本発明の第1の態様の粘着剤組成物(以下、「第一発明」という)は、構成成分として後記の成分(a1)ないし(a3)より得られるアクリルシロップ(成分(A))と、重合性不飽和基を2つ以上有するモノマー(成分(B))、架橋剤(成分(C))及び光重合開始剤(成分(D))を含有する。上記アクリルシロップを構成する成分は、前記一般式(1)で表されるモノマー(成分(a1))、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル(成分(a2))及び水酸基含有モノマー(成分(a3))などのモノマーである。
成分(A)を構成する成分(a1)は、前記一般式(1)で表されるものであり、具体的には、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートを例示することができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
また、成分(A)を構成する成分(a2)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチルなどが例示され、このうち(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく用いられる。
更に、成分(A)を構成する成分(a3)の水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリルモノマーや(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物などを挙げることができ、このうち、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく用いられる。
第一発明において、成分(A)中の上記成分(a1)〜(a3)の配合量は、成分(a1)が60〜97質量%、成分(a2)が0〜37質量%であり、成分(a3)の配合量は3〜12質量%である。これらの配合は、成分(a1)、(a2)のモノマーの配合量を決めた後、成分(a2)のモノマー配合量を成分(a1)ないし(a3)の合計量がアクリルシロップの90質量%以上になるように調整する。これらの好ましい配合量は、成分(a1)が60〜75質量%、成分(a3)の配合量は4〜10質量%であり、成分(a2)は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上であることが好ましい。また、成分(a1)〜(a3)の合計量は、アクリルシロップの95質量%以上であることが好ましい。
本発明に用いられる成分(A)には、更に必要に応じ、上記成分(a1)ないし(a3)以外のモノマーを配合することができる。このようなモノマーとして、例えば、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのようなアルキル基の炭素数が8を超える(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、のようなハロゲン化ビニル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル、のようなアジリジン基含有重合性化合物;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸の塩並びにこれらの(部分)エステル化合物及び酸無水物;2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等(例えば、フッ素系モノマー、シリコン含有モノマー、マクロモノマー、スチレン、シリコン等)が例示できる。このモノマーの配合量は、成分(A)中、0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%である。
本発明に用いられる成分(A)のアクリルシロップは、上記成分(a1)ないし(a3)のモノマーを部分的に重合させることによって得られるものでも、これらのモノマーから得られたポリマーを該モノマー中に溶解させたものでもいずれでもよい。
本発明に用いられる成分(A)アクリルシロップの製造にあたっては、上記成分のほか、必要に応じ、重合開始剤、重合調整剤、連鎖移動剤を使用することができる。
この重合開始剤は、上記成分(a1)〜(a3)等のモノマーを重合させるためのものであり、熱分解型の重合開始剤を使用することが好ましい。このような重合開始剤としては、有機パーオキサイド類、有機ハイドロパーオキサイド類、有機パーオキシケタール類及びアゾ化合物類等が挙げられる。
上記重合開始剤のうち、有機パーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジイソノナイルパーオキサイド、2−メチルペンタノイルパーオキサイド等が例示できる。また有機ハイドロパーオキサイド類としては、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジハイドロパーオキシヘキサン、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイド等が例示できる。
また、有機パ−オキシケタ−ル類としては、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが、アゾ化合物類としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル,2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル,2,2'−アゾビスシクロヘキシルニトリル,1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル),2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル,ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート等がそれぞれ例示できる。
これらの重合開始剤は、上記成分(a1)〜(a3)等のモノマーの混合物100重量部に対して、0.0001〜0.5重量部の範囲で用いることができる。
第一発明の成分(A)は、前記成分(a1)〜(a3)を含有するモノマーに上記重合開始剤を添加し、該モノマーを部分的に重合させるか、又は(a1)〜(a3)を含有するモノマーの一部を重合して得られるポリマーを、当該モノマーのそれ以外の部分を含有するモノマー溶液に溶解させることによって得られる。第一発明の成分(A)のアクリルシロップに含有されるアクリル系ポリマーとアクリル系モノマーにおいて、アクリル系ポリマーを構成するモノマーと前記アクリル系モノマーとは同一のモノマーであっても、異なるモノマーであっても良いが、アクリル系ポリマーのアクリル系モノマーへの相溶性、粘着剤層を形成したときの透明性が良好である点から、1種以上の同一のモノマーを使用することが好ましい。また、第一発明の成分(A)のアクリルシロップにおいて、アクリルシロップ中のポリマー濃度は30〜70質量%であることが好ましい。ポリマー濃度が30質量%未満であるとシロップの粘度が低くすぎ、また、70質量%より高いとシロップの粘度が高くなりすぎて塗工時のハンドリング性を著しく損なうものとなる。また、アクリルシロップ中のポリマー分子量は10万〜100万であることが好ましい。分子量が10万に満たないと得られるシートの粘着物性が発現しにくくなり、また、100万より大きいと濃度を30質量%未満に設定しないと粘度が高すぎて塗工時のハンドリング性を著しく損なうものとなる。
また、第一発明の構成成分の成分(B)である、重合性不飽和基を2つ以上有するモノマーとは、エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する付加重合可能な化合物である。この成分(B)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ジクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、N,N'−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物として使用することができる。これらのうち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
この成分(B)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜1.0重量部の範囲である。
さらに、第一発明の他の構成成分である成分(C)の架橋剤は、極性官能基と架橋し得る官能基を分子内に2個以上有するものであり、具体的にはイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤などが挙げられる。
成分(C)のうち、イソシアネート系架橋剤は、その分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーや、それらをトリメチロールプロパンなどの2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物ないしイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物等が例示される。また、公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどにイソシアネート化合物を付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等も挙げられる。
また、成分(C)のうち、エポキシ系架橋剤は、その分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、具体的には、ビスフェノールAエピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N'−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
このような成分(C)である架橋剤は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。上記成分(C)のうち、イソシアネート系化合物がアクリル系ポリマー中の水酸基との反応性の点で好ましく、特にトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、それらをトリメチロールプロパンなどの2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物ないしイソシアヌレート化物が好ましく用いられる。
この成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の範囲である。
さらに、第一発明の他の構成成分である成分(D)の光重合開始剤としては、具体的に、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ジクロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,N,N'-テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等を挙げることができ、このうち、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等を好ましく用いることができる。
この成分(D)の配合量は、成分(A)100重量部に対し0.05〜0.5重量部の範囲である。
本発明の第2の態様の粘着剤組成物(以下、「第二発明」という)は、その構成成分であるアクリルシロップ成分(A)に含まれるアクリル系ポリマーとアクリル系モノマーにおいて、アクリル系モノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度よりも、アクリル系ポリマーを構成するモノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度の方が高いものである。
そして、第二発明の粘着剤組成物では、成分(A)における成分(a3)の重合割合を上記のように調整することによって、第一発明における成分(C)架橋剤を配合しなくても、本発明の作用効果を有する粘着剤組成物を得ることができる。
第二発明の成分(A)を構成する成分(a1)は、前記一般式(1)で表されるものであり、具体的には、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートを例示することができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
また、成分(A)を構成する成分(a2)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチルなどが例示され、このうち(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく用いられる。
更に、成分(A)を構成する成分(a3)の水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリルモノマーや(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物などを挙げることができ、このうち、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が好ましく用いられる。
第二発明において、成分(A)中の上記成分(a1)〜(a3)の配合量は、成分(a1)が60〜97質量%、成分(a2)が0〜37質量%であり、成分(a3)の配合量は3〜12質量%である。これらの配合は、成分(a1)、(a2)のモノマーの配合量を決めた後、成分(a2)のモノマー配合量を成分(a1)ないし(a3)の合計量がアクリルシロップの90質量%以上になるように調整する。これらの好ましい配合量は、成分(a1)が60〜75質量%、成分(a3)の配合量は4〜10質量%であり、成分(a2)は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上であることが好ましい。また、成分(a1)〜(a3)の合計量は、アクリルシロップの95質量%以上であることが好ましい。
第二発明に用いられる成分(A)には、更に必要に応じ、上記成分(a1)ないし(a3)以外のモノマーを配合することができる。このようなモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのようなアルキル基の炭素数が8を超える(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリル酸-2-クロロエチル、のようなハロゲン化ビニル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸-2-アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル、等の含フッ素ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸の塩並びにこれらの(部分)エステル化合物及び酸無水物;2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等(例えば、フッ素系モノマー、シリコン含有モノマー、マクロモノマー、スチレン、シリコン等)が例示できる。このモノマーの配合量は、成分(A)中、0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%である。
第二発明に用いられる成分(A)のアクリルシロップは、上記成分(a1)ないし(a3)のモノマーを部分的に重合させることによって得られるものでも、これらのモノマーから得られたポリマーを該モノマー中に溶解させたものでもいずれでもよいが、アクリルシロップ成分(A)に含まれるアクリル系ポリマーとアクリル系モノマーにおいて、アクリル系モノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度よりも、アクリル系ポリマーを構成するモノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度の方が高いものである。
第二発明に用いられる成分(A)アクリルシロップの製造にあたっては、上記成分のほか、必要に応じ、重合開始剤、重合調整剤、連鎖移動剤を使用することができる。
この重合開始剤は、上記成分(a1)〜(a3)等のモノマーを重合させるためのものであり、熱分解型の重合開始剤を使用することが好ましい。このような重合開始剤としては、有機パーオキサイド類、有機ハイドロパーオキサイド類、有機パーオキシケタール類及びアゾ化合物類等が挙げられる。
上記重合開始剤のうち、有機パーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジイソノナイルパーオキサイド、2−メチルペンタノイルパーオキサイド等が例示できる。また有機ハイドロパーオキサイド類としては、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジハイドロパーオキシヘキサン、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイド等が例示できる。
また、有機パ−オキシケタ−ル類としては、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが、アゾ化合物類としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル,2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル,2,2'−アゾビスシクロヘキシルニトリル,1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル),2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル,ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート等がそれぞれ例示できる。
これらの重合開始剤は、上記成分(a1)〜(a3)等のモノマーの混合物100重量部に対して、0.0001〜0.5重量部の範囲で用いることができる。
第二発明の成分(A)は、前記成分(a1)〜(a3)を含有するモノマーに上記重合開始剤を添加し、該モノマーを部分的に重合させるか、又は(a1)〜(a3)を含有するモノマーの一部を重合して得られるポリマーを、当該モノマーのそれ以外の部分を含有するモノマー溶液に溶解させることによって得られる。また、成分(A)のアクリルシロップ中の成分(a3)の濃度の調整は、部分重合によってアクリルシロップを調製する場合には、重合を多段で行い、初期仕込みモノマーと添加モノマーの水酸基含有モノマー濃度を調整することでポリマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度をモノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度よりも高くすることが出来る。また、ポリマーをモノマー溶液に溶解してアクリルシロップを調製する場合にはポリマーを構成する水酸基含有モノマー(a3)濃度をモノマー溶液中の水酸基含有モノマー(a3)濃度より高くなるように調整すればよい。また、第二発明のアクリルシロップに含有されるアクリル系ポリマーとアクリル系モノマーにおいて、アクリル系ポリマーを構成するモノマーと前記アクリル系モノマーとは同一のモノマーであっても、異なるモノマーであっても良いが、アクリル系ポリマーのアクリル系モノマーへの相溶性、粘着剤層を形成したときの透明性を良好である点で、1種以上の同一のモノマーを使用することが好ましい。第二発明の成分(A)アクリルシロップにおいて、アクリルシロップ中のポリマー濃度は30〜70質量%であることが好ましい。ポリマー濃度が30質量%未満であるとシロップの粘度が低くなりすぎ、また、70質量%より高いとシロップの粘度が高くなりすぎて塗工時のハンドリング性を著しく損なうものとなる。また、アクリルシロップ中のポリマー分子量は10万〜100万であることが好ましい。分子量が10万に満たないと得られるシートの粘着物性が発現しにくくなり、また、100万より大きいと濃度を30質量%未満に設定しないと粘度が高すぎて塗工時のハンドリング性を著しく損なうものとなる。
また、第二発明の構成成分の成分(B)である、重合性不飽和基を2つ以上有するモノマーとは、エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する付加重合可能な化合物である。この成分(B)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ジクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、N,N'−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物として使用することができる。これらのうち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
この成分(B)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜1.0重量部の範囲である。
さらに、第二発明の他の別の構成成分である成分(D)の光重合開始剤としては、具体的に、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ジクロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,N,N'-テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等を挙げることができ、このうち、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを好ましく用いることができる。
この成分(D)の配合量は、成分(A)100重量部に対し0.05〜0.5重量部の範囲である。
次に、本発明の第3の態様の粘着剤組成物(以下、「第三発明」という)は、前記第一発明における成分(A)のアクリルシロップの成分(a2)に代えて、(メタ)アクリル酸ラウリル(成分(a2'))を配合したものである。
第三発明において、成分(A’)を構成する成分(a1)は、前記一般式(1)で表されるものであり、具体的には、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートを例示することができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
また、成分(A’)を構成する成分(a2’)は(メタ)アクリル酸ラウリルである。このアクリル酸ラウリルを用いることにより、塗膜の柔軟性、緩衝性が向上するという利点を有し、(a1)が比較的少量であっても所望の粘着力、耐白化性、リワーク性を発現することができる。特にアクリル酸ラウリルを使用することが好ましい。
更に、成分(A’)を構成する成分(a3)の水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリルモノマーや(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物などを挙げることができ、このうち、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく用いられる。
第三発明において、成分(A’)中の上記成分(a1)〜(a3)の配合量は、成分(a1)が20〜97質量%、成分(a2’)が0〜77質量%であり、成分(a3)の配合量は3〜12質量%である。これらの配合は、成分(a1)、(a3)のモノマーの配合量を決めた後、成分(a2’)のモノマー配合量を成分(a1)ないし(a3)の合計量がアクリルシロップの90質量%以上になるように調整する。これらの好ましい配合量は、成分(a1)が30〜75質量%、成分(a3)の配合量は4〜10質量%であり、成分(a2’)は、10質量%以上であることが好ましい。また、成分(a1)、(a2’)、及び(a3)の合計量は、アクリルシロップの95質量%以上であることが好ましい。
本発明に用いられる成分(A’)には、更に必要に応じ、上記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)以外のモノマーを配合することができる。このようなモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリル酸−2−クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル、等の含フッ素ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸の塩並びにこれらの(部分)エステル化合物及び酸無水物;2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等(例えば、フッ素系モノマー、シリコン含有モノマー、マクロモノマー、スチレン、シリコン等)が例示できる。このモノマーの配合量は、成分(A)中、0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%である。
第三発明に用いられる成分(A’)のアクリルシロップは、上記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)のモノマーを部分的に重合させることによって得られるものでも、これらのモノマーから得られたポリマーを該モノマー中に溶解させたものでもいずれでもよい。
本発明に用いられる成分(A’)アクリルシロップの製造にあたっては、上記成分のほか、必要に応じ、重合開始剤、重合調整剤、連鎖移動剤を使用することができる。
この重合開始剤は、上記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)等のモノマーを重合させるためのものであり、熱分解型の重合開始剤を使用することが好ましい。このような重合開始剤としては、有機パーオキサイド類、有機ハイドロパーオキサイド類、有機パーオキシケタール類及びアゾ化合物類等が挙げられる。
上記重合開始剤のうち、有機パーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジイソノナイルパーオキサイド、2−メチルペンタノイルパーオキサイド等が例示できる。また有機ハイドロパーオキサイド類としては、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジハイドロパーオキシヘキサン、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイド等が例示できる。
また、有機パ−オキシケタ−ル類としては、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが、アゾ化合物類としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル,2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル,2,2'−アゾビスシクロヘキシルニトリル,1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル),2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル,ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート等がそれぞれ例示できる。
これらの重合開始剤は、上記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)等のモノマーの混合物100重量部に対して、0.0001〜0.5重量部の範囲で用いることができる。
第三発明の成分(A’)は、前記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)を含有するモノマーに上記重合開始剤を添加し、該モノマーを部分的に重合させるか、又は(a1)〜(a3)を含有するモノマーの一部を重合して得られるポリマーを、当該モノマーのそれ以外の部分を含有するモノマー溶液に溶解させることによって得られる。第三発明の成分(A’)アクリルシロップに含有されるアクリル系ポリマーとアクリル系モノマーにおいて、アクリル系ポリマーを構成するモノマーと前記アクリル系モノマーとは同一のモノマーであっても、異なるモノマーであっても良いが、アクリル系ポリマーのアクリル系モノマーへの相溶性、粘着剤層を形成したときの透明性が良好である点で、1種以上の同一のモノマーを使用することが好ましい。第三発明の成分(A’)アクリルシロップにおいて、アクリルシロップ中のポリマー濃度は30〜70質量%であることが好ましい。ポリマー濃度が30質量%未満であるとシロップの粘度が低くすぎ、また、70質量%より高いとシロップの粘度が高くなりすぎて塗工時のハンドリング性を著しく損なうものとなる。また、第三発明の成分(A’)アクリルシロップ中のポリマー分子量は10万〜100万であることが好ましい。分子量が10万に満たないと得られるシートの粘着物性が発現しにくくなり、また、100万より大きいと濃度を30質量%未満に設定しないと粘度が高すぎて塗工時のハンドリング性を著しく損なうものとなる。
また、第三発明の構成成分の成分(B)である、重合性不飽和基を2つ以上有するモノマーとは、エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する付加重合可能な化合物である。この成分(B)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ジクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、N,N'−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物として使用することができる。これらのうち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
この成分(B)の配合量は、成分(A’)100重量部に対して、0.01〜1.0重量部の範囲である。
さらに、第三発明の他の構成成分である成分(C)の架橋剤は、極性官能基と架橋し得る官能基を分子内に2個以上有するものであり、具体的にはイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤などが挙げられる。
成分(C)のうち、イソシアネート系架橋剤は、その分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーや、それらをトリメチロールプロパンなどの2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物ないしイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物等が例示される。また、公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどにイソシアネート化合物を付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等も挙げられる。
また、成分(C)のうち、エポキシ系架橋剤は、その分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、具体的には、ビスフェノールAエピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N'−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
このような成分(C)である架橋剤は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。上記成分(C)のうち、イソシアネート系化合物がアクリル系ポリマー中の水酸基との反応性の点で好ましく、特にトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、それらをトリメチロールプロパンなどの2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物ないしイソシアヌレート化物が好ましく用いられる。
この成分(C)の配合量は、成分(A’)100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の範囲である。
さらに、第三発明の他の別の構成成分である成分(D)の光重合開始剤としては、具体的に、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ジクロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,N,N'-テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等を挙げることができ、このうち、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを好ましく用いることができる。
この成分(D)の配合量は、成分(A’)100重量部に対し0.05〜0.5重量部の範囲である。
さらに、本発明の第4の態様の粘着剤組成物(以下、「第四発明」という)は、前記第三発明の構成成分であるアクリルシロップ成分(A')中のアクリルシロップに含まれるアクリル系ポリマーとアクリル系モノマーにおいて、アクリル系モノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度よりも、アクリル系ポリマーを構成するモノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度の方が高いものである。
そして、第四発明の粘着剤組成物では、成分(A')における成分(a3)の重合割合を上記のように調整することによって、第三発明における成分(C)架橋剤を配合しなくても、本発明の作用効果を有する粘着剤組成物を得ることができる。
第四発明において、成分(A’)を構成する成分(a1)は、前記一般式(1)で表されるものであり、具体的には、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートを例示することができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
また、成分(A’)を構成する成分(a2’)は(メタ)アクリル酸ラウリルである。このアクリル酸ラウリルを用いることにより、塗膜の柔軟性、緩衝性が向上するという利点を有し、(a1)が比較的少量であっても所望の粘着力、耐白化性、リワーク性を発現することができる。特にアクリル酸ラウリルを使用することが好ましい。
更に、成分(A’)を構成する成分(a3)の水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリルモノマーや(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物などを挙げることができ、このうち、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく用いられる。
第四発明において、成分(A’)中の上記成分(a1)〜(a3)の配合量は、成分(a1)が20〜97質量%、成分(a2’)が0〜77質量%であり、成分(a3)の配合量は3〜12質量%である。これらの配合は、成分(a1)、(a3)のモノマーの配合量を決めた後、成分(a2’)のモノマー配合量を成分(a1)ないし(a3)の合計量がアクリルシロップの90質量%以上になるように調整する。これらの好ましい配合量は、成分(a1)が30〜75質量%、成分(a3)の配合量は4〜10質量%であり、成分(a2’)は、10質量%以上であることが好ましい。また、成分(a1)、(a2’)、及び(a3)の合計量は、アクリルシロップの95質量%以上であることが好ましい。
第四発明に用いられる成分(A’)には、更に必要に応じ、上記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)以外のモノマーを配合することができる。このようなモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリル酸−2−クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテル、のようなエポキシ基含有ビニル単量体;フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸の塩並びにこれらの(部分)エステル化合物及び酸無水物;2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等(例えば、フッ素系モノマー、シリコン含有モノマー、マクロモノマー、スチレン、シリコン等)が例示できる。このモノマーの配合量は、成分(A)中、0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%である。
第四発明に用いられる成分(A’)のアクリルシロップは、上記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)のモノマーを部分的に重合させることによって得られるものでも、これらのモノマーから得られたポリマーを該モノマー中に溶解させたものでもいずれでもよいが、アクリルシロップ成分(A)に含まれるアクリル系ポリマーとアクリル系モノマーにおいて、アクリル系モノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度よりも、アクリル系ポリマーを構成するモノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度の方が高いものである。
第四発明に用いられる成分(A’)アクリルシロップの製造にあたっては、上記成分のほか、必要に応じ、重合開始剤、重合調整剤、連鎖移動剤を使用することができる。
この重合開始剤は、上記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)等のモノマーを部分的に重合させるためのものであり、熱分解型の重合開始剤を使用することが好ましい。このような重合開始剤としては、有機パーオキサイド類、有機ハイドロパーオキサイド類、有機パーオキシケタール類及びアゾ化合物類等が挙げられる。
上記重合開始剤のうち、有機パーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジイソノナイルパーオキサイド、2−メチルペンタノイルパーオキサイド等が例示できる。また有機ハイドロパーオキサイド類としては、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジハイドロパーオキシヘキサン、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイド等が例示できる。
また、有機パ−オキシケタ−ル類としては、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが、アゾ化合物類としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル,2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル,2,2'−アゾビスシクロヘキシルニトリル,1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル),2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル,ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート等がそれぞれ例示できる。
これらの重合開始剤は、上記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)等のモノマーの混合物100重量部に対して、0.0001〜0.5重量部の範囲で用いることができる。
第四発明の成分(A’)は、前記成分(a1)、(a2’)、及び(a3)を含有するモノマーに上記重合開始剤を添加し、該モノマーを部分的に重合させるか、又は成分(a1)〜(a3)を含有するモノマーの一部を重合して得られるポリマーを、当該モノマーのそれ以外の部分を含有するモノマー溶液に溶解させることによって得られる。また、アクリルシロップ中の成分(a3)の濃度の調整は、部分重合によってアクリルシロップを調製する場合には、重合を多段で行い、初期仕込みモノマーと添加モノマーの水酸基含有モノマー濃度を調整することでポリマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度をモノマー中の水酸基含有モノマー(a3)濃度よりも高くすることが出来る。また、ポリマーをモノマー溶液に溶解してアクリルシロップを調製する場合にはポリマーを構成する水酸基含有モノマー濃度(a3)をモノマー溶液中の水酸基含有モノマー濃度(a3)より高くなるように調整すればよい。また、第四発明の成分(A’)アクリルシロップに含有されるアクリル系ポリマーとアクリル系モノマーにおいて、アクリル系ポリマーを構成するモノマーと前記アクリル系モノマーとは同一のモノマーであっても、異なるモノマーであっても良いが、アクリル系ポリマーのアクリル系モノマーへの相溶性、粘着剤層を形成したときの透明性を良好である点で、同一のモノマーを使用することが好ましい。第四発明の成分(A’)アクリルシロップにおいて、アクリルシロップ中のポリマー濃度は30〜70質量%であることが好ましい。ポリマー濃度が30質量%未満であるとシロップの粘度が低くすぎ、また、70質量%より高いとシロップの粘度が高くなりすぎて塗工時のハンドリング性を著しく損なうおそれがある。また、アクリルシロップ中のポリマー分子量は10万〜100万であることが好ましい。分子量が10万に満たないと得られるシートの粘着物性が発現しにくくなり、また、100万より大きいと濃度を30質量%未満に設定しないと粘度が高すぎて塗工時のハンドリング性を著しく損なうものとなる。
また、第四発明の構成成分の成分(B)である、重合性不飽和基を2つ以上有するモノマーとは、エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する付加重合可能な化合物である。この成分(B)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ジクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、N,N'−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物として使用することができる。これらのうち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
この成分(B)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜1.0重量部の範囲である。
さらに、第四発明の他の構成成分である成分(D)の光重合開始剤としては、具体的に、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ジクロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,N,N'-テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等を挙げることができ、このうち、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを好ましく用いることができる。
この成分(D)の配合量は、成分(A)100重量部に対し0.05〜0.5重量部の範囲である。
本発明の粘着剤組成物は、上記第一ないし第四発明の各成分に、必要に応じその他の添加剤を添加して、常法により、混合・脱泡処理することによって得られる。また、その際に、上記成分を溶解又は分散させるために有機溶媒等の溶剤を含有しても良いが、厚膜のシートを作成する作業性や環境への影響を考慮すると、溶剤を含有しない無溶剤型のものが好ましい。
また、本発明の粘着剤組成物には、更に、シランカップリング剤を用いることによって、PDP前面フィルター用などガラス基材に貼着した場合において密着性を向上させ浮きやハガレを防止するという利点を有する。このシランカップリング剤として、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン,2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3-クロロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。
本発明の粘着剤組成物には、前記各成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤等を配合することができる。
以上のようにして得られた本発明の粘着剤組成物を、基材表面に塗布し、光、特に紫外線を照射して重合硬化させることによって、本発明の粘着シートを得ることができる。
粘着剤シートを製造する際の粘着剤組成物の塗布厚さは、適宜設定できるが、0.1〜5mm、好ましくは0.3〜3mmとすることによって、十分な緩衝性を持たせることができる。
また、光紫外線照射は常法により行うことができ、ブラックライト等の光源を用いて、粘着剤組成物の組成や塗布厚さに応じて照度や照射時間を適宜調整して行うことができる。
上記のようにして得られた本発明の粘着シートは、剥離角度90度、剥離速度200mm/minにおける対ガラス粘着力が、10N/25mm以下であることが好ましく、5〜10N/25mmの範囲であることがさらに好ましい。この範囲であれば、一定の粘着力を有しながら、容易に剥離することができるので、例えば、プラズマディスプレイの前面フィルター用の粘着シートとして有利に使用できる。
次に製造例及び実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
製 造 例 1
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管及び冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、アクリル酸2−エチルへキシル(以下、「2−EHA」と略記する)25g、アクリル酸2−メトキシエチル(以下、「2−MEA」と略記する)65g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「2−HEA」と略記する)10g及び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン(以下、「NDM」と略記する)0.1gを投入し、フラスコ内の空気を窒素に置換しながら50℃まで加熱した。
ついで、重合開始剤として、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70;和光純薬製、以下「V−70」という)0.0025gを攪拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤投入後、反応系の温度は上昇したが、冷却を行わずに重合反応を続けたところ、反応系の温度が120℃に達し、その後徐々に下がり始めた。反応系の温度が115℃まで下がったところで、2−EHA7.5g、2−MEA19.5g、2−HEA3g及びNDM0.08gを投入して強制冷却を行い50℃まで冷却した。
更に、重合開始剤としてV−70 0.005gを攪拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤投入後、反応系の温度は上昇したが、冷却を行わずに重合反応を続けたところ、反応系の温度が125℃に達し、その後徐々に下がり始めた。反応系の温度が120℃まで下がったところで、2−EHA5.7g、2−MEA15g、2−HEA2.3gを投入して強制冷却を行い、アクリルシロップA−1を得た。
製 造 例 2
2−MEAの合計の投入量を99.5gから96gに代え、2−EHAの合計の投入量を38.2gから41.7gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップA−2を得た。
製 造 例 3
2−MEAの合計の投入量を99.5gから91.8gに代え、さらに、2−EHAをアクリル酸ラウリル(以下、「LA」と略記する)に代え、その合計の投入量を38.2gから45.9gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップA−3を得た。
製 造 例 4
2−MEAの合計の投入量を99.5gから89.5gに代え、さらに、2−EHAをLAに代え、その合計の投入量を38.2gから48.2gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップA−4を得た。
製 造 例 5
2−MEAをエトキシジエチレングリコールアクリレート(以下、「EEGA」と略記する)に代え、その合計の投入量を99.5gから105.6gに代え、さらに、2−EHAの合計の投入量を38.2gから32.1gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップA−5を得た。
製 造 例 6
2−MEAをEEGAに代え、その合計の投入量を99.5gから101.2gに代え、さらに、2−EHAの合計の投入量を38.2gから36.5gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップA−6を得た。
製 造 例 7
2−MEAをEEGAに代え、その合計の投入量を99.5gから105.6gに代え、さらに、2−EHAをLAに代え、その合計の投入量を38.2gから32.1gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップA−7を得た。
製 造 例 8
2−MEAをEEGAに代え、その合計の投入量を99.5gから101.2gに代え、さらに、2−EHAをLAに代え、その合計の投入量を38.2gから36.5gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップA−8を得た。
製造例1ないし8により得られたアクリルシロップA1〜A8について、常法により、モノマー濃度、ポリマー濃度、ポリマー分の重量平均分子量、ポリマーを構成するモノマー中の水酸基含有モノマー、及びモノマー中の水酸基含有モノマー濃度を測定した。その結果を表1に示す。
製造比較例1
2−MEAの合計の投入量99.5gから61.2gに代え、2−EHAの合計の投入量を38.2gから76.5gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップB−1を得た。
製造比較例2
2−MEAの合計の投入量99.5gから99.45gに代え、2−EHAの合計の投入量を38.2gから50.49gに代え、さらに、2−HEAの合計の投入量を15.3gから3.06gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップB−2を得た。
製造比較例3
2−MEAの合計の投入量99.5gから15.3gに代え、2−EHAをLAに代え、その合計の投入量を38.2gから122.4gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップB−3を得た。
製造比較例4
2−MEAの合計の投入量99.5gから91.8gに代え、2−EHAをLAに代え、その合計の投入量を38.2gから58.14gに代え、さらに、2−HEAの合計の投入量を15.3gから3.06gに代えた以外は製造例1と同様にしてアクリルシロップB−4を得た。
製造比較例1ないし4により得られたアクリルシロップB1ないしB4について、常法により、モノマー濃度、ポリマー濃度、ポリマー分の重量平均分子量、ポリマーを構成するモノマー中の水酸基含有モノマー、及びモノマー中の水酸基含有モノマー濃度を測定した。その結果を表2に示す。
実 施 例 1
製造例1〜8で得られた、A−1〜A−8の各アクリルシロップ100gに対し、表3に示す配合量の、トリメチロールプロパントリアクリレート(成分(B)/ライトアクリレートTMP−A;共栄化学社製、以下「TMP−A」とする)、ビウレット型ヘキサメチレンジイソシアネート(成分(C)/デュラネート24A−100;旭化成工業(株)製、以下「24A−100」という)、2−ヒドロキシ−2−メチル−I−フェニル−プロパン−1−オン(成分(D)/イルガキュア1173;チバカイギー社製、以下「I−1173」とする)及びシランカップリング剤であるγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−402;信越化学工業(株)製、以下「KBE−402」という)を添加し、混合・脱泡処理して光重合性の粘着剤組成物を得た。
この光重合性の粘着剤組成物を、両面剥離処理された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)セパレータ上に0.8mmの塗布厚さになるように塗布し、この塗布表面上に剥離処理された厚さ100μmのPETセパレータを貼着することによって、塗布された粘着剤組成物の上下にPETセパレータを配置してサンドイッチ状に密閉した後、ブラックライトにより5.0mWの光を10分間照射して無色透明のアクリルシートを得た(本発明品1〜8)。
このアクリルシートについて、下記評価方法及び基準によって、粘着力、耐湿熱白濁性、緩衝性について評価した。結果を表3に示す。
(評価方法及び基準)
<粘着力>
得られた粘着シートの一方のPET製剥離フィルムを除去し、厚さ100μmのPETフィルムを貼り付けて片面粘着シートを作成した。次にこの片面粘着シートを幅25mm、長さ150mmに裁断し、もう一方のPET製剥離フィルムを除去して、厚さ2mmのガラス板に2kgの圧着ローラーで1往復して圧着させ、23℃/65%の雰囲気に24時間静置させた後、同一雰囲気にて剥離強度90℃、剥離速度200m/minで対ガラス粘着力を測定した。また、被着体汚染について、粘着シートの剥離した後のガラス面の汚れの有無を観察し、剥離した後のガラス面の汚染がないものを○、糊のこりなどで汚染したものを×とした。
<耐湿熱白濁性>
粘着力測定と同様の方法で片面粘着シートを形成し、このシートを50mm×50mmに裁断した。この裁断された試料のPET製剥離フィルムを除去し、厚さ2mmのガラス板に貼り付けて、ガラス板/800μm粘着剤層/100μmPETフィルムで構成された積層体を作成した。この積層体を60℃/95%Rhの条件下に24時間静置させた後、室温に戻して10分後の外観を目視にて観察し、白濁が発生しているかどうか確認した。
<緩衝性>
JIS K 5400 塗料一般試験方法に準拠し、落球式耐衝撃性試験を行った。上記耐湿熱白濁性試験と同一のものを使用し、積層体のガラス板が割れなかったものを○、割れが生じたものを×とした。
鋼球:サイズ1−5/8 質量290g SUS製
落下高さ:40cm
この結果から明らかなように、本発明の粘着剤組成物を使用して製造した粘着テープは、適度な剥離力(5〜9N/25mm)を有し、被着体汚染や、湿熱白濁も生じず、緩衝性も優れたものであった。
比 較 例 1
製造例1〜4で得たA−1〜A−4のアクリルシロップ及び製造比較例1〜4で得られたB−1〜B−4のアクリルシロップ100g対し、表4に示す配合量のトリメチロールプロパントリアクリレート(TMA−A/成分(B))、ビウレット型ヘキサメチレンジイソシアネート(24A−100/成分(C))、2−ヒドロキシ−2−メチル−I−フェニル−プロパン−1−オン(I−1173/成分(D))、及びシランカップリング剤としてKBE−402を添加し、実施例1と同様にして、アクリルシートを得た(比較品1〜10)。このアクリルシートについて実施例1と同様の評価方法及び基準によって評価した。
この結果から、成分(A)ないし(D)のうち1つが欠けた場合は、粘着力が高すぎたり、被着体汚染が生じ、PDPフィルム用の粘着剤として好ましくないことが明らかになった。また、アクリルシロップの構成が、本発明のものと相違した場合は、白濁が生じ、また、粘着性が高かかったり、被着体汚染が生じ、やはりPDPフィルム用の粘着剤として好ましくないことが明らかになった。