JP6075333B2 - プレス成形方法及び装置 - Google Patents

プレス成形方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6075333B2
JP6075333B2 JP2014129915A JP2014129915A JP6075333B2 JP 6075333 B2 JP6075333 B2 JP 6075333B2 JP 2014129915 A JP2014129915 A JP 2014129915A JP 2014129915 A JP2014129915 A JP 2014129915A JP 6075333 B2 JP6075333 B2 JP 6075333B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flange
punch
die
forming
groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014129915A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016007623A (ja
Inventor
亮伸 石渡
亮伸 石渡
智史 澄川
智史 澄川
平本 治郎
治郎 平本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2014129915A priority Critical patent/JP6075333B2/ja
Publication of JP2016007623A publication Critical patent/JP2016007623A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6075333B2 publication Critical patent/JP6075333B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Description

本発明は、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する製品形状の成形品を成形するプレス成形方法及び装置に関する。
プレス成形とは、その対象物である材料(ブランク)に金型を押し付けることにより、金型の形状をブランクに転写して加工を行う方法のことである。プレス成形においては、プレス成形品を金型から取り出した後に、そのプレス成形品内の残留応力が弾性回復することによって起こる形状不良、いわゆるスプリングバックが発生し、所望の形状とは異なってしまう問題がしばしば発生する。
スプリングバックがどの程度生じるかは、主に材料の強度に大きく影響される。昨今では、特に自動車業界を中心に、自動車車体の軽量化の観点から車体部品に高強度な鋼板を使用する傾向が強くなっており、このような材料の高強度化に伴いスプリングバックの生じる程度が大きくなっている。
このため、スプリングバック後の形状を設計形状に近づけるために、生産現場では熟練者によって金型を幾度も修正して、トライアル&エラーを重ねなければならず、その結果、生産期間が長期化してしまう。
したがって、スプリングバックを効果的に低減できる方法を開発することは、自動車の開発期間やコストを削減する上でもますます重要な課題であると言える。
スプリングバックの低減には、その発生原因である応力のコントロールが必要不可欠である。
応力をコントロールしてスプリングバックを低減するものとして、例えば特許文献1に記載の「薄鋼板のプレス成形用金型装置」がある。特許文献1は、ハット断面部品をフォーム成形する際に、フランジ部に凸ビードを設けた金型でプレス成形する方法である。この方法は、下死点直前でブランクが凸ビードにロックされてブランクの縦壁部に引張変形が付与され、縦壁部の反りの原因であった板厚方向の応力差が解消されるというものである。
また、他の例として、パンチの外周に設置されたブランクホルダに窪みを設けた金型で成形する方法が特許文献2に提案されている。この方法は、成形中、ブランクホルダの窪みにブランク端部が入り込み、さらに成形が進むとブランク端部が窪み内壁に引っ掛かって拘束された状態となる。このため、ブランクが外へ流出しなくなるので、下死点直前でブランクの縦壁部に面内圧縮応力を付与することができ、板厚方向の応力差が解消されるというものである。
特許文献3では同様にパンチを分割し、分割した部分を独立に動かすことにより材料を金型内部に引き込むことで材料の割れ防止をおこなっている。
また、特許文献4ではパンチを分割し、分割した一方のパンチを動かすことによりスプリングバックの一形態である壁部反りの抑制を行っている。
特許第4090028号公報 特開2010-99700号公報 特開2007-326112号公報 特許第4158028号公報
特許文献1の方法では、成形された部品のフランジ部にビード形状が残ってしまうため、組立工程において他部品との溶接時に不具合が生じる可能性がある。そのため、製品内にビード形状が入らないようにブランク長さを長くとりビード形状が残存する部分をカットする必要がある。
また、特許文献1乃至特許文献4は、スプリングバックによってある断面に生じる形状変化に対する対策である。
しかし、実際の部品では捩れや曲がりといった部品全体に生ずる3次元的なスプリングバックが問題となる場合も多く、特許文献1乃至特許文献4はこのような問題に対する充分な対策とはなり得ない。
さらには、溝形状部を有する成形品の場合、スプリングバックの形態としていわゆる口開きが問題となるが、捩れや曲がりに加えて口開きに対する対策を行うことができるものはない。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、製品形状を変えることなく、捩れや曲がり、さらには口開きといった3次元的なスプリングバックを低減するプレス成形方法及び装置を提供することを目的としている。
発明者は上記課題を解決するため、図19に示すような溝底部19a、縦壁部19bからなる溝形状部19及びフランジ部(外側フランジ23及び内側フランジ21)で形成され、かつ長手方向に沿って湾曲するフランジを有する成形品17をフォーム成形した際に成形品17に生じるスプリングバックの形態について検討した。
従来のフォーム成形では図20の斜視図、図21の断面図に示すようにダイ63とパンチ65でブランク15を挟み込むことで成形を行う。図22は成形前後のブランク外形線を示した図である。湾曲曲率の大きい(曲率半径の小さい)側のフランジ(以下、内側フランジ21)に該当する外形線は成形によりブランクが流入することで曲率は小さくなり(曲率半径は大きくなり)、線長が長くなる(A0B0→A1B1)。つまり、内側フランジ21は伸びフランジ変形となり下死点では長手方向に引張応力が残存する。
一方、湾曲曲率の小さい(曲率半径の大きい)側のフランジ(以下、外側フランジ23)ではその逆で、外形線は成形によりブランクが流入することで曲率は大きくなり(曲率半径は小さくなり)、線長が短くなる(C0D0→C1D1)。つまり、外側フランジ23は縮みフランジ変形となり下死点では長手方向に圧縮応力が残留する。
これらの残留応力は離型時に解放されると、内側フランジ21では縮み変形、外側フランジ23は伸び変形となり、その結果、図23(a)に示すように、成形品17に軸方向の捩じれのスプリングバックを生じさせる。なお図23において、破線が離型前でスプリングバックが生じる前の形状を示しており、実線が離型後でスプリングバックが生じた後の形状を示している。
また、パンチ肩部にも応力が残留し、該残留応力は離型時に解放されると、図23(b)に示すように、成形品に口開きのスプリングバックを生じさせる。
その結果、成形品17には図23に示すように軸方向の捩れと口開きのスプリングバックが複合的に生じる。
以上のように、長手方向に湾曲したフランジ部を有する成形部品では、フランジ部の残留応力の低減が成形品の捩じれのスプリングバック低減に非常に重要であると言える。
また、溝形状部19を有する成形品では、口開きのスプリングバックについても、捩れと同様に対策が必要である。
そこで、発明者はこれら2種類のスプリングバックを同時に低減する方法として、成形途中において、製品形状の溝形状部よりも溝底幅の狭い溝形状部を有し、かつ縮みフランジ変形を受けるフランジ部又は伸びフランジ変形を受けるフランジ部の少なくとも一方について、縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも長くなる中間形状を成形し、このような中間形状を製品形状に成形することを考えた。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、溝状凹陥部と該溝状凹陥部の少なくとも片側にフランジ成形部を有するダイと、該ダイの前記溝状凹陥部に上部が挿入されるパンチと、前記ダイの前記フランジ成形部と協働してフランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記パンチの上面よりも幅狭で該パンチの上面から突き出し可能に設けられた突き出しパンチとを有する金型を用いて、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する製品形状の成形品をプレス成形するプレス成形方法であって、
前記突き出しパンチを前記パンチの上面から突き出して、前記突き出しパンチと前記ダイによってブランクを挟むことで、前記製品形状の溝形状部よりも溝底幅の狭い溝形状部を有し、縮みフランジ変形を受けるフランジ部又は伸びフランジ変形を受けるフランジ部の少なくとも一方について、縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも長くなる中間形状を成形する第1成形工程と、
前記パンチとフランジ成形用ダイと前記ダイによって、前記中間形状を前記製品形状に成形する第2成形工程とを備え、
前記第1成形工程と前記第2成形工程を1度のプレス成形中に行うことを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第2成形工程は、前記パンチと前記ダイによって溝形状部を製品形状に成形する工程と、該工程の後で、前記ダイおよび前記フランジ成形用ダイにより前記フランジ部を製品形状に成形する工程を含んでいることを特徴とするものである。
(3)本発明に係るプレス成形装置は、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する製品形状の成形品をプレス成形するプレス成形装置であって、
溝状凹陥部と該溝状凹陥部の少なくとも片側にフランジ成形部を有するダイと、該ダイの前記溝状凹陥部に上部が挿入されるパンチと、前記ダイの前記フランジ成形部と協働して前記フランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記パンチの上面よりも幅狭で該パンチの上面に出没可能に設けられた突き出しパンチと、該突き出しパンチを、常時はその上部が前記パンチの上面から突出するように支持し、所定の圧力が作用したときに前記パンチの上面から没入するように支持する支持装置と、前記フランジ成形用ダイを、前記ダイの下死点よりも下方に位置させて該位置から上方に前記パンチと独立に移動させるフランジ成形用ダイ移動装置とを備え、
前記パンチに対する前記フランジ成形用ダイの相対移動距離をh1、前記パンチに対する前記突き出しパンチの相対移動距離をh2、前記製品形状のフランジ幅をLとしたときに、
0.05<h1/L<1.0および0.05<h2/L<1.0
の条件を満たすことを特徴とするものである。
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記フランジ成形用ダイ及び前記フランジ成形用ダイ移動装置が、前記パンチの一方の側部に設けられていることを特徴とするものである。
(5)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記フランジ成形用ダイ及び前記フランジ成形用ダイ移動装置が、前記パンチの両方の側部に設けられていることを特徴とするものである。
本発明においては、第1成形工程で中間形状の溝底幅を製品形状の溝形状部よりも狭く成形し、第2成形工程で中間形状を製品形状に成形するようにしたので、口開きのスプリングバックを低減することができる。
また、第1成形工程で縮みフランジ変形を受けるフランジ部又は伸びフランジ変形を受けるフランジ部の少なくとも一方について、縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が製品形状のフランジ部の線長よりも長くなるように中間形状を成形し、第2成形工程で中間形状を製品形状に成形するようにしたので、第1成形工程でフランジ部に生ずる長手方向のひずみを第2成形工程で戻すことができ、これによってフランジ部に生ずる残留応力を減少させ成形品全体の捩れのスプリングバックを低減することができる。
本発明の一実施の形態に係るプレス成形装置の要部の斜視図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形装置の要部の縦断面図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の効果発生のメカニズムの説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の効果発生のメカニズムの説明図である(その2)。 本発明の他の実施の形態に係るプレス成形装置の要部の斜視図である。 図7のプレス成形装置を用いたプレス成形方法の説明図である(その1)。 図7のプレス成形装置を用いたプレス成形方法の説明図である(その2)。 本発明のさらに他の実施の形態に係るプレス成形装置の要部の斜視図である。 本発明を適用可能なプレス成形品の断面形状の態様の説明図である。 本発明を適用可能なプレス成形品の製品形状の一例である(その1)。 本発明を適用可能なプレス成形品の製品形状の一例である(その2)。 図13のプレス成形品を成形するためのプレス成形金型の一例である。 本発明を適用可能なプレス成形品の製品形状の一例である(その3)。 本発明の実施例1に係るプレス成形品の製品形状の説明図である(その1)。 本発明の実施例1に係るプレス成形品の製品形状の説明図である(その2)。 本発明の実施例1に係るスプリングバックの評価方法の説明図である。 本発明が解決しようとする課題の説明図であって、本発明の成形対象とする製品形状を有するプレス成形品の斜視図である。 本発明が解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形装置の金型の斜視図である。 本発明が解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形方法の説明図である。 本発明が解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形方法によって成形された成形品におけるスプリングバックの発生メカニズムの説明図である。 本発明が解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形方法によって成形された成形品におけるスプリングバックの説明図である(その1)。 本発明が解決しようとする課題の説明図であって、従来のプレス成形方法によって成形された成形品におけるスプリングバックの説明図である(その2)。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係るプレス成形装置1は、図19に示す製品形状を有する成形品17を成形するプレス成形装置1であって、図1及び図2に示すように、溝状凹陥部3aと溝状凹陥部3aの両側にフランジ成形部3bを有するダイ3と、ダイ3の溝状凹陥部3aに上部が挿入されるパンチ5と、ダイ3のフランジ成形部3bと協働してフランジ部(内側フランジ部21及び外側フランジ部23)を成形するフランジ成形用ダイ7と、パンチ5の上面よりも幅狭でパンチ5の上面に出没可能に設けられた突き出しパンチ9と、突き出しパンチ9を支持する支持装置11と、フランジ成形用ダイ7をパンチ5と独立に移動させるフランジ成形用ダイ移動装置13とを備えている。
以下に、まず成形品17について概説した後、プレス成形装置1の各構成について図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
〔成形品17〕
成形品17は、図19に示すように、全体形状が長手方向に沿って湾曲してなり、長手方向に延びる溝形状部19と、溝形状部19の両側に連続する内側フランジ部21及び外側フランジ部23とを有している。
溝形状部19は、溝底部19aと、溝底部19aの両側に形成された一対の縦壁部19bからなる。
内側フランジ部21は成形品17の湾曲する円弧の内側のフランジ部であり、外側フランジ部23は外側のフランジ部である。
内側フランジ部21は、そのフランジ端部が成形過程において曲率が小さくなる(曲率半径が大きくなる)方向に成形されるので、フランジ端部の線長が伸びるため伸びフランジ成形となる。他方、外側フランジ部23のフランジ端部は成形過程において曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)方向に成形されるので、フランジ端部の線長が短くなるため、縮みフランジ成形となる。
したがって、内側フランジ部21が本発明の伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対応し、外側フランジ部23が本発明の縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対応している。
〔プレス成形装置〕
<ダイ>
ダイ3は、図1及び図2に示すように、成形品17の溝形状部19を成形する溝状凹陥部3aと、溝状凹陥部3aの両側にフランジ成形部3bを有している。
<パンチ>
パンチ5は、図1及び図2に示すように、長手方向に沿って湾曲した凸条からなり、該凸条の上面が溝底部19aを成形する溝底成形部5aになっており、溝底部19aの両側が縦壁部19bを成形する縦壁成形部5bになっている。
これら溝底成形部5aと縦壁成形部5bがダイ3の溝状凹陥部3aに挿入されることで、溝底部19aと縦壁部19bが成形される。
パンチ5の内部には、図2に示すように、支持装置11を設置するための設置空間5cが形成されており、溝底成形部5aから設置空間5cに連通する挿通孔5dが複数設けられている。この挿通孔5dには、後述するように、突き出しパンチ5が出没可能に挿通されている。
<突き出しパンチ>
突き出しパンチ9は、例えば、図1及び図2に示すように、棒状からなり、パンチ5の挿通孔5dに挿入されて下端が支持装置11で支持され、上部がパンチ5の溝底成形部5aに出没可能に設けられている。
突き出しパンチ9は、常時は上端が溝底成形部5aから所定の高さだけ突き出しており、この状態でダイ3の溝状凹陥部3aに挿入されることで、突き出しパンチ9の上端と溝状凹陥部3aによってブランク15を挟持できるようになっている。
<支持装置>
支持装置11は、突き出しパンチ9を、その上端がパンチ5の溝底成形部5aの上面から出没可能な状態で支持するものであり、図2に示すように、パンチ5の設置空間5c内に設け、突き出しパンチ9を支持する支持部11aと、支持部11aを所定の付勢力で上方に向けて付勢する弾性部材11bとを有している。
弾性部材11bとしては例えばバネ、ゴム等の弾性体、圧力流体圧シリンダ等を適用できる。
弾性部材11bの支持力は、ダイ3の押圧力が所定値以内では突き出しパンチ9に作用しても、突き出しパンチ9がパンチ5の溝底成形部5aから没入することがなく、ダイ3の押圧力が所定の値を超えて作用したときに、突き出しパンチ9が没入するように設定されている。
なお、上述した突き出しパンチ9のパンチ5の溝底成形部5aからの所定の高さが、突き出しパンチ9のパンチ5に対する相対移動距離であり、該相対移動距離を以下の説明において第2相対移動距離h2という(図2参照)。
<フランジ成形用ダイ>
フランジ成形用ダイ7は、ダイ3のフランジ成形部3bと協働してフランジ部を成形するためのものであり、図1及び図2に示すように、フランジ成形部3bに対向するフランジ成形面7aを有している。
フランジ成形用ダイ7は、本実施の形態ではパンチ5の両側に配置されてフランジ成形用ダイ移動装置13によってダイ3に対して離接可能(この例では上下動可能)に支持されている。
<フランジ成形用ダイ移動装置>
フランジ成形用ダイ移動装置13は、フランジ成形用ダイ7を上下動させるためのものである。
フランジ成形用ダイ移動装置13としては例えば、NCダイクッション等の圧力流体圧シリンダや、バネ等の弾性体が適用できる。
フランジ成形用ダイ移動装置13は、プレス成形開始前にフランジ成形用ダイ7をダイ3の下死点よりも下方に位置させておき、該位置から上方にパンチ5とは独立に移動させる。なお、このフランジ成形用ダイ7の下死点までの移動距離がパンチ5に対するフランジ成形用ダイ7の相対移動距離であり、該相対移動距離を以下の説明において、第1相対移動距離h1という。
以上のように構成されたプレス成形装置1を用いた本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法について以下に説明する。
〔プレス成形方法〕
本発明の一実施に係るプレス成形方法は、中間形状を成形する第1成形工程と、中間形状を製品形状に成形する第2成形工程とを備えており、第1成形工程と第2成形工程を1度のプレス成形中に行うものである。
本発明のプレス成形方法の一つの特徴は、プレス成形中において、内側フランジ部21及び外側フランジ部23の長手方向の線長を僅かに変化させることによってスプリングバックを緩和するという点にある。この点について図5に基づいて説明する。
図5は、内側フランジ21と外側フランジ部23におけるプレス成形開始前から第2成形工程のフランジ成形用ダイ7の下死点までの線長の変化を説明する説明図である。図5では、湾曲の内側及び外側について、破線の丸で囲んだ部分を拡大して示している。各拡大図において、破線がプレス成形前(図3(a)参照)のブランク15の内側端15a及び外側端15b、点線が第1工程終了時(クランプ時、図3(b)参照)における内側端15a及び外側端15b、一点鎖線が第2成形工程のダイ3の下死点(第1下死点、図4(c)参照)における内側端15a及び外側端15b、そして実線がフランジ成形用ダイ7の下死点(第2下死点、図4(d)参照)における内側端15a及び外側端15bをそれぞれ示している。
図5に示すように、例えば、内側端15aにおいて、プレス成形開始前のA0点、B0点はそれぞれ、第1下死点ではA1点、B1点となり、A2点、B2点を経て、第2下死点ではA3点、B3点となり、線長はA0B0→A1B1→A2B2→A3B3と変化する。
上記の線長変化について踏まえた上で、各工程について詳細に図1〜図4に基づいて以下に説明する。
<第1成形工程>
第1成形工程は、突き出しパンチ9をパンチ5の溝底成形部5aから突き出して、突き出しパンチ5とダイ3によってブランク15を挟むことで、製品形状の溝形状部19よりも溝底幅の狭い溝形状部を有し、縮みフランジ変形を受ける外側フランジ部に対しては長手方向の線長が製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受ける内側フランジ部に対しては長手方向の線長が製品形状のフランジ部の線長よりも長くなる中間形状を成形する工程である。
図3(a)はプレス加工前の初期状態を示す図である。フランジ成形用ダイ7は、図3(a)に示すように、第1相対移動距離h1でフランジ成形用ダイ移動装置13によって支持されており、突き出しパンチ9は第2相対移動距離h2で支持装置11によって支持されている。また、ブランク15が突き出しパンチ9の上面に載置されている。
この状態でダイ3を移動させると、上述したとおり、第1成形工程において突き出しパンチ9はダイ3の押圧力を受けても没入しないようになっているため、ブランク15は突き出しパンチ9の肩部で曲げ加工され、さらにブランク15は、図3(b)に示すように、ダイ3と突き出しパンチ9とで挟持(クランプ)される。
このようにして、溝形状部19の溝底幅が製品形状のものよりも幅狭の中間形状が成形される。
ダイ3の移動によって、ブランク15の内側端15a及び外側端15bは、図3(b)中の太矢印に示すようにパンチ5側に移動(流入)し、内側端15aの線長は図5の拡大図に示すとおり引き伸ばされて長くなり(A0B0→A1B1、伸びフランジ変形)、一方、外側端15bの線長は縮められて短くなる(C0D0→C1D1、縮みフランジ変形)。
なお、従来の成形方法でも上記のようなブランク15の流入(図21中の太矢印参照)は起こるが、本発明方法の第1成形工程では、突き出しパンチ9を突出させ、かつ、フランジ成形用ダイ7を下方に位置させているので、ブランク15の内側端15a及び外側端15bが金型(フランジ成形用ダイ7)に当接するのが遅れ、このことによって、従来方法の場合よりもパンチ5側に多く流入するようになっている。そのため、クランプ時における内側端15aの線長(A1B1)は製品形状における線長(A3B3)より長く、外側端15bの線長(C1D1)は製品形状における線長(C3D3)より短くなっている。
また、図3(b)に示す中間形状では、溝底幅が製品形状よりも幅狭になっている。このように溝底幅を製品形状よりも幅狭にすることで、第2成形工程において、溝底幅を製品形状に成形する際に、溝底幅を拡幅する成形となり、口閉じ方向のスプリングバックを生じさせることができ、口開きのスプリングバックを低減することができる。
このような低減効果は、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2を変えて曲げ加工の度合い(曲げ角度)を変化させることで、調整することができる。この点については後述する。
<第2成形工程>
第2成形工程は、第1成形工程で成形した中間形状を製品形状に成形する工程であり、パンチ5とダイ3によって溝形状部19を製品形状に成形する工程と、該工程の後で、ダイ3及びフランジ成形用ダイ7によりフランジ部を製品形状に成形する工程を含んでいる。
溝形状部19を製品形状に成形する工程では、支持装置11による突き出しパンチ9の支持力よりも強い押圧力でダイ3をパンチ5側に移動させる。これによって、突き出しパンチ9がパンチ5内部に没入して、パンチ5の溝底成形部5aと縦壁成形部5bがダイ3の溝状凹陥部3aに挿入することで、溝形状部19が製品形状に形成される(第1下死点、図4(c)参照)。
このとき、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2やブランク15の大きさ等の関係によっては、内側フランジ21と外側フランジ部23は、図4(c)に示すようにフランジ成形用ダイ7に当接するため、図4(c)中の太矢印に示すように押し出されるように移動(流出)する。これによって、内側端15aの線長は図5の拡大図に示すとおり僅かに短くなり(A1B1→A2B2)、一方、外側端15bの線長は僅かに長くなる(C1D1→C2D2)。
また、このとき溝底幅が拡幅されるように成形されるため、成形品17の溝底部19aには、口開きとは逆方向のスプリングバック(スプリングゴー)を発生させる残留応力を蓄積させることができ、これによって離型後において口開きが低減される。
口開きのスプリングバックの低減効果は上述したように、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2を変化させることで調整することができる。例えば、第2相対移動距離h2を高くして曲げ角度を急にする(曲げ加工の度合いを大きくする)ことでスプリングゴーを大きくすることができる。特に第2相対移動距離h2を変化させることは第1相対移動距離h1を変化させることよりも口開きのスプリングバック低減に対して効果が大きい。この点は後述する実施例で実証している。
フランジ部を製品形状に成形する工程では、パンチ5及びダイ3を第1下死点の状態で保持したまま、フランジ成形用ダイ移動装置13によってフランジ成形用ダイ7をダイ3側に移動させる。これにより、ダイ3のフランジ成形部3bとフランジ成形用ダイ7によって内側フランジ部21及び外側フランジ部23が製品形状に成形される(第2下死点、図4(d)参照)。
このとき、内側端15a及び外側端15bの線長は以下のように変化する。
内側端15aは、図5の拡大図に示すとおり、外側に押し出される変形をするため、内側端15aの線長はさらに短くなり(A2B2→A3B3)、製品形状における内側フランジ部21の線長となる。
一方、外側端15bの線長は、図5の拡大図に示すとおり、さらに長くなり(C2D2→C3D3)、製品形状における外側フランジ部23の線長となる。
以上のように、内側フランジ部21においては、第1成形工程で一旦、成形品17の製品形状よりも線長が長くなる成形を行い、第2成形工程で成形品17の製品形状の線長にするという成形をしている。一方、外側フランジ部23においては、第1成形工程で一旦、成形品17の製品形状よりも線長が短くなる成形を行い、第2成形工程で成形品17の製品形状の線長にするという成形を行うようにしている。このため、内側フランジ部21及び外側フランジ部23において、第1成形工程で生じたひずみが第2成形工程で僅かに戻されることになり、これに伴い残留応力が大幅に低減される。
この点について、図6に基づいて説明する。図6は、成形開始から第2下死点までのフランジ部の長手方向の応力―ひずみ線図である。図6に示すように、第1成形工程によりクランプ時のフランジ部には大きな残留応力が蓄積されている。しかし、第2成形工程で中間形状を製品形状に成形する際に、クランプ時から第1下死点を経て第2下死点に至るまでひずみを僅かに戻すことができ、これによって残留応力は大幅に低減する。
このように、本発明は、ひずみの僅かな戻りに対して残留応力が敏感に大きく変化する特徴を利用したものである。
本実施の形態では、第1成形工程で突き出しパンチ9によってブランク15を突き上げて成形するため、突き上げない場合と比較して、内側フランジ部21においてはより線長を長く、外側フランジ部23においてはより線長を短くすることができ、そのため、第2成形工程におけるひずみの戻し代を大きくとることができ、ひずみの戻し量の調整が容易である。
すなわち、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2が大きければひずみの戻し量は大きく応力の低減効果(スプリングバックの低減効果)は大きい。なお、第1相対移動距離h1を調整することは第2相対移動距離h2を調整するよりも、捩れのスプリングバックの低減効果が大きい。この点は後述する実施例で実証している。
以上のように、ひずみの戻し量は、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2によって決まるため、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2を調整することにより、成形現場で捩れのスプリングバックをコントロールすることができる。
また、ひずみの戻し量を調整して内側フランジ部21及び外側フランジ部23とで残留応力のバランスを取ることで、離型後のスプリングバックによる捩れを低減させることもできる。
なお、ひずみの戻し量が大きすぎると、逆方向の残留応力を蓄積させてしまうため、適切な戻し量が必要である。
この点、成形品17のフランジ幅をL(図19参照)とすると、フランジ幅Lと第1相対移動距離h1の関係は、0.05<h1/L<1.0の範囲内に設定することが望ましい。また、フランジ幅Lと第2相対移動距離h2の関係も、0.05<h2/L<1.0の範囲内に設定することが望ましい。
フランジ幅Lと第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2の下限を上記にすることについては、後述する実施例に基づくものであり、上限を上記にすることは、h1/L≧1.0、h2/L≧1.0では成形開始時のフランジ端部がフランジ成形用ダイ7に接触しないため、フランジ端部の線長が変わらなくなって、製品形状に影響しないためである。
以上のように、本実施の形態においては、第1成形工程で中間形状の溝底幅を製品形状の溝形状部19よりも狭く成形し、第2成形工程で中間形状を製品形状と同形に成形するようにしたので、口開きのスプリングバックを相殺するスプリングゴーを生じさせることができ、これによって口開きのスプリングバックを低減することができる。
また、成形過程において一旦、成形品17の内側に入り込んだフランジ部の材料を成形品17の外側に押し戻して、長手方向のひずみを僅かに戻すことで残留応力を低減させることが可能となり、これによって内側フランジ21と外側フランジ23とで残留応力のバランスを取ることができ、製品形状を変えることなく、捩れや曲がり、さらには口開きといった3次元的なスプリングバックを低減することができる。
そして、上記のような口開きのスプリングバック及び捩れのスプリングバックの低減効果は、成形現場で第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2を変化させることで調整することができ、スプリングバックを低減するのに、金型を修正してトライアル&エラーによって行う場合に比べ、はるかに安価でなおかつ短期間で実現できる。
[実施の形態2]
上記実施の形態1では、捩れのスプリングバックを低減させるために、内側フランジ21及び外側フランジ23の両方においてひずみを戻すようにしたものを例に挙げて説明したが、捩れのスプリングバックを低減させるには、成形品17全体として内側フランジ21と外側フランジ23との間で残留応力のバランスが取れればよく、内側フランジ部21または外側フランジ部23の一方についてのみ、ひずみを戻すようにしてもよい。
例えば、内側フランジ部21についてのみひずみを戻す場合、図7〜図9に示すように、ダイ3と、突き出しパンチ9と、支持装置11と、フランジ成形用ダイ移動装置13と、外側フランジ成形部27aを有するパンチ27と、内側フランジ部21を成形するためのフランジ成形用ダイ7を備えたプレス成形装置25を用いてプレス成形を行う。なお、図7において、支持装置11とフランジ成形用ダイ移動装置13の図示は省略しており、図7〜図9において、プレス成形装置1と同様のものには同一の符号を付している。
パンチ27は、ダイ3と協働して溝底部19aと縦壁部19bと外側フランジ部23を成形するものであり、外側フランジ部23は図21に示す従来のプレス成形と同様に成形される。
プレス成形装置25を用いたプレス成形方法について図8及び図9に基づいて説明する。なお、図8及び図9において、図1、図2及び図4と同様のものには同一の符号を付している。
まず、図8(a)に示すようにブランク15を載置し、ダイ3を移動させて、ブランク15をクランプする(図8(b)参照)。
クランプ時においては、上記実施の形態1の場合と同様に、内側フランジ部21では伸びフランジ変形となる。
一方、外側フランジ部23でも実施の形態1の場合と同様に縮みフランジ変形となるが、第1相対移動距離h1が設定されていない分、実施の形態1の場合よりも早い段階で外側端15bが金型(外側フランジ成形部27a)に当接して材料の流入が阻害されるので、変形量は小さい。
第1下死点(図9(c)参照)及び第2下死点(図9(d)参照)においては、内側フランジ部21では、実施の形態1の場合と同様に、長手方向の線長が僅かに短くなり、伸びフランジ変形が緩和されて引張応力が大幅に減少する。
一方、外側端15bでは、長手方向の線長が僅かに長くなり、縮みフランジ変形が緩和されて圧縮応力が減少する点は実施の形態1の場合と同様であるが、上述したように、クランプ時の縮みフランジ変形量が実施の形態1の場合と比べわずかであるため、ひずみの戻し量も小さい。
従って、内側フランジ部21と外側フランジ部23とのひずみの戻し量により、残留応力の緩和効果を異ならせることができ、これによって、内側フランジ部21と外側フランジ部23とでの残留応力のバランスを調整し、成形品17全体としてスプリングバックによる変形を緩和することができる。
[実施の形態3]
実施の形態2に示したものとは逆に、外側フランジ部23のみに第1相対移動距離h1を設定するようにしてもよく、この場合、図10に示すように、内側フランジ成形部30aを有するパンチ30と、外側フランジ部23を成形するためのフランジ成形用ダイ7を有するプレス成形装置29を用いる。なお、図10において支持装置11とフランジ成形用ダイ移動装置13の図示は省略しており、プレス成形装置1と同一のものには同一の符号を付している。
パンチ30は、ダイ3と共に溝底部19aと縦壁部19bと内側フランジ部21を成形する。
この場合、第1下死点においては、内側フランジ部21では伸びフランジ変形となり、外側フランジ部23では縮みフランジ変形となる点は、上記実施の形態2と同様である。
その後成形が進むと第2下死点までに、内側フランジ部21においては、線長が僅かに短くなり、実施の形態1の場合ほどではないが伸びフランジ変形がわずかに緩和されて引張応力が減少する。一方、外側フランジ部23においては線長が僅かに長くなり縮みフランジ変形が緩和されて圧縮応力が大幅に減少する。
このように、実施の形態2と同様に、内側フランジ部21と外側フランジ部23で残留応力のバランスを取ることができ、捩じれのスプリングバックを緩和することができる。
なお、本発明の効果が得られる成形品の製品形状としては長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有し、かつ溝形状部19を形成する一対の縦壁部19bの少なくとも一方にフランジ部を有する形状であればよい。図11に、本発明を適用可能な成形品の製品形状の断面の例を複数示し、各断面について以下に説明する。
図11(a)〜図11(f)は、内側及び外側の両方に湾曲したフランジ部を有するものである。図11(a)、(d)は縦壁が垂直になっているものである。図11(b)、(e)は上述した成形品17の断面と同様であり、縦壁が傾斜しているものである。図11(c)、(f)は両縦壁が傾斜して三角形を形成しているものである。図11(c)、(f)の断面を成形するには、先端がRになっているパンチを使用するとよい。
また、図11(g)〜図11(i)に示すように、図11(a)〜図11(c)の内側または外側のいずれか一方のみに湾曲したフランジ部を有するものであってもよい。
フランジ部の長さ、高さ位置や角度について制限はない。
また、図12(a)の成形品31及び図12(b)の成形品33に示すように、内側または外側のいずれか一方に湾曲したフランジ部を有し、他方は湾曲しない真っ直ぐなフランジ部を有するものであってもよく、成形品の製品形状全体が湾曲していなくともよい。
また、成形品の長手方向をx方向、幅方向をy方向、高さ方向をz方向(図12参照)とすると、上記の実施の形態1〜3及び図12の説明では、成形品はxy平面内における湾曲であったが、本発明の対象とする成形品はこのような湾曲にのみ限られず、図13に示すように、フランジ部がz方向に湾曲するものも含む。
図13(a)は、成形品全体が長手方向中央で上に凸となるように湾曲した形状の一例(成形品35)を図示したものであり、図13(b)は長手方向中央で下に凸となるように湾曲した形状の一例(成形品37)を図示したものである。なお、成形品35は図14(a)に示すプレス成形装置39を用いて成形され、成形品37は図14(b)に示すプレス成形装置47を用いて成形される。図14において図1〜図4と同様のものには同一の符号を付している。
また、図15に示すように、成形品の溝形状部は湾曲せずに、フランジ部のみが湾曲するようなものも含む。
図15(a)は、成形品のフランジ部のみが長手方向中央で上に凸となるように湾曲した形状の一例(成形品55)を図示したものであり、図15(b)は成形品のフランジ部のみが長手方向中央で下に凸となるように湾曲した形状の一例(成形品57)を図示したものである。
本発明のプレス成形方法による作用効果について具体的な実験を行ったので、その結果について図16〜図18に基づいて、他の図を適宜参照して以下に説明をする。
まず、実験方法について概説する。実験は、プレス成形装置1を用いて、第1相対移動距離h1と、第2相対移動距離h2を変えてプレス成形を行い、成形された成形品のスプリングバック量を比較するというものである。
成形対象となる成形品17は、図16及び図17に示すように、ハット断面を有する長手方向に沿って湾曲した形状であり、長さは600mm、断面の高さは40mm、溝底部19aの幅は30mm、内側フランジ部21及び外側フランジ部23の幅はともに15mm、部品幅中央の長手方向湾曲曲率半径は800mmである。ブランク15は厚さ1.2mmの780MPa級鋼板を使用した。プレス機には1200tonf油圧プレス機を用いた。
第1相対移動距離h1は0、2、4、6、8、10mmの6水準とし、第2相対移動距離h2も0、2、4、6、8、10mmの6水準とした。
また、比較例として、図20に示す通常のプレス成形金型でフォーム成形を行った。比較例はh1=0mm、h2=0mmに相当する。
成形された成形品形状は3次元形状測定器で測定した。その後、CADソフトウェア上で長手方向中央の湾曲部が設計形状と合うように測定データの位置合わせを行った後、スプリングバック量として、部品端における捩れ角Δθ及び口開き量ΔWを測定した。
捩れ角Δθは、図18に示すように溝底部19aの回転角度とした。
捩れ角Δθは、正の値なら端面側から見て時計周り方向に捩れていることを意味し、0に近いほど捩れが少ないことを意味している。
口開き量ΔWは、図18に示すように離型前形状の開口広さをW0、離型後形状の開口広さをW1とし、W1-W0で求めた。ここで開口広さとは、内側フランジ部21のR留まりから外側フランジ部23のR留まりまでの距離のことである。
口開き量Wは、正の値なら口開きが発生したことを意味し、0に近いほど口開きが小さいことを意味している。
表1及び表2に各成形条件で成形された成形品17の捩れ角Δθ、口開き量ΔWを示す。比較例の結果は、表1及び表2中のh1=0、h2=0のところに記載した。
表1及び表2に示すように、第1相対移動距離h1及び第2相対移動距離h2が増加するのに従って捩れ角Δθ及び口開き量ΔWは、それぞれ比較例よりも減少している。
第1相対移動距離h1を増加させた場合の方が、第2相対移動距離h2を増加させた場合よりも捩れ角Δθの減少量が大きくなっており、捩れのスプリングバックの低減効果が高いことが分かる。
また、第2相対移動距離h2を増加させた場合の方が、第1相対移動距離h1を増加させた場合よりも口開き量ΔWの減少量が大きくなっており、口開きのスプリングバックの低減効果が高いことが分かる。
さらにまた、h1=4mm、h2=6mm程度に設定した場合、捩れ角Δθが0.1°、口開き量ΔWが0mmであり、非常に好適であった。
1 プレス成形装置(実施の形態1)
3 ダイ
3a 溝状凹陥部
3b フランジ成形部
5 パンチ
5a 溝底成形部
5b 縦壁成形部
5c 設置空間
5d 挿通孔
7 フランジ成形用ダイ
7a フランジ成形面
9 突き出しパンチ
11 支持装置
11a 支持部
11b 弾性部材
13 フランジ成形用ダイ移動装置
15 ブランク
15a 内側端
15b 外側端
17 成形品
19 溝形状部
19a 溝底部
19b 縦壁部
21 内側フランジ部
23 外側フランジ部
25 プレス成形装置(実施の形態2)
27 パンチ
27a 外側フランジ成形部
29 プレス成形装置(実施の形態3)
30 パンチ
30a 内側フランジ成形部
31 内側に湾曲フランジを有する成形品
33 外側に湾曲フランジを有する成形品
35 上に凸となる湾曲形状の成形品
37 下に凸となる湾曲形状の成形品
39 本発明のプレス成形装置(他の態様)
41 ダイ
43 パンチ
45 フランジ用成形ダイ
47 本発明のプレス成形装置(さらに他の態様)
49 ダイ
51 パンチ
53 フランジ用成形ダイ
55 フランジ部のみが上に凸となる湾曲形状の成形品
57 フランジ部のみが下に凸となる湾曲形状の成形品
61 プレス成形金型(従来例)
63 ダイ
65 パンチ

Claims (5)

  1. 溝状凹陥部と該溝状凹陥部の少なくとも片側にフランジ成形部を有するダイと、該ダイの前記溝状凹陥部に上部が挿入されるパンチと、前記ダイの前記フランジ成形部と協働してフランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記パンチの上面よりも幅狭で該パンチの上面から突き出し可能に設けられた突き出しパンチとを有する金型を用いて、長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する製品形状の成形品をプレス成形するプレス成形方法であって、
    前記突き出しパンチを前記パンチの上面から突き出して、前記突き出しパンチと前記ダイによってブランクを挟むことで、前記製品形状の溝形状部よりも溝底幅の狭い溝形状部を有し、縮みフランジ変形を受けるフランジ部又は伸びフランジ変形を受けるフランジ部の少なくとも一方について、縮みフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも短く、伸びフランジ変形を受けるフランジ部に対しては長手方向の線長が前記製品形状のフランジ部の線長よりも長くなる中間形状を成形する第1成形工程と、
    前記パンチとフランジ成形用ダイと前記ダイによって、前記中間形状を前記製品形状に成形する第2成形工程とを備え、
    前記第1成形工程と前記第2成形工程を1度のプレス成形中に行うことを特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記第2成形工程は、前記パンチと前記ダイによって溝形状部を製品形状に成形する工程と、該工程の後で、前記ダイおよび前記フランジ成形用ダイにより前記フランジ部を製品形状に成形する工程を含んでいることを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
  3. 長手方向に延びる溝形状部を有し、該溝形状部を形成する一対の縦壁部の少なくとも一方に長手方向に沿って湾曲するフランジ部を有する製品形状の成形品をプレス成形するプレス成形装置であって、
    溝状凹陥部と該溝状凹陥部の少なくとも片側にフランジ成形部を有するダイと、該ダイの前記溝状凹陥部に上部が挿入されるパンチと、前記ダイの前記フランジ成形部と協働して前記フランジ部を成形するフランジ成形用ダイと、前記パンチの上面よりも幅狭で該パンチの上面に出没可能に設けられた突き出しパンチと、該突き出しパンチを、常時はその上部が前記パンチの上面から突出するように支持し、所定の圧力が作用したときに前記パンチの上面から没入するように支持する支持装置と、前記フランジ成形用ダイを、前記ダイの下死点よりも下方に位置させて該位置から上方に前記パンチと独立に移動させるフランジ成形用ダイ移動装置とを備え、
    前記パンチに対する前記フランジ成形用ダイの相対移動距離をh1、前記パンチに対する前記突き出しパンチの相対移動距離をh2、前記製品形状のフランジ幅をLとしたときに、
    0.05<h1/L<1.0および0.05<h2/L<1.0
    の条件を満たすことを特徴とするプレス成形装置。
  4. 前記フランジ成形用ダイ及び前記フランジ成形用ダイ移動装置が、前記パンチの一方の側部に設けられていることを特徴とする請求項3記載のプレス成形装置。
  5. 前記フランジ成形用ダイ及び前記フランジ成形用ダイ移動装置が、前記パンチの両方の側部に設けられていることを特徴とする請求項3記載のプレス成形装置。
JP2014129915A 2014-06-25 2014-06-25 プレス成形方法及び装置 Active JP6075333B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014129915A JP6075333B2 (ja) 2014-06-25 2014-06-25 プレス成形方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014129915A JP6075333B2 (ja) 2014-06-25 2014-06-25 プレス成形方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016007623A JP2016007623A (ja) 2016-01-18
JP6075333B2 true JP6075333B2 (ja) 2017-02-08

Family

ID=55225591

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014129915A Active JP6075333B2 (ja) 2014-06-25 2014-06-25 プレス成形方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6075333B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6699207B2 (ja) * 2016-02-04 2020-05-27 日本製鉄株式会社 プレス装置およびそれを用いたプレス成形品の製造方法ならびにダイ
JP6777053B2 (ja) * 2017-10-13 2020-10-28 Jfeスチール株式会社 プレス成形装置及び方法
JP6809435B2 (ja) * 2017-10-26 2021-01-06 Jfeスチール株式会社 プレス成形装置及び方法
JP6848821B2 (ja) * 2017-11-16 2021-03-24 Jfeスチール株式会社 プレス成形装置及び方法
CN111451342A (zh) * 2020-04-16 2020-07-28 南宁学院 一种圆弧胶槽的冲压装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63133821U (ja) * 1987-02-17 1988-09-01
JP2006305627A (ja) * 2005-03-28 2006-11-09 Kobe Steel Ltd 湾曲状チャンネル部材の成形方法
JP2008200709A (ja) * 2007-02-20 2008-09-04 Nissan Motor Co Ltd プレス成形品の製造装置、プレス成形品の製造方法、およびプレス成形品
JP5444687B2 (ja) * 2008-10-23 2014-03-19 Jfeスチール株式会社 プレス成形用の金型、プレス成形方法、及びハット型形状の成形品
JP2012051005A (ja) * 2010-09-01 2012-03-15 Sumitomo Metal Ind Ltd プレス成形装置およびプレス成形品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016007623A (ja) 2016-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5664810B1 (ja) プレス成形方法及び装置
KR101979528B1 (ko) 프레스 성형 방법 및 그 프레스 성형 방법을 사용한 부품의 제조 방법
JP6075333B2 (ja) プレス成形方法及び装置
JP5281519B2 (ja) プレス成形方法
JP5987934B2 (ja) プレス成形方法、プレス成形金型
JP2011045905A5 (ja)
JP6590071B2 (ja) プレス成形品の製造方法
EP3112041B1 (en) Press-forming method and press-forming device
JP5861749B1 (ja) プレス成形方法
JP6083390B2 (ja) プレス成形方法
CN108698105B (zh) 冲压成型品的制造方法
JP4920649B2 (ja) 形状凍結性に優れる多段プレス成形方法
JP6036768B2 (ja) プレス成形方法
JP5949856B2 (ja) プレス成形方法及び装置
JP5031703B2 (ja) 形状凍結性に優れる多段プレス成形方法
JP4879812B2 (ja) 形状凍結性に優れたプレス成形方法
JP6083418B2 (ja) プレス成形方法
JP6323414B2 (ja) プレス成形方法
JP2018164918A (ja) プレス成形装置及びプレス成形品の製造方法
JP2019072727A (ja) プレス成形装置及び方法
JP2019076936A (ja) プレス成形装置及び方法
JP2006198639A (ja) 板材ワーク及び枠形状加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161025

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6075333

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250