JP2019076936A - プレス成形装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形途中におけるひずみの戻し量が一定になるような調整を安定的にでき、スプリングバックを安定して抑制できるプレス成形装置及び方法を得る。【解決手段】本発明に係るプレス成形装置1は、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部51bの長手方向に沿って湾曲する湾曲内側フランジ部51dと湾曲外側フランジ部51cを有する目標形状の成形品51を成形するものであって、前記溝形状部を成形する溝部11と溝部11の両側にダイ肩部13を有するダイ3と、ダイ肩部13に対向配置されてダイ肩部13と協働して湾曲内側フランジ部51dおよび湾曲外側フランジ部51cを成形するフランジ成形用ダイ7と、ダイ3の溝部11に挿入されて前記溝形状部を成形するパンチ5と、を備え、フランジ成形用ダイ7は、互いに他方と独立して高さ方向移動可能に構成されていることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する目標形状の成形品を成形するプレス成形装置及び方法に関する。
プレス成形とは、その対象物である材料(ブランク)に金型を押し付けることにより、金型の形状をブランクに転写して加工を行う方法のことである。プレス成形においては、プレス成形品を金型から取り出した後に、そのプレス成形品内の残留応力が弾性回復することによって起こる形状不良、いわゆるスプリングバックが発生し、所望の形状とは異なってしまう問題がしばしば発生する。
スプリングバックがどの程度生じるかについては、主に材料の強度に大きく影響される。昨今では、特に自動車業界を中心に、自動車車体の軽量化の観点から車体部品に高強度な鋼板を使用する傾向が強くなっており、このような材料の高強度化に伴いスプリングバックの生じる程度が大きくなっている。
このため、スプリングバック後の形状を目標となる設計形状に近づけるために、生産現場では熟練者が金型を幾度も修正して、トライアル&エラーを重ねなければならず、その結果、生産準備期間が長期化してしまう。したがって、スプリングバックを効果的に低減できる方法を開発することは、自動車の開発期間やコストを削減する上でも、ますます重要な課題である。
スプリングバックの低減には、その発生原因である応力のコントロールが必要不可欠である。部品形状の断面が長手方向に変化しないストレート部品では、スプリングバックは口開きなどの2次元的な断面形状の変化にとどまり、応力のコントロールは比較的容易である。一方、部品形状の断面が長手方向に変化する湾曲した部品では、2次元的な断面形状の変化に加え、捩れや曲がりといった3次元的なスプリングバックが発生する。3次元的なスプリングバックを引き起こす応力は複雑で、その制御は困難である。
湾曲部品の捩れや曲がりの3次元的なスプリングバックを低減するための技術として、特許文献1に「プレス成形方法及び装置」が提案されている。
同文献においては、例えば図8に示すようなパンチ底部51aと縦壁部51bからなる溝形状部およびフランジ部(湾曲外側フランジ部51cおよび湾曲内側フランジ部51d)で形成され、かつ長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する成形品51をフォーム成形した際に成形品に生じるスプリングバックの形態について検討されている。
本発明は、同文献で検討されたスプリングバック低減のメカニズムを前提としているので、以下において同文献で検討されたメカニズムを概説する。
従来の単純なフォーム成形では、図9の斜視図、図10の断面図に示すように、ダイ53とパンチ55を有するプレス成形金型57でブランク69(図10参照)を挟み込むことで成形を行う。図11は成形前後のブランク外形線を示した図であり、破線が成形前のブランク外形線を、実線が下死点でのブランク外形線を示している。湾曲曲率の大きい側(曲率半径の小さい側)のフランジ部(以下、湾曲内側フランジ部51d)に該当する外形線は成形によりブランクが流入することで曲率は小さくなり(曲率半径は大きくなり)線長が長くなる(A0B0→A1B1)。つまり、湾曲内側フランジ部51dは伸びフランジ成形となり、下死点では長手方向に引張応力が残留する。
一方、湾曲曲率の小さい側(曲率半径の大きい側)のフランジ部(以下、湾曲外側フランジ部51c)ではその逆で、外形線は成形によりブランクが流入することで曲率は大きくなり(曲率半径は小さくなり)線長が短くなる。(C0D0→C1D1)。つまり、湾曲外側フランジ部51cは縮みフランジ変形となり、下死点では長手方向に圧縮応力が残留する。
これらの残留応力は離型時に弾性回復し、湾曲内側フランジ部51dでは縮み変形、湾曲外側フランジ部51cは伸び変形となり、その結果、図12に示すように、部品は湾曲曲率が大きく(曲率半径が小さく)なるような曲がり変形となるスプリングバックが発生する。なお、図12において、破線がスプリングバック前の形状を示しており、実線がスプリングバック後の形状を示している。
以上のように、長手方向に湾曲したフランジ部を有する成形品では、フランジ部における残留応力が離型時に解放されるため、成形品全体に曲がり変形を与えるスプリングバックを生じさせている。このことから、このような成形品では、フランジ部の残留応力の低減が、成形品のスプリングバック低減に非常に重要であるといえる。
プレス成形過程においてフランジ部の線長を目標形状よりも大きく変化させ、その後にフランジ部の線長を目標形状に戻すような成形をすることにより、フランジ部の残留応力を低減させる技術が特許文献1の発明である。
特許文献1に開示されたプレス成形装置の成形中の断面を図13に示す。プレス成形装置59は、ダイ61と、ダイ61に対向配置されたフランジ成形用ダイ63と、支持機構65によって上下動可能に支持されたパンチ67と、ブランク69をパンチ67に押圧するパッド71とを備えている。
特許文献1のプレス成形方法は、ダイ61とパンチ67によってパンチ底部51a及び縦壁部51bを目標形状に第1下死点まで成形すると共に、湾曲外側フランジ部51cおよび湾曲内側フランジ部51dについて、湾曲外側フランジ部51cに対しては長手方向の線長が成形品51のフランジ部の線長よりも短く、湾曲内側フランジ部51dに対しては長手方向の線長が成形品51のフランジ部の線長よりも長くなるように成形する第1成形工程(図13(a)〜図13(c)参照)と、ダイ61とフランジ成形用ダイ63によって第1成形工程で成形された湾曲外側フランジ部51cおよび湾曲内側フランジ部51dを成形品51の目標形状に第2下死点まで成形する第2成形工程(図15(d)参照)とを備え、第1成形工程と第2成形工程を1度のプレス成形で行うことを特徴とするものである。
図14は、湾曲内側フランジ部51dと湾曲外側フランジ部51cにおけるプレス成形開始前から第1下死点さらに第2下死点までの線長の変化を説明する説明図である。図14では、湾曲の内側および外側のそれぞれについて、破線の丸で囲んだ部分を拡大して示している。各拡大図において、破線がプレス成形前のブランク69の内側端69aおよび外側端69b、点線が第1下死点における内側端69aおよび外側端69b、そして実線が第2下死点における内側端69aおよび外側端69bをそれぞれ示している。
プレス成形開始前のフランジ内側端のA0点、B0点は、それぞれ、第1下死点ではA1点、B1点になり、第2下死点ではA2点、B2点となり、線長はA0B0→A1B1→A2B2と変化する。成形開始から第1下死点までの第1成形工程の間、ブランク69の流入によりフランジ内側端におけるA0B0はA1B1となり、フランジ内側端の線長は引き伸ばされて長くなる(伸びフランジ変形)。そして、続く第1下死点から第2下死点までの第2成形工程の間、フランジ内側端は外側に押し出される(湾曲中心に向かって流出する)変形をするため、フランジ内側端の線長はわずかに短くなり(A1B1→A2B2)、第2下死点で目標形状相当の線長になる。
フランジ外側端ではフランジ内側端とは逆の現象が起こる。プレス成形開始前のフランジ外側端のC0点、D0点は、それぞれ、第1下死点ではC1点、D1点になり、第2下死点ではC2点、D2点となり、線長はC0D0→C1D1→C2D2と変化する。成形開始から第1下死点までの第1成形工程の間、ブランクの流入によりフランジ外側端におけるC0D0はC1D1となり、フランジ外側端の線長は縮められて短くなる(縮みフランジ変形)。そして、続く第1下死点から第2下死点までの第2成形工程の間、フランジ外側端は外側に押し出される(湾曲外側に流出する)変形をするため、フランジ外側端の線長はわずかに長くなり(C1D1→C2D2)、第2下死点で目標形状相当の線長になる。
このように、湾曲内側フランジ部51dにおいては、第1成形工程において、一旦、成形品51の目標形状よりも線長が長くなる成形を行い、第2成形工程において成形品51の目標形状の線長に戻す成形を行う。湾曲外側フランジ部51cにおいては、第1成形工程において、一旦、成形品51の目標形状よりも線長が短くなる成形を行い、第2成形工程において成形品51の目標形状の線長に戻す成形を行うようにしている。このため、湾曲内側フランジ部51dおよび湾曲外側フランジ部51cにおいて、第1成形工程で生じたひずみが第2成形工程でわずかに戻されることになり、残留応力が大幅に低減される。
この点について、図15に基づいて説明する。図15は、フランジ部の成形開始から第2下死点までの長手方向の応力−ひずみ線図である。図15に示すように、第1成形工程により第1下死点のフランジ部には、大きな残留応力が蓄積されている。しかし、第1下死点から第2下死点までひずみをわずかに戻すことによって残留応力は大幅に低減する。
以上のように、特許文献1の発明は、わずかにひずみを戻すことによって、残留応力が敏感に大きく変化する特徴を利用したものである。
特開2015−27698号公報
特許文献1で開示されたスプリングバック抑制のメカニズムは、第1下死点から第2下死点までの過程でひずみをわずかに戻すことによって残留応力を大幅に低減するというものであり、ひずみの戻し量をどの程度にするかが重要である。
そして、ひずみの戻し量は第1下死点(図13(c)参照)から第2下死点(図13(d)参照)に至るパンチの下降量(相対移動距離h)(図13(a)参照)に関係しており、相対移動距離hを確実かつ正確に調整できることが重要である。
しかしながら、特許文献1に開示されているプレス成形装置59では、固定されているのはフランジ成形用ダイ63であり、パンチ67はその全体が支持機構65により支えられ、プレス成形中にパンチ67全体が動く構造になっている。このため、ブランクの材料強度のばらつきや、機械的な遊びの影響により、プレス成形中のパンチ67の動きが不安定になる場合があった。
パンチ67の動きがプレス成形の各ショットで同じでないと、上述の相対移動距離hがショットごとに変化してひずみの戻し量が変化することになる。このため、スプリングバック後の形状がショットごとに変動する場合があり、この点では特許文献1のプレス成形装置59ではスプリングバック後の目標形状がばらつく懸念がある。
また、特許文献1に開示されているプレス成形装置59では、相対移動距離hは第1下死点におけるパンチ67の位置のみで設定するものであり、パンチ位置の微調整に手間取ると、スプリングバックを確実に防止するのが難しいという課題がある。
さらに、湾曲内側フランジ部と湾曲外側フランジ部の位置が同じであり、相対移動距離hの調整を湾曲内側フランジ部と湾曲外側フランジ部で個別にできないため、捩れや曲げといった複雑な3次元的なスプリングバックに柔軟に対応することが難しいという課題もあった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、成形途中におけるひずみの戻し量が一定になるような調整を行うことができ、スプリングバックを抑制できるプレス成形装置及び方法を得ることを目的としている。
また、捩れや曲がりといった3次元的なスプリングバックを安定して低減できるプレス成形装置及び方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係るプレス成形装置は、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する目標形状の成形品を成形するものであって、前記溝形状部を成形する溝部と該溝部の両側にダイ肩部を有するダイと、前記ダイ肩部に対向配置されて前記ダイ肩部と協働して前記フランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記ダイの溝部に挿入されて前記溝形状部を成形するパンチと、を備え、前記長手方向に沿って湾曲するフランジ部側にある前記フランジ成形用ダイの少なくとも一方は他方と独立して高さ方向移動可能に構成されていることを特徴とするものである。
(2)本発明に係るプレス成形方法は、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する目標形状の成形品を、上記(1)記載のプレス成形装置を用いて成形するものであって、高さ方向移動可能な前記フランジ成形用ダイの高さを所定の高さに調整した状態で前記パンチと前記ダイによって溝形状部を前記目標形状に成形する工程と、前記フランジ成形用ダイを前記ダイ側に移動させて前記フランジ部を前記目標形状に成形する工程とを備えたことを特徴とするものである。
本発明においては、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する目標形状の成形品を成形するものであって、前記溝形状部を成形する溝部と該溝部の両側にダイ肩部を有するダイと、前記ダイ肩部に対向配置されて前記ダイ肩部と協働して前記フランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記ダイの溝部に挿入されて前記溝形状部を成形するパンチと、を備え、前記フランジ成形用ダイの少なくとも一方は他方と独立して高さ方向移動可能に構成されていることを特徴とすることにより、成形途中におけるひずみの戻し量が所定量になるような調整を安定的にでき、スプリングバックを安定して抑制することができる。
本発明の実施の形態に係るプレス成形装置の説明図である。 図1に示したプレス成形装置を用いたプレス成形方法の説明図である。 実施例に係る成形品の目標形状の説明図である(その1)。 実施例に係る成形品の目標形状の説明図である(その2)。 実施例におけるスプリングバック量(曲がり量)の評価方法の説明図である。 実施例におけるスプリングバック量(捩れ量)の評価方法の説明図である。 実施例において比較対象とした比較例におけるスプリングバック量の評価結果を示すグラフである。 本発明の課題の説明図であって、従来のプレス成形方法で成形される成形品の斜視図である。 本発明の課題の説明図であって、従来のプレス成形装置の金型の斜視図である。 本発明の課題の説明図であって、従来のプレス成形方法の説明図である。 本発明の課題の説明図であって、従来のプレス成形方法によって成形された成形品におけるスプリングバックの発生メカニズムの説明図である。 本発明の課題の説明図であって、従来のプレス成形方法によって成形された成形品におけるスプリングバックの説明図である。 従来のプレス成形装置及びプレス成形方法の説明図である。 図13に示したプレス成形方法におけるスプリングバック抑制のメカニズムの説明図である(その1)。 図13に示したプレス成形方法におけるスプリングバック抑制のメカニズムの説明図である(その2)。
本実施の形態に係る一例としてのプレス成形装置1は、長手方向に延びる溝形状部及びパンチ底部51aを有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部51bの両側に長手方向に沿って湾曲する湾曲外側フランジ部51cおよび湾曲内側フランジ部51dを有する目標形状の成形品51(図3参照)を成形するものであって、図1に示すように、ダイ3と、パンチ5と、フランジ成形用ダイ7と、パッド9とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
<ダイ>
ダイ3は、溝形状部を成形する溝部11と溝部11の両側にダイ肩部13を有しており、図示しないダイ駆動装置によってパンチ5側に相対移動できるようになっている。
ダイ3の溝部11の上方には、パッド9を収容するパッド収容部15と、後述のパッド押付機構17を収容するためのパッド押付機構収容部19が設けられている。
<パンチ>
パンチ5は、ダイ3の溝部に挿入され、ダイ3と協働して目標形状のパンチ底部51aと縦壁部51bとからなる溝形状部を成形するものである。パンチ5は、図1に示すように、中央部に縦壁部51bを成形するための縦壁成形部21が設けられている。
<フランジ成形用ダイ>
フランジ成形用ダイ7は、ダイ肩部13に対向配置されてダイ肩部13と協働してフランジ部を成形するものであり、湾曲内側フランジ成形用ダイ7a(図1中左側)と湾曲外側フランジ成形用ダイ7b(図1中右側)がパンチ5の両側に設けられている。そして、湾曲内側フランジ成形用ダイ7a及び湾曲外側フランジ成形用ダイ7bは、いずれも高さ方向に移動可能であり、フランジ成形用ダイ移動機構23によって上下位置の設定と上下動が可能になっている。
湾曲内側フランジ成形用ダイ7aと湾曲外側フランジ成形用ダイ7bの高さは、同じである必要はなく、両者をそれぞれ独立に最適な高さ(所定の高さ)にすることによって、より精密に曲がりや捩れのスプリングバックを制御することができる。
以下の説明においては、湾曲内側フランジ成形用ダイ7a及び湾曲外側フランジ成形用ダイ7bの高さに関し、図1に示すように、パンチ5における縦壁成形部21の下端からの鉛直距離をダイギャップg(湾曲内側フランジ成形用ダイ7aのダイギャップをg1、湾曲外側フランジ成形用ダイ7bのダイギャップをg2)という。
<パッド>
パッド9は、成形過程においてブランク69をパンチ5に押し付けるものであり、ダイ3の内部に設けられたエアシリンダ等で構成されるパッド押付機構17によってパンチ5側に押し付けられるようになっている。
なお、パッド9を使用しなくても、本発明の方法は実施できるが、成形中にブランク69が動かないようにパッド9とパンチ5で把持しておくことが望ましい。
上記のように構成されたプレス成形装置1を用いたプレス成形方法を図2に基づいて説明する。図2(a)は成形開始前、図2(b)は第1下死点、図2(c)は第2下死点を示している。
図2(a)に示すプレス成形の開始時点において、湾曲内側フランジ成形用ダイ7aと湾曲外側フランジ成形用ダイ7bは、ダイギャップがそれぞれg1およびg2となるように上下位置が設定され、図中左側の湾曲内側フランジ成形用ダイ7aの高さが図中右側の湾曲外側フランジ成形用ダイ7bよりも若干だけ低く設定されている。すなわち、湾曲内側フランジ成形用ダイ7aのダイギャップg1を湾曲外側フランジ成形用ダイ7bのダイギャップg2よりも大きく設定している。これは、湾曲内側フランジ部51dのひずみの戻し量を湾曲外側フランジ部51cのそれよりも大きくするためである。
図2(a)のプレス成形開始前の状態から図2(b)の第1下死点の状態までの工程において、パッド9をブランク69の表面に押し付けたままダイ3を下降させると、パッド押付機構17およびパッド9はそれぞれパッド押付機構収容部19およびパッド収容部15に収容され、ブランク69にはパンチ底部51aと縦壁部51bからなる溝形状部が成形される。
このとき、フランジ成形用ダイ7は、図2(c)に示す第2下死点の状態よりもダイギャップだけ下方に押し下げられた状態にあるため、この状態で縦壁部51bが成形されると、ブランク69の幅方向端部(ブランク69の端部に相当する部位)が第2下死点の状態よりも内側に入り込む。さらに、湾曲内側フランジ成形用ダイ7aの位置が湾曲外側フランジ成形用ダイ7bの位置よりも低いので、第1下死点では、湾曲内側フランジ端部が湾曲外側フランジ端部よりも、より内側(パンチ5側)に入り込んでいる。
これにより、プレス成形開始前のフランジ内側端69aの線長は引き伸ばされて長くなり(伸びフランジ変形)、フランジ外側端69bの線長は縮められて短くなる(縮みフランジ変形)。
続く第1下死点(図2(b))から第2下死点(図2(c))までの工程において、ダイ3をさらに降下させると、湾曲外側フランジ部51cと湾曲内側フランジ部51dが成形される。この第1下死点から第2下死点までの過程では、フランジ内側端は外側に押し出される(湾曲中心に向かって流出する)変形をするため、フランジ内側端69aの線長は第1下死点よりもわずかに短くなり、第2下死点で目標形状相当の線長になる。他方、フランジ外側端69bは、第1下死点から第2下死点までの過程では外側に押し出される(湾曲外側に向かって流出する)変形をするため、フランジ外側端の線長は第1下死点よりもわずかに長くなり、第2下死点で目標形状相当の線長になる。
さらに、前述のとおり、第1下死点では、湾曲内側フランジ端部が湾曲外側フランジ端部よりも、より内側(パンチ5側)に入り込んでいるので、第1下死点から第2下死点までの過程において、湾曲内側フランジ部51dにおけるひずみの戻し量は、湾曲外側フランジ部51cのひずみの戻し量よりも大きくなる。
以上のように、本実施の形態のプレス成形装置1によれば、湾曲外側フランジ部51cと湾曲内側フランジ部51dにおいて図15に示したような、ひずみの戻し操作が行われ、残留応力の低減をすることができる。
特に、本実施の形態においては湾曲内側フランジ成形用ダイ7aと湾曲外側フランジ成形用ダイ7bを個別に高さ方向移動可能にし、それぞれに対してダイギャップを設定できるようにしたことにより、金型自体の形状を変えることなく、湾曲内側フランジ部51dと湾曲外側フランジ部51cの各ひずみの戻し量を個別に制御することができ、より精密に曲がりや捩れのスプリングバックを制御することができる。
本発明の実施形態のこのような柔軟性は、微調整を繰り返すプレスショップにおいてその繰り返し操作を削減できて大きな優位性を有していると言える。
なお、上記の例では湾曲内側フランジ成形用ダイ7aと湾曲外側フランジ成形用ダイ7bの双方を高さ方向移動可能にしたものであったが、本発明のプレス成形装置1はこれに限定されず、湾曲内側フランジ成形用ダイ7aと湾曲外側フランジ成形用ダイ7bの少なくとも一方が他方と独立して高さ調整可能に構成されればよく、例えば、湾曲内側フランジ成形用ダイ7aのみが高さ方向移動可能で、湾曲外側フランジ成形用ダイ7bは固定のものであってもよいし、その逆であってもよい。
さらに、上記の説明は、成形品51の全体が湾曲し、かつ、一対の縦壁部51bの両側に長手方向に沿って湾曲する湾曲外側フランジ部51cおよび湾曲内側フランジ部51dを有する成形品51を対象としたものであった。しかしながら、本発明が対象とする成形品は、成形品の全体が湾曲していないものや、溝形状部を形成する一対の縦壁部の一方に湾曲したフランジ部を有し、他方には湾曲しないフランジ部を有するものであってもよい。
溝形状部を形成する一対の縦壁部の一方にのみ湾曲したフランジ部を有する場合、本発明に係るプレス成形装置は、フランジ部成形用ダイのうち、長手方向に沿って湾曲するフランジ部側にあるフランジ成形用ダイのみが高さ方向移動可能であればよく、他方のフランジ成形用ダイは固定されているものであってもよい。
本発明の実施形態のプレス成形方法による作用効果について、プレス成形実験を行って検証したので、以下に説明する。
プレス成形した成形品51の目標形状は、図3および図4に示すように、ハット断面を有する長手方向に沿って湾曲した形状であり、長さは1000mm、断面の高さは30mm、パンチ底部51aの幅は20mm、湾曲外側フランジ部51cおよび湾曲内側フランジ部51dの幅はともに25mm、形状の幅中心の長手方向湾曲曲率半径は1000mmである。ブランク69として、板厚1.2mmの引張強度980MPa級の鋼板を使用した。プレス機には1000tonf油圧プレス機を用いた。
本発明例として、図1に示すプレス成形装置1を用いて、湾曲内側フランジ成形用ダイ7aと湾曲外側フランジ成形用ダイ7bの高さ(ダイギャップg1およびg2)をそれぞれ個別に設定した。
比較例として、図13に示すプレス成形装置59を用いて、特許文献1の方法を用い、相対移動距離hを変化させた。本発明例および比較例ともに、パッド9を使用し、パッド圧は50tonfとした。
成形品の評価は、曲がり量Δyと捩れ量Δθを比較することにより行った。
曲がり量Δyは、以下の方法で測定した。まず、成形された目標形状を3次元形状測定装置で測定した。その後、CADソフトウェア上で長手方向中央の湾曲部が設計形状と合うように測定形状データの位置合わせを行った後、部品端における測定形状データと設計形状データのY座標差異(曲がり量Δy、図5参照)を算出し、この曲がり量Δyをスプリングバックによる曲がり変形の指標とした。
曲がり量Δyは、正ならば部品の湾曲曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)方向に曲がり変形したことを、負ならば湾曲曲率が小さくなる(曲率半径が大きくなる)方向に曲がり変形したことを意味する。そして、絶対値が小さければスプリングバック量が少ないことを意味する。
一方、捩れ量Δθの測定は、以下の方法により行った。
曲がり量Δyの測定方法と同様、長手方向中央の湾曲部が設計形状と合うように測定形状データの位置合わせを行った後、図6に示すように湾曲部中央と端部の断面形状を抽出した。抽出した断面形状は図6の模式図のようになっている。測定形状のパンチ底部分と、設計形状のパンチ底部分のなす角(スプリングバックによる回転角)を、図6の回転角の方向を正として測定し、湾曲部中央のパンチ底回転角θCと、端部のパンチ底回転角θEから、捩れ量をΔθ=θE−θCとして計算した。
本発明例では、湾曲内側フランジ成形用ダイ7aのダイギャップg1を17mm、湾曲外側フランジ成形用ダイ7bのダイギャップg2を5mmに設定した。このとき、曲がり量Δyと捩れ量Δθは、それぞれ0.1mmと0.3度であり、曲がり量Δy、捩れ量Δθともに、ゼロに近い値にすることができた。
これに対し、比較例では、相対移動距離hを2.5mmから25mmまで変更した。
比較例において、曲がり量Δyと捩れ量Δθを測定した結果を、曲がり量Δyを○、捩れ量Δθを△で図7にプロットして示す。比較例では、相対移動距離h=11.8mmのときに曲がり量Δyはほぼゼロに、相対移動距離h=18.2mmのときに捩れ量Δθはほぼゼロとなったが、曲がり量Δyと捩れ量Δθの双方を同時にゼロにする相対移動距離hは存在しない結果となった。
本実施例からわかるように、本発明の方法では、湾曲内側フランジ成形用ダイ7aと湾曲外側フランジ成形用ダイ7bの高さをそれぞれ独立に設定することができ、曲がり量Δyと捩れ量Δθが、ともにゼロに近い値になるような操業条件を捜して設定することができることが実証された。
<プレス成形装置>
1 プレス成形装置
3 ダイ
5 パンチ
7 フランジ成形用ダイ
7a 湾曲内側フランジ成形用ダイ
7b 湾曲外側フランジ成形用ダイ
9 パッド
11 溝部
13 ダイ肩部
15 パッド収容部
17 パッド押付機構
19 パッド押付機構収容部
21 縦壁成形部
23 フランジ成形用ダイ移動機構
<成形品>
51 成形品
51a パンチ底部
51b 縦壁部
51c 湾曲外側フランジ部
51d 湾曲内側フランジ部
<従来例>
53 ダイ
55 パンチ
57 プレス成形金型
59 プレス成形装置
61 ダイ
63 フランジ成形用ダイ
65 支持機構
67 パンチ
69 ブランク
69a フランジ内側端
69b フランジ外側端
71 パッド
<記号>
g ダイギャップ
g1 湾曲内側フランジ成形用ダイのダイギャップ
g2 湾曲外側フランジ成形用ダイのダイギャップ
h 相対移動距離

Claims (2)

  1. 長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する目標形状の成形品を成形するプレス成形装置であって、
    前記溝形状部を成形する溝部と該溝部の両側にダイ肩部を有するダイと、前記ダイ肩部に対向配置されて前記ダイ肩部と協働して前記フランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記ダイの溝部に挿入されて前記溝形状部を成形するパンチと、を備え
    前記長手方向に沿って湾曲するフランジ部側にある前記フランジ成形用ダイの少なくとも一方は他方と独立して高さ方向移動可能に構成されていることを特徴とするプレス成形装置。
  2. 長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する目標形状の成形品を、請求項1記載のプレス成形装置を用いて成形するプレス成形方法であって、
    高さ方向移動可能な前記フランジ成形用ダイの高さを所定の高さに調整した状態で前記パンチと前記ダイによって溝形状部を前記目標形状に成形する工程と、前記フランジ成形用ダイを前記ダイ側に移動させて前記フランジ部を前記目標形状に成形する工程とを備えたことを特徴とするプレス成形方法。
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