JP2021042119A - ジルコニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Takeshi Ito
武志 伊藤
雄二 松村
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雄二 松村
勲 山下
Isao Yamashita
勲 山下
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    • C04B2235/656Aspects relating to heat treatments of ceramic bodies such as green ceramics or pre-sintered ceramics, e.g. burning, sintering or melting processes characterised by specific heating conditions during heat treatment
    • C04B2235/6562Heating rate

Abstract

【課題】透明ジルコニアを含む従来のセラミックス接合体と比較し、より広い用途への適用が可能であるジルコニア焼結体およびその製造方法の少なくともいずれかを提供する。【解決手段】透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とを備えるジルコニア焼結体であって、二軸曲げ強度が300MPa以上であり、該不透明ジルコニア部が明色ジルコニア焼結体からなることを特徴とするジルコニア焼結体。【選択図】 なし

Description

本開示は、ジルコニア焼結体およびその製造方法に関する。
耐熱性、耐摩耗性、耐食性に優れていることから、セラミックスは産業部材用途に広く使用されている。中でも、高い審美性や質感から、透明セラミックスの用途が拡大してきている。例えば、透明セラミックスの用途として、携帯電話等の電子機器部材、時計部材及び宝飾品などの用途への適用が検討されている。このような用途の拡大に伴い、より高い審美性を有するだけでなく、より高い意匠性を有する部材として透明セラミックスと、これと異なる色調を呈するセラミックスとからなるセラミックス部材が求められている。
一方、セラミックスは靭性が高い材料であり、複雑な形状への加工が困難である。そのため、従来、複雑な形状のセラミックス部材は、セラミックス同士を接合することで作製されていた。
例えば、着色ジルコニア焼結体を収縮させて透明ジルコニア焼結体を物理的に固定することで、着色ジルコニア焼結体と透明ジルコニア焼結体とを接合させたセラミックス接合体が報告されている(特許文献1)。
特開2013−14471号公報
特許文献1に記載のセラミックス接合体は、熱処理における熱収縮の差を利用して作製された接合体であり、焼結体同士が物理的な力で接合されていた。当該接合体は強度が低く、適用できる用途が限られていた。
本開示の目的は、透明ジルコニアを含む従来のセラミックス接合体と比較し、より広い用途への適用が可能であるジルコニア焼結体およびその製造方法の少なくともいずれかを提供することにある。
上記の課題に鑑み、本研究者らは検討した。その結果、特定のジルコニア焼結体が上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は特許請求の範囲に記載の発明の通りであり、また、本開示の要旨は以下に示す通りである。
[1] 透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とを備えるジルコニア焼結体であって、二軸曲げ強度が300MPa以上であり、該不透明ジルコニア部が明色ジルコニア焼結体からなることを特徴とするジルコニア焼結体。
[2] 透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが同一の面上にある上記[1]に記載のジルコニア焼結体。
[3] 透明ジルコニア部の直線透過率が50%以上である上記[1]又は[2]に記載のジルコニア焼結体。
[4] 不透明ジルコニア部の直線透過率が5%未満である上記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載のジルコニア焼結体。
[5] 不透明ジルコニア焼結体のL表色系におけるLが60を超えること上記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載のジルコニア焼結体。
[6] 透明ジルコニア部が、安定化剤及びチタニアを含有するジルコニア、を含む上記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載のジルコニア焼結体。
[7] 前記安定化剤が、イットリア、カルシア及びマグネシアの群から選ばれる少なくとも1種である上記[6]に記載のジルコニア焼結体。
[8] 前記透明ジルコニア部の安定化剤がイットリアであり、なおかつ、イットリア含有量が6mol%以上12mol%以下である上記[6]又は[7]に記載のジルコニア焼結体。
[9] 前記不透明ジルコニア部の安定化剤がイットリアであり、なおかつ、イットリア含有量が2mol%以上6mol%未満である上記[6]乃至[8]のいずれかひとつに記載のジルコニア焼結体。
[10] 不透明ジルコニア部が、着色元素を含む上記[1]乃至[9]のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
[11] 前記着色元素が、遷移金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、アルミニウム、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウム、希土類元素の群から選ばれるうち少なくとも1種である上記[10]に記載のジルコニア焼結体。
[12] 二軸曲げ強度が350MPa以上であることを特徴とする上記[1]乃至[11]のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
[13] 透明ジルコニア部の原料粉末、又は、不透明ジルコニア部の原料粉末のいずれか一方の原料粉末からなる一次成形体と、他方の原料粉末からなる成形体と、が積層した二次成形体を焼結する焼結工程、を含むことを特徴とする上記[1]乃至[12]のいずれかひとつに記載のジルコニア焼結体の製造方法。
[14] 透明ジルコニア部の原料粉末が、安定化剤含有ジルコニア源及びチタニア源を含む混合粉末である上記[13]に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
[15] 焼結が少なくともHIP処理を含む上記[13]又は[14]に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
[16] 焼結が1300℃以上1400℃以下で常圧焼結をした後、1450℃以上1550℃以下でHIP処理を行う上記[13]乃至[15]のいずれかひとつに記載の製造方法。
本開示のジルコニア焼結体により、透明ジルコニアを含む従来のセラミックス接合体と比較し、より広い用途への適用が可能であるジルコニア焼結体およびその製造方法の少なくともいずれか提供できる。
二軸曲げ強度の測定を示す模式図である。 二次成形体の断面を示す模式図である。 実施例1のジルコニア焼結体の外観(正面及び断面)を示す模式図である。
以下、本開示のジルコニア焼結体について実施形態の一例を示しながら説明する。
本実施形態は、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とを備えるジルコニア焼結体であって、二軸曲げ強度が300MPa以上であり、該不透明ジルコニア部が明色ジルコニア焼結体からなることを特徴とするジルコニア焼結体である。
本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とを備える。これにより、審美性及び意匠性が高くなりやすい。別の実施形態においては、本実施形態のジルコニア焼結体は、多色ジルコニア焼結体、すなわち2以上の色調の異なるジルコニア焼結体を備えたジルコニア焼結体である。更に別の実施形態においては、本実施形態のジルコニア焼結体は、光を透過するジルコニア焼結体と光を透過しないジルコニア焼結体とを備える焼結体であり、更には、透明と視認され得るジルコニア焼結体と、不透明と視認され得るジルコニア焼結体とからなるジルコニア焼結体である。
本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが焼結した構造を有していることが好ましく、透明ジルコニア部と不透明ジルコニアが界面を形成した状態で焼結した構造を有していることがより好ましい。該界面は隙間を有さないことが更に好ましい。なお、「隙間を有さない」とは、本実施形態のジルコニア焼結体の強度が発現する程度に、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部との界面が形成されている状態であり、本実施形態のジルコニア焼結体は、その強度に影響を及ぼさない程度の微細な欠陥は有していてもよい。結合剤等の第三成分を介さずに透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部が接合された構造を有することにより、本実施形態のジルコニア焼結体が、一体の焼結組織からなる焼結体となり、破壊の発生源が少なくなる。また、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが界面を形成した状態で焼結した構造を有することで、機械的強度がより高くなりやすい。
さらに、第三成分を介さずに透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部が接合された構造を有することにより、本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部の結晶粒子と、不透明ジルコニア部の結晶粒子と、が焼結した結晶粒子構造を有した粒子構造を含む。そのため、該粒子構造を有さないジルコニア焼結体や、2以上のジルコニア焼結体が単に嵌合したジルコニア接合体とは異なる。すなわち、本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが焼結により接合した状態の接合体であり、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが物理的な力のみで接合した状態の接合体とは異なるものである。
一般に、透明ジルコニア焼結体は、不透明ジルコニア焼結体よりも強度が低い。これに対し、本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部が不透明ジルコニア部と焼結した構造を有することで、透明ジルコニア焼結体が単独である場合と比較して、該透明ジルコニア部自体の強度が高くなる傾向がある。
本実施形態のジルコニア焼結体の形状は特に限定されないが、少なくとも、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが同一の面上にあることが好ましい。本実施形態において、「同一の面上」とは、同一の平面上又は同一の曲面上であり、視認されうる面において、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが同一の面上にあることがより好ましい。透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが同一の面上に配置される構造であることにより、意匠性が高くなりやすい。
本実施形態のジルコニア焼結体の形状として、球状、略球状、円板状、円柱状、楕円柱状、板状、立方体状、直方体状、多角体状、略多角体状、その他用途に応じた形状が例示できる。さらに、例えば、特許文献1の図1で示される形状等、透明ジルコニア部又は不透明ジルコニア部のいずれか一方が他方を囲むように配置された構造を含む形状であってもよく、不透明ジルコニア部が透明ジルコニア部を囲む構造を有する形状であることが好ましい。
また、本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部の前駆体と不透明ジルコニア部の前駆体とが隙間なく接した状態の成形体等を焼結することでも得られる。そのため、本実施形態のジルコニア焼結体は形状の自由度が高く、複雑形状を有するジルコニア焼結体として得ることも可能である。例えば、本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部又は不透明ジルコニア部のいずれか一方が凹凸形状を有し、当該凹凸形状が組み合わさるように他方が積層した構造を含んでいてもよい。
本実施形態のジルコニア焼結体における、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部との割合は、所望する審美性及び形状により任意に選択することができ、例えば、体積割合として透明ジルコニア部:不透明ジルコニア部=1:99〜99:1であることが挙げられる。
本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部のいずれか一方が、他方の表面に模様を形成した構造を有してもよい。ここで、「模様」とは、表面等、本実施形態のジルコニア焼結体の視認できる部分において、透明ジルコニア部又は不透明ジルコニア部のいずれか一方のジルコニア部に形成された、他方のジルコニア部からなる線図、図形又はこれらの組合せである。線図として実線、破線、波線などの線形、数字や文字、記号などを例示することができ、図形として三角形、四角形、五角形等の多角形、円形、楕円形などの幾何学的形状などを例示することができる。模様は、例えば、1cm以下の領域、更には1mm以下の領域、また更には0.5mm以下の領域、また更には0.05mm以下の領域、また更には0.005mm以下の領域に形成されたものが挙げられる。さらに、150μm程度の太さの線からなる線図や、150μm程度の間隔の線図や図形、直径1mm以下、更には直径0.5mm以下の図形を挙げることができる。
特に優れた審美性を有することから、本実施形態のジルコニア焼結体は色滲みを有さないことが好ましい。色滲みは、透明ジルコニア部又は不透明ジルコニア部の一方の着色元素が一定量以上、他方のジルコニア部に拡散することで生じると考えられる。ここで、「着色元素」は、ジルコニアに着色効果を生じさせる元素をいい、イオンや酸化物、複合酸化物等、その存在状態は限定されない。本実施形態において、「色滲み」とは、透明ジルコニア部又は不透明ジルコニア部の一方の着色元素が他方に含まれる状態であって、主として透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部との界面及び界面近傍の領域(以下、「移行領域」ともいう。)において、目視又は光学顕微鏡で観察されるものである。
より優れた審美性を有するジルコニア焼結体となることから、界面から20μm以内の透明ジルコニア部の領域における着色元素の含有量が0.5質量%以下、更には0.3質量%以下であることが好ましい。移行領域における着色元素の含有量は、EPMAによる組成分析などで測定することができる。
本実施形態のジルコニア焼結体は、質量測定で測定される質量に対する、アルキメデス法で測定される体積の割合(g/cm)により求まる密度(以下、「実測密度」ともいう。)として、5.8g/cm以上6.10g/cm以下、更には5.9g/cm以上6.0g/cm以下であることが例示できる。
本実施形態のジルコニア焼結体の相対密度が99.5%以上であることが好ましく、99.7%以上がより好ましく、99.9%以上であることが更に好ましい。
本実施形態において、ジルコニア焼結体の相対密度は下式から求めることができる。
相対密度(%) =ジルコニア焼結体の実測密度(g/cm)/ジルコニア焼結体の見かけ真密度(g/cm)×100
ジルコニア焼結体の実測密度(焼結体密度)はアルキメデス法により求まる密度であり、ジルコニア焼結体の見かけ真密度は、透明ジルコニア部及び不透明ジルコニア部それぞれの見かけ真密度及び体積比により下式から算出される密度である。
M =(Ma・X+Mb・Y)/(X+Y)
上記式において、Mはジルコニア焼結体の見かけ真密度(g/cm)、Maは透明ジルコニア部の見かけ真密度(g/cm)、Mbは不透明ジルコニア部の見かけ真密度(g/cm)、Xはジルコニア焼結体の体積に対する透明ジルコニア部の体積比、及び、Yはジルコニア焼結体の体積に対する不透明ジルコニア部の体積比である。Ma及びMbは、アルキメデス法により測定される、それぞれの焼結体のHIP処理体の密度である。該HIP処理体は相対密度100%に相当する密度を有する焼結体であり、これは、相対密度97%以上100%未満の一次焼結体を、圧力媒体としてアルゴンを使用し、150MPa、1500℃で1時間のHIP処理、により製造できる。
本実施形態のジルコニア焼結体は、二軸曲げ強度が300MPa以上である。二軸曲げ強度が300MPa未満では、破壊されやすく使用できる用途が限定される。本実施形態のジルコニア焼結体は、より高い強度が要求される部材に適用することが可能となるため、二軸曲げ強度が350MPa以上、更には400MPa以上、450MPa以上、500MPa以上又は600MPa以上、であることが好ましい。また、本実施形態の二軸曲げ強度は2000MPa以下、更には1000MPa以下、900MPa以下又は800MPa以下であることが挙げられる。
本実施形態における二軸曲げ強度は、ISO/DIS6872に規定される二軸曲げ強度測定に準じた測定方法により測定できる。
二軸曲げ強度の測定では、測定試料を配置するための支点(サポート)を複数使用する。サポートは、測定試料の透明ジルコニア部又は不透明ジルコニア部を取り囲む界面が、各サポートを繋いで描かれる円(サポート円)に収まるように配置する。界面がサポート円に収まるように配置した測定試料に対し、サポート径の重心に、界面未満の大きさを有する荷重を負荷することで二軸曲げ強度を測定すればよい。例えば、測定試料として、直径5mmの円板状の透明ジルコニア部が不透明ジルコニア部に取り囲まれた形状を有するジルコニア焼結体を使用する場合、サポート円の直径が5mm超となるように、3点以上のサポート(例えば、3〜5点のセラミックスボール)を配置すればよい。測定は、当該サポート円の重心(中心)に対して、直径5mm未満の圧子により荷重を負荷すればよい。
図1は、二軸曲げ強度の測定を示す模式図であり、サポートに配置されたジルコニア焼結体を示す図である。100aは二軸曲げ強度測定時のジルコニア焼結体を下面(すなわち、サポートとジルコニア焼結体が接する面)から見た図を示し、100bはジルコニア焼結体の断面を示している。サポート(110a乃至110c)は、透明ジルコニア部(101)がサポート円の内部に収まるように配置する。ジルコニア焼結体は、不透明ジルコニア部(102)が各サポート上に配置されるように配置する。サポート円の重心となる位置に荷重(120)を負荷することで、二軸曲げ強度を測定すればよい。
本実施形態において、「透明ジルコニア部」は透き通ったジルコニア焼結体からなり、透明性を有するジルコニア焼結体からなる。さらに、透明ジルコニア部は、透明性を有すると視認され得るジルコニア焼結体からなることが好ましく、無色のジルコニア焼結体からなることがより好ましく、入射光の透過率、特に直線的な透過率、が高いジルコニア焼結体からなることが更に好ましい。
透明ジルコニア部は、直線透過率が50%以上であることが好ましい。直線透過率が50%以上であれば、透明として視認されやすくなる。直線透過率は60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。これにより、透明ジルコニア部が、時計のカバー材や電子機器等の表示用部材等の用途に特に適した審美性を備える。透明ジルコニア部の直線透過率は75%以下であることが挙げられる。
本実施形態において、「直線透過率」とは試料厚さ1mm、D65光源における直線透過率であり、下式の関係を有する透過率である。
Ti=Tt−Td
Tt:全光線透過率(%)
Td:拡散透過率(%)
Ti:直線透過率(%)
D65光源とは、国際照明委員会(Commission internationale l’eclairage;CIE)が規定する標準光源の代用となる光源の規格の一つである。この光源は自然な昼光に相当する光である。従って、本実施形態のジルコニア焼結体を試料厚さ1mmとした場合に、直線透過率が50%以上、更には60%以上、また更には70%以上の領域を確認できることをもって、本実施形態のジルコニア焼結体が透明ジルコニア部を備えることを確認してもよい。
透明ジルコニア部は、立方晶蛍石型構造を有するジルコニアを含むジルコニア焼結体であることが好ましく、立方晶蛍石型構造を有するジルコニアを主相とするジルコニア焼結体であることがより好ましく、立方晶蛍石型構造を有するジルコニアからなるジルコニア焼結体であることが更に好ましい。
透明ジルコニア部に含まれるジルコニア焼結体は、平均結晶粒径が5μm以上、10μm以上又は15μm以上であり、かつ、200μm以下、100μm以下、50μm以下又は30μm以下であり、5μm以上200μm以下であることが好ましい。本実施形態において、平均結晶粒径はジルコニア焼結体のジルコニアの結晶粒子の平均径であり、これは走査型電子顕微鏡(SEM)により得られる観察図からインターセプト法により求めることができる。15,000倍の倍率で焼結体の表面を観察し、得られるSEM観察図から200個以上、好ましくは250±30個、のジルコニアの結晶粒子を抽出し、その結晶粒径をインターセプト法(k=1.78)によって測定し、その平均をもって求めることができる。平均結晶粒径の測定として、例えば、走査型電子顕微鏡(装置名:JSM−IT100、JEOL社製)を使用し、以下の測定条件で得られたSEM観察図を、市販の解析ソフト(製品名:Intouch scope)を用いたインターセプト法により解析し、得られた粒子径の平均値を求めること、が挙げられる。
加速電圧:10kV
測定倍率:400〜10000倍
透明ジルコニア部は、透明性を示す焼結体であればその組成は任意である。透明ジルコニア部は、安定化剤及びチタニア(TiO)を含有するジルコニアからなること、が挙げられる。
安定化剤として、イットリア(Y)、カルシア(CaO)及びマグネシア(MgO)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、イットリアであることが好ましい。
透明ジルコニア部の安定化剤の含有量は、それぞれ、ジルコニアが立方晶蛍石型構造で安定化する量であることが好ましい。例えば、安定化剤がイットリアである場合、イットリア含有量は6mol%以上12mol%以下、好ましくは7mol%以上12mol%以下、より好ましくは8mol%以上11mol%以下、更に好ましくは8mol%以上10mol%以下が挙げられる。
本実施形態において、安定化剤の含有量は、酸化物換算した安定化剤とジルコニア(ZrO)との合計に対する安定化剤の割合(mol%)であり、{[安定化剤(mol)]/[ジルコニア(mol)+安定化剤(mol)]}×100から求まる値である。
透明ジルコニア部の透明性が高くなりやすいため、透明ジルコニア部のチタニア含有量は3mol%以上20mol%以下、好ましくは5mol%以上15mol%以下、より好ましくは8mol%以上12mol%以下であることが挙げられる。
本実施形態において、チタニアの含有量はジルコニア、安定化剤及びチタニアの合計に対するチタニア(TiO)の割合(mol%)であり、{[チタニア(mol)]/[ジルコニア(mol)+安定化剤(mol)+チタニア(mol)]}×100から求まる値である。
透明ジルコニア部は、ハフニア(HfO)等の不可避不純物に加え、透明性が損なわれない限り、着色元素等を含有していてもよい。例えば、透明ジルコニア部は、アルミニウムをAl換算で0質量%以上0.1質量%以下含有することが挙げられる。
「不透明ジルコニア部」は透き通っていないジルコニア焼結体からなり、透明性を有さないジルコニア焼結体からなる。また、不透明ジルコニア部は明色ジルコニア焼結体からなる。不透明ジルコニア部は、入射光の透過率が低いジルコニア焼結体からなることが好ましい。
不透明ジルコニア部は、直線透過率が5%未満であることが好ましく、4%未満であることがより好ましく、3%未満であることがさらに好ましく、2%未満であることが更により好ましい。直線透過率が5%未満のジルコニア焼結体であれば、不透明として視認されやすくなる。入射光が全て反射する場合、及び透過光が全て拡散透過する場合の少なくともいずれかの場合、ジルコニア焼結体の直線透過率は0%となる。そのため、不透明ジルコニア部の直線透過率は0%以上であることが挙げられる。従って、本実施形態のジルコニア焼結体は、これを試料厚さ1mmとした場合に、直線透過率が50%未満、更には10%未満、また更には5%未満、また更には4%未満、また更には2%未満の領域を含むことをもって、不透明ジルコニア部を備えることを確認してもよい。
不透明ジルコニア部は、正方晶蛍石型構造を有するジルコニアを含むジルコニア焼結体であることが好ましく、正方晶蛍石型構造を有するジルコニアを主相とするジルコニア焼結体であることがより好ましく、正方晶蛍石型構造を有するジルコニアからなるジルコニア焼結体であることが更に好ましい。
不透明ジルコニア部に含まれるジルコニアの平均結晶粒径は0.1μm以上50μm以下であることが好ましい。
不透明ジルコニア部は、透明性を有さないジルコニア焼結体であり、かつ、不透明ジルコニア焼結体であればその組成は任意である。不透明ジルコニア部の好ましい組成として、安定化剤及びチタニアを含有するジルコニア、が挙げられ、着色元素を含み、残部が安定化剤及びチタニアを含有するジルコニアからなることが好ましい。
不透明ジルコニア部が含有する安定化剤として、イットリア、カルシア及びマグネシアの群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、イットリアであることが好ましい。
安定化剤の含有量は、それぞれ、ジルコニアが正方晶蛍石型構造で安定化する量であれることが好ましい。例えば、安定化剤がイットリアである場合、不透明ジルコニア部のイットリア含有量は2mol%以上6mol%以下、好ましくは2mol%以上4mol%以下、より好ましくは2.5mol%以上3.5mol%以下が挙げられる。
機械的強度が高くなる傾向があるため、不透明ジルコニア部のチタニア含有量は1mol%以上7mol%以下、好ましくは1.5mol%以上6mol%以下が挙げられる。
本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部及び不透明ジルコニア部が、安定化剤及びチタニアを含有するジルコニア、を含むことが好ましい。
透明ジルコニア部及び不透明ジルコニア部がそれぞれチタニアを含有する場合、不透明ジルコニア部は、透明ジルコニア部よりチタニア含有量が少ないことが好ましく、さらに、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とのチタニア含有量の差が2mol%以上10mol%以下であることが好ましく、3mol%以上7mol%以下であることがより好ましい。
不透明ジルコニア部は明色ジルコニア焼結体からなる。不透明ジルコニア焼結体は、透明性を有さないジルコニア焼結体であり、明色ジルコニア焼結体は、明るい色調を呈するジルコニア焼結体である。
不透明ジルコニア焼結体は、L表色系における明度L(以下、単に「L」ともいう。)が0以上のジルコニア焼結体であることが挙げられるが、Lは60超、62以上又は65以上であり、また、100以下、98以下又は95以下であることが好ましい。
明色ジルコニア焼結体は、Lが60を超えて100以下のジルコニア焼結体であることが好ましい。Lが60超、62以上又は70以上であり、また、98以下、95以下、80以下又は75以下のジルコニア焼結体であることがより好ましく、65以上95以下であることがさらに好ましい。
不透明ジルコニア部が呈する具体的な色調は任意であり、薄オレンジ色、薄ピンク色、薄黄色、薄赤色、薄紫色、薄緑色、薄黄緑色、薄青緑色、薄青色、薄い灰色又は白色のいずれかの色調を挙げることができる。一方、不透明ジルコニア部の色調は黒色以外であることが好ましい。
より重厚感が高く、審美性が高い色調として青色の色調、汎用的な色調として白色及び薄い灰色の少なくともいずれかの色調、装飾性に富む色調として、薄赤色、薄黄色及び薄オレンジ色の群から選ばれるいずれかの色調を挙げることができる。
明色の色調は薄オレンジ〜薄黄色の色調、薄赤色〜薄紫色の色調、薄緑色〜薄黄緑色の色調、薄青緑色〜薄青色の色調、及び薄い灰色〜白色の色調の群から選ばれるいずれかの色調であることが好ましい。
不透明ジルコニア部が呈する色調をL表色系で示した場合、以下のL及び彩度a(以下、彩度aをそれぞれ「a」及び「b」ともいう。)を有することが例示できる。
:60超、62以上又は65以上、かつ
100以下、98以下又は95以下

:−100以上、−50以上又は0以上、かつ、
100以下、50以下又は30以下、及び、
:−100以上、−50以上又は0以上、かつ、
100以下、50以下又は30以下
なお、不透明ジルコニア部の色調は上述のLであり、なおかつ、L表色系で示した場合にLが10以上、かつ、aが−2以上2以下、かつ、bが−2以上5以下である色調、を含まないことが挙げられる。本実施形態におけるLで表される色調は、還元雰囲気での焼結後に酸化雰囲気で焼結された状態の色調であることが好ましい。
一方、各色調のLの範囲として、以下の範囲が例示できる。
薄オレンジ色〜薄黄色の色調 :
が60を超えて100以下、好ましくは62以上98以下、
が−5以上100以下、好ましくは−5以上40以下、かつ
が5以上100以下、好ましくは5以上30以下
薄赤色/薄ピンク色〜薄紫色の色調 :
が60を超えて100以下、好ましくは62以上98以下、又は、60を超えて80以下
が5以上100以下、好ましくは5以上40以下、又は、10以上35以下、又は、10を超えて25以下、かつ
が−100以上5以下、好ましくは−30以上5以下
薄緑色〜薄黄緑色の色調 :
が60を超えて100以下、好ましくは62以上98以下、
が−100以上−5以下、好ましくは−40以上−5以下、又は、−10以上−5以下、かつ
が−5以上100以下、好ましくは−5以上30以下
薄青緑色〜薄青色の色調 :
が60を超えて100以下、好ましくは62以上98以下、
が−100以上5以下、好ましくは−40以上5以下、かつ
が−100以上−5以下、好ましくは−30以上−5以下
薄い灰色〜白色の色調 :
が60を超えて100以下、好ましくは62以上98以下、
が−5を超え5未満、好ましくは−3以上2以下、かつ
が−5を超え5未満、好ましくは−2以上4以下
表色系の色調はJIS Z 8722に準じた方法により、表面粗さ(Ra)が0.02nm以下である焼結体を測定することで得られる。色調は、一般的な色差計(例えば、SpectrophotometerSD 3000、日本電色工業社製)を使用して測定できる。色調は、背景に白色板を使用した測定(いわゆる、白バック測定)であって、以下の条件で測定することが例示できる。
光源:D65光源
視野角:10°
測定方式:SCE
このような色調を呈させるため、不透明ジルコニア部は、ジルコニアに着色効果を生じさせる元素(以下、「着色元素」ともいい、赤色を呈する着色元素を「赤色元素」など、各色調を呈させる着色元素を、それぞれ、「〜色元素」ともいう。)を含んでいることが好ましい。着色元素の種類及び組合せ、並びに、含有量により不透明ジルコニア部の色調を任意に変えることができる。不透明ジルコニア部が含む着色元素として、例えば、遷移金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、希土類元素の群から選ばれるうち少なくとも1種が挙げられ、アルミニウム、ケイ素、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、カドミウム(Cd)、バナジウム(V)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)及びツリウム(Tm)の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
薄オレンジ色元素として、セリウム及びプラセオジムの少なくともいずれかが例示できる。
薄黄色元素として、ケイ素、鉄、バナジウム及びプラセオジムの群から選ばれる1種以上が例示でき、バナジウム及びプラセオジムの少なくともいずれかが好ましい。
薄赤色元素〜薄ピンク色元素として、アルミニウム、カドミウム、セリウム、ユーロピウム、ホルミウム及びエルビウムの少なくともいずれかが例示でき、セリウム及びエルビウムの少なくともいずれかが好ましい。
薄紫色元素としてコバルト、マンガン及びネオジムの群から選ばれる1種以上が例示でき、ネオジムが好ましい。
薄黄緑色元素として、ケイ素、ニッケル、鉄、バナジウム、プラセオジム及びツリウムの群から選ばれる1種以上が例示でき、バナジウム及びツリウムの少なくともいずれかが好ましい。
薄青緑色元素として、アルミニウム、ニッケル、コバルト、バナジウム、プラセオジム、ネオジム及びツリウムの群から選ばれる1種以上が例示でき、コバルト及びバナジウムの少なくともいずれかが好ましい。
薄青色元素として、アルミニウム、ニッケル、コバルト及びネオジムの群から選ばれる1種以上が例示でき、コバルトが好ましい。
薄灰色元素として、アルミニウムが例示できる。
白色元素として、ケイ素及びアルミニウムの少なくともいずれかが例示でき、アルミニウムが好ましい。
不透明ジルコニア部はハフニア等の不可避不純物を含んでいてもよいが、亜鉛(Zn)及びクロム(Cr)を含まないことが好ましく、亜鉛及びクロムの含有量は、それぞれ、0.1質量%未満、更には0.05質量%以下であることが挙げられ、一般的な組成分析における検出限界以下(例えば、0.005質量%以下)であることが好ましい。亜鉛とクロムの合計含有量は酸化物換算の含有量であり、これは、不透明ジルコニア部の質量に対する、亜鉛を酸化亜鉛(ZnO)及びクロムを酸化クロム(Cr)に換算した合計質量の割合である。
不透明ジルコニア部は、単斜晶率が10%以下であることが好ましく、6.5%以下であることがより好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが特に好ましい。単斜晶率は焼結体の表面のXRDパターンから、以下の式により求められる値である。
単斜晶率(%)=[I(111)+I(11−1)]×100
/[I(111)+I(11−1)+I(111)+I(111)]
上式において、I(111)は単斜晶ジルコニアの(111)面の面積強度、I(11−1)は単斜晶ジルコニアの(11−1)面の面積強度、I(111)は正方晶ジルコニアの(111)面の面積強度、及び、I(111)は立方晶ジルコニアの(111)面の面積強度である。焼結体のXRDパターンは、一般的なXRD装置(例えば、装置名:RINT−UltimaIII、リガク社製)を使用し、以下の条件で測定することが例示できる。
線源: CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード: 連続スキャン
スキャンスピード: 4°/分
ステップ幅: 0.02°
測定範囲: 2θ=26°〜33°
また、得られたXRDパターンを市販の解析ソフトウェア(例えば、PDXL2 (Version 2.6.1.2)、リガク製社製)を使用して解析することで各面のピーク強度を求めることができる。
不透明ジルコニア部に含まれるジルコニアの平均結晶粒径は3.0μm以下であることが好ましく、2.5μm以下であることがより好ましい。特に好ましい平均結晶粒径として0.3μm以上2.5μm以下、更には0.5μm以上1.3μm以下を挙げることができる。
本実施形態のジルコニア焼結体は、公知のジルコニア焼結体が適用できる用途のみならず、携帯電子機器の部材、装飾部材、宝飾品などの各種部材として使用することができる。
次に、本実施形態のジルコニア焼結体の製造方法について説明する。
本実施形態のジルコニア焼結体は、透明ジルコニア部の原料粉末、又は、不透明ジルコニア部の原料粉末のいずれか一方の原料粉末からなる一次成形体と、他方の原料粉末からなる成形体と、が積層した二次成形体を焼結する焼結工程、を含む製造方法により製造することができる。
焼結工程に供する成形体は、透明ジルコニア部の原料粉末(以下、「透明原料」ともいう。)、又は、不透明ジルコニア部の原料粉末(以下、「不透明原料」ともいう。)のいずれか一方の原料粉末からなる一次成形体(以下、単に「一次成形体」ともいう。)と、他方の原料粉末からなる成形体と、が積層した二次成形体(以下、単に「二次成形体」ともいう。)である。
一次成形体は、透明原料からなる成形体(以下、「透明成形体」ともいう。)、又は、不透明原料からなる成形体(以下、「不透明成形体」ともいう。)のいずれかである。二次成形体は、一次成形体と、他方の原料粉末からなる成形体が積層した成形体であり、透明成形体と不透明成形体とからなる成形体である。好ましい実施形態においては、二次成形体は透明成形体と不透明成形体とが接合した状態の成形体である。なお、成形体における「一次」「二次」は積層した状態を示すために便宜的に使用される文言であり、上下や順番を示すものではない。
一次成形体及び二次成形体の形状は、それぞれ、任意であり、焼結による収縮を考慮した上で、目的とする焼結体と同様な形状とすればよい。さらに、二次成形体において、一次成形体が凸形状及び凹形状の少なくともいずれかの構造を有し、他方の原料粉末からなる成形体が該構造を被覆するように積層した構造を有していてもよい。
一次成形体及び二次成形体の製造方法は任意である。成形方法として、最初に、透明原料又は不透明原料の一方の原料粉末を金型に充填し、次に、他方の原料粉末を一方の原料粉末に積層させた後、これを成形することで一次成形体及び二次成形体を同時に得る方法が例示できる。また、最初に、一方の原料粉末を金型に充填及び成形して一次成形体とし、次に、その上の他方の原料粉末を一次成形体に積層させることで成形して二次成形体とする成形方法、一方の原料粉末を金型に充填及び成形して一次成形体とし、次に、一次成形体を二次成形体の金型に配置した上で、他方の原料粉末を一次成形体に積層させることで成形して二次成形体とする成形方法、が例示できる。
一次成形体及び二次成形体の成形方法は、それぞれ、公知の成形方法を適用することができ、一軸加圧成形、冷間静水圧プレス(CIP)処理、鋳込み成形、シート成形及び射出成形の群から選ばれる1以上の成形方法が例示でき、一軸加圧成形、CIP処理及び射出成形の群から選ばれる1以上であることが好ましい。
成形方法が一軸加圧成形である場合、一軸加圧条件として、20MPa以上70MPa以下、が例示でき、成形方法がCIP処理である場合、CIP処理条件として150MPa以上250MPa以下が例示でき、成形方法が射出成形である場合、射出成形条件として50MPa以上150MPa以下、更には70MPa以上130MPa以下が例示でき
る。
透明原料は透明ジルコニア部の前駆体であり、一方、不透明原料は不透明ジルコニア部の前駆体である。透明原料及び不透明原料は、通常、互いに組成が異なる粉末であり、これらの原料粉末は、焼結により、それぞれ、透明ジルコニア焼結体及び不透明ジルコニア焼結体となる組成を有していればよい。
透明原料及び不透明原料は、それぞれ、ジルコニア源、安定化剤源及びチタニア源を含む混合粉末であることが好ましく、それぞれ、安定化剤含有ジルコニア源及びチタニア源を含む混合粉末であることがより好ましい。さらに、透明原料及び不透明原料は、着色元素源の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
ジルコニア源は、ジルコニア又はその前駆体であり、ジルコニアゾルが焼成された状態のジルコニアであることが好ましく、水熱合成法及び加水分解法の少なくともいずれかで得られたジルコニアゾルが焼成された状態のジルコニアであることがより好ましく、加水分解法で得られたジルコニアゾルが焼成された状態のジルコニアであることが更に好ましい。
安定化剤源は、安定化剤又はその前駆体であり、安定化元素を含む酸化物、塩化物及び水酸化物の群から選ばれる1種以上が例示できる。安定化剤が、イットリアである場合は、安定化剤源(イットリア源)はイットリア、塩化イットリウム及び水酸化イットリウムの群から選ばれる1種以上が例示でき、イットリア及び塩化イットリウムの少なくともいずれかが好ましい。安定化剤がカルシアである場合は、安定化剤源(カルシア源)はカルシア、塩化カルシウム及び水酸化カルシウムの群から選ばれる少なくとも1種が例示でき、カルシア及び塩化カルシウムの少なくともいずれかであることが好ましい。安定化剤がマグネシアである場合は、安定化剤源(マグネシア源)はマグネシア、塩化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種が例示でき、マグネシア及び塩化マグネシウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
チタニア源は、チタニア又はその前駆体であり、チタニア、塩化チタン、水酸化チタン及びチタンテトライソプロポキシドの群から選ばれる1種以上が例示でき、チタニア及び塩化チタンの少なくともいずれかであることが好ましく、チタニアであることがより好ましい。より好ましいチタニア源として、純度99.9%以上、BET比表面積10m/g以上100m/g以下、平均結晶子径が30nm以下、及び平均二次粒子径が500nm以下であるチタニア粉末が挙げられ、さらに、硫酸法及び気相熱分解法の少なくともいずれかにより得られるチタニア粉末であることが好ましい。チタニア源は、ジルコニア源及び安定化剤含有ジルコニア源よりもBET比表面積が大きいことが好ましい。
安定化剤含有ジルコニア源は、安定化剤が固溶したジルコニアであり、イットリア含有ジルコニア、カルシア含有ジルコニア及びマグネシア含有ジルコニアの群から選ばれる1種以上が例示でき、イットリア含有ジルコニアであることが好ましい。好ましいイットリア含有ジルコニア源として、純度99.9%以上、BET比表面積5m/g以上20m/g以下、平均結晶子径が10nm以上50nm以下、及び平均二次粒子径が100nm以上500nm以下であるイットリア含有ジルコニア粉末が挙げられ、さらに、水熱合成法及び加水分解法の少なくともいずれかにより得られるイットリア含有ジルコニア粉末であることが好ましい。
着色元素源はジルコニア部を任意の呈色とするために含まれる。着色元素源は、着色元素を含む化合物であり、着色元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、塩化物、硫化物、酢酸塩、硝酸塩及び硫酸塩の群から選ばれる1種以上が例示でき、着色元素の酸化物、水酸化物及びオキシ水酸化物の群から選ばれる1種以上であることが好ましい。着色元素がコバルトである場合、着色元素源(コバルト源)はコバルト(Co)を含む化合物であり、例えば、四酸化三コバルト(Co)、酸化コバルト(III)(Co)、酸化コバルト(II)(CoO)、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)、水酸化コバルト(Co(OH))、硝酸コバルト(Co(NO)、塩化コバルト(CoCl)及び硫酸コバルト(CoSO)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、Co、Co、CoO及びCoOOHの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
着色元素が鉄である場合、着色元素源(鉄源)は鉄(Fe)を含む化合物であり、例えば、酸化鉄(III、II)(Fe)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化鉄(II)(FeO)、オキシ水酸化鉄(FeOOH)、水酸化鉄(FeOH)、硝酸鉄(Fe(NO)、塩化鉄(FeCl)及び硫酸鉄(FeSO)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、Fe、Fe、FeO及びFeOOHの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
着色元素がアルミニウムである場合、着色元素源(アルミニウム源)はアルミニウム(Al)を含む化合物であり、例えば、アルミナ(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、塩化アルミニウム(AlCl)、アルミニウムイソプロポキシド(C21Al)及び硝酸アルミニウム(Al(NO)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、アルミナ及び水酸化アルミニウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
着色元素がニッケルである場合、着色元素源(ニッケル源)はニッケル(Ni)を含む化合物であり、例えば、酸化ニッケル(II)(NiO)、酸化ニッケル(III)(Ni)、炭酸ニッケル(NiCO)、塩化ニッケル(NiCl)、硫酸ニッケル(NiSO)、硫化ニッケル(NiS)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、NiO及びNiの少なくともいずれかであることが好ましい。
着色元素がマンガンである場合、着色元素源(マンガン源)はマンガン(Mn)を含む化合物であり、例えば、酸化マンガン(II)(MnO)、酸化マンガン(III)(MnO)、酸化マンガン(VII)(Mn)、四三酸化マンガン(Mn)、硫酸マンガン(MnSO)、塩化マンガン(MnCl)、硝酸マンガン(Mn(NO)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、MnO、MnO、Mn、Mnの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
着色元素がケイ素である場合、着色元素源(ケイ素源)はケイ素(Si)を含む化合物であり、例えば、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、四塩化ケイ素(SiCl)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、SiO及びSiOの少なくともいずれかであることが好ましい。
着色元素がカドミウムである場合、着色元素源(カドミウム源)はカドミウム(Cd)を含む化合物であり、例えば、酸化カドミウム(CdO)、水酸化カドミウム(Cd(OH))、硫化カドミウム(CdS)、塩化カドミウム(CdCl)、セラン化カドミウム(CdSe)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、CdO及び(Cd(OH))の少なくともいずれかであることが好ましい。
着色元素がバナジウムである場合、着色元素源(バナジウム源)はバナジウム(V)を含む化合物であり、例えば、酸化バナジウム(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO)、酸化バナジウム(III)(V)、酸化バナジウム(V)(V)、炭化バナジウム(VC)、窒化バナジウム(VN)、塩化バナジウム(VCl)、臭化バナジウム(VBr)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、VO、V、Vの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
着色元素がセリウムである場合、着色元素源(セリウム源)はセリウム(Ce)を含む化合物であり、例えば、酸化セリウム(IV)(CeO)、酸化セリウム(III)(Ce)、水酸化セリウム(Ce(OH))、硫化セリウム(Ce)、塩化セリウム(CeCl)、硫酸セリウム(Ce(SO)、硝酸セリウム(Ce(NO)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、CeO、Ce、Ce(OH)の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
着色元素がプラセオジムである場合、着色元素源(プラセオジム源)はプラセオジム(Pr)を含む化合物であり、例えば、酸化プラセオジム(IV)(PrO)、酸化プラセオジム(III)(Pr)、十一酸化六プラセオジム(Pr11)、塩化プラセオジム(PrCl)、硫化プラセオジム(Pr)、硫酸プラセオジム(Pr(SO)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、PrO、Pr、Pr11の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
着色元素がネオジム(Nd)である場合、着色元素源(ネオジム源)はネオジム(Nd)を含む化合物であり、例えば、酸化ネオジム(Nd)、水酸化ネオジム(Nd(OH))、硝酸ネオジム(Nd(NO)、塩化ネオジム(NdCl)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、Nd及びNd(OH)の少なくともいずれかであることが好ましい。
着色元素がユーロピウムである場合、着色元素源(ユーロピウム源)はユーロピウム(Eu)を含む化合物であり、例えば、酸化ユーロピウム(EuO)、酸化ユーロピウム(II)(Eu)、水酸化ユーロピウム(Eu(OH))、硫化ユーロピウム(EuS)、硝酸ユーロピウム(Eu(NO)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、EuO、Eu、Eu(OH)の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
着色元素がホルミウムである場合、着色元素源(ホルミウム源)はホルミウム(Ho)を含む化合物であり、例えば、酸化ホルミウム(III)(Ho)、水酸化ホルミウム(Ho(OH))、硝酸ホルミウム(Ho(NO)、塩化ホルミウム(HoCl)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、Ho及びHo(OH)の少なくともいずれかであることが好ましい。
着色元素がエルビウムである場合、着色元素源(エルビウム源)はエルビウム(Er)を含む化合物であり、例えば、酸化エルビウム(III)(Er)、水酸化エルビウム(Er(OH))、硝酸エルビウム(Er(NO)、塩化エルビウム(ErCl)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、Er及びEr(OH)の少なくともいずれかであることが好ましい。
着色元素がツリウムである場合、着色元素源(ツリウム源)はツリウム(Tm)を含む化合物であり、例えば、酸化ツリウム(III)(Tm)、水酸化ツリウム(Tm(OH))、硝酸ツリウム(Tm(NO)、塩化ツリウム(TmCl)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、Tm及びTm(OH)の少なくともいずれかであることが好ましい。
着色元素源としては、複合酸化物であってもよく、例えば、コバルトアルミネート(CoAlO)が挙げられる。
透明原料の安定化剤の含有量は、焼結によりジルコニアが立方晶蛍石型構造で安定化する量であることが好ましい。例えば、安定化剤がイットリアである場合、イットリア含有量は6mol%以上12mol%以下、好ましくは7mol%以上12mol%以下、より好ましくは8mol%以上11mol%以下、更に好ましくは8mol%以上10mol%以下が挙げられる。
透明原料のチタニアの含有量は、3mol%以上20mol%以下、好ましくは5mol%以上15mol%以下、より好ましくは8mol%以上12mol%以下であることが挙げられる。
不透明原料の安定化剤の含有量は、焼結によりジルコニアが正方晶蛍石型構造で安定化する量であることが好ましい。例えば、安定化剤がイットリアである場合、イットリア含有量は2mol%以上6mol%以下、好ましくは2mol%以上4mol%以下、より好ましくは2.5mol%以上3.5mol%以下が挙げられる。
不透明原料のチタニアの含有量は、1mol%以上7mol%以下、好ましくは1.5mol%以上6mol%以下が挙げられる。
不透明原料の着色元素源の含有量は、目的とする色調に応じて任意の含有量であればよく、0.01質量%以上50質量%以下であることが例示でき、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上10質量%以下である。例えば、着色元素源は、それぞれ、コバルトが不透明原料の質量に対するCo換算した質量として0.1質量%以上5質量%以下であること、鉄が不透明原料の質量に対するFe換算した質量として0.1質量%以上5質量%以下であること、ニッケルが不透明原料の質量に対するNiO換算した質量として0.1質量%以上10質量%以下であること、アルミニウムが不透明原料の質量に対するAl換算した質量として0.1質量%以上40質量%以下であること、が挙げられる。
原料粉末の流動性を改善するため、透明原料及び不透明原料の少なくともいずれかは、有機バインダーを含んでいてもよい。有機バインダーを含む場合、各原料粉末中の有機バインダーの含有量は25容量%以上65容量%以下、更には35容量%以上60容量%以下が例示できる。
有機バインダーは、セラミックス粉末の成形の際に使用される公知のものが使用でき、例えば、アクリル系樹脂、ワックス及び可塑剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものを挙げることができる。本実施形態において、アクリル系樹脂は、アクリル酸エステル残基単位又はメタクリル酸エステル残基単位の少なくともいずれかを含む重合体であることが挙げられる。
透明原料及び不透明原料は、ジルコニア源等の原料が均一に混合した状態であることが好ましい。原料の混合方法は任意の混合方法であり、乾式混合及び湿式混合の少なくともいずれかであればよく、湿式混合であることが好ましい。好ましい湿式混合として、ボールミル及び撹拌ミルの少なくともいずれかによる混合が例示でき、直径1.0mm以上10.0mm以下のジルコニアボールを使用したボールミルによる混合であることが好ましい。着色元素を含有する場合、着色元素源を混合した後、ジルコニア源と着色元素源とを混合することがより好ましい。
原料粉末が有機バインダーを含有する場合、原料粉末と有機バインダーとが均一に混合できれば、その混合方法は任意である。混合方法として加熱混練及び湿式混合のいずれかが例示できる。
透明原料と、不透明原料との線収縮率の差(以下、単に「線収縮率差」ともいう。)が5.0%以下であることが好ましい。通常、透明原料同士又は不透明同士と比べて、透明原料と不透明原料とでは、熱収縮挙動が大きく異なるため、これを一緒に焼結した際に欠陥が生じやすく、歩留まりが著しく低くなりやすい。これに対し、本実施形態においては線収縮率差が5.0%以下であることで、焼結した際の欠陥が生じにくくなるため、歩留まりが高くなりやすい。線収縮率差は4.0%以下であることがより好ましく、3.5%以下であることがさらに好ましい。組成が異なる原料粉末の線収縮率は一致しがたいため、線収縮率差は0%以上、更には0.1%以上であることが挙げられる。
本実施形態における「線収縮率」は、熱収縮挙動の指標のひとつであり、測定試料として幅30mm、厚さ3mm、長さ40mmである直方体形状のサンプル(以下、「直方体サンプル」ともいう。)に焼成処理を施し、焼成処理前後の値から、以下の式を使用して求めることができる。
S=(S+S+S)/3
ここで、
=100×{(Lw2−Lw1)/Lw1
=100×{(LT2−LT1)/LT1
=100×{(LL2−LL1)/LL1
である。また、Sは幅の線収縮率(%)、Lw1は焼成処理前の直方体サンプルの幅(mm)、Lw2は焼成処理後の直方体サンプルの幅(mm)であり、Sは厚さの線収縮率(%)、LT1は焼成処理前の直方体サンプルの厚さ(mm)、LT2は焼成処理後の直方体サンプルの厚さ(mm)であり、Sは長さの線収縮率(%)、LL1は焼成処理前の直方体サンプルの長さ(mm)、LL2は焼成処理後の直方体サンプルの長さ(mm)である。
本実施形態の線収縮率の測定における焼成処理として、昇温速度100℃/h、保持温度1300℃、1400℃又は1500℃のいずれかの温度、保持時間1分、降温速度200℃/hとした焼成プログラムによる、大気中での焼成が挙げられる。
本実施形態においては、保持温度1300℃の焼成処理における線収縮率差(以下、「△SW(1300)」ともいう。)、保持温度1400℃の焼成処理における線収縮率差(以下、「△SW(1400)」ともいう。)、又は、保持温度1500℃の焼成処理における線収縮率差(以下、「△SW(1500)」ともいう。)のいずれかひとつが上述の線収縮率差を満たすことが好ましいが、少なくとも△SW(1300)、△SW(1400)及び△SW(1500)の最大値(以下、「△SW(MAX)」ともいう。)が上述の値を満たすことがより好ましく、少なくとも△SW(1400)が上述の値を満たすことがより好ましい。
好ましい△SW(1300)として0%以上、好ましくは0.1%以上であり、なおかつ、3.0%以下、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下であることが挙げられ、好ましい△SW(1400)として0%以上、好ましくは0.5%以上であり、なおかつ、5.0%以下、好ましくは4.0%以下、より好ましくは3.5%以下であることが挙げられ、さらに、好ましい△SW(1500)として0%以上、好ましくは0.1%以上であり、なおかつ、3.0%以下、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下であることが挙げられる。△SW(1300)と△SW(1500)との差が0%以上1.0%以下、更には0.1%以上0.5%以下であることがより好ましい。
焼結工程では、二次成形体を焼結することで、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが接合したジルコニア焼結体を得ることができる。
二次成形体を焼結する焼結温度は、好ましくは1100℃を超え、より好ましくは1200℃以上、更に好ましくは1250℃以上である。焼結温度は一般的な焼結装置で適用できる温度であればよく、1700℃以下、更には1600℃以下が挙げられる。
焼結工程は、任意の焼結方法を適用することができ、例えば、常圧焼結、マイクロ波焼成及び熱間静水圧プレス処理(以下、「HIP処理」ともいう。)の群から選ばれる1以上が挙げられる。透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部との界面の欠陥発生を抑制するため、焼結工程において焼結は少なくともHIP処理を含むことが好ましく、常圧焼結及びHIP処理であることがより好ましい。なお、本実施形態において「常圧焼結」とは、焼結時に被焼成物に外圧を加えずに焼結する方法である。
好ましい焼結方法として、焼結が1300℃以上1400℃以下で常圧焼結をした後、1450℃以上1550℃以下でHIP処理を行うことが挙げられる。
焼結温度以外の常圧焼結の条件は任意であるが、焼結雰囲気が酸化雰囲気及び大気雰囲気のいずれか、好ましくは大気雰囲気であり、焼結時間が30分以上5時間以下、好ましくは1時間以上3時間以下、が挙げられる。
HIP処理温度以外のHIP処理の条件は任意であるが、圧力媒体として不活性ガス、好ましくは窒素及びアルゴンの少なくともいずれかを使用し、HIP圧力が50MPa以上200MPa以下であり、HIP処理時間は0.5時間以上10時間以下であること、が挙げられる。HIP処理雰囲気は酸化雰囲気以外であることが好ましく、還元雰囲気及び不活性雰囲気の少なくともいずれかがより好ましく、還元雰囲気が更に好ましい。
HIP処理はHIP焼結中の試料を還元性雰囲気下におくことが好ましく、試料を還元性の素材からなる容器に配置することが好ましい。通常、HIP処理装置の発熱体等の構成部材はカーボン等の還元性物質が使用されている。そのため、不活性ガスを圧力媒体として使用しても、HIP処理の雰囲気は不活性雰囲気から弱還元性雰囲気の不安定な雰囲気となりやすい。しかしながら、HIP焼結中の試料を還元性雰囲気下におくことで安定して本実施形態のジルコニア焼結体が得られやすくなる。HIP処理中の雰囲気、特にHIP処理中の試料近傍の雰囲気、の制御方法は任意であるが、還元性の素材からなる容器に試料を配置することが簡便である。HIP処理において試料を配置する容器の材質の選択により、試料近傍の雰囲気を安定させることができる。例えば、アルミナ、ジルコニア又はムライト等の酸化物セラミックス製の容器に試料を配置することで、HIP焼結中に試料を不活性雰囲気下におくことができる。一方、カーボン等、還元性材料からなる容器に試料を配置することで、HIP処理中に試料を還元性雰囲気下におくことができる。
焼結工程では、焼結後、アニール処理することが好ましい。これにより、透明ジルコニア部の直線透過率がより高くなる。アニール処理の条件は任意であるが、例えば、酸素雰囲気下、処理温度850℃以上950℃以下、及び処理時間0.5〜2時間が挙げられる。
本実施形態の製造方法は、ジルコニア焼結体を任意形状に加工する加工工程を含んでいてもよい。加工により、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とを同一の面上に露出させる、表面をより平滑にする、形状の微修正をする等、より適用する用途に合った審美性を付与することができる。
加工方法は任意の方法を使用することができ、例えば、旋盤加工、平面研削、R研削及びNC加工(numerical control machining)の群から選ばれる1種以上が挙げられる。また、光沢をより強くするため、バレル研磨及びR研磨の少なくともいずれか等、の研磨加工を例示することができる。
以下、実施例及び比較例により本開示のジルコニア焼結体を具体的に説明する。しかしながら、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(直線透過率)
厚み1mm、直径25mmの円板状の焼結体を作製し、その表面両面を表面粗さRa=0.02μm以下に鏡面研磨し、これを測定試料とした。直線透過率はヘーズメーター(装置名:NDH5000、日本電色社製)を使用し、入射光をD65光源、スポット径を直径15mmとして測定した。
(色調測定)
色調は、JIS Z 8722に準拠し、D65光源、10°視野角の条件において色差計(装置名:Spectrophotometer SD 3000、日本電色工業社製)を用いて測定を行った。
(二軸曲げ強度)
厚み1mm、直径25mmの円板状の焼結体を作製し、その表面両面を表面粗さRa=0.02μm以下に鏡面研磨し、これを測定試料とした。当該測定試料を使用し、ISO/DIS6872に規定された二軸曲げ強度測定に準じて二軸曲げ強度を測定した。二軸曲げ強度測定において、サポート径を直径22mmとした。サポートには、ボール径9.5mmのジルコニアボールを用いた。
実施例1
(透明原料)
BET比表面積が5.3m/gである10mol%イットリア含有ジルコニア粉末と、BET比表面積が20m/gであるチタニア粉末を、エタノール溶媒中で直径10mmのジルコニア製ボールでボールミル混合した。ボールミル混合は、エタノール溶媒中でチタニア粉末を粉砕し、更にイットリア含有ジルコニア粉末を混合して行った。混合粉末を大気中で乾燥し、10mol%イットリア及び9.1mol%チタニア含有ジルコニア粉末を得、これを透明原料とした。透明原料に含まれるチタニア中のチタン(Ti)は、透明原料の質量に対する、TiO換算したチタンの質量割合として6.8質量%に相当する。
(不透明原料)
アルミナ粉末、コバルトアルミネート粉末、酸化ニッケル粉末及び3mol%イットリア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して、20質量%のアルミナ、0.17質量%のコバルトアルミネート及び0.03質量%の酸化ニッケルを含み、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである混合粉末を得た。該混合粉末を大気中、110℃で乾燥した後、篩分けし、これを不透明原料(薄青緑色原料)とした。
(成形体)
直径25mmであり、凹凸形状を有する円板状の一次金型に透明原料を充填し、圧力25MPaで一軸加圧形することによって、厚み2mm、直径25mmの円板状の透明成形体からなる一次成形体を得た。該一次成形体の凸形状が上面となるように、これを直径が50mmの円板状の二次金型に配置した。一次成形体の上面全体が被覆されるように、不透明原料を充填した。その後、これを圧力50MPaで一軸加圧成形することで透明成形体と不透明成形体とが積層した二次成形体を得た後、これを圧力200MPaでCIP処理した。これによって、厚み3.5mm、直径50mmの円板状の二次成形体を得た。図2は二次成形体(200)の断面を示す模式図であり、二次金型(210)中に、透明成形体からなる一次成形体(201)が配置され、該一次成形体の露出面を不透明成形体(202)が被覆した構造を有する、透明成形体と不透明成形体とが積層した二次成形体を示している。
(ジルコニア焼結体)
得られた二次成形体を、大気中、昇温速度100℃/h、焼結温度1350℃、焼結時間2時間で常圧焼結した後、温度1500℃、圧力150MPa、保持時間1時間でHIP処理した。HIP処理後、大気中、900℃で8時間アニール処理して焼結体を得た。
HIP処理において、圧力媒体として純度99.9%のアルゴンガスを使用し、また、試料は蓋付きカーボン製容器に配置した。
アニール処理後の焼結体の両面に透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが露出するまで、これを切削加工及び研磨した。これにより、厚みが1.0mmであり、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とを備え、該透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが同一の面上に露出した円板状のジルコニア焼結体とし、これを本実施例のジルコニア焼結体とした。
図3は、切削加工及び研磨後の本実施例のジルコニア焼結体の正面(300a)及び断面(300b)の外観を示す模式図である。正面図(300a)で示すように、本実施例のジルコニア焼結体は、不透明ジルコニア部(302)が透明ジルコニア部(301)を囲むように配置された構造であり、なおかつ、透明ジルコニア部(301)と不透明ジルコニア部(302)とが同一の面上に露出した円板状を有している。また、断面図(300b)で示すように、本実施例のジルコニア焼結体は、厚み方向に連続した透明ジルコニア部を備えた構造である。透明ジルコニア部の透明性により、本実施例のジルコニア焼結体を配置した場合、窓材のように機能し、その背景の意匠等が視認され得る。
実施例2
(透明原料)
実施例1と同様な方法で透明原料を得た。
(不透明原料)
アルミナ粉末、コバルトアルミネート粉末、酸化ニッケル粉末及び3mol%イットリア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して、20質量%のアルミナ、0.5質量%のコバルトアルミネート及び0.1質量%の酸化ニッケルを含み、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである混合粉末を得た。該混合粉末を大気中、110℃で乾燥した後、篩分けし、これを不透明原料(薄青色原料)とした。
(成形体)
不透明原料を薄青色原料としたこと以外は実施例1と同様な方法で厚み3.5mm、直径50mmの円板状の二次成形体を得た。
(ジルコニア焼結体)
得られた二次成形体を、実施例1と同様な方法で常圧焼結、HIP処理、及びアニール処理して焼結体を得た。アニール処理後の焼結体を、実施例1と同様に切削加工及び研磨して円板状円板状のジルコニア焼結体とし、これを本実施例のジルコニア焼結体とした。
実施例3
(透明原料)
実施例1と同様な方法で透明原料を得た。
(不透明原料)
酸化ネオジム粉末及び3mol%イットリア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して、2質量%の酸化ネオジムを含み、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである混合粉末を得た。該混合粉末を大気中、110℃で乾燥した後、篩分けし、これを不透明原料(薄紫色原料)とした。
(成形体)
不透明原料を薄紫色原料としたこと以外は実施例1と同様な方法で厚み3.5mm、直径50mmの円板状の二次成形体を得た。
(ジルコニア焼結体)
得られた二次成形体を、実施例1と同様な方法で常圧焼結、HIP処理、及びアニール処理して焼結体を得た。アニール処理後の焼結体を、実施例1と同様に切削加工及び研磨して円板状円板状のジルコニア焼結体とし、これを本実施例のジルコニア焼結体とした。
実施例4
(透明原料)
実施例1と同様な方法で透明原料を得た。
(不透明原料)
アルミナ粉末及び3.2mol%エルビア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して、0.05質量%のアルミナを含み、残部が3.2mol%エルビア含有ジルコニアである混合粉末を得た。該混合粉末を大気中、110℃で乾燥した後、篩分けし、これを不透明原料(薄赤色原料)とした。
(成形体)
不透明原料を薄赤色原料としたこと以外は実施例1と同様な方法で厚み3.5mm、直径50mmの円板状の二次成形体を得た。
(ジルコニア焼結体)
得られた二次成形体を、実施例1と同様な方法で常圧焼結、HIP処理、及びアニール処理して焼結体を得た。アニール処理後の焼結体を、実施例1と同様に切削加工及び研磨して円板状円板状のジルコニア焼結体とし、これを本実施例のジルコニア焼結体とした。
実施例5
不透明原料として、酸化ネオジム粉末及び3mol%イットリア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して得られた、3.0質量%の酸化ネオジムを含み、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである混合粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。
実施例6
不透明原料として、酸化エルビウム粉末及び3mol%イットリア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して得られた、4.0質量%の酸化エルビウムを含み、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである混合粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。
実施例7
不透明原料として、酸化エルビウム粉末及び3mol%イットリア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して得られた、2.0質量%の酸化エルビウムを含み、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである混合粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。
実施例8
不透明原料として、酸化ユーロピウム粉末及び3mol%イットリア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して得られた、3.0質量%の酸化ユーロピウムを含み、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである混合粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。
実施例9
(透明原料)
実施例1と同様な方法で、10mol%イットリア及び9.1mol%チタニア含有ジルコニア粉末を得た。当該混合粉末に含まれるチタニア中のチタン(Ti)は、当該混合粉末の質量に対する、TiO換算したチタンの質量割合として6.8質量%に相当する。当該粉末とアクリル系樹脂を含む有機バインダーとを混合して組成物とし、これを本実施例の透明原料とした。
(不透明原料)
実施例1と同様な方法で、アルミナ粉末、コバルトアルミネート粉末、酸化ニッケル粉末及び3mol%イットリア含有ジルコニア粉末を、エタノール溶媒中でジルコニア製ボールを使用したボールミルで湿式混合して、20質量%のアルミナ、0.17質量%のコバルトアルミネート及び0.03質量%の酸化ニッケルを含み、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである混合粉末を得た。当該混合粉末とアクリル系樹脂を含む有機バインダーとを混合して組成物とし、これを本実施例の不透明原料とした。
(成形体)
透明原料を一次金型に射出成形し、凹凸形状を有し、厚み2mm、直径25mmの円板状の透明成形体からなる一次成形体を得た。得られた一次成形体の凹凸形状が上面となるように直径50mmの円板状の二次金型に配置した。当該一次成形体の上面全体(露出面)が被覆されるように、一次成形体上に不透明原料を射出成形し、厚み3.5mm、直径50mmの円板状を有し、透明成形体と不透明成形体とが積層した二次成形体を得た。
(ジルコニア焼結体)
得られた二次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で常圧焼結、HIP処理、アニール処理及び加工し、本実施例のジルコニア焼結体を得た。
本実施例のジルコニア焼結体は、厚み1mmの円板状の焼結体であり、透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部が同一の面上に露出していた。
実施例1〜実施例8の二軸曲げ強度測定の結果を比較例1の結果と共に下表に示す。
Figure 2021042119
実施例1〜実施例8のジルコニア焼結体は350MPaを超える二軸曲げ強度を有していたのに対し、比較例1のジルコニア接合体は250MPa未満の二軸曲げ強度であった。また、比較例1のジルコニア接合体の破壊源を確認したところ、黒色ジルコニア焼結体及び透光性ジルコニア焼結体が接した部分から破断していることが確認された。
合成例1(透明ジルコニア焼結体)
実施例1と同様な方法で一次成形体を得た。二次成形体の代わりに得られた一次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で透明ジルコニア焼結体を作製した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例1のジルコニア焼結体の透明ジルコニア部と同様な透明性を呈し、その直線透過率が69%であり、平均結晶粒径は25μmであった。
合成例1(薄青緑色ジルコニア焼結体)
透明ジルコニア部の原料粉末の代わりに実施例1で得られた不透明ジルコニア部の原料粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で一次成形体を得た。二次成形体の代わりに得られた一次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で薄青緑色ジルコニア焼結体を作製した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例1のジルコニア焼結体の不透明ジルコニア部と同様な色調を呈し、直線透過率が0%(検出限界以下)であった。また、L表色系におけるLが71.25、aが−6.43、bが−3.6であった。
合成例2(薄青色ジルコニア焼結体)
透明ジルコニア部の原料粉末の代わりに実施例2で得られた不透明ジルコニア部の原料粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で一次成形体を得た。二次成形体の代わりに得られた一次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で薄青色ジルコニア焼結体を作製した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例2のジルコニア焼結体の不透明ジルコニア部と同様な色調を呈し、直線透過率が0%(検出限界以下)であった。また、L表色系におけるLが66.14、aが−9.84、bが−9.15であった。
合成例3(薄紫色ジルコニア焼結体)
透明ジルコニア部の原料粉末の代わりに実施例3で得られた不透明ジルコニア部の原料粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で一次成形体を得た。二次成形体の代わりに得られた一次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で薄紫色ジルコニア焼結体を作製した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例3のジルコニア焼結体の不透明ジルコニア部と同様な色調を呈し、直線透過率が0%(検出限界以下)であった。また、L表色系におけるLが60.31、aが14.17、bが−20.21であった。
合成例4(薄赤色ジルコニア焼結体)
透明ジルコニア部の原料粉末の代わりに実施例4で得られた不透明ジルコニア部の原料粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で一次成形体を得た。二次成形体の代わりに得られた一次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で薄赤色ジルコニア焼結体を作製した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例4のジルコニア焼結体の不透明ジルコニア部と同様な色調を呈し、直線透過率が0%(検出限界以下)であった。また、L表色系におけるLが72.16、aが31.22、bが−5.84であった。
合成例5(薄紫色ジルコニア焼結体)
透明ジルコニア部の原料粉末の代わりに実施例5で得られた不透明ジルコニア部の原料粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で一次成形体を得た。二次成形体の代わりに得られた一次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で薄紫色ジルコニア焼結体を作製した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例5のジルコニア焼結体の不透明ジルコニア部と同様な色調を呈し、直線透過率が0%(検出限界以下)であった。また、L表色系におけるLが60.31、aが16.00、bが−19.31であった。
合成例6(薄ピンクジルコニア焼結体)
透明ジルコニア部の原料粉末の代わりに実施例6で得られた不透明ジルコニア部の原料粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で一次成形体を得た。二次成形体の代わりに得られた一次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で薄赤色ジルコニア焼結体を作製した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例6のジルコニア焼結体の不透明ジルコニア部と同様な色調を呈し、直線透過率が0%(検出限界以下)であった。また、L表色系におけるLが75.57、aが22.87、bが−2.89であった。
合成例7(薄ピンクジルコニア焼結体)
透明ジルコニア部の原料粉末の代わりに実施例7で得られた不透明ジルコニア部の原料粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で一次成形体を得た。二次成形体の代わりに得られた一次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で薄ピンク色ジルコニア焼結体を作製した。
得られたジルコニア焼結体は、実施例7のジルコニア焼結体の不透明ジルコニア部と同様な色調を呈し、直線透過率が0%(検出限界以下)であった。また、L表色系におけるLが79.90、aが16.19、bが0.11であった。
100a,100b,200a,200b :ジルコニア焼結体
101,301 :透明ジルコニア部
102,302 :不透明ジルコニア部
110a,110b,110c :サポート
120 :荷重
200 :二次成形体
201 :一次成形体(透明成形体)
202 :不透明成形体
210 :二次金型
300a,300b :ジルコニア焼結体
301 :透明ジルコニア部
302 :不透明ジルコニア部

Claims (16)

  1. 透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とを備えるジルコニア焼結体であって、二軸曲げ強度が300MPa以上であり、該不透明ジルコニア部が明色ジルコニア焼結体からなることを特徴とするジルコニア焼結体。
  2. 透明ジルコニア部と不透明ジルコニア部とが同一の面上にある請求項1に記載のジルコニア焼結体。
  3. 透明ジルコニア部の直線透過率が50%以上である請求項1又は2に記載のジルコニア焼結体。
  4. 不透明ジルコニア部の直線透過率が5%未満である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  5. 不透明ジルコニア焼結体のL表色系におけるLが60を超えること請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  6. 透明ジルコニア部が、安定化剤及びチタニアを含有するジルコニア、を含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  7. 前記安定化剤が、イットリア、カルシア及びマグネシアの群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のジルコニア焼結体。
  8. 前記透明ジルコニア部の安定化剤がイットリアであり、なおかつ、イットリア含有量が6mol%以上12mol%以下である請求項6又は7に記載のジルコニア焼結体。
  9. 前記不透明ジルコニア部の安定化剤がイットリアであり、なおかつ、イットリア含有量が2mol%以上6mol%未満である請求項6乃至8のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  10. 不透明ジルコニア部が、着色元素を含む請求項1乃至9のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  11. 前記着色元素が、遷移金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、アルミニウム、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウム、希土類元素の群から選ばれるうち少なくとも1種である請求項10に記載のジルコニア焼結体。
  12. 二軸曲げ強度が350MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  13. 透明ジルコニア部の原料粉末、又は、不透明ジルコニア部の原料粉末のいずれか一方の原料粉末からなる一次成形体と、他方の原料粉末からなる成形体と、が積層した二次成形体を焼結する焼結工程、を含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  14. 透明ジルコニア部の原料粉末が、安定化剤含有ジルコニア源及びチタニア源を含む混合粉末である請求項13に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  15. 焼結が少なくともHIP処理を含む請求項13又は14に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  16. 焼結が1300℃以上1400℃以下で常圧焼結をした後、1450℃以上1550℃以下でHIP処理を行う請求項13乃至15のいずれか一項に記載の製造方法。
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