JP6075333B2 - プレス成形方法及び装置 - Google Patents
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このため、スプリングバック後の形状を設計形状に近づけるために、生産現場では熟練者によって金型を幾度も修正して、トライアル&エラーを重ねなければならず、その結果、生産期間が長期化してしまう。
したがって、スプリングバックを効果的に低減できる方法を開発することは、自動車の開発期間やコストを削減する上でもますます重要な課題であると言える。
応力をコントロールしてスプリングバックを低減するものとして、例えば特許文献1に記載の「薄鋼板のプレス成形用金型装置」がある。特許文献1は、ハット断面部品をフォーム成形する際に、フランジ部に凸ビードを設けた金型でプレス成形する方法である。この方法は、下死点直前でブランクが凸ビードにロックされてブランクの縦壁部に引張変形が付与され、縦壁部の反りの原因であった板厚方向の応力差が解消されるというものである。
また、特許文献4ではパンチを分割し、分割した一方のパンチを動かすことによりスプリングバックの一形態である壁部反りの抑制を行っている。
しかし、実際の部品では捩れや曲がりといった部品全体に生ずる3次元的なスプリングバックが問題となる場合も多く、特許文献1乃至特許文献4はこのような問題に対する充分な対策とはなり得ない。
さらには、溝形状部を有する成形品の場合、スプリングバックの形態としていわゆる口開きが問題となるが、捩れや曲がりに加えて口開きに対する対策を行うことができるものはない。
その結果、成形品17には図23に示すように軸方向の捩れと口開きのスプリングバックが複合的に生じる。
また、溝形状部19を有する成形品では、口開きのスプリングバックについても、捩れと同様に対策が必要である。
そこで、発明者はこれら2種類のスプリングバックを同時に低減する方法として、成形途中において、製品形状の溝形状部よりも溝底幅の狭い溝形状部を有し、かつ縮みフランジ変形を受けるフランジ部又は伸びフランジ変形を受けるフランジ部の少なくとも一方について、縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも長くなる中間形状を成形し、このような中間形状を製品形状に成形することを考えた。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
前記突き出しパンチを前記パンチの上面から突き出して、前記突き出しパンチと前記ダイによってブランクを挟むことで、前記製品形状の溝形状部よりも溝底幅の狭い溝形状部を有し、縮みフランジ変形を受けるフランジ部又は伸びフランジ変形を受けるフランジ部の少なくとも一方について、縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも長くなる中間形状を成形する第1成形工程と、
前記パンチとフランジ成形用ダイと前記ダイによって、前記中間形状を前記製品形状に成形する第2成形工程とを備え、
前記第1成形工程と前記第2成形工程を1度のプレス成形中に行うことを特徴とするものである。
溝状凹陥部と該溝状凹陥部の少なくとも片側にフランジ成形部を有するダイと、該ダイの前記溝状凹陥部に上部が挿入されるパンチと、前記ダイの前記フランジ成形部と協働して前記フランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記パンチの上面よりも幅狭で該パンチの上面に出没可能に設けられた突き出しパンチと、該突き出しパンチを、常時はその上部が前記パンチの上面から突出するように支持し、所定の圧力が作用したときに前記パンチの上面から没入するように支持する支持装置と、前記フランジ成形用ダイを、前記ダイの下死点よりも下方に位置させて該位置から上方に前記パンチと独立に移動させるフランジ成形用ダイ移動装置とを備え、
前記パンチに対する前記フランジ成形用ダイの相対移動距離をh1、前記パンチに対する前記突き出しパンチの相対移動距離をh2、前記製品形状のフランジ幅をLとしたときに、
0.05<h1/L<1.0および0.05<h2/L<1.0
の条件を満たすことを特徴とするものである。
また、第1成形工程で縮みフランジ変形を受けるフランジ部又は伸びフランジ変形を受けるフランジ部の少なくとも一方について、縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が製品形状のフランジ部の線長よりも長くなるように中間形状を成形し、第2成形工程で中間形状を製品形状に成形するようにしたので、第1成形工程でフランジ部に生ずる長手方向のひずみを第2成形工程で戻すことができ、これによってフランジ部に生ずる残留応力を減少させ成形品全体の捩れのスプリングバックを低減することができる。
本発明の一実施の形態に係るプレス成形装置1は、図19に示す製品形状を有する成形品17を成形するプレス成形装置1であって、図1及び図2に示すように、溝状凹陥部3aと溝状凹陥部3aの両側にフランジ成形部3bを有するダイ3と、ダイ3の溝状凹陥部3aに上部が挿入されるパンチ5と、ダイ3のフランジ成形部3bと協働してフランジ部(内側フランジ部21及び外側フランジ部23)を成形するフランジ成形用ダイ7と、パンチ5の上面よりも幅狭でパンチ5の上面に出没可能に設けられた突き出しパンチ9と、突き出しパンチ9を支持する支持装置11と、フランジ成形用ダイ7をパンチ5と独立に移動させるフランジ成形用ダイ移動装置13とを備えている。
以下に、まず成形品17について概説した後、プレス成形装置1の各構成について図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
成形品17は、図19に示すように、全体形状が長手方向に沿って湾曲してなり、長手方向に延びる溝形状部19と、溝形状部19の両側に連続する内側フランジ部21及び外側フランジ部23とを有している。
溝形状部19は、溝底部19aと、溝底部19aの両側に形成された一対の縦壁部19bからなる。
内側フランジ部21は成形品17の湾曲する円弧の内側のフランジ部であり、外側フランジ部23は外側のフランジ部である。
内側フランジ部21は、そのフランジ端部が成形過程において曲率が小さくなる(曲率半径が大きくなる)方向に成形されるので、フランジ端部の線長が伸びるため伸びフランジ成形となる。他方、外側フランジ部23のフランジ端部は成形過程において曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)方向に成形されるので、フランジ端部の線長が短くなるため、縮みフランジ成形となる。
したがって、内側フランジ部21が本発明の伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対応し、外側フランジ部23が本発明の縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対応している。
<ダイ>
ダイ3は、図1及び図2に示すように、成形品17の溝形状部19を成形する溝状凹陥部3aと、溝状凹陥部3aの両側にフランジ成形部3bを有している。
パンチ5は、図1及び図2に示すように、長手方向に沿って湾曲した凸条からなり、該凸条の上面が溝底部19aを成形する溝底成形部5aになっており、溝底部19aの両側が縦壁部19bを成形する縦壁成形部5bになっている。
これら溝底成形部5aと縦壁成形部5bがダイ3の溝状凹陥部3aに挿入されることで、溝底部19aと縦壁部19bが成形される。
パンチ5の内部には、図2に示すように、支持装置11を設置するための設置空間5cが形成されており、溝底成形部5aから設置空間5cに連通する挿通孔5dが複数設けられている。この挿通孔5dには、後述するように、突き出しパンチ5が出没可能に挿通されている。
突き出しパンチ9は、例えば、図1及び図2に示すように、棒状からなり、パンチ5の挿通孔5dに挿入されて下端が支持装置11で支持され、上部がパンチ5の溝底成形部5aに出没可能に設けられている。
突き出しパンチ9は、常時は上端が溝底成形部5aから所定の高さだけ突き出しており、この状態でダイ3の溝状凹陥部3aに挿入されることで、突き出しパンチ9の上端と溝状凹陥部3aによってブランク15を挟持できるようになっている。
支持装置11は、突き出しパンチ9を、その上端がパンチ5の溝底成形部5aの上面から出没可能な状態で支持するものであり、図2に示すように、パンチ5の設置空間5c内に設け、突き出しパンチ9を支持する支持部11aと、支持部11aを所定の付勢力で上方に向けて付勢する弾性部材11bとを有している。
弾性部材11bとしては例えばバネ、ゴム等の弾性体、圧力流体圧シリンダ等を適用できる。
弾性部材11bの支持力は、ダイ3の押圧力が所定値以内では突き出しパンチ9に作用しても、突き出しパンチ9がパンチ5の溝底成形部5aから没入することがなく、ダイ3の押圧力が所定の値を超えて作用したときに、突き出しパンチ9が没入するように設定されている。
なお、上述した突き出しパンチ9のパンチ5の溝底成形部5aからの所定の高さが、突き出しパンチ9のパンチ5に対する相対移動距離であり、該相対移動距離を以下の説明において第2相対移動距離h2という(図2参照)。
フランジ成形用ダイ7は、ダイ3のフランジ成形部3bと協働してフランジ部を成形するためのものであり、図1及び図2に示すように、フランジ成形部3bに対向するフランジ成形面7aを有している。
フランジ成形用ダイ7は、本実施の形態ではパンチ5の両側に配置されてフランジ成形用ダイ移動装置13によってダイ3に対して離接可能(この例では上下動可能)に支持されている。
フランジ成形用ダイ移動装置13は、フランジ成形用ダイ7を上下動させるためのものである。
フランジ成形用ダイ移動装置13としては例えば、NCダイクッション等の圧力流体圧シリンダや、バネ等の弾性体が適用できる。
フランジ成形用ダイ移動装置13は、プレス成形開始前にフランジ成形用ダイ7をダイ3の下死点よりも下方に位置させておき、該位置から上方にパンチ5とは独立に移動させる。なお、このフランジ成形用ダイ7の下死点までの移動距離がパンチ5に対するフランジ成形用ダイ7の相対移動距離であり、該相対移動距離を以下の説明において、第1相対移動距離h1という。
本発明の一実施に係るプレス成形方法は、中間形状を成形する第1成形工程と、中間形状を製品形状に成形する第2成形工程とを備えており、第1成形工程と第2成形工程を1度のプレス成形中に行うものである。
図5に示すように、例えば、内側端15aにおいて、プレス成形開始前のA0点、B0点はそれぞれ、第1下死点ではA1点、B1点となり、A2点、B2点を経て、第2下死点ではA3点、B3点となり、線長はA0B0→A1B1→A2B2→A3B3と変化する。
第1成形工程は、突き出しパンチ9をパンチ5の溝底成形部5aから突き出して、突き出しパンチ5とダイ3によってブランク15を挟むことで、製品形状の溝形状部19よりも溝底幅の狭い溝形状部を有し、縮みフランジ変形を受ける外側フランジ部に対しては長手方向の線長が製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受ける内側フランジ部に対しては長手方向の線長が製品形状のフランジ部の線長よりも長くなる中間形状を成形する工程である。
このようにして、溝形状部19の溝底幅が製品形状のものよりも幅狭の中間形状が成形される。
このような低減効果は、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2を変えて曲げ加工の度合い(曲げ角度)を変化させることで、調整することができる。この点については後述する。
第2成形工程は、第1成形工程で成形した中間形状を製品形状に成形する工程であり、パンチ5とダイ3によって溝形状部19を製品形状に成形する工程と、該工程の後で、ダイ3及びフランジ成形用ダイ7によりフランジ部を製品形状に成形する工程を含んでいる。
口開きのスプリングバックの低減効果は上述したように、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2を変化させることで調整することができる。例えば、第2相対移動距離h2を高くして曲げ角度を急にする(曲げ加工の度合いを大きくする)ことでスプリングゴーを大きくすることができる。特に第2相対移動距離h2を変化させることは第1相対移動距離h1を変化させることよりも口開きのスプリングバック低減に対して効果が大きい。この点は後述する実施例で実証している。
内側端15aは、図5の拡大図に示すとおり、外側に押し出される変形をするため、内側端15aの線長はさらに短くなり(A2B2→A3B3)、製品形状における内側フランジ部21の線長となる。
一方、外側端15bの線長は、図5の拡大図に示すとおり、さらに長くなり(C2D2→C3D3)、製品形状における外側フランジ部23の線長となる。
このように、本発明は、ひずみの僅かな戻りに対して残留応力が敏感に大きく変化する特徴を利用したものである。
すなわち、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2が大きければひずみの戻し量は大きく応力の低減効果(スプリングバックの低減効果)は大きい。なお、第1相対移動距離h1を調整することは第2相対移動距離h2を調整するよりも、捩れのスプリングバックの低減効果が大きい。この点は後述する実施例で実証している。
また、ひずみの戻し量を調整して内側フランジ部21及び外側フランジ部23とで残留応力のバランスを取ることで、離型後のスプリングバックによる捩れを低減させることもできる。
この点、成形品17のフランジ幅をL(図19参照)とすると、フランジ幅Lと第1相対移動距離h1の関係は、0.05<h1/L<1.0の範囲内に設定することが望ましい。また、フランジ幅Lと第2相対移動距離h2の関係も、0.05<h2/L<1.0の範囲内に設定することが望ましい。
フランジ幅Lと第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2の下限を上記にすることについては、後述する実施例に基づくものであり、上限を上記にすることは、h1/L≧1.0、h2/L≧1.0では成形開始時のフランジ端部がフランジ成形用ダイ7に接触しないため、フランジ端部の線長が変わらなくなって、製品形状に影響しないためである。
上記実施の形態1では、捩れのスプリングバックを低減させるために、内側フランジ21及び外側フランジ23の両方においてひずみを戻すようにしたものを例に挙げて説明したが、捩れのスプリングバックを低減させるには、成形品17全体として内側フランジ21と外側フランジ23との間で残留応力のバランスが取れればよく、内側フランジ部21または外側フランジ部23の一方についてのみ、ひずみを戻すようにしてもよい。
パンチ27は、ダイ3と協働して溝底部19aと縦壁部19bと外側フランジ部23を成形するものであり、外側フランジ部23は図21に示す従来のプレス成形と同様に成形される。
まず、図8(a)に示すようにブランク15を載置し、ダイ3を移動させて、ブランク15をクランプする(図8(b)参照)。
クランプ時においては、上記実施の形態1の場合と同様に、内側フランジ部21では伸びフランジ変形となる。
一方、外側フランジ部23でも実施の形態1の場合と同様に縮みフランジ変形となるが、第1相対移動距離h1が設定されていない分、実施の形態1の場合よりも早い段階で外側端15bが金型(外側フランジ成形部27a)に当接して材料の流入が阻害されるので、変形量は小さい。
一方、外側端15bでは、長手方向の線長が僅かに長くなり、縮みフランジ変形が緩和されて圧縮応力が減少する点は実施の形態1の場合と同様であるが、上述したように、クランプ時の縮みフランジ変形量が実施の形態1の場合と比べわずかであるため、ひずみの戻し量も小さい。
従って、内側フランジ部21と外側フランジ部23とのひずみの戻し量により、残留応力の緩和効果を異ならせることができ、これによって、内側フランジ部21と外側フランジ部23とでの残留応力のバランスを調整し、成形品17全体としてスプリングバックによる変形を緩和することができる。
実施の形態2に示したものとは逆に、外側フランジ部23のみに第1相対移動距離h1を設定するようにしてもよく、この場合、図10に示すように、内側フランジ成形部30aを有するパンチ30と、外側フランジ部23を成形するためのフランジ成形用ダイ7を有するプレス成形装置29を用いる。なお、図10において支持装置11とフランジ成形用ダイ移動装置13の図示は省略しており、プレス成形装置1と同一のものには同一の符号を付している。
パンチ30は、ダイ3と共に溝底部19aと縦壁部19bと内側フランジ部21を成形する。
その後成形が進むと第2下死点までに、内側フランジ部21においては、線長が僅かに短くなり、実施の形態1の場合ほどではないが伸びフランジ変形がわずかに緩和されて引張応力が減少する。一方、外側フランジ部23においては線長が僅かに長くなり縮みフランジ変形が緩和されて圧縮応力が大幅に減少する。
このように、実施の形態2と同様に、内側フランジ部21と外側フランジ部23で残留応力のバランスを取ることができ、捩じれのスプリングバックを緩和することができる。
図11(a)〜図11(f)は、内側及び外側の両方に湾曲したフランジ部を有するものである。図11(a)、(d)は縦壁が垂直になっているものである。図11(b)、(e)は上述した成形品17の断面と同様であり、縦壁が傾斜しているものである。図11(c)、(f)は両縦壁が傾斜して三角形を形成しているものである。図11(c)、(f)の断面を成形するには、先端がRになっているパンチを使用するとよい。
また、図11(g)〜図11(i)に示すように、図11(a)〜図11(c)の内側または外側のいずれか一方のみに湾曲したフランジ部を有するものであってもよい。
フランジ部の長さ、高さ位置や角度について制限はない。
図13(a)は、成形品全体が長手方向中央で上に凸となるように湾曲した形状の一例(成形品35)を図示したものであり、図13(b)は長手方向中央で下に凸となるように湾曲した形状の一例(成形品37)を図示したものである。なお、成形品35は図14(a)に示すプレス成形装置39を用いて成形され、成形品37は図14(b)に示すプレス成形装置47を用いて成形される。図14において図1〜図4と同様のものには同一の符号を付している。
また、図15に示すように、成形品の溝形状部は湾曲せずに、フランジ部のみが湾曲するようなものも含む。
図15(a)は、成形品のフランジ部のみが長手方向中央で上に凸となるように湾曲した形状の一例(成形品55)を図示したものであり、図15(b)は成形品のフランジ部のみが長手方向中央で下に凸となるように湾曲した形状の一例(成形品57)を図示したものである。
まず、実験方法について概説する。実験は、プレス成形装置1を用いて、第1相対移動距離h1と、第2相対移動距離h2を変えてプレス成形を行い、成形された成形品のスプリングバック量を比較するというものである。
成形対象となる成形品17は、図16及び図17に示すように、ハット断面を有する長手方向に沿って湾曲した形状であり、長さは600mm、断面の高さは40mm、溝底部19aの幅は30mm、内側フランジ部21及び外側フランジ部23の幅はともに15mm、部品幅中央の長手方向湾曲曲率半径は800mmである。ブランク15は厚さ1.2mmの780MPa級鋼板を使用した。プレス機には1200tonf油圧プレス機を用いた。
また、比較例として、図20に示す通常のプレス成形金型でフォーム成形を行った。比較例はh1=0mm、h2=0mmに相当する。
捩れ角Δθは、図18に示すように溝底部19aの回転角度とした。
捩れ角Δθは、正の値なら端面側から見て時計周り方向に捩れていることを意味し、0に近いほど捩れが少ないことを意味している。
口開き量ΔWは、図18に示すように離型前形状の開口広さをW0、離型後形状の開口広さをW1とし、W1-W0で求めた。ここで開口広さとは、内側フランジ部21のR留まりから外側フランジ部23のR留まりまでの距離のことである。
口開き量Wは、正の値なら口開きが発生したことを意味し、0に近いほど口開きが小さいことを意味している。
第1相対移動距離h1を増加させた場合の方が、第2相対移動距離h2を増加させた場合よりも捩れ角Δθの減少量が大きくなっており、捩れのスプリングバックの低減効果が高いことが分かる。
また、第2相対移動距離h2を増加させた場合の方が、第1相対移動距離h1を増加させた場合よりも口開き量ΔWの減少量が大きくなっており、口開きのスプリングバックの低減効果が高いことが分かる。
さらにまた、h1=4mm、h2=6mm程度に設定した場合、捩れ角Δθが0.1°、口開き量ΔWが0mmであり、非常に好適であった。
3 ダイ
3a 溝状凹陥部
3b フランジ成形部
5 パンチ
5a 溝底成形部
5b 縦壁成形部
5c 設置空間
5d 挿通孔
7 フランジ成形用ダイ
7a フランジ成形面
9 突き出しパンチ
11 支持装置
11a 支持部
11b 弾性部材
13 フランジ成形用ダイ移動装置
15 ブランク
15a 内側端
15b 外側端
17 成形品
19 溝形状部
19a 溝底部
19b 縦壁部
21 内側フランジ部
23 外側フランジ部
25 プレス成形装置(実施の形態2)
27 パンチ
27a 外側フランジ成形部
29 プレス成形装置(実施の形態3)
30 パンチ
30a 内側フランジ成形部
31 内側に湾曲フランジを有する成形品
33 外側に湾曲フランジを有する成形品
35 上に凸となる湾曲形状の成形品
37 下に凸となる湾曲形状の成形品
39 本発明のプレス成形装置(他の態様)
41 ダイ
43 パンチ
45 フランジ用成形ダイ
47 本発明のプレス成形装置(さらに他の態様)
49 ダイ
51 パンチ
53 フランジ用成形ダイ
55 フランジ部のみが上に凸となる湾曲形状の成形品
57 フランジ部のみが下に凸となる湾曲形状の成形品
61 プレス成形金型(従来例)
63 ダイ
65 パンチ
Claims (5)
- 溝状凹陥部と該溝状凹陥部の少なくとも片側にフランジ成形部を有するダイと、該ダイの前記溝状凹陥部に上部が挿入されるパンチと、前記ダイの前記フランジ成形部と協働してフランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記パンチの上面よりも幅狭で該パンチの上面から突き出し可能に設けられた突き出しパンチとを有する金型を用いて、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する製品形状の成形品をプレス成形するプレス成形方法であって、
前記突き出しパンチを前記パンチの上面から突き出して、前記突き出しパンチと前記ダイによってブランクを挟むことで、前記製品形状の溝形状部よりも溝底幅の狭い溝形状部を有し、縮みフランジ変形を受けるフランジ部又は伸びフランジ変形を受けるフランジ部の少なくとも一方について、縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも長くなる中間形状を成形する第1成形工程と、
前記パンチとフランジ成形用ダイと前記ダイによって、前記中間形状を前記製品形状に成形する第2成形工程とを備え、
前記第1成形工程と前記第2成形工程を1度のプレス成形中に行うことを特徴とするプレス成形方法。 - 前記第2成形工程は、前記パンチと前記ダイによって溝形状部を製品形状に成形する工程と、該工程の後で、前記ダイおよび前記フランジ成形用ダイにより前記フランジ部を製品形状に成形する工程を含んでいることを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
- 長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する製品形状の成形品をプレス成形するプレス成形装置であって、
溝状凹陥部と該溝状凹陥部の少なくとも片側にフランジ成形部を有するダイと、該ダイの前記溝状凹陥部に上部が挿入されるパンチと、前記ダイの前記フランジ成形部と協働して前記フランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記パンチの上面よりも幅狭で該パンチの上面に出没可能に設けられた突き出しパンチと、該突き出しパンチを、常時はその上部が前記パンチの上面から突出するように支持し、所定の圧力が作用したときに前記パンチの上面から没入するように支持する支持装置と、前記フランジ成形用ダイを、前記ダイの下死点よりも下方に位置させて該位置から上方に前記パンチと独立に移動させるフランジ成形用ダイ移動装置とを備え、
前記パンチに対する前記フランジ成形用ダイの相対移動距離をh1、前記パンチに対する前記突き出しパンチの相対移動距離をh2、前記製品形状のフランジ幅をLとしたときに、
0.05<h1/L<1.0および0.05<h2/L<1.0
の条件を満たすことを特徴とするプレス成形装置。 - 前記フランジ成形用ダイ及び前記フランジ成形用ダイ移動装置が、前記パンチの一方の側部に設けられていることを特徴とする請求項3記載のプレス成形装置。
- 前記フランジ成形用ダイ及び前記フランジ成形用ダイ移動装置が、前記パンチの両方の側部に設けられていることを特徴とする請求項3記載のプレス成形装置。
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