JP2012096977A - 着色透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents

着色透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法並びにその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】
微細な部材としても明確な色調及び高い透明性を有し、意匠性および審美性が共に優れる着色透光性ジルコニア焼結体であり、なおかつ、容易に任意の形状が得られる着色透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
イットリアを6mol%以上15mol%以下、チタニアを3mol%以上20mol%以下、ランタノイド系希土類元素を酸化物換算で少なくとも4mol%含有し、気孔率が高くとも1000ppmであることを特徴とする着色透光性ジルコニア焼結体。平均結晶粒径が大きくとも60μmであることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、濃い色調と高い透光性を兼ね備えた着色透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法に関する。
従来から、ジルコニア単結晶、いわゆるキュービックジルコニアは、装飾用途や宝飾用途に使用されている。さらに、遷移金属や希土類元素などの着色剤を添加することによって着色されたキュービックジルコニアも同様な用途に使用されている(非特許文献1)。
これらのキュービックジルコニアは、スカルメルト法等によりジルコニア単結晶のバルク体を最初に作製し、その後、作製したバルク体を切断や研磨によって目的形状に加工する必要があった。そのため、キュービックジルコニアを任意の形状に加工することは困難であり、複雑形状等の高い意匠性が必要とされる用途や、微細加工が必要とされる用途などにはキュービックジルコニアを使用することができなかった。
一方、ジルコニア粉末を成型、焼成して得られ、高い透明性を有する透光性ジルコニア焼結体が報告されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献2)。これらの透光性ジルコニア焼結体は、射出成型等のモールディング成型で作製できるため、任意の形状の焼結体として得ることが容易である。このような高い透明性を有する透光性ジルコニア焼結体は、キュービックジルコニアでは加工できない形状の部材とすることができる。
透光性ジルコニア焼結体の意匠性をさらに向上させるため、着色剤として希土類酸化物を添加した透光性ジルコニア焼結体、いわゆる着色透光性ジルコニア焼結体が検討されている(特許文献1〜3)。しかしながら、高い透明性を維持したまま透光性ジルコニア焼結体が含有できる着色剤量は最大で3mol%であり、このような透光性ジルコニア焼結体は色調が弱いものであった(特許文献1〜3)。
特開2007−246384号公報 特開昭62−091467号公報 特開2010−47460号公報
Jounal of the Electrochemical Society、第130巻、No.4、962頁(1983) Jounal of the European Ceramic Society、第29巻、283頁(2009)
従来の着色透光性ジルコニア焼結体を明確な色調を呈する部材として使用するためには、焼結体の厚みを厚くして使用する必要があった。そのため、小型化傾向にある電子機器等の外装部材において色調を濃くするためには、着色透光性ジルコニア焼結体を大きくすることが必要であった。
本発明は、微細な部材としても明確な色調及び高い透明性を有し、意匠性および審美性が共に優れる着色透光性ジルコニア焼結体であり、なおかつ、容易に任意の形状が得られる着色透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法を提供するものである。
本研究者らは、着色透光性ジルコニア焼結体の色調及び透明性と焼結体組成及び組織との関係について鋭意検討を重ねた結果、焼結体中の着色剤の含有量を増加させるだけでは、着色透光性ジルコニア焼結体の透明性、特に直線透過率が極端に低下するため、透光性と濃い色調を兼ね備えた焼結体とはならないことを見出した。
さらに、ランタノイド系希土類元素とチタニアを含有するジルコニア焼結体であって、なおかつ、ランタノイド系希土類元素とチタニアの含有量、及び気孔率が制御された着色透光性ジルコニア焼結体は、透明性が低下することなく、明確な色調を呈することを見出した。また、ランタノイド系希土類元素とチタニアを含有し、かつ、結晶粒子内部の気孔(以下、粒内気孔)を有さない一次焼結体を作製し、その後、一次焼結体中のチタニアを十分に還元しながら熱間静水圧プレス処理することによって、透明性が低下することなく明確な色調を呈する着色透光性ジルコニア焼結体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、イットリアを6mol%以上15mol%以下、チタニアを3mol%以上20mol%以下、ランタノイド系希土類元素を酸化物換算で少なくとも4mol%含有し、気孔率が高くとも1000ppmであることを特徴とする着色透光性ジルコニア焼結体である。
以下、本発明の着色透光性ジルコニア焼結体について説明する。
本発明のジルコニア焼結体は、着色透光性ジルコニア焼結体であり、無色以外の色調を有し、かつ、透光性を有するジルコニア多結晶体である。従って、本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、無色の透光性ジルコニア焼結体(以下、透明ジルコニア焼結体)、光を透過しない不透明のジルコニア焼結体(以下、不透明ジルコニア焼結体)、及びジルコニア単結晶とは異なる。ここでいう透明ジルコニア焼結体とは、測定波長400nm〜800nmにおいて試料厚さ1mmの最大直線透過率が10%以上であり、例えば、−3≦a≦3かつ−3≦b≦3を満たす焼結体である。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、ジルコニアに対してイットリアを6mol%以上15mol%以下含有し、好ましくは8mol%以上12mol%以下含有する。イットリア含有量がこの範囲であると、結晶相が立方晶蛍石型構造となりやすい。これにより、着色透光性ジルコニア焼結体が高い透明性を示す。
イットリア含有量が6mol%未満、もしくは、イットリア含有量が15mol%を超えると立方晶以外の結晶相が混在しやすくなり、焼結体の透明性が低下する。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、チタニアを3mol%以上20mol%以下含有し、8mol%以上15mol%以下含有することが好ましい。焼結体がこの範囲のチタニアを含有することで、焼結体の透明性が高くなる。一方、焼結体のチタニア含有量が3mol%未満では、焼結体の透明性が低くなる。また、チタニアの含有量が20mol%を超えると、焼結体中にパイロクロア型酸化物(ZrTiO等)の化合物が生成するため、透明性が低下しやすくなる。
なお、チタニアの含有量は、着色透光性ジルコニア焼結体中のジルコニア及びイットリアの合計量に対するmol%である。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、ランタノイド系希土類元素を酸化物換算で少なくとも4mol%含有する。ランタノイド系希土類元素の含有量は、酸化物換算で少なくとも4.5mol%であることが好ましく、少なくとも5mol%であることがより好ましい。焼結体が含有するランタノイド系希土類元素が酸化物換算で4mol%未満では、焼結体の色調が弱くなり、特に明度Lの値が大きくなりすぎる。
焼結体が含有するランタノイド系希土類元素が多くなると、明度Lの値が低くなり、より深い色調とすることができる。しかしながら、ランタノイド系希土類希元素が多くなりすぎると焼結体中にパイロクロア型酸化物が生成し、焼結体の透光性が低下しやすくなる。そのため、本発明の着色透光性ジルコニア焼結体が含有するランタノイド系希土類元素は、酸化物換算で多くとも30mol%であることが好ましく、多くとも25mol%であることがより好ましく、多くとも20mol%であることが更に好ましく、多くとも15mol%であることが特に好ましい。
なお、ランタノイド系希土類元素の含有量は、着色透光性ジルコニア焼結体中のジルコニア、イットリア及びチタニアの合計量に対するmol%である。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体が含有するランタノイド系希土類元素は、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、エルビウム(Er)、ガドリウム(Gd)又はホロニウム(Ho)の少なくとも1種以上が挙げられ、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)又はエルビウム(Er)のいずれか1種以上であることが好ましく、プラセオジウム(Pr)又はネオジム(Nd)の1種以上であることがより好ましい。焼結体がこれらのランタノイド系希土類元素を含有することで、高い透明性を維持したまま、深い色調を有する焼結体となる。また、プラセオジウム(Pr)又はネオジム(Nd)を含有することで、透明性を維持したまま、特に深い色調を有する焼結体となりやすい。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、イットリア、チタニア及びランタノイド系希土類元素がジルコニアに固溶していることが好ましい。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体はフッ素を含まないことが好ましい。フッ素元素やフッ素含有化合物を含んだ場合、焼結体の透明性が低くなりやすい。フッ素は焼結性に影響を与えるため、焼結過程においてフッ素が気孔排除を抑制し、焼結体中に気孔が多く残存するためと考えられる。そのため、本発明の着色透光性ジルコニア焼結体はフッ素をフッ素化物として焼結体の重量に対して0.5重量%未満であることが好ましく、実質的にフッ素化物を含有しないことが好ましい。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、気孔率が高くとも1000ppm(0.1体積%)である。
発明者らはジルコニア焼結体の透明性が残留気孔に起因することを見出し、Mie散乱による光散乱モデルを用いて透明性と残留気孔量の相関を明らかにした。これによると、透光性ジルコニア焼結体は、同一の測定波長における直線透過率と気孔率に相関関係を有している(J.Am.Ceram.Soc,91[3] p813−818(2008))。さらなる検討の結果、着色透光性ジルコニア焼結体においては、上記と同様な相関関係が最大直線透過率と気孔率との間にあることを本発明者らは見出した。
ここで、本発明においては、気孔率とは、着色透光性ジルコニア焼結体の体積に対する、残留気孔の割合(体積%)である。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体の気孔率Vは気孔率が高くとも1000ppm(0.01体積%)であり、高くとも850ppm(0.085体積%)であることが好ましく、500ppm(0.05体積%)であることがより好ましく、250ppm(0.025体積%)であることが更に好ましく、高くとも200ppm(0.02体積%)であることが好ましい。気孔率Vが1000ppmを越えると、透明性が低くなる。さらに、気孔率Vが高くとも250ppmとなることで、最大直線透過率が35%以上と高くなる。
特に最大直線透過率が高い着色透光性ジルコニア焼結体とする場合、気孔率Vは高くとも100ppm(0.01体積%)であることが好ましく、高くとも50ppm(0.005体積%)であることがより好ましい。気孔率Vが高くとも100ppmとなることで、最大直線透過率が60%以上と高くなる。
一方、気孔率Vは低いほど透明性は高くなり、実質的に気孔を含まないことが好ましい。そのため、気孔率Vの下限値はないが、気効率は低くとも1ppm、好ましくは低くとも10ppmであっても本発明の目的とする透明性を有する焼結体となる。
本発明における気孔率は以下の(1)式で求めることができる。
V=100×(4・r・C)/(3・Q) ・・・(1)
(但し、V:気孔率(体積%)、C:散乱係数(1/m)、r:残留気孔半径(m)、Q:散乱効率(−)であり、r=5×10−8mである。)
なお、(1)式における散乱係数Cは以下の(2)式で求まる値である。
C=−(1/t)・Ln{(T/100)/(1−R)} ・・・(2)
(但し、C:散乱係数(1/m)、T:焼結体の最大直線透過率(%)、R:反射率(−)、t:サンプル厚み(m)であり、R=0.14である)
また、散乱効率Qの値は直線透過率を測定する測定波長λにより異なる。そのため、(1)式において気孔率Vを求める場合は、(2)式における焼結体の最大直線透過率Tが測定された測定波長λと同じλの散乱係数Qを使用することが必要である。測定波長λと散乱効率Qは、以下の(3)式を用いて近似的に求めることができる。
Q=5.010−2.370e−2・λ+4.813e−5・λ
−5.032e−8・λ+2.638e−11・λ−5.435e−15・λ (3)
(但し、λ:最大直線透過率が測定されたときの測定波長(nm))
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、試料厚さ1mm、測定波長300nm〜800nmにおける最大直線透過率が少なくとも10%であることが好ましく、35%であることがより好ましく、少なくとも40%であることが更に好ましく、少なくとも50%であることが好ましく、さらには、少なくとも60%であることが特に好ましい。最大直線透過率が少なくとも10%である焼結体は透明性が高く、高い審美性を有しやすい。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、試料厚さ1mm、測定波長300nm〜800nmにおける最大全光線透過率が、少なくとも40%であることが好ましく、少なくとも50%であることがより好ましく、少なくとも60%であることがさらに好ましい。最大全光線透過率が少なくとも40%の焼結体は透光性が高くなりやすい。
なお、直線透過率及び全光線透過率は(4)式の関係を有する値である。
Ti=Tt−Td ・・・(4)
Tt:全光線透過率(%)
Td:拡散透過率(%)
Ti:直線透過率(%)
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、試料厚さ1mmにおけるヘーズ率が多くとも75%であることが好ましく、多くとも50%であることがより好ましく、多くとも40%であることが更に好ましく、多くとも30%であることが特に好ましい。試料厚さ1mmにおけるヘーズ率が多くとも75%であることで、着色透光性ジルコニア焼結体の透明性がより高くなる。
ヘーズ率H(%)は、(5)式から求めることができる。
H=100×Td/Tt ・・・(5)
H :ヘーズ率(%)
Tt:全光線透過率(%)
Td:拡散透過率(%)
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体の色調は明度L、色相a、bで規定される。ここで、明度L値が大きくなると色調は明るくなり、反対にL値が小さくなると色調は暗くなる。さらに、本発明の着色透光性ジルコニア焼結体における色調は、焼結体を透過した光を白板で反射させ、これが再度焼結体を透過した光を測定することで求めることができる。そのため、色調は焼結体の透明性が変化することに伴って変化する。例えば、最大直線透過率が大きくなると、明度L、色相a、bはいずれも大きくなりやすい。反対に、最大直線透過率が小さくなると、明度L、色相a、bはいずれも小さくなりやすい。特に、色相a、bは透明性に影響を受けやすい。
このように、本発明における色調は、透光性を有さない不透明ジルコニア焼結体の色調、すなわち、焼結体表面の反射光から求められる明度L、色相a、bとは異なる値である。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、試料厚さ1mmにおける明度Lが大きくとも70であることが好ましく、明度Lは大きくとも60であることがより好ましく、大きくとも55であることが更に好ましい。また、Lがこの範囲であることで、焼結体がより深い色調となりやすい。また、明度Lは少なくとも5であることがより好ましく、少なくとも35であることが更に好ましい。明度Lが少なくとも5であることで、色相が明確になりやすい。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体の色相a及びbは、色合いに大きな影響を与える。色相aは赤から緑の色調を示し、a値が大きいほど赤色が強くなり、値が小さいほど緑色が強くなる。一方、色相bは黄色から青色の色調を示し、b値が大きいほど黄色が強くなり、b値が小さいほど青色が強くなる。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体の色相a及びbは焼結体の透光性が変化すると大きく変化するため、一概に決まるものではない。例えば、本発明の着色透光性ジルコニア焼結体が青色を呈する場合、試料厚さ1mmの際の色相a及びbが試料厚さ1mmで10≦a≦30、−30≦b≦−15であることが挙げられる。
同様に、着色透光性ジルコニア焼結体が緑色を呈する場合、試料厚さ1mmの際の色相a及びbが、−15≦a≦0、70≦b≦85であることが挙げられる。着色透光性ジルコニア焼結体が黄色を呈する場合、試料厚さ1mmの際の色相a及びbが、−15≦a≦0、85<bであることが挙げられる。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体の結晶相は、立方晶であることが好ましく、立方晶蛍石型構造であることがより好ましく、立方晶蛍石型構造の単相であることがさらに好ましい。立方晶は光学異方性がないため、多結晶界面における複屈折が存在しない。そのため、焼結体の結晶相が立方晶の単相となることで、焼結体が特に高い透明性を有しやすい。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体の平均結晶粒径は、大きくとも60μmであることが好ましく、大きくとも50μmであることがより好ましく、大きくとも45μmであることがさらに好ましく、大きくとも40μmであることが特に好ましい。焼結体の平均結晶粒径を大きくとも50μmとすることで、機械的強度、特に曲げ強度が向上する。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、平均3点曲げ強度が少なくとも100MPaであることが好ましく、少なくとも150MPaであることがより好ましく、さらには、少なくとも200MPaであることが好ましい。平均曲げ強度が低くとも100MPaであれば、外装部材等の用途で使用した場合に壊れにくくなる。
次に、本発明の着色透光性ジルコニア焼結体の製造方法について説明する。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、イットリア、チタニア及びランタノイド希土類元素を含有するジルコニア粉末を成型後、常圧焼結した後、さらに熱間静水圧プレス(HIP)処理し、アニールする製造方法であって、相対密度が90%以上98%以下、平均結晶粒径が大きくとも10μmである一次焼結体をHIP処理に供することによって得ることができる。
本発明の製造方法で使用するイットリア、チタニア及びランタノイド希土類元素を含有するジルコニア粉末(以下、原料粉末)は、イットリア、チタニア及びランタノイド希土類元素を所定量含有していれば特に制限はない。原料粉末のイットリア、チタニア及びランタノイド系希土類元素の量は、目的とする着色透光性ジルコニア焼結体の組成と同じ割合とすればよい。
工業的な観点より、原料粉末としてはイットリア固溶ジルコニア粉末、チタニア粉末及びランタノイド系希土類元素の酸化物粉末を混合した混合粉末を用いることが好ましい。
混合粉末に用いるイットリア固溶ジルコニア粉末は、純度99.9%以上、比表面積3m/g〜20m/gの粉末を用いることが好ましい。さらに、イットリア固溶ジルコニア粉末は、平均結晶子径10nm〜50nm、平均二次粒子径は100nm〜500nmの粉末であることが好ましく、加水分解法等の湿式合成法で製造された粉末が特に好ましい。
混合粉末に用いるチタニア粉末はチタニアの純度が99.9%以上、比表面積が10m/g〜100m/gであることが好ましく、チタニアの純度が99.95%以上、平均結晶子径が30nm以下、平均2次粒子径が500nm以下の微細な粉末であることがより好ましい。
混合粉末として用いるランタノイド系希土類元素の酸化物粉末は、ランタノイド系希土類元素の酸化物の純度が99%以上であることが好ましい。
これらの粉末を混合する場合は、両者が均一に分散すれば特に方法に制限はないが、湿式ボールミル、湿式攪拌ミル等の湿式混合がより均一に混合できるため好ましい。
本発明の製造方法では、原料粉末を成型して常圧焼結(以下、一次焼結)に供する成型体を得る。
原料粉末の成型方法は、一次焼結に供するに適切な形状の成型体が得られる方法であれば制限はなく、一般的にセラミックスの成型に用いられているプレス成型、冷間静水圧プレス成型、鋳込み成型、押し出し成型、及び射出成型等の成型方法を用いることができる。
本発明の製造方法では、成型体を一次焼結してHIP処理に供する一次焼結体を作製する。一次焼結体の相対密度は90%以上98%以下であり、平均結晶粒径が大きくとも10μmである。一次焼結体の相対密度は、91%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。また、一次焼結体の相対密度は97%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましい。一次焼結体の相対密度が90%未満もしくは98%を越えると、HIP処理による気孔排除が十分に進行せず、得られる着色透光性ジルコニア焼結体の透明性が低下する。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体の透光性は一次焼結体組織に強く依存する。そのため、一次焼結体の平均結晶粒径が10μmを超える場合は、一次焼結体において粒内気孔が残存しやすく、HIP処理後も気孔は排除されにくい。一方、平均結晶粒径が大きくとも10μmであると、一次焼結体中の気孔は粒界に存在する。これにより、HIP処理による気孔排除がされやすくなる。また、一次焼結体の平均結晶粒径が大きくとも10μmであると、HIP処理中に結晶粒の塑性流動が起こりやすくなる。これにより、HIP処理中の気孔除去が効率的になると考えられる。一次焼結体の平均結晶粒径は大きくとも5μmであることが好ましく、大きくとも4μmであることがより好ましく、大きくとも3.5μmであることがさらに好ましい。これにより、気孔排除が促進されやすい。一次焼結体の平均結晶粒径の下限は特に制限されないが、例えば、少なくとも0.5μmであることが上げられる。
ランタノイド系希土類元素は、結晶粒の成長を助長する効果がある。そのため、ランタノイド系希土類元素又はその酸化物のみをジルコニア粉末に添加したものでは、微細な一次焼結体を得ることは難しい。しかしながら、チタニアとランタノイド系希土類元素を共添加するとことで、一次焼結体の組織が微細化しやすくなる。
本発明の製造方法では、一次焼結を常圧焼結で行なう。上記の相対密度及び平均結晶粒径を有する一次焼結体が得られれば一次焼結の条件は特に限定されない。特に一次焼結温度は、目的とする着色透光性ジルコニア焼結体の組成、ランタノイド希土類元素の種類及び含有量などにより異なる。そのため、一次焼結温度は目的とする着色透光性ジルコニア焼結体の組成、ランタノイド希土類元素の種類及び含有量に応じて適宜変えることがきる。ランタノイド系希土類酸化物としてプラセオジウムである場合、一次焼結の温度としては1250℃以上1500℃以下であることが例示でき、より好ましい一次焼結温度は1300℃以上1450℃以下が例示でき、さらに好ましい一次焼結温度としては1325℃以上1400℃以下を例示することができる。
一次焼結は大気、酸素、真空等の雰囲気中での焼結を適用することができるが、最も簡便には大気中で行うことが好ましい。
本発明の製造方法では、一次焼結体をHIP処理する。
HIP処理は一次焼結温度よりも高いHIP処理温度であることが好ましい。HIP処理温度が一次焼結温度よりも高いことで、一次焼結体中の残留気孔の排除が促進されやすい。また、HIP処理温度は1400℃以上1800℃未満であることが好ましく、1450℃以上1550℃以下であることがより好ましい。HIP処理温度を1400℃以上とすることで焼結体の気孔排除がより促進され、得られる焼結体の透光性が向上する。一方、HIP処理温度を1800℃未満とすることで焼結体の結晶粒の異常粒成長が抑制され、強度が高くなりやすい。
HIP処理の時間は、少なくとも1時間であることが好ましい。HIP処理を少なくとも1時間とすることで、HIP処理中の焼結体からの気孔の排除が促進されやすい。
HIP処理の圧力媒体は、非酸化雰囲気であれば特に限定されない。圧力媒体としては、窒素ガスやアルゴンガスなどが例示でき、アルゴンガスが好ましい。
HIP処理の圧力は、低くとも50MPaであることが好ましく、100MPa以上200MPa以下であることがより好ましい。HIP処理の圧力が低くとも50MPaであることで、HIP処理中の気孔排除が効率よくなりやすい。また100MPa以上とすることで気孔排除がより促進され、得られる焼結体の透明性が高くなりやすい。
HIP処理では、焼結体中のチタンを還元することが好ましい。これにより透光性が高くなりやすい。なお、チタンの還元とは、チタニア(TiO)中の4価のTiが3価のTi(TiO1.5)に還元されることを指す。チタンの還元が促進されることにより、酸素空孔が形成され、気孔の移動(消滅)が促進される。
本発明の製造方法において、HIP処理で試料を設置する容器は還元性の材質でできた容器であることが好ましい。還元性の材質としてはカーボンを挙げることができる。これにより、チタンの還元が促進されやすい。
本発明の製造方法では、HIP処理後のHIP処理体をアニール処理する。HIP処理後のHIP処理体はチタンの還元により暗黒色を呈しているが、アニール処理により透明な着色透光性ジルコニア焼結体とすることができる。
アニール処理は、酸化雰囲気中、温度800℃〜1200℃で1時間以上、常圧で保持することが好ましい。酸化雰囲気としては、大気又は酸素中が例示でき、大気中で行なうことが簡便である。
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、高い透光性と濃い色調とを兼ね備えたジルコニア多結晶体である。本発明の着色透光性ジルコニア焼結体を、微細な部品とした場合であっても、鮮明な呈色を有する部品とすることができる。
実施例1乃至4の着色透光性ジルコニア焼結体の直線透過率を示す図 比較例1乃至4の着色透光性ジルコニア焼結体の直線透過率を示す図 実施例3の着色透光性ジルコニア焼結体の組織図(図中スケールは30μm) 実施例1乃至4の着色透光性ジルコニア焼結体のXRD図 気孔率Vと最大直線透過率との関係を示す図
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(ヘーズ率)
実施例又は比較例の焼結体を、試料厚み1mmに加工し、表面粗さRa=0.02μm以下に両面鏡面研磨したものを測定試料として用いた。ヘーズ率はJIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」、JIS K7136「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準じた方法で、ヘーズメーター(日本電色、NDH5000)を用いて測定した。使用光源はD65光線とした。
(全光線透過率及び直線透過率)
直線透過率はダブルビーム方式の分光光度計(日本分光株式会社製、V−650型)で測定した。測定試料はヘーズ率測定に用いたのと同様のものとした。重水素ランプおよびハロゲンランプを光源として測定波長300nm〜800nmをスキャンして各波長での直線透過率を測定した。
(平均結晶粒径)
測定試料は平面研削した後、ダイヤモンド砥粒9μm、6μm、1μmを用いて鏡面研磨した。研磨面を熱エッチングした後、SEM観察した。
なお、熱エッチングは試料を電気炉に入れ、その試料のHIP処理温度より50℃〜100℃低い温度で2時間保持することで行った。SEM写真から、平均粒径をJ.Am.Ceram.Soc.,52[8]443−6(1969)に記載されている方法に従い、(6)式により求めた。
D=1.56L (6)
ここで、D:平均結晶粒径(μm)、L:任意の直線を横切る結晶粒子の平均長さ(μm)である。Lの値は100本以上の実測長さの平均値とした。
(明度、色相)
測定試料として試料厚みを1mmに加工し、表面粗さRa=0.02μm以下に両面鏡面研磨したものを用いた。測定はJIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」の5.3項、5.4項に準じて、精密型分光光度色彩計(東京電色製、TC−1500SX)を用いて行った。測定は、裏面に常用標準白色板を置いた測定試料にD65光線を当て、測定試料を透過した光を当該白色板で反射させ、再度測定試料を透過した光を測定して、明度L、色相aおよびbを求めた。なお、測定にはD65光線を使用した。
実施例1
(原料粉末の調製)
原料粉末として、ジルコニア粉末、チタニア粉末及び酸化プラセオジウム(PrO11/6)粉末の混合粉末を用いた。
まず、10mol%イットリア安定化ジルコニア粉末中のイットリア及びジルコニアの合計量に対して、10mol%のチタニアを添加した。その後、イットリア安定化ジルコニア粉末及びチタニア粉末中のイットリア、ジルコニア及びチタニアの合計量に対して5mol%の酸化プラセオジウム粉末を添加して混合粉末を調製した。
10mol%イットリア安定化ジルコニア粉末としては、加水分解法で製造された(TZ−10YS,東ソー製)を使用した。また、チタニア粉末としては、気相法で製造された高純度チタニア粉末(F−4,スーパータイタニア製)を使用し、酸化プラセオジウム粉末としては、SU−FP(信越化学製)を使用した。
これらの粉末は、エタノール溶媒中、ジルコニア製φ10mmボールを使用して72時間ボールミルで混合し、これを乾燥して原料粉末とした。
(一次焼結体の作製)
原料粉末を金型プレスによって圧力50MPaで成型した後、冷間静水圧プレス装置を用い圧力200MPaでさらに成型し、直径20mm、厚さ2mmの円柱状成型体を得た。
得られた円柱状成型体を一次焼結して一次焼結体を得た(試料番号:No.1−1)。一次焼結条件は、大気中、昇温速度100℃/時間、一次焼結温度1350℃、及び一次焼結時間を2時間とした。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表1に示した。
(着色透光性ジルコニア焼結体の作製)
得られた一次焼結体をHIP処理してHIP処理体を得た。HIP処理条件は、温度1500℃、圧力150MPa、保持時間1時間とした。なお、圧力媒体には純度99.9%のアルゴンガスを用い、試料はカーボン製容器に設置した。
得られたHIP処理体をアニール処理した。アニール処理の条件は、大気中、1000℃、及び1時間とした。HIP処理後のHIP処理体は黒色を呈していたが、アニール処理後の着色透光性ジルコニア焼結体は透光性を有し、濃い黄色を呈していた。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶の単相であった。アニール後の着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表2に示した。
実施例2
酸化プラセオジウム粉末の添加量を10.0mol%とし、一次焼結温度を1400℃とした以外は実施例1と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.1−2)を得た。得られた一次焼結体は実施例1と同様なHIP処理及びアニール処理をして実施例2の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶単相であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表1に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表2に示した。
実施例3
酸化プラセオジウム粉末の代わりに酸化ネオジム(NdO1.5)粉末(信越化学製、ネオジム純度99.9%)を使用した以外は実施例1と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.1−3)を得た。得られた一次焼結体は実施例1と同様なHIP処理及びアニール処理をして実施例3の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶単相であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表1に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表2に示した。
実施例4
酸化プラセオジウム粉末の代わりに酸化ネオジム粉末を使用した以外は実施例2と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.1−4)を得た。得られた一次焼結体は実施例2と同様なHIP処理及びアニール処理をして実施例4の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶単相であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表1に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表2に示した。
実施例5
酸化プラセオジウム粉末の代わりに酸化ネオジム粉末を使用し、その添加量を25mol%とした以外は実施例1と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.1−5)を得た。得られた一次焼結体は実施例2と同様なHIP処理及びアニール処理をして実施例4の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表1に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表2に示した。
実施例6
酸化プラセオジウム粉末の代わりに酸化エルビウム粉末を使用した以外は実施例2と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.1−6)を得た。得られた一次焼結体は実施例2と同様なHIP処理及びアニール処理をして実施例4の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶単相であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表1に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表2に示した。
Figure 2012096977
Figure 2012096977
また、実施例1、2、3、4の直線透過率を図1に示した。いずれも高い直線透過率を示した。さらにランタノイド系希土類元素の存在により特定の波長が吸収され、着色していることがわかった。
実施例1,2,3、4のXRDプロファイルを図3に示す。いずれも立方晶蛍石型構造であった。
また、実施例1〜4の着色透光性ジルコニア焼結体は均質な微細結晶粒子から構成されていた。実施例3の着色透光性ジルコニア焼結体のSEM観察の結果を図2に示した。
比較例1
酸化プラセオジウム粉末の量を1.0mol%とした以外は実施例1と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.2−1)を得た。得られた一次焼結体は実施例1と同様なHIP処理及びアニール処理をして比較例1の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶単相であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表3に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表4に示した。
比較例2
酸化プラセオジウム粉末の量を2.0mol%とした以外は実施例1と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.2−2)を得た。得られた一次焼結体は実施例1と同様なHIP処理及びアニール処理をして比較例2の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶単相であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表3に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表4に示した。
比較例3
酸化プラセオジウム粉末の代わりに酸化ネオジム粉末を使用した以外は比較例1と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.2−3)を得た。得られた一次焼結体は比較例1と同様なHIP処理及びアニール処理をして比較例3の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶単相であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表3に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表4に示した。
比較例4
酸化プラセオジウム粉末の代わりに酸化ネオジム粉末を使用した以外は比較例2と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.2−4)を得た。得られた一次焼結体は比較例2と同様なHIP処理及びアニール処理をして比較例4の着色透光性ジルコニア焼結体を得た。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体は原料粉末と同じ組成であり、その密度はアルキメデス法の測定誤差範囲内で100%であった。また、結晶相は蛍石型立方晶単相であった。
原料粉末、一次焼結条件及び一次焼結体の結果を表3に、得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表4に示した。
比較例1〜4より、ランタノイド添加量が少ない場合では、実施例の焼結体と比較して色調は薄くなることが確認できた。また、これらの焼結体は特にLが高かった。
比較例5
イットリアを10.0mol%、チタニアを15.0mol%、酸化エルビウムを5mol%とし、一次焼結体の相対密度を98.1%とした以外は実施例6と同様な条件で比較例5の焼結体を得た。結果を表4に示した。
得られた焼結体の気孔率は1000ppmを越えていた。相対密度が98%を越える一次焼結体をHIP処理して得られた焼結体は残留気孔が多く、透明性が著しく低かった。
Figure 2012096977
Figure 2012096977
参考例1
ランタノイド系希土類元素の酸化物を使用しなかった以外は実施例1と同様な方法で成型及び一次焼結をして一次焼結体(試料番号:No.3−1)を得た。得られた一次焼結体は、実施例1と同様な方法でHIP処理してHIP処理体を得た。得られたHIP処理体は透明であったため、アニール処理を行なわず、参考例1の透明ジルコニア焼結体とした。結果を表5に示した。
得られた透明ジルコニア焼結体は直線透過率が高く、高い透明性であった。しかしながら、色相が−3≦a≦3かつ−3≦b≦3の範囲内であり、無色であった。
Figure 2012096977
参考例2
ジルコニア粉末として、加水分解法で製造された8mol%イットリア含有ジルコニア粉末(東ソー製,TZ−8Y)を使用し、酸化ネオジムを5mol%添加した混合粉末を原料粉末とした。なお、参考例2の原料粉末にはチタニア粉末を使用しなかった。
当該原料粉末を使用し、一次焼結温度を1450℃、HIP処理温度を1500℃とし、アニール処理を行なわなかった以外は実施例1と同様な条件で着色透光性ジルコニア焼結体を作製した。
得られた着色透光性ジルコニア焼結体の結果を表6に示した。
チタニアを含有していない参考例2の焼結体は、直線透過率が著しく低く、青色を呈する不透明ジルコニア焼結体であった。
Figure 2012096977
本発明の着色透光性ジルコニア焼結体は、高透明かつ濃い色調を有している。そのため、装飾品、宝飾品及び工芸品等の宝飾用途、装飾用途以外にも、電子機器等の外装部材をはじめ各種の小型、薄型の部材としても好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. イットリアを6mol%以上15mol%以下、チタニアを3mol%以上20mol%以下、ランタノイド系希土類元素を酸化物換算で少なくとも4mol%含有し、気孔率が高くとも1000ppmであることを特徴とする着色透光性ジルコニア焼結体。
  2. 平均結晶粒径が大きくとも60μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の着色透光性ジルコニア焼結体。
  3. ランタノイド系希土類元素がプラセオジウム、ネオジム又はエルビウムのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の着色透光性ジルコニア焼結体。
  4. 試料厚さ1mmにおける明度Lが、大きくとも70であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の着色透光性ジルコニア焼結体。
  5. イットリア、チタニア及びランタノイド希土類元素を含有するジルコニア粉末を成型後、常圧焼結した後、さらに熱間静水圧プレス(HIP)処理し、アニールする製造方法であって、相対密度が90%以上98%以下、平均結晶粒径が大きくとも10μmである一次焼結体をHIP処理に供することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の着色透光性ジルコニア焼結体の製造方法。
  6. HIP処理を、一次焼結温度よりも高いHIP処理温度で行なうことを特徴とする請求項6に記載の着色透光性ジルコニア焼結体の製造方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の着色透光性ジルコニア焼結体を用いることを特徴とする部材。
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