JP2016035244A - パティキュレートフィルタの異常判定装置 - Google Patents

パティキュレートフィルタの異常判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関の排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの異常判定を行う装置であって、再生回数による前後差圧のばらつきがあっても誤診断を防止する。
【解決手段】排ガス流量Vに対するフィルタ再生回数による前後差圧のばらつきの関係から、異常判定装置を構成する異常判定部は、フィルタ再生回数が所定回数よりも少ない場合には、排ガス流量Vが所定の第1流量Vc以上で取得したパティキュレートフィルタの前後差圧相関値と所定の第1閾値ΔPth1との比較結果でパティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定する。一方、前記再生回数が所定回数以上である場合には、排ガス流量Vが第1流量Vcよりも小さい所定の第2流量Vb以上で取得した前後差圧相関値と所定の第2閾値ΔPth2との比較結果に基づいてパティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の排気通路に配設されたパティキュレートフィルタに異常(故障)が発生しているか否かを判定するパティキュレートフィルタの異常判定装置に関する。
従来から、内燃機関(特に、ディーゼル機関)の排気通路には同機関から排出される微粒子(PM)を捕集する「パティキュレートフィルタ」が配設されている。このフィルタがディーゼル機関に適用されるとき、このフィルタは「DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)」と称呼されている。
このようなパティキュレートフィルタは、一般に、ウォールフロータイプのフィルタである。即ち、パティキュレートフィルタは、その内部に設けられた多孔質の隔壁を排ガスが通過する際、その排ガス中に含まれる微粒子を捕集する。パティキュレートフィルタは、流路抵抗を生じせしめるフィルタであり、排ガスがパティキュレートフィルタを通過している場合、パティキュレートフィルタの前後差圧(フィルタの入口側と出口側の圧力との差であり、以下、単に「前後差圧」とも称呼する。)は、微粒子の捕集量が少ない場合においてもある程度の値となる。
これに対し、パティキュレートフィルタが破損した場合には前後差圧が小さくなる。そこで、従来の装置は、パティキュレートフィルタの前後差圧を用いてパティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定するように構成されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2011−252423号公報
ところで、パティキュレートフィルタの前後差圧は個々のパティキュレートフィルタごとにばらつき(以下、「個体ばらつき」とも称呼する。)を有する。発明者の実験によれば、未使用のパティキュレートフィルタに微粒子が堆積し始めてから同フィルタの初回の再生処理(以下、「フィルタ再生処理」とも称呼する。)がなされるまでの期間、この個体ばらつきの程度が顕著に大きいことが判明した。更に1回のフィルタ再生処理から次回のフィルタ再生処理までを1回のサイクルとすると、このサイクルを1乃至数回実行することによって、この個体ばらつきが小さくなることが判明した。この理由は定かではないが、未使用のパティキュレートフィルタには隔壁の表層部及び細孔部に微粒子がまったく存在していないので、微粒子の捕集の状態(態様)が安定しないことと相関があると推察される。
より具体的に述べると、新たに装着されたパティキュレートフィルタが、隔壁の表層部には微粒子が堆積し易いが、隔壁の細孔部には微粒子が堆積しにくい傾向を示すフィルタであった場合、比較的排ガスの流れは妨げられにくい。その結果、正常なパティキュレートフィルタであってもある排ガス流量に対しその前後差圧が比較的低くなることが考えられる。このようなパティキュレートフィルタについて「異常判定」をその前後差圧を用いて行うと、正常品の前後差圧と異常品の前後差圧とが同程度になってしまうことがある。つまり、パティキュレートフィルタが正常品であるにもかかわらず、誤って異常が発生していると判定されてしまう。
本発明は上述した課題に対処するために為されたものであって、その目的は、上述した「前後差圧を用いた異常判定」を行う装置であって、正常品を異常品であると誤って判定する可能性が小さいパティキュレートフィルタの「異常判定装置」を提供することにある。
本発明の、内燃機関の排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの「異常判定装置」は、差圧取得部と、ガス流量取得部と、フィルタ設置信号検出部と、計数部と、異常判定部と、を備える。
前記差圧取得部は、前記パティキュレートフィルタの前後差圧を取得する。前記差圧取得部は、パティキュレートフィルタの上流圧(入口側圧力)と下流圧(出口側圧力)との差圧を検出する周知の差圧センサであってもよい。或いは、前記差圧取得部は、パティキュレートフィルタの上流圧を検出する圧力センサの出力と、パティキュレートフィルタの下流圧を検出する圧力センサの出力と、に基づいてパティキュレートフィルタの前後差圧を取得する装置であってもよい。
前記ガス流量取得部は、前記パティキュレートフィルタを通過するガスの流量である通過ガス流量(例えば、体積流量)を取得する。前記ガス流量取得部は、パティキュレートフィルタの上流ガス流量(入口側流量)を直接取得(計測)する装置(例えば、体積流量計)であってもよい。或いは、前記ガス流量取得部は、吸気通路に配設されたエアフローメータによって検出される吸気量、吸気温度及びパティキュレートフィルタの上流温度(入口側温度)等に基づいて通過ガス流量を取得(推定)するものであってもよい。
前記フィルタ設置判定部は、前記パティキュレートフィルタが前記排気通路に最初に設置されたか又は新品に交換された可能性があるか否かを判定する。例えば、パティキュレートフィルタの排気通路への設置又は交換作業は、一般には車両のバッテリと車両の電気系統とを切り離した状態にて行われる。従って、前記フィルタ設置判定部は、車両の電気系統に供給される電力が遮断された後に再び供給され始めたか否かを判定し、電力が再び供給され始めたときにパティキュレートフィルタが設置又は交換された可能性があると判定してもよい。代替えとして、パティキュレートフィルタが排気通路に最初に設置されたか又は新品に交換されたとき、作業者により操作されるか、又は、パティキュレートフィルタの排気通路への設置により自動的に操作される「スイッチ」を設けておき、そのスイッチの状態変化に基づいて上記判定を行ってもよい。
前記計数部は、前記パティキュレートフィルタが前記排気通路に最初に設置されたか又は新品に交換された可能性があるとの判定がなされた時点から次に同判定がなされる時点までに実行される同パティキュレートフィルタの再生の回数であるフィルタ再生回数を計数する。前記計数部は、周知のカウンタ回路であってもよい。フィルタ再生は周知のようにパティキュレートフィルタに堆積した微粒子による目詰まりを解消するために行われる。フィルタ再生は、パティキュレートフィルタを通過する排ガスを昇温して、パティキュレートフィルタに堆積した微粒子を燃焼させることによって行われる。
前記異常判定部は、前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かの判定を実行すべきとき、
(1)前記フィルタ再生回数が所定回数よりも少ない場合には、
「前記通過ガス流量が所定の第1流量以上であるときに取得された前記パティキュレートフィルタの前後差圧、に相関を有する差圧相関値」と所定の第1閾値との比較結果に基づいて前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定し、
(2)前記フィルタ再生回数が前記所定回数以上である場合には、
「前記通過ガス流量が前記第1流量よりも小さい所定の第2流量以上であるときに取得された前記前後差圧、に相関を有する前記差圧相関値」と所定の第2閾値との比較結果に基づいて前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定する。
「前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かの判定を実行すべきとき」とは、例えば、車両のイグニッション・キー・スイッチがオン位置からオフ位置に変更にされたときである。更に、異常判定部が異常判定するのに必要十分な個数のデータを収集できたときを条件に加えてもよい。
前後差圧は通過ガス流量が増加するほど増大するので、通過ガス流量が所定の第1流量以上であるときの前後差圧は、通過ガス流量が第1流量よりも小さい所定の第2流量であるときの前後差圧よりも大きい。更に、正常なパティキュレートフィルタ(正常品)の前後差圧は通過ガス流量の増大とともに比較的急激に増加するのに対し、異常なパティキュレートフィルタ(異常品)の前後差圧は通過ガス流量の増大とともに比較的穏やかに(緩やかに)増加する。即ち、通過ガス流量を増加させるほど、正常品の前後差圧と異常品の前後差圧との差は大きくなる。
ところで、前述したように、パティキュレートフィルタの設置又は交換後の再生回数が所定回数よりも少ない場合には、パティキュレートフィルタの前後差圧のばらつき(個体ばらつき)が大きい。この場合、異常判定部は、通過ガス流量が所定の第1流量よりも小さいときは、個体ばらつきによって正常なパティキュレートフィルタ(正常品)を異常と判定する虞がある。
そこで、異常判定部は、パティキュレートフィルタの設置又は交換後の再生回数が所定回数よりも少ない場合には、通過ガス流量が比較的大きい第1流量以上であるときに差圧取得部を用いてパティキュレートフィルタの前後差圧を取得する。
即ち、異常判定部は、パティキュレートフィルタの個体ばらつきが大きい場合でも正常品と異常品とを判別可能な通過ガス流量範囲の下限よりも大きい流量を第1流量として設定する。第1流量は、例えば、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置を有する車両においては、還流されるEGRガス流量が「0」となるような運転条件において実現されることが多い。
一方、パティキュレートフィルタの設置又は交換後の再生回数が所定回数(1乃至数回)以上である場合には、パティキュレートフィルタの前後差圧のばらつきは小さい。
そこで、異常判定部は、パティキュレートフィルタの設置又は交換後の再生回数が所定回数(1乃至数回)以上である場合には、通過ガス流量が「第1流量よりも小さい所定の第2流量」以上であるときに差圧取得部を用いてパティキュレートフィルタの前後差圧を取得する。この結果、異常判定部は、パティキュレートフィルタの個体ばらつきが小さい場合には、その個体ばらつきが大きい場合よりも前後差圧の検出機会を増やすことができる。
本発明装置は、このようにして得られる差圧相関値と所定の閾値との比較結果に基づいてフィルタの異常判定を行う。従って、本発明装置は、最初に設置又は新品に交換した直後のパティキュレートフィルタであっても正常品を異常と誤判定しない「フィルタの異常判定」を実行することができる。
なお、「前後差圧に相関を有する差圧相関値」は、前後差圧に応じて変化する値であればよい。例えば、差圧相関値は、前後差圧そのものであってもよいし、前後差圧の逆数であってもよい。
本発明の一態様に係る異常判定装置において、前記異常判定部は、正常な前記パティキュレートフィルタの個体差によって生じる前記前後差圧のばらつきの範囲における最小値が、異常な前記パティキュレートフィルタの個体差によって生じる前記前後差圧のばらつきの範囲における最大値よりも大きい関係が成立するような前記通過ガス流量の範囲内に前記第1流量を設定するように構成される。
これによれば、前記フィルタ再生回数が前記所定回数よりも少なく、前後差圧のばらつきが大きい場合であっても、誤異常判定を防止することができる。
本発明の一態様に係る異常判定装置において、前記異常判定部は、前記フィルタ再生回数が前記所定回数よりも少ない場合、前記通過ガス流量が前記所定の第1流量以上であるときに前記差圧相関値の基礎データとなる前記前後差圧のデータを複数個取得するとともに同複数のデータを取得したときの前記通過ガス流量の平均値を求め同求めた平均値に基づいて前記第1閾値を決定し、
前記フィルタ再生回数が前記所定回数以上である場合、前記通過ガス流量が前記所定の第2流量以上であるときに前記差圧相関値の基礎データとなる前記前後差圧のデータを複数個取得するとともに同複数のデータを取得したときの前記通過ガス流量の平均値を求め同求めた平均値に基づいて前記第2閾値を決定するように構成される。
この場合、第1閾値及び第2閾値は、前述したように求められる通過ガス流量の平均値のそれぞれが、所定の関数にそれぞれ代入されることにより算出されてもよい。又は、第1閾値及び第2閾値は、前述したように求められる通過ガス流量の平均値のそれぞれと、これら閾値と、のそれぞれの関係を規定したルックアップテーブルを参照して取得されてもよい。
第1閾値は、前記通過ガス流量が前記所定の第1流量以上である場合であって前後差圧のデータを取得したときの通過ガス流量の平均値に応じて変化する。同様に、第2閾値は、前記通過ガス流量が前記所定の第2流量以上である場合であって前後差圧のデータを取得したときの通過ガス流量の平均値に応じて変化する。従って、上記態様によれば、第1閾値及び第2閾値が適切な値に設定されるので、精度の良い異常判定を行うことができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る「パティキュレートフィルタの異常判定装置」が適用された内燃機関の概略構成図である。 図2(A)は、排ガス流量と、図1に示したDPFであってフィルタ再生処理が数回実行されたものの前後差圧と、の関係を示すグラフであり、図2(B)は、排ガス流量と、図1に示したDPFであってフィルタ再生処理が未実行のものの前後差圧と、の関係を示すグラフである。 図3は、任意のガス流量におけるパティキュレートフィルタの前後差圧と、再生回数カウンタのカウント値と、前後差圧安定フラグと、異常判定用データ取得時の排ガス流量下限値と、の関係を示すタイムチャートである。 図4は、図1に示したCPUが実行する「差圧安定フラグ決定ルーチン」を示したフローチャートである。 図5は、図1に示したCPUが実行する「DPF異常判定ルーチン」を示したフローチャートである。
<実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るパティキュレートフィルタの異常判定装置(以下、「判定装置」とも称呼する。)について説明する。
(構成)
判定装置は、図1に示した内燃機関(機関)10に適用される。機関10は、多気筒(本例では直列4気筒)・4サイクル・ピストン往復動型・ディーゼル機関である。機関10は、機関本体部20、燃料供給系統30、吸気系統40、排気系統50及びEGR系統60を含んでいる。
機関本体部20は、シリンダブロック、シリンダヘッド及びクランクケース等を含む本体21を備える。本体21には、4つの気筒(燃焼室)22が形成されている。各気筒22の上部には燃料噴射弁(インジェクタ)23が配設されている。燃料噴射弁23は、後述する電子制御装置70の指示に応答して開弁し、気筒内に燃料を直接噴射するようになっている。
燃料供給系統30は、燃料加圧ポンプ(サプライポンプ)31と、燃料送出管32と、コモンレール(蓄圧室)33と、を含む。燃料加圧ポンプ31の吐出口は燃料送出管32に接続されている。燃料送出管32はコモンレール33に接続されている。コモンレール33は燃料噴射弁23に接続されている。
燃料加圧ポンプ31は、図示しない燃料タンクに貯留されている燃料を汲み上げた後に加圧し、その加圧された高圧燃料を燃料送出管32を通してコモンレール33へ供給するようになっている。
吸気系統40は、インテークマニホールド41、吸気管42及び過給機TCのコンプレッサ43を含んでいる。
排気系統50は、エキゾーストマニホールド51、排気管52、ディーゼル酸化触媒53、パティキュレートフィルタ54及び過給機TCのタービン55を含んでいる。以下において、ディーゼル酸化触媒53は「DOC53」と称呼される。パティキュレートフィルタ54は「DPF54」と称呼される。DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタの略である。
エキゾーストマニホールド51は各気筒に接続された枝部と、枝部が集合した集合部と、を含む。排気管52はエキゾーストマニホールド51の集合部に接続されている。エキゾーストマニホールド51及び排気管52は排気通路を構成している。排気管52には、排ガスの流れの上流から下流に向け、タービン55、DOC53及びDPF54が配設されている。
DOC53は、白金及びパラジウム等の貴金属を触媒として、排ガス中の未燃成分(HC、CO、NO)を酸化し、排ガスを浄化する。即ち、DOC53により、HCは水とCOに酸化され、COはCOに酸化され、NOはNOに酸化される。
DPF54は、炭素からなる煤及びこれに付着した有機物を含むPM(微粒子、即ち、パティキュレートマター)を捕集する。DPF54は、周知のウォールフロータイプのセラミック製フィルタである。より具体的に述べると、DPF54は、ハニカム構造に成形された「コーディライト及びシリコン・カーバイド等」の耐熱性セラミックスにより形成される複数のガス流路を備えている。ガス流路は、隣接するガス流路の片端が互い違いに目詰めされている。DPF54内に流入した排ガスは、目詰めによって直接フィルタを抜けることはできずに、その複数のガス流路を構成する多孔質の隔壁を通過する。その際、排ガス中のPM及びアッシュ等がDPF54内部(隔壁内の細孔及び隔壁の表層等)に捕集される。
DPF54にPMが捕集され及び堆積していくにしたがい、ウォールフロータイプであるDPF54は目詰まりしていくので、DPF54内部の流路抵抗が増大する。つまり、PMがDPF54に堆積していくにしたがい、DPF54の前後の排ガスの圧力差(以降、「前後差圧」と称呼する。)は増大していく。PMがDPF54に過度に堆積して前後差圧が過度に大きくなると、DPF54の性能及び機関の燃費が悪化する虞がある。そこで、別途推定されるPM堆積量が所定値に達したとき又は運転者の操作によって、DPF54に堆積したPMを除去する所謂フィルタ再生処理が、後述の電子制御装置70からの指示によって実行される。
フィルタ再生処理は、DPF54を通過する排ガスを昇温してDPF54に堆積したPMを燃焼させることによって行われる。DPF54を通過する排ガスの昇温は次のように行われる。機関又は図示しない燃料添加弁からDOC53上流の排気管52に燃料(未燃成分)が供給される。DOC53がその供給された未燃成分を酸化することによって発生する熱によってDOC53の温度が上昇する。その結果、DOC53から流出する排ガスの温度が上昇する。そして、高温となった排ガスがDPF54に流入し、DPF54に堆積したPMを燃焼させる。以下、DPF54を通過する(に流入する)ガスの体積流量は、「DPF通過ガス流量Vdpf」とも称呼される。
なお、DPF54の下流に、図示しないSCR触媒が備えられていてもよい。SCR触媒は、NOxをアンモニア(NH)によって還元することにより排ガスを浄化する「NOx選択還元触媒」である。この場合、SCR触媒に供給されるアンモニアを加水分解によって生成するための尿素を供給する装置が設けられる。
EGR系統60は、排気還流管61、EGR制御弁62及びEGRクーラ63を含んでいる。EGR系統60は、EGR装置とも称呼される。
排気還流管61は、EGRガス通路を構成するように、排気通路(エキゾーストマニホールド51)であってタービン55よりも上流位置と、吸気通路(インテークマニホールド41)であってスロットル弁46の下流位置と、を連通している。即ち、排ガス(EGRガス)の取出し口は、排気通路であってDPF54よりも上流側に設けられている。このため、本体21(すべての気筒22)に流入するガスの量が一定である場合、還流されるEGRガスの流量が減少するほど、DPF54に流入するガスの流量(体積流量であり、以下「DPFガス通過ガス流量」とも称呼する。)は増大する。
EGR制御弁62は排気還流管61に配設されている。EGR制御弁62は、電気制御装置70からの指示である駆動信号(デューティ比信号)Degrに応答してEGRガス通路の通路断面積を変更することにより、排気通路から吸気通路へと再循環される排ガス量(EGRガス量)を変更し得るようになっている。換言すると、EGR制御弁62は、DPF54に流入するガスの流量(DPF54の通過ガス流量)を制御し得るようになっている。駆動信号Degrが大きくなるほどEGR制御弁62の開度は増大する。従って、駆動信号Degrが小さくなるほどEGR制御弁62の開度は減少し、その結果、EGRガス量が減少する一方、排ガス流量V(従って、DPF通過ガス流量Vdpf)が増大する。
EGRクーラ63は排気還流管61に介装され、排気還流管61を通過するEGRガスの温度を低下させるようになっている。
以上から明らかなように、EGR系統60は、DPFガス通過流量を変更可能な流量変更装置を構成している。
電子制御装置70は、周知のマイクロコンピュータを含む電子回路であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM(スタティックRAM(SRAM)又は不揮発性メモリ)、カウンタ及びインタフェース等を含む。電子制御装置70は、以下に述べるセンサ類と接続されていて、これらのセンサからの信号を受信(入力)するようになっている。更に、電子制御装置70は、CPUからの指示に応じて、各種アクチュエータに指示(駆動)信号を送出するようになっている。
電子制御装置70は、エアフローメータ71、スロットル弁開度センサ72、EGR制御弁開度センサ73、前後差圧センサ74、排ガス温度センサ75、排ガス圧力センサ76、大気圧センサ77、アクセルペダル操作量センサ78及びイグニッション・キー・スイッチ79等と接続されている。
エアフローメータ71は吸気通路内を通過する吸入空気(EGRガスを含まない新気)の質量流量を測定し、質量流量(以下、「吸入空気量Ga」と称呼する。)を表す信号を出力する。更に、エアフローメータ71は吸入空気の温度を検出し、その吸気温THAを表す信号を出力する。
スロットル弁開度センサ72はスロットル弁開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力する。
EGR制御弁開度センサ73は、EGR制御弁62の開度を検出し、その開度を表す信号Vegrを出力する。
前後差圧センサ74は、DPF54の上流圧(入口圧、DOC53とDPF54との間の圧力、即ち、上流側圧力)と下流圧(出口圧、即ち、下流側圧力)との差圧(即ち、前後差圧)を検出し、前後差圧ΔPを出力する周知の圧力センサである。
排ガス温度センサ75は、排気管52であってDOC53とDPF54との間の位置に配設されている。排ガス温度センサ75は、DOC53を通過してDPF54に流入する排ガスの温度を検出し、その排ガス温度T1を表す信号を出力する。
排ガス圧力センサ76は、排気管52であってDPF54の下流に配設されている。排ガス圧力センサ76は、DPF54の下流圧(出口圧、即ち、下流側圧力)を検出し、その排ガス圧力P2を表す信号を出力する周知の圧力センサである。
大気圧センサ77は、電子制御装置70が格納されたケース内に配設されている。大気圧センサ77は大気圧を検出し、その大気圧P1を表す信号を出力する周知の圧力センサである。
アクセルペダル操作量センサ78はアクセルペダルAPの操作量を検出し、アクセルペダル操作量Accpを表す信号を出力する。
イグニッション・キー・スイッチ79は、機関10の始動を行うためのオン位置と停止を行うためのオフ位置とを備えたスイッチである。
本判定装置において、前述したDPF通過ガス流量Vdpfは、以下に示すとおり、DPF54の入口における排ガス流量(DPF入口流量)Vfとして定義される。
一般的に、排ガス流量Vは単位時間当たりのガスの体積(m/sec)を表している。ガスの圧力をP(Pa)、ガスの絶対温度をT(K)、ガスの単位時間当たりの物質量をn(mol/sec)とすると、これらの間には次式に示す関係が成立する。

(P・V)/(n・T)=R(一定) …(1)

(1)式において、Rは気体定数(単位はJ・K−1・mol−1)と称呼されている。つまり、排ガス流量Vは絶対温度Tと比例関係にある。上式から排ガス流量Vは次式により求められる。

V=nRT/P …(2)
よって、DPF入口流量Vf(m/sec)は(2)式を用いて次式のとおりとなる。

Vf=R・Ga(T1+273)/(P1+P2+ΔP) …(3)

(3)式において、Gaはエアフローメータ71によって検出される吸気量(g/sec)、T1はDPF54の上流に位置する排ガス温度センサ75によって検出される排ガス温度(℃)、P1は大気圧センサ77によって検出される大気圧(Pa)、P2はDPF54の下流に位置する排ガス圧力センサ76によって検出されるDPF後方圧力(Pa)、ΔPは前後差圧センサ74によって検出されるDPF前後差圧(Pa)である。即ち、(3)式の分母である(P1+P2+ΔP)は、DPF54の入口部分における排ガス圧力を表している。
(作動の概要)
以下、図2及び図3を参照しながら本判定装置の作動の概要を説明する。
図2(A)は、機関10を搭載した車両に最初に設置されたか又は新品に交換された後、数回のフィルタ再生が実行されたDPF54について、正常なDPF54(正常DPF)及び異常が発生しているDPF54(異常DPF)の「排ガス流量V(DPF通過ガス流量Vdpf)とDPF54の前後差圧ΔPとの関係」を示したグラフである。
図2(B)は、車両に最初に設置されたか又は新品に交換された後であって、最初のフィルタ再生が実行される前のDPF54について、正常DPF及び異常DPFの「排ガス流量VとDPF54の前後差圧ΔPとの関係」を示したグラフである。
図2(A)及び図2(B)において、曲線C1は正常DPFに関する曲線(正常DPFの分布についての近似曲線)であり、曲線C1maxは正常DPFのばらつきの上限を示す曲線であり、曲線C1minは正常DPFのばらつきの下限を示す曲線である。曲線C2は異常DPFに関する曲線(異常DPFの分布についての近似曲線)であり、曲線C2maxは異常DPFのばらつきの上限を示す曲線であり、曲線C2minは異常DPFのばらつきの下限を示す曲線である。
図2(A)及び図2(B)から理解されるように、曲線C2maxと曲線C2minとの差分によって表される前後差圧ΔPの、ある「排ガス流量V」に対するばらつきの幅は、曲線C1maxと曲線C1minとの差分によって表される前後差圧ΔPの、同「排ガス流量V」に対するばらつきの幅よりも大きい。
図2(A)及び図2(B)の曲線C1及び曲線C2から理解されるように、前後差圧ΔPは排ガス流量Vに対して二次関数的に増加する。即ち、正常DPFについての前後差圧ΔPと排ガス流量VとはΔP=a・Vの関係を有し、異常DPFについての前後差圧ΔP’と排ガス流量V’とはΔP’=b・V’の関係を有していると言うことができる。但し、a(正の定数)はb(正の定数)よりも大きい。異常DPFについての前後差圧ΔP’は、bの値が小さいので、実質的に排ガス流量V’に比例しているとも言うことができ、ΔP’=k・V’なる式により表すこともできる。従って、正常DPFの前後差圧ΔPと、異常DPFの前後差圧ΔP’との差分(ΔP−ΔP’)は、排ガス流量Vが大きくなるにつれて大きくなる。
そのため、図2の(A)及び(B)のそれぞれにおける「曲線C1min及び曲線C2max」から理解されるように、正常DPFの前後差圧ΔPのばらつきの下限と異常DPFの前後差圧ΔP’のばらつきの上限との差は、排ガス流量Vが大きくなるにつれて大きくなる。
図2の(A)及び(B)において、領域1は排ガス流量Vが流量Va以上流量Vb未満の範囲である(領域1を「小流量領域」とも称呼する。)。領域2は流量Vb以上の範囲である。領域2’は、領域2のうち排ガス流量VがVbよりも大きいVc以上の範囲である(領域2’を「大流量領域」とも称呼する。)。領域2であるが領域2’ではない範囲を「中流量領域」とも称呼する。
図2(A)に示した例において、正常DPFに関し、排ガス流量Vが領域2であるが領域2’ではない範囲(Vb≦V<Vc:中流量領域)にあるとき、点Z1で示した点のデータが得られる。点Z1の(排ガス流量V,前後差圧ΔP)は(V1,ΔP1)である。点Z1は、曲線C1min上のデータである。
排ガス流量Vが領域2’の範囲(V≧Vc、大流量領域)にあるとき、点Z2で示した点のデータが得られる。点Z2の(排ガス流量V,前後差圧ΔP)は(V2,ΔP2)である。点Z2は、曲線C1min上のデータである。
異常DPFに関し、排ガス流量Vが領域2であるが領域2’ではない範囲(Vb≦V<Vc、中流量領域)にあるとき、点Y1で示した点のデータが得られる。点Y1の(排ガス流量V,前後差圧ΔP)は(V1,ΔP3)である。点Y1は、曲線C2max上のデータであり、排ガス流量Vは点Z1と同じ排ガス流量V1である。
排ガス流量Vが領域2’の範囲(V≧Vc、大流量領域)にあるとき、点Y2で示した点のデータが得られる。点Y2の(排ガス流量V,前後差圧ΔP)は(V2,ΔP4)である。点Y2は、曲線C2max上のデータであり、排ガス流量Vは点Z2と同じ排ガス流量V2である。
図2(A)から理解されるように、任意の排ガス流量Vにおける前後差圧ΔPは、DPF54に異常(破損)が発生した場合の方がDPF54が正常である場合よりも小さくなる。例えば、排ガス流量V1における点Z1の前後差圧ΔP1と比べて同じ排ガス流量V1における点Y1の前後差圧ΔP3は明らかに小さい。又、排ガス流量V2における点Z2の前後差圧ΔP2と比べて同じ排ガス流量V2における点Y2の前後差圧ΔP4は明らかに小さい。即ち、ある排ガス流量Vにおける曲線C1min上の前後差圧ΔPは、その排ガス流量Vにおける曲線C2max上の前後差圧ΔPよりも明らかに大きい。但し、排ガス流量VがVa未満の領域(小流量域)の値である場合、曲線C1min上の前後差圧ΔPと曲線C2max上の前後差圧ΔPとの差は相対的に小さい。
従って、DPF54に対して数回以上のフィルタ再生が実行された後においては、排ガス流量VがVb以上であるときに得られる前後差圧ΔPが「その前後差圧ΔPが得られたときの排ガス流量Vに応じて変化する所定閾値ΔPth」よりも小さい場合にDPF54が異常であると判定し、前後差圧ΔPがその閾値ΔPth以上である場合にDPF54が正常であると判定することにより、DPF54の異常判定を精度良く行うことができる。
これに対し、図2(B)に示した例において、正常DPFに関し、排ガス流量Vが領域2であるが領域2’ではない範囲(Vb≦V<Vc、中流量領域)にあるとき、点Z1’で示した点のデータが得られる。点Z1’の(排ガス流量V,前後差圧ΔP)は(V1’,ΔP1’)である。点Z1’は、曲線C1min上のデータである。
排ガス流量Vが領域2’の範囲(V≧Vc、大流量領域)にあるとき、点Z2’で示した点のデータが得られる。点Z2’の(排ガス流量V,前後差圧ΔP)は(V2’,ΔP2’)である。点Z2’は、曲線C1min上のデータである。
異常DPFに関し、排ガス流量Vが領域2であるが領域2’ではない範囲(Vb≦V<Vc、中流量領域)にあるとき、点Y1’で示した点のデータが得られる。点Y1’の(排ガス流量V,前後差圧ΔP)は(V1’,ΔP3’)である。点Y1’は、曲線C2max上のデータであり、排ガス流量Vは点Z1’と同じ排ガス流量V1’である。
排ガス流量Vが領域2’の範囲(V≧Vc、大流量領域)にあるとき、点Y2’で示した点のデータが得られる。点Y2’の(排ガス流量V,前後差圧ΔP)は(V2’,ΔP4’)である。点Y2’は、曲線C2max上のデータであり、排ガス流量Vは点Z2’と同じ排ガス流量V2’である。
図2(B)から理解されるように、この場合(新品のDPF54に対する最初のフィルタ再生処理が実行される前)においても、任意の排ガス流量Vにおける前後差圧ΔPは、DPF54に異常(破損)が発生した場合の方がDPF54が正常である場合よりも小さくなる。しかしながら、この場合における正常DPFの前後差圧ΔPのばらつきは大きい。従って、排ガス流量VがVb未満の領域(小流量領域及び中流量領域)の値であると、正常DPFの前後差圧ΔPのばらつきの範囲内の下限値が、異常DPFの前後差圧ΔPのばらつきの範囲内の上限値よりも小さくなる。即ち、点Y1’と点Z1’との比較から理解されるように、ある排ガス流量V(V<Vc)における曲線C1min上の点の前後差圧ΔPが、その排ガス流量Vにおける曲線C2max上の点の前後差圧ΔPよりも小さくなる。
これに対し、大流量領域(V≧Vc)においては、正常DPFの前後差圧ΔPのばらつきの範囲内の下限値は、異常DPFの前後差圧ΔPのばらつきの範囲内の上限値よりも必ず大きくなる。即ち、点Y2’と点Z2’との比較から理解されるように、ある排ガス流量V(V≧Vc)における曲線C1min上の点の前後差圧ΔPは、その排ガス流量Vにおける曲線C2max上の点の前後差圧ΔPよりも大きい。
従って、新品のDPF54に対する最初のフィルタ再生が実行される前においては、排ガス流量VがVc以上であるときに得られる前後差圧ΔPが「その前後差圧ΔPが得られたときの排ガス流量Vに応じて変化する所定閾値ΔPth」よりも小さい場合にDPF54が以上であると判定し、前後差圧ΔPがその閾値ΔPth以上である場合にDPF54が正常であると判定することにより、DPF54の異常判定を精度良く行うことができる。
図3は、特定のガス流量におけるDPF54の前後差圧と、再生回数カウンタ(フィルタ再生回数を計数する計数部)のカウント値と、フィルタ再生回数が所定回数以上となったことを示す前後差圧安定フラグ(Xstableフラグ)と、異常判定用データ取得時の排ガス流量下限値と、の関係を示す図である。
図3の横軸は、機関の運転時間であり、DPF54の最初の設置又は新品への交換の直後を時刻t0としている。曲線D0は、典型的な前後差圧ΔPを示すDPF54の曲線である。曲線D1は、前後差圧ΔPが比較的低い値を示すDPF54の曲線である。曲線D2は、前後差圧ΔPが比較的高い値を示すDPF54の曲線である。時刻t0において、DPF54(曲線D0、D1及びD2)の前後差圧ΔPはΔP0である。時刻t0からPMの堆積が始まり、前後差圧ΔPは徐々に増加する。
時刻t1は、電子制御装置70にてDPF54へのPM堆積量がフィルタ再生すべき量に達したと推定され、初回のフィルタ再生処理が開始された時刻である。電子制御装置70は、PM堆積量の推定を、機関運転時間、機関回転速度(NE)及び機関負荷(KL)等に基づいて行う。
時刻t2は、初回のフィルタ再生処理が完了した時刻である。フィルタ再生中において、DPF54に堆積したPMが燃焼してフィルタの目詰まりが解消するので、時刻t1から時刻t2にかけて前後差圧ΔPは減少する。時刻t2における前後差圧ΔP2は、初期の前後差圧ΔP0よりも高くなる。このことは、フィルタに目詰まりしたPMの一部は燃焼することなく残留していることを示している。
DPF54は時刻t2から再びPMの堆積を開始する。時刻t3は、2回目のフィルタ再生処理が開始された時刻である。時刻t3において、曲線D1及び曲線D2が、典型的なDPF54に対する曲線D0に対して乖離する大きさは、時刻t1におけるそれらの乖離する大きさに比べて小さくなっている。即ち、初回のフィルタ再生処理の結果、前後差圧ΔPのばらつきが小さくなっていることを示している。
時刻t4は、2回目のフィルタ再生処理が完了した時刻である。時刻t4における前後差圧ΔPは、時刻t2における前後差圧ΔP2に略等しい。つまり、前述の目詰まりしたPMの一部は2回目のフィルタ再生処理においても燃焼することなく残留していると考えられる。
DPF54は時刻t4から再びPMの堆積を開始する。時刻t5は、3回目のフィルタ再生処理が開始された時刻である。時刻t5において、曲線D1及び曲線D2が、典型的なDPF54に対する曲線D0に対して乖離する大きさは、時刻t3におけるそれらの乖離する大きさと略等しい。
このように、フィルタ再生処理の回数が増えるにつれて、前後差圧ΔPのばらつきが小さくなっていく。更に、初回のフィルタ再生処理による前後差圧ΔPのばらつきの範囲の減少量(時刻t1でのばらつきと時刻t3でのばらつきとの差)は大きいが、その後のフィルタ再生処理による前後差圧ΔPのばらつきの範囲の減少量(例えば、時刻t3でのばらつきと時刻t5でのばらつきとの差)はそれほど大きくない。従って、初回のフィルタ再生処理が実行されれば、DPF54の異常判定を行うための前後差圧ΔPを取得する際の排ガス流量Vは、それほど大きくなくても良いということが理解される。
以上のことから、本判定装置は、次のようにDPF54の異常判定を行う。
本判定装置は、新品のDPF54に対するフィルタ再生回数が所定回数に達したか否かを判定する。
(A)フィルタ再生回数が所定回数に達していない場合。
(A−1)本判定装置は、DPF通過ガス流量Vdpfが「所定の第1流量」Vc以上である大流量領域にあるときの(DPF通過ガス流量Vdpf,前後差圧ΔP)を複数回取得する。
(A−2)本判定装置は、取得した(DPF通過ガス流量Vdpf,前後差圧ΔP)のそれぞれの平均値(Vave,ΔPave)を求める。
(A−3)本判定装置は、第1閾値ΔPth1を、取得したDPF通過ガス流量Vdpfの平均値Vaveに基づいて定める。
(A−4)本判定装置は、「差圧相関値」であるΔPaveと「所定の第1閾値」であるΔPth1とを比較する。
(A−5)本判定装置は、差圧相関値ΔPaveが所定の第1閾値ΔPth1よりも小さい場合、DPF54が異常であると判定する。又、本判定装置は、差圧相関値ΔPaveが所定の第1閾値ΔPth1以上である場合、DPF54は正常であると判定する。
(B)フィルタ再生回数が所定回数に達している場合
(B−1)本判定装置は、DPF通過ガス流量Vdpfが「所定の第2流量」Vb以上である中流量領域及び大流量領域にあるときの(DPF通過ガス流量Vdpf,前後差圧ΔP)を複数回取得する。
(B−2)本判定装置は、取得した(DPF通過ガス流量Vdpf,前後差圧ΔP)のそれぞれの平均値(Vave,ΔPave)を求める。
(B−3)本判定装置は、第2の閾値ΔPth2を、取得したDPF通過ガス流量Vdpfの平均値Vaveに基づいて定める。
(B−4)本判定装置は、「差圧相関値」であるΔPaveと「所定の第2閾値」であるΔPth2とを比較する。
(B−5)本判定装置は、差圧相関値ΔPaveが所定の第2閾値ΔPth2よりも小さい場合、DPF54が異常であると判定する。又、本判定装置は、差圧相関値ΔPaveが所定の第2閾値ΔPth2以上である場合、DPF54は正常であると判定する。
<実際の作動>
次に、本判定装置の具体的作動について図4を参照しながら具体的に説明する。図4は、電子制御装置70のCPUが実行する「差圧安定フラグ取得ルーチン」を示している。
本判定装置が適用される車両にDPF54が最初に設置されたか又は新品に交換された直後であり、且つフィルタ再生が実施されていない状態であると仮定して説明を続ける。
適当なタイミングになると、CPUは図4のステップ400から処理を開始してステップ405に進み、DPF54が車両に最初に設置されたか又は新品に交換された直後であるか否かを判定する。前述の仮定によれば、DPF54は車両に最初に設置されたか又は新品に交換された直後である。従って、CPUはステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、再生回数カウンタのカウント値Cを「0」に設定する。
具体的には、カウント値Cは次のようにして設定される。通常の運用として、車両にDPF54が最初に設置されるか又は新品に交換されるときには、車両のバッテリと電子制御装置70とは電気的に切断され、電子制御装置70へは電力が供給されないようにされる。
再生回数カウンタのカウント値Cは、電子制御装置70内に備えられたスタティックRAM(SRAM)に保持されている。SRAMは、電圧が印加されない(電力が供給されない)場合は、保持しているデータはクリアされる。
従って、DPF54が車両に設置されるとき又はDPF54が交換されるときには、SRAMに電力が供給されなくなるので、保持しているデータはクリアされ「0」に設定される。即ち、ステップ405及びステップ410の動作は、SRAMの作動により自動的になされると言うこともできる。
なお、DPF54が排気通路に最初に設置されたか又は新品に交換されたとき、作業者により操作されるか、又は、DPF54の排気通路への設置により自動的に操作される「スイッチ」を設けておき、CPUは、そのスイッチの状態変化に基づいてステップ405の判定及びステップ410の処理を行ってもよい。
次に、CPUはステップ415に進み、フィルタ再生処理が実施されたか否かを判定する。前述の仮定によれば、フィルタ再生処理は実行されていない。従って、CPUはステップ415にて「No」と判定してステップ425に直接進み、フィルタ再生回数(カウント値)がフィルタ再生回数閾値Cth以上であるか否かを判定する。なお、フィルタ再生回数閾値Cthは1以上の任意の整数(本例においては、Cth=2)である。
現時点において、フィルタ再生回数は「0」であるので、フィルタ再生回数閾値Cthよりも小さい。従って、CPUはステップ425にて「No」と判定してステップ435に進み、差圧安定フラグXstableを「0」に設定してステップ495に進んで、本ルーチンを一旦終了する。
更に、適当なタイミングになると、CPUは図5のステップ500から処理を開始してステップ505に進み、フィルタ再生処理が実行中でないか否かを判定する。現時点において、フィルタ再生処理は実行されていない。従って、CPUはステップ505にて「Yes」と判定してステップ510に進み、差圧安定フラグXstableが「0」であるか否かを判定する。現時点において、差圧安定フラグXstableは「0」である。従って、CPUはステップ510にて「Yes」と判定してステップ515に進み、DPF通過ガス流量Vdpfが流量閾値Vc以上であるか否かを判定する。
DPF通過ガス流量Vdpfが流量閾値Vcを超える(大流量領域の範囲にある)状況は、例えば、EGRによって還流されるEGRガス量が「0」となるような機関運転状態にあるときである。
排ガス流量Vが流量閾値Vc以上であるとすると、CPUはステップ515にて「Yes」と判定してステップ520に進み、前後差圧ΔPの積算値SumΔP1を更新する(積算値SumΔP1に現時点の前後差圧ΔPを加える)。同時に、CPUはDPF通過ガス流量Vdpfの積算値SumV1を更新する(積算値SumV1に現時点のDPF通過ガス流量Vdpfを加える)。更に、CPUは積算されたデータの個数を示すカウンタNの値を「1」だけ増加させて、ステップ525に進む。
一方、排ガス流量Vが流量閾値Vcより小さいときは、CPUはステップ515にて「No」と判定してステップ525に直接進む。
CPUはステップ525に進むと、イグニッション・キー・スイッチ79がオン位置からオフ位置へと変更された直後でない場合、CPUはステップ525にて「No」と判定し、ステップ595へと直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
この時点以降、CPUは、ステップ525にて「Yes」と判定するまで、ステップ505乃至ステップ520のうちの適切なステップの処理を繰り返す。よって、前後差圧ΔPの積算値SumΔP1、DPF通過ガス流量Vdpfの積算値SumV1及びカウンタNの値が更新される。
これに対し、CPUがステップ525の処理を実行する時点が「イグニッション・キー・スイッチ79のオフ位置への変更」直後である場合、CPUはそのステップ525にて「Yes」と判定してステップ530に進む。CPUはステップ530にて差圧安定フラグXstableが「0」であるか否かを判定する。
現時点において、差圧安定フラグXstableは「0」である。従って、CPUはステップ530にて「Yes」と判定してステップ535に進む。CPUはステップ535にて、前後差圧ΔPの積算値SumΔP1を「カウンタNの値であるN」により除する。これによって、DPF通過ガス流量Vdpfが大流量領域以上にある場合の前後差圧ΔPの平均値を前後差圧ΔPaveとして取得する。同時に、CPUはDPF通過ガス流量Vdpfの積算値SumV1を「カウンタNの値であるN」により除することによって、前後差圧の平均値ΔP1を取得した期間におけるDPF通過ガス流量Vdpfの平均値をVaveとして取得する。
更に、CPUは取得した「DPF通過ガス流量Vdpfの平均値Vave」を関数g1(Vave)に代入することによって第1閾値ΔPth1を算出する。この関数g1(Vave)は、大流量領域にて取得された複数のDPF通過ガス流量Vdpfに基づいて求められた平均値Vaveに対する判定閾値、即ち、第1閾値ΔPth1を規定する関数として予め定められている。加えて、CPUは算出された第1閾値ΔPth1を所定閾値ΔPthとして取得する。
次に、CPUはステップ540に進み、前後差圧ΔPの平均値ΔPaveが所定閾値ΔPth(この場合、ΔPth1)よりも小さいか否かを判定する。
このとき、差圧相関値ΔPaveが所定閾値ΔPth以上であれば、CPUはステップ540にて「No」と判定してステップ570へ進み、DPF54が正常であると判定して、その旨をバックアップRAMに記憶する。その後、CPUはステップ550に進む。これに対し、差圧相関値ΔPaveが所定閾値ΔPthよりも小さければ、CPUはステップ540にて「Yes」と判定してステップ545へ進み、DPF54が異常であると判定して、その旨をバックアップRAMに記憶する。その後、CPUはステップ550に進む。
CPUはステップ550にて前後差圧ΔPの平均値ΔPave、DPF通過ガス流量Vdpfの平均値Vave及びカウンタNの値Nをクリアして、ステップ595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
その後の機関10の運転中においても、CPUは図4に示したルーチンを繰り返し実行する。この場合、現時点は、DPF54が車両に最初に設置されたか又は新品に交換された直後ではない。従って、CPUはステップ405にて「No」と判定して、ステップ415に直接進み、フィルタ再生を実施したか否かを判定する。
現時点において、フィルタ再生処理は実行されていない。従って、CPUはステップ415にて「No」と判定してステップ425に直接進む。現時点において、再生回数カウンタのカウント値Cの値は「0」のままであり、判定閾値Cthより小さい。従って、CPUはステップ425にて「No」と判定してステップ435に進み、差圧安定フラグXstableを「0」に設定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
次に、フィルタ再生処理が実施された直後の場合について説明する。図4に示したフローチャートにおいて、適当なタイミングになると、CPUはステップ405に進み、「No」と判定してステップ415に直接む。前述の仮定によれば、フィルタ再生処理が実施された直後である。従って、CPUはステップ415にて「Yes」と判定してステップ420に進み、再生回数カウンタのカウント値Cを1つカウントアップする(即ち、カウント値は「0」から「1」になる。)。
その後、CPUはステップ425に進む。現時点において、カウント値CはCth(本例においては「2」)よりも小さい。従って、CPUはステップ425にて「No」と判定してステップ435に進み、差圧安定フラグXstableを「0」に設定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
つまり、フィルタ再生処理の回数が判定閾値Cth未満の場合には、CPUは排ガス流量Vが大流量領域(流量閾値Vc以上)であるときの(DPF通過ガス流量Vdpf,前後差圧ΔP)を取得する。CPUは、取得したそれぞれの平均値(Vave,ΔPave)を求め、前後差圧ΔPの平均値ΔPaveと、DPF通過ガス流量Vdpfの平均値Vaveにおける第1閾値ΔPth(Vave)と、を比較して異常判定を行う。
更に、フィルタ再生処理が実施された場合について説明する。この場合、図4に示したフローチャートにおいて、CPUはステップ405からステップ420に直接進んで、再生回数カウンタのカウント値Cを1つカウントアップする(C=Cthとなる)。
その後、CPUはステップ425に進む。現時点において、カウント値CはCthである。従って、CPUはステップ425にて「Yes」と判定してステップ430に進み、差圧安定フラグXstableを「1」に設定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
その後、図5に示したフローチャートにおいて、CPUはステップ505に進む。前述の仮定によれば、フィルタ再生処理中ではない。従って、CPUはステップ505にて「Yes」と判定してステップ510に進む。
前述の仮定によれば、差圧安定フラグXstableは「1」である。従って、CPUはステップ510にて「No」と判定してステップ555に進み、DPF通過ガス流量Vdpfが流量閾値(中流量領域下限)Vb以上であるか否かを判定する。
排ガス流量Vが流量閾値Vbを超える(中流量領域の範囲にある)状況としては、例えば、市街地走行時においては信号待ちからの急発進、高速走行時においては通常のアクセルペダルAPの踏込み操作による加速等が考えられる。
排ガス流量Vが流量閾値Vb以上であるとすると、CPUはステップ555にて「Yes」と判定してステップ560に進み、前後差圧ΔPの積算値SumΔP2を更新する(積算値SumΔP2に現時点の前後差圧ΔPを加える)とともにDPF通過ガス流量Vdpf(この場合、排ガス流量Vと等しい。)の積算値SumV2を更新する(積算値SumV2に現時点のDPF通過ガス流量Vdpfを加える)。同時に、CPUは積算されたデータの個数を示すカウンタNの値を「1」だけ増加させる。一方、排ガス流量Vが流量閾値Vbより小さいときは、CPUはステップ555にて「No」と判定してステップ525に直接進む。
そして、CPUがステップ525の処理を実行する時点が「イグニッション・キー・スイッチ79のオフ位置への変更」直後であると、CPUはそのステップ525にて「Yes」と判定してステップ530に進む。
現時点において、差圧安定フラグXstableは「1」である。従って、CPUはステップ530にて「No」と判定してステップ565に進む。CPUは前後差圧ΔPの積算値SumΔP2を「カウンタNの値であるN」により除することによって、DPF通過ガス流量Vdpfが大流量領域以上にある場合の前後差圧ΔPの平均値を前後差圧ΔPaveとして取得する。同時に、CPUはDPF通過ガス流量Vdpfの積算値SumV2を「カウンタNの値であるN」により除することによって、前後差圧(平均値)ΔP2を取得した期間におけるDPF通過ガス流量Vdpfの平均値を排ガス流量Vaveとして取得する。
更に、CPUは取得した「DPF通過ガス流量Vdpfの平均値Vave」を関数g2(Vave)に代入することによって第2閾値ΔPth2を算出する。この関数g2(Vave)は、中流量領域にて取得された複数のDPF通過ガス流量Vdpfに基づいて求められた平均値Vaveに対する判定閾値、即ち、第2閾値ΔPth2を規定する関数として予め定められている。加えて、CPUは算出された第2閾値ΔPth2を所定閾値ΔPthとして取得する。
次に、CPUはステップ540に進み、前後差圧ΔPの平均値ΔPaveが第2閾値ΔPth(この場合、ΔPth2)よりも小さいか否かを判定する。
このとき、差圧相関値ΔPaveが所定の第2閾値ΔPth以上であれば、CPUはステップ540にて「No」と判定してステップ570へ進み、DPF54が正常であると判定して、その旨をバックアップRAMに記憶する。その後、CPUはステップ550を経由してステップ595に進む。これに対し、差圧相関値ΔPaveが所定の第2閾値ΔPthよりも小さければ、CPUはステップ540にて「Yes」と判定してステップ545へ進み、DPF54が異常であると判定して、その旨をバックアップRAMに記憶する。その後、CPUはステップ550を経由してステップ595に進む。
以上、説明したように、本判定装置は、内燃機関の排気通路(排気管52)に配設されたパティキュレートフィルタ(DPF54)の異常判定装置であって、
前記パティキュレートフィルタの前後差圧ΔPを取得する差圧取得部(前後差圧センサ74)と、
前記パティキュレートフィルタを通過するガスの流量である通過ガス流量(DPF通過ガス流量Vdpf)を取得するガス流量取得部(エアフローメータ71、前後差圧センサ74、排ガス温度センサ75、排ガス圧力センサ76及び大気圧センサ77)と、
前記パティキュレートフィルタが前記排気通路に最初に設置されたか又は新品に交換された可能性があるか否かを判定するフィルタ設置判定部(ステップ405)と、
前記パティキュレートフィルタが前記排気通路に最初に設定されたか又は新品に交換された可能性があるとの判定がなされた時点から次に同判定がなされる時点までに実行される同パティキュレートフィルタの再生の回数であるフィルタ再生回数Cを計数する計数部(再生回数カウンタ)(ステップ420)と、
前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かの判定を実行すべきとき(ステップ525及びステップ530)、
前記フィルタ再生回数が前記所定回数(判定閾値Cth)よりも少ない場合(ステップ425及びステップ435)には、
前記通過ガス流量が所定の第1流量Vc以上であるときに取得された前記前後差圧に相関を有する前記差圧相関値ΔPaveと所定の第1閾値ΔPth(Vave)との比較結果に基づいて前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定し(ステップ530、ステップ535及びステップ540)、
前記フィルタ再生回数が所定回数以上である場合(ステップ425及びステップ430)には、
前記通過ガス流量が前記第1流量よりも小さい所定の第2流量Vb以上であるときに取得された前記パティキュレートフィルタの前記前後差圧に相関を有する差圧相関値ΔPaveと所定の第2閾値ΔPth(Vave)との比較結果に基づいて前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定する(ステップ530、ステップ565及びステップ540)、異常判定部を備える。
更に、前記異常判定部は、正常な前記パティキュレートフィルタ(正常DPF)の個体差によって生じる前記前後差圧のばらつきの範囲における最小値C1minが、異常な前記パティキュレートフィルタ(異常DPF)の個体差によって生じる前記前後差圧のばらつきの範囲における最大値C2maxよりも大きい関係が成立するような前記通過ガス流量Vdpfの範囲内に前記第1流量Vcを設定するように構成される。
加えて、前記異常判定部は、前記フィルタ再生回数Cが前記所定回数(判定閾値Cth)よりも少ない場合、前記通過ガス流量が所定の第1流量Vc以上であるときに前記差圧相関値ΔPaveの基礎データとなる前記前後差圧ΔPのデータを複数個取得するとともに(ステップ520)同複数のデータを取得したときの前記通過ガス流量Vdpfの平均値Vaveを求め同求めた平均値に基づいて前記第1閾値ΔPth1を決定し(ステップ535)、
前記フィルタ再生回数が前記所定回数以上である場合、前記通過ガス流量が所定の第2流量Vb以上であるときに前記差圧相関値ΔPaveの基礎データとなる前記前後差圧ΔPのデータを複数個取得するとともに(ステップ560)同複数のデータを取得したときの前記通過ガス流量Vdpfの平均値Vaveを求め同求めた平均値に基づいて前記第2閾値ΔPth2を決定する(ステップ565)ように構成される。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、判定装置は、排ガス流量Vが「データを取得すべき流量範囲」に入ったときに(排ガス流量V,前後差圧ΔP)のデータを取得しているが、排ガス流量Vをデータを取得すべき流量範囲となるように増加させる制御を行ってもよい。例えば、排ガス流量Vを所定の流量領域まで増大させるために、EGR装置60によって還流されるEGRガス量を減じてもよい。或いは未燃HCをDPF54よりも上流の排気経路中に供給することによって排ガス温度を上昇させてもよい。
上記判定装置は、エアフローメータ71の出力、前後差圧センサ74、排ガス温度センサ75、排ガス圧力センサ76及び大気圧センサ77の出力等に基づいて排ガス流量Vを取得している。これに対し、上記判定装置は、機関の運転状態(燃料噴射量Qfin、機関回転速度NE)等に基づいて排ガス流量Vを推定することにより、排ガス流量Vを取得してもよい。更に、上記判定装置は、排気経路中に排ガス流量センサを設け、排ガス流量センサの出力に基づいて排ガス流量Vを取得してもよい。
上記判定装置は、排ガス流量Vがデータを取得すべき流量範囲内にあるときは、イグニッション・キー・スイッチ79がオン位置からオフ位置に変更されるまで異常判定に用いるためのデータを取得し続けるが、取得データ数Nに制限値を設けてもよい。
更に、上記判定装置は、差圧相関値を前後差圧ΔPそのものとしているが、差圧相関値は前後差圧ΔPの逆数であってもよい。
10…機関、20…機関本体部、30…燃料供給系統、40…吸気系統、51…エキゾーストマニホールド、52…排気管、53…DOC、54…DPF、60…EGR系統、71…エアフローメータ、73…EGR制御弁開度センサ、74…前後差圧センサ、75…排ガス温度センサ、76…排ガス圧力センサ、77…大気圧センサ、79…イグニッション・キー・スイッチ。

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの異常判定装置であって、
    前記パティキュレートフィルタの前後差圧を取得する差圧取得部と、
    前記パティキュレートフィルタを通過するガスの流量である通過ガス流量を取得するガス流量取得部と、
    前記パティキュレートフィルタが前記排気通路に最初に設置されたか又は新品に交換された可能性があるか否かを判定するフィルタ設置判定部と、
    前記パティキュレートフィルタが前記排気通路に最初に設置されたか又は新品に交換された可能性があるとの判定がなされた時点から次に同判定がなされる時点までに実行される前記パティキュレートフィルタの再生の回数であるフィルタ再生回数を計数する計数部と、
    前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かの判定を実行すべきとき、
    前記フィルタ再生回数が所定回数よりも少ない場合には、
    前記通過ガス流量が所定の第1流量以上であるときに取得された前記パティキュレートフィルタの前記前後差圧に相関を有する差圧相関値と所定の第1閾値との比較結果に基づいて前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定し、
    前記フィルタ再生回数が前記所定回数以上である場合には、
    前記通過ガス流量が前記第1流量よりも小さい所定の第2流量以上であるときに取得された前記前後差圧に相関を有する前記差圧相関値と所定の第2閾値との比較結果に基づいて前記パティキュレートフィルタに異常が発生したか否かを判定する、異常判定部と、
    を備えた異常判定装置。
  2. 請求項1に記載の異常判定装置において、
    前記異常判定部は、正常な前記パティキュレートフィルタの個体差によって生じる前記前後差圧のばらつきの範囲における最小値が、異常な前記パティキュレートフィルタの個体差によって生じる前記前後差圧のばらつきの範囲における最大値よりも大きい関係が成立するような前記通過ガス流量の範囲内に前記第1流量を設定するように構成された、異常判定装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の異常判定装置において、
    前記異常判定部は、
    前記フィルタ再生回数が前記所定回数よりも少ない場合、前記通過ガス流量が前記所定の第1流量以上であるときに前記差圧相関値の基礎データとなる前記前後差圧のデータを複数個取得するとともに同複数のデータを取得したときの前記通過ガス流量の平均値を求め同求めた平均値に基づいて前記第1閾値を決定し、
    前記フィルタ再生回数が前記所定回数以上である場合、前記通過ガス流量が前記所定の第2流量以上であるときに前記差圧相関値の基礎データとなる前記前後差圧のデータを複数個取得するとともに同複数のデータを取得したときの前記通過ガス流量の平均値を求め同求めた平均値に基づいて前記第2閾値を決定する、
    ように構成された異常判定装置。

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