JP2007016722A - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アッシュの堆積によってフィルタ有効容量が減少し、これによってフィルタ前後差圧が増大するときの増大率を示す圧損倍率kを、アッシュ堆積量の推定値に基づいて設定する。次いで、アッシュがフィルタ壁内に堆積する条件で走行していた頻度に基づいて前記圧損倍率kを補正することで、実際の有効容量の減少変化に見合う圧損倍率kを得る。そして、フィルタ前後差圧、排気流量、圧損倍率k(有効容量)に基づいてパティキュレートの堆積量を推定し、パティキュレート堆積量が規定量に達すると、フィルタの再生制御を実行させる。
【選択図】 図5
Description
前記パティキュレートフィルタに対してパティキュレートが許容量を上回って堆積すると、見詰まりが生じて排圧を上昇させ、運転性に悪影響を及ぼすようになる。
特許文献1には、走行距離からアッシュ堆積量を推定し、フィルタ前後差圧から推定されるパティキュレート堆積量から前記アッシュ堆積量を減算することで、最終的なパティキュレート堆積量を求めている。
しかし、パティキュレートとアッシュとはフィルタに対する堆積分布が異なり、パティキュレートがフィルタ全体(壁内及び壁面上)に堆積するのに対し、アッシュは主にフィルタの下流閉塞端に堆積し、アッシュの堆積によってパティキュレートフィルタの有効容量が変化する。
パティキュレートの堆積量に推定誤差が生じると、再生処理を適切なタイミングで行わせることができなくなり、フィルタに対するパティキュレートの過堆積が生じたり、無駄な再生処理により燃費性能が低下したりする。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用直噴ディーゼルエンジン(以下「エンジン」という。)1の構成図である。
エンジン1の吸気通路2の導入部には、エアクリーナ(図示せず)が取り付けられており、このエアクリーナにより吸入空気中の粉塵が除去される。
前記コンプレッサ部3aの下流には、インタークーラ4が設置されており、コンプレッサ部3aから圧送された吸入空気は、このインタークーラ4で冷却される。
エンジン1の本体において、インジェクタ7は、気筒毎に燃焼室上部の略中央に固定されている。
前記インジェクタ7は、電子制御ユニット(以下「ECU」という。)21からの燃料噴射制御信号により作動する。
前記インジェクタ7による燃料噴射は、複数回に分けて行われ、インジェクタ7は、エンジン1のトルクを制御するためのメイン噴射以外に、発生するパティキュレートを減少させるためのパイロット噴射、及び、後述するパティキュレートフィルタ12の再生時に排気温度を上昇させるためのポスト噴射を行う。
一方、排気通路9には、前記ターボチャージャ3のタービン部3bが設置され、このタービン部3bの下流には、排気の後処理のため、パティキュレートフィルタ12が設置されている。
また、排気通路9と吸気通路2(サージタンク5)との間に、排気還流管10が接続され、この排気還流管10の途中には排気還流制御弁11が介装されている。
そして、前記排気還流制御弁11が、前記ECU21からの排気還流制御信号により作動することで、排気還流制御弁11の開度に応じた適量の排気が吸気通路2に還流される。
前記再生制御において排気温度を昇温させる手段としては、インジェクタ7、ターボチャージャ3、排気還流制御弁11及び吸気絞り弁6が含まれ、フィルタ再生時には、インジェクタ7のメイン噴射時期,ポスト噴射時期及びポスト噴射量、ターボチャージャ3のベーン角、排気還流制御弁11の開度、吸気絞り弁6の開度のうちの少なくとも1つを調整することで、排気温度を昇温させてパティキュレートフィルタ12に堆積したパティキュレートを燃焼させる。
ステップS1では、再生判定フラグFが0であるか否かを判定する。
前記再生判定フラグFが0であると判定したときは、ステップS2へ進み、前記再生判定フラグFが0でない(1である)と判定したときは、ステップS5へ進む。
ステップS2では、パティキュレートフィルタ12に堆積しているパティキュレートの量PMを推定する。
パティキュレート堆積量PMの推定は、後述する図5のフローチャートに従って行われる。
パティキュレート堆積量PMが規定量PM1に達したと判定したときは、ステップS4へ進み、パティキュレート堆積量PMが規定量PM1に達していないと判定したときは、本ルーチンをリターンする。
ステップS4では、前記再生判定フラグFを1に設定する。
ステップS5では、排気温度を昇温させてパティキュレートを燃焼させる再生制御を実行する。
そして、前記パティキュレートの残存率rPMが規定値R1にまで減少したか否かを、ステップS6で判断し、残存率rPMが規定値R1にまで減少すると、ステップS7へ進んで、前記再生判定フラグFを0に設定し、再生制御を終了させる。
前記アッシュとは、パティキュレートを燃焼させた際の燃え残りをいい、主なものとしてパティキュレート中の不燃成分である硫酸カルシウムのほか、エンジン1の摺動部で発生した摩耗粉や、排気マニホールド又はタービンハウジングの錆び等がある。
再生を完了した直後であるときは、ステップS22へ進み、再生完了直後でないと判定したときは、本ルーチンをリターンする。
再生完了直後であることは、前記再生判定フラグFに0が設定されており、かつ、前記再生判定フラグFが1から0に切り換えられた後における経過時間又は走行距離が所定値に達していないことで判定する。
ステップS23では、読み込んだ排気流量Qexhが規定量に達しているか否かを判定する。
この判定は、パティキュレートフィルタ12の前後差圧が測定に適した値になっているか否かを確認するためのものである。
ステップS24では、フィルタ前後差圧ΔPtotal及び走行距離Dを読み込む。走行距離Dは、車両の出荷時又はパティキュレートフィルタ12が直前に交換されたときを0とした走行距離であり、車速VSPの累積により算出する(D=Σ(VSP×Δt):Δtを演算周期とする。)。
アッシュ堆積量ASHの推定は、フィルタ前後差圧ΔPtotal及び排気流量Qexhに応じてアッシュ堆積量ASHを割り付けたマップ(図4)を参照して行われる。
このマップから求められるアッシュ堆積量ASHは、一定の排気流量Qexhのもとでは、フィルタ前後差圧ΔPtotalが大きいときほど大きな値として推定され、更に、アッシュがフィルタの下流閉塞端にのみ堆積して、アッシュの堆積量がそのままフィルタ有効容量の減少分になるという前提でマップ特性が設定されている。
ステップS26では、それまでの走行距離に応じて積算したアッシュ堆積量ASHと、前記ステップS25で求めたアッシュ堆積量ASHとの比較から、走行距離に対するアッシュ堆積量ASHの増大変化速度を修正する設定を行う。
そこで、アッシュのみによる圧損を示すことになる、再生直後のフィルタ前後差圧ΔPtotalからアッシュ堆積量ASHを求め、該アッシュ堆積量ASHが略実際のアッシュ堆積量ASHを示しているものとして、走行距離(走行履歴)に対するアッシュ堆積量ASHの推定特性を、前記実際のアッシュ堆積量ASHに推定結果が近づくように修正するものである。
また、走行距離の他、オイル消費量やエンジン負荷などからアッシュ堆積量を推定させることができる。
ステップS201では、フィルタ前後差圧ΔPtotal,排気流量Qexh及びアッシュ堆積量ASHを読み込む。
前記アッシュ堆積量ASHは、走行距離に基づいて積算させる値であって、パティキュレートフィルタ12の再生完了時には、フィルタ前後差圧に基づいて修正される値である。
前記アッシュは、主にパティキュレートフィルタ12の下流閉塞端に堆積し、このアッシュの堆積によってパティキュレートフィルタ12の有効容量が減少変化する。
そして、同じパティキュレート堆積量に対するフィルタ前後差圧が、アッシュの堆積によってフィルタの有効容量が減少するほど大きくなる傾向を示すことになり、この有効容量の減少によるフィルタ前後差圧の増大率を、前記圧損倍率kとするものであり、圧損倍率kにより差圧の検出値を補正することで、初期容量であったときの圧損に変換させることができる。
フィルタの有効容量と圧損倍率kとの相関は、予め図6に示すようなマップに設定されており、そのときのアッシュ堆積量に基づいて初期量から減少補正される有効容量に対応する圧損倍率kを、前記マップから検索する。
前記ステップS202では、アッシュ堆積量が全て有効容量を減少させるものとして圧損倍率kを求めたが、下記条件(1)〜(3)が全て成立するときには、アッシュはフィルタ壁内に堆積し、このフィルタ壁内に堆積したアッシュは有効容量を減少させることにならない。
(2)パティキュレートフィルタ12の温度が所定温度以上である。
(3)排気温度が所定温度以上である。
尚、上記(1)の条件、及び、(2)と(3)との少なくとも一方の条件が成立したときを、アッシュがフィルタ壁内に堆積する条件が成立していると判断させても良い。
即ち、アッシュが全てフィルタの下流閉塞端に堆積すれば、アッシュ堆積量がそのままフィルタ有効容量の減少分になるが、上記条件(1)〜(3)が全て成立するときには、アッシュがフィルタの壁内に堆積して、壁内に堆積したアッシュ分は有効容量の減少に影響を与えることがない。
尚、アッシュがフィルタ壁内に堆積する条件で走行した距離の割合(壁内堆積条件での走行頻度)に基づいて圧損倍率kを補正する変わりに、アッシュ堆積量から求めた有効容量又は有効容量を求めるのに用いるアッシュ堆積量を補正しても、実質的には同じである。
ステップS204では、前記フィルタ前後差圧ΔPtotal,排気流量Qexh、及び、壁内堆積条件での走行頻度に基づいて修正された圧損倍率k(フィルタ有効容量)に基づいて、パティキュレート堆積量PMを推定する。
更に、アッシュがフィルタ壁内に堆積する条件で走行した距離の割合(壁内堆積条件での走行頻度)に基づき圧損倍率kを修正するので、実際の有効容量を精度良く推定でき、パティキュレート堆積量の推定精度をより向上させることができる。
そこで、パティキュレート堆積量の推定においては、パティキュレート堆積量の増大変化時であるか減少変化時であるかによって、パティキュレート堆積量の推定特性を切り換えることが好ましい。
Claims (5)
- 車両用エンジンの排気中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタを備えたエンジンの排気浄化装置であって、
前記アッシュの堆積量を推定する一方、前記パティキュレートフィルタの壁内にアッシュが堆積する条件での走行頻度を検出し、該走行頻度に基づいて前記アッシュ堆積量の推定値を補正することを特徴とするエンジンの排気浄化装置。 - 前記パティキュレートフィルタに対するパティキュレートの堆積量が所定量未満であり、かつ、前記パティキュレートフィルタの温度及び/又は排気温度が所定温度以上であるときに、前記パティキュレートフィルタの壁内にアッシュが堆積する条件であると判断することを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気浄化装置。
- 前記走行頻度と、アッシュ堆積量の推定値とに基づいて、前記パティキュレートフィルタの有効容量を推定することを特徴とする請求項1又は2記載のエンジンの排気浄化装置。
- 前記パティキュレートフィルタの有効容量と、前記パティキュレートフィルタの前後差圧とから、前記パティキュレートフィルタに対するパティキュレートの堆積量を推定し、このパティキュレートの堆積量に基づいて前記パティキュレートフィルタの再生要求を判断することを特徴とする請求項3記載のエンジンの排気浄化装置。
- 前記アッシュ堆積量の推定が、車両の走行履歴に基づき行われる構成であって、
前記パティキュレートフィルタに対するパティキュレートの堆積量が所定量未満であるときの前記パティキュレートフィルタの前後差圧から推定したアッシュ堆積量と、車両の走行履歴から推定したアッシュ堆積量との比較から、前記車両の走行履歴に基づくアッシュ堆積量の推定特性を補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化装置。
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