JP2010150064A - 透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法及びその用途 - Google Patents

透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】焼結体密度及び強度が高く、透光感に優れるジルコニア焼結体の製造にはHIP焼結等の特殊な焼結が必要であった。
【解決手段】安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニアからなり、相対密度が99.8%以上、かつ厚さ1.0mmでの全光線透過率が35%以上の透光性ジルコニア焼結体を常圧焼結によって製造する。BET比表面積10〜16m/gm、平均粒径0.4〜0.7μmの粉末で、常圧焼結における焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)が0.0120以上0.0135以下の粉末を大気中で常圧焼結することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は常圧焼結で焼結体密度及び強度が高く、透光性に優れるジルコニア焼結体に関する。特に歯科用途で使用されるジルコニア焼結体、さらには義歯材料等のミルブランク、歯列矯正ブラケットとして用いるのに適する。
安定剤としてYを少量固溶させたジルコニア焼結体は、高強度、高靭性であることから切断工具、ダイス、ノズル、ベアリングなどの機械構造用材料や歯科材料等の生体材料として広く利用されている。歯科材料の場合、高強度、高靱性という機械的特性のみならず、審美的観点から透光性及び色調という光学的特性も要求される。
ジルコニアの単結晶は透光感があり、従来からイットリアを約10mol%含有するジルコニア単結晶(キュービックジルコニア)は宝飾品等に利用されているが、強度が低いという問題があった。一方、多結晶体である通常のジルコニア焼結体は透光感がないことが知られている。この原因として結晶粒間及び粒内に存在する気孔が光散乱を起こすことが知られており、これまで気孔を減少させる、つまり焼結体密度を増加させることで多結晶のジルコニア焼結体に透明性を付与しようとする研究がなされている。
例えば特許文献1にはYを2mol%以上及びTiOを3〜20mol%含む透光性ジルコニアが開示されているが、透光性を与えるためにTiOを多量に含有するため、強度に問題があった。
特許文献2には3mol%Y、0.25wt%Alの組成において透光性を有する焼結体密度99.8%のジルコニア焼結体が開示され、可視光に対する全光線透過率49%(但し厚さ0.5mm)が報告されている。しかし、当該焼結体は熱間静水圧プレス(HIP)を用いた加圧焼結によるものであり、これまで常圧焼結では十分な透光性が得られていなかった。
特開昭62−91467号公報 特開平20−50247号公報
本発明では、上記のような従来方法における欠点を解消し、焼結体密度及び強度が高く、透光感に優れるジルコニア焼結体を提供するところにあり、特にその様なジルコニア焼結体を常圧焼結による簡易なプロセスにより製造することのできる粉末及びそれを用いた製造方法の提供を目的とするものである。
本発明者らは、ジルコニア粉末の焼結性と得られる焼結体の全光線透過率との関係について詳細に検討した結果、アルミナを含有しないイットリア含有ジルコニアを用いて透光性ジルコニア焼結体を得るためには、当該ジルコニアの特定の温度領域の焼結速度を制御することが必要であることを見出し、本発明を完成するに到ったものである。
即ち、本発明は、
1)安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニアからなり、相対密度が99.8%以上、かつ厚さ1.0mmでの全光線透過率が35%以上である透光性ジルコニア焼結体。
2)結晶粒径が0.20〜0.45μmである上記1)記載の透光性ジルコニア焼結体。
3)140℃の熱水中に24時間浸漬(通常一般に「水熱処理」という)させた後の単斜晶相率が20%以下である上記1)〜2)のいずれかに記載の透光性ジルコニア焼結体。
4)3点曲げ強度が1000MPa以上である上記1)〜3)のいずれかに記載の透光性ジルコニア焼結体。
5)安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニア粉末を成型後、常圧下にて1350〜1450℃で焼結することを特徴とする透光性ジルコニア焼結体の製造方法。
6)安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニア粉末が1000℃以上1150℃以下で仮焼した粉末である上記5)に記載の製造方法。
7)ジルコニア粉末として、噴霧成型粉末顆粒を用いることを特徴とする上記5)〜6)のいずれかに記載の製造方法。
8)ジルコニア粉末が、さらに有機バインダーを含む噴霧造粒粉末である上記7)に記載の製造方法。
9)安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、BET比表面積10〜16m/g、常圧焼結(大気中、昇温速度300℃/時)における相対密度70%から90%までの焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)が0.0120以上0.0135以下である透光性ジルコニア焼結用粉末、
からなるものである。
従来、高密度ジルコニア焼結体に微細なアルミナ(ゾル等)を用いることは知られていたが、焼結体に要求される特性の向上の観点からその添加量は0.2wt%を超えるものしかなく、異種成分のアルミナの多いジルコニア焼結体では光の屈折、散乱等の影響により、高密度であっても透光性が十分なものはなかった。本発明の焼結体は、アルミナを含有しないジルコニア焼結体であり、焼結体に要求される基本的な特性に優れ、なおかつ透光性に優れた焼結体である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本発明におけるジルコニア粉末に係わる「平均粒径」とは、体積基準で表される粒径分布の累積カーブが中央値(メディアン径;累積カーブの50%に対応する粒径)である粒子と同じ体積の球の直径をいい、レーザー回折法による粒径分布測定装置によって測定したものをいう。
「安定化剤濃度」とは、安定化剤/(ZrO+安定化剤)の比率をモル%として表した値をいう。
「単斜晶相率(fm)」とは、粉末X腺回折(XRD)測定により単斜晶相の(111)及び(11−1)面,正方晶相の(111)面,立方晶の(111)面の回折強度をそれぞれ求めて、以下の数式1により算出された値をいう。
Figure 2010150064
(但し、Iは各回折線のピーク強度,添字m,t及びcは、それぞれ単斜晶相、正方晶相、立方晶相を表す。)
水和ジルコニアゾルに係わる「反応率」とは、水和ジルコニアゾル含有液を限外濾過して、その濾液中に存在する未反応物のジルコニウム量を誘導結合プラズマ発光分光分析により求めて、水和ジルコニアゾルの生成量を算出し、原料仕込量に対する水和ジルコニアゾル量の比率として表したものの値をいう。
「相対密度」とは、アルキメデス法により実測した実測密度ρと下記に示される数式2の計算式によって求めた理論密度ρとを用いて、(ρ/ρ)×100の比率(%)に換算して表した値をいう。ここで3mol%イットリア含有ジルコニアの理論密度を6.0956(g/cm)とした。
本発明の透光性ジルコニア焼結体は、安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含むものである。安定化剤が2mol%未満では、強度が低下するだけでなく、結晶相が不安定となり焼結体の作製が困難となる。又、4mol%を超えると強度が低下する。高強度に適するイットリア濃度は2.5〜3mol%であり、全光線透過率に適するイットリア濃度は3〜4mol%である。
本発明の透光性ジルコニア焼結体は、上記の組成を満足し、相対密度が99.8%以上であり、厚さ1.0mmでの全光線透過率が少なくとも35%以上、好ましくは37%以上で、さらに40%までに至る高い透光性を有するものである。
本発明の透光性ジルコニア焼結体は、HIP等の加圧焼結を用いず、常圧焼結で得られるものであり、厚さ1.0mmでの全光線透過率が40%に至る透光性を達成することができる。
本発明の透光性ジルコニア焼結体はさらに結晶粒径が0.20〜0.45μmであることが好ましい。結晶粒径が0.20μm未満であると、粒間及び粒内に微細な気孔が多く存在するため、相対密度が99.8%に到達し難い。結晶粒径が0.45μmを超えると、焼結体の水熱劣化が著しく、焼結体が破壊してしまうため適さない。
本発明の透光性ジルコニア焼結体は、140℃の熱水中に24時間浸漬させた後の単斜晶相率が20%以下であることが好ましい。単斜晶相率が20%を超えると焼結体の水熱劣化によって焼結体が破壊し易い。より好ましい単斜晶相率は10%以下である。
本発明の透光性ジルコニア焼結体は、3点曲げ強度が1000MPa以上であることが好ましい。3点曲げ強度が1100MPa以上であり、さらに1200MPa以上であることが好ましい。
本発明の透光性ジルコニア焼結体用のジルコニア粉末は、安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含むが、添加剤としてアルミナを含まないものである。
本発明の透光性ジルコニア焼結体用のジルコニア粉末は、BET比表面積が10〜16m/gの範囲であることが好ましい。ジルコニア粉末のBET比表面積が、10m/gよりも小さくなると低温で焼結しにくい粉末となり、また、16m/gよりも大きくなると粒子間の凝集が著しい粉末となり焼結性に悪影響がある。BET比表面積は特に12〜15m/gの範囲であることが好ましい。
本発明の透光性ジルコニア焼結体用のジルコニア粉末は、平均粒径が0.4〜0.7μmの範囲内であることが好ましい。ジルコニア粉末の平均粒径が0.4μmよりも小さくなると粉末の凝集性を高める微小粒子が多くなって成形しにくいものとなり、一方、0.7μmよりも大きくなると硬い凝集粒子を含む粗粒が多くなるために、成形しにくいものとなり、かつ、粗粒が焼結の緻密化を阻害するために焼結性の悪いものとなる。好ましい平均粒径は0.5〜0.6μmである。
本発明の透光性ジルコニア焼結体用のジルコニア粉末は、例えばジルコニウム塩水溶液の加水分解で得られる水和ジルコニアゾルを、乾燥,仮焼,粉砕して得ればよい。該ジルコニウム塩水溶液にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を加えた後に、反応率が98%以上になるまで加水分解を行って得られる水和ジルコニアゾルに、安定化剤の原料としてイットリウムを添加して乾燥しても良い。
水和ジルコニアゾルの製造に用いるジルコニウム塩としては、オキシ塩化ジルコニウム,硝酸ジルコニル,塩化ジルコニウム,硫酸ジルコニウムなどが挙げられるが、この他に水酸化ジルコニウムと酸との混合物を用いてもよい。ジルコニウム塩水溶液に加えるアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の水酸化物を挙げることができる。上記の水酸化物は、水溶液にして加えることが好ましい。
上記で得られた水和ジルコニアゾルの乾燥粉を1000〜1150℃の温度で仮焼する。仮焼温度がこの範囲外になると、本発明の下記粉砕条件で得られるジルコニア微粉末の凝集性が著しく強くなる、あるいは硬い凝集粒子を含む粗粒が多くなるために平均粒径が0.4〜0.7μmの範囲外となり、本発明のジルコニア粉末が得られ難い。より好ましい仮焼温度は1050〜1150℃である。
上記で得られた仮焼粉は平均粒径が0.4〜0.7μmの範囲になるまで、例えば直径3mm以下のジルコニアボールを用いて湿式粉砕することによりさらに焼結性を本発明の範囲に調整することが好ましい。
本発明の透光性ジルコニア焼結体用のジルコニア粉末は、常圧焼結(大気中、昇温速度300℃/時)における相対密度70%から90%までの焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)が0.0120以上0.0135以下、特に0.0125以上0.135以下の粉末であることが好ましい(本発明の組成における相対密度は3mol%イットリア含有ジルコニアの理論密度は6.0956(g/cm)を100%として換算して求めた)。
本発明の透光性ジルコニア焼結体用のジルコニア粉末は、通常のプレス成型(必要に応じて静水圧プレス(CIP処理))により相対密度50±5%程度の成型体となる。その様な成型体を大気中で昇温すると、仮焼温度以上の温度、特に1100℃付近から焼結収縮が開始する。焼結の収縮速度は相対密度70%から90%までの範囲で一定となり、相対密度が90%を超えたところから徐々に収縮速度が低下し、100%付近において最終的にそれ以上温度を上げても収縮しなくなる。
常圧焼結(大気中、昇温速度300℃/時)における相対密度70%から90%までの焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)は、ジルコニア粉末を成型(金型成型の後、CIP処理(圧力2t/cm))した後、汎用的な熱膨張計(アルバック理工製 DL9700)によって測定することができる。本発明における焼結収縮速度は、相対密度が70%以上での測定値であるため、初期の成型密度(相対密度50%前後)のばらつきにより影響を受けない。さらに相対密度70%から90%では焼結収縮速度が一定であり、収縮速度が温度と相対密度の一次関数となるため、特別な近似計算処理を用いることなくても正確な焼結収縮速度を求めることが可能である。
本発明の透光性ジルコニア焼結体用のジルコニア粉末は、常圧焼結(大気中、昇温速度300℃/時)における相対密度70%から90%までの焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)が上記の範囲から外れると相対密度99.8%以上の高い透光性を有する焼結体を得ることが困難である。
本発明のジルコニア粉末は、HIP処理等の加圧焼結を用いなくても、常圧焼結において高い透光性の焼結体が得られるものであるが、本発明でいうところの焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)は高いほどよいというものではない。焼結収縮速度が本発明の範囲より大きいものであっても、常圧焼結において高い透光性を有する焼結体を得ることは困難である。
本発明で用いている焼結収縮速度は、昇温速度が変わればまた異なるが、昇温速度を決定すれば一定の値を有し、粉末に固有の値である。
本発明の粉末では焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)は0.0120以上0.0135以下であり、この範囲から外れると常圧焼結、特に1450℃以下、さらには1400℃以下での常圧焼結において透光性の高いジルコニア焼結体が得られない。
本発明の透光性ジルコニア焼結体用のジルコニア粉末は、噴霧成型粉末顆粒を用いることが好ましく、特に安定化剤としてのイットリア、添加剤としてのアルミナゾルの他に有機バインダーを含む噴霧造粒粉末を用いることが好ましい。
ジルコニア粉末をスラリーにして噴霧乾燥することによりジルコニア顆粒では、成型体を形成する際の流動性が高く、焼結体中に気泡が生成し難い。顆粒の粒径は30〜80μm、軽装嵩密度が1.10〜1.40g/cmであることが好ましい。
顆粒にバインダーを使用する場合、バインダーとしては、一般に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルブチラート、ワックス、アクリル系等のバインダーを挙げることができるが、中でも分子中にカルボキシル基またはその誘導体(例えば、塩、特にアンモニウム塩など)を有するアクリル系のものが好ましい。このアクリル系のバインダーとして、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体やその誘導体を挙げることができる。バインダーの添加量は、セラミックス粉末スラリー中のセラミックス粉末に対し0.5〜10重量%、特に1〜5重量%が好ましい。
本発明の透光性ジルコニア焼結体は、安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含むジルコニア粉末を成型後、常圧下にて1350〜1450℃、特に1400℃以下、100℃/時以下で焼結することにより製造することが好ましい。
焼結温度が1350℃未満であると、相対密度が99.8%に到達せず、1450℃を超えると、焼結体の水熱劣化が著しく進行し、焼結体が破壊し易い。
本発明の透光性ジルコニア焼結体は常圧焼結で得るが、焼結雰囲気としては還元性雰囲気でなければ特に制限は無く、酸素雰囲気、大気中焼結で良い。特に大気中で焼結することが好ましい。
本発明の透光性ジルコニア焼結体は、高密度、高強度でなおかつ透光性に優れているため、歯科用途で使用されるジルコニア焼結体、具体的には義歯材料等のミルブランク、歯列矯正ブラケットとして用いる焼結体として優れたものであり、本発明の透光性ジルコニア焼結体用の粉末は、HIP等の大掛かりな加圧焼結装置を用いないで常圧焼結で透光性ジルコニア焼結体を製造できるものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何等限定されるものではない。
例中、ジルコニア粉末の平均粒径は、マイクロトラック粒度分布計(Honeywell社製,型式:9320−HRA)を用いて測定した。試料の前処理条件としては、粉末を蒸留水に懸濁させ、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製,型式:US−150T)を用いて3分間分散させた。XRD測定により求められる単斜晶相率は数式1より算出した(いずれの例においても、立方晶は含まれていなかった)。また、ジルコニア顆粒の平均粒径は、ふるい分け試験方法によって求めた。
原料粉末の成形は、金型プレスにより圧力700kgf/cmで行い、当該予備成形体をゴム型を用いて圧力2t/cmで冷間静水圧プレス(CIP)処理して成形体とした。得られた成形体は所定温度(保持時間2時間)に設定して焼結させた。ジルコニア焼結体の結晶粒子の平均粒径は、鏡面研磨した焼結体を熱エッチング処理し、電解放出形走査型電子顕微鏡(FESEM)(日本電子社製、型式:JSM−T220)を用いてプラニメトリック法により算出した。焼結体密度は、アルキメデス法で測定した。
焼結体の全光線透過率は、濁度計(日本電色工業(株)製、型式:NDH2000)を用いて、JIS K7361に準拠して光源D65で測定した。試料は焼結体を両面研磨した厚み1mmの円盤形状のものを用いた。焼結体の強度は、3点曲げ測定法で評価した。
水熱耐久試験は、焼結体を140℃の熱水中に24時間浸漬させ、生成する単斜晶相の比率(単斜晶相率)を求めることによって評価した。単斜晶相率は、浸漬処理した焼結体についてXRD測定を行い、ジルコニア微粉末の単斜晶相率と同様の算出方法で、既述の数式1により求めた。
実施例及び比較例
オキシ塩化ジルコニウムの加水分解反応によって得られた水和ジルコニアゾルに、塩化イットリウムをイットリア濃度が3mol%になるように添加して乾燥させ、1000〜1150℃の仮焼温度で1〜10時間仮焼し、蒸留水を加えてジルコニア濃度45重量%のスラリーにした。このスラリーを直径3mmのジルコニアボールを用いて、振動ミルで24時間粉砕処理し、ジルコニア粉末を得た。
得られた粉末をCIP(圧力2t/cm)でプレス成形し、1400℃の条件で焼結させた。また、同様にCIP成形した成形体を熱収縮計(アルバック理工製 DL9700)を用い、大気中、昇温速度300℃/時)における相対密度70%から90%までの焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)を求めた。
ジルコニア粉末のBET比表面積、相対密度が70%から90%までの焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)、大気中常圧1400℃で昇温速度100℃/時で焼結した際の焼結相対密度、平均結晶粒径、全光線透過率、曲げ強度、水熱劣化後の単斜晶相率を表1に示す。
仮焼条件によってBET比表面積、焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)を変化させたところ0.0120以上0.0140以下において相対密度99.8%以上の透光性ジルコニア焼結体が得られた。
焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)と焼結密度の関係を図1に示す。
Figure 2010150064
相対密度99.8%以上の焼結体においてのみ全光透過率が35%以上の透光性が得られおり、透過率35%以上を達成するためには相対密度99.8%以上が必要である。
焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)と焼結体相対密度の関係 ジルコニア粉末の大気中常圧焼結(昇温速度300℃/時)における熱収縮曲線(No.7)

Claims (12)

  1. 安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニアからなり、相対密度が99.8%以上、かつ厚さ1.0mmでの全光線透過率が35%以上であることを特徴とする透光性ジルコニア焼結体。
  2. 結晶粒径が0.20〜0.45μmである請求項1に記載の透光性ジルコニア焼結体。
  3. 140℃の熱水中に24時間浸漬させた後の単斜晶相率が20%以下である請求項1〜2のいずれかに記載の透光性ジルコニア焼結体。
  4. 3点曲げ強度が1000MPa以上である請求項1〜3のいずれかに記載の透光性ジルコニア焼結体。
  5. 安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニア粉末を成型後、常圧下にて1350〜1450℃で焼結することを特徴とする透光性ジルコニア焼結体の製造方法。
  6. 安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニア粉末が1000℃以上1150℃以下で仮焼した粉末である請求項5に記載の製造方法。
  7. 安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニア粉末の噴霧成型粉末顆粒を用いることを特徴とする請求項5乃至6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニア粉末の噴霧成型粉末顆粒が、さらに有機バインダーを含む噴霧造粒粉末である請求項7に記載の製造方法。
  9. 安定化剤として2〜4mol%のイットリアを含み、アルミナを含有しないジルコニア粉末が、BET比表面積10〜16m/g、常圧焼結(大気中、昇温速度300℃/時)における相対密度70%から90%までの焼結収縮速度(△ρ/△T:g/cm・℃)が0.0120以上0.0135以下である透光性ジルコニア焼結体用粉末。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の焼結体を用いてなる歯科材料。
  11. 歯科材料が歯列矯正ブラケットである請求項10に記載の歯科材料。
  12. 歯科材料が義歯及び/又は義歯ミルブランクである請求項10の歯科材料。
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