JP2008190406A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低流量域でのフィルタにおけるパティキュレートの堆積量を正確に推定する。
【解決手段】DPFの前後の差圧に基づいてPMの堆積量を推定する内燃機関の排気浄化装置において、排気流量Qeに基づいて排気の粘性によるフィルタの閉塞度合に相当する縮流係数相当項補正係数Crを演算し(S24)、該閉塞度合に基づいて縮流係数相当項(B×ζ)を補正することで(S26)、DPFの前後の差圧を補正する。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置に係り、詳しくは、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)におけるパティキュレートの堆積量を推定する技術に関する。
ディーゼルエンジンの排気を浄化する装置として、DPFを備えるものが知られている。DPFは、排気通路に設けられ、排気中のパティキュレート(以下、PMという)を捕集する。また、DPFに捕集されて堆積したPMを除去するために、DPFの上流に酸化触媒を備え、この酸化触媒に未燃燃料を流入させて排気温度を上昇させることにより、DPFに捕集されたPMを燃焼させる強制再生が知られている。
強制再生は、通常、DPFにおけるPMの堆積量が許容限界値に達した時点で実行される。このものにおいて、PMの堆積量を知るために、例えばDPFの前後差圧を検出し、この前後差圧に基づいてPMの堆積量を推定する装置が知られている。このものでは、更に、フィルタでの圧損による堆積量の推定誤差を低減させるために、排気流量の全域に亘ってDPFの前後差圧を縮小するように補正する(特許文献1)。
特開平7−77028号公報
しかしながら、通常、DPFは、PMの除去率を確保するために、フィルタ内部の壁に形成された排気の通路となる孔が微細化している。したがって、特に排気流量が少ない低流量域では、排気の粘性によりこの微細な孔を排気が通過し難くなることから、大幅に圧損が大きくなる。このため、上記のように、全流量域に亘って前後差圧を縮小するように補正するものでは、低流量域において、補正が不足し、実際の堆積量より多く推定してしまう虞がある。このように、実際の堆積量より多く堆積量を推定してしまうと、必要以上に頻繁に強制再生が実施されることとなり、燃費の悪化を招いてしまう。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、排気の低流量域において、パティキュレートの堆積量を精度良く推定可能な排気浄化装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタと、フィルタの前後差圧を検出する差圧検出手段と、フィルタの温度を検出するフィルタ温度検出手段と、フィルタ温度検出手段により検出されたフィルタの温度に基づいて、排気粘度を推定する排気粘度推定手段と、フィルタを通過する排気の流量を検出する流量検出手段と、差圧検出手段により検出されたフィルタの前後差圧、流量検出手段により検出された排気の流量及び排気粘度推定手段により推定された排気粘度に基づいて、フィルタに捕集されたパティキュレートの堆積量を推定する堆積量推定手段と、流量検出手段により検出された排気の流量に基づいて、堆積量推定手段により推定される堆積量を補正する補正手段と、を備え、補正手段は、流量検出手段により検出された排気の流量が所定の低流量域では、該低流量域よりも流量の多い高流量域より補正量を大きくすることを特徴とする。
また、請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記補正手段は、流量検出手段により検出された排気の流量に基づくフィルタの閉塞度合を補正することを特徴とする。
また、請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記補正手段は、更に、流量検出手段により検出された排気の流量に基づいて、堆積量推定手段により推定された堆積量を補正することを特徴とする。
本発明の請求項1の内燃機関の排気浄化装置によれば、フィルタの前後差圧、排気流量及び排気粘度に基づいて推定されるパティキュレートの堆積量が、排気流量に基づいて補正される。そして、低流量域において、高流量域より補正を大きくするので、排気の粘度が大きくとも堆積量を精度良く推定することができる。
また、請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、堆積量の推定において推定精度の低下要因となりやすいフィルタの閉塞度合が補正されるので、低流量域での堆積量の推定精度を十分に確保することができる。
また、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、補正手段が、排気流量に基づく閉塞度合と、堆積量推定手段により推定された堆積量とを補正するので、排気流量に基づいて堆積量が2回補正されることとなり、堆積量の推定精度を向上させることができる。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る排気浄化装置が適用されたエンジン(内燃機関)1の全体構成図である。
エンジン1は、例えばコモンレール式直列多気筒のディーゼルエンジンである。エンジン1のシリンダヘッド2には、燃焼室3に臨んで電磁式の燃料噴射ノズル4が気筒毎に設けられている。各燃料噴射ノズル4は高圧パイプ5によりコモンレール6に接続されるとともに、コモンレール6は高圧パイプ7を介して高圧ポンプ8に接続されている。高圧ポンプ8は燃料タンク9に貯留された燃料(軽油)をコモンレール6に供給する機能を有しており、コモンレール6に供給された燃料は高圧の状態で蓄えられ、各燃料噴射ノズル4から燃焼室3内に噴射される。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に燃焼室と連通する吸気ポート10及び排気ポート11が夫々形成されており、吸気ポート10には吸気管12が、排気ポート11には排気管13が接続されている。また、シリンダヘッド2には、吸気ポート10を開閉する吸気バルブ14と、排気ポート11を開閉する排気バルブ15とが設けられている。
吸気管12には、吸入空気量を調節する電磁式の吸気絞り弁16と、その上流側に吸気流量を検出するエアフローセンサ17が設けられている。
排気管13と吸気管12との間には、電磁開閉弁であるEGR弁19が介挿されたEGR管18が設けられている。EGR管18は、一端が排気ポート11近傍で排気管13に接続される一方、他端が吸気ポート10近傍で吸気管12に接続され、排気管13と吸気管12とを連通する。
排気管13には、上流側から順番に、触媒ユニット20、DPF(本発明のフィルタに該当する)21が介装されている。触媒ユニット20は、筒状のケースの中に第1の酸化触媒22及び第2の酸化触媒23が収容されて形成されている。第1の酸化触媒22は排気上流側に設けられ、第2の酸化触媒23は第1の酸化触媒22と間隔をおいて下流側に設けられている。第1の酸化触媒22及び第2の酸化触媒23は、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されており、排気中のCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに変換させるとともに、排気中のNOを酸化させてNO2を生成する機能を有する。
本実施形態のDPF21は、酸化触媒機能付き(酸化触媒担持型)のものである。DPF21は、例えば、ハニカム担体の通路の上流側及び下流側を交互にプラグで閉鎖して、排気中のPMを捕集する機能を有しており、更に、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されている。
また、DPF21の下流側には、DPF温度Tfとして、DPF21通過直後の排気温度を検出する温度センサ(フィルタ温度検出手段)26が設けられている。更に、DPF21の上流側及び下流側には、DPF21の前後差圧(上流側と下流側との差圧)Pdを検出する差圧センサ(差圧検出手段)27が備えられている。
ECU30は、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
ECU30の入力側には、上述したエアフローセンサ17、温度センサ26及び差圧センサ27の他に、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ31、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルポジションセンサ32、及び車速を検出する車速センサ33等が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。
一方、ECU30の出力側には、燃料噴射ノズル4、吸気絞り弁16、EGR弁19等の各種出力デバイスが接続されている。これら各種出力デバイスには各種センサ類からの検出情報に基づきECU30において演算された燃料噴射量Qf、燃料噴射時期、EGR量等がそれぞれ出力され、これにより、適正なタイミングで吸気絞り弁16、燃料噴射ノズル4、EGR弁19等の制御が実施される。
以上のようにDPF21の上流に第1の酸化触媒22及び第2の酸化触媒23を配置することにより、下流側の第2の酸化触媒23からNO2がDPF21に流入し、DPF21に捕集され堆積しているPM中の炭素成分であるすすと反応して酸化させる。酸化したすすはCO2となり、DPF21から除去され、DPF21が連続的に再生される(連続再生)。
上記の連続再生では、エンジン1の運転状況により十分にDPF21の再生が行われない場合がある。そこで、ECU30は、DPF21に所定量以上のPMが堆積した場合に強制再生を実施させる。強制再生は、エンジン運転時における燃料の主噴射の後にポスト噴射を行って、未燃燃料を含んだ排気を排気管13に排出させることによって行われる。排気中の未燃燃料は、第1の酸化触媒22に流入して酸化し、排気温度を上昇させる。これにより、DPF21に堆積したPMを燃焼させ、DPF21を再生させる。
図2は、PMの堆積量Qpの推定手順を示すフローチャートであり、以下、同フローチャートに沿って本発明に係るPMの堆積量Qpの推定制御を説明する。
本ルーチンは、エンジン1の作動開始に伴い実行が開始され、エンジン1の作動中は繰り返し実行される。
先ずステップS10では、PMの堆積量Qpの推定に必要なパラメータを入力する。この堆積量Qpの推定に必要なパラメータとして、差圧センサ27により検出されたDPF21の前後差圧Pd、エアフローセンサ17により検出された吸気流量Qi、燃料噴射量Qf、温度センサ26により検出されたDPF温度Tf、排気圧力Pe等が挙げられる。そして、ステップS20に進む。
ステップS20では、ステップS10において入力した吸気流量Qi及び燃料噴射量Qfに基づいて排気流量Qeを演算する(流量検出手段)。この排気流量Qeの演算は、例えばあらかじめECU30の記憶装置に記憶させておいたマップから吸気流量Qi及び燃料噴射量Qfに基づいて読み出すことによって行えばよい。そして、ステップS22に進む。
ステップS22では、ステップS20において演算した排気流量Qeが所定値Q1未満であるか否かを判別する。所定値Q1未満である場合はステップS24に進む。所定値Q1は、排気の粘度による堆積量Qpの推定に対する影響が顕著に現れる上限値に設定すればよく、例えば4000l/minに設定すればよい。
ステップS24では、ステップS20において演算した排気流量Qeに基づいて縮流係数相当項補正係数Cr(閉塞度合)を演算する。この縮流係数相当項補正係数Crの演算は、例えばあらかじめECU30の記憶装置に記憶させておいた図3に示すようなマップから排気流量Qeに基づいて読み出すことによって行われる。図3に示すように、縮流係数相当項補正係数Crは、所定値Q1以上では1で一定になっており、所定値Q1未満の領域で排気流量Qeが低下するにしたがって低下する。そして、ステップS26に進む。
ステップS26では、縮流係数相当項(B×ζ)を補正する(補正手段)。この補正は、縮流係数相当項(B×ζ)に対して、ステップS24において演算された縮流係数相当項補正係数Crを乗算するものである。そして、ステップS28に進む。
一方、ステップS22において、排気流量Qeが所定値Q1以上であると判定された場合にも、ステップS28に進む。
ステップS28では、補正後の縮流係数相当項(B×ζ)´を用いて、堆積量Qp´を演算する。詳しくは、まず、DPF21の圧損ΔP=A×μ×Qe+(B×ζ)´×ρ×Qe2を利用して、前後差圧Pdを補正する。A及びBはDPF21の諸元によって定まる定数であってPMの堆積量によって1次的に変化する。μは粘性係数、ζは縮流係数、ρは排気密度である。粘性係数μ及び排気密度ρは、排気温度(DPF温度Tf)から、例えばマップを用いて求められる(排気粘度推定手段)。そして、補正後の前後差圧Pd´を用いるとともに、ステップS10において入力した差圧Pd以外のパラメータを用いて堆積量Qpを演算する(堆積量推定手段)。
以上のように、排気流量Qeが所定値Q1より少ない場合では、縮流係数相当項(B×ζ)に対して1より小さい縮流係数相当項補正係数Crを乗算することで、DPF21の圧損ΔP、即ちDPF21の前後差圧Pdが小さく補正され、これに伴い堆積量Qpが少なく推定される。したがって、排気の粘性によるDPF21の閉塞を考慮した堆積量Qpの推定が可能となり、排気流量Qeが少ない低流量域で正確な堆積量Qpの推定が可能となる。
図4は、本実施形態における補正前及び補正後の堆積量(推定値)及び実際の堆積量を比較したグラフである。
図4に示すように、本実施形態では、排気流量Qeの少ない低流量域において、排気流量Qeに基づく補正によって堆積量Qpの推定値が低く抑えられ、実際の堆積量Qrにより近い値になっていることが判明できる。
本実施形態では、排気流量Qeに基づいて縮流係数相当項(B×ζ)を補正しているが、排気流量Qeに基づいて差圧補正係数Cdを演算しこの差圧補正係数CdによりDPF21の差圧Pdを直接補正したり、排気流量Qeに基づいて堆積量補正係数Cpを演算しこの堆積量補正係数Cpにより堆積量Qpを補正したりしてもよい。差圧補正係数Cd及び堆積量補正係数Cpは、例えばあらかじめECU30の記憶装置に記憶させておいたマップから排気流量Qeに基づいて読み出すことによって求めればよい。また、これらの補正を複数組み合わせて行ってもよい。このように補正を複数行うことによって、堆積量の推定精度を更に向上させることができる。
以上の実施形態では、縮流係数相当項補正係数Cr、差圧補正係数Cd、堆積量補正係数Cpを、図3に示すように排気流量Qeが所定値Q1以下の低流量域において低下するように補正しているが、更に所定値Q1より大きい高流量域でも補正してよい。この場合、例えば図5に示すように、DPF21の諸元に基づいて、排気流量Qeが低下するに従ってこれらの係数Cr、Cd及びCpを低下させるようにすればよい。
本発明に係る内燃機関の全体構成図である。 PMの堆積量の推定手順を示すフローチャートである。 縮流係数相当項補正係数の一設定例を示すグラフである。 補正前及び補正後の推定堆積量及び実際の堆積量を比較したグラフである。 縮流係数相当項補正係数、差圧補正係数及び堆積量補正係数の他の設定例を示すグラフである。
符号の説明
1 エンジン
4 燃料噴射ノズル
21 DPF
26 温度センサ
27 差圧センサ
30 ECU

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタと、
    前記フィルタの前後差圧を検出する差圧検出手段と、
    前記フィルタの温度を検出するフィルタ温度検出手段と、
    前記フィルタ温度検出手段により検出されたフィルタの温度に基づいて、排気粘度を推定する排気粘度推定手段と、
    前記フィルタを通過する排気の流量を検出する流量検出手段と、
    前記差圧検出手段により検出されたフィルタの前後差圧、前記流量検出手段により検出された排気の流量及び前記排気粘度推定手段により推定された排気粘度に基づいて、前記フィルタに捕集されたパティキュレートの堆積量を推定する堆積量推定手段と、
    前記流量検出手段により検出された排気の流量に基づいて、前記堆積量推定手段により推定される堆積量を補正する補正手段と、を備え、
    前記補正手段は、前記流量検出手段により検出された排気の流量が所定の低流量域では、該低流量域よりも流量の多い高流量域より補正量を大きくすることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記補正手段は、前記流量検出手段により検出された排気の流量に基づく前記フィルタの閉塞度合を補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記補正手段は、更に、前記流量検出手段により検出された排気の流量に基づいて、前記堆積量推定手段により推定された堆積量を補正することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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