JP2016018008A - ペリクル、ペリクル付フォトマスク、及び半導体素子の製造方法 - Google Patents

ペリクル、ペリクル付フォトマスク、及び半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ペリクルを剥離する際の糊残りを長期に亘って低減化でき、かつアウトガスの発生も抑制できるペリクルを提供する。【解決手段】ペリクル枠2と、当該ペリクル枠2の一端面に張設されたペリクル膜3と、前記ペリクル枠2の他の端面に付着した粘着剤層10と、を、有するペリクルであって、前記粘着剤層10は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と表面改質剤とを含み、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、イソシアネート基又はエポキシ基の少なくともいずれかと反応性のある官能基を有するモノマーとの共重合体であり、前記表面改質剤は、相溶性セグメントと非相溶性セグメントをもつ、ペリクル。【選択図】図2

Description

本発明は、フォトマスクへの異物付着を防止するリソグラフィー用のペリクル、ペリクル付フォトマスク、及び半導体素子の製造方法に関する。
従来、半導体素子を製造するフォトリソグラフィー工程において、集積回路に対応したフォトレジストパターンをウェハ上に形成するためには、ステッパー(縮小投影露光装置)等の半導体製造装置が使用されている。
前記ステッパーにおいては、従来から、回路パターン形成用のフォトマスク上に異物が直接付着することを防止するため、ペリクルという、ペリクル枠の一端面に透明薄膜を張設したものが用いられている。
これにより、仮にフォトリソグラフィー工程においてペリクル上に異物が付着したとしても、フォトレジストが塗布されたウェハ上に異物は結像しないため、異物の像による半導体集積回路の短絡や断線等を防ぐことができ、フォトリソグラフィー工程における歩留まりを向上させることができる。
通常、ペリクルは、ペリクル用粘着剤によって、フォトマスク上に固定され、かつ当該フォトマスクに対して着脱可能な構成を有している。
前記ペリクル用粘着剤としては、従来、アクリル系、ゴム系、ポリブテン系、ポリウレタン系、及びシリコーン系等の各種の粘着剤が提案されている(下記特許文献1〜4参照。)。
粘着剤層は、一端面にペリクル膜が張設されたペリクル枠の他端面に形成され、前記ペリクル膜又はフォトマスクが汚れた場合には、フォトマスクから一度ペリクルを剥離して、汚れを除去して、ペリクルを貼り替える必要がある。また、露光工程においてフォトマスクからペリクルが剥がれることを防止するために、上記粘着剤には、ペリクルに所定の荷重をかけてもペリクルが剥がれない程度の粘着力(耐荷重性)が求められる。
一方、近年、半導体装置の高集積化に伴って、フォトリソグラフィー工程に用いる露光光の短波長化が進んでいる。
すなわち、ウェハ上に集積回路パターンを描写する際、より狭い線幅で微細な回路パターンを描画できる技術が要求されている。
これに対応するために、例えば、フォトリソグラフィー用ステッパーの露光光として、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)よりも波長が短いKrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、さらにはF2エキシマレーザー(波長157nm)等が用いられている。
露光光の短波長化・高エネルギー化に伴い、露光に伴うペリクル膜又はフォトマスクの汚れが発生する頻度が高くなったことで、ペリクルやフォトマスクの取替え頻度も高くなっている。
特開平05−281711号公報 特開2006−146085号公報 特開2010−002895号公報 国際公開第2012/157759号
このような状況の下、適度に安定した粘着力を有するとともに、ペリクルの貼り替え時に糊残りが生じにくいペリクル用粘着剤が要求されている。
なお、「糊残り」とは、ペリクルをフォトマスクから剥離した後に、ペリクル用粘着剤の少なくとも一部がフォトマスクに残存する現象を言う。
特に、200nmよりも波長の短い光を用いるフォトリソグラフィー工程においては、露光の時間の経過と共に反応生成物がフォトマスク等に付着し、ヘイズ(くもり)が発生しやすいため、ペリクルをフォトマスクから剥離して貼り換え、常にクリーンな状態を保持する必要がある。このため、ペリクルのフォトマスクからの剥離時に糊残りが起きにくいペリクル用粘着剤が求められている。
しかしながら、従来において、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を用いるフォトリソグラフィー工程で使用されているシリコーン系のペリクル用粘着剤は糊残りを起こしやすいという問題を有している。
上述したような糊残りを低減する技術として、前記特許文献2には、凝集破断強度が20g/mm2以上である粘着層を有するペリクルが開示されている。
しかしながら、粘着剤の糊残りの抑制と耐荷重性とはトレードオフの関係にあるため、糊残りを起こしにくい粘着剤は耐荷重性に乏しく、このような粘着剤によって固定したペリクルは、露光中にマスクから剥がれやすくなるという問題を有している。
上記特許文献3には、糊残りを抑制するための粘着剤が開示されている。
しかしながら、露光光の一部がペリクルの粘着剤に当たると、フォトマスクと粘着剤とが固着する場合があり、露光後にペリクルをフォトマスクから剥離する際に粘着剤が凝集破壊を起こして糊残りが生じる場合があるという問題を有している。
上記特許文献4には、糊残りを抑制するためにシラン化合物を入れた粘着剤が開示されている。
しかしながら、今後においては、より一層、糊残りに関して改善を図った粘着剤の開発が望まれると考えられる。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑み、露光後のフォトマスクへの糊残りを長期に亘って効果的に低減化することができる粘着剤を有するペリクル、当該ペリクルを装着したペリクル付フォトマスク、及び当該フォトマスクを用いた半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、所定の表面改質剤を含有させることにより、露光後のフォトマスクへの糊残りを長期に亘って効果的に低減化することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
〔1〕
ペリクル枠と、
当該ペリクル枠の一端面に張設されたペリクル膜と、
前記ペリクル枠の他の端面に付着した粘着剤層と、
を、有するペリクルであって、
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と表面改質剤とを含み、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、イソシアネート基又はエポキシ基の少なくともいずれかと反応性のある官能基を有するモノマーとの共重合体であり、
前記表面改質剤が、相溶性セグメントと非相溶性セグメントをもつ、
ペリクル。
〔2〕
前記表面改質剤が、
相溶性セグメントと非相溶性セグメントのブロック共重合体である、前記〔1〕に記載のペリクル。
〔3〕
前記相溶性セグメントが、
ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体からなる、前記〔2〕に記載のペリクル。
〔4〕
前記非相溶性セグメントが、
含フッ素系化合物又は含シリコーン系化合物からなる、前記〔2〕又は〔3〕に記載のペリクル。
〔5〕
前記非相溶性セグメントが、
フッ化アルキル基含有重合体セグメント又はポリシロキサン含有重合体である、前記〔2〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のペリクル。
〔6〕
前記表面改質剤の含有量が、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を構成する全モノマーの合計100質量部に対して0.001〜7質量部である、
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のペリクル。
〔7〕
前記粘着剤層が、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部と、架橋剤0.01〜3質量部との反応生成物を含む、
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のペリクル。
〔8〕
前記架橋剤が、
多官能性エポキシ化合物及び/又はイソシアネート系化合物である、前記〔7〕に記載のペリクル。
〔9〕
前記多官能性エポキシ化合物が、2〜4個のエポキシ基を有する含窒素エポキシ化合物である、前記〔8〕に記載のペリクル。
〔10〕
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の重量平均分子量が50万〜250万である、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のペリクル。
〔11〕
前記粘着剤層の厚みが、0.1〜4.5mmである、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のペリクル。
〔12〕
前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のペリクルが装着されている、ペリクル付フォトマスク。
〔13〕
前記〔12〕に記載のペリクル付フォトマスクを用いて露光する工程を有する、半導体素子の製造方法。
本発明によれば、露光後のフォトマスクからペリクルを剥離する際の、フォトマスクへの糊残りを長期に亘って効果的に低減化でき、かつアウトガスの発生も抑制できるペリクル、当該ペリクルを装着したペリクル付フォトマスク、及び当該ペリクル付フォトマスクを用いた半導体素子の製造方法を提供することができる。
本実施形態のペリクルの一例の概略斜視図を示す。 図1中、II−II線で切った概略断面図を示す。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形が可能である。
また、本明細書における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
〔ペリクル〕
本実施形態のペリクルは、
ペリクル枠と、
当該ペリクル枠の一端面に張設されたペリクル膜と、
前記ペリクル枠の他の端面に付着した粘着剤層と、
を、有する。
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と表面改質剤とを含み、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、イソシアネート基又はエポキシ基の少なくともいずれかと反応性のある官能基を有するモノマーとの共重合体であり、
前記表面改質剤は、相溶性セグメントと非相溶性セグメントをもつ。
図1に、本実施形態のペリクルの一例の概略斜視図を示す。また、図2に、図1中のII−II線で切った概略断面図を示す。
図1及び図2に示すように、ペリクル1は、4辺を構成する部材2a〜2dよりなるペリクル枠2と、ペリクル枠2の一端面2eに張設されたペリクル膜3と、ペリクル枠2の他の端面2fに付着した粘着剤層10とを有している。
また、粘着剤層10の表面には、当該粘着層10を被覆し、保護する保護フィルムFを有している。
(ペリクル枠)
本実施形態のペリクルは、ペリクル枠2を具備している。
当該ペリクル枠2は、フォトリソグラフィーの際、露光光を通過させる中空部を有する枠体であり、露光用基板の形状に合わせた形状を有している。
ペリクル枠の厚みは、1.6mm以上10mm以下であることが好ましく、1.8mm以上8.0mm以下であることがより好ましく、2.0mm以上7.0mm以下であることがさらに好ましい。ペリクル枠の厚みが前記範囲にあると、異物がペリクル膜に付着した場合であっても、この異物と露光用基板のパターンとが実質的に同じ像として描写されることを防止でき、ペリクル膜の透過率の低下を防止できる。
また、ペリクル枠を構成する材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金(5000系、6000系、7000系等)等の金属、セラミックス(SiC、A1N、A123等)、セラミックスと金属の複合材料(Al−SiC、Al−A1N、AL−A123等)、樹脂等が挙げられ、特にアルミニウムやその合金が好ましく、アルミニウムとマグネシウムの合金、アルミニウムとマグネシウムそしてケイ素の合金、アルミニウムと亜鉛そしてマグネシウムの合金など、弾性変形をおこさせるものがより好ましい。
(ペリクル膜)
本実施形態のペリクルは、ペリクル膜3を具備している。
ペリクル膜3は、ペリクル枠2の一端面2eに張設されており、ペリクル枠2の中空部を一端面2eの全面に亘って覆い、フォトリソグラフィーの際には、露光光が当該ペリクル膜3を透過するように設置されている。
ペリクル膜3は、露光光の透過効率や強度の観点から、ニトロセルロースやセルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、フッ素系高分子など透明な高分子膜で構成されており、膜厚は、0.2μm以上8μm以下が好ましく、より好ましくは0.23μm以上6μm以下、更に好ましくは0.25μm以上4μm以下である。
(粘着剤層)
本実施形態のペリクルは、粘着剤層10を具備している。
粘着剤層10は、ペリクル枠2の前記ペリクル膜3設置側とは反対側の他の端面に付着している。
当該粘着剤層によってペリクルをフォトマスクに付着させ、当該ペリクルによってフォトマスク表面がパーティクルによって汚染されることを防ぎ、これにより、ウェハ上での結像を防止できる。
粘着剤層は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と表面改質剤とを含有している。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体>
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下「A成分」と記載する場合がある。)と、イソシアネート基又はエポキシ基の少なくともいずれかとの反応性を有する官能基を有するモノマー(以下「B成分」と記載する場合がある。)との、少なくとも2つのモノマー成分を共重合させることによって得られる共重合体である。
このような粘着剤を用いることにより、フォトマスクとの接着力が十分に得られ、かつペリクルを剥離した後の糊残りが少ないという効果が得られる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、当該(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を構成するモノマーの合計100質量部に対して、A成分(炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)の質量割合は、99〜80質量部であることが好ましく、98〜85質量部であることがより好ましく、97〜90質量部であることがさらに好ましい。また、B成分(イソシアネート基又はエポキシ基の少なくともいずれかとの反応性を有する官能基を有するモノマー)の質量割合は、1〜20質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましく、3〜10質量部であることがさらに好ましい。
すなわち、99〜80質量部のA成分と1〜20質量部のB成分とから構成される単量体混合物から上記共重合体を合成することが好ましい。
これにより、フォトマスクへの適度な接着力の発現がし易くなる。
[A成分]
A成分である炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の直鎖脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどが挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸イソブチル(例えば、イソブチルアクリレート)や(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル(例えば、2−エチルヘキシルアクリレート)等の炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。これらを用いることにより、ペリクルとフォトマスクとの間に適度な接着性が発現する。
[B成分]
B成分である、前記A成分のモノマーと共重合可能なモノマーであって、イソシアネート基又はエポキシ基の少なくともいずれかとの反応性を有する官能基を有するモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基含有モノマーが挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、共重合性、汎用性等の点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーがB成分として好適である。
さらに、糊残りを低減する観点から、B成分としては、(メタ)アクリル酸が好ましい。
B成分として(メタ)アクリル酸を用いた場合、当該(メタ)アクリル酸の含有割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を構成する全モノマーの合計100質量部に対して好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜4質量部であり、特に好ましくは0.8〜3質量部である。
[重量平均分子量]
粘着剤層に含まれる前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、重量平均分子量が50万以上250万以下であることが好ましい。これにより、粘着剤層の凝集力、接着力が適度な大きさになり、フォトマスクに対する糊残りが低減し、かつ十分な接着力、耐荷重性が発現する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の重量平均分子量は、より好ましくは70万以上230万以下であり、さらに好ましくは90万以上200万以下である。
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定することができ、公知の方法で制御することができる。例えば、一般に重合反応時のモノマー濃度が高いほど重量平均分子量は大きくなる傾向にあり、重合開始剤の量が少ないほど、又、重合温度が低いほど重量平均分子量は大きくなる傾向にある。よって、モノマー濃度、重合開始剤の量及び重合温度を調整することにより重量平均分子量を制御することができる。
[重合方法]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、公知の重合方法により製造することができ、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合等の公知の方法から適宜選択すればよい。
これらの重合方法によって得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエン等が使用できる。
[重合開始剤]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を溶液重合で製造する場合、当該溶液重合の一例としては、窒素等の不活性ガス気流下でモノマーの混合溶液に重合開始剤を加え、50〜70℃で、8〜30時間重合反応を行う方法が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を構成する全モノマーの合計100質量部に対して0.01〜2.0質量部が好ましい。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記のものの中から適宜選択すればよい。
また、連鎖移動剤、乳化剤等としては、特に限定されず、公知のものを宜選択して使用することができる。
前記重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アゾ系の2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'−アゾビス−4−シアノバレリアン酸等や過酸化物系のベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
露光中に発生するアウトガスの観点から、粘着剤層中には、重合開始剤の量を低減化することが好ましい。
粘着剤層に残存する重合開始剤の量を低減する方法としては、粘着剤ポリマーを重合する際の重合開始剤量を低減すること、熱分解しやすい重合開始剤を使用すること、粘着剤の塗布・乾燥工程にて、粘着剤を長時間高温に加熱して、乾燥工程で重合開始剤を分解させる方法等がある。
重合開始剤の熱分解速度を表す指標に10時間半減期温度がある。
半減期とは、重合開始剤の半分が分解するまでの時間である。
10時間半減期温度は半減期が10時間になる温度を示す。
10時間半減期温度が低いほど、重合開始剤が熱分解しやすく、粘着剤層に残存しにくい。
重合開始剤の10時間半減期温度は好ましくは80℃以下であり、より好ましくは75℃以下である。
10時間半減期温度が低いアゾ系の重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度30℃)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(10時間半減期温度60℃)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度51℃)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(10時間半減期温度66℃)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(10時間半減期温度67℃)等が挙げられる。
10時間半減期温度が低い過酸化物系の重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度74℃)、ジラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度62℃)等が挙げられる。
なお、重合開始剤はこれらに限定されるものではない。
重合開始剤として光重合開始剤を用いた場合、当該光重合開始剤はペリクル膜のヘイズ発生の原因となり得るため、低減化し、残存量を制御することが好ましい。
粘着剤層に残存する光重合開始剤を低減化し、制御する方法としては、加熱による熱分解、乾燥・蒸発による光重合開始剤の除去、紫外線の照射による光重合開始剤の分解、これらの方法によって分解しやすい光重合開始剤の使用等が挙げられる。
上記方法によって分解しやすい光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤等が挙げられる。
アルキルフェノン系重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
ヘイズの発生を抑制するため、粘着剤に残存する重合開始剤の全質量は、粘着剤全質量に対し8ppm以下に調整することが好ましい。
特に、粘着剤が、上記A成分とB成分との共重合により得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と後述する架橋剤との反応生成物を含む場合、粘着剤中に残存する重合開始剤の全質量を、粘着剤全質量に対し8ppm以下にすることが容易となる。
<架橋剤>
粘着剤層を形成する粘着剤には、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と、架橋剤との反応生成物を含むことが好ましい。
この場合、架橋剤は、イソシアネート基及び/又はエポキシ基を有するものであることが好ましく、反応生成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、架橋剤を好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.02〜0.3質量部を反応させて得られたものであることが好ましい。
粘着剤に添加される前記架橋剤(硬化剤)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と、反応性を有するものである限り、特に限定されない。
架橋剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、多官能性エポキシ化合物、金属塩、金属アルコキシド、アルデヒド系化合物、非アミノ樹脂系アミノ化合物、尿素系化合物、イソシアネート系化合物、金属キレート系化合物、メラミン系化合物、アジリジン系化合物等、通常の粘着剤に使用される架橋剤が挙げられる。
中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が有する官能基成分との反応性に優れる点において、イソシアネート系化合物及び/又は多官能性エポキシ化合物がより好ましく、多官能性エポキシ化合物がより好ましい。
前記イソシアネート系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネートが挙げられる。
また、前記多官能性エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、N、N、N'、N'−テトラグリシジルm−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
前記多官能性エポキシ化合物としては、2〜4個のエポキシ基を有する含窒素エポキシ化合物が好ましく、4個のエポキシ基を有する含窒素エポキシ化合物がより好ましい。
これらの多官能性エポキシ化合物は反応性に優れている。反応性が良いエポキシ化合物を(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と混合して所定の基材上に塗布した場合、架橋反応は速やかに終了する。つまり、反応性が良いエポキシ化合物を架橋剤として含有する粘着剤は、その特性が短時間で安定するため、生産性の面で優れる。
また、上述した架橋剤の含有量を調整することにより、粘着剤層の重量膨潤度を制御することができる。
膨潤とは、溶媒分子(例えばトルエン)がポリマー(重合体)の分子間に入り込み、分子間を広げようとする力と架橋された網目の弾性とが釣り合った状態である。
膨潤の程度は、溶媒とポリマーとの親和性及びポリマーの架橋度の影響を受けるので、これらを調整することで、重量膨潤度を制御することができる。
一般的に、溶媒とポリマーとの親和性が高いほど重量膨潤度は高くなる。
親和性の目安としてSP値(Solubility Parameter)がよく用いられる。
SP値が近いもの同士の親和性は高い。なお、「POLYMER HANDBOOK (4th edition) WILEY−INTER SCIENCE P.689−711」に様々な化合物のSP値が記載されている。
トルエンのSP値は18.2(MPa1/2)、酢酸エチルのSP値は18.6(MPa1/2)であり、これらはほぼ同じ値である。したがって、ポリマーを構成するモノマー成分のSP値がトルエン又は酢酸エチルのSP値に近いほど重量膨潤度は高くなる。
例えば、従来公知のアクリル系粘着剤のモノマー成分であるブチルアクリレートのSP値は18.0(MPa1/2)である。またイソブチルアクリレートのSP値は17.4(MPa1/2)である。ゴム系粘着剤のモノマー成分であるブタジエンのSP値は14.5(MPa1/2)である。またイソブチレンのSP値は15.0(MPa1/2)である。エチレンのSP値は15.76(MPa1/2)である。またブチレンのSP値は13.7(MPa1/2)である。
シリコーン粘着剤のモノマー成分であるジメチルシロキサンのSP値は10.0〜12.1(MPa1/2)である。
したがって、ポリマーと溶媒の親和性が高い点において、アクリル系粘着剤が好ましい。
重量膨潤度はポリマーの架橋度にも依存する。
架橋度が低すぎると、溶媒分子がポリマーの架橋ネットワークに取り込まれず、重量膨潤度は低くなる。
また架橋度が高すぎると、溶媒分子がポリマーの架橋ネットワークに入り込めず、重量膨潤度は小さくなる。
したがって、ポリマーの架橋度を適度に調整することで重量膨潤度を制御することができる。
本実施形態のペリクルの粘着剤層を形成する粘着剤の架橋剤の含有量は、上述したように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、0.01〜3質量部であることが好ましい。これにより、トルエン又は酢酸エチルによる重量膨潤度が5倍以上となり、ペリクルに好適な粘着剤が得られる。
架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、0.01質量部〜1質量部であることがより好ましく、0.02質量部〜0.3質量部であることがさらに好ましい。これにより、トルエン又は酢酸エチルによる重量膨潤度がさらに大きくなり、ヘイズの発生が抑止され、糊残りが発生しにくいペリクル用粘着剤が得られる。
また、適度な架橋密度を有し、フォトマスクの平坦性に特に影響を与えにくい(フォトマスクの変形を特に抑止できる)粘着剤が得られる。
架橋剤の含有量が3質量部以下であれば、架橋密度が大きくなりすぎないため、フォトマスクに掛かる応力を粘着剤が吸収し、粘着剤がフォトマスクの平坦性に及ぼす影響が緩和されると考えられる。
一方で、架橋剤の含有量が0.01質量部以上であれば、架橋密度が小さくなり過ぎないため、製造工程中でのハンドリング性が維持され、フォトマスクからペリクルを剥離するときに糊残りが発生しにくいと考えられる。
粘着剤が、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と多官能性エポキシ化合物との反応生成物を含む場合、ポリマーの架橋度を適度に調整することで最大15倍程度まで重量膨潤度を制御することができる。
特にトルエンによる重量膨潤度は8倍〜14倍程度であることが好ましい。これにより、吸着したトルエンや酢酸エチル等の有機ガスが粘着剤中に留まり易く、アウトガス発生量が少なくなる。これは、ポリマーの架橋ネットワークの間隔がトルエン及び酢酸エチルの捕捉に適した大きさとなるためであると考えられる。
粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と多官能性エポキシ化合物との反応生成物を含む場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体溶液と多官能性エポキシ化合物溶液を秤量し、均一に混ざるように混合・攪拌し、混合物から溶剤を加熱乾燥により除去した後に、混合物を加温することが好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と多官能性エポキシ化合物との反応が迅速に進行する。
<表面改質剤>
本実施形態のペリクルを構成する粘着剤層は、表面改質剤を含有する。
表面改質剤は、相溶性セグメントと非相溶性セグメントを持つ。
前記相溶性セグメントとは、粘着剤と混和しているセグメントであり、非相溶性セグメントとは、粘着剤とは混和しないセグメントである。
さらに、表面改質剤は、糊残りの低減化の観点から、相溶性セグメントと非相溶性セグメントのブロック共重合体であることが好ましい。
相溶性セグメントは、粘着剤と混和し、粘着剤と分離しない観点からビニル系単量体の単独重合体、又は共重合体からなることが好ましく、非相溶性セグメントは、マスクへの糊残り低減の観点から、含フッ素系化合物又は含シリコーン系化合物であることが好ましい。
前記ビニル系単量体としては、製造の容易さと粘着剤との相溶性から、以下に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、グルタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン酸、チグリン酸、ムロン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸等のカルボン酸基含有ビニル系単量体、及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル等の水酸基含有ビニル系単量体;スチレンスルホン酸、スルホン酸エトキシ(メタ)アクリレートなどのアクリル系ポリマーが好ましい。
前記非相溶性セグメントである前記含フッ素系化合物(フッ素源)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下に限定されるものではないが、例えば、パーフロロオクチルエチルアクリレート、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、アクリル変性パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記含フッ素系化合物(フッ素源)としては、工業的に入手可能な化合物を使用することができる。
前記含フッ素系化合物(フッ素源)としては、例えば、フッ化アルキル基含有重合体セグメントを形成し得る、RS−75(DIC株式会社製)、RS−72K(DIC株式会社製)、DAC−HP(ダイキン工業株式会社製)、ルブロン(ダイキン工業株式会社製)、FA−108(共栄社化学株式会社製)、ルミフロン(旭硝子株式会社製)、モディパーFシリーズ(日油株式会社製)、ハイパーテック(日産化学工業製)、KY−1203(信越化学工業社製)、フルオロリンク(ソルベイソレクシス製)、V−3F(大阪有機工業製)、V−4F(大阪有機工業製)、V−8F(大阪有機工業製)、などが挙げられる。
前記含シリコーン系化合物(ケイ素源)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオルガノシロキサン、各種有機変性ポリオルガノシロキサン、表面処理シリカ等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記含シリコーン系化合物(ケイ素源)としては、工業的に入手可能な化合物を使用することができる。
前記含シリコーン系化合物(ケイ素源)としては、以下に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーンオイル((i)商品名:KF−96シリーズ、信越化学工業製;(ii)商品名:TSF451シリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製;(iii)商品名:AKシリーズ、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)、変性シリコーンオイル((i)商品名:X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475、信越化学工業製;(ii)商品名:TSF4452、TSL9706、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製;(iii)商品名:Lシリーズ、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)、シリコーンレジン(東レ・ダウコーニング株式会社製)、SIUシリーズ(MIWON製)、サイラプレーン(JNC株式会社)、モディパーFSシリーズ(日油株式会社製)、TEGORADシリーズ(エボニックデグサジャパン株式会社製)等が挙げられる。
表面改質剤として、上述したようなブロック共重合体を用いることにより、ペリクル剥離後の糊残りが従来よりも少量で、しかも長期に亘ってもなお糊残りが低減化できる。
ペリクル用粘着剤に上述したような所定の表面改質剤を添加することで、ペリクル剥離後の糊残りが従来よりも少量で、しかも長期に亘ってもなお糊残りが低減する理由については以下のように考えられる。
すなわち、相溶性セグメントと非相溶性セグメントをもっている表面改質剤の相溶性セグメントと粘着剤が相溶される、すなわち相溶性セグメントと(メタ)アクリル酸アルキルエステルが相溶するため、非相溶性セグメントのみがフォトマスク界面に移行し、少量でも糊残りを抑制すると考えられる。また、相溶セグメントが相溶することでアンカー効果を発揮し、長期に亘っても相溶セグメントはフォトマスク界面に移行しないため界面の汚染が減少し糊残りを低減すると考えている。
本実施形態のペリクルに用いる粘着剤における表面改質剤の含有量は、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を構成する全モノマーの合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜7質量部、より好ましくは0.001〜5質量部、さらに好ましくは0.005〜3質量部、さらにより好ましくは0.01〜1質量部である。
ここで、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を構成する全モノマーの合計」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を構成する全ての(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及びイソシアネート基及び/又はエポキシ基と反応性のある官能基を有するモノマー、の合計を意味する。すなわち、溶媒や添加剤等の他の成分は除外して計算する。
表面改質剤の含有量が0.001質量部より多い場合、糊残りを低減する効果がより顕著になる。
表面改質剤の含有量が7質量部より少ない場合、ペリクルの十分な耐荷重性が発揮され、粘着剤のBleedingに因るマスクからの剥離が起きにくく、エアーパス(空隙)及び泡の発生を抑制することができる。
<添加剤>
また、粘着剤は、必要に応じて、充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
これらの添加剤は、1種類のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、所望の物性が得られるように、添加量は適時設定することが好ましい。
上記態様の粘着剤を用いることにより、露光後のフォトマスクへの糊残り及びアウトガスの発生を低減することができる。
アウトガスの発生を低減できることによりペリクルとしての寿命を長くすることができる。
また、糊残りを低減することでペリクルを剥離した後のマスク洗浄工程での低減化をはかることができる。
〔ペリクルの製造方法の一実施形態〕
本実施形態のペリクルは、以下の方法により製造することができる。
第一に、上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の溶液と、表面改質剤と、必要に応じて架橋剤と、を混合し、粘着剤の前駆体を調製する。
粘着剤の前駆体には、ラジカル捕捉剤及び/又は紫外線吸収剤を含有してもよい。
後述するように粘着剤をペリクル枠の端面に塗布して所定の厚み・幅を有する粘着剤層に成形するために、粘着剤の前駆体を更に溶媒で希釈し、前駆体の粘度を調整することが有効である。
希釈のための溶媒は、その前駆体の溶解性、蒸発速度等を考慮して選択される。好ましい溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アセトン、酢酸エチル、トルエンが挙げられる。
第二に、粘着剤の前駆体を、ペリクル枠の一方の端面に塗布する。
ペリクル枠の他方の端面にはペリクル膜が接着される。
前駆体の塗布方法は、特に限定されるものではないが、ディスペンサーを用いて前駆体をペリクル枠に塗布することが好ましい。
粘着剤の前駆体の粘度は、特に限定はされないが、好ましくは50P以下、より好ましくは10〜40P、さらに好ましくは20〜30P程度である。
前記粘着剤の前駆体の粘度は、粘着剤の前駆体の温度が25℃であるときの粘度であり、B型粘度計によって測定することができる。ディスペンサーでの塗布工程において前駆体を溶媒で希釈することによって、塗布液(前駆体の溶液)の糸引きが抑制され、安定した幅・厚みに調整することが容易となる。
ペリクル枠に塗布された粘着剤(粘着剤層)の厚みは、好ましくは0.1〜4.5mm、より好ましくは0.5〜3.5mm、さらに好ましくは0.8〜3.0mmである。
厚みが上記範囲内である場合、ペリクルの平坦性を維持したまま、ペリクルをフォトマスクに貼り付けることが可能であり、ペリクルの耐荷重性も良好である。
第三に、塗布した粘着剤層を加熱乾燥することにより、溶媒及び/又は残存モノマーを粘着剤層から除去する。
また、架橋剤として多官能性エポキシ化合物及び/又はイソシアネート系化合物を用いた場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が有する官能基と、架橋剤とは、加熱により反応して、粘着剤層中で架橋構造が形成される。この反応により、粘着剤層がペリクル枠表面に密着し、ペリクル枠と粘着剤層とが一体化する。
粘着剤層を加熱乾燥する際の温度は、溶媒及び残存モノマーの沸点、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の分解温度を考慮し、50〜200℃であることが好ましく、60〜190℃であることがより好ましい。
後述する〔実施例〕におけるアウトガス試験によって測定される粘着剤中の溶媒の含有量が50ppb以下となるように、粘着剤を十分に乾燥させた後で、ペリクルを使用することが好ましい。
加熱乾燥後(架橋反応後)、図2に示すように、粘着剤層10に保護フィルムFを貼ってもよい。
保護フィルムとしては、厚さが30〜200μm程度であり、ポリエステル等からなるフィルムが好ましい。
また、粘着剤層から保護フィルムを剥がす際の剥離力が大きいと、剥がす際に粘着剤が変形するおそれがある。
よって、剥離力を適切な程度に低減するために、粘着剤層と接する保護フィルムの表面に対して、シリコーンやフッ素等による離型処理を行ってもよい。
保護フィルムの貼り付け後、粘着剤層に荷重をかけて、粘着剤層の表面を略平坦に成型してもよい。
〔ペリクル付フォトマスク〕
本実施形態のペリクル付フォトマスクは、本実施形態のペリクルが、所定のフォトマスクに、露光光の透過を妨げないように位置制御されて装着された構成を有している。
フォトマスクとは、電子デバイス(半導体)、ディスプレイ、プリント基板、マイクロマシン(MEMS)等を製造するときに使用される、パターニングの原版となるものであり、種類に関しては、特に限定されるものではない。
〔半導体素子の製造方法〕
本実施形態の半導体素子の製造方法は、上述した本実施形態のペリクル付フォトマスクを用いて所定の基板の露光を行う工程を有する。
本実施形態の半導体素子の製造方法においては、製造工程の一つとしてフォトリソグラフィー工程を実施する。当該フォトリソグラフィー工程において、例えば集積回路に対応したフォトレジストパターンをウェハ(基板)上に形成するために、ステッパーにペリクル付フォトマスクを設置して露光する。これにより、仮にフォトリソグラフィー工程において異物がペリクル上に付着したとしても、フォトレジストが塗布されたウェハ上にこれらの異物は結像しないため、異物の像による半導体集積回路の短絡や断線等を防ぐことができる。よって、ペリクル付フォトマスクの使用により、フォトリソグラフィー工程における歩留まりを向上させることができる。
上記実施形態のペリクル付フォトマスクは、適度で且つ安定した粘着力を有するため、ペリクルをフォトマスクから剥がすときに糊残りが生じにくい。
よって、本実施形態のペリクル付フォトマスクの使用によって半導体素子の製造効率を高めることができる。
また、上記実施形態のペリクル用の粘着剤からのアウトガスの発生量は少ないため、ペリクル用粘着剤の寿命は長く、糊残りが低減されるため、ペリクルの剥離後のフォトマスク洗浄工程においてフォトマスク上の糊残りをより確実に除去することができる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
後述する実施例及び比較例で製造したペリクルに関し、以下の方法で測定及び評価を行った。
[(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の重量平均分子量の測定]
後述するようにして溶液重合により製造した(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の溶液を真空乾燥し、溶剤を除去した。
重合体に溶媒を加えて、重合体の溶解液を調製した。
溶媒としては、THFを用いた。
溶解液中の重合体の濃度は1.0mg/mLに調整した。
溶解液を孔径が0.5ミクロンであるフィルターでろ過し、ろ液をGPC(Gel Permeation Chromatography)で分析することにより、重合体の重量平均分子量を測定した。
GPCの条件は次の通りであった。
GPC データ処理:東ソー GPC−8020
装置:東ソー HLC−8220GPC
カラム:TSKgel SuperHZN−M
(4.6mm I.D.×15cm) 1本+
TSKgel SuperHZ2000
(4.6mm I.D.×15cm)1本
オーブン:40℃
溶離液:0.35mL/分 CHCl
試料量:50μl(1.0mg/mL)
検出器:RI
較正曲線:ポリスチレン
[糊残り]
保護フィルムを剥がしたペリクルに荷重を掛けて、6025クロム付きマスクブランクス基材(クリーンサーフェイス社製)にペリクルを貼付した。
貼付には簡易型マウンターを用いた。
荷重は30kgfとし、荷重時間は60secとした。
ペリクルを貼り付けた基材を、室温(20±3℃)にて2ヶ月間放置した。
放置後の基材を水平に固定し、ペリクルのひとつの角を引張試験機により、基材面に対し垂直に5mm/minの速度で引き上げ、ペリクルを基材から剥離した。
基材表面の様子を観察し、残存したペリクル用粘着剤によって被覆されている部分の面積(糊残り面積)を測定した。
糊残り面積に基づき、各ペリクルの糊残り量を以下の基準で評価した。
評価結果を表1に示す。
なお、下記の「全体の貼付け面積」とは、ペリクルを基材から剥離する前に基材表面においてペリクルと密着していた部分の面積である。
A:糊残り面積が全体の貼付け面積の0〜3%未満である。
B:糊残り面積が全体の貼付け面積の3%以上〜7%未満である。
C:糊残り面積が全体の貼付け面積の7%以上〜10%未満である。
[アウトガス試験]
50mL/分のヘリウム気流下、ペリクルを50℃で30分加熱した。
加熱中にペリクルから発生したアウトガス(トルエン)を、吸着剤を充填した吸着管で捕集した。
吸着剤にはTENAX TA(GLサイエンス製)を用いた。
ヘッドスペースサンプラーを用いて、吸着管をGC装置へ導入した。
吸着管を250℃で10分加熱してアウトガスを熱脱着させ、発生したアウトガスをGC(Gas Chromatography)/MS(Mass Spectrometry)により分析した。GC/MSの条件は次の通りであった。
GC装置:Agilent Technologies
7890A GC System
カラム:Agilent Technologies 19091J−413
HP−5(30m×0.320mm×0.25μm)
温度条件:30〜280℃(10℃/min)
MS装置:JEOL Jms−Q1000GC K9
イオン化:70eV
スキャン範囲:m/z=10〜500
絶対検量線により求めたトルエンの質量をペリクル1枚の質量で割って、ペリクル1枚当たりのアウトガス量(単位:ppb)を算出した。
アウトガス量を以下の基準で評価した。
評価結果を表1に示す。
A:10ppb以下
B:10ppb超50ppb未満
C:50ppb以上
[耐荷重試験]
保護フィルムを剥がしたペリクルに荷重を掛けて、6025クロム付きマスクブランクス基材(クリーンサーフェイス社製)にペリクルを貼付した。
貼付には簡易型マウンターを用いた。
荷重は30kgfとし、荷重時間は60secとした。
基材に貼り付けられたペリクルに1kgの錘をつけ、基材を室温で放置した。
基材からペリクルが剥離するまでの時間を測定した。
測定された時間に基づき、ペリクルの耐荷重性を以下の基準で評価した。
評価結果を表1に示す。
A:3日経過してもエアーパスが形成されない。
B:5時間〜3日以内にペリクルが基材から落下する。
C:0〜5時間以内にペリクルが基材から落下する。
〔実施例1〕
(粘着剤の調製)
先ず、以下の方法により、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体1を調製した。
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に酢酸エチル(30質量部)を入れた。さらに、イソブチルアクリレート(A成分)/ブチルアクリレート(A成分)/アクリル酸(B成分)/2−ヒドロキシエチルアクリレート(B成分)/2、2'−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)の混合物(32質量部)を反応容器仕込んで、反応溶液を調製した。
イソブチルアクリレート(A成分)、ブチルアクリレート(A成分)、アクリル酸(B成分)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(B成分)、及び2、2'−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)の質量比は、48:48:1.5:2.5:0.5に調整した。
窒素雰囲気下、上記反応溶液を所定の温度で加熱しながら還流することにより、反応容器内で重合反応を8時間進行させた。
反応終了後、反応溶液にトルエン(38質量部)を添加して、不揮発分の濃度が32質量%である(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体1の溶液を得た。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体1の重量平均分子量は120万であった。重量平均分子量は、上記方法により測定した。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体1の溶液に、多官能性エポキシ化合物(架橋剤)の溶液及び(表面改質剤)を添加した後、溶液を攪拌混合して、実施例1のペリクル用粘着剤を得た。
架橋剤の溶液は、架橋剤として、多官能性エポキシ化合物である1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを含むものとした。
架橋剤の溶媒としてはトルエンを用いた。
架橋剤の溶液中の不揮発分の濃度は5質量%であった。
架橋剤の添加量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体1を構成する全モノマーの合計100質量部に対して、0.25質量部に調整した。
表面改質剤としては、モディパーFS700(日油製)を用いた。
表面改質剤の添加量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体1を構成する全モノマーの合計100質量部に対して、1.0質量部に調整した。
なお、モディパーFSは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体に対する相溶性セグメントと非相溶性セグメントを有している。
(ペリクルの作製)
その後、アルミ合金製のペリクル枠の一方の端面に、上記のペリクル用粘着剤をディスペンサーで塗布した。
ペリクル枠の他方の端面には、枠全体を覆うようにペリクル膜が接着されていた。
ペリクル枠の外径は113mm×149mmであり、内径は109mm×145mmであり、高さは4.8mmであった。
ペリクル枠に塗布したペリクル用粘着剤の加熱乾燥・キュア(curing)を2段階に分けて行った。
加熱乾燥・キュアの1段階目では、ペリクル用粘着剤を100℃で8分加熱した。
加熱乾燥・キュアの2段階目では、ペリクル用粘着剤を180℃で8分加熱した。
加熱後のペリクル用粘着剤(粘着剤層)の厚みは0.2mmであった。
保護フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
保護フィルムの厚みは100μmであった。
保護フィルムの表面にはシリコーンを用いた離型処理を施した。
保護フィルムの離型処理が施された側の表面を、粘着剤層の表面に貼り合わせ、粘着剤層を室温(20±3℃)にて3日間養生(cure)し、粘着剤層の粘着力を安定化させた。
以上の工程を経て、実施例1のペリクルを完成させた。
〔実施例2〕
架橋剤の添加量を0.1質量部に調整した。その他の条件は、実施例1と同様の方法で、実施例2のペリクルを製造した。
〔実施例3〕
表面改質剤のモディパーFS700を3.0質量部用いた。その他の条件は、実施例1と同様の方法で、実施例3のペリクルを製造した。
〔実施例4〕
表面改質剤のモディパーFS700の代わりに、モディパーF606を1.0質量部用いた。その他の条件は、実施例1と同様の方法で、実施例4のペリクルを製造した。
なお、モディパーF606は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体に対する相溶性セグメントと非相溶性セグメントを有している。
〔比較例1〕
表面改質剤のモディパーFS700の代わりに、エポキシ変性シリコーンオイル(信越シリコーン社製:KF−1002)を1.0質量部用いた。その他の条件は実施例1と同様の方法で、比較例1のペリクルを製造した。
なお、エポキシ変性シリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖に有機基が導入された構成を有しており、セグメント構造を有していない。
実施例及び比較例のペリクル用粘着剤の組成及び評価結果を表1にまとめた。
「架橋剤」はイソシアネート基又はエポキシ基の少なくともいずれかの官能基を有する架橋剤を意味する。
「重量平均分子量」は粘着剤に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の重量平均分子量を意味する。
「i−BA」はイソブチルアクリレートを意味する。
「BA」はブチルアクリレートを意味する。
「AA」はアクリル酸を意味する。
「HEA」は2−ヒドロキシエチルアクリレートを意味する。
表1に示す全実施例のペリクル用粘着剤の組成は、表面改質剤(シラン化合物)の種類を除いて、実施例1と同じである。
Figure 2016018008
本発明に係るペリクル、当該ペリクル用粘着剤、当該ペリクルを装着したペリクル付フォトマスク、及び当該ペリクル付フォトマスクを用いた半導体素子の製造方法は、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)、TFT型LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)等のリソグラフィー工程において、産業上の利用可能性を有している。
1 ペリクル
2 ペリクル枠
2a〜2d ペリクル枠の部材
2e,2f ペリクル枠の端面
3 ペリクル膜
10 ペリクル用粘着剤(粘着剤層)
F 保護フィルム

Claims (13)

  1. ペリクル枠と、
    当該ペリクル枠の一端面に張設されたペリクル膜と、
    前記ペリクル枠の他の端面に付着した粘着剤層と、
    を、有するペリクルであって、
    前記粘着剤層は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と表面改質剤とを含み、
    前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、イソシアネート基又はエポキシ基の少なくともいずれかと反応性のある官能基を有するモノマーとの共重合体であり、
    前記表面改質剤が、相溶性セグメントと非相溶性セグメントをもつ、
    ペリクル。
  2. 前記表面改質剤が、
    相溶性セグメントと非相溶性セグメントのブロック共重合体である、請求項1に記載のペリクル。
  3. 前記相溶性セグメントが、
    ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体からなる、請求項2に記載のペリクル。
  4. 前記非相溶性セグメントが、
    含フッ素系化合物又は含シリコーン系化合物からなる、請求項2又は3に記載のペリクル。
  5. 前記非相溶性セグメントが、
    フッ化アルキル基含有重合体セグメント又はポリシロキサン含有重合体である、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のペリクル。
  6. 前記表面改質剤の含有量が、
    前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を構成する全モノマーの合計100質量部に対して0.001〜7質量部である、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載のペリクル。
  7. 前記粘着剤層が、
    前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部と、架橋剤0.01〜3質量部との反応生成物を含む、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載のペリクル。
  8. 前記架橋剤が、
    多官能性エポキシ化合物及び/又はイソシアネート系化合物である、請求項7に記載のペリクル。
  9. 前記多官能性エポキシ化合物が、2〜4個のエポキシ基を有する含窒素エポキシ化合物である、請求項8に記載のペリクル。
  10. 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の重量平均分子量が50万〜250万である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のペリクル。
  11. 前記粘着剤層の厚みが、0.1〜4.5mmである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のペリクル。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のペリクルが装着されている、ペリクル付フォトマスク。
  13. 請求項12に記載のペリクル付フォトマスクを用いて露光する工程を有する、半導体素子の製造方法。
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