JP2016030290A - プレス成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フランジ部が上反り、又は下反りの湾曲フランジ部を有する成形品について、製品形状を変えることなく、捩れや曲がりといった3次元的なスプリングバックを低減できるプレス成形方法を提供する。【解決手段】本発明に係るプレス成形方法は、溝底部側に凸に湾曲、または、溝底部側に凹に湾曲するフランジを有する成形品を、第1の金型を用いて第1成形工程を行い、第2の金型を用いて第2成形工程を行うものであって、第1溝形状成形部9における縦壁成形部と第1フランジ成形部11の成す角度が、第2溝形状成形部17における縦壁成形部と第2フランジ成形部19の成す角度よりも大きく設定されており、第1成形工程においてフランジ部125に生じた長手方向の線長を変化させる残留ひずみを、第2成形工程において線長を逆に変形させることで残留ひずみを戻すように成形することを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方の縦壁部に、前記溝形状部における溝底部側に凸又は凹となるように湾曲するフランジ部を有する成形品を成形するプレス成形方法に関する。
プレス成形とは、その対象物である材料(ブランク)に金型を押し付けることにより、金型の形状をブランクに転写して加工を行う方法のことである。プレス成形においては、プレス成形品を金型から取り出した後に、そのプレス成形品内の残留応力が弾性回復することによって起こる形状不良、いわゆるスプリングバックが発生し、所望の形状とは異なってしまう問題がしばしば発生する。
スプリングバックがどの程度生じるかについては、主に材料の強度に大きく影響される。昨今では、特に自動車業界を中心に、自動車車体の軽量化の観点から車体部品に高強度な鋼板を使用する傾向が強くなっており、このような材料の高強度化に伴いスプリングバックの生じる程度が大きくなっている。
このため、スプリングバック後の形状を設計形状に近づけるために、生産現場では熟練者によって金型を幾度も修正して、トライアル&エラーを重ねなければならず、その結果、生産期間が長期化してしまう。
したがって、スプリングバックを効果的に低減できる方法を開発することは、自動車の開発期間やコストを削減する上でもますます重要な課題であると言える。
スプリングバックの低減には、その発生原因である応力のコントロールが必要不可欠である。
応力をコントロールしてスプリングバックを低減するものとして、例えば特許文献1に記載の「薄鋼板のプレス成形用金型装置」がある。特許文献1は、ハット断面部品をフォーム成形する際に、フランジ部に凸ビードを設けた金型でプレス成形する方法である。この方法は、下死点直前でブランクが凸ビードにロックされてブランクの縦壁部に引張変形が付与され、縦壁部の反りの原因であった板厚方向の応力差が解消されるというものである。
また、他の例として、パンチの外周に設置されたブランクホルダに窪みを設けた金型で成形する方法が特許文献2に提案されている。この方法は、成形中、ブランクホルダの窪みにブランク端部が入り込み、さらに成形が進むとブランク端部が窪み内壁に引っ掛かって拘束された状態となる。このため、ブランクが外へ流出しなくなるので、下死点直前でブランクの縦壁部に面内圧縮応力を付与することができ、板厚方向の応力差が解消されるというものである。
さらに、他の例として、特許文献3において、「縦壁部とフランジ部との交差部と湾曲部の曲率中心とを結ぶ水平線を含み高強度鋼板と垂直な平面内で、前記水平線に対するフランジ部の角度がαになるまでフランジ部を交差部で折り曲げ加工する第1成形工程と、前記平面内で、前記水平線に対するフランジ部の角度がαになるまで、前記第1成形工程後のフランジ部を交差部で追加折り曲げ加工する第2成形工程とを有し、α1−α2で表される追加曲げ角βを所定の範囲にする」(特許文献3の段落[0016]〜[0017]参照)プレス成形方法が提案されている。
特許第4090028号公報 特開2010−99700号公報 特許第5382281号公報
特許文献1の方法では、成形された部品のフランジ部にビード形状が残ってしまうため、組立工程において他部品との溶接時に不具合が生じる可能性がある。そのため、ビード形状が残存する部分をカットするか、あるいは製品内にビード形状が入らないようにブランク長さを長くとる必要がある。
また、特許文献1、2は、スプリングバックによって特定の断面に生じる形状変化のみに対する対策である。しかし、実際の部品では捩れや曲がりといった部品全体に生ずる3次元的なスプリングバックが問題となる場合も多く、特許文献1、2はこのような問題に対する充分な対策とはなり得ない。
他方、特許文献3のプレス成形方法では、成形部品にビード形状が残らず、また成形部品全体の捩れや反りを低減できるという効果が期待される。
しかしながら、特許文献3に開示されたものは、第1成形工程において「縦壁部とフランジ部との交差部と湾曲部の曲率中心とを結ぶ水平線を含み高強度鋼板と垂直な平面内で、前記水平線に対するフランジ部の角度がαになるまでフランジ部を交差部で折り曲げ加工する」としており、成形部品は特許文献3の図1、図3等に示されるような水平面内で湾曲する部品に限定されたものである。
そのため、本願発明が対象としている「溝形状部を有し、該溝形状部を形成する縦壁部の少なくとも一方の縦壁部に、前記溝形状部における溝底部側に凸又は凹となるように湾曲する、いわゆる上反り、下反りの湾曲フランジ部を有する成形品」については適用することができない。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、上記のようなフランジ部が上反り、又は下反りの湾曲フランジ部を有する成形品について、製品形状を変えることなく、捩れや曲がりといった3次元的なスプリングバックを低減できるプレス成形方法を提供することを目的としている。
発明者は上記課題を解決するため、図33および図34に示すような成形品(上凸成形品121、下凸成形品127)を成形した際に生じるスプリングバックについて、その発生メカニズム等について検討した。
上凸成形品121、下凸成形品127は、いずれも溝底部123aと縦壁部123bからなる溝形状部123、及び面外に湾曲するフランジ部125を有している。なお、面外に湾曲するフランジ部125は、図33に示す上凸成形品121の場合には、フランジ部125が溝底部123a側に凸(上凸)となるように湾曲する形状となり、図34に示す下凸成形品127の場合には、フランジ部125が溝底部123a側に凹(下凸)となるように湾曲する形状となる。
従来、上凸成形品121をフォーム成形する場合、例えば図35に示すダイ143とパンチ145を用い、また下凸成形品127をフォーム成形する場合には、例えば図36に示すダイ149とパンチ151を用い、図37に示すようにブランク21を挟み込むことによって成形していた。
図38は上凸成形品121を従来方法で成形した場合のブランク端(フランジ端)の線長の変化を説明する説明図であり、図39は下凸成形品127を成形する場合についての同様の説明図である。
図38(a)及び図39(a)は、それぞれ成形後(下死点)での上凸成形品121及び下凸成形品127の断面図であり、図38(b)及び図39(b)はブランク21(図37参照)を側面視したときの成形前後のブランク端(フランジ端)の線長変化を説明する図である。
なお、図38(b)及び図39(b)において、成形前におけるブランクの線長を細線で示し、成形後におけるフランジ端の線長を太線で示している。また、図38及び図39において、黒点Oは上凸成形品121及び下凸成形品127の湾曲中心である。
上凸成形品121の場合、図38に示すように、成形後のフランジ端の曲率半径は成形前のブランクに比べて小さくなり軸線方向の線長が短くなる(A0B0→A1B1)。つまり、フランジ部125は縮みフランジ変形となり、下死点では長手方向に圧縮応力が残存する。
一方、下凸成形品127の場合、図39に示すように、成形後のフランジ端の曲率半径は、成形前のブランクに比べて大きくなり軸線方向の線長が長くなる(C0D0→C1D1)。つまり、フランジ部125は伸びフランジ変形となり下死点では長手方向に引張応力が残存する。
フランジ部125の応力は離型時に解放され、上凸成形品121のフランジ部125では伸び変形、下凸成形品127のフランジ部125では縮み変形となる。その結果、上凸成形品121の場合(図40(a)参照)、下凸成形品127の場合(図40(b)参照)のいずれの場合も湾曲曲率が小さくなる(曲率半径が大きくなる)ようなハネ変形が生ずる。
なお、図40は、離型後の上凸成形品121及び下凸成形品127を3次元形状測定器で測定し、その後、CADソフトウェア上で測定形状の長手方向中央の断面が、目標とする製品形状の同断面と一致するように位置合わせを行って図示したものであり、実線が目標製品形状を示し、点線が測定形状を示している。
また、フランジ部が片側のみにある製品形状、縦壁の左右両側の角度が異なる製品形状、縦壁の左右の高さが異なる製品形状、左右のフランジ幅が異なる製品形状などを成形する場合などでは、離型時の応力開放によって捩れが生じてしまう(図16参照)。
以上のように、面外に湾曲したフランジ部を有する成形品ではフランジ部における残留応力が離型時に解放され、これによって成形品全体にハネや捩れを与えるスプリングバックを生じさせている。このことから、このような成形品では、フランジ部の残留応力の低減が成形品のスプリングバック低減に非常に重要であると言える。
そこで、発明者らは、フランジ部の残留応力を低減する方法について検討し、プレス成形過程において、ブランク材を製品形状に成形する際にフランジ部に生ずる線長変化よりも大きな変化を与え、その後にフランジ部の線長を製品形状に戻すような成形をすることが有効であるとの知見を得た。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方の縦壁部に、前記溝形状部における溝底部側に凸となるように湾曲するフランジ部を有する成形品を成形するプレス成形方法において、
前記溝形状部を成形する第1溝形状成形部と前記フランジ部を成形する第1フランジ成形部を有する第1の金型を用いて第1成形工程を行い、傾斜角度が前記第1溝形状成形部と同じ第2溝形状成形部と第2フランジ成形部を有する第2の金型を用いて第2成形工程を行うものであって、
前記第1の金型の前記第1溝形状成形部における縦壁成形部と前記第1フランジ成形部の交差部を通り該交差部における前記フランジ部の曲率と同一曲率を有する湾曲面と前記第1フランジ成形部の成す角度α1と、前記第2の金型の前記第2溝形状成形部における前記縦壁成形部と前記第2フランジ成形部の交差部を通り該交差部における前記フランジ部の曲率と同一曲率を有する湾曲面と前記第2フランジ成形部の成す角度α2との関係が、前記湾曲面を基準として該湾曲面から前記溝底部側を負、その反対側を正としたときに、α2<α1に設定されており、
前記第1成形工程にて生じた前記フランジ部の長手方向の線長を縮める圧縮ひずみを、前記第2成形工程において前記線長を伸ばす変形を与えることで戻すように成形することを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第2の金型の前記第2溝形状成形部における前記縦壁成形部と前記第2フランジ成形部の交差部の曲率半径をρ0[mm]、前記第2成形工程で成形されるフランジ幅をL[mm]、スプリングバックを変化させる効果が得られ、且つしわを抑制できるひずみの戻し量Δε(Δε>0)の上限値をΔεmaxとすると、前記α1と前記α2が下式(1)を満たすことを特徴とするものである。
Figure 2016030290
(3)また、本発明に係るプレス成形方法は、溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方の縦壁部に、前記溝形状部における溝底部側に凹となるように湾曲するフランジ部を有する成形品を成形するプレス成形方法において、
前記溝形状部を成形する第1溝形状成形部と前記フランジ部を成形する第1フランジ成形部を有する第1の金型を用いて第1成形工程を行い、傾斜角度が前記第1溝形状成形部と同じ第2溝形状成形部と第2フランジ成形部を有する第2の金型を用いて第2成形工程を行うものであって、
前記第1の金型の前記第1溝形状成形部における縦壁成形部と前記第1フランジ成形部の交差部を通り該交差部における前記フランジ部の曲率と同一曲率を有する湾曲面と前記第1フランジ成形部の成す角度α1と、前記第2の金型の前記第2溝形状成形部における前記縦壁成形部と前記第2フランジ成形部の交差部を通り該交差部における前記フランジ部の曲率と同一曲率を有する湾曲面と前記第2フランジ成形部の成す角度α2との関係が、前記湾曲面を基準として該湾曲面から前記溝底部側を負、その反対側を正としたときに、α2<α1に設定されており、
前記第1成形工程にて生じた前記フランジ部の長手方向の線長を伸ばす引張りひずみを、前記第2成形工程において前記線長を縮める変形を与えることで戻すように成形することを特徴とするものである。
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記第2の金型の前記第2溝形状成形部における前記縦壁成形部と前記第2フランジ成形部の交差部の曲率半径をρ0[mm]、前記第2成形工程で成形されるフランジ幅をL[mm]、スプリングバックを変化させる効果が得られ、且つしわを抑制できるひずみの戻し量Δεの上限値をΔεmaxとすると、前記α1と前記α2が下式(2)を満たすことを特徴とするものである。
Figure 2016030290
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記第1成形工程をフォーム成形で行うことを特徴とするものである。
(6)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記第1成形工程をドロー成形で行うことを特徴とするものである。
(7)また、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のものにおいて、前記溝形状部における溝底部にパンチ底部を有する成形品を成形する場合において、前記第1成形工程はブランクにおける前記パンチ底部に相当する部位をパッドで押えてプレス成形を行うことを特徴とするものである。
(8)また、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のものにおいて、前記一対の縦壁部のいずれか一方のフランジ部に前記第1成形工程と前記第2成形工程を適用することを特徴とするものである。
(9)また、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のものにおいて、前記一対の縦壁部の両方のフランジ部に前記第1成形工程と前記第2成形工程を適用することを特徴とするものである。
(10)また、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、湾曲する前記フランジ部が前記成形品の軸方向全長に亘って設けられている場合において、
前記第1の金型と前記第2の金型における前記α1と前記α2の関係が、前記第1の金型と前記第2の金型における金型軸方向の一部においてα2<α1に設定されていることを特徴とするものである。
(11)また、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、湾曲する前記フランジ部が前記成形品の軸方向全長に亘って設けられている場合において、
前記第1の金型と前記第2の金型における前記α1と前記α2の関係が、前記第1の金型と前記第2の金型の全長に亘ってα2<α1に設定されていることを特徴とするものである。
(12)また、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、湾曲する前記フランジ部が前記成形品の軸方向の一部に設けられている場合において、
前記第1の金型と前記第2の金型における前記α1と前記α2の関係が、前記第1の金型と前記第2の金型における湾曲する前記フランジ部を成形する部位のみにα2<α1に設定されていることを特徴とするものである。
(13)また、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、湾曲する前記フランジ部が前記成形品の軸方向の一部に設けられている場合において、
前記第1の金型と前記第2の金型における前記α1と前記α2の関係が、前記第1の金型と前記第2の金型の全長に亘ってα2<α1に設定されていることを特徴とするものである。
本発明においては、第1溝形状成形部における縦壁成形部と第1フランジ成形部の成す角度が、第2溝形状成形部における縦壁成形部と第2フランジ成形部の成す角度よりも大きく設定されており、第1成形工程においてフランジ部に生じた長手方向の線長を縮める圧縮ひずみを、第2成形工程において線長を伸ばす変形を与えることで圧縮ひずみを戻すように成形することにより、製品形状を変えることなく、捩れや曲がりといった3次元的なスプリングバックを低減できる。
本発明の実施の形態1に係るプレス成形方法(上凸形状、フォーム成形)の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る第1の金型(上凸形状、フォーム成形)の斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る第2の金型(上凸形状、フォーム成形)の斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るプレス成形方法のメカニズムの説明図である(その1)。 本発明の実施の形態1に係るプレス成形方法のメカニズムの説明図である(その2)。 本発明の実施の形態1に係るプレス成形方法の他の態様に関するメカニズムの説明図である(その3)。 本発明の実施の形態1に係るプレス成形方法に対する比較例に関するメカニズムの説明図である(その4)。 本発明の実施の形態2に係る第1の金型の斜視図(下凸形状、フォーム成形)である。 本発明の実施の形態2に係る第2の金型の斜視図(下凸形状、フォーム成形)である。 本発明の実施の形態2に係るプレス成形方法のメカニズムの説明図である(その1)。 本発明の実施の形態2に係るプレス成形方法のメカニズムの説明図である(その2)。 本発明の実施の形態2に係るプレス成形方法の他の態様に関するメカニズムの説明図である(その3)。 本発明の実施の形態2に係るプレス成形方法の比較例に関するメカニズムの説明図である(その4)。 本発明の実施の形態3に係るプレス成形方法(上凸形状、フォーム成形、パッド有り)の説明図である。 本発明の実施の形態4の成形対象である成形品(フランジ幅の異なるもの)の説明図である。 本発明の実施の形態4で解決しようとする課題の説明図である。 本発明の実施の形態4に係る第1の金型(上凸形状、フォーム成形、片側のみ適用)の斜視図である。 本発明の実施の形態4に係るプレス成形方法(上凸形状、フォーム成形、片側のみ適用)の説明図である。 本発明の実施の形態5に係る第1の金型(上凸形状、ドロー成形)の斜視図である。 本発明の実施の形態5に係るプレス成形方法(上凸形状、ドロー成形)の説明図である。 本発明を適用可能な製品形状の例である(その1)。 本発明を適用可能な製品形状の例である(その2)。 本発明の実施例1に係る成形対象の成形品(上凸形状)の説明図である。 本発明の実施例2に係る成形対象の成形品(下凸形状)の説明図である。 本発明の実施例3に係るプレス成形方法(上凸形状、ドロー成形、パッド付き)の説明図である。 本発明の実施例3に係る従来のプレス金型(上凸形状、ドロー成形)の説明図である。 本発明の実施例3に係る従来のプレス成形方法(上凸形状、ドロー成形)の説明図である。 本発明の実施例4に係る第1の金型(下凸形状、ドロー成形)の斜視図である。 本発明の実施例4に係る従来のプレス金型(下凸形状、ドロー成形)の説明図である。 本発明の実施例5に係る成形対象の成形品(フランジ部が傾斜しているもの)の説明図である。 本発明の実施例6に係る成形対象の成形品(フランジ幅の異なるもの)の説明図である。 本発明の実施例7に係る第1の金型(上凸形状、ドロー成形、中央部のみ適用)の斜視図である。 本発明の成形対象である上凸成形品の斜視図である。 本発明の成形対象である下凸成形品の斜視図である。 本発明の解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス金型(上凸形状)の斜視図である。 本発明の解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス金型(下凸形状)の斜視図である。 本発明の解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形方法の説明図である。 本発明の解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形方法(上凸形状)によるスプリングバックの発生メカニズムの説明図である。 本発明の解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形方法(下凸形状)によるスプリングバックの発生メカニズムの説明図である。 本発明の解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形方法(上凸形状及び下凸形状)によるスプリングバックの説明図である。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法について説明する前に、本発明方法が成形対象としている成形品について、図33に基づいて説明する。
本発明方法が対象としている成形品は、図33に示すように、長手方向に延びる溝形状部123と、溝形状部123の両側にフランジ部125を有し、軸方向の中央部が溝底部123a側に凸(上凸)となるように湾曲した上凸成形品121である。
なお、溝形状部123は、溝底部123aと、溝底部123aの両側に設けられた一対の縦壁部123bとで形成されている。
上記のような上凸成形品121を成形するに際して、本発明の一実施例の形態に係るプレス成形方法は、製品形状に成形する場合よりも大きな線長変化がフランジ部に生じる中間形状を有する中間品を成形する第1成形工程と、第1成形工程で成形された中間品を製品形状である上凸成形品121に成形する第2成形工程を備えている。
上記の第1工程と第2工程はそれぞれ個別の金型(第1の金型1及び第2の金型3)を用いてプレス成形を行うので、まず第1の金型1及び第2の金型3について図1〜図3に基づいて説明する。
〔金型の説明〕
<第1の金型>
第1の金型1は、第1成形工程に用いる金型であり、図2に示す通り第1ダイ5と第1パンチ7を備えている。
第1ダイ5は、上凸成形品121(図33参照)の溝形状部123を成形する第1ダイ側溝形状成形部5aと、第1ダイ側溝形状成形部5aの両側に形成されて、上凸成形品121のフランジ部125を成形する第1ダイ側フランジ成形部5bとを備えている。
第1パンチ7は、第1ダイ側溝形状成形部5aと協働して上凸成形品121の溝形状部123を形成する第1パンチ側溝形状成形部7aと、第1ダイ側フランジ成形部5bと協働して上凸成形品121のフランジ部125を成形する第1パンチ側フランジ成形部7bとを備えている。
第1ダイ側溝形状成形部5aと第1パンチ側溝形状成形部7aとが第1の金型1の第1溝形状成形部9であり、第1ダイ側フランジ成形部5bと第1パンチ側フランジ成形部7bとが第1の金型1の第1フランジ成形部11である。
第1溝形状成形部9における縦壁成形部と第1フランジ成形部11の交差部10を通り、交差部10におけるフランジ部125の曲率と同一曲率を有する湾曲面12と、第1フランジ成形部11の成す角度(以下、「第1傾斜角度α1」という)は所定の大きさに設定されている(図2中のA−A矢視断面図参照)。
<第2の金型>
第2の金型3は、第2成形工程に用いる金型であり、図3に示す通り第2ダイ13と第2パンチ15を備えている。
第2ダイ13は、第1ダイ側溝形状成形部5aと同形状の第2ダイ側溝形状成形部13aと、第2ダイ側溝形状成形部13aの両側に形成されて、フランジ部125を製品形状に成形する第2ダイ側フランジ成形部13bとを備えている。
第2パンチ15は、第1パンチ側溝形状成形部7aと同形状の第2パンチ側溝形状成形部15aと、第2ダイ側フランジ成形部13bと協働してフランジ部125を製品形状に成形する第2パンチ側フランジ成形部15bとを備えている。
第2ダイ側溝形状成形部13aと第2パンチ側溝形状成形部15aとが第2の金型3の第2溝形状成形部17であり、第2ダイ側フランジ成形部13bと第2パンチ側フランジ成形部15bとが第2の金型3の第2フランジ成形部19である。
第2溝形状成形部17における縦壁成形部と第2フランジ成形部19の交差部18を通り、交差部18におけるフランジ部125の曲率と同一曲率を有する湾曲面20と第2フランジ成形部19の成す角度(以下、「第2傾斜角度α2」という)は所定の大きさに設定されている(図3中のB−B矢視断面図参照)。
上述したように、第1溝形状成形部9と第2溝形状成形部17は同形状であるので、第1金型における湾曲面12と、第2金型における湾曲面20は同一の湾曲面である。
なお、以下の説明において、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2は、上述した湾曲面(湾曲面12及び湾曲面20)を基準として、該湾曲面から溝底部側を負、その反対側を正とする。
第2傾斜角度α2は、第1傾斜角度α1よりも小さくなるように(第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2)設定されている。このように設定することで、第1の金型1によって大きな線長変化がフランジ部に生じる中間形状を成形し、第2の金型3によって中間形状を製品形状である上凸成形品121に成形することができる。なお、この点については、以下において詳細に説明する。
〔プレス成形方法〕
以上のように構成された第1の金型1及び第2の金型3を用いた本実施の形態に係るプレス成形方法を、第1の金型1及び第2の金型3の動作と共に図1に基づいて説明する。
<第1成形工程>
第1成形工程は、第1の金型1を用いて、上凸成形品121をブランク21から中間形状の中間品にプレス成形する工程である。
まず、図1(a)に示すように第1パンチ7にブランク21を載置しプレス成形する(図1(b)参照)。こうすることで、溝形状部123が第1溝形状成形部9によって製品形状と同形状に成形されると共に、フランジ部125の傾斜角度が第1傾斜角度α1に成形される。
<第2成形工程>
第2成形工程は、第2の金型3を用いて、中間形状から製品形状にプレス成形する工程である。
図1(c)に示すように、第2パンチ15に中間形状の上凸成形品121を載置しプレス成形する(図1(d)参照)。こうすることで、溝形状部123が第2溝形状成形部17で挟持されると共に、フランジ部125の傾斜角度が第2フランジ成形部19によって傾斜角度が第2傾斜角度α2と同一に成形される。
以上のような本発明方法のメカニズムについて、成形中のフランジ部125の端部の線長変化に着目して、図4及び図5に基づいて説明する。
図4(a)は、第1成形工程の下死点(第1下死点)及び第2成形工程の下死点(第2下死点)での上凸成形品121の断面図であり、図4(b)はブランク21(上凸成形品121)を側面視したときのブランク端(フランジ端)の線長変化を示す図である。
図4(a)において、第1下死点におけるフランジ部125を破線で示し、第2下死点におけるフランジ部125を実線で示しており、第1下死点におけるフランジ部125は片側のみ図示している。
図4(a)において、第1下死点におけるフランジ部125の傾斜角度は第1傾斜角度α1になっており、第2下死点におけるフランジ部125の傾斜角度は第2傾斜角度α2になっている。
図4(a)において、縦壁部123bとフランジ部125との交差部の曲率中心をO0、曲率半径をρ0(mm)、第1下死点でのフランジ端の曲率中心をO1、曲率半径をρ1(mm)、第2下死点でのフランジ端の曲率中心をO2、曲率半径をρ2(mm)、製品形状のフランジ幅をL(mm)とする。
図4(b)において、成形前における線長を細実線、第1下死点における線長を破線、第2下死点における線長を太実線でそれぞれ示している。
図5(a)は、成形中にフランジ部125に生ずる応力とひずみの関係を示した応力−ひずみ線図であり、縦軸が応力σを表し、横軸がひずみεを表している。図5(a)において、応力値が正の場合は引張応力であることを意味し、負の場合は圧縮応力であることを意味している。
図5(b)は図5(a)のグラフの傾き(ひずみの変化量と該ひずみの変化量に対する応力との勾配dσ/dε)を表すグラフであり、横軸がひずみεを表し、縦軸がひずみに対する応力の勾配dσ/dεを表している。
成形中のフランジ部125の線長変化の態様は、第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2の場合と、第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2の場合とで異なるため、まず第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2の場合について説明する。
第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2の場合、フランジ部125は第1成形工程において、図4(b)に示すように、長手方向の線長が短くなり(A0B0→A1B1)、これによって図5(a)に示すように圧縮ひずみを受ける。
その後、第2成形工程において、図4(b)に示すようにフランジ部125の長手方向の線長は僅かに長くなり(A1B1→A2B2)、これによって図5(a)に示すように第1成形工程で受けた圧縮ひずみが引張側へ(第1下死点からの)ひずみ戻し量Δεだけ戻されて、第1成形工程で付与された圧縮応力が大きく低減される。この例では、図5(a)に示すように、圧縮応力から引張応力に転じている。
このように、本発明は、僅かなひずみの戻りに対して応力が敏感に大きく変化する特徴を利用したものであり、上凸成形品121に対して、第1成形工程において、一旦、製品形状よりもフランジ線長が短くなる成形を行い、その後、第2成形工程において僅かに線長を長くする成形を行う。
これによりフランジ部125において、第1成形工程で生じた長手方向の線長を縮める圧縮ひずみが、線長を僅かに伸ばす変形を与える第2成形工程によって戻されることになり、これに伴い圧縮応力が低減される。結果として、残留応力が低減され、これによってスプリングバックが低減される。
上述したひずみ戻し量Δεは、第1下死点でのフランジ端の曲率半径ρ1及び第2下死点でのフランジ端の曲率半径ρ2を下式(3)及び式(4)で表す(図4(a)参照)と共に、曲率半径の変化量Δρ(=ρ2−ρ1)を用いると、下式(5)で表される。
Figure 2016030290
Figure 2016030290
なお、式(5)を第1傾斜角度α1で整理すると下式(6)で表される。
Figure 2016030290
上記は、図4(a)に示すように第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2がいずれも正である場合について説明したが、図6(a)に示すように第1傾斜角度α1が正で第2傾斜角度α2が負の場合や、いずれも負である場合であっても第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2であればフランジ部125の線長変化は上述したとおりであり、フランジ部125の圧縮応力の低減効果が得られる。
また、第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2であれば、第1傾斜角度α1=0°であってもよく、第2傾斜角度α2=0°(製品形状のフランジ部125が傾斜なし)であってもよい。
一方、第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2の場合、図7(b)に示すように、第1成形工程ではフランジ部125の長手方向の線長は短くなり(A0B0→A1B1)、圧縮ひずみを受ける。その後、第2成形工程でフランジ部125が製品形状に成形される際、フランジ部125の長手方向の線長はさらに短くなる(A1B1→A2B2)。よって、ひずみの戻りはなく圧縮応力の低減効果は得られず、スプリングバックが低減されない。
なお、図7(a)では第1傾斜角度α1が負で第2傾斜角度α2が正である場合について説明したが、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2の正負に関わらず、例えば第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2がいずれも正である場合であっても、第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2であれば同様である。
次に、第1傾斜角度α1の好適な範囲について勾配dσ/dεを示す図5(b)に基づいて検討したので、以下これについて説明する。
図5(b)に示すように、第1下死点からのひずみ戻し量Δεが小さい領域では勾配dσ/dεは大きいが、ひずみ戻し量Δεが大きい領域では勾配dσ/dεは小さくなっている。このことから、ひずみ戻し量Δεが小さい領域ではひずみεの変化量に対する応力σの変化量は大きく、ひずみ戻し量Δεが大きい領域ではひずみεの変化量に対する応力σの変化量が小さくなることが分かる。
ひずみ戻し量Δεが大きい領域ではひずみεを変化させてもその変化量に対する応力σの変化量は小さくスプリングバックを変化させる効果は小さくなる。
他方、第1傾斜角度α1を大きくすると、製品形状に戻すための第2傾斜角度α2も大きくなってひずみ戻し量Δεが大きい場合、第1成形工程での圧縮ひずみ量が増加することから、フランジ部125にしわが発生してしまう場合がある。
したがって、スプリングバックを変化させるのに効果的で、且つしわを抑制できるΔεには上限値が存在し、この上限値ΔεmaxとするとΔεの範囲は下式(7)で表される。
Figure 2016030290
式(7)を式(6)に代入して第1傾斜角度α1について整理した上、フランジ部125の圧縮応力の低減効果を得るためには第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2であることを考慮すると、第1傾斜角度α1の範囲は下式(1)で表される。
Figure 2016030290
Δεmaxとしては、例えば、実験的にしわ発生限界を求めると、ブランク21のヤング率をE[MPa]、ブランク21の引張強さをσTS[MPa]とすると4σTS/Eで与えられる。
以上のように、本実施の形態では、上凸成形品121を成形するに際して、第1成形工程において、一旦、製品形状よりもフランジ線長が短くなる成形を行い、第2成形工程において僅かに線長を長くする成形を行うことにより、フランジ部125において第1成形工程で生じたひずみが第2成形工程で僅かに戻されることになり、これに伴い圧縮応力が低減されることで結果として残留応力が低減され、これによってスプリングバックが低減される。
また、第1傾斜角度α1を式(1)の範囲内で調整することで、しわを発生させることなく、スプリングバック量をコントロールできる。
[実施の形態2]
実施の形態1では軸方向の中央部が溝底部123a側に凸(上凸)形状である上凸成形品121(図33参照)のプレス成形について説明したが、本実施の形態では図34に示すような軸方向の中央部が溝底部123a側に凹(下凸)形状である下凸成形品127のプレス成形について説明する。
下凸成形品127は、第1ダイ25と第1パンチ27からなる第1の金型23(図8参照)及び、第2ダイ31と第2パンチ33からなる第2の金型29(図9参照)を用いてプレス成形される。第1の金型23及び第2の金型29は、実施の形態1の第1の金型1及び第2の金型3(図2及び図3参照)と、湾曲の方向が異なること以外は同様であるので、図8及び図9において、図2及び図3と同様のものについては同様の符号を付している。
下凸成形品127は、実施の形態1の上凸成形品121の場合とフランジ部125の線長変化の態様が異なるので、この点について図10及び図11に基づいて説明する。
成形中のフランジ部125の線長の変形は、第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2の場合と、第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2の場合とで異なるため、まず第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2の場合について説明する。
第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2の場合、図10(b)に示すように、第1成形工程において、フランジ部125の長手方向の線長は長くなり(C0D0→C1D1)、これによって図11(a)に示すように引張ひずみが生ずる。
第2成形工程においては、図10(b)に示すように、フランジ部125の長手方向の線長は僅かに短くなる(C1D1→C2D2)、これによって図11(a)に示すように第1成形工程で生じた引張ひずみが圧縮側へ戻されて引張応力が低減される。図11(a)に示す例では、引張応力から圧縮応力に転じている。
第1下死点でのフランジ端の曲率半径ρ1及び第2下死点でのフランジ端の曲率半径ρ2を第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度αを用いて表すと、下式(8)及び式(9)のようになる。
Figure 2016030290
第2成形工程でフランジ部125に付与されるひずみ戻し量Δεは、曲率半径の変化量Δρ(=ρ1−ρ2)を用いて、下式(10)で表される。
Figure 2016030290
よって、第1傾斜角度α1は下式(11)で表される。
Figure 2016030290
なお、上記は、図10に示すように第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2がいずれも正である場合について説明したが、図12に示すように第1傾斜角度α1が正で第2傾斜角度α2が負の場合や、いずれも負である場合であっても、第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2であればフランジ部125の線長の変形態様は同様であり、フランジ部125の引張応力の低減効果が得られる。
また、実施の形態1の場合と同様に、第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2であれば、第1傾斜角度α1=0°であってもよく、第2傾斜角度α2=0°(製品形状のフランジ部125が傾斜なし)であってもよい。
一方、第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2の場合、図13に示すように、第1成形工程ではフランジ部125の長手方向の線長は長くなり(C0D0→C1D1)、引張ひずみを受ける。その後、第2成形工程でフランジ部125が製品形状に成形される際、フランジ部125の長手方向の線長はさらに長くなる(C1D1→C2D2)。よって、ひずみの戻りはなく、引張応力の低減効果は得られず、スプリングバックの低減効果も得られない。この点は、図13に示したように第1傾斜角度α1が負で第2傾斜角度α2が正である場合のみならず、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2がいずれも正である場合、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2がいずれも負である場合であっても、第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2であれば同様である。
実施の形態1の場合と同様に第1傾斜角度α1の範囲について応力ひずみ線図の勾配dσ/dεに基づいて検討したので、以下に説明する。
勾配dσ/dεは、実施の形態1の場合と同様に、第1下死点からのひずみ戻し量Δεが小さい領域ではひずみεの変化に対する応力σの変化量は大きいが、ひずみ戻し量Δεが大きい領域ではひずみεの変化に対する応力σの変化量は小さくなる(図11(b)参照)。
ひずみ戻し量Δεが大きい領域ではひずみεを変化させてもその変化量に対する応力σの変化量は小さくスプリングバックを変化させる効果は小さくなる。
他方、第1傾斜角度α1を大きくしたことにより、製品形状に戻すため第2傾斜角度αも大きくなって、ひずみ戻し量Δεが大きい場合、第1成形工程での引張ひずみ量が増加することから、フランジ部125に割れが発生してしまう場合がある。また、ひずみ戻し量Δεが大きい場合、第2成形工程でしわが発生する場合がある。
したがって、スプリングバックを変化させるのに効果的で、且つ割れやしわを抑制できるΔεには上限値が存在し、この上限値ΔεmaxとするとΔεの範囲は、実施の形態1の場合と同様に下式(7)で表される。
Figure 2016030290
上述したようにフランジ部125の引張応力の低減効果を得るためには第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2であることが前提であり、この前提と上式(7)及び式(11)より、第1傾斜角度α1の範囲は下式(2)で表される。
Figure 2016030290
なお、第1傾斜角度α1を大きくすると、製品形状に戻すための第2傾斜角度α2も大きくなってひずみ戻し量Δεが大きい場合、第2成形工程での圧縮ひずみ量が増加して、フランジ部125にしわが発生してしまう場合がある。
しわを抑制できるΔεの上限値Δεmaxとしては、例えば、実験的にしわ発生限界を求めると、ブランク21のヤング率をE[MPa]、ブランク21の引張強さをσTS[MPa]とすると4σTS/Eで与えられる。
以上のように、下凸成形品127に対して、第1成形工程において、一旦、製品形状よりもフランジ部125の線長が長くなる成形を行い、第2成形工程においてその線長を僅かに短くする成形を行うことにより、フランジ部125において、第1成形工程で生じた引張りひずみが、第2成形工程で僅かに戻されることになり、これに伴い引張応力が低減される。結果として、残留応力が低減され、これによってスプリングバックが低減される。
また、第1傾斜角度α1を式(2)の範囲内で調整することで、割れやしわを発生させることなく、スプリングバック量をコントロールできる。
[実施の形態3]
実施の形態1及び実施の形態2では、第1の金型は第1ダイと第1パンチからなるものを例に挙げて説明したが、第1成形工程開始時からブランクをパッドで押さえるようにしてもよい。こうすることで、第1成形工程においてブランクがずれてしまうことを確実に防止することができる。
このようなパッドを用いる金型の一例として第1の金型35を図14(a)及び図14(b)に示す。第1の金型35の第1ダイ37は、パッド39を有する点以外は図1(a)、図1(b)及び図2に示す第1の金型1の第1ダイ5と同様のものである。そのため、図14(a)及び図14(b)において、第1の金型35のパッド39以外の部分には図1(a)、図1(b)及び図2と同一の符号を付している。
パッド39は、第1ダイ37に対して出没可能に設けられており、第1パンチ7と協働してブランク21の溝底部に相当する部位を挟持する。
なお、第2成形工程(図14(c)及び図14(d)参照)では、実施の形態1と同様に、図3に示すものと同様の第2の金型3を使用する。
なお、上記では上凸成形品121のプレス成形について説明したが、下凸成形品127のプレス成形についても同様にパッド付きの第1の金型を用いることができる。
[実施の形態4]
実施の形態1〜実施の形態3では一対の縦壁部123bの両方のフランジ部125においてひずみの戻しを与える例を説明したが、一方のフランジ部125についてのみひずみの戻りを与えるような成形を行うようにしてもよい。
このような成形は、例えば、図15の断面図で示した成形品41のように、両方のフランジ部125の幅が異なるものを成形する場合に有効である。
成形品41を通常のフォーム成形で成形した場合、両方のフランジ部125の幅が異なるため、下死点においてフランジ部125に蓄積される残留応力(成形品41が上凸形状である場合、圧縮応力)が異なり、成形品41に作用するモーメントのバランスがくずれ、離型後には図16に示すような捩れ変形が発生してしまう。なお、図16において、成形品41の離型前の形状を破線で示し、離型後の形状を実線で示している。
そこで、両方のフランジ部125における残留応力をバランスさせるために、一方のフランジ部125について本発明で提案しているひずみの戻りを与えるような成形をする。
このような成形を行うために第1成形工程で用いる金型の一例を図17に示す。図17に示す第1の金型43は図1(a)、図1(b)及び図2に示す第1の金型1の一部を変更した例であり、図17において第1の金型1と同一部分には同一の符号を付している。
第1の金型43は、第1下死点において、成形品41のフランジ幅の長い方のフランジ部125のみを第1傾斜角度α1に成形できるように構成されている。
なお、第2成形工程では実施の形態1と同様の第2の金型3(図1(c)、図1(d)及び図3参照)を用いる。
上記の第1の金型43及び第2の金型3を用いたプレス成形方法について図18に基づいて説明する。
第1成形工程では、図18(a)及び図18(b)に示すように、第1の金型43を用いてフランジ幅が広い方のフランジ部125のみをその傾斜角度が第1傾斜角度α1と同一角度になるように成形し、第2成形工程では、図18(c)及び図18(d)に示すように、第2の金型3を用いて該フランジ部125を製品形状に成形する。第2下死点において、フランジ幅が広いフランジ部125はひずみが戻されて圧縮応力が低減される。このとき、従来方法で行った場合には、フランジ幅が広いフランジ部125に多く蓄積される残留応力を、フランジ幅が狭いフランジ部125に蓄積される残留応力とバランスさせることが可能となり、第2下死点での成形品41のモーメントがバランスされ、離型後の捩れ変形が低減できる。
なお上記では、フランジ幅が広い方のフランジ部125にひずみの戻りを与えるような成形を施した例を示したが、両方のフランジ部125でモーメントがバランスされればよく、場合によってはフランジ幅が短い方に本発明の成形を施したり、両方のフランジ部125に本発明の成形を施してもよい。
なお、本実施の形態の成形方法は、成形品が上凸形状、下凸形状に関わらず適用できる。
[実施の形態5]
実施の形態1〜実施の形態4では第1成形工程をフォーム成形で行う例を示したが、第1成形工程をドロー成形で行ってもよい。
この場合、第1成形工程では、例えば図19に示す第1の金型49を用いる。なお、第1の金型49は、図1(a)、図1(b)及び図2に示す第1の金型1の一部を変更したものであり、図19において、第1の金型1と同一部分には同一の符号を付してある。
第1の金型49は、上凸成形品121を成形するためのものであり、ダイ51とパンチ53とブランクホルダ55からなる。
第1溝形状成形部9は、ダイ51とパンチ53によって実現され、第1フランジ成形部11はダイ51とブランクホルダ55によって実現され、第1フランジ成形部11の第1傾斜角度α1は、実施の形態1の第1の金型1のものと同一角度に設定されている。
ダイ51は、第1の金型1の第1ダイ5と同形状のものが利用できる。
パンチ53はブランクホルダ55に対して別動可能に設けられており、パンチ53の上部がダイ51に挿入されることで、溝形状部123を成形する。
ブランクホルダ55はパンチ53の両側に設けられ、ダイ51と協働してブランク21を挟持すると共に、フランジ部125を成形する。
なお、第2成形工程では実施の形態1と同様の第2の金型3(図1(c)、図1(d)及び図3参照)を用いて行う。
第1の金型49を用いた第1成形工程について図20に基づいて説明する。
まず、ブランク21を図20(a)に示すようにパンチ53の上面に載置し、該ブランク21を図20(b)に示すようにダイ51とブランクホルダ55で挟持する。この状態でパンチ53を図20(c)に示すように上動させることで、上凸成形品121が中間形状に成形される(図20(d)参照)
このように第1の金型49を用いてドロー成形された場合の上凸成形品121の中間形状は、第1金型1を用いてフォーム成形で成形された場合(図1)の中間形状と若干の違いはあるが、第1の金型49の第1フランジ成形部11の第1傾斜角度α1が第1の金型1のものと同一角度に設定されているので、第1金型1を用いて成形された場合と同様に第2成形工程でのフランジ部125のひずみの戻し効果は得られる。
なお、本発明の効果が得られる成形品の製品形状としては上凸又は下凸になるように湾曲するフランジ部を有し、かつ溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に前記フランジ部を有する形状であればよい。図21に、本発明を適用可能な成形品の製品形状の断面の例を複数示し、各断面について以下に説明する。
図21(a)〜図21(f)は、縦壁部の両方にフランジ部を有するものである。図21(a)、(d)は縦壁部が垂直になっているものである。図21(b)、(e)は上述した成形品(上凸成形品121、下凸成形品127)と同様に縦壁部が傾斜しているものである。図21(c)、(f)は両縦壁部が傾斜して頂部に平坦部のない形を形成しているものである。図21(c)、(f)の断面を成形するには、先端がRになっているパンチを使用するとよい。
図21(g)〜図21(i)は、縦壁部のいずれか一方のみのフランジ部を有するものである。
また、図22に例を示すように、フランジ部のみが上凸又は下凸方向に湾曲するものであってもよい。
なお、図21および図22において、フランジ部の幅、長さ、高さ位置ついて制限はない。フランジ左右の幅、長さが異なってもよい。
上記では、第2成形工程は、第2ダイを下動させて第2パンチに近づけるものを例に挙げたが、第2パンチと第2ダイが相対的に近づけばどちらを動かしてもよく、第2パンチを第2ダイに近づけるようにしてもよい。
また、上記において、第1の金型の第1ダイと第1パンチの上下を入れ替える、または第2の金型の第2ダイと第2パンチの上下を入れ替える、または第1の金型の第1ダイと第1パンチの上下を入れ替えてかつ第2の金型の第2ダイと第2パンチの上下を入れ替えるようにしてもよく、いずれにおいても同様の効果が得られる。
上記ではダイが上下動可能なものを例に挙げたが、金型の移動方向は上下方向に限られず、例えば、ダイ及びパンチを横向きにして、横向きに移動させるようにしてもよい。
なお、上記では、第1溝形状成形部と第2溝形状成形部は同形状であるものを例に挙げて説明したが、第1溝形状成形部と第2溝形状成形部は異なる形状であってもよい。また、第1溝形状成形時にビードを設けて、第2溝形状成形部で押し潰すようにしてもよい。
上記の説明では、湾曲するフランジ部が成形品の軸方向の一部に設けられている成形品をプレス成形する場合についての説明であって、かつ、第1の金型と第2の金型における第1傾斜角度α1と第2傾斜角度α2の関係が、第1の金型と第2の金型の全長に亘って第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2に設定されているものについての説明であった。
しかし、本発明はこのようなものに限られず、上述した第1傾斜角度α1と第2傾斜角度α2の関係が、第1の金型と第2の金型における湾曲するフランジ部を成形する部位のみに第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2となるように設定されていてもよい(後述の実施例7及び図32参照)。
また、上記の説明は、湾曲するフランジ部が成形品の軸方向の一部に設けられている成形品をプレス成形する場合についての説明であったが、湾曲するフランジ部が成形品の軸方向全長に亘って設けられている成形品をプレス成形する場合についても、本発明は適用できる。
この場合、第1の金型と第2の金型における湾曲するフランジ部を成形する部位のみに第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2となるように設定されていてもよく、あるいは全長に亘って第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2となるように設定されていてもよい。
本発明のプレス成形方法による作用効果について確認するための実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
まず、実験方法について概説する。実験は、第1傾斜角度α1の影響を確認するため、第1の金型1(図2参照)の第1傾斜角度α1を変えて第1成形工程を行い(図1(a)及び図1(b)参照)、第2の金型3(図3参照)で第2成形工程を行い(図1(c)及び図1(d)参照)、成形された上凸成形品121のスプリングバック量を比較するというものである。
成形対象となる上凸成形品121は、図23(a)及び図23(b)に示すように、製品長さが1000mm、湾曲方向の高さが30mm、溝底部123aの幅が20mm、フランジ部125の幅が25mm、縦壁部123bとフランジ部125の交差部の曲率半径が1000mmである。ブランクは590MPa級材(引張強さσTS=590MPa)と1180MPa級材(引張強さσTS=1180MPa)を使用した。ブランクの板厚はともに1.2mmで、ヤング率はともに210000MPaとした。プレス機には1000tonf油圧プレス機を用いた。
第1傾斜角度α1の上限値は、式(1)のΔεmaxが4σTS/Eで与えられるものとして計算した結果、590MPa級材を用いた場合で26.4°であり、1180MPa級材を用いた場合で61.6°であった。
実験は、4つのプレス成形条件のグループ(グループ1〜グループ4)について行った。
まず、各グループについて詳細に説明する。
グループ1は590MPa級材をパッドなしで成形したグループであり、本発明例1、本発明例2、従来例1、比較例1及び比較例2の成形を行った。
本発明例1及び本発明例2は、第1傾斜角度α1の範囲を、式(1)を満たすようにした場合である。
従来例1は、図35に示すプレス金型141(第1傾斜角度α1=0°)を用いて1工程のフォーム成形(図37参照)で行う成形である。
比較例1は第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合の成形であり、比較例2は第1傾斜角度α1の上限値(26.4°)を超えた場合の成形である。
グループ2は590MPa級材をパッドありで成形したグループであり、本発明例3及び従来例2の成形を行った。
本発明例3はパッドを用いたこと以外は本発明例2と同様であり、従来例2はパッドを用いたこと以外は従来例1と同様である。
本発明例3は、第1の金型を用いて第1成形工程(図14(a)及び図14(b)参照)を行い、第2の金型3の第2傾斜角度α2を0°として第2成形工程を行った。
従来例2は、通常のパンチ(第1傾斜角度α1=0°)及びパッド付きダイを用いてフォーム成形を行った。
グループ3は、1180MPa級材を用いたこと以外はグループ1と同様であり、グループ4は1180MPa級材を用いたこと以外はグループ2と同様である。
成形された上凸成形品121は3次元形状測定器で測定した。その後、CADソフトウェア上で測定形状の長手方向中央の断面が、製品形状の同断面と一致するように位置合わせを行った後、部品端における測定形状と製品形状のZ座標差異(ハネ量Δz、図40参照)を算出し、このハネ量Δzをスプリングバックによるハネ変形の指標とした。
ハネ量Δzは、正ならば部品が上方にハネ変形したことを、負ならば部品が下方にハネ変形したことを意味し、絶対値が小さければスプリングバックが少ないことを意味する。
表1に各プレス成形条件、第1傾斜角度α1の上限値、及び各プレス成形条件で成形された上凸成形品121の形状評価結果{しわの発生有無(しわ無し:○、しわ有り:×)、ハネ量Δz(mm)等}をまとめたものを示す。
Figure 2016030290
表1に示す通り、グループ1〜グループ4における本発明例1〜6はいずれもしわは発生せず、ハネ量Δzは各本発明例が属するグループの従来例より小さくなり、ハネを低減させることができた。
一方、比較例1のように第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合、ハネ量Δzは従来例1のハネ量Δzとほぼ変わらない結果となり、スプリングバックの低減効果は得られなかった。この点は比較例3についても同様で、従来例3とほぼ変わらない結果である。
また、比較例2及び比較例4では、第1傾斜角度α1が上限値を超えたため、第1成形工程でフランジ部125にしわが発生した。
以上のように、上凸成形品121について本発明方法を適用して第1傾斜角度α1を式(1)の範囲内としてプレス成形することで、しわを発生させることなく、スプリングバックを低減させることができた。
また、従来例2と本発明例3、従来例4と本発明例6との比較から分かる通り、パッドを用いた場合でも本発明の成形方法を実施することでスプリングバックを低減することができた。
実施例1は上凸成形品121を成形する場合についての説明であったが、下凸成形品127を成形する場合の効果を確認する具体的な実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
成形対象となる下凸成形品127の形状は、図24(a)及び図24(b)に示すように、下凸であること以外は、図23(a)及び図23(b)に示す上凸成形品121の形状と同様である。ブランクやプレス機は上記実施例1と同様のものを用いた。
プレス成形条件としては、実施例1のグループ1〜グループ4に対応するグループ5〜グループ8とした。
本発明例7、本発明例8、本発明例10、本発明例11及び比較例5〜比較例8は、図8に示す第1の金型23を用いて第1成形工程を行い、図9に示す第2の金型29の第2傾斜角度α2を0°として第2成形工程を行った。
比較例5〜比較例8は、第1傾斜角度α1を式(2)で表される第1傾斜角度α1の範囲外として成形したものである。
なお、第1傾斜角度α1の上限値は、上式(2)よりΔεmaxが4σTS/Eで与えられるものとして計算した結果、590MPa級材を用いた場合で28.5°であり、1180MPa級材を用いた場合で75.2°であった。
スプリングバックの評価方法は、上記実施例1と同様である。
表2に各プレス成形条件、第1傾斜角度α1の上限値、及び各プレス成形条件で成形された成形品の形状評価結果{しわの発生有無(しわ無し:○、しわ有り:×)、ハネ量Δz(mm)等}をまとめたものを示す。
Figure 2016030290
表2に示す通り、グループ5〜グループ8において本発明例7〜12はいずれもしわは発生せず、ハネ量Δzは各本発明例が属するグループの従来例より小さくなり、ハネを低減させることができた。
一方、比較例5のように第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合、ハネ量Δzは従来例5のハネ量Δzとほぼ変わらない結果となり、スプリングバックの低減効果は得られなかった。この点は比較例7についても同様で、従来例7と変わらない結果である。
また、比較例6では、第1傾斜角度α1が上限値を超えたため、第2成形工程でフランジ部125にしわが発生した。また、比較例8では第1成形工程で割れが発生した。
以上のように、下凸成形品127について本発明方法を適用して第1傾斜角度α1を式(2)の範囲内としてプレス成形することで、しわを発生させることなく、スプリングバックを低減させることができた。
また、従来例6と本発明例9、および従来例8と本発明例12との比較から分かる通り、パッドを用いた場合でも本発明の成形によりスプリングバックを低減することができた。
実施例1および実施例2は、第1成形工程をフォーム成形によって行った場合についての説明であったが、第1成形工程をドロー成形によって行った場合の効果について確認する実験を行ったので、その結果について説明する。
成形対象となる製品形状は上記実施例1(図23参照)と同様に上凸成形品であり、ブランクおよびプレス機は実施例1及び実施例2と同様のものを用いた。
プレス成形条件としては、実施例1のグループ1〜グループ4に対応するグループ9〜グループ12とした。
本発明例13、本発明例14、本発明例16、本発明例17、比較例9〜比較例12は、図19に示す第1の金型49を用いて第1成形工程を行い、図3に示す第2の金型3の第2傾斜角度α2を0°として第2成形工程を行った。ただし、比較例9〜比較例12は、第1傾斜角度α1が式(1)で規定される範囲外となるように成形したものである。
本発明例15及び本発明例18は、図25に示すパッド39付きの第1の金型75を用いて第1成形工程を行い、図3に示す第2の金型3の第2傾斜角度α2を0°として第2成形工程を行った。
従来例9及び従来例11は、図26に示すプレス金型79を用いて1工程のドロー成形で上凸成形品121の成形を行った(図27参照)。
なお、第1傾斜角度α1の上限値は実施例1と同様であり、590MPa級材を用いた場合で26.4°であり、1180MPa級材を用いた場合で61.6°であった。
スプリングバックの評価方法は、上記実施例1および実施例2と同様である。
表3に各プレス成形条件、第1傾斜角度α1の上限値、及び各プレス成形条件で成形された成形品の形状評価結果{しわの発生有無(しわ無し:○、しわ有り:×)、ハネ量Δz(mm)等}をまとめたものを示す。
Figure 2016030290
表3に示す通り、グループ9〜グループ12において本発明例13〜18はいずれもしわは発生せず、ハネ量Δzは各本発明例が属するグループの従来例より小さくなり、ハネを低減させることができた。
一方、比較例9のように第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合、ハネ量Δzは従来例9のハネ量Δzとほぼ変わらない結果となり、スプリングバックの低減効果は得られなかった。この点は比較例11についても同様である。
また、比較例10及び比較例12では、第1傾斜角度α1が上限値を超えたため、第1成形工程でフランジ部125にしわが発生した。
以上のように、上凸成形品121について本発明方法を適用して第1成形工程をドロー成形で、第1傾斜角度α1を式(1)の範囲内としてプレス成形することで、しわを発生させることなく、スプリングバックを低減させることができた。
また、従来例10と本発明例15、および従来例12と本発明例18との比較から分かる通り、パッドを用いた場合でも本発明の成形によりスプリングバックを低減することができた。
上記実施例3では上凸成形品121のドロー成形について説明したが、下凸成形品127のドロー成形について実施例3と同様の実験を行ったので、以下に説明する。
成形対象となる製品形状は上記実施例2(図24参照)と同様であり、ブランクおよびプレス機は上記実施例1〜実施例3と同様のものを用いた。
プレス成形条件としては、実施例2のグループ5〜グループ8に対応するグループ13〜グループ16とした。
本発明例19、本発明例20、本発明例22、本発明例23及び比較例13〜比較例16は、図28に示す第1の金型87を用いて第1成形工程を行い、図9に示す第2の金型33の第2傾斜角度α2を0°として第2成形工程を行った。ただし比較例13〜比較例16は、式(2)で表される第1傾斜角度α1の範囲外の成形である。
従来例13及び従来例15は、図29に示すプレス金型95を用いて1工程のドロー成形で下凸成形品127の成形を行った。
なお、第1傾斜角度α1の上限値は実施例2と同様であり、590MPa級材を用いた場合の上式(2)より28.5°であり、1180MPa級材を用いた場合の第1傾斜角度α1の上限値は75.2°であった。
スプリングバックの評価方法は、上記実施例1〜実施例3と同様である。
表4に各プレス成形条件、第1傾斜角度α1の上限値、及び各プレス成形条件で成形された成形品の形状評価結果{しわの発生有無(しわ無し:○、しわ有り:×)、ハネ量Δz(mm)等}をまとめたものを示す。
Figure 2016030290
表4に示す通り、グループ13〜グループ16において本発明例19〜24はいずれもしわは発生せず、ハネ量Δzは各本発明例が属するグループの従来例より小さくなり、ハネを低減させることができた。
一方、比較例13のように第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合、従来例13のハネ量と変わらない結果となり、スプリングバックの低減効果は得られなかった。この点は比較例15についても同様で、従来例15とほぼ変わらない結果である。
また、比較例14及び比較例16では、第1傾斜角度α1が上限値を超えたため、第2成形工程でフランジ部125にしわが発生した。
以上のように、下凸成形品127について本発明方法を適用して第1成形工程をドロー成形で、第1傾斜角度α1を式(2)の範囲内としてプレス成形することで、しわを発生させることなく、スプリングバックを低減させることができた。
また、従来例14と本発明例21、および従来例16と本発明例24との比較から分かる通り、パッドを用いた場合でも本発明の成形によりスプリングバックを低減することができた。
上記実施例1〜実施例4は、製品形状のフランジ部が傾斜していないものを成形する場合についての説明であったが、本実施例では製品形状のフランジ部が傾斜したものを成形する場合について具体的な実験を行ったので、その結果について説明する。
本実施例の成形対象となる成形品103の断面図を図30に示す。成形品103は、フランジ部125(幅25mm)が、図30に示すように、水平線に対し正の方向(縦壁部とフランジ成形部とのなす角度が大きくなる方向)に+5°傾斜していること以外は、上記実施例1および実施例3の上凸成形品121(図23参照)と同様である。
実験方法は上記実施例3と同様であり、第1の金型49(図19参照)を用いてドロー成形により第1成形工程を行い、第2傾斜角度α2=5°のフォーム成形用のプレス金型を用いて第2成形工程を行い製品形状に成形した。
ブランクは1180MPa級材を用い、プレス機は上記実施例1〜実施例4と同様のものを用いた。なお、第1傾斜角度α1の上限値は74.7°であった。
本発明例25及び本発明例26は、第1傾斜角度α1の範囲を式(1)を満たすようにした場合の成形である。
従来例17は、フランジ成形部が5°傾斜したプレス金型(第1傾斜角度α1=5°)を用いて1工程のドロー成形で行う成形である。
比較例17は第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合の成形であり、比較例18は第1傾斜角度α1の上限値(74.7°)を超えた場合の成形である。
スプリングバックの評価方法は、上記実施例1〜実施例4と同様である。
表5に各プレス成形条件、第1傾斜角度α1の上限値、及び各プレス成形条件で成形された成形品の形状評価結果{しわの発生有無(しわ無し:○、しわ有り:×)、ハネ量Δz(mm)等}をまとめたものを示す。
Figure 2016030290
表5に示す通り、本発明例25及び本発明例26ではしわは発生せず、ハネ量Δzは従来例17より小さくなり、ハネを低減させることができた。
一方、比較例17のように、第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合、ハネ量Δzは従来例のハネ量Δzとほぼ変わらない結果となり、スプリングバックの低減効果は得られなかった。
また、第1傾斜角度α1を80°とした比較例18では第1成形工程でフランジ部125にしわが発生した。
これらの結果より、傾斜したフランジ部125を有する成形品103においても本発明の効果が確認できた。
上記実施例1〜実施例5は、フランジ幅が両側で同じものを成形する場合の説明であったが、本実施例ではフランジ幅が両側で異なるものを成形する場合の効果について実験を行ったので、その結果について説明する。
図31に成形対象となる成形品41の断面図を示す。成形品41は、上凸形状であり、図31に示すように、一方のフランジ部125の幅が30mm、他方のフランジ部125の幅が20mmであり、その他の形状は上記実施例1及び実施例3の上凸成形品121(図23参照)と同様である。
ブランクは上記1180MPa級材を用いた。プレス機は上記実施例1〜実施例5と同様のものを用いた。
ひずみの戻しは、フランジ幅が30mmの方のフランジ部125に適用するものとした。なお、第1傾斜角度α1の上限値は47.1°であった。
本発明例27〜本発明例30、比較例19及び比較例20は、図18に示す第1の金型43を用いてフランジ幅の長いフランジ部125が第1傾斜角度α1と同一角度となるように第1成形工程を行い(図18(a)及び図18(b)参照)、図3に示す第2の金型3を用いて第2成形工程を行った(図18(c)及び図18(d)参照)。ただし、第2傾斜角度α2を0°とした。また、比較例19及び比較例20はいずれも第1傾斜角度α1が式(1)で表される第1傾斜角度α1の範囲外の成形である。比較例19は第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合の成形であり、比較例20は第1傾斜角度α1の上限値を超えた場合の成形である。
従来例18は、図35に示すプレス金型141を用いて1工程のフォーム成形を行った。
成形品41では、両方のフランジ幅が異なるため下死点での成形品41の両方のフランジ部125のモーメントのバランスがくずれ、離型時にハネに加え捩れ変形を与えるスプリングバックが発生する。そこで本実施例では捩れの評価のために、成形品41の端部における測定形状と製品形状の溝底部123aの傾斜角度差異(捩れ角度θ(°)、図16参照)を算出した。
表6に各プレス成形条件、第1傾斜角度α1の上限値、及び各プレス成形条件で成形された成形品の形状評価結果{しわの発生有無(しわ無し:○、しわ有り:×)、捩れ角度θ(°)等}をまとめたものを示す。
Figure 2016030290
表6に示す通り、いずれの本発明例においても、しわの発生は見られなかった。第1傾斜角度α1の増加に伴い、捩れ角度は変化し、第1傾斜角度α1=40°で逆方向の捩れ角度となった。また第1傾斜角度α1=30°で捩れ角度は最小となった。
一方、比較例19のように、第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合、捩れ角度θは、従来例18の捩れ角度θとほぼ変わらない結果となり、スプリングバックの低減効果は得られなかった。
また、比較例20では、第1傾斜角度α1が上限値を超えたため、第1成形工程でフランジ部125にしわが発生した。
これらの結果より、フランジ幅が両側で異なる成形品41のプレス成形においても本発明の効果が確認され、捩れの低減にも本発明は有効であることが示された。
上記実施例1〜実施例6では、成形品の軸方向の中央部に湾曲するフランジ部が設けられ、かつ第1の金型と第2の金型におけるフランジ部成形部の軸方向全長に亘って第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2となるようにした第1の金型と第2の金型を用いてプレス成形する場合についてのものであった。
本実施例では、成形品の軸方向の中央部のみに湾曲するフランジ部が設けられ、中央部の軸方向両側には傾斜するが湾曲はしていないフランジ部が設けられている成形品をプレス成形する場合であって、第1の金型と第2の金型における湾曲するフランジ部を成形する部位のみに第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2となるように構成した第1の金型と第2の金型を用いた実験を示すものである。
第1成形工程では図32に示す第1の金型105を用い、第2成形工程では図3に示す第2の金型3の第2傾斜角度α2を0°として用いた。
第1の金型105は、実施例3で用いた第1の金型49(図19参照)の一部を変更したものであり、軸方向の中央部のみ第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2となるように構成されている。なお、図32において、第1の金型49と同様のものには同一の符号を付している。
成形対象となる製品形状、ブランク、プレス機及びプレス成形条件は上記実施例3と同様である。
プレス成形条件としては、実施例3のグループ9〜グループ12に対応するグループ119〜グループ22とした。
本発明例33、本発明例34、本発明例36、本発明例37、比較例21〜比較例24は、図32に示す第1の金型を用いて第1成形工程を行い、図3に示す第2の金型3を用いて第2成形工程を行った。ただし比較例21〜比較例24は、第1傾斜角度α1が式(1)で規定される第1傾斜角度α1の範囲外になるように成形したものである。
従来例19及び従来例21は、図26に示すプレス金型79を用いて1工程のドロー成形で上凸成形品121の成形を行った。
なお、第1傾斜角度α1の上限値は実施例1及び実施例3と同様であり、590MPa級材を用いた場合の上式(1)より26.4°であり、1180MPa級材を用いた場合の第1傾斜角度α1の上限値は61.6°であった。
スプリングバックの評価方法は、上記実施例1〜実施例5と同様である。
表7に各プレス成形条件、第1傾斜角度αの取り得る上限値、および該各プレス成形条件で成形された成形品の形状評価結果{しわの発生有無(しわ無し:○、しわ有り:×)、ハネ量Δz(mm)}を示す。
Figure 2016030290
表4に示す通り、グループ19〜グループ22において本発明例33〜38はいずれもしわは発生せず、ハネ量Δzは各本発明例が属するグループの従来例より小さくなり、ハネを低減させることができた。
一方、比較例21のように第1傾斜角度α1<第2傾斜角度α2とした場合、従来例19のハネ量とほぼ変わらない結果となり、スプリングバックの低減効果は得られなかった。この点は比較例23についても同様で、従来例21とほぼ変わらない結果である。
また、比較例22及び比較例24では、第1傾斜角度α1が上限値を超えたため、第1成形工程でフランジ部125にしわが発生した。
以上のように、軸方向中央部のみに湾曲するフランジ部が設けられた上凸成形品について、軸方向の中央部のみ第1傾斜角度α1>第2傾斜角度α2となるようにした場合であっても、第1傾斜角度α1を式(1)の範囲内としてプレス成形することで、しわを発生させることなく、スプリングバックを低減させることができた。
また、従来例20と本発明例35、および従来例22と本発明例38との比較から分かる通り、パッドを用いた場合でも本発明の方法によりスプリングバックを低減することができた。
1 第1の金型(実施の形態1)
3 第2の金型(実施の形態1)
5 第1ダイ
5a 第1ダイ側溝形状成形部
5b 第1ダイ側フランジ成形部
7 第1パンチ
7a 第1パンチ側溝形状成形部
7b 第1パンチ側フランジ成形部
9 第1溝形状成形部
10 交差部
11 第1フランジ成形部
12 湾曲面
13 第2ダイ
13a 第2ダイ側溝形状成形部
13b 第2ダイ側フランジ成形部
15 第2パンチ
15a 第2パンチ側溝形状成形部
15b 第2パンチ側フランジ成形部
17 第2溝形状成形部
18 交差部
19 第2フランジ成形部
20 湾曲面
21 ブランク
23 第1の金型(実施の形態2)
25 第1ダイ
25a 第1ダイ側溝形状成形部
25b 第1ダイ側フランジ成形部
27 第1パンチ
27a 第1パンチ側溝形状成形部
27b 第1パンチ側フランジ成形部
29 第2の金型(実施の形態2)
31 第2ダイ
31a 第2ダイ側溝形状成形部
31b 第2ダイ側フランジ成形部
33 第2パンチ
33a 第2パンチ側溝形状成形部
33b 第2パンチ側フランジ成形部
35 第1の金型(実施の形態3)
37 第1ダイ
39 パッド
41 成形品(フランジ幅の異なるもの)
43 第1の金型(実施の形態4)
45 第1ダイ
47 第1パンチ
49 第1の金型(実施の形態5)
51 ダイ
53 パンチ
55 ブランクホルダ
61 成形品(フランジ部のみ上凸)
63 成形品(フランジ部のみ下凸)
75 第1の金型(実施例3)
77 第1ダイ
79 プレス金型(実施例3、従来例)
81 ダイ
83 パンチ
85 ブランクホルダ
87 第1の金型(実施例4)
89 ダイ
91 パンチ
93 ブランクホルダ
95 プレス金型(実施例4、従来例)
97 ダイ
99 パンチ
101 ブランクホルダ
103 成形品(フランジ部が傾斜しているもの)
105 プレス金型(実施例7)
107 ダイ
109 パンチ
111 ブランクホルダ
121 上凸成形品
123 溝形状部
123a 溝底部
123b 縦壁部
125 フランジ部
127 下凸成形品
141 プレス金型(従来例その1)
143 ダイ
145 パンチ
147 プレス金型(従来例その2)
149 ダイ
151 パンチ

Claims (13)

  1. 溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方の縦壁部に、前記溝形状部における溝底部側に凸となるように湾曲するフランジ部を有する成形品を成形するプレス成形方法において、
    前記溝形状部を成形する第1溝形状成形部と前記フランジ部を成形する第1フランジ成形部を有する第1の金型を用いて第1成形工程を行い、傾斜角度が前記第1溝形状成形部と同じ第2溝形状成形部と第2フランジ成形部を有する第2の金型を用いて第2成形工程を行うものであって、
    前記第1の金型の前記第1溝形状成形部における縦壁成形部と前記第1フランジ成形部の交差部を通り該交差部における前記フランジ部の曲率と同一曲率を有する湾曲面と前記第1フランジ成形部の成す角度α1と、前記第2の金型の前記第2溝形状成形部における前記縦壁成形部と前記第2フランジ成形部の交差部を通り該交差部における前記フランジ部の曲率と同一曲率を有する湾曲面と前記第2フランジ成形部の成す角度α2との関係が、前記湾曲面を基準として該湾曲面から前記溝底部側を負、その反対側を正としたときに、α2<α1に設定されており、
    前記第1成形工程にて生じた前記フランジ部の長手方向の線長を縮める圧縮ひずみを、前記第2成形工程において前記線長を伸ばす変形を与えることで戻すように成形することを特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記第2の金型の前記第2溝形状成形部における前記縦壁成形部と前記第2フランジ成形部の交差部の曲率半径をρ0[mm]、前記第2成形工程で成形されるフランジ幅をL[mm]、スプリングバックを変化させる効果が得られ、且つしわを抑制できるひずみの戻し量Δε(Δε>0)の上限値をΔεmaxとすると、前記α1と前記α2が下式(1)を満たすことを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
    Figure 2016030290
  3. 溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方の縦壁部に、前記溝形状部における溝底部側に凹となるように湾曲するフランジ部を有する成形品を成形するプレス成形方法において、
    前記溝形状部を成形する第1溝形状成形部と前記フランジ部を成形する第1フランジ成形部を有する第1の金型を用いて第1成形工程を行い、傾斜角度が前記第1溝形状成形部と同じ第2溝形状成形部と第2フランジ成形部を有する第2の金型を用いて第2成形工程を行うものであって、
    前記第1の金型の前記第1溝形状成形部における縦壁成形部と前記第1フランジ成形部の交差部を通り該交差部における前記フランジ部の曲率と同一曲率を有する湾曲面と前記第1フランジ成形部の成す角度α1と、前記第2の金型の前記第2溝形状成形部における前記縦壁成形部と前記第2フランジ成形部の交差部を通り該交差部における前記フランジ部の曲率と同一曲率を有する湾曲面と前記第2フランジ成形部の成す角度α2との関係が、前記湾曲面を基準として該湾曲面から前記溝底部側を負、その反対側を正としたときに、α2<α1に設定されており、
    前記第1成形工程にて生じた前記フランジ部の長手方向の線長を伸ばす引張りひずみを、前記第2成形工程において前記線長を縮める変形を与えることで戻すように成形することを特徴とするプレス成形方法。
  4. 前記第2の金型の前記第2溝形状成形部における前記縦壁成形部と前記第2フランジ成形部の交差部の曲率半径をρ0[mm]、前記第2成形工程で成形されるフランジ幅をL[mm]、スプリングバックを変化させる効果が得られ、且つしわを抑制できるひずみの戻し量Δε(Δε>0)の上限値をΔεmaxとすると、前記α1と前記α2が下式(2)を満たすことを特徴とする請求項3記載のプレス成形方法。
    Figure 2016030290
  5. 前記第1成形工程をフォーム成形で行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
  6. 前記第1成形工程をドロー成形で行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
  7. 前記溝形状部における溝底部にパンチ底部を有する成形品を成形する場合において、前記第1成形工程はブランクにおける前記パンチ底部に相当する部位をパッドで押えてプレス成形を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
  8. 前記一対の縦壁部のいずれか一方のフランジ部に前記第1成形工程と前記第2成形工程を適用することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
  9. 前記一対の縦壁部の両方のフランジ部に前記第1成形工程と前記第2成形工程を適用することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
  10. 湾曲する前記フランジ部が前記成形品の軸方向全長に亘って設けられている場合において、
    前記第1の金型と前記第2の金型における前記α1と前記α2の関係が、前記第1の金型と前記第2の金型における金型軸方向の一部においてα2<α1に設定されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
  11. 湾曲する前記フランジ部が前記成形品の軸方向全長に亘って設けられている場合において、
    前記第1の金型と前記第2の金型における前記α1と前記α2の関係が、前記第1の金型と前記第2の金型の全長に亘ってα2<α1に設定されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
  12. 湾曲する前記フランジ部が前記成形品の軸方向の一部に設けられている場合において、
    前記第1の金型と前記第2の金型における前記α1と前記α2の関係が、前記第1の金型と前記第2の金型における湾曲する前記フランジ部を成形する部位のみにα2<α1に設定されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
  13. 湾曲する前記フランジ部が前記成形品の軸方向の一部に設けられている場合において、
    前記第1の金型と前記第2の金型における前記α1と前記α2の関係が、前記第1の金型と前記第2の金型の全長に亘ってα2<α1に設定されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
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