JP2016030717A - 赤色ジルコニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents

赤色ジルコニア焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、赤色を呈し、かつ、高い強度を有する赤色ジルコニア焼結体を提供することに係る。
【解決手段】 本発明は、2mol%以上6mol%未満のイットリア及びCeO換算で0.3mol%〜1.5mol%のセリウム酸化物を含有し、試料厚み0.5mm、測定波長550nmにおける光線透過率が1.5%未満でありかつ測定波長600nmにおける全光線透過率が8%以上であり、結晶粒子の平均粒径が2μm以下であることを特徴とする赤色ジルコニア焼結体に係る。本発明の赤色ジルコニア焼結体は、高い硬度に加えて、ジルコニア特有の高屈折率に基づくダイヤモンド光沢、深みのある赤色及び透明感を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、装飾部材、電子機器材料の外装に用いるための赤色ジルコニア焼結体に関するものであり、特に赤色を呈し、なおかつ高強度の赤色ジルコニア焼結体を提供するものである。
ジルコニア焼結体はその高い強度からこれまで主に構造部材や粉砕メディアとして用いられているが、鏡面研磨後の表面光沢の美しさから装飾部材、電子機器材料の外装部品への応用が期待されている。こうした広がる用途に対応するためには、審美性に優れた着色ジルコニア焼結体が要望されている。
これまで赤色ジルコニア焼結体は提案されているが、必ずしも十分な審美性と強度を兼ね備えたものは得られていなかった。
これまで赤色ジルコニア焼結体としては以下の様なものが提案されている。
例えば着色剤として還元セリア(Ce)を用いた透光性ジルコニア焼結体が提案されている(例えば特許文献1)。しかし、赤色を呈するが、透光性を得るために結晶構造が立方晶からなるため、強度が低いという課題があった。
また、主に正方晶からなる高強度ジルコニアに着色剤として還元セリア(Ce)を用いた焼結体が提案されている(例えば特許文献2)。しかし、色調は茶色系であった。
他にも金ナノ粒子をシリカ被覆して用いた焼結体が提案されている(例えば特許文献3)。しかし、金ナノ粒子を使用するためコスト面での問題があり、また、得られた焼結体の色調や強度について具体的な数値が記載されていない。
この様に従来の赤色ジルコニア焼結体は、赤色の呈色と高強度を両立していなかった。従って明度、色相及び彩度のバランスに優れた赤色で、なおかつ真珠調の光沢を有する高強度な赤色ジルコニア焼結体は得られていなかった。
本発明は、かかる従来の赤色ジルコニア焼結体の問題を解決するものであり、特に高強度で審美性に優れた赤色ジルコニア焼結体を提供するものである。
特開2011−207745号公報 特開昭62−83366号公報 特開2008−031039号公報
本発明は、赤色を呈するだけでなく、高い強度をも有する赤色ジルコニア焼結体を提供する。
本発明者等は、赤色を呈する着色高強度ジルコニア焼結体について鋭意検討した。その結果、イットリア(Y)を含むジルコニア焼結体にセリウム酸化物を着色剤として含有させ、さらに透光感を付与することで、強度を損なうことなく、赤色ジルコニア焼結体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は2mol%以上6mol%未満のイットリア及びCeO換算で0.3mol%〜1.5mol%のセリウム酸化物を含有し、試料厚み0.5mm、測定波長550nmにおける全光線透過率が1.5%未満でありかつ測定波長600nmにおける全光線透過率が8%以上であり、結晶粒子の平均粒径が2μm以下であることを特徴とする赤色ジルコニア焼結体である。
従来、高強度ジルコニア焼結体(2mol%以上6mol%未満のイットリア含有)に3価セリウムを着色剤として添加することは検討されていたが、色調が茶色であり、赤色ではなかった。しかしながら、本発明者等は、高強度ジルコニア焼結体に透光感を付与することにより、ジルコニア焼結体が強度を損なわずに赤色に着色することを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明の赤色ジルコニア焼結体について説明する。
本発明の赤色ジルコニア焼結体は、イットリアを2mol%以上6mol%未満、好ましくは2mol%〜4mol%を含有する。イットリアはジルコニアの安定化剤である。イットリアを含有することでジルコニア焼結体の結晶構造が安定化される。さらに、イットリア含有量をこの範囲とすることで、ジルコニア焼結体の結晶相を主に正方晶とすることができる。イットリア含有量が2mol%未満では焼結体中の正方晶が単斜晶に転移しやすくなり、製造時や水熱条件下で焼結体の破壊が起こる場合がある。また、イットリア含有量が6mol%以上では結晶相の立方晶の割合が増加し、強度が低下する。
なお、イットリア含有量は、Y/(ZrO+Y+CeO)で求められる。
本発明の赤色ジルコニア焼結体は、CeO換算で0.3mol%〜1.5mol%のセリウム酸化物を含有する。さらには、セリウム酸化物の含有量は0.5mol%〜1mol%であることが好ましい。セリウム酸化物は赤色を発現するための着色剤として機能する。上記の範囲のセリウム酸化物を含有することで、ジルコニア焼結体が優れた色調の赤色を発色することが可能となる。一方、セリウム酸化物含有量が0.3mol%未満では本発明の赤い着色は得られない。1.5mol%を超えると着色が強くなり黒色化しやすい。
なお、セリウム酸化物の含有量は、CeO/(ZrO+Y+CeO)で求められる。
本発明の赤色ジルコニア焼結体において、上記のセリウム酸化物は3価セリウムを含有することが必要である。3価セリウムは、3価セリウムの酸化物としてジルコニア焼結体中に含有されている。3価セリウムを含有することで、380〜550nmの光の吸収が良くなり、赤色を呈する。
3価セリウムが多いほど、赤色を呈する。そのため、3価セリウムは、セリウム酸化物中のセリウムの10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましい。セリウム酸化物中の3価セリウムが10mol%未満であると赤色特有の吸収に関与しないセリウムが増えるために色調調整が難しくなるため好ましくない。
ここでいう3価セリウムの割合(%)とは、ジルコニア焼結体が含有するセリウム酸化物に対する3価セリウムが占めるモル分率(mol%)である。3価セリウムの割合は、CeO1.5/(CeO1.5+CeO)から求めることができる。そのため、3価セリウムの酸化物も同じ割合(mol%)となる。尚、3価セリウムの量はHIP処理前後での重量減少量を酸化セリウム還元量と見なして、重量測定により計算することができる。
このように、本発明の赤色ジルコニア焼結体は、存在する着色剤(酸化セリウム(CeO))そのものが呈する発色、即ち4価セリウムが呈する発色を利用した着色ジルコニア焼結体とは異なる。
本発明の赤色ジルコニア焼結体は、強度を大きく低下させず、かつ、色調を損なわない範囲のイットリア以外の安定化剤、例えばランタノイド系希土類酸化物、Ca、Mgおよびその酸化物等を含有していてもよい。
また、赤色の色調を調節するため、セリウム酸化物以外の着色剤を含有していてもよい。赤色の色調を調節するための着色剤として酸化ネオジウム等のランタノイド系希土類酸化物、酸化コバルト等の遷移金属酸化物が例示できる。赤色の色調を調節するための着色剤としては、酸化ネオジウム又は酸化コバルト、若しくはその両者であることが好ましい。
これらの安定化剤や赤色の色調を調整するための着色剤の含有量の合計は、1mol%以下であることが好ましく、0.5mol%以下であることがより好ましく、0.1mol%以下であることが更に好ましい。含有量が1mol%以下であると、これらの化合物が析出せず、ジルコニア焼結体中に固溶することができるため、強度および色調への影響が少ない。
なお、イットリア以外の安定化剤や赤色の色調を調節するための着色剤の含有量は、ジルコニア焼結体に対する割合であり、X/(ZrO+Y+CeO+X)で求められる(Xはイットリア以外の安定化剤や赤色の色調を調整するための着色剤)。
本発明の赤色ジルコニア焼結体は、試料厚み0.5mm、測定波長550nmにおける光線透過率が1.5%未満、好ましくは1%以下でありかつ測定波長600nmにおける全光線透過率が8%以上、好ましくは10%以上特に好ましくは12〜30%である。厚さ0.5mmの試料において、波長600nm〜800nmの可視光に対する全光線透過率の最大値が25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることがさらに好ましい。波長600nm〜800nmの可視光に対する全光線透過率の最大値が25%未満であると、透光性が低いために審美性に劣るものとなる。
この様に、本発明の赤色ジルコニア焼結体は、波長600nm〜800nmの可視光に対する全光線透過率の最大値が高い。そのため、本発明の赤色ジルコニア焼結体は透光感を有するジルコニア焼結体である。
着色ジルコニア焼結体の色調は明度L、色相a、bで規定される。ここで、明度L値が大きくなると色調は明るくなり、反対にL値が小さくなると色調は暗くなる。
また、色相aは赤から緑の色調を示し、a値が大きいほど赤い色調が強くなり、値が小さいほど緑の色調が強くなる。一方、b値は黄色から青の色調を示し、b値が大きいほど黄色の色調が強くなり、b値が小さいほど青の色調が強くなる。
本発明の赤色ジルコニア焼結体は透光性を有するジルコニア焼結体、いわゆる透光性ジルコニア焼結体である。そのため、本発明の赤色ジルコニア焼結体の色調は透光性に依存して変化する。例えば、全光線透過率が大きくなると、明度Lは小さくなり、色相a/bは大きくなる。反対に全光線透過率が小さくなると、明度Lは大きくなり、色相a/bは小さくなる。
本発明の赤色ジルコニア焼結体が有する透光性の範囲で達成し得る色調としては、10≦L≦40、20≦a≦60、10≦b≦60、a/b≧0.8が好ましく、さらには、10≦L≦40、20≦a≦60、10≦b≦60、a/b≧1が好ましい。
/b比が0.8以上で黄色味のある赤色、a/b比が1以上でより赤味が増す。特に好ましくは、20≦L≦40、20≦a≦60、10≦b≦60、a/b≧0.8を、さらには、20≦L≦40、20≦a≦60、10≦b≦60、a/b≧1である。Lが20以上で明るさが増し、鮮やかな赤色となる。
本発明の赤色ジルコニア焼結体は、結晶相が正方晶蛍石型構造であることが好ましい。正方晶であることによって、高い強度が得られる。
本発明の赤色ジルコニア焼結体における結晶粒子の平均粒径は2μm以下であり、平均粒径は1μm以下であることが好ましい。平均粒径が2μmを超えると、ジルコニア焼結体の曲げ強度が低下しやすくなる。
本発明の赤色ジルコニア焼結体の2軸曲げ強度は好ましくは800MPa以上、さらに好ましくは1000MPa以上、特に好ましくは1500MPa以上である。
次に、本発明の赤色ジルコニア焼結体の製造方法について説明する。
本発明の赤色ジルコニア焼結体は、2mol%以上6mol%未満のイットリア及びCeO換算で0.3mol%〜1.5mol%のセリウム酸化物を含有するジルコニア粉末を成形し、これを一次焼結、熱間静水圧プレス(HIP)処理することにより焼結体中に3価セリウムを生成させることによって製造することができる。
本発明の方法は、ジルコニア、イットリア、セリウム酸化物を含有する原料粉末を成形する。
原料に使用するジルコニア粉末は易焼結性であることが好ましい。例えば、比表面積5m/g〜20m/g、結晶子径10nm〜100nmの微細粒子からなる粉末を用いることが好ましく、比表面積7m/g〜15m/g、結晶子径10nm〜100nmの微細粒子からなる粉末を用いることがさらに好ましい。また、あらかじめジルコニアに対して2mol%以上6mol%未満のイットリアが固溶した粉末を用いることがより好ましい。このような粉末としては、加水分解法で製造された3mol%のイットリアを固溶した易焼結性粉末を用いることができる。
ジルコニア粉末の純度は、99.6wt%以上が好ましく、さらに99.8wt%以上であることが好ましい。特に、アルミニウムの含有量は酸化物換算で0.1wt%未満であることが好ましい。純度が99.6wt%未満であったり、アルミニウムの含有量が0.1wt%以上であると焼結体の透光性に影響し、色調が悪くなる。
ジルコニア粉末に含有するセリウム酸化物の添加方法は、本発明の組成範囲となるように上記のジルコニア粉末と混合すればよく、その添加方法は限定されない。この場合、純度99.9wt%以上、平均粒子径2μm〜3μmの酸化セリウム粉末を用いることが好ましく、平均粒子径1μmの微粒子からなる粉末を用いることがより好ましい。
粉末の混合方法は、これらの成分が均一に混合されれば制限はなく、ボールミル、攪拌ミル等、通常の湿式混合方法を用いることができる。
原料粉末の成形は、所望の形状に成形できれば特に制限はなく、金型プレス、冷間静水圧プレス、スリップキャスティング、インジェクションモールディング等の通常のセラミックス成形方法で行うことができる。
得られた成形体は次に常圧、大気中で焼結することにより一次焼結体を得る。一次焼結は、大気中で通常の焼結炉を用いて行うことができる。
一次焼結温度は1250℃以上1450℃以下が好ましい。1300℃以上1400℃以下であることがさらに好ましい。1250℃未満では得られる一次焼結体の相対密度が95%以下と密度が低くなりやすいため、HIP処理後のジルコニア焼結体の密度が上がりにくくなる。また、1450℃を超えると一次焼結体の結晶粒径が大きくなりすぎ、HIP処理後のジルコニア焼結体の透光性が低下しやすくなる。また、HIP処理に高温が必要となり、得られる焼結体の黒味が強くなりすぎる。
一次焼結体の平均結晶粒径は2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。平均結晶粒径が2μmを超えると、HIP処理後のジルコニア焼結体の密度が低くなりやすい。
本発明の赤色ジルコニア焼結体の製造方法では、上記の一次焼結体をHIP処理する。
HIP処理では一次焼結体中の4価セリウムが還元され、3価セリウムが生成する。3価セリウムを含有することによって、焼結体が赤色に発色する。
HIP処理は、カーボン製の通気孔を有する蓋付容器に一次焼結体を配して行うことが好ましい。これにより3価セリウムへの生成が促進される。通気性のある容器としては、密閉容器以外のものであれば特に限定はなく、通気孔を有する蓋付容器、蓋なし容器等の開放容器が例示できる。
このような容器を用いることで3価セリウムの生成が促進される理由は不明だが、以下の様に考えられる。すなわち、HIP処理中にセリウムが還元されると(1)式の反応が起こり、酸素が放出される。
CeO → 1/2Ce + 1/4O↑ (1)
上記の反応で生成する酸素が密閉容器中で滞留すると、一次焼結体が酸化される。これにより、3価セリウムの生成が抑制される。通気性のある容器を用いることにより、一次焼結体近傍に存在する酸素が取り除かれ、3価セリウムの生成が促進される。
HIP処理は、強い還元性雰囲気で行うことが好ましく、圧力媒体としてアルゴン、窒素等の非酸化性ガスを使用することが好ましい。また、加熱源並びに断熱材が黒鉛製である装置を用いることが好ましい。
HIP処理温度は1350℃以上1475℃未満であることが好ましく、1400℃以上1450℃以下であることがより好ましい。1350℃未満では3価セリウムが生成し難い。一方、HIP処理温度が1475℃以上では黒味が強くなりすぎる。一度黒味が強くなったHIP処理体をアニール(酸化雰囲気中での加熱処理)しても、ジルコニア焼結体の示す黒味が除かれにくく、赤色の色調が向上しにくく、アニールには長時間が必要となり、生産性の面で劣る。
なお、HIP処理温度が高いほど、得られるジルコニア焼結体の明度Lは小さくなり、また、色相であるa値/b値の比が大きくなるため、深い赤色になりやすい。
HIP処理圧力は50MPa以上200MPa以下であることが好ましい。50MPa未満では加圧効果が得られず、ジルコニア焼結体の密度が向上しにくい。一方、200MPa以下であればジルコニア焼結体の緻密化が促進しやすい。
本発明の赤色ジルコニアは適度な透光性を有しているため、自然光や照明光の反射による赤色の発色に加え、例えば、裏面側からLEDライト等の照射や、裏面に白色材料等の反射素材を配置することで、裏面に設置した部品を認識させずに、赤色を強調したり、赤色の色調を調整することができる。
本発明により、ジルコニア特有の高屈折率に基づくダイヤモンド光沢に加え、深みのある赤色、および透明感を有した高強度な赤色ジルコニア焼結体を得ることができる。
波長200nm〜800nmの光線に対する本発明の赤色ジルコニア焼結体の全光線線透過率(実施例3と実施例10)を示すグラフ。 本発明の赤色ジルコニア焼結体のX線回折パターン((a) 実施例3 (b)実施例10)を示すグラフ。 波長200〜800nmの光線に対する比較例の全光線透過率(比較例1と比較例2)を示すグラフ。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の焼結体及び粉末の特性測定方法を以下に説明する。
(色調の測定)
色調は、JISZ8722に準拠し、D65光源、10°視野角の条件において色差計(Spectrophotometer SD 3000、日本電色工業社製)を用いて測定を行った。
(全光線透過率)
透過率はJISK7105「プラスティックスの光学特性試験方法」およびJISK7361−1「プラスティック・透明材料の全光線透過率の試験方法」に基づいて測定した。測定試料は焼結体厚みを0.5mmに加工し、表面粗さRa=0.02μm以下に両面鏡面研磨したものを用いた。測定にはダブルビーム方式の分光光度計(日本分光株式会社製、V−650型)を用い、光源(重水素ランプおよびハロゲンランプ)より発生した光を試料に透過および散乱させ積分球を用いて全光線透過率を測定した。測定波長領域は200nm〜800nmの領域とした。
(2軸曲げ強度)
焼結体強度の評価はISO/DIS6872に準拠し、直径16mm、厚さ2mmの円柱形状の焼結体を用いて評価した。
(結晶粒子の平均粒径)
結晶粒子の平均粒子径は鏡面研磨した焼結体を熱エッチングした後、走査型顕微鏡にて20,000倍の写真を撮影し、インタセプト法(k=1.78)にて測定した。測定した粒子数は200個以上とした。
実施例1〜4
(原料粉末の調製)
ジルコニア粉末及び酸化セリウム粉末を所定量秤量し、エタノール溶媒中直径10mmのジルコニア製ボールで24時間ボールミル混合した後、乾燥しセリウム量の異なる原料粉末を調製した。
なお、ジルコニア粉末としては、加水分解法で製造された3mol%イットリア含有ジルコニア粉末(東ソー製、TZ−3Y;比表面積13m/g、純度99.8wt%以上、アルミナ0.1wt%未満)を使用した。酸化セリウム粉末としては、純度99.9wt%の試薬を使用した。
(一次焼結)
各原料粉末を金型プレスによって圧力50MPaで成形した後、冷間静水圧プレス装置を用い圧力200MPaで処理し、直径20mm、厚さ3mmの円柱状の成形体を得た。得られた成形体は、大気中において昇温速度を100℃/h、焼結温度1400℃で、焼結時間2時間で焼結し、自然放冷して試料番号1〜4の一次焼結体を得た。得られた一次焼結体の特性を表1に示した。いずれの一次焼結体の組成も原料粉末の組成と同一であった。また、いずれの一次焼結体も相対密度は95%以上であった。焼結体の色調は4価のセリウムの吸収により薄い黄色であった。
Figure 2016030717
(HIP処理)
試料番号1〜4の一次焼結体を用い、温度1400℃、圧力150MPa、保持時間1時間でHIP処理した。圧力媒体には純度99.9%のアルゴンガスを用いた。HIP装置はカーボンヒーター及びカーボン断熱材を備えた装置であった。また、試料を設置する容器としてカーボン製蓋付きルツボを用い、通気性を確保した。
HIP処理によって得られたジルコニア焼結体は、赤色を呈した。得られたジルコニア焼結体の特性を表2に示した。
Figure 2016030717
得られたジルコニア焼結体は、550nm以下の波長光は赤色に基づく吸収のため透過せず、550nmでの全光線透過率は1.0%以下であった。また、全てのジルコニア焼結体の結晶構造は主に正方晶蛍石型構造であった。実施例3の全光線透過率を図1に、XRDを図2に示した。
実施例5〜8
試料番号1〜4の一次焼結体を用い、HIP処理温度を1450℃にした以外は実施例1〜4と同様にしてジルコニア焼結体を得た。焼結体の色調は薄い黄色であった。得られたジルコニア焼結体の特性を表3に示した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例1〜4のジルコニア焼結体と比較して明度が低く、濃い赤色を呈する透明ジルコニア焼結体であった。また、いずれの焼結体の結晶相も、主に正方晶蛍石型構造であった。
Figure 2016030717
実施例9
(原料粉末の調製)
ジルコニア粉末としては、2mol%イットリア含有ジルコニア粉末(東ソー製;比表面積13m/g、純度99.8wt%以上、アルミナ0.1wt%未満)、4mol%イットリア含有ジルコニア粉末(東ソー製;比表面積13m/g、純度99.8wt%以上、アルミナ0.1wt%未満)を使用した以外は実施例1〜4と同様に原料粉末を得た。
(一次焼結)
原料粉末を金型プレスによって圧力50MPaで成形した後、冷間静水圧プレス装置を用い圧力200MPaで処理し、直径20mm、厚さ3mmの円柱成形体を得た。
大気中で昇温速度を100℃/h、焼結温度1400℃、焼結時間2時間で一次焼結し試料番号9、10の一次焼結体を得た。一次焼結体の組成は原料粉末の組成と同一であった。焼結体の色調は薄い黄色であった。
得られた一次焼結体の特性を表4に示した。
Figure 2016030717
(HIP処理)
試料番号9、10の一次焼結体を用い、温度1400℃、圧力150MPa、保持時間1時間で、実施例1〜4と同様の方法でHIP処理した。
得られたジルコニア焼結体の特性を表5に示した。実施例10の全光線透過率を図1に、XRDを図2に示した。
Figure 2016030717
比較例1
酸化セリウムの含有量を1.6mol%とした以外は実施例1〜4と同様にして焼結体を得た。
得られたジルコニア焼結体の特性を表6に示した。得られた焼結体はセリウム含有量が多いことから黒味が強かった。比較例1の全光線透過率を図3(a)に示した。
比較例2
試料番号3の一次焼結体を用い、温度1600℃、圧力150MPa、保持時間1時間で、実施例1〜4と同様の方法でHIP処理した。得られた焼結体は、HIP温度が高く黒色であったため、大気中、900℃、2時間アニール処理を実施したが、黒色であった。
得られたジルコニア焼結体の特性を表6に示した。比較例2の全光線透過率を図3(b)に示した。
比較例3
試料3の組成の原料粉末を金型プレスによって圧力50MPaで成形した後、冷間静水圧プレス装置を用い圧力200MPaで処理し、直径20mm、厚さ3mmの円柱成形体を得た。
カーボンと一緒に試料3を容器に入れ、アルゴン中で昇温速度を100℃/h、焼結温度1400℃、焼結時間2時間で還元焼成し、焼結体を得た。得られた焼結体の色調は、HIP処理を行わなかったことから黄土色を呈していた。
得られた焼結体の特性を表6に示した。
Figure 2016030717
本発明の赤色ジルコニア焼結体は、高密度でなおかつ赤色の色相を呈する審美性に優れた焼結体であり、傷のつかない高級感のある宝飾品、装飾部材等の部材、例えば、時計部品、携帯用電子機器の外装部品等の様々な部材へ利用することができる。

Claims (7)

  1. 2mol%以上6mol%未満のイットリア及びCeO換算で0.3mol%〜1.5mol%のセリウム酸化物を含有し、試料厚み0.5mm、測定波長550nmにおける全光線透過率が1.5%未満でありかつ測定波長600nmにおける全光線透過率が8%以上であり、結晶粒子の平均粒径が2μm以下であることを特徴とする赤色ジルコニア焼結体。
  2. 明度L、色相aおよびbが、10≦L≦40、20≦a≦60、10≦b≦60およびa/b≧0.8であることを特徴とする請求項1に記載の赤色ジルコニア焼結体。
  3. 2mol%以上6mol%未満のイットリア及びCeO換算で0.3mol%〜1.5mol%のセリウム酸化物を含有するジルコニア粉末を成形し、一次焼結、熱間静水圧プレス処理をすることを特徴する請求項1又は2に記載の赤色ジルコニア焼結体の製造方法。
  4. 熱間静水圧プレス処理する際の温度が、1350℃以上1475℃未満であることを特徴とする請求項3に記載の赤色ジルコニア焼結体の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の赤色ジルコニア焼結体からなる部材。
  6. 請求項5に記載の部材を用いることを特徴とする宝飾品。
  7. 請求項5に記載の部材を用いることを特徴とする外装部品。
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