぎると、耐応力腐食割れ性、高温強度、加工性および靱性を低下させる。したがって、Ca含有量は0.1%以下とする。Ca含有量は0.05%以下であるのが好ましく、0.01%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ca含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
Mg:0〜0.1%
マグネシウム(Mg)は、微量の添加で、高温強度および耐食性の向上に寄与する。しかしながら、Mg含有量が高すぎると、強度、靱性、耐食性および溶接性を低下させる。したがって、Mg含有量は0.1%以下とする。Mg含有量は0.05%以下であるのが好ましく、0.01%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Mg含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
Co:0〜10.0%
コバルト(Co)は、金属組織を安定化させ、高温強度の向上に寄与する。しかしながら、Co含有量が高すぎると、効果が飽和し、コストの増大を招く。また、同一の溶解炉を用いて他の鋼を製造する際に、Coの混染を招く。したがって、Co含有量は10.0%以下とする。Co含有量は8.0%以下であるのが好ましく、7.0%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Co含有量は0.1%以上であるのが好ましく、0.5%以上であるのがより好ましい。
Cu:0〜4.0%
銅(Cu)は、微細でかつ高温で安定なCu相として析出し、650℃以下の温度域での長時間強度の向上に寄与する。しかしながら、Cu含有量が高すぎると、強度、加工性およびクリープ延性を低下させる。したがって、Cu含有量は4.0%以下とする。Cu含有量は3.0%以下であるのが好ましく、2.0%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Cu含有量は0.001%以上であるのが好ましく、0.005%以上であるのがより好ましい。
V:0〜1.0%
バナジウム(V)は、Nと結合して窒化物を形成し、材料の高温クリープ強度を高める。しかしながら、V含有量が高すぎると、窒化物が粗大に形成し、耐応力腐食割れ性、高温強度、加工性および溶接性を低下させる。したがって、V含有量は1.0%以下とする。V含有量は0.8%以下であるのが好ましく、0.5%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、V含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.05%以上であるのがより好ましい。
Zr:0〜0.2%
ジルコニウム(Zr)は、NおよびOと結合し、Zr窒化物またはZr酸化物を形成する。これらの化合物が微細な炭窒化物の析出核となり、高温クリープ強度が向上する。しかしながら、Zr含有量が高すぎると、Zr窒化物またはZr酸化物が多量に生成し、熱間加工性および溶接性を低下させる。したがって、Zr含有量は0.2%以下とする。Zr含有量は0.05%以下であるのが好ましく、0.01%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Zr含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
Hf:0〜0.2%
ハフニウム(Hf)は、Ta、REM、Zrの添加の影響を高める。しかしながら、Hf含有量が高すぎると、非金属介在物の量が増えて、強度、加工性、靱性および溶接性を低下させる。したがって、Hf含有量は0.2%以下とする。Hf含有量は0.05%以下であるのが好ましく、0.01%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Hf含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
Ta:0〜1.0%
タンタル(Ta)は、炭窒化物の微細化を促進し、高温長時間強度の向上、組織安定化に寄与する。しかしながら、Ta含有量が高すぎると析出物の生成量が多くなり、靱性の低下を招く。したがって、Ta含有量は1.0%以下とする。Ta含有量は0.8%以下であるのが好ましく、0.6%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ta含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
REM:0〜0.1%
希土類元素(REM)は、硫化物を形成し、鋼の熱間加工性を高める。REMはさらに、酸化物を形成して、耐食性、クリープ強度およびクリープ延性を高める。しかしながら、REM含有量が高すぎると酸化物が過剰に形成され、鋼の熱間加工性および溶接性が低下する。したがって、REM含有量は0.1%以下とする。REM含有量は0.05%以下であるのが好ましく、0.01%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、REM含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
なお、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REM含有量は、REMのうちの1種以上の元素の合計含有量を指す。また、REMについては一般的にミッシュメタルに含有される。このため、例えば、ミッシュメタルの形で添加して、REMの量が上記の範囲となるように調整してもよい。
Sn:0〜0.010%
Sb:0〜0.010%
Pb:0〜0.001%
As:0〜0.001%
スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)およびヒ素(As)は、鋼原料のスクラップ等から混入する可能性がある元素である。これらの元素の含有量はなるべく少ない方が好ましいが、工業的生産を考慮し、SnおよびSbは0.010%以下、PbおよびAsは0.001%以下とする。
Bi:0〜0.001%
ビスマス(Bi)は通常混入しないが、鋼原料のスクラップ等から混入する可能性がある元素である。Biは高温強度および耐応力腐食割れ性に有害な元素であるため、極力低減しなければならず、0.001%以下とする。
本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼の残部は、Feおよび不純物である。ここで、不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
2.スケール
図1に示すように、母材の表面の少なくとも一部には、外層スケールおよび内層スケールを含むスケールが形成されている。そして、内層スケールは、母材側から順に、第1内層スケール、第2内層スケールおよび第3内層スケールに区分することができる。
第1内層スケールは、スケールと母材との境界部に形成され、Crを主体とする薄い層である。例えば、第1内層スケールは、体積率で、80%以上のCrを含む。また、第2内層スケールは、Cr−Mn系スピネル型酸化物を主体とする層であり、例えば、体積率で、80%以上の(Cr,Mn)を含む。第3内層スケールは、Fe−Cr系スピネル型酸化物を主体とする層であり、例えば、体積率で、80%以上の(Fe,Cr)を含む。さらに、外層スケールは、Feを主体とする層であり、例えば、体積率で、80%以上のFeを含む。
上述のように、Crを主体とする第1内層スケールが均一に形成されることにより、耐水蒸気酸化性が向上する。ここで、第2内層スケール中のMn含有量に対するCr含有量の比を高くすると、第2内層スケールの保護性が高まる。その結果、第2内層スケールが薄く形成されるようになり、第1内層スケールの形成が促進される。一方、第2内層スケール中のCr含有量に対するMn含有量の比が高い場合、スケールの保護性が低下して、酸素透過能が増加し、第1内層スケールの形成が阻害される。
そのため、耐水蒸気酸化性に優れた鋼を得るためには、第2内層スケールの化学組成が、下記(ii)式を満足する必要がある。
CrI2>40×MnI2 ・・・(ii)
但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
CrI2:第2内層スケールのCr含有量(質量%)
MnI2:第2内層スケールのMn含有量(質量%)
また、第2内層スケール中のCr−Mn系スピネル型酸化物には、Crが多く含有されており、一方、第3内層スケール中のFe−Cr系スピネル型酸化物には、Feが多く含有されている。そのため、第3内層スケールの厚さより第2内層スケールの厚さの方が大きいと、Crの消費が過剰になり、Crを主体とする第1内層スケールが均一に形成されにくくなる。さらに、第2内層スケールおよび第3内層スケールの厚さの合計が過剰になると、スケールの剥離が生じやすくなる。
そのため、下記(iii)式および(iv)式を満足することが好ましい。
I2<tI3 ・・・(iii)
I2+tI3≦20 ・・・(iv)
但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
I2:第2内層スケールの厚さ(μm)
I3:第3内層スケールの厚さ(μm)
なお、スケールの化学組成および厚さは、以下の方法により測定するものとする。まず、鋼の断面が観察できるように試験片を切り出した後、3μm以下の粒径のダイヤモンド粒子を用いたバフ研磨仕上げを施す。そして、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、任意の1mmの範囲における断面の反射電子像を観察することにより、スケールの層構造を特定する。この際、各層を構成する酸化物の種類については、ラマン分光法により確認を行う。
その後、Cr−Mn系スピネル型酸化物を主体とする第2内層スケールと特定された領域において、エネルギー分散型X線分析(EDX)により、CrおよびMnの含有量の定量分析を行う。定量分析は任意の5点以上で行い、その平均値を採用するものとする。
また、本発明において、第2内層スケールおよび第3内層スケールの厚さは、上記の範囲内でスケールの総厚が最大となる位置におけるそれぞれの厚さ(μm)とする。
3.平均結晶粒度
所望のクリープ破断強度を得るためには、母材中のオーステナイト組織の再結晶化を促進し、組織を粗大化する必要がある。具体的には、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼においては、母材の平均結晶粒度を4番以下とする。平均結晶粒度が4番を超えると、必要なクリープ破断強度を得ることができなくなる。なお、平均結晶粒度の測定方法はJIS G0551に準拠する。
4.製造方法
本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法について説明する。なお、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、以下の方法によって製造されるものには限定されない。
まず、上述の化学組成を有する溶鋼を製造する。製造された溶鋼に対して、必要に応じて周知の脱ガス処理を実施する。
次に、溶鋼を連続鋳造法により連続鋳造材にする。連続鋳造材は、例えば、スラブ、ブルーム、ビレット等である。溶鋼を造塊法によりインゴットにしてもよい。連続鋳造材またはインゴットを周知の方法により鍛造、熱間加工、冷間加工を施すことで、任意の形状のオーステナイト系ステンレス鋼材に形成することができる。任意の形状とは、例えば、鋼管、鋼板、棒鋼、線材、鍛鋼等である。
製造されたオーステナイト系ステンレス鋼材に対して、酸素分圧が1.32×10−7〜1.17×10−5atmとなるような雰囲気中で1100〜1300℃、1〜60分間の熱処理を実施する。熱処理を施すことで、母材中のオーステナイト組織の再結晶化を促進し、クリープ破断強度を向上させるとともに、母材の表面の少なくとも一部に、好適なスケールを形成し、耐水蒸気酸化性を向上させる。
熱処理雰囲気中の水蒸気濃度が1.32×10−7atm未満では、母材の表面に好適なスケールを形成することができず、耐水蒸気酸化性が低下する。一方、1.17×10−5atmを超えると、母材の表面のスケールが粗大に形成し、かえって耐水蒸気酸化性が低下する。
また、熱処理温度が1100℃未満では、オーステナイト組織の再結晶化が不十分となり、クリープ破断強度が低下する。一方、熱処理温度が1300℃を超えると、形成されるスケールが厚くなりすぎるため、耐水蒸気酸化性が劣化する。熱処理温度は1120℃以上であるのが好ましく、1150℃以上であるのがより好ましい。また、熱処理温度は1280℃以下であるのが好ましく、1260℃以下であるのがより好ましい。
さらに、熱処理時間が1分未満では、オーステナイト組織の再結晶化が不十分となり、クリープ破断強度が低下する。一方、熱処理時間が60分を超えると、形成されるスケールが厚くなりすぎるため、耐水蒸気酸化性が劣化する。熱処理時間は2分以上であるのが好ましく、3分以上であるのがより好ましい。また、熱処理時間は45分以下であるのが好ましく、30分以下であるのがより好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する溶鋼を、真空溶解炉を用いて製造した。
表1中に示す各試験番号の溶鋼を用いて、インゴットを製造した。インゴットを熱間加工してオーステナイト系ステンレス鋼板を製造した。
次に、製造されたステンレス鋼板から、厚さ3mm、幅10mm、長さ25mmの試験片を2つずつと、厚さ8mm、幅10mm、長さ50mmの試験片を1つずつ作製した。得られた試験片の表裏面に対して、湿式研磨により#600仕上げを行った。研磨後の試験片に対して、表2に示す条件で熱処理を実施した。そして、厚さ3mmの2つの試験片については、それぞれ観察用および水蒸気酸化試験用の試験片とし、厚さ8mmの試験片については、クリープ破断試験用の試験片とした。
その後、各鋼板から得られた熱処理後の観察用試験片について、切断してから樹脂に埋め込み、断面に対して3μm以下の粒径のダイヤモンド粒子を用いたバフ研磨仕上げを施した。そして、SEMを用いて、任意の1mmの範囲における断面の反射電子像を観察することにより、スケールの層構造を特定した。この際、ラマン分光法を行うことにより、各層を構成する酸化物の種類の確認を行った。
その後、Cr−Mn系スピネル型酸化物を主体とする第2内層スケールと特定された領域において、エネルギー分散型X線分析(EDX)により、CrおよびMnの含有量の測定を行った。測定は上記の視野内の任意の10点で行い、その平均値を第2内層スケールのCr含有量(CrI2)およびMn含有量(MnI2)とした。
また、上記の視野内のスケールの総厚が最大となる位置において、第2内層スケールの厚さ(tI2)および第3内層スケールの厚さ(tI3)を求めた。
さらに、同じ観察用試験片を用いて、各試験片の母材の平均結晶粒径を測定した。具体的には、観察面を機械研磨後、腐食液を用いて腐食し、観察面の結晶粒界を現出させた。腐食した表面上の10視野において、各視野の平均結晶粒径を求めた。各視野の面積は、約0.75mmである。得られた平均結晶粒径を用いて、JIS G0551に準拠する下記式を用いて、平均結晶粒度を求めた。
指数G(ASTM)=−3.2877−6.6439log10
ここで、指数Gは平均結晶粒度、Lは平均結晶粒径(mm)を表す。
続いて、各鋼板から得られた熱処理後の水蒸気酸化試験用試験片について、以下に示す水蒸気酸化試験を実施した。試験片を治具に吊り下げて保持したまま、横型管状加熱炉に挿入した。そして、700℃で2000時間、溶存酸素量100ppbの水蒸気雰囲気中で水蒸気酸化試験を実施した。そして、試験前後の重量の差から腐食増量(mg/cm)を求めた。
さらに、各鋼板から得られた熱処理後のクリープ破断試験用試験片の厚さ方向中心部から、圧延方向が長手方向になるように、クリープ破断試験用の試験片を採取した。試験片は丸棒状であり、直径は6mm、標点間距離は30mmであった。この試験片を用いて、700〜800℃の大気雰囲気においてクリープ破断試験を行い、Larson-Millerパラメータ法を用いて700℃、1.0×10時間でのクリープ破断強度を求めた。
それらの結果を表3にまとめて示す。なお、本発明においては、腐食増量が20.0mg/cm以下である場合に、耐水蒸気酸化性に優れると判断し、クリープ破断強度が125MPa以上である場合に、クリープ破断強度に優れると判断することとした。
表3に示すように、試験No.1〜18は、本発明の規定を全て満足するため、クリープ破断強度および耐水蒸気酸化性の両方が優れる結果となった。ただし、試験No.16は熱処理時の酸素分圧が高く、試験No.17は熱処理温度が高く、試験No.18は熱処理時間が長く、それぞれ好適な製造条件から外れている。そのため、形成されるスケールの厚さが好ましい範囲から外れ、耐水蒸気酸化性が試験No.1〜15に比べてわずかに劣る結果となった。
一方、試験No.19〜21は、母材の化学組成は本発明の規定を満足するものの、製造条件が不適切であり、形成されるスケールが規定を満足しない比較例である。具体的には、試験No.19は熱処理時の酸素分圧が低すぎたため、第2内層スケール中のMn含有量に対するCr含有量の比が低くなり、耐水蒸気酸化性が劣る結果となった。また、試験No.20は熱処理温度が低く、試験No.21は熱処理時間が短いため、オーステナイト組織の再結晶化が不十分となり、クリープ破断強度が劣る結果となった。
さらに、試験No.22〜25は、母材の化学組成が本発明の規定から外れる比較例である。具体的には、試験No.22はMn含有量が高く、試験No.23はCr含有量が低いため、第2内層スケール中のMn含有量に対するCr含有量の比が低くなり、耐水蒸気酸化性が劣る結果となった。試験No.24はCr含有量が高いため、組織の安定性が低下してクリープ破断強度が劣る結果となった。そして、試験No.25はMoおよびWのいずれも含まないため、固溶強化による効果が得られず、クリープ破断強度が劣る結果となった。
本発明によれば、700℃以上の高温環境においても優れた耐水蒸気酸化性およびクリープ破断強度を有するオーステナイト系ステンレス鋼を得ることが可能になる。

Claims (2)

  1. 母材の表面の少なくとも一部に、スケールが形成されたオーステナイト系ステンレス鋼であって、
    前記スケールは、前記母材側から順に、
    Crを主体とする第1内層スケール、
    Cr−Mn系スピネル型酸化物を主体とする第2内層スケール、
    Fe−Cr系スピネル型酸化物を主体とする第3内層スケール、および
    Feを主体とする外層スケールを含み、
    前記母材の化学組成が、質量%で、
    C:0.01%〜0.20%、
    Si:1.0%以下、
    Mn:0.1〜0.7%、
    P:0.050%以下、
    S:0.010%以下、
    N:0.10〜0.50%、
    Cr:16.0〜26.0%、
    Ni:18.0%以上35.0%未満、
    Nb:0.01〜1.0%、
    B:0.0005〜0.010%、
    Mo:0〜5.0%、
    W:0〜10.0%、
    Ti:0〜1.0%、
    Al:0〜0.3%、
    Ca:0〜0.1%、
    Mg:0〜0.1%、
    Co:0〜10.0%、
    Cu:0〜4.0%、
    V:0〜1.0%、
    Zr:0〜0.2%、
    Hf:0〜0.2%、
    Ta:0〜1.0%、
    REM:0〜0.1%、
    Sn:0〜0.010%、
    Sb:0〜0.010%、
    Pb:0〜0.001%、
    As:0〜0.001%、
    Bi:0〜0.001%、
    残部:Feおよび不純物であり、かつ
    下記(i)式を満足し、
    前記第2内層スケールの化学組成が、下記(ii)式を満足し、
    前記母材の平均結晶粒度が4番以下である、
    オーステナイト系ステンレス鋼。
    0.5<Mo+W/2<8.0 ・・・(i)
    CrI2>40×MnI2 ・・・(ii)
    但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
    Mo:母材のMo含有量(質量%)
    W:母材のW含有量(質量%)
    CrI2:第2内層スケールのCr含有量(質量%)
    MnI2:第2内層スケールのMn含有量(質量%)
  2. 前記第2内層スケールの厚さをtI2(μm)、前記第3内層スケールの厚さをtI3(μm)とした場合に、下記(iii)式および(iv)式を満足する、
    請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
    I2<tI3 ・・・(iii)
    I2+tI3≦20 ・・・(iv)
JP2018071533A 2018-04-03 2018-04-03 オーステナイト系ステンレス鋼 Active JP7114998B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018071533A JP7114998B2 (ja) 2018-04-03 2018-04-03 オーステナイト系ステンレス鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018071533A JP7114998B2 (ja) 2018-04-03 2018-04-03 オーステナイト系ステンレス鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019183193A true JP2019183193A (ja) 2019-10-24
JP7114998B2 JP7114998B2 (ja) 2022-08-09

Family

ID=68339932

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018071533A Active JP7114998B2 (ja) 2018-04-03 2018-04-03 オーステナイト系ステンレス鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7114998B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110835673A (zh) * 2019-12-09 2020-02-25 中航沈飞民用飞机有限责任公司 一种防止不锈钢热处理氧化的方法
CN110964990A (zh) * 2019-11-11 2020-04-07 南京工程学院 核电用高性能大直径厚壁奥氏体不锈钢锻管及其短流程制备方法
JP7372537B2 (ja) 2019-12-27 2023-11-01 日本製鉄株式会社 オーステナイト系耐熱鋼

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6411950A (en) * 1987-07-03 1989-01-17 Nippon Steel Corp High-strength austenitic heat-resistant steel reduced in si content
JP2004250783A (ja) * 2003-01-29 2004-09-09 Sumitomo Metal Ind Ltd オーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JP2014515436A (ja) * 2011-05-26 2014-06-30 ユナイテッド・パイプラインズ・アジア・パシフィック・プライベイト・リミテッド オーステナイト系ステンレス鋼
JP2016037664A (ja) * 2014-08-06 2016-03-22 新日鐵住金株式会社 オーステナイト系耐熱合金部材
WO2016204005A1 (ja) * 2015-06-15 2016-12-22 新日鐵住金株式会社 高Cr系オーステナイトステンレス鋼
JP2017020105A (ja) * 2015-07-10 2017-01-26 新日鐵住金株式会社 オーステナイト系耐熱鋼及びオーステナイト系伝熱部材

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6411950A (en) * 1987-07-03 1989-01-17 Nippon Steel Corp High-strength austenitic heat-resistant steel reduced in si content
JP2004250783A (ja) * 2003-01-29 2004-09-09 Sumitomo Metal Ind Ltd オーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JP2014515436A (ja) * 2011-05-26 2014-06-30 ユナイテッド・パイプラインズ・アジア・パシフィック・プライベイト・リミテッド オーステナイト系ステンレス鋼
JP2016037664A (ja) * 2014-08-06 2016-03-22 新日鐵住金株式会社 オーステナイト系耐熱合金部材
WO2016204005A1 (ja) * 2015-06-15 2016-12-22 新日鐵住金株式会社 高Cr系オーステナイトステンレス鋼
JP2017020105A (ja) * 2015-07-10 2017-01-26 新日鐵住金株式会社 オーステナイト系耐熱鋼及びオーステナイト系伝熱部材

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110964990A (zh) * 2019-11-11 2020-04-07 南京工程学院 核电用高性能大直径厚壁奥氏体不锈钢锻管及其短流程制备方法
CN110835673A (zh) * 2019-12-09 2020-02-25 中航沈飞民用飞机有限责任公司 一种防止不锈钢热处理氧化的方法
JP7372537B2 (ja) 2019-12-27 2023-11-01 日本製鉄株式会社 オーステナイト系耐熱鋼

Also Published As

Publication number Publication date
JP7114998B2 (ja) 2022-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6787483B2 (ja) マルテンサイトステンレス鋼材
JP6819700B2 (ja) Ni基耐熱合金部材およびその製造方法
JP6966006B2 (ja) マルテンサイトステンレス鋼材
JP6904359B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
JP6244938B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手
JP4007241B2 (ja) 高温強度と耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼ならびにこの鋼からなる耐熱耐圧部材とその製造方法
US20190284666A1 (en) NiCrFe Alloy
JP6614347B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
JPWO2019131954A1 (ja) オーステナイト系耐熱合金
JP5018863B2 (ja) 耐アルカリ性に優れた二相ステンレス鋼
KR101539520B1 (ko) 2상 스테인리스강
JP7114998B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
JP6520546B2 (ja) オーステナイト系耐熱合金部材およびその製造方法
JP6816779B2 (ja) オーステナイト系耐熱合金部材およびその製造方法
JP2021127517A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼材
JP5782753B2 (ja) 高Cr高Ni合金管の製造方法および高Cr高Ni合金
WO2020067444A1 (ja) オーステナイト系合金
JPWO2019098233A1 (ja) 2相ステンレス鋼及び2相ステンレス鋼の製造方法
JP6672620B2 (ja) 油井用ステンレス鋼及び油井用ステンレス鋼管
JP6627662B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
JP7131318B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
JP7256435B1 (ja) 二相ステンレス鋼材
JP6575265B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
JP6575266B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
WO2023170935A1 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220628

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220711

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7114998

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151