次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本明細書においては、信号の状態について、正論理を“1”、負論理を“0”と定義する。また、正論理から負論理への遷移を“立ち下がり”、負論理から正論理への遷移を“立ち上がり”と定義する。なお、差動信号の状態(即ち、“0”及び“1”や、“立ち上がり”及び“立ち下がり”)については該差動信号のうち正側の信号の状態によって示すものとし、該差動信号のうち負側の信号の状態についてはその説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路の概略構成の一例を示す図である。同図に示すように、本実施形態に係るクロック生成回路1は、例えば、電圧制御発振回路10と、位相制御回路20と、周波数制御回路30とを含む構成により実現される。
電圧制御発振回路10は、複数の差動インバータ回路12が環状に接続されたリングオシレータである。電圧制御発振回路10は、例えば、複数の差動インバータ制御回路11と、該差動インバータ制御回路11にそれぞれ対応する複数の差動インバータ回路12と、差動増幅回路13とを含んで構成される。電圧制御発振回路10は、位相制御回路20によって決定される位相と、周波数制御回路30によって決定される周波数とを有する差動クロックCLKP及びCLKNを生成し、該差動クロックを外部に出力する。
具体的には、電圧制御発振回路10は、位相制御回路20からファイン端子FINE及びコース端子CRSにそれぞれ入力されるコース位相制御信号CRS_CT及びファイン位相制御信号FINE_CTに基づいて決定される位相と、周波数制御回路30から周波数端子FRQに入力される周波数制御信号FRQ_CTに基づいて決定される周波数とを有する差動クロックCLKP及びCLKNを生成し、該差動クロックCLKP及びCLKNをそれぞれクロック端子CP及びCNから外部に出力する。
なお、本例においては、8個の差動インバータ制御回路11及び差動インバータ回路12(即ち、差動インバータ制御回路11(1)乃至11(8)、及び差動インバータ回路12(1)乃至12(8))が電圧制御発振回路10に設けられているが、これに限られるものではなく、差動インバータ制御回路11及び差動インバータ回路12は、電圧制御発振回路10において任意の数だけ設けられても良い。
差動インバータ制御回路11は、位相制御回路20から出力されるファイン位相制御信号FINE_CTに基づくタイミングで、位相制御回路20から出力されるコース位相制御信号CRS_CTの状態のうち対応する差動インバータ回路12に対する制御内容に従うスイッチ信号SWA及びSWBを生成し、該信号を対応する差動インバータ回路12に出力する。
具体的には、差動インバータ制御回路11は、位相制御回路20から出力されるコース位相制御信号CRS_CTの状態を確認する。差動インバータ制御回路11は、コース位相制御信号CRS_CTの状態のうち、対応する差動インバータ回路12に対する制御内容が例えば“非制御”を示すと判断する場合、差動インバータ制御回路11は、スイッチ信号SWA及びSWBの状態をいずれも例えば“1”として、該信号を出力端子oa及びobから対応する差動インバータ回路12の入力端子a及びbにそれぞれ出力する。
また、差動インバータ制御回路11は、コース位相制御信号CRS_CTの状態のうち、対応する差動インバータ回路12に対する制御内容が例えば“正論理制御”を示すと判断する場合、差動インバータ制御回路11は、スイッチ信号SWA及びSWBの状態をそれぞれ例えば“1”及び“0”として、該信号を出力端子oa及びobから対応する差動インバータ回路12の入力端子a及びbにそれぞれ出力する。
また、差動インバータ制御回路11は、コース位相制御信号CRS_CTの状態のうち、対応する差動インバータ回路12に対する制御内容が例えば“負論理制御”を示すと判断する場合、差動インバータ制御回路11は、スイッチ信号SWA及びSWBの状態をそれぞれ例えば“0”及び“1”として、該信号を出力端子oa及びobから対応する差動インバータ回路12の入力端子a及びbにそれぞれ出力する。
差動インバータ回路12は、例えば、オペアンプであり、複数の該回路が環状に接続されることによってリングオシレータを構成する。該リングオシレータは、周波数制御回路30から出力される周波数制御信号FRQ_CTに基づく周波数と、差動インバータ制御回路11から対応する差動インバータ回路12にそれぞれ出力されるスイッチ信号SWA及びSWBに基づく位相とを有する差動クロックを生成し、該クロックを差動増幅回路13に出力する。
該リングオシレータにおける最前段の差動インバータ回路12(1)は、前段(即ち、最終段)の差動インバータ回路12(8)の正側の差動出力端子op及び負側の差動出力端子on(以降、単に差動出力端子と称する)から正側の差動入力端子ip及び負側の差動入力端子in(以降、単に差動入力端子と称する)にそれぞれ入力される差動クロックと、差動インバータ制御回路11(1)から入力端子a及びbにそれぞれ入力されるスイッチ信号SWA1及びSWB1とに基づいて、差動出力端子op及びonの状態を決定し、該状態をそれぞれ次段の差動インバータ回路12(2)の差動入力端子in及びipに出力する。
該リングオシレータにおける最終段の差動インバータ回路12(8)は、前段の差動インバータ回路12(7)の差動出力端子on及びopから差動入力端子ip及びinにそれぞれ入力される差動クロックと、差動インバータ制御回路11(8)から入力端子a及びbにそれぞれ入力されるスイッチ信号SWA8及びSWB8とに基づいて、差動出力端子op及びonの状態を決定する。該差動インバータ回路12(8)は、差動出力端子onの状態を差動増幅回路13の差動入力端子ipと、次段(即ち、最前段)の差動インバータ回路12(1)の差動入力端子inとに、差動出力端子opの状態を差動増幅回路13の差動入力端子inと、最前段の差動インバータ回路12(1)の差動入力端子ipとに、それぞれ出力する。
該リングオシレータにおける最前段の次段から最終段の前段までの差動インバータ回路12(x)は、前段の差動インバータ回路12(x−1)の差動出力端子op及びonから差動入力端子in及びipにそれぞれ出力される差動クロックと、差動インバータ制御回路11(x)から入力端子a及びbにそれぞれ出力されるスイッチ信号SWAx及びSWBxとに基づいて、差動出力端子op及びonの状態を決定し、該状態をそれぞれ次段の差動インバータ回路12(x+1)の差動入力端子in及びipに出力する。なお、差動インバータ回路12の動作の詳細については下記表1を参照して説明される。また、差動インバータ回路12の構成の詳細に関しては図2及び図3を参照して説明される。
表1は、差動インバータ制御回路11が出力するスイッチ信号SWA及びSWBの状態と、差動インバータ回路12の差動出力端子op及びonの状態との関係を示す表である。同表に示すように、差動インバータ回路12は、スイッチ信号SWA及びSWBの状態に基づいて、差動出力端子op及びonの状態を決定する。
スイッチ信号SWA及びSWBの状態がいずれも“0”である場合、差動インバータ回路12は禁止状態となる。禁止状態において、差動インバータ回路12は正常に動作しないため、差動インバータ制御回路11は、上述したように、差動インバータ回路12が動作時に禁止状態とならないようにスイッチ信号SWA及びSWBの状態を決定する。
スイッチ信号SWA及びSWBの状態がそれぞれ“0”及び“1”である場合、差動インバータ回路12は、差動出力端子op及びonの状態をそれぞれ“1”及び“0”(正論理制御状態)とする。また、スイッチ信号SWA及びSWBの状態がそれぞれ“1”及び“0”である場合、差動インバータ回路12は、差動出力端子op及びonの状態をそれぞれ“0”及び“1”(負論理制御状態)とする。即ち、スイッチ信号SWA及びSWBの状態がそれぞれ異なる場合、差動インバータ回路12は、差動入力端子ip及びinの状態によらずに、差動出力端子op及びonの状態を決定する。
スイッチ信号SWA及びSWBの状態がいずれも“1”である場合、差動インバータ回路12は、差動入力端子ip及びinの状態に基づいて、差動出力端子on及びopの状態をそれぞれ決定する。斯かる場合において、差動インバータ回路12は、前段の差動インバータ回路12から差動入力端子ip及びinに出力される差動クロックに対して論理否定を行い、該差動クロックを差動出力端子on及びopから次段の差動インバータ回路12に出力する。なお、差動インバータ回路12において、差動出力端子on及びopの状態が、それぞれ差動入力端子ip及びinの状態に基づいて決定される状態を非制御状態と称する。
差動増幅回路13は、例えば、オペアンプであり、リングオシレータによって生成される差動クロックを所定の倍率で増幅し、それぞれ差動クロックCLKP及びCLKNとして出力する。具体的には、差動増幅回路13は、リングオシレータによって生成される差動クロックを差動入力端子ip及びinで受け、該クロックを所定の倍率で増幅し、差動クロックCLKP及びCLKNとして差動出力端子on及びopから外部に出力する。
位相制御回路20は、電圧制御発振回路10が生成する差動クロックCLKP及びCLKNの位相を制御する。具体的には、位相制御回路20は、クロック生成回路1に要求される位相設定要求に基づいて、コース位相制御信号CRS_CT及びファイン位相制御信号FINE_CTを生成し、該信号をそれぞれコース端子CRS及びファイン端子FINEから電圧制御発振回路10のコース端子CRS及びファイン端子FINEに出力し、該信号によって電圧制御発振回路10が出力する差動クロックCLKP及びCLKNの位相を制御する。
周波数制御回路30は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路であり、電圧制御発振回路10が生成し出力する差動クロックCLKP及びCLKNの周波数を制御する。具体的には、周波数制御回路30は、クロック生成回路1に要求される発振周波数に基づいて、周波数制御信号FRQ_CTを生成し、該信号を電圧制御発振回路10の周波数端子FRQに出力し、該信号によって電圧制御発振回路10が生成する差動クロックCLKP及びCLKNの周波数を制御する。
以上のように構成されるクロック生成回路1は、リングオシレータの各差動インバータ回路12の出力端子op及びonにマルチプレクサを接続していないため、低消費電力で動作し、さらにマルチプレクサが電圧制御発振回路10の発振周波数に与える影響を低減して差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整することができる。また、本実施形態に係るクロック生成回路1は、ファイン位相制御信号FINE_CTに基づいて、コース位相制御信号CRS_CTに従って各差動インバータ回路12の出力を制御することによって、高精度で差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整することができる。
図2は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における差動インバータ回路の一例を示す図である。同図が示すように、差動インバータ回路12(x)は、例えば、トランジスタTR1乃至TR12を含んで構成される。また、同図において、周波数制御信号線W_FRQは、差動インバータ回路12(x)の正側の電源線として、バイアス線W_VBは、該回路の負側の電源線としてそれぞれ機能する。なお、本明細書において、スイッチ信号SWAx及びSWBxは、典型的には、差動信号である。本明細書において、スイッチ信号SWAxの正側(正相)及び負側(逆相)の信号をそれぞれスイッチ信号SWAx(1)及びSWAx(2)と定義する。また、本明細書において、スイッチ信号SWBxの正側(正相)及び負側(逆相)の信号をそれぞれスイッチ信号SWBx(1)及びSWBx(2)と定義する。
トランジスタTR1は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR1は、前段の差動インバータ回路12(x−1)から出力される差動クロックの一方の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR1は、そのドレインは差動出力端子onと、トランジスタTR2乃至TR4、及びTR6のドレインと、トランジスタTR11のゲートとに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQを介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは差動入力端子ipと、トランジスタTR3のゲートとに接続される。
トランジスタTR2は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR2は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(1)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR2は、そのドレインは差動出力端子onと、トランジスタTR1、TR3、TR4及びTR6のドレインと、トランジスタTR11のゲートとに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQを介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは入力端子b(1)に接続される。
トランジスタTR3は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR3は、前段の差動インバータ回路12(x−1)から出力される差動クロックの一方の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR3は、そのドレインは差動出力端子onと、トランジスタTR1、TR2、TR4及びTR6のドレインと、トランジスタTR11のゲートとに接続される一方、ソースはバイアス線W_VBに接続され、さらにゲートは、差動入力端子ipと、トランジスタTR1のゲートとに接続される。
トランジスタTR4は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR4は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(2)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR4は、そのドレインは差動出力端子onと、トランジスタTR1乃至TR3、及びTR6のドレインと、トランジスタTR11のゲートとに接続される一方、ソースはバイアス線W_VBに接続され、さらにゲートは入力端子a(2)と、トランジスタTR6のゲートとに接続される。
トランジスタTR5は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR5は、差動出力端子opの電位に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの電位を決定する。また、トランジスタTR5は、そのドレインはトランジスタTR6のソースに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQを介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは差動出力端子opと、トランジスタTR7乃至TR10、及びTR12のドレインとに接続される。
トランジスタTR6は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR6は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(2)の電位に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR6は、そのドレインはトランジスタTR1乃至TR4のドレインと、トランジスタTR11のゲートと、差動出力端子onとに接続される一方、ソースはトランジスタTR5のドレインに接続され、さらにゲートは入力端子a(2)と、トランジスタTR4のゲートとに接続される。
トランジスタTR7は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR7は、前段の差動インバータ回路12(x−1)から出力される差動クロックの他方の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR7は、そのドレインは差動出力端子opと、トランジスタTR8乃至TR10、及びTR12のドレインと、トランジスタTR5のゲートとに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQを介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは差動入力端子inと、トランジスタTR9のゲートとに接続される。
トランジスタTR8は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR8は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(1)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR8は、そのドレインは差動出力端子opと、トランジスタTR7、TR9、TR10及びTR12のドレインと、トランジスタTR5のゲートとに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQを介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは入力端子a(1)に接続される。
トランジスタTR9は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR9は、前段の差動インバータ回路12(x−1)から出力される差動クロックの他方の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR9は、そのドレインは差動出力端子opと、トランジスタTR7、TR8、TR10及びTR12のドレインと、トランジスタTR5のゲートとに接続される一方、ソースはバイアス線W_VBに接続され、さらにゲートは、差動入力端子inと、トランジスタTR7のゲートとに接続される。
トランジスタTR10は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR10は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(2)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR10は、そのドレインは差動出力端子opと、トランジスタTR7乃至TR9、及びTR12のドレインと、トランジスタTR5のゲートとに接続される一方、ソースはバイアス線W_VBに接続され、さらにゲートは入力端子b(2)と、トランジスタTR12のゲートとに接続される。
トランジスタTR11は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR11は、差動出力端子onの状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR11は、そのドレインはトランジスタTR12のソースに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQを介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは差動出力端子onと、トランジスタTR1乃至TR4、及びTR6のドレインとに接続される。
トランジスタTR12は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR12は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(2)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR12は、そのドレインはトランジスタTR7乃至TR10のドレインと、トランジスタTR5のゲートと、差動出力端子opとに接続される一方、ソースはトランジスタTR11のドレインに接続され、さらにゲートは入力端子b(2)と、トランジスタTR10のゲートとに接続される。
次に、差動インバータ回路12(x)の動作について説明する。
[スイッチ信号SWAx及びSWBxの状態がいずれも“1”である場合]
まず、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx及びSWBxの状態がいずれも“1”であると仮定する。斯かる場合において、トランジスタTR2及びTR8のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(1)及びSWBx(1)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR2及びTR8はオフとなる。
また、トランジスタTR4及びTR10のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(2)及びSWBx(2)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR4及びTR10はオフとなる。トランジスタTR6及びTR12のゲートの状態は、トランジスタTR4及びTR10の状態と同様に“0”となるため、トランジスタTR6及びTR12はオンとなる。従って、差動出力端子op及びonの状態は、それぞれ差動入力端子in及びipの状態に基づいて決定される(非制御状態)。
ここで、差動入力端子ip及びinにそれぞれ状態が“1”及び“0”である差動クロックが入力された場合、トランジスタTR1及びTR3で構成されるインバータ回路によって、差動出力端子onの状態は“0”となる一方で、トランジスタTR7及びTR9で構成されるインバータ回路によって、差動出力端子opの状態は“1”となる。トランジスタTR11は、そのゲートが差動出力端子onに接続されるため、差動出力端子onの状態“0”に基づいてオンとなる。上述したように、トランジスタTR12はオンであるため、トランジスタTR11及びTR12は、周波数端子frqから自身を介して差動出力端子opに向かうさらなる電流経路を形成する。また、トランジスタTR5は、そのゲートが差動出力端子opに接続されるため、差動出力端子opの状態“1”に基づいてオフとなる。
一方、差動入力端子ip及びinにそれぞれ状態が“0”及び“1”である差動クロックが入力された場合、トランジスタTR1及びTR4で構成されるインバータ回路によって、差動出力端子onの状態は“1”となる一方で、トランジスタTR7及びTR9で構成されるインバータ回路によって、差動出力端子opの状態は“0”となる。トランジスタTR5は、そのゲートが差動出力端子opに接続されるため、差動出力端子opの状態“0”に基づいてオンとなる。上述したように、トランジスタTR6はオンであるため、トランジスタTR5及びTR6は、周波数端子frqから自身を介して差動出力端子opに向かうさらなる電流経路を形成する。また、トランジスタTR11は、そのゲートが差動出力端子onに接続されるため、差動出力端子onの状態“1”に基づいてオフとなる。
これにより、差動出力端子op及びonの状態がそれぞれ異なる状態となる場合に、差動インバータ回路12(x)の電流駆動能力が最も大きくなるため、差動インバータ回路12(x)は、差動クロックがそれぞれ異なる状態となるように差動出力端子op及びonの状態を制御することとなる。
[スイッチ信号SWAx及びSWBxの状態が“1”及び“0”である場合]
差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx及びSWBxの状態がそれぞれ“1”及び“0”であると仮定する。斯かる場合において、トランジスタTR2のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(1)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR2はオンとなる。トランジスタTR8のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(1)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR8はオフとなる。
また、トランジスタTR4及びTR6のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(2)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR4及びTR6はそれぞれオフ及びオンとなる。トランジスタTR10及びTR12のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(2)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR10及びTR12はそれぞれオン及びオフとなる。
トランジスタTR2、TR4、TR8及びTR10は、それぞれオン、オフ、オフ及びオンであるため、差動出力端子onの状態は、トランジスタTR2を介して周波数端子frqと短絡することによって“1”となる一方で、差動出力端子opの状態は、トランジスタTR10を介してバイアス線W_VBと短絡することによって“0”となる(正論理制御状態)。
[スイッチ信号SWA及びSWBの状態が“0”及び“1”である場合]
差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx及びSWBxの状態がそれぞれ“0”及び“1”であると仮定する。斯かる場合において、トランジスタTR2のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(1)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR2はオフとなる。トランジスタTR8のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(1)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR8はオンとなる。
また、トランジスタTR4及びTR6のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(2)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR4及びTR6はそれぞれオン及びオフとなる。トランジスタTR10及びTR12のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(2)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR10及びTR12はそれぞれオフ及びオンとなる。
トランジスタTR2、TR4、TR8及びTR10は、それぞれオフ、オン、オン及びオフであるため、差動出力端子onの状態は、トランジスタTR4を介してバイアス線W_VBと短絡することによって“0”となる一方で、差動出力端子opの状態は、トランジスタTR8を介して周波数端子frqと短絡することによって“1”となる(負論理制御状態)。
図3は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における差動インバータ回路のさらなる一例を示す図である。同図が示すように、差動インバータ回路12(x)’は、例えば、トランジスタTR1’乃至TR12’を含んで構成される。また、同図において、周波数制御信号線W_FRQ’は、差動インバータ回路12’(x)の正側の電源線として、バイアス線W_VB’は、該回路の負側の電源線としてそれぞれ機能する。
トランジスタTR1’は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR1’は、前段の差動インバータ回路12’から出力される差動クロックの一方の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR1’は、そのドレインは差動出力端子onと、トランジスタTR2’乃至TR4’、及びTR6’のドレインと、トランジスタTR11’のゲートとに接続される一方、ソースはバイアス線W_VB’に接続され、さらにゲートは差動入力端子ipと、トランジスタTR3’のゲートとに接続される。
トランジスタTR2’は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR2’は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(2)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR2’は、そのドレインは差動出力端子onと、トランジスタTR1’、TR3’、TR4’及びTR6’のドレインと、トランジスタTR11’のゲートとに接続される一方、ソースはバイアス線W_VB’に接続され、さらにゲートは入力端子b(2)に接続される。
トランジスタTR3’は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR3’は、前段の差動インバータ回路12(x−1)’から出力される差動クロックの一方の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR3’は、そのドレインは差動出力端子onと、トランジスタTR1’、TR2’、TR4’及びTR6’のドレインと、トランジスタTR11’のゲートとに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQ’を介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは、差動入力端子ipと、トランジスタTR1’のゲートとに接続される。
トランジスタTR4’は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR4’は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(1)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR4’は、そのドレインは差動出力端子onと、トランジスタTR1’乃至TR3’、及びTR6’のドレインと、トランジスタTR11’のゲートとに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQ’を介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは入力端子a(1)と、トランジスタTR6’のゲートとに接続される。
トランジスタTR5’は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR5’は、差動出力端子opの状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR5’は、そのドレインはトランジスタTR6’のソースに接続される一方、ソースはバイアス線W_VB’に接続され、さらにゲートは差動出力端子opと、トランジスタTR7’乃至TR10’、及びTR12’のドレインとに接続される。
トランジスタTR6’は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR6’は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(1)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子onの状態を決定する。また、トランジスタTR6’は、そのドレインはトランジスタTR1’乃至TR4’のドレインと、トランジスタTR11’のゲートと、差動出力端子onとに接続される一方、ソースはトランジスタTR5’のドレインに接続され、さらにゲートは入力端子a(1)と、トランジスタTR4’のゲートとに接続される。
トランジスタTR7’は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR7’は、前段の差動インバータ回路12’(x−1)から出力される差動クロックの他方の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR7’は、そのドレインは差動出力端子opと、トランジスタTR8’乃至TR10’、及びTR12’のドレインと、トランジスタTR5’のゲートとに接続される一方、ソースはバイアス線W_VB’に接続され、さらにゲートは差動入力端子inと、トランジスタTR9’のゲートとに接続される。
トランジスタTR8’は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR8’は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(2)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR8’は、そのドレインは差動出力端子opと、トランジスタTR7’、TR9’、TR10’及びTR12’のドレインと、トランジスタTR5’のゲートとに接続される一方、ソースはバイアス線W_VB’に接続され、さらにゲートは入力端子a(2)に接続される。
トランジスタTR9’は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR9’は、前段の差動インバータ回路12(x−1)’から出力される差動クロックの他方の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR9’は、そのドレインは差動出力端子opと、トランジスタTR7’、TR8’、TR10’及びTR12’のドレインと、トランジスタTR5’のゲートとに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQ’を介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは、差動入力端子inと、トランジスタTR7’のゲートとに接続される。
トランジスタTR10’は、例えば、P型トランジスタである。トランジスタTR10’は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(1)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR10’は、そのドレインは差動出力端子opと、トランジスタTR7’乃至TR9’、及びTR12’のドレインと、トランジスタTR5’のゲートとに接続される一方、ソースは周波数制御信号線W_FRQ’を介して周波数端子frqに接続され、さらにゲートは入力端子b(1)と、トランジスタTR12’のゲートとに接続される。
トランジスタTR11’は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR11’は、差動出力端子onの状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR11’は、そのドレインはトランジスタTR12’のソースに接続される一方、ソースはバイアス線W_VB’に接続され、さらにゲートは差動出力端子onと、トランジスタTR1’乃至TR4’、及びTR6’のドレインとに接続される。
トランジスタTR12’は、例えば、N型トランジスタである。トランジスタTR12’は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(1)の状態に基づいて自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子opの状態を決定する。また、トランジスタTR12’は、そのドレインはトランジスタTR7’乃至TR10’のドレインと、トランジスタTR5’のゲートと、差動出力端子opとに接続される一方、ソースはトランジスタTR11’のドレインに接続され、さらにゲートは入力端子b(1)と、トランジスタTR10’のゲートとに接続される。
次に、差動インバータ回路12’(x)の動作について説明する。
[スイッチ信号SWAx及びSWBxの状態がいずれも“1”である場合]
まず、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx及びSWBxの状態がいずれも“1”であると仮定する。斯かる場合において、トランジスタTR2’及びTR8’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(2)及びSWBx(2)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR2’及びTR8’はオフとなる。
また、トランジスタTR4’及びTR10’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(1)及びSWBx(1)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR4’及びTR10’はオフとなる。トランジスタTR6’及びTR12’のゲートの状態は、トランジスタTR4’及びTR10’の状態と同様に“1”となるため、トランジスタTR6’及びTR12’はオンとなる。従って、差動出力端子op及びonの状態は、それぞれ差動入力端子in及びipの状態に基づいて決定される(非制御状態)。
ここで、差動入力端子ip及びinにそれぞれ状態が“1”及び“0”である差動クロックが入力された場合、トランジスタTR1’及びTR3’で構成されるインバータ回路によって、差動出力端子onの状態は“0”となる一方で、トランジスタTR7’及びTR9’で構成されるインバータ回路によって、差動出力端子opの状態は“1”となる。トランジスタTR5’は、そのゲートが差動出力端子opに接続されるため、差動出力端子opの状態“1”に基づいてオンとなる。上述したように、トランジスタTR6’はオンであるため、トランジスタTR5’及びTR6’は、差動出力端子onから自身を介してバイアス線W_VB’に向かうさらなる電流経路を形成する。また、トランジスタTR11’は、そのゲートが差動出力端子onに接続されるため、差動出力端子onの状態“0”に基づいてオフとなる。
一方、差動入力端子ip及びinにそれぞれ状態が“0”及び“1”である差動クロックが入力された場合、トランジスタTR1’及びTR3’で構成されるインバータ回路によって、差動出力端子opの状態は“0”となる一方で、トランジスタTR7’及びTR9’で構成されるインバータ回路によって、差動出力端子onの状態は“1”となる。トランジスタTR5’は、そのゲートが差動出力端子opに接続されるため、差動出力端子opの状態“0”に基づいてオフとなる。また、トランジスタTR11’は、そのゲートが差動出力端子onに接続されるため、差動出力端子onの状態“1”に基づいてオンとなる。上述したように、トランジスタTR12’はオンであるため、トランジスタTR11’及びTR12’は、差動出力端子opから自身を介してバイアス線W_VB’に向かうさらなる電流経路を形成する。
これにより、差動出力端子op及びonの状態がそれぞれ異なる状態となる場合に、差動インバータ回路12’(x)の電流駆動能力が最も大きくなるため、差動インバータ回路12’(x)は、差動クロックがそれぞれ異なる状態となるように差動出力端子op及びonの状態を制御することとなる。
[スイッチ信号SWAx及びSWBxの状態が“1”及び“0”である場合]
差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx及びSWBxの状態がそれぞれ“1”及び“0”であると仮定する。斯かる場合において、トランジスタTR2’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(2)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR2’はオンとなる。トランジスタTR8’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(2)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR8’はオフとなる。
また、トランジスタTR4’及びTR6’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(1)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR4’及びTR6’はそれぞれオフ及びオンとなる。トランジスタTR10’及びTR12’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(1)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR10’及びTR12’はそれぞれオン及びオフとなる。
トランジスタTR2’、TR4’、TR8’及びTR10’は、それぞれオン、オフ、オフ及びオンであるため、差動出力端子onの状態は、トランジスタTR2’を介してバイアス線W_VB’と短絡することによって“0”となる一方で、差動出力端子opの状態は、トランジスタTR10’を介して周波数端子frqと短絡することによって“0”となる(正論理制御状態)。
[スイッチ信号SWAx及びSWBxの状態が“0”及び“1”である場合]
差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx及びSWBxの状態がそれぞれ“0”及び“1”であると仮定する。斯かる場合において、トランジスタTR2’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(2)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR2’はオフとなる。トランジスタTR8’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(2)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR8’はオンとなる。
また、トランジスタTR4’及びTR6’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWAx(1)の状態と同じ“1”となるため、トランジスタTR4’及びTR6’はそれぞれオン及びオフとなる。トランジスタTR10’及びTR12’のゲートの状態は、差動インバータ制御回路11(x)から出力されるスイッチ信号SWBx(1)の状態と同じ“0”となるため、トランジスタTR10’及びTR12’はそれぞれオフ及びオンとなる。
トランジスタTR2’、TR4’、TR8’及びTR10’は、それぞれオフ、オン、オン及びオフであるため、差動出力端子onの状態は、トランジスタTR4’を介して周波数端子frq’と短絡することによって“0”となる一方で、差動出力端子opの状態は、トランジスタTR8’を介してバイアス線W_VB’と短絡することによって“0”となる(負論理制御状態)。
図4は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における各差動インバータ回路が出力する各差動クロックの位相を示す図である。同図において、横軸方向は差動クロックの位相を示し、縦軸方向は差動クロックの状態を示す。
電圧制御発振回路10は、上述したように、8個の差動インバータ回路12を有すると仮定する。また、差動インバータ制御回路11は、いずれもスイッチ信号SWA及びSWBの状態を“1”として、該信号を差動インバータ回路12に出力すると仮定する。斯かる場合、8個の差動インバータ回路12によって構成されるリングオシレータにおいて、差動インバータ回路12(x)の差動出力端子opから出力されるクロックは、リングオシレータ内の信号線を伝搬して再び差動インバータ回路12(x)の差動出力端子opに戻ってくるまでに、差動インバータ回路12を16回経由する。
電圧制御発振回路10の動作が安定している場合、リングオシレータにおける各差動インバータ回路12が出力する差動クロックの位相は一定となるため、差動インバータ回路12(x)の差動出力端子opから出力されリングオシレータを伝搬するクロックの位相は、差動インバータ回路12を経由するごとに回転する。斯かる位相の回転量は、差動インバータ回路12(x)の差動出力端子opに戻ってきた際に丁度360°(即ち、0°)となる。
従って、電圧制御発振回路10は、リングオシレータにおける各差動インバータ回路12でそれぞれ位相が異なる16個のクロックを生成する。例えば、差動インバータ回路12(1)が差動出力端子opから0°の位相を有するクロックを出力する場合、差動インバータ回路12(2)乃至12(8)は、差動出力端子opからそれぞれ337.5°、135°、292.5°、90°、247.5°、45°及び202.5°の位相を有するクロックを出力し、差動インバータ回路12(1)乃至12(8)は、差動出力端子onからそれぞれ180°、157.5°、315°、112.5°、270°、67.5°、225°及び22.5°の位相を有するクロックを出力することとなる。
ここで、位相制御回路20が差動インバータ回路12の差動出力端子op及びonの状態を制御する場合について説明する。例えば、差動インバータ回路12(2)の差動出力端子opから0°の位相を有するクロックを出力するように制御する場合を考える。斯かる場合において、位相制御回路20は、差動インバータ回路12(1)、12(3)、12(5)及び12(7)の差動出力端子op及びonの状態をそれぞれ“0”及び“1”に、差動インバータ回路12(4)、12(6)及び12(8)の差動出力端子op及びonの状態をそれぞれ“1”及び“0”に、差動インバータ回路12(2)の差動出力端子op及びonの状態が差動入力端子ip及びinの状態に依存するように、コース位相制御信号CRS_CTを生成し、該信号を差動インバータ制御回路11(1)乃至11(8)に出力する。
差動インバータ回路12(2)を除く各差動インバータ回路12の差動出力端子op及びonの状態は、上述した所定の状態に制御される。差動インバータ回路12(2)の前段である差動インバータ回路12(1)の差動出力端子op及びonの状態がそれぞれ“1”及び“0”であり、次段である差動インバータ回路12(3)の差動出力端子op及びonの状態がそれぞれ“0”及び“1”であることから、差動インバータ回路12(2)の差動出力端子op及びonの状態は、“0”及び“1”のいずれにも定まらない。差動インバータ回路12(2)の差動出力端子op及びonの状態は、それぞれ“0”から“1”に遷移する状態(即ち、立ち上がり)と、“1”から“0”に遷移する状態(即ち、立ち下がり)となる。
斯かる状態で、位相制御回路20は、各差動インバータ回路12の差動出力端子op及びonの状態が差動入力端子ip及びinの状態に依存するように、コース位相制御信号CRS_CTの状態を変更する。これにより、電圧制御発振回路10は、差動インバータ回路12(2)が差動出力端子op及びonから出力するクロックの位相をそれぞれ0°及び180°として、差動インバータ回路12(1)、12(3)乃至12(8)が出力するクロックの位相を調整することとなる。
このように、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1は、電圧制御発振回路10のリングオシレータにおける各差動インバータ回路12のうち、対象の差動インバータ回路12の出力の状態が一意に定まらないように、対象の差動インバータ回路12以外の差動インバータ回路12の出力の状態を制御する。これにより、クロック生成回路1は、対象の差動インバータ回路12が出力するクロックの位相を0°及び180°に制御し、該クロックの位相を基準として、他の差動インバータ回路12が出力するクロックの位相を調整することによって、出力端子CP及びCNから出力する差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整することができる。なお、位相制御回路20がどのようにコース位相制御信号CRS_CTを生成するかに関しては、後述する。
図5は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における各種の信号のタイミングチャートである。より具体的には、図5は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1において、クロック生成回路1が差動クロックCLKP及びCLKNの位相を90°回転させる場合の各種の信号のタイミングチャートである。
なお、本明細書において、ファイン位相制御信号FINE_CTの正側及び負側の信号をそれぞれファイン位相制御信号FINE_CT(1)及びFINE_CT(2)と定義する。同図において、位相制御回路20がコース位相制御信号CRS_CTの状態をdata(n)からdata(n+1)に変更する時刻を時刻t1と定義する。また、時刻t1以前で、位相制御回路20が最後にパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングを時刻t0と、時刻t1以降で、位相制御回路20が最初にパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングを時刻t2と、時刻t2以降で位相制御回路20が最初にパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングを時刻t3とそれぞれ定義する。
時刻t0で、位相制御回路20は、パルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力する。時刻t0では、電圧制御発振回路10から出力される差動クロックCLKP及びCLKNの立ち上がり及び立ち下がりは、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルスの立ち上がりに同期している。
時刻t1で、位相制御回路20は、例えば外部からの制御指示に基づいて、コース位相制御信号CRS_CTの状態をdata(n)からdata(n+1)に変更する。各差動インバータ制御回路11は、ファイン位相制御信号FINE_CTの状態が“1”の間、差動インバータ回路12の出力を制御するため、時刻t1では電圧制御発振回路10から出力される差動クロックCLKP及びCLKNの位相に変化はない。
時刻t2で、位相制御回路20は、パルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力する。電圧制御発振回路10の各差動インバータ制御回路11は、ファイン位相制御信号FINE_CTの状態が“1”の間、各スイッチ信号SWA及びSWBをコース位相制御信号CRS_CTの状態data(n+1)に従う状態に更新し、対応する各差動インバータ回路12に出力する。そして、電圧制御発振回路10の各差動インバータ回路12は、ファイン位相制御信号FINE_CTの状態が“1”の間、対応する各差動インバータ制御回路11から出力される各スイッチ信号SWA及びSWBに従って、その出力の状態を制御し、ファイン位相制御信号FINE_CTの状態が“0”となって以降、出力の状態の制御を解除する。
時刻t3で、位相制御回路20は、パルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力する。時刻t3では、電圧制御発振回路10から出力される差動クロックCLKP及びCLKNの立ち上がりは、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルスの立ち上がりに対して90°遅れた位相を有している。よって、電圧制御発振回路10が出力する差動クロックCLKP及びCLKNの位相の調整が完了する。
図6は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における各種の信号のタイミングチャートである。より具体的には、図6は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1において、クロック生成回路1が差動クロックCLKP及びCLKNの位相を180°回転させる場合の各種の信号のタイミングチャートである。
同図において、時刻t0乃至時刻t3は、図5で説明したものと同じである。また、同図は、時刻t0で差動クロックCLKP及びCLKNがファイン位相制御信号FINE_CTに対して90°遅れた位相を有することと、差動クロックCLKP及びCLKNに対する回転角が180°であることとを除いて、図5と同じである。
時刻t1及び時刻t2での各種の信号の状態の遷移は、図5で説明した通りであるため、その説明を省略する。時刻t3で、位相制御回路20は、パルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力する。また、時刻t3で、電圧制御発振回路10から出力される差動クロックCLKP及びCLKNの立ち上がりは、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルスの立ち上がりに対して270°遅れた位相を有している。よって、電圧制御発振回路10が出力する差動クロックCLKP及びCLKNの位相の調整が完了する。
図7は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における各種の信号のタイミングチャートである。より具体的には、図7は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1において、クロック生成回路1が差動クロックCLKP及びCLKNの位相を270°回転させる場合の各種の信号のタイミングチャートである。
同図において、時刻t0乃至時刻t3は、図5で説明したものと同じである。また、時刻t4は、位相制御回路20が時刻t3以降で最初にパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングと定義する。同図は、時刻t0で、差動クロックCLKP及びCLKNがファイン位相制御信号FINE_CTに対して270°遅れた位相を有することと、差動クロックCLKP及びCLKNに対する回転角が270°であることと、時刻t4が定義されていることとを除いて、図5と同じである。
時刻t1及び時刻t2での各種の信号の状態の遷移は、図5で説明した通りであるため、その説明を省略する。時刻t3で、位相制御回路20は、パルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力する。時刻t3では、電圧制御発振回路10から出力される差動クロックCLKP及びCLKNの立ち上がりは、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルスの立ち上がりに対して、およそ270°遅れた位相を有している。
時刻t4で、位相制御回路20は、パルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力する。時刻t4では、電圧制御発振回路10から出力される差動クロックCLKP及びCLKNの立ち上がりは、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルスの立ち上がりに対して270°遅れた位相を有している。時刻t4での差動クロックCLKP及びCLKNと、ファイン位相制御信号FINE_CTとの位相差は、時刻t3よりも精度が向上している。
即ち、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1は、差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整する際に、同じ設定で該位相の調整を行うことによって、該位相の調整の精度をより向上させることができる。
図8は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における各種の信号のタイミングチャートである。より具体的には、図8は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1において、位相制御回路20がパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングを変更した場合の各種の信号のタイミングチャートである。
同図において、位相制御回路20がパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングを遅くした場合のファイン位相制御信号をファイン位相制御信号FINE_CT’と定義する。また、ファイン位相制御信号FINE_CT’の正側及び負側の信号をそれぞれファイン位相制御信号FINE_CT’(1)及びFINE_CT’(2)と定義する。また、位相制御回路20がパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングを遅くした場合にクロック生成回路1が出力する差動クロックを差動クロックCLKP’及びCLKN’と定義する。
同図に示すように、位相制御回路20がパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングを遅くした場合、クロック生成回路1が出力する差動クロックCLKP及びCLKNの位相は、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルスの発生の遅れに従って遅くなる。
本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1は、位相制御回路20がパルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTを出力するタイミングを制御することによって、差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整することができる。また、上述したように、クロック生成回路1は、コース位相制御信号CRS_CTで電圧制御発振回路10の各差動インバータ回路12の出力の状態を制御することによって、差動クロックCLKP及びCLKNの位相を所望の位相に調整することができる。従って、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1は、コース位相制御信号CRS_CTによる位相の調整方法と、ファイン位相制御信号FINE_CTによる位相の調整方法とを組み合わせることによって、より高精度に差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整することができる。
図9は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における位相制御回路の一例を示す図である。同図が示すように、位相制御回路20は、位相設定回路21と、差動遅延制御回路22と、分周回路23と、遅延回路24及び26と、出力制御回路25と、パルス生成回路27と、選択回路28とを含んで構成される。
位相設定回路21は、例えば、外部からの位相設定要求に基づいて、電圧制御発振回路10が出力する差動クロックCLKP及びCLKNの位相を設定し、該位相設定のうち、コース位相設定をコース位相設定信号CRS_STとして出力制御回路25に、ファイン位相設定をファイン位相設定信号FINE_STとして差動遅延制御回路22にそれぞれ出力する。
具体的には、位相設定回路21は、例えば、外部からの位相設定要求に基づいて、各差動インバータ回路12について、出力制御を行わないこと、差動出力端子op及びonの状態をそれぞれ“1”及び“0”に制御すること、及び差動出力端子op及びonの状態をそれぞれ“0”及び“1”に制御することのうちいずれか一つを選択する。位相設定回路21は、該選択結果にそれぞれ対応する“非制御”、“正論理制御”及び“負論理制御”の状態を有するコース位相設定信号CRS_STを生成し、該信号を出力制御回路25のデータ端子Dに出力する。コース位相設定信号CRS_STは、例えば、多ビット信号やパラレル信号であり、コース位相設定信号CRS_STの各ビット又は各信号は、出力の制御を行う各差動インバータ回路12に対応するコース位相設定を示す。
なお、コース位相設定は、電圧制御発振回路10における各差動インバータ回路12が出力する各差動クロックに対応する位相設定である。コース位相設定によって設定できる位相は、ファイン位相設定よりも粗く、360°を(差動インバータ回路12の数×2)で除した値のステップに対応する位相に設定され得る。また、ファイン位相設定は、該差動クロックに対して、コース位相設定に加えてさらなる微調整を行うための位相設定である。ファイン位相設定によって設定できる位相は、コース位相設定よりも細かく、所定のステップに対応する位相に設定され得る。
差動遅延制御回路22は、例えば、入力信号に対する出力信号の遅延時間を制御可能な差動インバータ回路であり、所定の差動クロックCLKに対して、位相設定回路21から出力されるファイン位相設定信号FINE_STに対応する遅延時間を与え、該差動クロックをファイン位相差動クロックCLK_FINEとして分周回路23に出力する。
分周回路23は、差動遅延制御回路22から出力されるファイン位相差動クロックCLK_FINEを受け、該ファイン位相差動クロックCLK_FINEのうちファイン位相クロックCLK_FINE(1)及びCLK_FINE(2)に対して、それぞれ所定の分周比に従って分周を行うことによって、差動クロックCKA及びシフト差動クロックCKA_SFを生成する。分周回路23は、差動クロックCKAをパルス生成回路27のクロック端子CKと、遅延回路26とに、シフト差動クロックCKA_SFを遅延回路24にそれぞれ出力する。
遅延回路24は、例えば、差動バッファであり、分周回路23から出力されるシフト差動クロックCKA_SFから、コース位相制御信号CRS_CT及びファイン位相制御信号FINE_CTを同期させるための遅延差動クロックCKA_DLを生成し、該クロックを出力制御回路25及び選択回路28に出力する。具体的には、遅延回路24は、分周回路23から出力されるシフト差動クロックCKA_SFに対して所定の遅延時間を与え、遅延差動クロックCKA_DLとして、出力制御回路25のクロック端子CK及び選択回路28の選択端子SLに出力する。
出力制御回路25は、例えば、D型フリップフロップであり、遅延差動クロックCKA_DLに基づいて、コース位相設定信号CRS_STをコース位相制御信号CRS_CTとして電圧制御発振回路10のコース端子CRSに出力する。具体的には、出力制御回路25は、遅延回路24からクロック端子CKに出力される遅延差動クロックCKA_DLに基づいて、位相設定回路21からデータ端子Dに出力されるコース位相設定信号CRS_STをコース位相制御信号CRS_CTとして、該信号を出力端子Qから電圧制御発振回路10のコース端子CRSに出力する。
遅延回路26は、例えば、差動バッファであり、入力信号に対して、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルス幅に対応する遅延時間Δd1を与え、出力信号として出力する。具体的には、遅延回路26は、分周回路23から出力される差動クロックCKAに対して、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルス幅に対応する遅延時間Δd1を与え、差動クロックCKBとして、パルス生成回路27のパルス幅端子WIDに出力する。
パルス生成回路27及び選択回路28は、差動排他的論理和回路を構成する。差動排他的論理和回路は、論理回路であって、分周回路23から出力される差動クロックCKAと、遅延回路26から出力される差動クロックCKBとの状態を判断する。差動排他的論理和回路は、差動クロックCKA及びCKBの状態が一致すると判断する場合、その状態を“0”とするファイン位相制御信号FINE_CTを生成する。一方、差動排他的論理和回路は、差動クロックCKA及びCKBの状態が異なると判断する場合、その状態を“1”とするファイン位相制御信号FINE_CTを生成する。そして、差動排他的論理和回路は、生成したファイン位相制御信号FINE_CTを電圧制御発振回路10に出力する。
パルス生成回路27は、分周回路23から出力される差動クロックCKAと、遅延回路26から出力される差動クロックCKBとに基づいて、それぞれ位相の異なる差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dを生成し、該信号を選択回路28に出力する。
具体的には、パルス生成回路27は、分周回路23からクロック端子CKに出力される差動クロックCKAと、遅延回路26からパルス幅端子WIDに出力される差動クロックCKBとに基づいて、差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dとを生成し、該信号をそれぞれ差動出力端子PC及びPDから選択回路28の入力端子A0及びA1に出力する。ここで、差動パルス信号PLS_Cは差動クロックCKAの立ち上がりエッジに同期し、差動パルス信号PLS_Dは差動クロックCKAの立ち下がりエッジに同期する。また、差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dのパルス幅は、遅延回路26が差動クロックCKAに対して与える遅延時間に基づいて決定される。
選択回路28は、例えば、マルチプレクサであり、遅延差動クロックCKA_DLの状態に従って、差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dのうち、いずれか一方を選択し、該選択した信号をファイン位相制御信号FINE_CTとして、電圧制御回路10のファイン位相FINEに出力する。
具体的には、選択回路28は、遅延回路24から出力される遅延差動クロックCKA_DLの状態を判断する。選択回路28は、遅延差動クロックCKA_DLの状態が例えば“0”であると判断する場合、パルス生成回路27から入力端子A0に出力される差動パルス信号PLS_Cをファイン位相制御信号FINE_CTとして選択し、該選択した信号を出力端子Yから電圧制御発振回路10のファイン位相FINEに出力する。一方、選択回路28は、遅延差動クロックCKA_DLの状態が例えば“1”であると判断する場合、パルス生成回路27から入力端子A1に出力される差動パルス信号PLS_Dをファイン位相制御信号FINE_CTとして選択し、該選択した信号を出力端子Yから電圧制御発振回路10のファイン位相FINEに出力する。
図10は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における差動遅延制御回路の一例を示す図である。同図が示すように、差動遅延制御回路22は、遅延制御回路221及び221’を含んで構成される。なお、本明細書において、ファイン位相差動クロックCLK_FINEの正側及び負側のクロックをそれぞれファイン位相クロックCLK_FINE(1)及びCLK_FINE(2)と、差動クロックCLKの正側及び負側のクロックをそれぞれクロックCLK(1)及びCLK(2)と定義する。
遅延制御回路221は、入力信号に対する出力信号の遅延時間を制御可能なインバータ回路であり、例えば、論理否定回路2211及び2212と、可変抵抗R1及びR2と、トランジスタTR15及びTR16とを含んで構成される。また、遅延制御回路221’は、例えば、論理否定回路2211’及び2212’と、可変抵抗R1’及びR2’と、トランジスタTR15’及びTR16’とを含んで構成される。上述したように、遅延制御回路221及び221’は、差動遅延制御回路22を構成する。遅延制御回路221及び221’は、それぞれクロックCLK(1)及びCLK(2)に対して、ファイン位相設定信号FINE_STに対応する遅延時間を与え、さらに論理否定を行い、該クロックをそれぞれファイン位相クロックCLK_FINE(1)及びCLK_FINE(2)として分周回路23に出力する。
論理否定回路2211及び2212は、例えば、インバータ回路であり、遅延制御回路221の前段及び次段に接続される回路からの遅延制御回路221に対する影響を低減する。具体的には、論理否定回路2211は、クロックCLK(1)に対して論理否定を行い、反転クロックNCLKとして該クロックをトランジスタTR15及びTR16のゲートに出力するとともに、前段に接続される回路からの遅延制御回路221に対する影響を低減する。また、論理否定回路2212は、反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(1)に対して論理否定を行い、ファイン位相クロックCLK_FINE(1)として、該クロックを分周回路23に出力するとともに、分周回路23からの遅延制御回路221に対する影響を低減する。
トランジスタTR15及びTR16は、インバータ回路を構成し、論理否定回路2211から出力される反転クロックNCLK(1)に対して論理否定を行い、さらに、後述する可変抵抗R1及びR2に基づいて決定される遅延時間を与えることによって、反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(1)を生成し、該クロックをトランジスタTR15及びTR16のドレインから論理否定回路2212に出力する。
トランジスタTR15は、例えば、P型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR15は、反転クロックNCLK(1)に基づいて、電源線VDDから可変抵抗R1及びトランジスタTR15を流れる電流のオン/オフを切り替える。トランジスタTR15は、そのドレインは論理否定回路2212の入力端子及びトランジスタTR16のドレインに接続される一方、そのソースは可変抵抗R1に接続され、そのゲートは論理否定回路2211の出力端子及びトランジスタTR16のゲートに接続される。
トランジスタTR16は、例えば、N型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR16は、反転クロックNCLK(1)に基づいて、可変抵抗R2及びトランジスタTR16から接地線GNDに流れる電流のオン/オフを切り替える。トランジスタTR16は、そのドレインは論理否定回路2212の入力端子及びトランジスタTR15のドレインに接続される一方、そのソースは可変抵抗R2に接続され、そのゲートは論理否定回路2211の出力端子及びトランジスタTR15のゲートに接続される。
可変抵抗R1及びR2は、例えば、ポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、ファイン位相設定信号FINE_STに基づいて、その抵抗値が制御されることによって、反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(1)のデューティ比を制御する。具体的には、可変抵抗R1は、その一端は電源線VDDに接続され、その他端はトランジスタTR15のソースに接続される。また、可変抵抗R2は、その一端は接地線GNDに接続され、その他端はトランジスタTR16のソースに接続される。遅延制御回路221が反転クロックNCLK(1)に与える遅延時間のうち、立ち上がり時の遅延時間は、可変抵抗R1の抵抗値が大きい程大きくなり、可変抵抗R1の値抵抗が小さい程小さくなる。一方、遅延制御回路221が反転クロックNCLK(1)に与える遅延時間のうち、立ち下がり時の遅延時間は、可変抵抗R2の抵抗値が大きい程大きくなり、可変抵抗R2の値抵抗が小さい程小さくなる。
可変抵抗R1及びR2の抵抗値の合計は、ファイン位相設定信号FINE_STによって、常に一定(例えば5[kΩ])となるように制御される。即ち、可変抵抗R1の抵抗値が上昇すると可変抵抗R2の抵抗値は下降する一方で、可変抵抗R1の抵抗値が下降すると可変抵抗R2の抵抗値は上昇する。
遅延制御回路221’は、遅延制御回路221において可変抵抗R1及びR2がそれぞれ入れ替わることによって構成される。これは、遅延制御回路221及び221’に入力されるクロックCLK(1)及びCLK(2)がそれぞれ逆位相であることにより、ファイン位相クロックCLK_FINE(1)の立ち上がり時及び立ち下がり時の遅延時間と、ファイン位相クロックCLK_CLKの立ち下がり時及び立ち上がり時の遅延時間とがそれぞれ一致することが望ましいためである。なお、遅延制御回路221’の動作については、遅延制御回路221と同じであるため、その説明を省略する。
可変抵抗R1及びR2が例えば、64段階(6bit)でその抵抗値を可変できると仮定する。斯かる場合、遅延制御回路221は、可変抵抗R1及びR2によって、ファイン位相クロックCLKのデューティ比をおよそ±15%変更することができるように、可変抵抗R1及びR2の抵抗値は決定される。ファイン位相差動クロックCLK_FINEは、分周回路23で2分周され、遅延回路24で遅延されて遅延差動クロックCKA_DLとなる。よって、遅延制御回路221は、ファイン位相差動クロックCLK_FINEのデューティ比を±15%の範囲で変更することによって、遅延差動クロックCKA_DLの位相を±27°変更することとなる。
遅延制御回路221によって遅延差動クロックCKA_DLの位相が±27°変更される場合、クロック生成回路1は、ファイン位相制御信号FINE_CTによって、差動クロックCLKP及びCLKNの位相を27°×2により54°の範囲を64階調(即ち、線形近似すると略1°のステップ)で制御可能となる。斯かる場合、電圧制御発振回路10のリングオシレータの差動インバータ回路12の数を4個として、各差動インバータ回路12から位相がそれぞれ45°毎に異なる差動クロックを出力させることによって、クロック生成回路1は、差動クロックCLKP及びCLKNの位相を1°乃至360°まで1°毎に調整することが可能となる。
本例では、マージンを考慮して、電圧制御発振回路10のリングオシレータの差動インバータ回路12の数は8個としており、各差動インバータ回路12は位相がそれぞれ22.5°毎に異なる差動クロックを出力する。本例におけるクロック生成回路1は、差動クロックCLKP及びCLKNの位相を1°乃至360°まで1°毎に調整することができる。なお、上述したように、差動インバータ回路12の数はこれに限られるものではなく、任意の数を設けても良い。
図11は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における差動遅延制御回路の各種の制御信号のタイミングチャートである。同図に示すような反転クロックNCLK(1)がトランジスタTR15及びTR16のゲートに入力された場合、トランジスタTR15及びTR16は、可変抵抗R1及びR2の抵抗値に従う遅延時間を反転クロックNCLK(1)に与え、反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(1)として、論理否定回路2212に出力する。
可変抵抗R1の抵抗値が大きく、可変抵抗R2の抵抗値が小さい場合、トランジスタTR15及びTR16は、同図の破線で示される反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(1)を生成し、該信号を論理否定回路2212に出力する。そして、論理否定回路2212は、破線で示される反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(1)に従い、破線で示されるファイン位相クロックCLK_FINE(1)を生成し、分周回路23に出力する。
一方、可変抵抗R1の抵抗値が小さく、可変抵抗R2の抵抗値が大きい場合、トランジスタTR15及びTR16は、同図の実線で示される反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(1)を生成し、該信号を論理否定回路2212に出力する。そして、論理否定回路2212は、実線で示される反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(1)に従い、実線で示されるファイン位相クロックCLK_FINE(1)を生成し、分周回路23に出力する。
また、反転クロックNCLK(2)がトランジスタTR15’及びTR16’のゲートに入力された場合、トランジスタTR15’及びTR16’は、可変抵抗R1’及びR2’の抵抗値に従う遅延時間を反転クロックNCLK(2)に与え、反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(2)として、論理否定回路2212’に出力する。
可変抵抗R1の抵抗値が大きく、可変抵抗R2の抵抗値が小さい場合、トランジスタTR15’及びTR16’は、同図の実線で示される反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(2)を生成し論理否定回路2212’に出力する。そして、論理否定回路2212’は、実線で示される反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(2)に従い、実線で示されるファイン位相クロックCLK_FINE(2)を生成し、分周回路23に出力する。
一方、可変抵抗R1’の抵抗値が小さく、可変抵抗R2’の抵抗値が大きい場合、トランジスタTR15’及びTR16’は、同図の破線で示される反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(2)を生成し論理否定回路2212’に出力する。そして、論理否定回路2212’は、破線で示される反転ファイン位相クロックNCLK_FINE(2)に従い、破線で示されるファイン位相クロックCLK_FINE(2)を生成し、分周回路23に出力する。
図12は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における位相制御回路の各種の制御信号のタイミングチャートである。より具体的には、図12は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1の位相制御回路20において、分周回路23に入力されるファイン位相差動クロックCLK_FINEと、分周回路23から出力されるシフト差動クロックCKA_SF及び差動クロックCKAと、遅延回路26から出力される差動クロックCKBとの関係を示すタイミングチャートである。
なお、本明細書において、差動クロックCKAの正側及び負側のクロックをそれぞれクロックCKA(1)及びCKA(2)と定義する。また、差動クロックCKBの正側及び負側のクロックをそれぞれクロックCKB(1)及びCKB(2)と定義する。また、シフト差動クロックCKA_SFの正側及び負側のクロックをそれぞれシフトクロックCKA_SF(1)及びCKA_SF(2)と定義する。
同図を参照して、所定の周波数で交番するファイン位相差動クロックCLK_FINEが分周回路23に入力されると、分周回路23は、正側であるファイン位相クロックCLK_FINE(1)の立ち上がりエッジに基づいて交番する差動クロックCKAを生成する。また、分周回路23は、負側であるファイン位相クロックCLK_FINE(2)の立ち上がりエッジに基づいて交番するシフト差動クロックCKA_SFを生成する。
即ち、分周回路23は、ファイン位相差動クロックCLK_FINEを2分周することによって、差動クロックCKAと、差動クロックCKAの位相に対して90°だけ遅れた位相を有するシフト差動クロックCKA_SFとを生成することとなる。
また、遅延回路26は、上述したように、分周回路23によって生成された差動クロックCKAに対して、ファイン位相制御信号FINE_CTのパルス幅に対応する所定の遅延時間Δd1と、最大で差動クロックCKAの半周期に相当する時間である遅延時間Δd2とを与え、差動クロックCKBを生成する。即ち、遅延回路26は、差動クロックCKAに遅延時間Δd1を与えることによって、差動クロックCKAの位相に対して遅延時間Δd1だけ遅れた位相を有する差動クロックCKBを生成することとなる。
図13は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路におけるパルス生成回路の一例を示す図である。同図に示すように、パルス生成回路27は、例えば、正側パルス生成回路271及び負側パルス生成回路271’を含んで構成される。
なお、本明細書において、差動パルス信号PLS_Cの正側及び負側の信号をそれぞれパルス信号PLS_C(1)及びPLS_C(2)と定義する。また、差動パルス信号PLS_Dの正側及び負側の信号をそれぞれパルス信号PLS_D(1)及びPLS_D(2)と定義する。また、パルス生成回路27のパルス幅端子WID(1)及びWID(2)にはそれぞれクロックCKB(1)及びCKB(2)が、差動入力端子CK(1)及びCK(2)にはそれぞれクロックCKA(1)及びCKA(2)が入力される。また、パルス生成回路27は、差動出力端子PC(1)及びPC(2)からそれぞれパルス信号PLS_C(1)及びPLS_C(2)を、差動出力端子PD(1)及びPD(2)からそれぞれパルス信号PLS_D(1)及びPLS_D(2)を出力する。
正側パルス生成回路271は、差動入力端子A(1)に入力されるクロックCKA(1)と、差動入力端子B(1)に入力されるクロックCKB(1)とに対して否定論理積を行うとともに、差動入力端子A(2)に入力されるクロックCKA(2)と、差動入力端子B(2)に入力されるクロックCKB(2)とに対して否定論理和を行い、該否定論理積及び該否定論理和の結果を差動パルス信号PLS_Cとして差動出力端子PCから出力する。正側パルス生成回路271は、例えば、トランジスタTR21乃至TR30を含んで構成される。
具体的には、正側パルス生成回路271は、分周回路23から差動入力端子A(1)に出力されるクロックCKA(1)と、遅延回路24から差動入力端子B(1)に出力されるクロックCKB(1)とに対して否定論理積を行い、該否定論理積の結果をパルス信号PLS_C(1)として、差動出力端子Y(1)から選択回路28の入力端子A0に出力する。また、正側パルス生成回路271は、分周回路23から差動入力端子A(2)に出力されるクロックCKA(2)と、遅延回路24から差動入力端子B(2)に出力されるクロックCKB(2)とに対して否定論理和を行い、該否定論理和の結果をパルス信号PLS_C(2)として、差動出力端子Y(2)から選択端子28の入力端子A0に出力する。
これにより、正側パルス生成回路271は、差動クロックCKA及びCKBの状態がいずれも“1”である場合、その状態を “0”とする差動パルス信号PLS_Cを生成し出力する。一方、正側パルス生成回路271は、差動クロックCKA及びCKBの状態のうち少なくともいずれか1つが“0”である場合、その状態を“1”とする差動パルス信号PLS_Cを生成し出力する。
また、負側パルス生成回路271’は、差動入力端子A(1)に入力されるクロックCKA(2)と、差動入力端子B(1)に入力されるクロックCKB(2)とに対して否定論理積を行うとともに、差動入力端子A(2)に入力されるクロックCKA(1)と、差動入力端子B(2)に入力されるクロックCKB(1)に対して否定論理和を行い、該否定論理積及び否定論理和の結果を差動パルス信号PLS_Dとして差動出力端子PDから出力する。負側パルス生成回路271’は、例えば、トランジスタTR21’乃至TR30’を含んで構成される。
具体的には、負側パルス生成回路271’は、分周回路23から差動入力端子A(1)に出力されるクロックCKA(2)と、遅延回路24から差動入力端子B(1)に出力されるクロックCKB(2)とに対して否定論理積を行い、該否定論理積の結果をパルス信号PLS_D(1)として、差動出力端子Y(1)から選択回路28の入力端子A1に出力する。また、負側パルス生成回路271’は、分周回路23から差動入力端子A(2)に出力されるクロックCKA(1)と、遅延回路24から差動入力端子B(2)に出力されるクロックCKB(1)とに対して否定論理和を行い、該否定論理和の結果をパルス信号PLS_D(2)として差動出力端子Y(2)から選択回路28の入力端子A1に出力する。
これにより、負側パルス生成回路271’は、差動クロックCKA及びCKBの状態がいずれも“0”である場合、その状態を “0”とする差動パルス信号PLS_Dを生成し出力する。一方、負側パルス生成回路271’は、差動クロックCKA及びCKBの状態のうち少なくともいずれか1つが“1”である場合、その状態を“1”とする差動パルス信号PLS_Dを生成し出力することとなる。
次に、正側パルス生成回路271の構成及びトランジスタTR21乃至TR30の動作の詳細について説明する。なお、負側パルス生成回路271’の構成及びトランジスタTR21’乃至TR30’の動作の詳細に関しては、入力される差動クロック、及び出力する差動パルス信号が正側パルス生成回路271と異なることを除いて、正側パルス生成回路271と同じであるため、その説明を省略する。
トランジスタTR21は、例えば、P型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR21は、クロックCKA(1)に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(1)の電位を決定する。また、トランジスタTR21は、そのドレインは差動出力端子Y(1)と、トランジスタTR22、TR24及びTR25のドレインと、トランジスタTR26のゲートとに接続される一方、ソースは電源線VDDに接続され、さらにゲートは差動入力端子A(1)と、トランジスタTR23のゲートとに接続される。
トランジスタTR22は、例えば、N型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR22は、クロックCKB(1)に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(1)の電位を決定する。また、トランジスタTR22は、そのドレインは差動出力端子Y(1)と、トランジスタTR21、TR24及びTR25のドレインと、トランジスタTR26のゲートとに接続される一方、ソースはトランジスタTR23のドレインに接続され、さらにゲートは差動入力端子B(1)に接続される。
トランジスタTR23は、例えば、N型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR23は、クロックCKA(1)に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(1)の電位を決定する。また、トランジスタTR23は、そのドレインはトランジスタTR22のソースに接続される一方、ソースは接地線GNDに接続され、さらにゲートは差動入力端子A(1)と、トランジスタTR21のゲートとに接続される。
トランジスタTR24は、例えば、P型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR24は、クロックCKB(1)に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(1)の電位を決定する。また、トランジスタTR24は、そのドレインは差動出力端子Y(1)と、トランジスタTR21、TR22及びTR25のドレインと、トランジスタTR26のゲートとに接続される一方、ソースは電源線VDDに接続され、さらにゲートは差動入力端子B(1)に接続される。
トランジスタTR25は、例えば、N型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR25は、差動出力端子Y(2)の状態に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(1)の電位を決定する。また、トランジスタTR25は、そのドレインは差動出力端子Y(1)と、トランジスタTR21、TR22及びTR24のドレインと、トランジスタTR26のゲートとに接続される一方、ソースは接地線GNDに接続され、さらにゲートは差動出力端子Y(2)と、トランジスタTR26、TR27、TR29及びTR30のドレインとに接続される。
トランジスタTR26は、例えば、P型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR26は、差動出力端子Y(1)の状態に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(2)の電位を決定する。また、トランジスタTR26は、そのドレインは差動出力端子Y(2)と、トランジスタTR27、TR29及びTR30のドレインと、トランジスタTR25のゲートとに接続される一方、ソースは電源線VDDに接続され、さらにゲートは差動出力端子Y(1)に接続される。
トランジスタTR27は、例えば、N型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR27は、クロックCKA(2)に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(2)の電位を決定する。また、トランジスタTR27は、そのドレインは差動出力端子Y(2)と、トランジスタTR26、TR29及びTR30のドレインと、トランジスタTR25のゲートとに接続される一方、ソースは接地線GNDに接続され、さらにゲートは差動入力端子A(2)に接続される。
トランジスタTR28は、例えば、P型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR28は、クロックCKA(2)に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(2)の電位を決定する。また、トランジスタTR28は、そのドレインはトランジスタTR29のソースに接続される一方、ソースは電源線VDDに接続され、さらにゲートは差動入力端子B(2)に接続される。
トランジスタTR29は、例えば、P型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR29は、クロックCKB(2)に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(2)の電位を決定する。また、トランジスタTR29は、そのドレインは差動出力端子Y(2)と、トランジスタTR26、TR27及びTR30のドレインと、トランジスタTR25のゲートとに接続される一方、ソースはトランジスタTR28のドレインに接続され、さらにゲートは差動入力端子B(2)に接続される。
トランジスタTR30は、例えば、N型トランジスタである。具体的には、トランジスタTR30は、クロックCKB(2)に基づいて、自身のオン/オフを制御することによって、差動出力端子Y(2)の電位を決定する。また、トランジスタTR30は、そのドレインは差動出力端子Y(2)と、トランジスタTR26、TR27及びTR29のドレインと、トランジスタTR25のゲートとに接続される一方、ソースは接地線GNDに接続され、さらにゲートは差動入力端子B(2)に接続される。
また、正側パルス生成回路271では、差動出力端子Y(1)の状態に基づいてトランジスタTR26が、差動出力端子Y(2)の状態に基づいてトランジスタTR25がそれぞれ制御される。これにより、正側パルス生成回路271の電流駆動能力は、差動出力端子Y(1)及びY(2)の状態がそれぞれ異なる状態である場合に最も多くなるため、正側パルス生成回路271は、パルス信号PLS_C(1)及びPLS_C(2)の位相の関係が逆位相に近づくように該信号の位相の関係を制御することとなる。
図14は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における位相制御回路の各種の制御信号のタイミングチャートである。より具体的には、図14は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1の位相制御回路20において、パルス生成回路27に入力される差動クロックCKA及びCKBと、パルス生成回路27から出力される差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dとの関係を示すタイミングチャートである。
同図を参照して、分周回路23及び遅延回路26によって、所定の周波数で交番する差動クロックCKAと、差動クロックCKAに対して遅延時間Δd1だけ遅れた位相を有する差動クロックCKBとがパルス生成回路27に入力されると仮定する。斯かる場合において、差動クロックCKAの最初の立ち上がり及び立ち下がりタイミングをそれぞれ時刻t10及び時刻t12と定義する。また、差動クロックCKBの最初の立ち下がり及び立ち上がりタイミングをそれぞれ時刻t11及び時刻t13と定義する。
時刻t10から時刻t11までの期間において、分周回路23は、差動クロックCKAの状態を“1”として該差動クロックを出力する。また、遅延回路26は、差動クロックCKBの状態を“1”として該差動クロックを出力する。そして、パルス生成回路27は、分周回路23から出力される差動クロックCKAの状態“1”と、遅延回路26から出力される差動クロックCKBの状態“1”とに基づいて、それぞれその状態を“0”及び“1”とする差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dを生成し、該信号を選択回路28に出力する。
時刻t11から時刻t12までの期間において、分周回路23は、差動クロックCKAの状態を“1”として該差動クロックを出力する。また、遅延回路26は、差動クロックCKBの状態を“0”として該差動クロックを出力する。そして、パルス生成回路27は、分周回路23から出力される差動クロックCKAの状態“1”と、遅延回路26から出力される差動クロックCKBの状態“0”とに基づいて、その状態を“1”とする差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dを生成し、該信号を選択回路28に出力する。
時刻t12から時刻t13までの期間において、分周回路23は、差動クロックCKAの状態を“0”として該差動クロックを出力する。また、遅延回路26は、差動クロックCKBの状態を“0”として該差動クロックを出力する。そして、パルス生成回路27は、分周回路23から出力される差動クロックCKAの状態“0”と、遅延回路26から出力される差動クロックCKBの状態“0”とに基づいて、それぞれその状態を“1”及び“0”とする差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dを生成し、該信号を選択回路28に出力する。
時刻t13から時刻t14までの期間において、分周回路23は、差動クロックCKAの状態を“0”として該差動クロックを出力する。また、遅延回路26は、差動クロックCKBの状態を“1”として該差動クロックを出力する。そして、パルス生成回路27は、分周回路23から出力される差動クロックCKAの状態“0”と、遅延回路26から出力される差動クロックCKBの状態“1”とに基づいて、その状態を“1”とする差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dを生成し、該信号を選択回路28に出力する。
上述したように、パルス生成回路27は、差動クロックCKAの立ち上がりのタイミングから、差動クロックCKBの立ち下がりのタイミングまでの期間(即ち、Δd1[s])でその状態を“0”として、それ以外の期間でその状態を“1”とする差動パルス信号PLS_Cを生成し、該信号を選択回路28に出力する。また、パルス生成回路27は、差動クロックCKAの立ち下がりのタイミングから、差動クロックCKBの立ち上がりのタイミングまでの期間(即ちΔd1[s])でその状態を“0”として、それ以外の期間でその状態を“1”とする差動パルス信号PLS_Dを生成し、該信号を選択回路28に出力する。従って、パルス生成回路27が生成する差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dの関係は、差動パルス信号PLS_Dの位相が差動パルス信号PLS_Cの位相に対して90°遅れた位相を有するという関係となる。
図15は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における位相制御回路の各種の制御信号のタイミングチャートである。より具体的には、図15は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1の位相制御回路20において、選択回路28に入力される差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dと、遅延差動クロックCKA_DLと、選択回路28から出力されるファイン位相制御信号FINE_CTとの関係を示すタイミングチャートである。
なお、本明細書において、遅延差動クロックCKA_DLの正側及び負側のクロックをそれぞれ遅延クロックCKA_DL(1)及びCKA_DL(2)と定義する。また、ファイン位相制御信号FINE_CTの正側及び負側の信号をそれぞれファイン位相制御信号FINE_CT(1)及びFINE_CT(2)と定義する。
同図を参照して、パルス生成回路27によって、所定の間隔で発生するパルスを有する差動パルス信号PLS_Cと、差動パルス信号PLS_Cに対して90°遅れた位相を有する差動パルス信号PLS_Dとが選択回路28に入力され、遅延回路24によって、差動パルス信号PLS_C及びPLS_Dの2倍の周波数で交番する遅延差動クロックCKA_DLが選択回路28に入力されると仮定する。斯かる場合において、遅延差動クロックCKA_DLの最初の立ち上がり及び立下りタイミングをそれぞれ時刻t20及び時刻t21と定義する。また、時刻t21以降で遅延クロックCKA_DLが最初に立ち上るタイミングを時刻t22と定義する。
時刻t20から時刻t21までの期間において、遅延回路24は、その状態を“1”とする遅延差動クロックCKA_DLを選択回路28の選択端子SLに出力する。パルス生成回路27は、その状態を“1”とする差動パルス信号PLS_Cを選択回路28の入力端子A0に出力するとともに、該期間において、その状態が“1”から“0”となった後に“0”から“1”となるパルスを有する差動パルス信号PLS_Dを選択回路28の入力端子A1に出力する。選択回路28は、選択端子SLに入力される遅延差動クロックCKA_DLの状態“1”に従って、入力端子A1に入力される差動パルス信号PLS_Dを選択し、該選択した信号をファイン位相制御信号FINE_CTとして出力端子Yから電圧制御発振回路10に出力する。
時刻t21から時刻t22までの期間において、遅延回路24は、その状態を“0”とする遅延差動クロックCKA_DLを選択回路28の選択端子SLに出力する。パルス生成回路27は、該期間において、その状態が“1”から“0”となった後に“0”から“1”となるパルスを有する差動パルス信号PLS_Cを選択回路28の入力端子A0に出力するとともに、その状態を“1”とする差動パルス信号PLS_Dを選択回路28の入力端子A1に出力する。選択回路28は、選択端子SLに入力される遅延差動クロックCKA_DLの状態“0”に従って、入力端子A0に入力される差動パルス信号PLS_Cを選択し、該選択した信号をファイン位相制御信号FINE_CTとして出力端子Yから電圧制御発振回路10に出力する。
これにより、選択回路28は、遅延差動クロックCKA_DLの状態が“0”である場合、その状態が“1”から“0” となった後に“0”から“1”となるパルスを有する差動パルス信号PLS_Cを選択する一方で、遅延差動クロックCKA_DLの状態が“1”である場合、その状態が“1”から“0” となった後に“0”から“1”となるパルスを有する差動パルス信号PLS_Dを選択する。選択回路28は、遅延差動クロックCKA_DLの周期の半分の周期でパルスが発生するファイン位相制御信号FINE_CTを生成し、該信号を電圧制御発振回路10に出力することとなる。
上述したように、パルス生成回路27及び選択回路28は、差動排他的論理和回路を構成する。図14及び図15に示すように、ファイン位相制御信号FINE_CTの状態は、差動クロックCKA及びCKBの排他的論理和となっていることが分かる。
図16は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における位相制御回路の各種の信号のタイミングチャートである。具体的には、図16は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路1が差動出力クロックCLKP及びCLKNの位相の調整に要する時間を見積もるためのクロック生成回路1における位相制御回路20の各種の信号のタイミングチャートである。
なお、同図において、時刻t1乃至t4、及び時刻t20は、それぞれ図7及び15のものと同じであるため、その説明を省略する。また、同図において、位相制御回路20がコース位相制御信号CRS_CTの状態を変更するために必要な時間を時間crs_setと定義する。また、コース位相制御信号CRS_CTの状態が変更されてからファイン位相制御信号FINE_CTにパルスが発生するまでの期間を期間marと定義する。また、位相制御回路20が電圧制御回路10から出力される差動クロックCLKP及びCLKNの位相の調整に要する時間を変更時間chg_timeと定義する。また、同図において、差動クロックCLK(図9を参照)の周波数は、1.25[GHz]であると仮定する。
上述したように、遅延差動クロックCKA_DLは、差動クロックCLKに対して差動遅延制御回路22が遅延を与え、分周回路23が2分周し、さらに遅延回路24が遅延を与えることによって生成される。よって、遅延差動クロックCKA_DLの周波数は、差動クロックCLKの周波数の半分である625[MHz]となり、遅延差動クロックCKA_DLの周期は1.6[ns]となる。
出力制御回路25は、遅延差動クロックCKA_DLに基づいて、コース位相設定信号CRS_STをコース位相制御信号CRS_CTとして電圧制御発振回路10に出力するため、コース位相制御信号CSR_CTの状態の変更に必要な時間crs_setは、遅延差動クロックCKA_DLの周期である1.6[ns]となる。
選択回路28は、遅延差動クロックCKA_DLの半分の周期で、パルス波形のファイン位相制御信号FINE_CTをして出力するため、ファイン位相制御信号FINE_CTの周期は800[ps]となる。また、ファイン位相制御信号FINE_CTは、遅延差動クロックCKA_DLに対して、最大で90°遅れた位相を有することから、期間marの長さは、最大で400[ps]となる。
上述したように、電圧制御発振回路10は、ファイン位相制御信号FINE_CTにパルスが発生するタイミングで差動クロックCLKP及びCLKNの位相の調整を行う。また、電圧制御発振回路10は、多くとも2回の差動クロックCLKP及びCLKNの調整で所望の位相に差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整することができる(図7を参照)。
マージンを考慮して、電圧制御発振回路10が差動クロックCLKP及びCLKNの位相の調整に3回のクロックを要すると仮定する。斯かる場合、差動クロックCLKP及びCLKNの位相の調整に必要な時間は、(時間crs_set)+(期間mar)+(ファイン位相制御信号FINEに3回パルスが発生する期間)より、1.6[ns]+400[ps]+1.6[ns]=3.6[ns]となるため、クロック生成回路1は、差動クロックCLKP及びCLKNの位相の調整を開始してから、最大で3.6[ns]で該位相の調整を完了することができる。
図17は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路における周波数制御回路の一例を示す図である。同図が示すように、周波数制御回路30は、例えば、位相比較器31と、チャージポンプ回路32と、ループフィルタ33と、電圧制御発振回路34と、分周回路35とを含んで構成される。
位相比較器31は、外部から供給される参照クロックCLK_REFと、分周回路35から供給される帰還クロックCLK_FEBとの位相を比較し、比較結果に応じて該クロックの間の位相差を一対の位相誤差信号UP及びDNとして、チャージポンプ回路32に出力する。
チャージポンプ回路32は、位相比較回路31から出力される位相誤差信号UP及びDNを信号電流に変換し、該信号電流を駆動信号ICPとして、ループフィルタ33に出力する。
ループフィルタ33は、チャージポンプ回路32から出力される駆動信号ICPを受け、該信号に対して平滑化を行い信号電位に変換し、信号電位に変換した該信号を周波数制御信号FRQ_CTとして電圧制御発振回路34と、出力端子OUTを介して電圧制御発振回路10の周波数端子FRQとに出力する。
電圧制御発振回路34は、ループフィルタ33から出力される周波数制御信号FRQ_CTを受け、該信号の電位に応じた周波数で発振することによって、クロックCLK_VCOを生成し、該信号を分周回路35に出力する。なお、電圧制御発振回路34は、電圧制御発振回路10を自身の周波数と同じ周波数で発振させるために、電圧制御発振回路10と同じ回路構成、回路トポロジー及び/又は回路配置であっても良い。斯かる場合において、電圧制御発振回路34のファイン端子FINE及びコース端子CRSは、それぞれ所定の状態に固定され、電圧制御発振回路34は、ループフィルタ33から出力される周波数制御信号FRQ_CTを周波数端子FRQで受け、クロック端子CP及びCNから分周回路35にクロックCLK_VCOを出力する。
分周回路35は、電圧制御発振回路34から出力されるクロックCLK_VCOを受け、該クロックCLK_VCOを所定の分周比に従って分周を行うことで帰還クロックCLK_FEBを生成し、該生成した帰還クロックCLK_FEBを位相比較器31に出力する。
図18は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路の位相制御回路の動作を概略的に説明するためのフローチャートである。同図を参照して、位相制御回路20は、まず、例えば、外部からの位相設定要求に基づいて、該位相設定要求に従う電圧制御発振回路10が出力する差動クロックCLKP及びCLKNの位相の調整角度を決定する(S1801)。
次に、位相制御回路20は、ステップS1801の処理で決定した差動クロックCLKP及びCLKNの調整角度に基づいて、コース位相設定及びファイン位相設定を決定する(S1802)。コース位相設定及びファイン位相設定はそれぞれコース位相及びファイン位相に基づいて決定される。コース位相は、コース位相制御信号CRS_CTによって調整される位相であり、以下の式1によって算出される。また、ファイン位相は、ファイン位相制御信号FINE_CTによって調整される位相であり、調整角度からコース位相を減じることによって算出される。
(コース位相)=180×ROUNDUP((調整角度)/180) …<式1>
ただし、式1のROUNDUP()は、括弧内の値に対して小数点以下を切り上げる演算を行うことを意味する。
位相制御回路20は、ステップS1802の処理で決定したコース位相に基づいて、コース位相設定信号CRS_STを生成する(S1803)。ステップS1803の処理の詳細については、図19を参照して説明される。次に、位相制御回路20は、ステップS1802の処理で決定したファイン位相に基づいて、ファイン位相設定信号FINE_CTを生成する。具体的には、位相制御回路20は、差動遅延制御回路22(図9及び10を参照)の遅延時間がステップS1802の処理で算出したファイン位相に対応する遅延時間となるように、位相設定回路21でファイン位相設定信号FINE_STを生成し、該信号を差動遅延制御回路22に出力することによって、ファイン位相制御信号FINE_CTを生成する(S1804)。
位相制御回路20は、ステップS1803及びS1804の処理で生成したコース位相制御信号CRS_CT及びファイン位相制御信号FINE_CTを電圧制御発振回路10に出力する(S1805)。位相制御回路20は、ファイン位相制御信号FINE_CTに基づいて、各差動インバータ回路12の出力に対して、対応するコース位相制御信号CRS_CTに従う制御を行う(S1806)。そして、位相制御回路20は、ファイン位相制御信号FINE_CT及びコース位相制御信号CRS_CTによる各差動インバータ回路12の出力の制御を解除することと、該制御を再び実行することとを継続的に繰り返す(リピートする)ことによって(S1807)、電圧制御発振回路10が出力する差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整し、該位相の調整を終了する。
図19は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路の位相制御回路の動作を概略的に説明するためのフローチャートであり、図18におけるステップS1803の処理の詳細を示している。
まず、位相制御回路20は、ステップS1802の処理で決定したコース位相に基づいて、出力する差動クロックの位相が0°及び180°となる差動インバータ回路12の段(即ち、基準段)を決定する(S1901)。なお、差動インバータ回路12の段は、リングオシレータにおける最前段の差動インバータ回路12の段を1として、差動クロックの伝搬方向に向かって増加するものとする(図1を参照)。基準段は、例えば、以下の式2によって算出される。
(基準段)=MOD((コース位相)×(M/180)−1,M)+1 <式2>
ただし、式2のMOD(x,y)は、値xを値yで除した場合の剰余を求める演算を行うことを意味する。また、値Mは、電圧制御発振回路10における差動インバータ回路12の数を示す。
次に、位相制御回路20は、カウント値Nを初期化し、各差動インバータ回路12に対するコース位相の設定を開始する。まず、位相制御回路20は、設定対象の差動インバータ回路12が基準段であるか否かを判断する(S1902)。位相制御回路20は、設定対象の差動インバータ回路12が基準段であると判断する場合(S1902のYes)、設定対象の差動インバータ回路12の出力の制御を行わないように、コース位相設定信号CRS_STの対応するビット又は信号の状態を“非制御”に設定し(S1903)、ステップS1913の処理に進む。
一方、位相制御回路20は、設定対象の差動インバータ回路12が基準段でないと判断する場合(S1902のNo)、設定対象の差動インバータ回路12は基準段より後段であるか否かを判断する(S1904)。位相制御回路20は、設定対象の差動インバータ回路12が基準段より後段であると判断する場合(S1904のYes)、カウント値Nに1を加算し(S1905)、ステップS1906の処理に進む。一方、位相制御回路20は、設定対象の差動インバータ回路12が基準段より後段でないと判断する場合(S1904のNo)、ステップS1906の処理に進む。
位相制御回路20は、設定対象の差動インバータ回路12が基準段から数えて奇数の段であるか否かを判断する(S1906)。位相制御回路20は、設定対象の差動インバータ回路12が基準段から数えて奇数の段であると判断する場合(S1906のYes)、カウント値Nに1を加算して(S1907)、ステップS1908の処理に進む。一方、位相制御回路20は、設定対象の差動インバータ回路12が基準段から数えて奇数の段でないと判断する場合(S1906のNo)、ステップS1908の処理に進む。
位相制御回路20は、コース位相が180°よりも大きいか否かを判断する(S1908)。位相制御回路20は、コース位相が180°よりも大きいと判断する場合(S1908のYes)、カウント値Nに1を加算し(S1909)、ステップS1910の処理に進む。一方、位相制御回路20は、コース位相が180°よりも大きくないと判断する場合(S1908のNo)、ステップS1910の処理に進む。
位相制御回路20は、カウント値Nが奇数であるか否かを判断する(S1910)。位相制御回路20は、カウント値Nが奇数であると判断する場合(S1910のYes)、対象の差動インバータ回路12の差動出力端子op及びonの状態をそれぞれ“1”及び“0”に制御するように、コース位相設定信号CRS_STの対応するビット又は信号の状態を“正論理制御”に設定し(S1911)、ステップS1913の処理に進む。一方、位相制御回路20は、カウント値Nが奇数でないと判断する場合(S1910のNo)、対象の差動インバータ回路12の差動出力端子op及びonの状態をそれぞれ“0”及び“1”に制御するように、コース位相設定信号CRS_STの対応するビット又は信号の状態を“負論理制御”に設定し(S1912)、ステップS1913の処理に進む。
位相制御回路20は、全ての差動インバータ回路12の出力の制御の設定が終了したか否かを判断する(S1913)。位相制御回路20は、全ての差動インバータ回路12の出力の制御の設定が終了していないと判断する場合(S1913のNo)、ステップS1902の処理に進む。一方で、位相制御回路20は、全ての差動インバータ回路12の出力の制御の設定が終了したと判断する場合(S1913のYes)、コース位相制御信号CRS_CTの生成の処理を終了する。
上述したように、本実施形態に係るクロック生成回路1は、リングオシレータの各差動インバータ回路12の出力にマルチプレクサを接続していないため、低消費電力で動作し、さらに、マルチプレクサが電圧制御発振回路10の発振周波数に与える影響を低減して差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整することができる。また、本実施形態に係るクロック生成回路1は、任意に制御可能なファイン位相制御信号FINE_CTにパルス波形が発生するタイミングで、コース位相制御信号CRS_CTに従って各差動インバータ回路12の出力を制御することによって、高精度で差動クロックCLKP及びCLKNの位相を調整することができる。
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。